第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 第4 経理の状況 注記事項(重要な後発事象)に記載の通り、当社は2025年10月から11月にかけて、公募及び第三者割当による新株式発行並びに当社株式のオーバーアロットメントによる売出しを実施し、有価証券届出書の提出を行いました。それに伴い、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」から変更があった項目は、以下のとおりです。当該変更及び追加箇所については___罫で示しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

Ⅰ.外部環境及び第三者など自社を取り巻く環境に関するリスク

(1)当社ビジネスおよび業界に関するリスク

① 市場について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

 当社の属する宇宙産業は将来の成長が期待される市場でありますが、当社が事業収益を見込むペイロードサービスとデータサービスは、現在グローバルでも草創期に当たります。それゆえ、宇宙産業の将来には多くの不確実性が伴います。当社では既に現在ミッション1及びミッション2の顧客からの受注の確定及び、ミッション3以降に係る顧客からの潜在的受注を確認しておりますが、今後、当該事業における市場が当社の想定通り成立・成長する保証はありません。例えば、世界的な経済情勢、各国の宇宙政策や企業の景気による影響、月資源の存在及び規模並びにその商業的開発の実現可能性に対する認識の変化等により事業環境が変化した場合には、当社の顧客が政府機関の場合には月関連の事業に投入可能な予算額が減少し、また民間企業の場合には研究開発予算や事業開発予算・ブランディング予算等が減少し、その結果、市場において十分な需要が生じない可能性があります。加えて、当社又は第三者が策定する市場規模に関する予測は、様々な仮定や前提条件に基づいており、前提条件の内容等によってその結果は大きく異なります。例えば、有価証券報告書記載のPwC社の調査においても、各地域の市場トレンドや観測可能な調査に基づくボトムアップ分析と、当社のビジョンである「2040年に月に1,000人が居住」することと同様の前提を置いた場合のロードマップ分析では大きく結果が異なります。したがって、これらの予測において用いられる仮定や前提条件が正しくない場合には、予測とは大きく異なった結果となる可能性があります。また、当該調査は2021年9月に発表されたものであり、例えばNASAのアルテミス計画の遅延等、それ以降の市況や地政学的状況の変化を反映しておりません。NASAにおいては、2025年5月に発表された予算計画案において全体の予算額削減が計画されており、CLPSやArtemis-2及び3の実施は計画されているものの、Artemis-4以降を含む将来的なアルテミス計画及び関連する活動の具体的な実施計画は不透明な状況となっております。

 また、有価証券報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3.事業の内容 <当社グループが注力する月面輸送サービスのセグメントについて>」記載のとおり、当社は、ペイロードサービスにおいて、小型セグメントへの戦略的集中を行っており、大型のセグメントのペイロードを指向する顧客とは重複しない一定層の小型セグメントが成立し得ると考えているところ、ペイロード市場における主要なニーズが、当社が対応出来ない大型のペイロードを指向する場合には、当社が提供するサービスへの需要が十分に喚起されないおそれがあり、また、仮に需要があったとしても、他の事業者が提供する大型ランダーの余剰スペースに搭載する形のペイロードサービスによって代替されるおそれもあります。さらに、当社が行うペイロードサービスの単価等については既に確立した水準は存在しないことから、契約相手方との関係や競合相手の状況によっては、当社が希望する水準での価格設定や契約条件の設定を行えない可能性があります。

 加えて、データサービスについては、潜在的な顧客からのニーズは確認されており、当社として顧客からの受注も存在しているものの、現時点で十分な市場は確立されておらず、また、同サービスにおける価格設定についても、今後市場動向や競合の動向によって仕組み等が変動する可能性があります。したがって、将来的に同サービスにおいて、当社が期待するだけの需要を喚起できない可能性や、できたとして当社が希望する水準での価格設定を行えない可能性があります。また、当社が顧客のために取得したデータについて、顧客との交渉次第では、当社が権利を確保できない可能性があり、その場合、当社が計画するデータプラットフォームやデータベースの構築が遅延する、又は実現しない可能性があります。

 このように、当社の想定通りに市場が成立・成長しなかった場合等には、売上計上時期が後ろ倒しになる等、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② マクロ経済について

 当社の業績は、日本、米国および国際的な経済・政治情勢等の影響を大きく受けます。現在のインフレ環境は、様々な部品、材料およびサービスの調達コストの上昇をもたらし、また今後ももたらし続ける可能性があり、今後金利が上昇した場合には、当社の借入コストが増加する可能性があります。現在および将来の顧客は、その事業または予算が経済状況の影響を受けた場合には、当社のサービスに対する支出を延期または減少させる可能性があります。当社は、ペイロードサービスの対価の一部を顧客からの前払いとし契約後の返金を行わないこと等のリスク軽減措置を講ずる予定であるものの、今後ペイロード容量を増加し民間企業の潜在顧客も見込まれる中で、契約期間が数年間など長期に渡る契約も想定されるところ、現在および将来の顧客が当社のサービスに対する代金を支払えない場合、当社の収益およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。

 現在のロシアとウクライナの軍事衝突は、米国及び北大西洋条約機構(NATO)と、ロシアの緊張をエスカレートさせております。米国をはじめとするNATO加盟国および非加盟国は、ロシアおよびロシアの特定の銀行、企業、個人に対して制裁を課しております。このような制裁措置は当社の事業に重大な影響を及ぼしていませんが、将来の追加制裁措置や、その結果生じるロシア、米国、NATO諸国間の紛争が当社の事業に悪影響を及ぼさないという保証はありません。また、イスラエルと過激派組織との武力衝突により、中東および世界的な緊張が激化する可能性があり、このような状況により影響を受ける顧客への営業活動に悪影響を及ぼす可能性があるほか、当社グループの事業および経営に悪影響を及ぼす可能性があります。このような軍事紛争やそれに関連する動き、また米国による関税措置の不透明性は、その後に発生する商品価格、信用市場、資本市場の大幅な変動、サプライチェーンの断絶のような市場のさらなる混乱につながる可能性があり、当社グループの事業および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 為替レートについて(顕在化の可能性:高/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

 当社グループは、海外への事業展開にも取り組んでおり、ルクセンブルク大公国及び米国に連結子会社を有しております。ルクセンブルク子会社及び米国子会社の財務諸表における現地通貨建の項目は、連結財務諸表作成のために円換算されることから、連結財務諸表数値は為替相場の変動による影響を受ける可能性があります。また、当社、ルクセンブルク子会社及び米国子会社も海外のサプライヤーとの間で複数の外貨建て取引を行っており、為替変動リスクを軽減するため、為替予約その他ヘッジ取引を行うことを決定しましたが、かかるヘッジ取引を行う場合でも、必ずしも為替変動リスクを全てヘッジできるとは限りませんまた、当社は、ペイロードサービスやデータサービス等の主要な事業については米ドル建ての入金とすることによって、米ドルに対する円の為替変動リスクを一定程度軽減しておりますが、今後著しい為替変動があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)第三者に関するリスク

① 政府機関の顧客について(顕在化の可能性:高/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

 当社の既存顧客の多くが政府機関であり、また、当面の間、当社の潜在顧客の多くも政府機関となることが予想されるところ、一般に政府機関の数は限定的であり、受注できる契約数も限定的となる可能性があります。また、政府機関からの発注については、各国の宇宙政策、国家予算や地政学上のリスクによる影響を受ける傾向があり、これらによって、政府機関からの発注自体が少なくなるか、発注内容が変更若しくは取り消される可能性があります。また、政府機関からの発注への応募についても一定の当該国での内製化要件等が課される場合もあり、当社としては米国・日本・欧州の各拠点で開発体制を敷いているものの、当社が必ずしも応募できるとは限りません。加えて、政府機関との契約については、入札手続を経ることから当社が期待する水準の単価とならない可能性があり、したがって、当社の想定通りの採算で受注できない可能性があります。また、契約締結後も、政府機関による解約が広く認められる場合等、民間企業と契約する場合に比べて当社にとって不利な契約条項が含まれる可能性、政府機関が契約先であるゆえに労働・人種差別・環境等の法規制の対象となる可能性、当社において追加的な規制や要件の遵守を求められる可能性、支出に際して政府機関の承認が必要となる可能性、当社の技術内容を含めた一定の事項について開示が要求される可能性、部材やサービスの調達先について一定の要件を課される可能性や、現地のオフィスや施設等の設置等を求められる可能性等があります。

