当社の経営方針、経営環境及び退職すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、優れた特性を持つダイヤモンドの広い応用によって、様々な分野でのイノベーションの創出を進め、地球規模での地球環境維持や社会問題の解決を通じ、世界への貢献を目指しています。
当社で活動する従業員が、健康で充実した日々を送れるよう、様々な施策を講じています。また、株主や顧客、取引先などのあらゆるステークホルダーへの責任を果たすことを、経営方針としています。
(2) 経営環境等
当社の事業は、基本的には人工合成のダイヤモンドを販売する材料ビジネスですが、ほとんどがダイヤモンドの新しい応用を目指す分野に向けられています。天然のダイヤモンドは形状や組成が広い応用に適さないことから、人工合成のダイヤモンドを使った開発が進められています。また、伝統的な分野である宝石についても、人工合成への転換が進んできており、これに伴って多数の企業が設立され、活発な市場環境となっています。
工具用素材としての利用は、既存市場と言えますが、その市場規模は安定的であります。しかしこの市場は種結晶や基板及びウエハの市場と比較して低い価格水準であり、当社が幅広く参入する環境ではありません。宝石及び工具用素材以外の応用については、未だ創成期にあるため市場規模が小さく、個々の案件ごとの対応になっております。2インチウエハなどのインパクトのある製品が実用化できれば、大きな展開が可能となると考え、開発に注力しております。
現在製品を供給している分野について、市場環境を以下に示します。
①人工ダイヤモンド宝石製造用の種結晶市場
a.人工宝石の製造と市場
人工ダイヤモンド宝石は超高圧合成法と気相合成法によって製作されるダイヤモンド宝石です。ダイヤモンドとしては、天然に比べ不純物が少なく純粋で、無色だけでなくピンク、ブルー、グリーン等の色がついたものも発売されています。宝石関係の有力紙「Jeweller」の2021年12月号では、LGD市場規模が既に20億ドル(130円/ドル換算で2,600億円)に達しており、その後も年率15%以上で成長する、と予測しています。このようにLGDは大きな市場を獲得し、さらに高速で市場拡大が進むと見られます。一方、生産量の拡大によって価格低下も進行しております。欧米においては、天然ダイヤモンドの採掘による自然破壊や、以前から指摘されている鉱山における児童労働等の問題があるため、人工ダイヤモンドのSDGsにおける優位点を意識する消費者が増加しております。これに対応して、宝飾店においても人工宝石を積極的に販売するところが増加しております。
気相合成法で作る人工ダイヤモンド宝石は、超高圧法で製造される宝石に比べ、高品質で大型です。このため、人工宝石に参入する企業の多くは、気相合成法で製造しております。
b.必要とされる種結晶の製造
この気相合成法で製作している宝石は、製作するに際して種結晶が必要とされます。通常は0.2mmないし0.3mm厚の薄い単結晶を種結晶として使用し、3~8mmの厚さに成長し、これをカット、研磨して宝石に仕上げます。
気相合成法では、結晶の成長は厚さ方向のみ成長するため、面積方向の成長がほとんどありません。このため、成長によって種結晶の形状からの面積的な拡大が無く、最も一般的なブリリアンカットの宝石では、厚さと形状の関係が一定であるため、種結晶形状が宝石の大きさ(カラット数)を決定します。
このように、種結晶のサイズが、最終的に宝石となるダイヤモンドの大きさを決めるため、大きな宝石の製造を目指すには、大きな種結晶が必要となります。
人工宝石市場では、大型宝石の出荷が活発となっています。天然ではほとんど市場に出ていない5カラット以上の宝石を目指す動きもあって、当社は大型種結晶のニーズがあると見込んでおります。当社は5x5mm~12x12mmの広い範囲の形状を持つ種結晶を製作できます。現在では成長装置を数百台も保有する人工宝石製造会社が複数あり、これらの会社が必要とする月当たりの種結晶は1,000個を超える場合もあります。このような大量の種結晶を、品質の揃ったものとするためには、生産技術の安定が必要です。
c.種結晶ビジネスの競合
当社は種結晶を独自技術により製造し人工宝石製造会社等に販売しておりますが、当社の販売先である人工宝石製造会社の一部が、成長した結晶を薄く切断して、その表面を研磨することで、種結晶を製作しております。その場合には、当社と競合することになります。この手法の製造コストは、現時点では当社より高いと判断しております。また、金属等の基板上に成長した疑似単結晶を、種結晶として製造している企業もありますが、種結晶としての性能は当社種結晶より劣ることが判明しております。
