文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針等
当社は、会社の基盤や想像力、技術の研鑽を主体とした「人」「力」「技術」を社是として、経営をいたしております。また、当社のロゴマークは「人」という文字をあしらっており、左の赤は個々の社員の情熱と実力主義を表し、右の青は会社(組織)の包容力と和、そして天に向かって躍進する可能性を意味しております。二つが合わさり社員と会社がともに支えあって互いに伸び栄え、社業を通じて社会に貢献することを表現しております。
また、当社の経営理念は「社員と会社が一体となって、人のために、次世代のために今できることを真剣に考え、社業を通じて社会に貢献する」としております。
この、「社是」と「経営理念」のもと、当社は「より良いものを、より早く、より確実に造る。お客様に対し、信頼感、安心感、満足感を与える」をモットーとして経営を進めてまいります。
(2) 経営環境と中長期的な経営戦略
今後の見通しにつきましては、雇用・所得環境が改善され、引き続きインバウンド需要等による個人消費の回復や設備投資の持ち直しにより、経済活動の緩やかな回復が期待されます。その一方で、中東地域をめぐる不安定な国際情勢等による原油・材料価格等の高止まりや円安の進行、各国の金融政策変更や不安定な政治情勢等の懸念材料が見込まれ、依然として景気の先行きは予断を許さない状況が続いております。
建設業界におきましては、図1のとおり国土強靭化計画により公共建設投資は引き続き底堅く推移し、民間建設投資も企業の設備投資が持ち直し傾向であり、名目建設投資は前年度比2.8%増加となる見通しとなります。その中で建設資材価格の高止まりや労務需給の逼迫、時間外労働の上限規制への対応もあり、引き続き事業環境への影響を注視する必要があります。
このような市場環境の下、当社は、景気変動の影響が少ない公共工事を軸とした土木工事事業、及び、景気に左右されるものの投資額の多い民間工事を軸とした建築工事事業の二大セグメントを推進することにより、事業の安定化を図っております。
また、2024年4月期から2027年4月期を対象とする「中期経営計画2024-2027」を策定し、2027年4月期をターゲットとした「NOVAC VISION」を掲げております。その目標の実現に向け各重点施策を実行することや外部環境・内部環境などの変化に対応することで、「企業価値の向上」「人的資本経営の推進」を図り、持続的な事業成長を目指します。また、ブランディングによる知名度向上やエンゲージメント向上、働き方改革による職場環境の改善などを図るため、システム導入やICT技術の活用等DXの推進による生産性の向上、業務の効率化及び施工の効率化、省力化を推進し、事業や収益基盤の安定化及び安定配当体質の確立、人財の確保・育成の推進等に取り組んでまいります。
図1 建設投資額の推移(年度)
(単位:億円)
出典:一般財団法人建設経済研究所、一般財団法人経済調査会 経済調査研究所(2024年4月10日付発表)
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営目標を下記のとおり定め、持続的な成長と高収益体制及び安定配当の確立による企業価値向上に向けて取り組んでまいります。
中期経営計画(2024年4月期-2027年4月期)における経営目標
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年度のわが国経済につきましては、雇用・所得環境が改善され、引き続きインバウンド需要等による個人消費の回復や設備投資の持ち直しにより、経済活動の緩やかな回復が期待されます。その一方で、中東地域をめぐる不安定な国際情勢等による原油・材料価格等の高止まりや円安の進行、各国の金融政策変更や不安定な政治情勢等の懸念材料が見込まれ、依然として景気の先行きは予断を許さない状況が続いております。
建設業界におきましては、国土強靭化計画により公共建設投資は引き続き底堅く推移し、民間建設投資も企業 の設備投資が持ち直し傾向でありますが、建設資材価格の高止まりや労務需給の逼迫、時間外労働の上限規制への対応や受注競争の激化等が顕在化しており、引き続き経営環境への影響を注視する必要があります。
それに対処するため、景気変動の影響が少ない公共工事の受注拡大や、従来からの顧客を大切にすることにより受注機会を保つこと、また、利益の向上が期待できる好物件を受注するとともに、会社一体となり、原価管理及び販売管理等の適正化を一層追求し、高収益体制の維持及び人材の確保と育成を図るため、以下の対策を検討しております。
① 不安定な国際情勢や世界的金融政策などによる景気悪化懸念への対策
(土木工事事業)
・土木工事発注が多い首都圏、関西圏を中心に人材投入を行い、受注の拡大を図る。
・昨今頻発している自然災害が発生した地域の災害復旧工事の受注及び災害を予防する対策工事の受注拡大を