 加えて、政府機関との契約においては、契約条件の遵守について政府機関による詳細な調査権が認められる場合があります。さらに、当社がこれらの規制や条件等に違反した場合、契約の解約のみならず、行政処分等の対象となる場合があり、かかる処分等が下された場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 したがって、政府機関からの発注については、受注できたとしても、当社が想定したとおりの収益を上げることができない可能性があります。例えば、当社は経済産業省が実施する宇宙分野の「月面ランダーの開発・運用実証」をテーマとする補助対象事業に採択されておりますが、当該事業に係る補助金の付与は、当社が100kg以上のペイロードを月面輸送するための月面ランダーの開発と、当社が経済産業省と合意した時期までに月への打上げ及び運用を行うことを前提としています。当社は、ミッション4のシリーズⅢランダー(仮称)の開発費用の一部に当該補助金を充当する予定であるところ、ミッション4は、当初2027年中の打上げとして経済産業省と合意しておりましたが、2025年10月6日時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については今後、関係省庁と調整中の段階であり、最終的には経済産業大臣により正式に計画変更が認可されることとなりますが、経済産業省との間でスケジュールの延期について最終的に合意できない場合等には、当該補助金を得られない可能性があります。

 

② 重要な外部パートナー及び顧客への依存について(顕在化の可能性:高/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

 当社が開発するランダーは、有価証券報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3.事業の内容 <ランダー・ローバーのテクノロジー及びペイロード>」に記載のとおり、ミッション1及びミッション2の推進系システムについてはAriane Groupに製造を委託し、着陸制御システムの開発についてはドレイパー研究所とのアライアンス関係を築いており、ミッション3においては、Agile Space Industries社とも新型エンジン開発に着手しております。

 また、ミッション1から3の打上げに関しては、SpaceX社とファルコン9ロケットによる打上契約を締結しております。これらの関係は、当社における技術及び競争上の強みとなっていると考えております。

 加えて、後記「Ⅱ.ビジネスモデル等の自社の事業に起因するリスク (2)当社営業に関するリスク ② 参加中・参加予定のプロジェクト及び協業について」記載のとおり、政府機関による商業月面探査・科学ミッションやプロジェクトにおいて、Redwire社やドレイパー研究所を含む様々なパートナーと協業しております。

 しかしながら、当社がこれらの関係を継続し続けられる保証はありません。当社はこれらのパートナーと長期にわたるビジネス面での連携を過去より実施し信頼関係を構築するとともに、定期的なミーティング等の場を通じて関係維持に努めておりますが、既存の関係を失った場合、同等の技術的水準若しくは価格水準又は協業機会を提供する代わりの第三者パートナーを確保できない可能性があります。また、現状の契約期間の終了後にこれらのパートナーとの契約を再締結又は更新できる保証はなく、これらの契約が同価格又はサービス水準では更新されない可能性もあります。さらに、これらはいずれも海外の企業であるため米国等の輸出管理規制が強化されることにより、これらのパートナーとの協働ができなくなる可能性もあります。

 加えて、重要なパートナーとの契約では、通常の民間企業と契約する場合に比べて、当社にとって不利な契約条項が含まれる可能性があります。例えば、当社子会社であるispace technologies U.S., inc.は、2022年7月にNASAのCLPSプログラムのタスクオーダーCP-12のサービスプロバイダーに採択されています。これに関して、当社子会社であるispace technologies U.S., inc.は、ドレイパー研究所との間で、ランダーの製造やペイロードサービスを実施するための請負契約を締結し、当該契約に基づき、ミッション3において、2機のリレー通信衛星を月周回軌道に投入し、月震計(FSS)、地下の熱流探査機(LITMS)、及び電磁場測定器(LuSEE)といった一連の科学実験機器を含むペイロードを月の裏側に存在する南極付近に輸送する予定です。しかし、当社子会社は、ドレイパー研究所との契約上、自らの契約不履行又は履行遅滞に起因して発生した損害についてドレイパー研究所に対して損害賠償義務を負う可能性があり、また、当社起因の理由によりタスクオーダーCP-12の費用が増加した場合には、当該増加費用分をドレイパー研究所に対して当社が負担することになる可能性があることから、最終的な受取金額は減少する可能性もあります。

 また、上記の企業以外にも、当社は開発するランダーの部品の多くを外部から調達しているところ、部品調達に遅延が生じた場合や、当該部品に欠陥等があった場合、さらには、新型コロナウイルスの拡大を含む天災や事故等により外部サプライヤーの生産能力が制限された場合等には、当社の開発・ミッションに遅延が生じる可能性や、代替調達先の確保をしなければならなくなることにより追加の費用を負担する可能性があります。

 加えて、有価証券報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3.事業の内容 <ビジネスモデルについて>」記載のとおり、当社のランダーは、ロケットから放出された後、ミッション完了まではすべて当社が東京都中央区日本橋に開設いたしましたミッション・コントロール・センターより、当社の従業員により制御されるところ、そのために必要なミッション・コントロール・センターとランダー間の宇宙通信については、欧州宇宙機関(ESA)傘下のESOCの協力の下、同機関が保有する専用の宇宙通信ネットワークを利用する計画であるため、当該ネットワークに障害が生じた場合にはミッションの実行に支障を生じさせる可能性があり、また、当社の米国子会社が実施するミッションについても同様の支障を生じさせる可能性があります。

 

③ 打上業者に関するリスクについて(顕在化の可能性:高/影響度:大/発生時期:1年以内)

 当社がミッション1からミッション3で使用するランダーの打上げについては、有価証券報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3.事業の内容 <ランダー・ローバーのテクノロジー及びペイロード>」に記載のとおり、SpaceX社と打上契約を締結しております。

 当該契約上ミッション2においては、第三者のペイロードとの相乗りでSpaceXのロケットに搭載され打上げが実施されました。SpaceX社は、当社及び相乗り先のスケジュールや技術要件、打上場所の天候等を考慮して打上スケジュールを決定する責任を負っており、当社のミッションスケジュールに遅延等の影響が生じる可能性があります。また、ミッション3においては当社がSpaceX社のロケットを占有する契約となっておりますが、この場合も、米国連邦航空局等の政府機関によるSpaceX社のロケット及び/又は当社のランダーの打上げの承認が遅れた場合等に、打上スケジュールに影響が生じる可能性があります。

 このような場合でも、当社は既存顧客との間で、少なくともミッション1及びミッション2の間は、基本的な方針として当社の顧客に対して返金を行わない契約を締結しておりますが、顧客側が任意解除権を有する契約や一定期間以上のスケジュール遅延が生じた場合に顧客側に解除権が発生する(ただし、後者については既に受領済みの対価についての返金は不要となる)契約や、一定のマイルストーンの達成を一部支払の条件としている契約を一部の顧客との間で締結しており、結果としてミッションが遅延又は達成されない場合、当社の評判や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社はミッション4以降においても、ランダーの打上げについては、第三者である打上業者に委託をする予定ですが、将来において必ずしも十分な数の打上業者が存在するとは限らず、業界全体として十分な打上機会が確保されない結果、当社ランダーの打上コストが当社の想定を上回り、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、打上業者の不足等により、当社のスケジュール通りのミッションの実現を可能とする打上業者と当社が契約できなかった場合には、当社のミッションスケジュールに遅延等が生じる可能性があります。加えて、十分な数の打上業者が存在する場合であっても、当社が打上げ実績が豊富なSpaceX社以外の業者を選択する可能性もあり、当該選択の結果、ミッションに悪影響が生じる可能性も否定はできません。

 上記の結果ミッションに悪影響が生じた場合には、遅延の期間や顧客との契約の内容によっては、当社の売上高の計上時期に影響が生じる可能性があります。

 

④ 競合について

 当社の事業と同様のビジネスモデルを有している企業は海外に数社あり、既に月面への着陸・ペイロード輸送に実績を有する企業が存在します。また、当社は、月面ペイロード輸送事業及びデータ事業を行う企業のみならず、宇宙衛星軌道にペイロードを輸送する事業を行う企業や、月面探査ローバーの開発事業のみを行う企業等とも競合する可能性があります。

 当社は東北大学の吉田研究室での月面探査ローバー開発をベースとして、創業以来、約10年にわたるローバー開発の歴史を持ち、当社開発のローバーは「Google Lunar XPRIZE」の中間賞を受賞した実績を有します。また、ランダー開発においても2016年頃から取り組みを開始する等、比較的長い期間の開発実績と研究成果の蓄積を有しており、これらランダー及びローバーの開発状況が評価されたことからNASAのCLPSへ採択され、今後も継続してNASAから提示されるタスクオーダーの受注資格を有しており、さらにミッション1及びミッション2においては設定した10のマイルストーンのうち8を達成し着陸直前までの間に貴重な航行データを収集した等の実績を持ちます。さらに、ESAからもローバー利用の検討(MAGPIE)に関する契約を継続的に受注しており、将来的なミッションへの発展が期待されています。それに加え、技術的難易度の高い着陸誘導制御をアポロ計画の月着陸で実績を持つドレイパー研究所と協業することによる技術競争力、日本、米国、欧州3拠点体制により各国政府の輸出規制等に左右されない最適なサプライヤー選定が可能になることによるコスト競争力の両面において他社との差別化を目指してまいりますが、宇宙産業は将来の成長が期待される市場であり、引き続き国内外の事業者がこの分野に参入してくる可能性があります。このため、先行して事業を推進していくことで、さらに実績を積み上げて市場内での地位を早期に確立してまいりますが、今後において十分な実績が得られなかった場合や、新規参入により競争が激化した場合には、ペイロードサービスの価格を下げざるを得ない場合による売上減少等、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、データサービスについても、当社のペイロードサービスの競合他社が、当社同様、ミッションで取得したデータを用いた上でデータサービスを提供する可能性があり、また、宇宙衛星軌道上で宇宙データサービスを取り扱う会社が、業務の一部として、月面データの領域に参入する可能性もあります。