②基板及びウエハ
ダイヤモンドの優れた半導体特性を生かすデバイス開発に必要な、基板やウエハを供給しております。ウエハについては、未だ市場ができていないものの、基礎研究やデバイスの研究開発用に各国の研究機関や企業に販売しております。最終的には、2インチ以上の口径を持つウエハが必要ですが、現時点では基礎研究段階であり、10x10mmを最大とする単結晶基板もしくは、30x30mmまでのモザイク結晶基板を販売しております。当社は、単純な基板だけでなく、結晶方位、基板上に半導体層を形成したエピ基板、結晶品質を制御した基板等の多様な要求に対応できる製品群があります。当社はモザイク結晶で大型化の先頭に立っており、ウエハ市場の創成をけん引して参ります。
③光学部品及びヒートシンク
ダイヤモンドの持っている高熱伝導率や、光やX線を透過する特性を利用し、デバイスの除熱や、各種計測器、放射光施設等の部品などに利用されております。
5Gシステムに代表される先端通信分野では、高発熱デバイスの使用が必要で、熱を除去して安定的なデバイスの動作をするため、ダイヤモンドの利用検討が進んでおります。また、検査機器で使用するX線発生装置の小型化に伴い、X線を透過する窓としての利用が開始されており、当社製品が使用されております。これまでの市場は、散発的に開発される部品の供給にとどまっていましたが、X線用窓が量産に移行した等の新しい動きがあります。当社が狙って開発している光学部品には、一定の市場が見通せるものもあります。
④工具素材
ダイヤモンド単結晶を利用する切削、耐摩耗工具は、相手材料が限定され、特殊な加工に限られております。また、工具素材の全市場では、ほとんどが超高圧合成単結晶を使用しております。超高圧合成単結晶のサイズが限定されていることから、当社の大型結晶への要求があります。なお、工具素材については、積極的に販売拡大を行わない方針であります。
(3)目標とする経営指標
当社は先端技術を使っている製造業であり、製造設備への投資を継続的に行っていく必要があります。このために、高い利益率を維持し、確固たる資金調達手段を保持することが重要と考えられます。このような観点から、主な経営指標として、以下の経営指標を重視しております。
①売上高成長率
②経常利益率
③ROE
④自己資本比率
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、優れた複数の物性を兼ね備えるダイヤモンドを広く利用できるように、その特性が発揮できるダイヤモンド単結晶を供給しております。現在、主としてLGD生産用の種結晶を出荷しており、LGD自体の市場は継続的に拡大しております。この市場において、これまで以上のプレゼンスを発揮することが、当社の発展の要となると考えております。さらに、半導体デバイス、ヒートシンク、光学部品の分野で利用される製品を販売することも目標としております。この目標を達成するために、以下の事項を課題として認識しております。
①市場情勢の入手・解析
LGDは基本的には宝飾品市場であり、原料を供給する立場である当社には、全体像が見えにくい状況です。企画担当を充実させ、各種の市場調査や当社ユーザーからの状況聴取を積極的に行い、市場全体を俯瞰できるだけの情報を獲得し、これを社内において解析して、戦略の立案に供する必要があります。
また、半導体デバイス等の新しい市場については、学会等からの情報によって、技術の進捗状況を正確に把握し、当社の技術開発戦略を構築する必要があります。また、技術分野ごとに特許の状況を正確に把握することも重要で、専門の情報提供機関を利用することを含め、検討をしております。
②技術開発
当社のビジネス分野では、多くの技術で優位な地位を築いており、今後もこの地位を維持することが重要であると認識しています。製品そのものだけでなく、製造技術や評価技術等幅広い分野での研究開発活動が必要です。当社の規模がまだそれほど大きくなく、十分な研究開発活動が出来ない分野においては、大学、公的研究機関及び他企業と連携することで、カバーする範囲を広げる必要があり、場合によっては、委託研究や共同研究を通じて、高度で先進的な技術を習得することも進めてまいります。
③生産の効率向上(コスト低減)
当社の主力商品である種結晶においては、近年競合する企業が出ており、早晩価格競争が起こる可能性があります。また、LGD自体の市場規模の拡大及び販売価格の低下から、原料である種結晶の値下げが、ユーザーから強く要求されることを見込んでおります。
