第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

売上高

(千円)

2,900,796

3,804,013

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

51,178

204,051

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

39,166

184,047

包括利益

(千円)

64,010

114,380

純資産額

(千円)

791,426

929,279

総資産額

(千円)

1,543,403

1,822,576

1株当たり純資産額

(円)

183.55

228.48

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

9.19

42.60

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

42.13

自己資本比率

(%)

50.86

54.46

自己資本利益率

(%)

20.71

株価収益率

(倍)

23.6

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

105,349

220,289

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

102,164

197,635

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

126,061

3,791

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

807,961

833,354

従業員数

(名)

296

356

〔外、平均臨時雇用者数〕

-〕

-〕

-〕

-〕

-〕

 

(注) 1.第12期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載しておりません。

2.第12期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

3.第12期の自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、記載しておりません。

4.第12期の株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

5.平均臨時雇用者数については、従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

売上高

(千円)

1,813,213

2,266,281

2,527,139

2,857,090

3,274,122

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

29,338

139,749

82,872

13,715

341,181

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

63,183

175,570

11,029

18,891

252,920

持分法を適用した場合の
投資利益

(千円)

資本金

(千円)

100,000

100,000

387,873

395,593

408,033

発行済株式総数

 

 

 

 

 

 

 普通株式

(株)

2,300,000

3,350,000

4,226,250

4,274,200

4,344,385

 A種優先株式

 

4,400,000

純資産額

(千円)

44,910

219,864

806,421

802,976

1,079,370

総資産額

(千円)

535,293

719,513

1,145,357

1,366,067

1,697,264

1株当たり純資産額

(円)

12.76

65.16

190.50

187.55

248.46

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

18.86

52.41

2.63

4.43

58.55

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

2.53

57.90

自己資本比率

(%)

7.98

30.34

70.29

58.71

63.59

自己資本利益率

(%)

80.46

2.16

26.89

株価収益率

(倍)

223.6

17.2

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

24,201

117,073

32,240

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

6,582

45,889

73,184

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

177,118

22,188

490,910

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

240,865

289,860

675,346

従業員数
〔外、平均臨時雇用者数〕

(名)

211

233

261

289

315

-〕

-〕

-〕

-〕

-〕

株主総利回り

(%)

85.7

171.3

(比較指標:TOPIX)

(%)

(-)

(-)

(-)

(138.2)

(132.7)

最高株価

(円)

2,600

967

1,198

最低株価

(円)

555

415

384

 

 

(注) 1.第9期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

  第10期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。

  第12期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

2.第11期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益の計算においては、当社株式は2022年4月12日付で東京証券取引所グロース市場に上場したため、新規上場日から第11期の末日までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。

3.第9期及び第12期の自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため、記載しておりません。

4.第9期及び第10期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。また、第12期の株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

5.2021年12月27日開催の取締役会決議及び2022年1月20日開催の臨時株主総会決議に基づき、2022年1月20日付で定款を変更し、A種優先株式4,400,000株を廃止するとともに、発行済株式総数の普通株式が4,400,000株増加しております。

6.2020年6月26日付で株式1株につき5,000株の分割を行っております。また、2022年2月4日付で株式2株を1株に株式併合しております。第9期の期首に当該株式分割及び株式併合が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は当期純損失を算定しております。

7.平均臨時雇用者数については、従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

8.第9期から第11期の株主総利回り及び比較指標は、2022年4月12日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、記載しておりません。第12期及び第13期の株主総利回り及び比較指標は、2023年3月期末を基準として算定しております。

9.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所グロース市場におけるものであります。

ただし、当社株式は、2022年4月12日から東京証券取引所グロース市場に上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。

10.第9期から第11期の持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。

11.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第10期の期首から適用しており、第10期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

12.第12期より連結財務諸表を作成しているため、第12期以降の持分法を適用した場合の投資利益、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