 当社の競合他社の中には、当社よりも早期に実績を積み上げマーケットシェアを拡大する企業、当社に比べ、より多額の投資ができる企業や、より高価値又は魅力的な価格でサービスを提供することができる企業が存在する可能性があります。また、既存の競合他社が、第三者と戦略的提携等を行うことにより、競争力を強化する可能性もあります。加えて、今後、海外の競合他社が政府から補助金等を受領することによって競争力を高める可能性もあります。このように、当社の競争力は多くの要因によって影響を受けるところ、当社が競争力を維持することが出来なかった場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ ベンチャーキャピタル等の株式所有割合に伴うリスクについて

 当社の発行済株式総数に対するベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(個人を含まず、以下「ベンチャーキャピタル等」という。)の所有割合は2025年3月末現在8.8(国内一般募集、海外募集、並行第三者割当及び本件第三者割当増資を考慮した後の所有割合は12.10%)であります。当社の株式の株価推移や、ベンチャーキャピタル等に定められた規程によっては、ベンチャーキャピタル等が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性や、ベンチャーキャピタル等の投資家へ現物分配が実施される可能性等が考えられ、その場合、株式市場における当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、当社株式の市場価格に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

Ⅱ.ビジネスモデル等の自社の事業に起因するリスク

(1)当社開発・ミッションに関するリスク

① ミッションの未達について(顕在化の可能性:高/影響度:/発生時期:1年以内)

 当社が行うミッションについて、ミッション1においては月面着陸、ミッション2においては月面着陸及びローバーによる月面探査を目指したものです。一方、月面開発事業は元来技術的リスクを伴うものであり、当社においてこれまで月面着陸の実績はなく、また、民間企業が完全な月面着陸を行った事例は本書提出日現在、1例のみです。当社としては、技術的にはランダーの推進及び着陸誘導制御は旧ソ連によるルナ計画、米国のアポロ計画、中国による嫦娥計画等の実績があり特に革新的な新規技術を必要とするものではないとの理解であり、ミッション1及びミッション2においてミッションを計10個のSuccessマイルストーンに分解したうち、Success8となる月周回軌道上でのすべての軌道制御マヌーバの完了(Success8)までの達成をしております。一方で、ミッション1及びミッション2ではSuccess9となる月面着陸の完了は未達で終わっており、本書提出日現在、当社のランダーが月に軟着陸した実績はありません。加えて、地球外の天体にランダーを着陸させることは元来難易度が高いオペレーションであるため、当社では両分野の開発は経験豊富な第三者と協業することでリスクの低減に努めておりますが、予期せぬトラブルが発生した場合、今後もミッションが未達となる可能性があります。ミッション未達についても様々な事象が想定され、A.ロケットの打上げ時に障害が発生する可能性、B.月へ向かう航行中に障害が発生する可能性、C.月の周回軌道に入る際に障害が発生する可能性、D.月への着陸が安定的に成功しない可能性、E.着陸後にランダーからローバーを放出する等のミッションを実行できない可能性等が考えられます。

 特に、ミッション1とミッション2では月面着陸の完了は未達で終わった結果、当社の技術の一部(例えば誘導・航法・制御システム(以下「GNC」という。)の完全な検証ができず、当初見込んでいたミッションデータ量を収集することができなかったため、将来的な車両や技術の開発、成功裏にミッションを遂行する能力に影響を与えるおそれがあります。当社としては、ミッション1のフライトデータの解析に基づき、ミッション1で月面着陸が未了となった主な原因は、ソフトウェアが当社の期待通りに動作せず、ランダーの高度測定において異常が生じたこと、及び打ち上げ前に実施したシミュレーションによっても当該問題を発見するまでの十分な検証に至らなかったことにあると考えています。ミッション2については、フライトデータの解析に基づき、月面着陸が未了となった主な原因は、レーザーレンジファインダー(以下「LRF」という。)のハードウェアの異常によるものであり、その結果、着陸時に有効な測定値の取得が遅れ、ランダーがソフトランディングに必要な速度まで減速できなかったためと考えております。一方で、GNCに問題は見当たらず、推進システムや他のシステム(例えば電源供給)の異常も見つかりませんでした。ただし、ミッション1中にミッション2で見つかったLRFの問題を予見することはできませんでした。当社がこれまでに遭遇した問題に適切に対処できない場合、今後のミッションでも同様の問題が発生しない保証はありません。また、当社が、ミッション1及びミッション2での月面着陸の失敗に寄与したすべての問題を完全に特定した保証はなく、他の未特定又は予期しない問題が発生することで、将来のミッションの完了能力に影響を与える可能性があります。

 また、ミッション3以降については、当社は、重量や設計も異なるAPEX1.0ランダーの使用を計画しており、また、ランダーの航路はミッション1及びミッション2とは異なる航路とすることを計画しているところ、APEX1.0ランダーの開発及び運航について想定外の問題が生じる可能性があります。また、ミッション3で予定している2機のリレー通信衛星の輸送についても、初の月周回軌道への輸送となることから、ミッション1及びミッション2とは異なる問題が生じる可能性があります。加えて、ミッション4以降の使用を目指して開発に着手しているシリーズⅢランダー(仮称)の開発及び運航についても想定外の問題が生じる可能性があります。当社は、APEX1.0ランダー及びシリーズⅢランダー(仮称)を使用する計画のミッションにおいて、前述のとおり、RESILIENCEランダーを使用するミッションよりも多くの販売可能重量及び売上高を計画していることから、これらのランダーに問題が生じた場合、当社の収益に生じる悪影響の程度が大きくなる可能性があります。

 当社においては、有価証券報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3.事業の内容 <ビジネスモデルについて>」及び「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等 2.ミッションリスクに備えた手当」に記載のとおり、ペイロードサービスについては、その一部の対価を前払いとし、かつ、契約後の返金を行わないこととすることや、損害保険契約を締結する等によって、ミッションが未達となった場合のリスク軽減措置を講ずる予定です。他方で、顧客との契約上、ペイロードサービスの対価の一部について、ミッションに設定されたマイルストーンの成功等、一定の支払い条件が定められる場合があり、ミッション1及びミッション2においては、ミッション未達により一部受領できない対価が発生しました。もっとも有価証券報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等 1.品質向上サイクルの実現」記載のとおり、事業モデルとしても、一定の失敗が生じ得ることは織り込んだ上での事業運営を行っております。したがって、当社としては、ミッションの未達が直ちに営業面、財務面における重大な悪影響を及ぼすものではないと考えております。しかしながら、同業他社の中には、月面着陸の実績を有する企業があることから、ミッションの未達が継続して発生した場合においては、当社の技術的信用力が低下することで、当社の株価・資金調達能力・評判に悪影響が及ぶ可能性があり、後続ミッションにおける補助金等の政府支援を受けられなくなる可能性や顧客離反リスクが顕在化する可能性、当社が希望する水準での価格設定や契約条件の設定を行えない可能性等があります。また、ミッションが未達となることにより、当社の技術力の検証ができない可能性や、必要なデータを取得できない可能性もあり、これにより、その後のミッションに影響を及ぼす可能性があります。また、有価証券報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等 2.ミッションリスクに備えた手当」記載のとおり、当社とSpaceX社との間の打上契約では、打上げ後にはいずれの責かを判定することが困難なことから、業界慣行上、相互の責を問わない契約となっており、当社の責によらないと考えられる事由により発生しミッション継続に支障が起きた場合であっても、同社に対して打上代金の返金を求めることができないこととされています。上記のリスク軽減措置についても、例えば当社が加入する保険の保証限度内で当社が負担する損失をカバーできない等、リスクを軽減するのに十分でない可能性があります。現に、ミッション2において締結していた月保険については、宇宙保険のマーケット環境やミッション1で獲得した有効なデータを活用可能であること等に鑑み、打上げ~高度100kmの月周回円軌道上までの軌道制御確認完了までを保険責任範囲としていたため、「月面着陸完了の未達」は当該範囲に含まれておらず、当社は保険金を受領しておりません。また、本書提出日現在において当社はミッション3以降について保険契約を締結していないところ、月保険においては現時点で商品内容が確立されておらず、不確実性を伴うこと等から、当社が望む経済的条件で保険に加入できない可能性、損害を十分に幅広くカバーする保険に加入できない可能性や、高額な保険料によって当社の収益が圧迫される可能性もあります。

 