すでに当社は、不断の生産技術の改善によって、直近の2年間において生産効率を2倍まで向上させてきました。しかし上述の状況を鑑み、より一層の生産効率の向上が必要であると認識しております。このため、生産部並びに開発部が、今まで以上に連携して生産効率の向上に取り組む必要があります。
④人材育成
上場企業としてのガバナンスの強化、生産体制の維持と発展、新規技術の開発、新たな営業活動等のために、必要な人材の確保が急務であります。当社はこれまで必要な人材を外部から採用してまいりましたが、当社の活動に適した人材を育成することが、重要になってきました。これを進めるために、教育システムを構築し、長期的に当社を担う人材を養成してまいります。
⑤ダイバーシティーの重視
当社はESGを重視する経営方針の中で、ダイバーシティーを意識して、女性の管理職への登用や障害者の雇用等を進める必要があります。特に、部長クラス以上の経営陣への女性の登用は急務であると認識しております。また、障害者雇用を開始すべく、検討を進めております。
⑥経営陣の高齢化と後継者の育成
当社の部長以上の経営陣は、60歳以上の比率が高く、将来の後継者の育成とあわせて、年齢構成を検討する必要があると認識しております。また役員についても、平均年齢を下げて、将来の当社を担う経営陣に移行することを検討してまいります。
⑦輸出管理
経済安全保障の観点から、2022年12月に輸出貿易管理令が改正され、半導体材料としてのダイヤモンドが規制の範囲に入りました。当社はこれを遵守し、適切な輸出を行うため、必要な手続きを進めてまいります。また、本件に関与する当局と、緊密なコミュニケーションを取って行きます。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) サステナビリティ
当社は、サステナビリティを実現するため、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で定める2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であるSDGsの達成に、LGDの供給を通じて貢献しており、加えて企業行動規範の1つとして、地球環境の保全に貢献する活動に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に向けて貢献することを定めております。
①ガバナンス
当社では、サステナビリティの実現のため、関係各部門がそれぞれの業務分掌に基づき、責任をもって推進しておりますが、原則として四半期に1度の頻度で開催しているリスク管理委員会において、組織横断的に、関係各部門の活動に伴うサステナビリティに関するリスク及び機会を識別し、目標設定を行い、その進捗を管理しております。また、結果については、取締役会に報告しております。
また、後述する人的資本に関する項目以外に、気候変動に関するリスクもテーマとして取り組んでおります。具体的には、当社は、製品の製造過程で多くの電力を消費しており、CO2排出量を削減することは、重要な課題となっております。2023年3月末時点で、本社及び横江工場においては再生可能エネルギーで発電した電力を使用しておりますが、島工場と開発部においては再生可能エネルギーを使用した電力の使用を行っておりません。今後可能な限り早期に、島工場と開発部においても、再生可能エネルギーを使用した電力に切り替える計画です。
また、島工場のCO2排出量削減のため、2024年3月期において同工場に太陽電池を設置し、昼間に消費する電力の一部を太陽電池で賄う計画です。これが実現しますと、同工場の電力使用量の約4.6%の電力を、この太陽電池によって賄うことが可能となることから、引き続きCO2排出量削減に取り組んでまいります。
②リスク管理
当社では、サステナビリティに関するリスクを含むリスク全般について、リスク管理の全社的推進とリスク管理に必要な情報の共有化を図ることを目的とし、原則として四半期に1度の頻度で開催しているリスク管理委員会において、発生したリスク及び予想されるリスクの評価や対応等に関する審議をしております。当該リスク管理委員会において、サステナビリティに関するリスク及び機会を識別、評価し、発生可能性と影響度合により、優先順位付けを行って、回避、軽減するか受容するか等の対策の決定を行うとともに、対策の進捗を管理しております。また、結果については、取締役会に報告しております。
(2) 人的資本