図る。
・受注環境が激化する中で、競争に勝ち抜く技術提案力の強化を図る。
・構造物の長命化、補強工事等今後の市場環境において伸長が見込まれる分野へ進出する。
(建築工事事業)
・住宅分野以外の多分野工事や景気変動の影響が少ない公共工事案件の受注拡大を図る。
・3大都市圏(首都圏・関西圏・中部圏)以外の商圏を拡大する。
・リニューアル、耐震補強等既設建物の改修等の分野へ進出する。
・設計施工物件を手掛け、設計段階から一貫した受注獲得を目指す。
② 働き方改革の推進
建設業界は少子高齢化による若年層の減少に加え、就労者が少なくなる傾向があります。人財を確保していく上で、働き方改革の推進は重要な課題であると認識しております。当社は現在、システム投資やICT技術の活用等DXの推進による生産性の向上を図り、業務の効率化及び施工の効率化、省力化の推進による労働時間の短縮に取り組んでおります。今後も更なる労働環境の改善に向けて取り組んでまいります。
③ コーポレート・ガバナンスの強化
株主をはじめとするステークホルダーに対して社会的責任を果たすこと、また持続的な成長及び企業価値の向上を図る観点から、コンプライアンスの遵守体制、意思決定・業務執行体制、及び適正な監督・監視体制を構築することを通じて、コーポレート・ガバナンス強化の重要性を認識し、継続的に企業価値の向上に取り組んでまいります。
当社は、サステナビリティに関して、当社の2大セグメントである土木工事事業と建築工事事業を通じて、社会課題(地球温暖化防止のための二酸化炭素排出量の削減、安心・安全・快適で強靭(レジリエント)な社会の実現、活気溢れる街づくりの実現等)への取り組みと、当社の持続的成長を両立させることが重要であると認識しております。当社は「品質・環境マネジメントシステム」を定めており、システムに準拠したガバナンスとリスクの管理を推進しております。人的資本経営については、当社のロゴマークにある「企業は人なり」の精神のもと、各種の取り組みを推進しております。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は基本理念として「全ての事業活動を通して人と自然が調和する環境の創造と環境負荷の低減を図り、持続的発展が可能な社会の実現を目指す」を掲げております。この理念のもと、品質面はISO9001、環境面ではISO14001に則った「品質・環境マネジメントシステム」を構築し、品質安全部を中心に適切なレビューと指導を行っております。これらの有効性については、代表取締役社長をはじめとする経営陣に対して定期的に報告しております。また、サステナビリティ全般に関する取り組みを推進するため、2024年4月期に「SDGsプロジェクト」を立ち上げ、当社のサステナビリティ全般のリスク及び機会、その対応について審議・監督を行う「サステナビリティに関する経営推進体制」を整え推進しております。
サステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための重要な取り組みについて、当社の業態や経営環境、企業価値への影響等を踏まえて定めております。
社会課題に関して、脱炭素による持続可能な社会の実現や安心・安全・快適で強靭(レジリエント)な社会の実現など、社会課題解決や当社の持続的成長に貢献するための最も重要な経営基盤は人財であり、人財の多様性を含む人財の確保・育成、社内環境整備に関する取り組みに注力しております。具体的に工事の受注、高品質な施工、安全管理等、全てのプロセスにおいて人財が不可欠であることから、人材の「材」は「財」であるという認識のもと、諸施策を行っております。
そのようなSDGsを始めとした社会課題と事業活動の関連を確認・整理した上で、環境・社会への影響度が大きく、当社の持続的成長や事業継続において重要度が高い課題を抽出し、7つのマテリアリティを特定しております。これらのマテリアリティへの取り組みを通じて、社会課題解決と企業価値向上の両立を目指して参ります。
〈事業を通じた社会課題解決と具体的な取組〉
〈経営基盤の強化と具体的な取組〉
また、当社においては、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
1.人財の育成に関する方針
人財の多様性の確保及びスキル・専門性向上のため、下記の施策等の充実を図ってまいります。
①広報推進による採用活動強化
②採用条件の改革
③女性採用割合増加推進
④資格手当・取得支援制度の改革
⑤社内研修制度の充実
2.社内環境整備方針
エンゲージメント向上や働き方改革及びDX推進のため、以下の施策等の充実を図ってまいります。
①給与・手当制度の改革
②従業員持ち株会加入促進
③表彰・評価制度整備
④有給・育休・介護休暇制度整備
⑤福利厚生の充実
⑥健康診断の充実
⑦社内基幹システム強化
⑧現場管理システム改革
⑨電子契約システム導入