② 当社の開発について(顕在化の可能性:高/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

 当社は2022年12月11日にミッション1の、また2025年1月15日にはミッション2の打上げを完了するとともに、現在ミッション3及びミッション4に向けてランダー及びローバーの開発を進めており、その開発状況の詳細は有価証券報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」記載のとおりです。当社は、スケジュールについては進捗管理を専担するプロジェクト・マネジメント・オフィスを設け厳格に管理しており、仮にスケジュールに影響を与える事象が生じた場合においては、全体スケジュールへ影響を及ぼさないよう、製造工程の手順調整や部分的な作業の加速によって調整する方針ですが、従前ミッション1において、発注から納品までに年単位の時間を要する長納期品の納入に伴う開発期間の変更や、顧客ペイロードインターフェースのためのランダー仕様変更、ランダーの推進系システムの一部不具合による再調達等により、開発スケジュールの遅延が生じたことがあり、今後も同様の遅延が生じる可能性があります。現に、2026年に打上げ時期を予定していたミッション3は搭載エンジンの供給が予定されていた調達スケジュール内では難しいことが判明したため、構造の大幅な簡素化によりさらにミッション成功の確度を高めるために仕様変更をしたことでその打上げ時期を2027年へと変更することとしました。また、当社は、上記「Ⅰ.外部環境及び第三者など自社を取り巻く環境に関するリスク (2)第三者に関するリスク ① 政府機関の顧客について」記載のとおり、当該エンジンの仕様変更に伴うミッション4のスケジュールの変更について、関係機関と協議中であり、今後、同ミッションについてもスケジュール変更が生じる可能性があります。さらに、ミッション5から7の打上げ予定時期についても、本書提出日現在において、ミッション5及び6が2029年、ミッション7が2030年となることを見込んでおります。当社が行う月面開発事業においては高度な技術と正確性が求められ、ミッションの成功に向けては、細心の注意を図り、万全を期す必要があることから、今後の組立工程や試験の結果、及びその結果を踏まえた物品の再調達による納期の関係等様々な要因により、やむを得ず遅延が発生する可能性があります。

 開発上の技術的問題により遅延が生じた場合、当該問題を克服するために想定外の費用が生じる可能性や、想定外の期間の遅延が生じる可能性があります。また、有価証券報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3.事業の内容 <ビジネスモデルについて>」記載のとおり、当社のミッション3以降のAPEX1.0ランダーと、ミッション4以降にAPEX1.0ランダーと併用することを目指して開発に着手しているシリーズⅢランダー(仮称)は、ミッション1及びミッション2で使用するRESILIENCEランダーの設計からの変更を予定しているところ、ミッション1及びミッション2に用いるRESILIENCEランダーと比較して大きく、デザインや仕様のほか、組立、運用場所もミッション1及びミッション2から変更される予定であることから、ミッション1及びミッション2のRESILIENCEランダーを予定通り開発できたとしても、ミッション3以降のAPEX1.0ランダー及びミッション4以降のシリーズⅢランダー(仮称)が予定通り開発できる保証はなく、開発できたとしても当初の想定を上回る費用が生じる可能性があります。ミッションが遅延した場合、打上契約等外部パートナーとの間の契約内容を変更する必要が生じる可能性や、追加の費用負担が発生する可能性があり、当社の希望通りに変更や資金的な手当てができない場合にはミッションの実行に支障が生じる可能性があります。さらに、当社が既に受注を受けている顧客が発注の変更又はキャンセルを要望する可能性があります。当社は、少なくとも技術実証段階であるミッション1、ミッション2の期間については、当社ペイロードサービスの本格的な商業化前であることに鑑みて、顧客とのペイロード契約上、かかる変更やキャンセルに伴う返金が発生しない方針で基本的に合意し最終契約を締結しておりますが、商業化を目指すミッション3以降において同趣旨での契約が合意されない場合には、当社が想定する収益が減少する可能性があります。また、1つのミッションが遅延した場合には、後続のミッションスケジュールにも影響を及ぼす可能性があります。このような場合には、売上計上時期が後ろ倒しになる等、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ミッション2未達により財務面では最大15億円程度の開発費用の増加が見込まれておりますが、ミッション3及びミッション4共に開発スケジュールへの影響はございません。

 

(2)当社営業に関するリスク

① 当社の締結するMOU等について(顕在化の可能性:高/影響度:中/発生時期:1年以内)

 有価証券報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等」及び上記「募集又は売出しに関する特別記載事項記載 7 英文目論見書における当社の強みの記載について」のとおり、当社は世界各国の民間企業・宇宙機関・研究機関との間で、基本的にミッション3以降における将来的なペイロードサービス、データサービスについて、MOU等を締結しております。また、これらのMOU等のうち、当社は、上記「募集又は売出しに関する特別記載事項 7 英文目論見書における当社の強みの記載について」に記載されているパイプラインについては、最終契約の締結又は助成金の交付決定についての合理的な見込みがあると判断しております。しかしながら、これらのMOU等は法的拘束力を伴うものではなく、MOU等を締結したとしても、当社の売上高が計上されるわけではありません。また、これらのMOU等について、当社が最終契約を締結できる保証はありません。また、最終契約を締結できたとしても、当該契約の内容は、MOU等の内容とは大幅に異なる可能性があります。さらに、当社が締結するMOU等は、相当期間、先の内容について定めるものもあり、仮にMOU等の内容通り最終契約締結に至ったとしても、将来の時点においては経済合理性を欠いている可能性もあります。

 

② 参加中・参加予定のプロジェクト及び協業について(顕在化の可能性:高/影響度:大/発生時期:1年以内)

 当社グループは現在、NASAの実施するCLPSタスクオーダーおよびその他顧客向けの商業月面探査や科学ミッションにおいて、Redwire社と共同で推進しており、当社の米国子会社が着陸船および月面へのペイロード輸送の設計・開発・運用の下請け業者として提案参加するなど、多数のプロジェクトに提案を行っており、さまざまな協業や提携にむけた協議を行っております。また、当社子会社であるispace technologies U.S., inc.が、ドレイパー研究所のチームの一員として、2022年7月にNASAのCLPSプログラムのタスクオーダーCP-12のサービスプロバイダーに採択されています。また、国内では、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する、宇宙戦略基金公募テーマの一つである、「月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証」にて、中核的連携機関として参画し採択されているほか、同基金の公募テーマの一つである、「月極域における高精度着陸技術」及び「月面インフラ構築に資する要素技術」に応募しております。このようなプロジェクトが採択された場合には世間や業界の大きな注目を集める可能性があり、その結果によっては、当社株式の取引価格、当社事業、および将来プロジェクト等に悪影響を及ぼす可能性があります。このような入札に関連するその他のリスクについては、後記「Ⅱ.ビジネスモデル等の自社の事業に起因するリスク (2)当社営業に関するリスク ④ 営業活動について」もご参照ください。

 

③ 当社のデータプラットフォームを用いたSaaS型・サブスクリプション型のサービス及びその他の新規事業について

 有価証券報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3.事業の内容 <ビジネスモデルについて> 2.データサービス」記載のとおり、将来的には、当社の高頻度なミッションを通じて、当社のインターナル・ペイロードから取得・蓄積した情報に、地球上で入手可能な既存のデータも加え、加工、解析、統合することで、顧客にとって高付加価値な「大規模な月のデータベース」をクラウド上に構築し、顧客が自由にアクセスし、定額料金を課金の上、利用して頂く、SaaS型・サブスクリプションモデルのビジネスの展開を目指しています。当該ビジネスモデルの実現のためには、当面の間、当社がインターナル・ペイロードを通じて月面の様々なデータを取得することが前提となりますが、ミッション未達等により、当社の想定通りミッションが実行されない場合には、当社の月面データ取得にも悪影響が及ぶ可能性があります。また、当社が十分に資金調達を行うことができない等の理由により、当社の想定通りの頻度でミッションが実行できない場合にも、当社の月面データ取得にも悪影響が及ぶ可能性があります。これらの場合、当社の同サービスの競争力を失う可能性があります。加えて、ミッションが予定通り実行されたとしても、当社がインターナル・ペイロードとして輸送するローバーや、計測機器・カメラ機器等を通じて、想定通り月面のデータが取得できるという保証はなく、当社の想定通りデータが取得できない場合、サービスの提供が困難となる可能性があります。また、データサービスのビジネス展開のためには、データセンサー・データプラットフォームの構築費用やデータサービスのための人件費等多額の支出が必要となるところ、必要となる支出が当社の想定を上回る可能性があります。また、支出したにもかかわらず、様々な要因により、当社がデータサービスを実施できない可能性があります。さらに、当社がデータサービスの提供のために外部業者と協力する場合、当該業者と契約条件を合意できない場合や当該業者によるサービスが想定通りに提供されない場合等には、当社によるデータサービスの提供に支障が生じる可能性があります。さらに、当社は、軌道間輸送機(OTV)の開発に着手し、OTV市場に参入することを検討していますが、当社によるOTVの開発が予定どおり進捗する保証はありません。