当社は、優れた特性を持つダイヤモンドの広い応用によって、様々な分野でのイノベーションの創出を進め、地球規模での地球環境維持や社会問題の解決を通じ、世界への貢献を目指しています。そのために「健康経営」を推進すべく、当社で活動する従業員及び派遣社員が健康で充実した日々を送り、活発に業務を遂行することを支援するために、以下の施策を進めております。
①戦略
a.人材育成方針
リスキリングのための講習等受講
当社の各種の業務を遂行するために、各種のスキルが必要であります。技術の変化、法令の改定、業務ソフトの変更等によって、必要なスキルが変化していくため、常に最新の必要なスキルを身に付ける必要があります。このため、社内及び社外において講習等を受講することで、最新の知識を習得し、これを業務に活用していきます。受講する回数は重要な指標となるため、一人当たりの年間受講回数の目標を設定しております。
b.社内環境整備方針
イ 業務遂行中の無事故を継続する
当社は生産現場を有しているため、事故発生の可能性があります。安全については十分注意をしているものの、対応が不十分であることによって、事故の発生が危惧されます。このために部署ごとに無事故時間の目標を設定して、これを管理しております。2023年3月期は完全無事故でしたが、この年度をスタートとして、無事故労働時間500,000時間の達成を目指します。
ロ 女性管理職比率
当社はジェンダー平等を重要視する観点から、女性従業員の登用を進めております。当社製品は消費者から遠い製造業であるため、ともすれば男性中心の活動になりがちです。このような状態を改善するため、女性管理職を登用することを目標として、取り組んでおります。これまで当社では部長職以上の女性管理職が不在であることから、その登用も課題と認識しております。
部長職を2ポイント、課長職を1ポイントとして点数化し、目標値を決定しております。
②指標及び目標
当社では、人的資本に係る上記の人材育成方針及び社内環境整備方針について、各施策における指標を設定しておりますが、当面の目標及び実績(2023年3月期)は以下のとおりです。
|
施 策 |
到達目標 |
2023年3月期の実績 |
|
無事故時間の積分値(時間) |
500,000 |
144,000 |
|
講習受講回数(回/人・年) |
2.0 |
0.8 |
|
女性管理職比率(ポイント) |
25.0 |
6.7 |
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 人工宝石ビジネス市場の状況
当社の最大の製品である種結晶の販売先市場であるLGDの市場は、順調に拡大しております。
宝石関係の有力紙「Jeweller」の2021年12月号では、LGD市場規模が既に20億ドル(130円/ドル換算で2,600億円)に達しており、その後も年率15%以上で成長する、と予測しております。このようにLGDは大きな市場を獲得し、さらに高速で市場拡大が進むと見られます。
従って、当社は、宝飾品としてのLGDの認知が進まず市場形成が遅れることや、短期的に消滅する可能性は、現時点でほとんどなくなったと考えております。しかし、国内外の経済情勢の悪化や景気動向の減退等の理由により、市場の成長が鈍化したり、市場規模が縮小したりする場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。LGDの販売価格の低下が進んでも、有力な商品が出てこない場合に、次第に需要低減により市場規模が縮小していく可能性はあります。このような市場縮小は、長期間で進むため、当社はその間に他の製品への転換を進めることで、当該リスクを抑えられると考えております。
(2) 特定ユーザーへの過度の依存
当社の売上に占める種結晶の比率は、2023年3月期売上高の95.4%となっております。種結晶ビジネスに対する方針として、長期的な受注によって、半年以上先までの生産状況の確定、生産要員の確保を行うことが可能となります。ユーザーからの要求で当社が生産能力を増強する決断には、ユーザーからの情報の信頼性が必要で、このために大規模なユーザーの確保を優先事項としております。これまでに有力なユーザー数社に対し、長期的な受注をもらうことを条件に、優先的に生産能力を確保することを進めてきました。具体的には、要求量の多いユーザーには、①半年以上の発注、②今後の設備増設計画の開示、を要請しております。このような当社の要請を受け入れる形で、ユーザー数社との関係が非常に強くなっております。2023年3月期のインド、イスラエルの大手ユーザーへは、種結晶売上の81.3%、全製品売上の77.5%を販売しております。これらの企業の倒産や立地する国や地域の情勢によっては、当社が種結晶を出荷できないといった事態も想定されます。このような事態が発生すれば、大幅な売上の減少により、当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社としましては、このような場合においては、他の大口ユーザー及び多数の小口ユーザーに対して販売量を増加させることで、短期間で売上の減少をリカバーする所存です。このような対応措置が採れるよう、小口ユーザーを引き留めることも営業の方針として進めております。