 2012年11月

東京都千代田区大手町において株式会社パソナテキーラを株式会社パソナグループ及びTquila International PTE Ltd.の合弁会社として設立

 2013年3月

Salesforce.com, Inc.(現Salesforce, Inc.)の出資を受け入れ

 2013年4月

カスタマーサクセス事業を開始

 2013年4月

Salesforce Consultingを開始。株式会社パソナの基幹システム開発に参画

 2013年8月

エデュケーション事業を提供開始

 2016年9月

Anaplan Japanと協業を発表。Anaplan Consultingを開始

 2018年11月

海外駐在員を管理するクラウドサービス"AGAVE"(SaaS)の販売を開始

 2019年7月

福岡営業所を開設(福岡市中央区)

 2020年7月

サークレイス株式会社に社名を変更

  2022年3月

経済産業省が選定する「DX認定制度」の認定事業者に認定

  2022年4月

東京証券取引所グロース市場に株式を上場

  2023年6月

ベトナム合弁会社(Circlace HT Co., Ltd.)設立

  2023年8月

アオラナウ株式会社設立(株式会社パソナグループと共同で設立)

  2023年11月

FTL株式会社の全株式を取得し、子会社化

  2023年12月

 マーケティング・セールスイネーブルメント マネージドサービス「ConsulTech(コンサルテック)」の提供を開始

2024年1月

AGAVE(SaaS)新サービス「海外給与計算」を提供開始

2024年2月

株式会社パソナグループ・ServiceNow・Tquila Limited・アオラナウ株式会社と日本国内企業のDX支援・DX人材育成推進を目的とした事業連携を開始

2024年3月

経済産業省が選定する「DX認定制度」の認定更新

2024年3月

FTL株式会社を吸収合併

2024年7月

 海外駐在員を管理するクラウドサービス”AGAVE(SaaS)” 契約ユーザーID数1万人を突破

2024年8月

大阪オフィスを開設(大阪市北区)

2024年10月

東京システムハウス株式会社と金融業界向けSalesforceソリューション提供強化に向けた協業を開始

2024年11月

 海外駐在員を管理するクラウドサービス”AGAVE(SaaS)” 新機能「問い合わせ管理」の提供を開始

2024年12月

Salesforceの自律型AIエージェント「Agentforce」リリースを受けて、導入・構築を全面サポートする新サービスの提供を開始

2024年12月

 生成AIと「Microsoft Power Platform」の融合で、企業DXを包括支援する新規事業を開始

2025年1月

ベニックソリューション株式会社と自律型AIエージェントによるDX推進と社会課題解決に向けた協業を開始

2025年3月

株式会社パソナとAIエージェントを活用した企業の生産性向上を支援するAIエージェントBPOサービス「AIO」の提供を開始

 

 

3【事業の内容】

 当社グループは、Salesforce(※1)、Anaplan(※2)、ServiceNow(※3)、AWS(※4)、Microsoft(※5)など、世界最先端のITテクノロジーを活用した業務変革支援及び自社製品SaaS(※6)型クラウドサービス「AGAVE(※7)」の展開を通じて、企業のDX(※8)を推進する複数の事業を展開しております。2025年3月期より、従来の「デジタルプラットフォーム事業」を、「コンサルティング事業」及び「アオラナウ事業」の2つの事業セグメントに再編し、各プラットフォームに特化した専門性の高い支援体制を構築いたしました。

 コンサルティング事業では、Salesforce、Anaplan、AWS、Microsoftを中核としたクラウド導入支援や業務設計・開発・運用支援に加え、ノーコード/ローコード(※9)開発や生成AIの活用を含む「AI & Data Innovation」、人材育成を担う「エデュケーション」、業務現場への常駐支援を行う「Onsite Service」、営業・マーケティング・カスタマーサクセスを横断して支援する「ConsulTech」など、多層的かつ実効性の高いサービスを展開しております。また、海外駐在員管理に特化したクラウド製品「AGAVE」を提供しており、人事部門の業務効率化及び内部統制強化に寄与しています。2025年3月末時点で460社以上・11,000ID(※10)超の導入実績を有し、リカーリングビジネス(※11)として安定した収益基盤を確立しています。