 加えて、今後、当社がデータサービス及びOTV事業の展開ができたとしても、これらの事業に対する需要が、当社の予想する水準や、当該事業からの収益性を維持できる水準に達する保証はありません。また、当該事業に係る市場競争が激化する場合や、当社が付加価値のあるサービスを競争力のある価格で提供できない場合には顧客を獲得できる保証はなく、また、当社が十分な利益を上げられるほどの単価を設定できる保証もありません。

 

(3)当社財務に関するリスク

① 月保険について(顕在化の可能性:高/影響度:中/発生時期:1年以内)

 宇宙分野の技術は進歩し続けておりますが、宇宙で行われるサービスには、スペースデブリとの衝突、打ち上げ時や飛行中の事故や故障など、固有のリスクが伴います。万が一このような事故が発生した場合、当社の月着陸船や月探査車は甚大な被害を受けるもしくは全損する可能性が高いですが、当社が将来加入する可能性のある月保険は、発生し得る損失を補償するのに十分でない可能性があります。ミッション1では、月着陸船が月面への軟着陸に失敗し、月着陸船と搭載していたペイロードの全損を経験しており、当時加入していた月保険の契約に基づき約38億円の保険金を受領しております。一方で、ミッション2において締結していた月保険については、打上げ~高度100kmの月周回円軌道上までの軌道制御確認完了までが保険責任範囲となるため、「月面着陸完了の未達」は当該範囲に含まれておらず、当社は保険金受領しておりません

 当社は今後のミッションについても同様に、月保険への加入を適宜検討してまいります。当社がミッション1およびミッション2に使用し、ミッション3の打上げを契約しているSpaceX社は、当社の過失によらず打上げ時に事故や故障が発生した場合でも、打上費用の払い戻しは行いません。これは、打上サービス提供者とその顧客が、そのような事故に関する損害賠償請求権を放棄するのが現在の業界慣行であるためです。今後のミッションで月保険を締結した場合でも、損害の重大性や原因によっては、保険の内容や金額がすべての費用や賠償責任をカバーするのに十分でない可能性があります。

 また、当社がミッションに対するリスクを認識している期間に保険が解除される可能性もあり、すべての業務上のリスク、自然災害および費用をカバーする保険契約を締結することは不可能です。当業界における保険の利用可能性や価格は大きく変動するおそれがあるため、当社の特定のニーズに合致する保険や、当社が想定する保険料やその他の条件の保険に加入できない可能性があります。また、ミッション1およびミッション2の未達並びに将来のミッションの未達によって、将来の保険の利用可能性、保険料、保険金額、その他の条件にも悪影響が及ぶ可能性があります。加えて、当社が認識しているリスクの多くに対応する保険に加入できたとしても、より広範な保険市況や当社がコントロールできない要因により、保険料が現時点の見積もりよりも大幅に高くなったり、利用可能な保険金額が減少したりする可能性があります。保険契約の保険料の増加や、不利な条件が適用された場合には、当社の純利益が減少する可能性があります。

 上記のような保険リスクにより、収益が大幅に減少もしくは保険費用等に多額の追加費用が発生する可能性があり、その結果、当社の財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 財務制限条項について(顕在化の可能性:高/影響度:大/発生時期:1年以内)

 当社グループの借入金のうち、複数の借入金について財務制限条項(下記A.及びB.)が付されております。当社が将来において財務制限条項に抵触した場合、財務制限条項に係る期限の利益喪失につき権利行使しないことについて各行から合意を得られる保証はなく、各行が当社の期限の利益を喪失させる権利を行使した場合には、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。

 なお、2025年月末時点において純資産は1,103百万円であり、同時点において現預金残高は20,078百万円となっております。

A.各事業年度末日(一部の借入契約では各四半期末日)における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を正の値に維持すること。

B.各事業年度末日(一部の借入契約では各四半期末日)における連結貸借対照表に記載される現預金の合計金額を30億円以上に維持すること。

 

③ 継続企業の前提に関する重要な事象について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:1年以内)

 当社グループは多額の先行研究開発投資と長期の開発期間を要する宇宙関連機器の開発に従事していることから、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、現在のところすべての開発投資を補うための十分な収益は生じておりません。これらの状況から、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

 ただし、有価証券報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、当該重要事象等を解消するための対応策を実施していること、また、自己資本の充実を目的とした機動的な資金調達の可能性を適宜検討していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

④ 資金調達について(顕在化の可能性:高/影響度:大/発生時期:1年以内)

 当社は事業活動を維持拡大するため、今後も多額の研究開発投資が必要となり、また、想定を上回る投資の増加、事業環境の変化への対応、融資契約に係る財務制限条項の遵守に向けた資金確保が事業上重要となります。当社が現在締結している融資契約の財務制限条項を遵守するため、また、ミッション3以降の将来的な顧客からの売上が当初計画よりも遅れるケースや、追加的な開発コストが必要となるケース等に備え、当社として安定的な財務基盤を維持することは重要と考えられることから近い将来において、資金調達を実施する可能性があります。

 また、有価証券報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3.事業の内容 <ビジネスモデルについて>2.データサービス」記載の大規模データベースの実現のためには、様々な分野において多額の研究開発投資が必要となり、継続的な外部からの資金調達が必要となる可能性があります。例えば、当社は上記大規模データベースの実現等将来の事業規模拡大を企図した研究開発投資(以下、「先端研究開発投資」という。)を実施する予定であるため、資本増強に加え、負債調達又はその他の方法により、資金調達を実施する可能性があります。ただし、当該資金調達を実施しない場合にも、既に契約済みであるミッション3顧客からの入金に加え、今後ミッション3以降の将来的な顧客から計画通りの入金を計上することが可能である場合、それらを原資として、先端研究開発投資を除いた当社の運転資金を維持することが基本的に可能であると見込まれることから、追加の資金調達の手段、時期等につきましては、今後の金融環境や事業環境を踏まえつつ慎重に検討していく予定であり、追加の資金調達の全額又は一部を実施しない可能性もあります。

 しかしながら、当社が将来において想定する上記の資金調達が出来ない場合や、必ずしも望ましい条件での資金調達ができない場合等は、当社がキャッシュ・フロー不足に陥る可能性、当社の事業を支えかつこれを成長させるために必要な投資を行うことができない可能性、当社のミッションの一部の遅延又は中止を余儀なくされる可能性、また当社が財務制限条項を遵守できなくなる可能性等があり、これにより当社が将来の支出計画又は事業活動の一部を遅延又は断念しなければならなくなるおそれや、当社の競争力に悪影響が生じるおそれがあります。また、当社は、上記の資金調達以外にも、今後、継続的な外部からの資金調達が必要となる可能性があるため、継続的な資本調達のために当社株主に希薄化をもたらす株式発行が繰り返し行われる可能性があります。さらに、借入れによる調達を行う場合には、財務制限条項その他の条項が設定されることにより、当社の事業活動が制約される可能性があります。

 

⑤ 当社実績について

 ランダー及びローバーの開発に当たっては、研究開発費の支出や優秀な技術者の採用等、先行的な投資が必要であり、結果として当社は創業以来営業赤字を継続して計上しております。今後も開発部門におけるスケジュール管理、財務部門によるコスト管理及び各開発段階におけるレビュープロセスによるクオリティ管理を実施することで開発を着実に推進するとともに、事業収益の安定化に向けて引き続き中長期的に持続可能な顧客市場の開拓を進めていく方針にあります。しかしながら、当社の技術は現時点では完全には実証されておらず、また、当社が属する市場は新しい市場であることから、今後の当社の利益を正確に予測することには困難が伴い、想定通りの開発計画・顧客開拓が進まない場合、当社サービスに対する需要が想定通りに集まらない場合、当該投資に見合った収入が得られない場合、或いは想定外の費用が生じた場合等には、想定通りのタイミングで利益を上げることができず、当社グループの事業及び業績に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、データサービスについては売上計上を開始したのが2026年3月期第1四半期であることから、当社の過年度の業績は当社を評価するために十分な材料とはならず、今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。

 

⑥ 収益認識に係る会計処理について(顕在化の可能性:高/影響度:中/発生時期:1年以内)

 当社は「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を適用しており、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識しております。ミッション2においては打上げ成功を契機として履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識する方法に変更しましたが、ミッション1及びミッション3においては履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができないため、原価回収基準を適用しております(ただし、ミッション3については本書提出日時点における判断であり、今後、ミッション2と同様に履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識する方法に変更となる可能性があります。)。ミッション以降については、履行義務の充足に係る進捗度を総原価の発生割合により見積る方法で収益認識を実施することを検討しております。ただし、実際の会計処理は将来の顧客との契約締結後において個々の契約内容に従い決定されるものであることから、適用される実際の会計処理は上記と異なる可能性があります。特に、当社が想定する総原価からの打上コストの控除については、個別の契約内容を確認の上最終的な会計処理を決定してまいります。なお、ミッション2においては打上コストを控除せず収益認識を実施しております。

 