当事業年度において、小型宝石の供給過剰による取引価格の下落により、それまで生産拡大を続けていました当社の大手ユーザー各社からの小型宝石生産用種結晶の受注が減少しました。この事態によって、これまで当社の生産能力の問題で供給することが、少量もしくは全くできなかったユーザーへも販売を開始しました。限定したユーザーのみに販売してきた10x10mm以上の大型種結晶については、需要のある全てのユーザーに販売開始する、という方針変更を行いましたので、上記の大口ユーザー偏重状況は変化するものと考えております。
(3) 知的財産権管理
①産総研との独占実施契約
当社の生産技術は、産総研が開発した手法を元にしており、この技術の知的財産権は産総研が有しております。当
社は、産総研との間において、当社の製造技術に係る産総研特許の独占的通常実施権の許諾契約を締結しております。
当該許諾契約に定める特許権の概要及び存続期間満了日、当該許諾契約の解約事由は、「第2 事業の状況 5.経営
上の重要な契約等」に記載のとおりであります。
なお、当該許諾契約について、継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当社の帰責事由により、当該契約が解約され、独占実施契約の契約期間満了前に終了した場合には、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、独占的通常実施権の契約期間満了後(2023年11月1日以降)は、非独占的通常実施権が特許の存続期間満了日まで付与される契約となっておりますが、他社が産総研に対して実施権を要求すること等により、産総研が他社と非独占的通常実施権を付与する契約を締結した場合は、当該他社は当社の競合となる可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、当社としては、独占実施契約の契約期間満了時に、産総研に対して独占実施契約の継続を申請する予定であり、その際は当社のこれまでの実績に基づき産総研と交渉する方針であります。仮に、他社が産総研から実施権の許諾を受けた場合でも、多くのノウハウの確立や多数の親結晶の作製に年単位の時間が必要と考えられるため、当社が競争優位性を継続して確保できると考えております。
②知的財産権の取得方針、侵害等
当社は、生産技術が漏洩することを防ぐため、これまで特許などの出願を行わない方針としておりました。生産技術には多数のノウハウがあり、これが技術の実現には重要なカギとなっています。しかし、製品に関連する特許などについては、当社が権利を保有することが重要である場合が出てきているため、今後はこのような知的財産権について、権利化できるように、出願及び審査を進めてまいります。また、技術的なよりどころとなっている産総研の特許群については、維持及び他社による模倣状況のチェックを行っております。しかしながら、他社との間で知的財産権を巡る紛争が生じた場合や、他社から知的財産権を侵害された場合には、事業活動に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。主力製品である種結晶については、これまで出願された特許は見つかっておらず、公知となって長期を経過していることもあり、特許上の係争が起こる可能性は低いと考えております。
(4) 生産技術の模倣
当社は、産総研の特許の独占実施契約を締結して利用しております。(契約期限:2023年10月31日、契約に含まれる特許数:国内外の総件数17件、独占実施権の継続はその時点で産総研と協議を予定、独占実施期間終了後も各特許の存続期限まで非独占実施権は継続されます。)当社では、特許の技術による種結晶製造のノウハウを確立するため、産総研と共同研究を行って来ており、製品化までのノウハウについては特許に記載されていないこともあり、他社が容易に模倣することは難しいと考えております。しかしながら、他社が当社の技術を模倣し種結晶等の製造を行うことになった場合、事業活動に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、現在の実施権契約は17件の特許を包括的に締結していますが、個々の特許の存続期限が2024年以降に次々に到来するので、それらの重要性に鑑み、契約書の内容を変化する必要が出てくると考えられます。その時には、当社の事業継続と特許の期限を迎えていない技術の占有状況が維持でき、リスクを最小限とするよう、産総研と契約内容を協議いたします。