 アオラナウ事業では、ServiceNowを用いたITサービスマネジメント領域において、導入・設計・開発・定着支援を一貫して提供し、顧客企業のIT運用高度化と業務標準化を支援することで、組織変革及び継続的な業務改善を実現しています。

 このように、当社グループは、プロフェッショナルサービスと自社SaaSを両軸に据え、企業の持続的な成長と企業価値の向上に資する付加価値の高いデジタルサービスの提供に努めております。

 なお、2025年3月期における各サービスの売上高構成比は、コンサルティング事業が85%、アオラナウ事業が15%となっております。さらに、コンサルティング事業の内訳は、Salesforce・Anaplan・AWS・Microsoft等による導入・構築支援を担う「コンサルティング」が42%、ノーコード開発・生成AI活用・人材育成・常駐支援等を含む「AI & Data Innovation」が39%、加えてSaaSサービスが4%となっており、多層的な専門領域によるバランスの取れた収益構造を構築しています。

 

(1)事業のセグメントと主なグループ会社

セグメント

主なグループ会社

コンサルティング事業

サークレイス株式会社

Circlace HT Co., Ltd.

アオラナウ事業

アオラナウ株式会社

 

 

(2) セグメントの内容

【コンサルティング事業】

 コンサルティング事業は、Salesforce、Anaplan、AWS、Microsoftなどのクラウドテクノロジーの導入・活用を通じて、顧客企業の業務設計、システム構築、データ活用、組織変革、人材育成などを総合的に支援するサービスです。これにより、企業はデジタル競争力を高め、事業の俊敏性や生産性を向上させることが可能となります。当社グループは、業務プロセスの構想策定から成果創出に至るまで、テクノロジーとコンサルティングの両面から一貫した支援を提供しております。

 本事業は、「コンサルティングサービス」と「SaaSサービス」の2体系で構成されており、それぞれ以下の領域で構成されています。

 

 ■コンサルティングサービス

 クラウド導入支援から業務定着・活用支援までを一貫して提供する業務変革支援サービスであり、「コンサルティング」及び「AI & Data Innovation」の2領域で構成されています。

 

 ① コンサルティング

  Salesforce、Anaplan、AWS、Microsoftなどのクラウドプラットフォームを活用し、顧客企業に対する業務設計、導入支援、開発、連携、運用設計までを包括的に行っております

 

 ・Salesforce Consulting

 Salesforceプラットフォームを活用し、導入支援・開発・運用設計までを一貫して提供しています。Sales CloudやService Cloud等の標準機能を活かした導入から、複雑な業務要件に応じたアプリケーション開発、外部システム連携構築まで対応しています。

 

  ・Anaplan Consulting

 企業の事業計画・予算管理・人員配置・需給予測などを支えるクラウド型計画管理ソリューション「Anaplan」の導入を支援しています。業種・業態を問わず共通する業務構造に対して、あらかじめ整備したテンプレートと柔軟なカスタマイズを組み合わせ、導入のスピードと精度を両立させています。

 

  ・その他のコンサルティングサービス

 当社グループでは、クラウド環境における多様な開発ニーズに応じたコンサルティングサービスを提供しております。以下に代表的なサービス内容を記載します。

 

      1.AWS Consulting

 システム・Webサイト開発、コンサルティング、プロジェクトマネジメントサービスを提供しています。Webアプリケーション開発、インフラ構築を得意とし、AWSなどのクラウドインフラを活用した効率的な開発を推進しています。E2Eテストやユニットテストの導入により、開発後半のバグ発生を予防し、安定したサービス提供を実現しています。さらに、大規模データや高トラフィックに対応した設計構築力を活かし、大手ECサイトやエネルギー業界向けの実績も積み重ねております。

 

     2.Microsoft Power Platform(※12)