当社における全社的なリスク管理は、コンプライアンス・リスク管理委員会を中心において行っております。コンプライアンス・リスク管理委員会は、会社に存在するリスクの確認とその対策について確認、検討・監督を行い、取締役会に定期的に報告を行うと共に監督する体制を構築しております。また、「SDGsプロジェクト」「品質・環境マネジメントシステム」と連携の上でリスク管理を行い、実効性を高めています。リスクマネジメント詳細については「3事業等のリスク」をご参照ください。
サステナビリティに関する取り組みに対する指標及び目標について、上記「(2)戦略」において「事業を通じた社会課題解決」及び「経営基盤の強化」に対して特定した7つのマテリアリティへの具体的な取り組みについて指標(KPI)を設定し、目標値についても、当社の実績を長期的に評価、管理及び監視する観点から設定する予定であります。過去実績把握と毎年度進捗状況を確認し、PDCAサイクルにて推進活動を行って参ります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 建設市場の動向
民間景気の減速や建設市場が縮小した場合等による受注環境が悪化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクの低減を図るための対応については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の記載をご参照下さい。
(2) 労務単価及び資材価格の高騰
労務単価や原材料の価格が高騰した際、請負金額に反映することが困難な場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、地域の主要単価を統計的に把握するとともに価格高騰を予見し早めの発注を行うことや、既存の取引先にとらわれず新規取引先の開拓に努めることにより、価格変動の影響を抑制し、リスクの低減に努めております。
(3) 取引先の信用リスク
建設業界においては、1件当たりの請負金額が多額であり、また支払条件によっては工事代金の回収に期間を要する場合があります。万一、発注者、協力会社、共同施工会社等の取引先に信用不安が顕在化し、資金の回収不能や工期の遅延等が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、与信管理規程及び債権管理規程に基づき、取引先の状況把握を定期的に実施し、回収懸念の早期把握や軽減を図り、リスクの低減に努めております。
(4) 人材確保
建設業界においては、建設技術者・技術労働者の高齢化が進み、計画的な人員確保の重要性が高まってきております。当社では、計画的な人員確保に向けて採用の強化に努めておりますが、需給関係の急激な逼迫により人員確保が困難となった場合には、受注機会の喪失や納期遅延等の問題が発生する恐れがあり、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、働き方改革を推進した労働環境の構築や、採用後の資格取得への積極的な支援、及び左記に基づく採用活動の実施により、リスクの低減に努めております。
(5) 施工物の瑕疵
継続的な社員教育の実施や、ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底により、品質管理には万全を期しておりますが、万一施工物に重大な瑕疵(契約不適合)があった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、品質安全部を設置し、ISO規格に基づく徹底した品質管理を実施するとともに、社員教育の充実による施工技術の更なる向上を図り、リスクの低減に努めております。
(6) 建設活動に伴う事故
建設業界は、作業環境や作業方法の特性より危険性を伴うことが多く、他の産業と比べると事故発生率が高くなっております。万一、人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、工事着手に際し、施工計画を策定し、安全な作業環境を整え施工しております。また、徹底した安全教育の実施、危険予知活動や安全パトロールなどを実施し事故を撲滅するための活動を実施することで、リスクの低減に努めております。
(7) 法的規制等
当社の事業運営上、建設業法、建築基準法、建築士法、宅地建物取引業法、独占禁止法他多数の法的規制を受けております。当社では、特定建設業許可、一級建築士事務所登録、宅地建物取引業の許認可を受けております。将来、何らかの理由により法令違反の発生、許認可等の取消又は更新が認められない場合、若しくはこれらの法律等の改廃又新たな法的規制の新設、適用基準の変更によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が取得している許認可等は、下表のとおりであります。