⑦ 当社四半期業績について

 当社の四半期および年間の経営成績はさまざまな理由により変動する可能性があり、その多くは当社がコントロールできないものです。こうした変動により、当社の四半期業績がアナリストや投資家の予想を下回り、当社普通株式の株価が下落する可能性があります。そのため、将来の業績を示す指標として、当社の過去の四半期決算や年次決算との比較は適切ではありません。また、急速に発展する市場において企業が頻繁に遭遇するリスクや不確実性も考慮する必要があります。当社の四半期または会計年度の業績は、事業等のリスクに記載されているさまざまなリスク要因のほか、以下のような数多くの要因によって影響を受ける可能性があります。

 

・将来のミッションの打上げと完了を成功させる能力、およびそのようなミッションの打上げと完了のタイミング

・当社が顧客との契約を締結するタイミング、ミッションの打上げのタイミングと搭載ペイロード重量(当社がミッションの売上高と売上原価の大部分を認識するのは、契約を締結してから打上げまでの間であると想定しているため)

・収益認識に関する会計処理(ミッション1及びミッション3については原価回収基準を適用しておりますが、ミッション3については現時点における判断であり、今後、ミッション2と同様に履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識する方法に変更となる可能性があります。ミッション以降は収益認識に履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識する方法を採用する可能性がありますが、これは前項「⑥ 収益認識に係る会計処理について」で記載したとおり、未確定です)

・販売関連費、研究開発費、その他の営業費用の増加額および増加時期

・当社が今後展開可能性のある新サービスの展開時期とその進捗

・競合の変化による影響とその変化への対応

・当社の既存事業と将来の成長を管理する能力

・当社のサービスの中断や撤退による影響(これらがミッション打上げ前に発生した場合、ミッションの遅延や追加費用の発生を招く可能性があります)

・ミッション開発の遅れ、ミッション費用の削減、またはその他の理由によるミッション費用の認識の遅れによって発生する原価回収基準による売上高の認識遅れ

・不利な訴訟判決、示談、その他の訴訟関連費用などの不測の事態

・特に当業界に影響を与える経済および市場の状況

・自然災害、公衆衛生問題、その他の開発など、制御不能な事象の影響

 

⑧ 株式価値の希薄化について

 前記「(3)④ 資金調達について」記載のとおり、当社の事業においては、継続的に外部からの資金調達が必要となる可能性があり、その手段として、株式発行が繰り返し行われた場合には、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。

 また、当社は、業績向上に対する意欲向上を目的としてストック・オプション制度を導入していたことから、会社法の規定に基づく新株予約権を当社グループの取締役及び従業員に付与しております。加えて、第三者割当による新株予約権の発行も実施しているため、2025年月末現在、新株予約権の対象となっている株数は13,722,500株であり、当社発行済株式総数の105,901,043株に対する潜在株式比率は11.47%に相当しております。これらの新株予約権が行使された場合は、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。また、当社が第三者割当により2024年10月から2025年3月に発行した第14回乃至第17回新株予約権(これらの新株予約権の対象となっている株数は11,000,000株であり、当社発行済株式総数の105,901,043株に対する潜在株式比率は10.39%)は、当社普通株式の新たな発行における払込金額が当該新株予約権の行使価額を下回る場合には、当該行使価額が、当該払込金額と同額に調整(ただし、調整後の行使価額の下限は360円)される設計となっています。そのため、国内一般募集及び海外募集の払込金額が当該新株予約権の行使価額を下回った場合には、上記第14回乃至第17回新株予約権の行使価額は、当該払込金額と同額に調整(ただし、調整後の行使価額の下限は360円)される予定であり、かかる場合、これらの新株予約権の行使により当社の株式価値の希薄化が促進する可能性があります。

 

⑨ 国内一般募集、海外募集及び第三者割当による調達資金使途について

 2024年3月に実施した海外募集及び2024年10月から2025年3月にかけて実施した第三者割当増資により調達した資金並びに2025年10月に実施する予定の国内一般募集、海外募集及び並行第三者割当により調達する予定の資金の使途につきましては、主にミッション3ミッション4及びミッション5以降のミッションの実行にむけた研究開発資金並びにその他運転資金に充当する予定であります。しかしながら、当社グループが属する業界の急速な変化により、当初の計画通りに資金を使用した場合でも、想定通りの投資効果をあげられない可能性があります。

 

(4)当社その他のリスク

① ビジネスモデルについて

 当社のビジネスモデルや宇宙産業は草創期にあり、成長可能性の評価には多くの不確実性が伴います。特に、本書提出日現在、当社はミッション完遂の経験を有していないため、当社のビジネスモデルの実行可能性を評価するための実績がありません。前記「Ⅱ.ビジネスモデル等の自社の事業に関するリスク (1)当社開発・ミッションに関するリスク ① ミッションの未達について」をご参照ください。

 当社のビジネスモデルは、地球と月の間に広がるシスルナ経済圏、関連する輸送・データサービス市場が将来成長するという前提に立っております。上述のとおり、シスルナ経済圏の将来的な発展には多くの不確定要素があり、また、シスルナ経済圏もまた草創期のため、その予測は困難です。例えば、当社のビジネスモデルでは、シスルナ経済圏がPwCの「ロードマップ評価」に基づいて発展すると仮定していますが、この評価では、当社の「ムーンバレー2040」ビジョンに沿って、2040年に1,000人が月面で生活し、仕事をするようになると想定しています。一方、シスルナ経済圏の実際の成長は、このロードマップ評価とは大きく異なる可能性があります。さらに、シスルナ経済圏の発展に関する当社のその他の重要な仮定(月の水の量とアクセス可能性、将来の宇宙活動における水の需要、月の水を利用するためのコストなど)は推測に基づくものであり、将来的に不正確であることが判明する可能性があります。さらに、月データサービス市場の発展は、月輸送市場よりも長期間にわたると予想されるため、この市場の成長に関する当社の仮定は、月輸送市場に関する仮定よりもさらに不確実となります。

 シスルナ経済圏の発展に関する不確定要素に加え、当社の事業展開自体にも、事業歴が浅い故の不確定要素が存在しております。当社のビジネスモデルは、合理的と考えられる複数の仮定のもと構築されておりますが、これらの仮定は将来不正確であることが判明する可能性があります。これらの仮定に関するリスクに以下のようなものが含まれますが、これらに限定されるものではありません。

・ミッションスケジュールは、本「事業等のリスク」のセクションの他の箇所で説明されているものを含め、多くの要因に基づいて変更される可能性があります。当社は過去に複数回ミッションスケジュールを延期しており、今後も延期する可能性があります。

・当社は、ミッションの頻度や各ミッションの販売可能なペイロード重量が時間の経過とともに増加し、それに伴い将来的に当社のペイロードサービスに対する顧客からの一定の需要増加を想定しております。しかし、こうした想定は、今から何年も先に計画される将来ミッションに関するものもあり、特にそうした想定需要のほとんどは法的拘束力のないMOU等さえ締結していないため、大部分が推測に基づきます。さらに、ビジネスモデルの検討にあたり現在締結済みのPSA及びMOU等の契約を考慮にいれておりますが、これらの契約に基づき想定される需要が将来のミッションにおける実際の顧客ペイロード需要と一致する保証はありません。したがって、実際の需要の水準や、その期間にわたってペイロードサービスを供給する当社の能力は不確実性が高く、当社の現時点における想定と大きく異なる可能性があります。

・当社のペイロードサービスに対する需要が十分にある場合であっても、ペイロードの構成等により想定以上にペイロードの搭載容量を消費し、販売可能なペイロード重量が想定より減少する可能性があります。また、歩留まり率の向上も想定しておりますが、設計上の技術的制約、想定を下回る需要、当社の顧客獲得能力による制約、その他の要因により、歩留まり率の向上を実現できない可能性があります。

・当社のビジネスモデルは、締結済みのPSAに加え法的拘束力のないMOU等の価格設定やその他の仮定に基づいて、ペイロードサービスの価格設定を想定しています。しかし、実際の価格設定は、競争の激化や、主要な政府出資プログラムの価格決定力を含むその他の要因により、想定よりも低くなる可能性があります。さらに、月周回軌道に投入する場合の価格設定は、月面着陸のペイロードよりも低くなると想定しています。従って、将来の顧客とサービスの組み合わせにより、当社の価格設定の前提がビジネスモデルで想定したものと大きく異なる可能性があります。現在、これらのサービスには確立された市場がなく、当社のペイロードサービスの価格は時間の経過とともにある程度下落すると想定していますが、これらの予測は、現在想定している競合環境、需要、コストを基に作成しており、その実現に相応の不確実性が見込まれます。

将来のミッションにおいて収益認識方針を原価回収基準から履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識する方法に変更する想定ですが、この変更が遅れる可能性があり、結果各ミッションの打上げ前に認識・計上される売上高が想定よりも小さくなる可能性があります。