 Microsoft Power Platform(Power Apps、Power Automate、Power BI)を活用し、ノーコード・ローコードによる迅速な業務アプリケーション開発を支援しています。Power Automateによる業務プロセス自動化、Power BIによるデータ可視化、Power Appsによる業務アプリ構築により、業務部門自らが主体的にDXを推進できる体制を整備します。導入後も継続的な支援を行うことで、プラットフォームの利活用最大化に貢献しております。

 

 

 ② AI&Data Innovation(カスタマーサクセス支援・エデュケーション含む)

 生成AIやデータを活用した次世代型の業務変革を支援しており、クラウド環境におけるノーコード/ローコード開発、API連携、業務自動化、データ分析・可視化支援などのサービスを展開しています。特に、業務プロセスの定着支援においては「Onsite Service」、人材育成を担う「エデュケーション」、そして業務全体を横断的に改革する「ConsulTech」という異なる性格のサービスを有機的に組み合わせ、顧客のDX実現を多面的に支援しています。最新技術を活用し、IT部門だけでなく業務部門が主体となる変革の推進を支援しております。

 

・Onsite Service

 Salesforce運用の定着支援として、派遣契約により専任スタッフが顧客企業に常駐し、業務部門と連携した運用代行・改善支援を行っています。顧客環境に即した日常的な改善サイクルの実現により、高い定着率と顧客満足度を維持しています。

 

  ・エデュケーション

 SalesforceやMuleSoftに関する認定資格取得支援を目的とした法人向けエデュケーションサービスも提供しており、Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloud等を対象に短期集中型の講座を提供。2025年3月末時点では、Salesforce10コース、MuleSoft2コースを提供しており、セールスフォース・ジャパンから表彰された講師も在籍しています。顧客企業の人材育成及び内製化支援に寄与しております。

 

・ConsulTech

 クライアント企業のマーケティングから営業、カスタマーサクセスに至るまでのビジネスプロセスを深く理解し、業務効率を向上させることにより、ビジネスオーナーが求める成果の最大化を伴走支援します。データに基づいた意思決定を可能にするプラットフォーム構築支援だけでなく、マーケティングの戦略立案と実行支援に至るまで包括しています。専門知識が豊富なチームにより、人材育成をはじめ、顧客の開拓からアポイント獲得の向上まで、一貫してサポートします。TheModel型を熟知した担当者によるサポートにより、組織内の商流プロセスを横断して効率化させ、専属のPMが理想のビジネスモデル構築を提案いたします。生成AIを活用し、様々なシステムの実態把握と最適提案を行う組織改革型サービスです。

 

 コンサルティング事業は、近年のデジタル化ニーズの高まりに伴い、顧客数の増加・案件規模の拡大に伴う顧客当たり単価の上昇等、堅調に推移しております。

 

 ■SaaSサービス

 当社グループは、海外駐在員向けの管理に特化した「AGAVE」というクラウドサービスを提供しています。海外駐在員へのサポート業務を行う人事部門のために、海外駐在員の赴任前、赴任中、帰任時の煩雑な業務を一元管理できるプラットフォームです。様々な業務とは例えば、人事部門側で実施するタスク管理に加え、赴任中の社員の経費申請・各種ワークフロー等であり、そのような海外駐在員サポートに関わる様々な業務を一元管理し、業務の見える化、効率化を実現できます。機能としましては、マイプロファイル、経費申請/承認、各種申請/承認、お知らせ配信、ドキュメント、プロジェクト管理、給与データ管理があります。2025年3月末現在、460社以上の企業に利用いただいており、ID数としては11,000に達しました。

 

【アオラナウ事業】

 アオラナウ株式会社では、企業のITサービスマネジメント高度化を目的に、「ServiceNow」を活用したコンサルティング及びシステム導入支援サービスを提供しております。ServiceNowは、業務の標準化・可視化・自動化を実現するクラウド型プラットフォームであり、情報システム部門のみならず、人事・総務・経理などのバックオフィス領域、さらには営業・カスタマーサポートといったフロント部門の業務効率化や顧客体験の向上にも寄与する先進的なソリューションです。