当社は、上記許認可等の諸条件や各法令の遵守に努めております。法改正については国土交通省、その他関係各所から発信されている情報にアクセスし、早期に対応を検討し対策することで、リスクの低減に努めており、継続に支障を来す要因は発生しておりません。
(8) 訴訟等に関するリスク
当社の事業等に関連して予期せぬ問題や紛争が生じて、これによる訴訟等を提起、あるいは提訴された際に当社の主張や予測と相違する結果となった場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、訴訟等について、顧問弁護士等外部の専門家と緊密に連携し対応できる体制を構築することで、リスクの低減に努めております。
(9) 外壁タイル剥離に係るクレーム等発生リスク
建物の外壁タイルに剥離が生じたとして、建物の所有者が施工者に対して不法行為に基づく損害金の支払を求める訴訟は、近時、建築関係訴訟の中で多くみられる類型の一つといわれております。当社は建築工事事業においてマンションを施工しており、発注者から指定された仕様書を遵守した施工は当然として、(5)に記載したとおり品質管理を徹底するとともに、タイルの接着効果を増大させる方法を取り入れて対策しております。ただし、外壁タイルの剥離現象の発生原因を解明するのは困難であり、クレームの発生や訴訟を提起された場合には、当社の施工に起因する剥離ではなかったとしても、風評への影響や経済的な負担等が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、本書提出日現在、訴訟中の事案はありませんが、当社においてクレームの発生や訴訟を提起された場合には、個別に誠実かつ適正に対応する方針であります。クレームの発生等を事前に把握することは困難でありますが、完成後2年経過後の自社点検を実施するとともに、その後も竣工後5年目の自主的調査を行うこととし、所有者においても3年、6年の検査と10年目の打診調査が行われます。当社点検調査の結果、剥離の可能性を検知した場合には、所有者、管理者に報告し適切な保全を促す等の対応をとることで、自社で行い得るクレーム等発生の抑止を図り、リスクの低減に努めております。
(10) 災害リスク
地震等の天災、人災等が発生したことにより、事業継続に深刻な支障をきたした場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業継続計画を定め、大規模災害発生時の役職員の安否の早期確認や、適正な初動活動が行えるように準備することで、リスクの低減に努めております。
(11) 情報セキュリティ
事業活動を通して得た取引先の情報や、営業上・技術上の機密情報等に対して、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、信用が低下し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、情報の取扱い等に関する情報管理規程を整備・充実し役職員への周知・徹底を図るとともに、適正な情報セキュリティ強化を図ることで、リスクの低減に努めております。
(12) レピュテーションリスク
ソーシャルメディアの普及に伴い、インターネット上の書き込み等で事実とは異なった情報や誹謗中傷による風評被害が発生・拡散した場合には、社会的信用が毀損し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、風評被害の恐れのある情報を監視するとともに、リスクが認識された場合に迅速な対応を行う体制を構築することで、リスクの低減に努めております。
(13) 履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する方法による収益認識
当社は、工事契約に係る収益認識について、少額又は期間がごく短い工事等を除いて、履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しております。当該方法は、工事の進捗率に応じて収益を計上する方法であり、具体的には見積総工事原価に対する発生原価の割合をもって完成工事高を計上しております。工事ごとに継続的に見積総工事原価の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、想定していなかった状況の変化が生じて見直しが必要になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、工事原価の見積りの精度向上を図り、適宜決算に反映することで、リスクの低減に努めております。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
a. 経営成績