・当社の実際のコストは、さまざまな要因により、想定を上回る可能性があります。例として、打上コストの増加、ミッションを重ねることでランダー開発等に係るコスト削減を実現できないこと、研究開発コストが現在の計画を上回ること等、が考えられます。

 これらまたはその他のリスクや不確実性が存在するため、当社が想定する売上高と費用は、当社の実際の将来の売上高や費用を示すものではありません。当社の実際の将来の売上高および費用は、シスルナ経済圏の発展および当社の事業に関連する多くの要因に左右され、当社の想定と大きく異なる可能性があります。

 

② 将来の不確実性について

 当社は2010年以降、宇宙輸送・インフラサービスの開発に注力してきましたが、これまでは主に研究開発業務に注力してきたため、パートナーシップサービスやミッション1、2、3に関する顧客からの支払いを中心に、比較的限定的な売上高しか計上しておらず、ミッションの打上げは2件のみで、まだミッションの成功には至っておりません。特に、ペイロード事業については2020年4月から売上高を計上開始したばかりであり、データサービスについても、売上高の計上を2026年3月期第1四半期に開始したばかりです。このような限られた事業歴により、当社の将来の見通しや当社が遭遇する可能性のあるリスクや課題を精確に評価することは困難です。当社が直面した、あるいは直面すると予想されるリスクや課題には、以下のようなものがあります。

・売上高予測および支出管理・予算管理

・新規顧客の獲得及び既存顧客の維持

・効率的な事業運営と成長の継続(現在および将来のランダー、ローバーおよびサービスのための資本的支出の計画と管理、またそれに関連するサプライチェーンおよびサプライヤーとの関係構築を含む)

・法規制等の遵守(輸出管理規制等、当社の事業に適用される既存および新規または変更された法律および規制)

・マクロ経済の変化や当社が属する市場の変化の予見および対応

・当社の評判とブランド価値の維持・向上

・知的財産の創出と保護

・組織のあらゆる階層で有能な人材の採用、育成、定着

 当社が直面するリスクや困難(上記に関連するものや、本「事業等のリスク」の他の箇所に記載されているものを含む)に対処できない場合、当社グループの事業、財務状況および業績に悪影響が及ぶ可能性があります。さらに、当社はまだミッションを完了しておらず、急速に発展する市場で事業を展開しているため、本書記載の過去の財務情報は、当社の将来の財務実績や成長見通しを評価する上で限定的な情報となります。当社は過去にも、また将来にも、急速に変化する業界において、事業歴の浅い成長企業が頻繁に経験するリスクや不確実性に遭遇する可能性があります。当社が事業計画や事業運営に使用しているこれらのリスクや不確実性に関する前提が誤っていたり変更されたりした場合、またはこれらのリスクにうまく対処できなかった場合、当社の業績は当社の予想と大きく異なる可能性があり、当社グループの事業、財務状況および業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 法的規制等について

 当社は、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(宇宙活動法)に基づく人工衛星等の打上げに係る許認可、宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律(宇宙資源法)に基づく資源の探査及び開発に係る許認可、並びに、当社完全子会社である株式会社ispace Ops Japan(2025年9月9日付で株式会社ispace Japanから商号変更)で取得すべきランダー等の当社宇宙機が宇宙空間から地上に向けて電波を発するに当たっての電波法等の許認可を除き、現状想定している当社の事業を制限する直接的かつ特有の法的規制は本書提出日現在において存在しないと考えております。宇宙活動法、宇宙資源法及び電波法については、当社が実施する各打上ミッションごとに許認可を取得する必要がありますが、ミッション2においても適切な許認可を取得の上で実施しております。

 上記以外にも、当社が事業収益を見込む市場は、現在グローバルでも草創期に当たっており、今後当社の事業を直接的に制限する法的規制がなされた場合には、当社の事業展開は制約を受ける可能性があります。例えば、上記の宇宙資源法上、当社が採掘等をした宇宙資源について、当該採掘等をした者が所有の意思をもって占有することによってその所有権が認められていますが、今後の国際的枠組み等で所有権を規制された結果、所有権に関して制約を受ける可能性は否定されません。また、いわゆる宇宙5条約等についても、惑星汚染への対策(宇宙条約第9条)、及び、第三者への損害発生時の対応(宇宙損害責任条約第2条及び第3条)等において当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。「資源採取の適法性(宇宙条約第2条)」については、月面で展開をする当社の宇宙機(又は当社ランダーに搭載した他社のペイロード)が月面の環境を汚染しないかという問題がありますが、国際宇宙空間研究委員会が定める惑星保護方針に準拠する方法で当社事業を進めるよう準備をしており、宇宙条約第9条が当社事業の障害となるおそれ(問題の発生可能性)は低いものと考えております。また、「第三者への損害発生時の対応(宇宙損害責任条約第2条及び第3条)」につきましては、打上ロケットから切離し後に仮に当社の宇宙機が第三者に損害を与えた場合には「打上国」である日本が責任を負う可能性があり、その場合には生じた損害につき、当社も求償を受けるリスクがありますが、他衛星への衝突リスク等については、(ⅰ)宇宙活動法に基づく打上許可に際して内閣府にて事前に十分審査されておりますのでそのリスクは低いと考えており、また、(ⅱ)宇宙損害責任条約上は宇宙空間で生じた第三者損害については「過失責任」であるところ、法的には宇宙空間で生じた損害については予見可能性がないという点で「無過失」を主張する余地も残されていることから、現時点で当社事業の大きな障害となる規定ではないと評価しております。なお、打上ロケット切離し前の第三者損害に関しましては、打上業者であるSpaceXが責任を持つ契約内容となっておりますので、基本的に当社の事業上のリスクは極めて低いと理解しております。当社としては引き続き法令を遵守した事業運営を行うべく、法令順守体制の強化や社内教育等を行っていく方針ですが、今後当社の事業が新たな法的規制の対象となった場合には、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、当社では、ITAR(武器国際取引に関する規則)、EAR(米国輸出規則)及び外国為替及び外国貿易法(外為法)の対象となる技術情報を取り扱っております。当社においては米国製の慣性航法装置がITAR管理品に該当し、ランダー開発に用いる品目にはEAR及び外為法管理品が多数含まれることから、輸出管理を統括する専門部署を設置し厳格に輸出管理を行っております。また、輸出管理規制に関してeラーニングによる社内研修を実施することで全役職員への周知徹底も図っておりますが、規則を遵守できなかった場合には法的な処分を受け、また、社会的な信用の失墜等を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当社グループは、人類の生活圏を宇宙に広げ、持続的な世界を実現するべく、「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンに掲げ、月面開発の事業化に取り組んでいる次世代の民間宇宙企業です。

 当中間連結会計期間における世界経済は、米国のドナルド・トランプ大統領による第二次政権において関税措置を始めとする強行な新政策発動の影響により、世界的な景気後退への懸念とそれに伴う不安定な資本市場及び為替の変動等により、見通しが大変不透明な状況が続いております。

 当社グループが属する宇宙資源開発の分野では、特に米国での第二次トランプ政権において、アメリカ航空宇宙局(the National Aeronautics and Space Administration、以下「NASA」という。)の2026年度予算の大幅な削減やそれに伴う一部大型プロジェクトの中止が発表され、それらが一因で生じたと推察される多くのNASA職員の早期退職申し出など、依然として先行きが不透明な状況です。その一方、同政権下での月面関連の計画に関しては、有人月探査計画「Artemis Program(アルテミス計画)」を民間企業の活用を通じてより効率的に継続実施すること、並びにNASA商業月面輸送サービス(CLPS)は2025年度の予算要求と概ね同等の250百万米ドルが付くことが計画されており、民間企業を活用した宇宙政策の積極的な推進や月面探査活動の継続が確認されています。政策の変動が激しい第二次トランプ政権下の動向について、今後も注視してまいります。

 日本では、2025年10月に高市新政権が発足し、日本政府においても宇宙および経済安全保障分野の重要性が引き続き強調されており、当社を取り巻く事業環境は引き続き追い風を受けるものと考えております。2023年11月に設置された10年間で総額1兆円規模の「宇宙戦略基金」に関しては、当該基金の第1期の公募テーマのひとつ「月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証」(支援上限額:64億円(注1))において、当社は代表機関である国立大学法人東京科学大学を中心とするプロジェクトの中核的連携機関として採択され、代表機関から受領する最大額は47億円(注2)となることを見込んでおります。更に、2025年3月には、第2期として3,000億円規模の予算の下公募テーマが公表され、公募が開始された「月極域における高精度着陸技術」(支援上限額:200億円(注1))及び「空間自在移動の実現に向けた技術」(支援上限額:300億円(注1))へ当社は応札しており、いずれも採択結果は2025年12月から2026年1月頃に発表される予定です。