 当社グループは、ServiceNow導入を検討する企業に対し、業務プロセスの現状分析からソリューション選定、要件定義、設計・開発、社内連携、トレーニングまでを一貫して支援しており、単なるツール導入にとどまらず、組織変革に向けた伴走型の支援を特徴としています。導入後の運用・保守においても、プロアクティブな課題抽出や業務改善提案を通じて、顧客企業がServiceNowを継続的に活用できる体制を構築しております。

 また、ServiceNowを活用したアプリケーション開発・業務連携においては、各業務領域に特化したテンプレートや自社開発モジュールも活用することで、スピーディかつ高品質なプロジェクト推進を実現しております。加えて、他クラウドソリューション(SalesforceやMicrosoft製品群など)との連携設計にも注力し、業務全体の統合的なDXを支援しています。

 

(3)当社グループのビジネスモデル

 当社グループは、「コンサルティング事業(コンサルティングサービス/SaaSサービス)」及び「アオラナウ事業」の二つの事業セグメントを通じ、世界最先端のITテクノロジーと専門人材を融合させた価値提供を行っております。

 コンサルティング事業では、Salesforce、Anaplan、AWS、Microsoftなどの世界最先端のITプラットフォームを活用し、戦略立案から設計・構築・運用までをワンストップで支援する体制を構築しています。特に、生成AIの活用やカスタマーサクセス支援、エデュケーションによる人材育成など、導入後の活用定着フェーズに重点を置いたサービス体系を有しており、プロジェクト収益に加え、継続的なストック収益の獲得につながるビジネスモデルを構築しています。

 また、SaaSプロダクト「AGAVE」においては、導入支援から運用サポートまでを一貫して提供し、月額課金を中心とした安定収益基盤を確立しています。利用継続率も高く、顧客の業務効率化と内部統制強化に貢献しています。

 一方、アオラナウ事業では、ServiceNowを活用したITサービスマネジメント領域への展開を進めており、顧客のIT運用高度化と業務最適化を支援しています。導入から開発、運用・定着までを伴走することで、IT基盤の革新とサービス品質の向上を実現しています。

 

 


 

 今後も当社グループは、世界最先端のITテクノロジーとコンサルティング機能の融合による付加価値創出を追求し、顧客の事業成長と企業価値向上を共に実現してまいります。

 

 当社グループの強みを活かして高付加価値なサービスを提供することで、下表のとおり売上高や売上総利益等は堅調に推移しております。

 

当社グループ売上高・営業利益等の四半期推移

 

2024年3月

2025年3月

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高

(千円)

650,336

702,007

711,650

836,802

807,455

889,681

1,004,098

1,102,778

営業利益

(千円)

△59,440

31,346

△62,123

4,895

△51,281

23,199

80,338

151,377

営業利益率(%)

△9.1

4.5

△8.7

0.6

△6.4

2.6

8.0

13.7

 

(注)1.当社グループは、2024年3月期の第3四半期連結会計期間より連結財務諸表を作成しているため、2024年3月期の第1四半期会計期間及び第2四半期会計期間は個別経営成績の数値を記載しております。

 

 

(事業系統図)


 

 

(注記)

(※1)Salesforce

   米国に本社を構えるSalesforce, Inc.が提供する、企業と顧客をつなぐCRM(顧客管理)ソリューション。マーケティング、営業、コマース、サービス等全ての部署で、顧客一人ひとりの情報を一元的に共有できる統合CRM(顧客管理)プラットフォームです。

(※2)Anaplan

   米国Anaplan社がサブスクリプションで提供する、クラウドベースの事業計画ソフトウエアです。財務、サプライチェーン、販売実績から人事に至るまでの分野で意思決定の目的で利用されます。