当事業年度におけるわが国の経済は、インバウンド需要等による個人消費の回復や設備投資の持ち直し、経済活動の正常化及び雇用環境の改善等緩やかな回復傾向となりました。その一方で、中東地域をめぐる不安定な国際情勢等による原油・材料価格等の高止まりや大幅な円安の進行、世界的な金融引き締め等の懸念材料により、景気の先行きは予断を許さない状況が続きました。
建設業界におきましては、公共建設投資は国土強靭化計画のインフラ対策等により堅調に推移し、民間建設投資におきましても、企業の設備投資意欲の高まりにより持ち直しの動きがみられましたが、建設資材価格の高騰や労務不足、それに伴う労務費上昇、受注環境の激化等が顕在化しており、厳しい事業環境となりました。
このような状況の下、当事業年度の受注高は32,522,165千円(前年同期比13.7%減)となりました。売上高は、34,431,032千円(前年同期比7.8%増)、営業利益は810,600千円(前年同期比68.9%減)、経常利益は662,127千円(前年同期比74.4%減)、当期純利益は287,399千円(前年同期比86.0%減)となりました。なお、営業利益率は前事業年度が8.2%に対して当事業年度は2.4%となり、5.8pt低下しました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
(土木工事事業)
受注高は10,672,598千円(前年同期比18.6%減)、売上高は11,813,277千円(前年同期比16.1%減)、セグメント利益(営業利益)は1,259,889千円(前年同期比42.0%減)となりました。なお、営業利益率は前事業年度が15.4%に対して当事業年度は10.7%となり、4.7pt低下しました。
(建築工事事業)
受注高は21,849,566千円(前年同期比11.0%減)、売上高は22,600,090千円(前年同期比26.5%増)、セグメント損失(営業損失)は457,325千円(前事業年度は営業利益429,218千円)となりました。なお、営業利益率は前事業年度が2.4%に対して当事業年度は△2.0%となり、4.4pt低下しました。
(その他)
売上高は17,664千円(前年同期比39.1%増)、セグメント利益(営業利益)は8,036千円(前年同期比31.9%増)となりました。なお、営業利益率は前事業年度が48.0%に対して当事業年度は45.5%となり、2.5pt低下しました。
b. 財政状態
(資産)
当事業年度末の資産合計は、29,489,981千円と前事業年度末と比べ1,287,483千円(4.6%)の増加となりました。主な要因は、完成工事未収入金及び契約資産が6,175,331千円、電子記録債権が2,799,230千円、受取手形が1,529,214千円増加したものの、現金預金が8,974,189千円減少したことによるものです。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、11,114,350千円と前事業年度末と比べ1,721,229千円(18.3%)の増加となりました。主な要因は、短期借入金が1,800,000千円増加したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、18,375,631千円と前事業年度末と比べ433,745千円(2.3%)の減少となりました。主な要因は、当期純利益の計上287,399千円、剰余金の配当721,082千円などによるものです。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末比8,974,189千円減少し、5,472,844千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、9,962,722千円の支出(前事業年度末は5,053,802千円の収入)となりました。主な要因は、売上債権及び契約資産の増加10,503,775千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、87,276千円の支出(前事業年度末は1,583,901千円の支出)となりました。主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が86,693千円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,075,809千円の収入(前事業年度末は830,616千円の支出)となりました。主な要因は、短期借入による収入が1,800,000千円あったものの、配当金の支払額が721,082千円あったことによるものです。
受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
b. 売上実績
売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。
なお、土木工事事業及び建築工事事業の受注高及び売上高の実績は次のとおりであります。