 このような状況の中、当社のミッション2においては、着陸未達となった要因は高度を測定する機器であるレーザーレンジファインダーのハードウェア異常と特定し、ミッション3以降では当該レーザーレンジファインダーに代わり、過去に月面ミッションでの安定的な運用実績を有するセンサーを採用すること、並びに高度測定時のバックアップとして画像航法技術も搭載することが確定しております。加えて、より広範な強化策としては、外部専門家を交えた「改善タスクフォース」を始動させ、既に複数回の検討会が実施されている他、宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの技術支援においては、JAXA及び宇宙科学研究所(ISAS)の小型月着陸実証機 SLIMのプロジェクトに携わったメンバーも参画の上、支援が進捗しております。なお、「改善タスクフォース」で行われた議論内容に関しては、成果に一定の目途がつくことを確認の上、当第4四半期連結会計期間を目途に報告会を実施することを目指しております。

 また、当社米国子会社で開発する「APEX1.0ランダー」を使用するミッション3については、2027年の打上げに向け、APEX 1.0ランダーの各サブシステムの試験が予定通り進行しております。2025年10月には新たに米国のMagna Petra社と22百万米ドルのペイロードサービス契約を締結し、現時点でのミッション3におけるペイロードサービス契約は合計4件、総額86百万米ドルとなりました。

 日本で開発を進めるミッション4においても、2028年(注3)に打上げを予定している「シリーズ3ランダー(仮称)」の熱構造モデルを用いた環境試験が完了し、予定されているPDR(基本設計審査)に向けて順調に進捗しております。ミッション4では、上述の「月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証」に関連した最大47億円に加え、2025年10月に台湾国家宇宙センター(TASA)の公募案件に採択され、8百万米ドルのペイロードサービス契約を締結しました 。これにより、現時点でのミッション4におけるペイロードサービス契約は合計2件、総額40百万米ドルとなりました。

 以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は2,193,964千円(前年同期比63.5%増)、営業損失は4,162,369千円(前年同期は3,734,268千円の営業損失)、経常損失は4,459,853千円(前年同期は5,790,602千円の経常損失)、親会社株主に帰属する中間純損失は4,463,498千円(前年同期は6,391,573千円の親会社株主に帰属する中間純損失)となりました。

 なお、当社グループの事業は月面開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(注1)今後ステージゲート審査等により変動しうる数値。

(注2)最終的な契約金額は、JAXA及び代表機関による実績報告及び成果報告書の内容についての検査、並びに契約金額の確定通知をもって確定されます。

(注3)当初2027年内として経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、足許、本書提出日時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については、関係省庁及びSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省の認可を受領の後、正式に計画変更が認可されることとなります。

 

②財政状態の状況

(流動資産)

 当中間連結会計期間末における流動資産の残高は24,953,330千円で、前連結会計年度末に比べて5,885,380千円増加しております。これは主に、現金及び預金が6,960,964千円増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

 当中間連結会計期間末における固定資産の残高は10,183,821千円で、前連結会計年度末に比べて2,062,641千円増加しております。これは主に、長期前渡金が1,783,681千円増加したことによるものであります。

 

(流動負債)

 当中間連結会計期間末における流動負債の残高は4,703,801千円で、前連結会計年度末に比べて848,888千円増加しております。これは主に、短期借入金が1,689,806千円増加、前受金が1,275,124千円増加並びに契約負債が2,032,461千円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

 当中間連結会計期間末における固定負債の残高は29,329,677千円で、前連結会計年度末に比べて13,003,047千円増加しております。これは主に、長期借入金が13,081,224千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産の残高は1,103,673千円で、前連結会計年度末に比べて5,903,914千円減少しております。これは主に、利益剰余金が4,463,498千円減少したことによるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,960,964千円増加し、当中間連結会計期間末には20,078,522千円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は6,647,780千円となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失4,459,853千円の計上及び長期前渡金の増加額2,109,858千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は826,198千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得765,496千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は14,785,994千円となりました。これは主に、長期借入による収入14,988,250千円によるものです。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計方針及び見積りについて重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費活動の金額は2,279,537千円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(7)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「1事業等のリスク」に記載しております。

 

(8)資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループは、中長期的に持続的な成長を図るため、研究開発にかかる費用、人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。

 当社グループの運転資金及び設備資金等の財源については、自己資金及び金融機関からの借入により賄っております。当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、20,078,522千円であり、必要な流動性を確保しております。

 

(9)継続企業の前提に関する重要な事象を解消するための対応策

 当社グループの属する宇宙関連ビジネスはグローバル・ベースで、継続的かつ加速度的に拡大していくものと見込まれており、この産業の潮流に対応するために必要な技術確立が急がれる状況です。多額の先行研究開発投資と長期の開発期間を要する宇宙関連機器の開発に従事していることから、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、現在のところすべての開発投資を補うための十分な収益は生じていないことから、2025年9月末時点において、純資産が前期末と比較して5,903百万円減少して1,103百万円となりました。これらの状況から、中間連結会計期間末時点において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当該事象又は状況を解消し、安定的な事業収益が創出されるまでの間、下記を重要な課題として取り組んでおります。

 

①研究開発の推進

 米国での初の打上げとなるミッション3及び日本で商業用の新たなモデルを使用するミッション4に向けて、打上事業者による打上機会を確保すると同時に、開発スケジュール、開発コスト及び開発クオリティを厳格に管理することで、ランダー及びローバーの開発を着実に進めてまいります。

 

②顧客の開拓

 当社が事業収益を獲得するために必要なランダー及びローバーは開発途上にあります。また当社が事業収益を見込む市場は、現在グローバルでも草創期に当たります。当社では現在ミッション3からミッション6までの顧客からの潜在的受注を確認していますが、事業収益の安定化に向けて引き続き中長期的に持続可能な顧客市場を開拓してまいります。

 

③人材の確保

 当社はランダー及びローバーの研究開発を遂行するために、継続して多様な開発領域について高度な専門性と能力を備えた人材を国内外から雇用しております。

 また、急速に従業員数が拡大する組織の中において、各人材がその能力を最大限に発揮することが可能な環境を整えるための取り組みを引き続き行ってまいります。

 

④成長に対応した内部統制の構築と適切な運用

 当社グループが今後も継続的に事業を拡大していくため、必要な業務プロセス、財務・経理上の体制、労務管理、子会社管理、セキュリティ管理等を整備する等、当社の成長に対応した内部統制の構築および運用の実施を引き続き行ってまいります。

 

 

⑤中長期的な成長資金の確保

 当社にとって、安定的な事業収益化を目指す上で将来的に継続的なミッションの実現が必要であり、そのための必要資金を着実に確保することが重要です。当社ではこれまで、無担保転換社債型新株予約権付社債の発行、第三者割当増資、金融機関からの借入、クラウドファンディング、公募増資等によって資金調達をしてまいりましたが、今後も、ミッション推進のために機動的な資金調達の可能性を適時検討してまいります。

 また、当社はミッション1に関して三井住友海上火災保険株式会社との間で損害保険契約を締結しミッション1において保険金を受領しております。当社は保険によるリスク低減も財務安全性確保のための一つの手段として認識しており、ミッション3以降も保険の利用を検討しております。なお、ミッション2においては、その保険責任範囲外であるため、保険金の受領は見込んでおりません。

 金融機関からの借入については、2024年3月期には複数行より総額75億円の融資契約を締結しており、2025年3月期には複数行より借換も含めて総額193億円の融資契約を締結しております。また、当中間連結会計期間においても155億円の融資契約を締結しております。

 資本調達についても、2024年10月にはCVI Investments, Inc.との間でのEquity Program Agreementを締結し第三者割当増資による新株式及び新株予約権を発行しております。また、2025年10月には公募及び第三者割当による新株式発行並びに当社株式のオーバーアロットメントによる売出しを実施しており、本書提出日現在において払込が完了しております。

 

3【重要な契約等】

当中間連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

 

 当社は、2025年5月14日開催の取締役会において、ミッションの開発(含むその他関連費用)に係る運転資金の借入について決議し、以下の金銭消費貸借契約を締結し実行しております。

(1) 借入先            株式会社みずほ銀行

(2) 借入金額           5,000百万円

(3) 借入金利           基準金利+スプレッド

(4) 借入実行日          2025年5月14日

(5) 借入期間           3年8カ月

(6) 担保等の有無         無担保・無保証

(7) 財務制限条項

  ①各事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を正の値に維持すること。

  ②各事業年度末日における連結貸借対照表に記載される現預金の合計金額を30億円以上に維持すること。

 

 当社は、2025年5月22日開催の取締役会において、ミッションの開発(含むその他関連費用)に係る運転資金の借入について決議し、以下の金銭消費貸借契約を締結し実行しております。

(1) 借入先            株式会社三井住友銀行

(2) 借入金額           10,000百万円

(3) 借入金利           基準金利+スプレッド

(4) 借入実行日          2025年5月23日

(5) 借入期間           3年8カ月

(6) 担保等の有無         無担保・無保証

(7) 財務制限条項

  ①各事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を正の値に維持すること。

  ②各事業年度末日における連結貸借対照表に記載される現預金の合計金額を30億円以上に維持すること。