(※3)ServiceNow

   米国に本社を構えるServiceNowのクラウドベースのプラットフォームで、ITサービス管理(ITSM)を効率化することを目的としています。自動化、オペレーション管理、ビジネスプロセスの統合を提供し、IT・カスタマーサービス・セキュリティオペレーション・HR管理など多岐にわたる業務プロセスに対応し、企業のデジタル変革を支援します。

(※4)AWS

   Amazonが提供する世界最大規模のクラウドサービス群。コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、データベースなど多岐にわたるサービスを提供しています。

(※5)Microsoft

   WindowsやOffice製品に加え、Azure、Power Platformなどの業務アプリケーション向けクラウドソリューションを提供する世界的IT企業です。

(※6)SaaS

   Software as a Serviceの略で、クラウド経由で提供されるソフトウエアサービスです。利用者はインストール不要で、月額などの課金制で利用可能です。

(※7)AGAVE

   当社が提供する、海外駐在員の人事関連業務(赴任・在任・帰任)を一元管理できるSaaS型クラウドサービスです。タスク管理、経費申請、ワークフロー処理、ドキュメント共有、給与計算等を包括的に提供し、人事部門の業務効率化と内部統制強化を実現します。

 

(※8)DX

   「Digital Transformation」の略で、経済産業省によると「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義されています(出典:経済産業省「DX推進ガイドライン」)。

(※9)ノーコード/ローコード

   プログラミングを必要としない、あるいは最小限のコーディングで業務アプリケーションを構築できる開発手法です。開発期間の短縮と属人性の排除に寄与します。

(※10)ID

   情報システム上で個人を識別するための一意の記号(identifier)で、ユーザー単位での利用管理や権限設定などに用いられます。

(※11)リカーリングビジネス

    継続収益(リカーリングレベニュー)を得ることを目的としたビジネスモデルであり、定期課金を通じて安定収益と長期的な顧客関係を築く仕組みです。

(※12)Microsoft Power Platform

   Microsoftが提供する業務自動化とデータ分析に特化したローコード開発基盤。Power Apps、Power Automate、Power BIにより、現場主導のDX推進と業務改善を支援します。

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

(百万円)

主要な事業
の内容

議決権の所有(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

Circlace HT Co.,Ltd.(注1、2)

ベトナム

56

コンサルティング事業

75.00

役員の兼務 1名

アオラナウ株式会社

(注1、4、5)

東京都中央区

32

アオラナウ事業

47.60

役員の兼務 1名

 

(その他の関係会社)

 

 

 

 

 

株式会社パソナグループ

(注3)

東京都千代田区

5,000

HRソリューション

キャリアソリューション

(33.16)

役員の兼務 1名

AGAVEの販売における事業提携

 

TQUILA LIMITED

Galway Ireland

100ユーロ

子会社の経営管理業務

(32.01)

役員の兼務 1名

 

(注)1. 「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

   2.  特定子会社に該当しております。

   3.  有価証券報告書の提出会社であります。

4.  議決権の所有割合は、100分の50以下ですが、実質的に支配しているため子会社としております。

  5.  アオラナウ株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。

  主要な損益情報等 ① 売上高     596,214 千円

           ② 経常損失    125,844 〃

           ③ 当期純損失   126,203 〃

           ④ 純資産額  △126,749 〃

           ⑤ 総資産額   252,856 〃

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

コンサルティング事業

323

アオラナウ事業

33

合計

356

 

(注)1.従業員数は就業人員(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む)であり、臨時雇用者の総数は、100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

315

37.6

3.9

5,840

 

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者の総数は、100分の10未満のため記載を省略しております。

   2.平均年間給与は、1年以上在籍したものの平均であり、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

31.7

25.0

74.7

76.3

36.9

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

   2.管理職に占める女性労働者の割合及び男性労働者の育児休業取得率は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

② 連結子会社

 当社の子会社であるCirclace HT Co.,Ltd.及びアオラナウ株式会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の際の記載を省略しております。