a) 受注高、売上高及び繰越高
(単位:千円)
(注) 1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含めております。したがって、当期売上高にも係る増減額が含まれております。
2.期末繰越高は、(期首繰越高+当期受注高-当期売上高)であります。
3.工事規模別の受注件数は次のとおりであります。
(単位:件)
b) 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
(単位:%)
(注) 1.百分比は請負金額比であります。
2.特命は、民間工事の契約締結までの過程において、発注者が特定の業者に契約交渉の優先権を与える方法
であります。
3.競争は、発注者が入札情報を公告・提示し、入札に参加した複数の業者の中から選定された業者が契約締
結に至る方法であります。
c) 完成工事高
(単位:千円)
(注) 1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第59期事業年度 請負金額20億円以上の工事
西日本高速道路㈱ 新名神高速道路 山城谷川橋(下部工)工事
東京都下水道局 蛇崩川増強幹線その3工事
㈱日本ネットワーク 高砂臨海工場建設工事に関する建物工事契約並びに機械装置基礎他工事
サポート 契約について
第60期事業年度 請負金額20億円以上の工事
明和地所㈱ クリオレジダンス川崎南幸町 新築工事
明和地所㈱ クリオ葛西シーズンテラス 新築工事
㈱モリモト アールブラン大森レジデンス 新築工事
2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
第59期事業年度
国土交通省 4,056,071千円 12.7%
東京都下水道局 3,679,318千円 11.5%
和田興産㈱ 3,467,543千円 10.9%
第60期事業年度
国土交通省 5,243,247千円 15.2%
明和地所㈱ 4,479,171千円 13.0%
d) 期末繰越高(2024年4月30日現在)
(単位:千円)
(注) 期末繰越高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
和田興産㈱ (仮称)ワコーレ中央区港島中町4丁目新築工事
ひめじ手柄山PFI㈱ 手柄山スポーツ施設整備運営事業
東京都下水道局 蛇崩川増強幹線その4工事
西日本高速道路㈱ 中国自動車道 福崎IC他1箇所高速道路事務所改築工事
和田興産㈱ (仮称)ワコーレ神戸市中央区下山手通8丁目計画
東京都下水道局 蛇崩川増強幹線その5工事
(独)鉄道建設・運輸 北海道新幹線、二ツ森トンネル(明治)他
施設整備支援機構
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。なお、営業活動によるキャッシュ・フローが、前事業年度は5,053,802千円の収入、当事業年度は9,962,722千円の支出となり乖離が大きくなっております。これは、前事業年度は工事の竣工等に伴う請負代金の入金が多くありましたが、当事業年度においては、大型工事及び追加工事に係る材料費、外注費等の支払が先行したことや、民間建築工事事業における竣工時での電子記録債権等の受取増加によるものです。
このように、手持ち工事の規模、進捗度や追加工事の発生状況等がキャッシュ・フローに重要な影響を及ぼしております。当社は、各部署からの報告に基づき経理部が月次で資金繰計画を作成・更新するとともに、月末支払後の現金預金残高として、月間支払相当額の1ヶ月以上の残高を維持する方針とし、流動性リスクを管理しております。なお、今後の事業展開における資金需要への対応と運転資金の効率的な資金調達手段を確保し、財務基盤の安定性向上を目的とし、2024年4月19日に取引銀行10行と極度額80億円(既存契約60億円)のコミットメントライン契約を締結しております。
資金の配分について、自己資金で上述の残高を超える部分が、成長投資、株主還元等への原資となります。
成長投資について、設備投資は「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」をご参照下さい。また、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境と中長期的な経営戦略」に記載のとおり、「NOVAC VISION」を掲げ、「企業価値の向上」「人的資本経営の推進」を図り、持続的な事業成長を目指してまいります。株主還元について、当社は継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としており、配当政策については「第4 提出会社の状況 3配当政策」をご確認下さい。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。