(5) 退職者による技術・ノウハウ流出
当社の生産技術には産総研の特許権のほかに生産ノウハウがありますが、当社は漏洩が起こらないよう常に管理を行なっており、役職員の退職時には秘密保持誓約書を提出させることとしております。しかし、生産ノウハウ等の情報流出が発生し、他社が当社の生産技術を模倣した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。産総研特許の範囲である基幹技術については、独占実施権で守られておりますので、流出してもリスクは大きくないと判断しております。
(6) 競合他社について
①ユーザーが自家生産する種結晶との競合
当社は種結晶を独自技術により製造し人工宝石製造会社等に販売しておりますが、当社の販売先である人工宝石製造会社から取引に際して当社から購入した種結晶から種結晶を再製作しない旨の宣誓書を入手しております。しかし、当社の販売先である人工宝石製造会社の一部が、当社から購入した種結晶を利用して成長させた結晶を薄く切断して、その表面を研磨することで、種結晶を製作しています。その場合には、当社と競合することになります。このやり方の製造コストは、現時点では当社より高いと判断しておりますが、宝石製造会社の技術進捗や購入する装置が安価化することによって、当社の製造コストの優位性がなくなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。既にこの手法で種結晶を生産しているユーザーもありますが、継続して当社種結晶を購入していることから、生産性などの観点では、リスクはそれほど大きくないと判断しております。
②疑似単結晶ダイヤモンドの種結晶への適用
ダイヤモンド単結晶以外の物質を使って、その上に成長したダイヤモンドが、一定以上大きな結晶粒径となる場合があり、疑似的な単結晶と扱う場合があります。セラミック単結晶基板にIr(イリジュウム)薄膜を成長させて、これを基板とする場合が知られております。他の手法を用いる場合もありますが、20x20mm以上の大型の結晶を製作できます。この結晶を種結晶として発売している企業があるとの情報を入手しております。
しかし、この結晶は宝石用結晶の成長時に亀裂が発生するなどの問題が指摘され、歩留が当社種結晶に比べ悪いことが判明しております。これは、完全な単結晶でないために、種結晶に残留する応力が影響するためと考えられております。
また、この製品を販売してきた企業は、昨年に米国のLGD製造企業に買収されました。そのため、他のLGD製造企業はこの種結晶を購入することがほとんどできなくなったと見られます。
上記から、現時点ではこの種の種結晶は、当社にとってそれほど大きな脅威ではないと考えられます。しかし、他に同様の種結晶を製作する企業が出てきた場合には、大型種結晶の一部の市場を奪われる可能性があり、そのような事態となった場合には、当社種結晶の優位性が失われ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③疑似単結晶大型ウエハ
上記の疑似単結晶で、2インチ以上の大型ウエハが開発されたとの報告があります。当社は、モザイク結晶で大型ウエハを開発すべく取り組んでおりますが、先行してこのようなウエハが実用化する可能性があります。疑似単結晶は、当社の結晶のような完全な単結晶ではなく、粒界に相当する部分に結晶の乱れがあります。電子的な応用(トランジスタ等)の場合には、この部分における電子やホール等の挙動が、デバイス性能に大きな影響を与えることは知られております。しかし、大型のウエハが利用できることは、デバイス製造工程にとっては大きな利点があります。このようなウエハの性能が向上すれば、当社が製品化を計画している大型ウエハの実用化に大きな影響を与える可能性があります。
(7) 生産装置の陳腐化
当社では種結晶の成長装置の性能向上等を目的として、産総研や装置製造会社との共同開発を実施し、2022年11月に新設された島工場において、新成長装置が稼働しました。その性能は計画段階の想定と差異がなく、従来の成長装置よりも30%以上生産の効率が向上しました。しかし、競合他社でもある人工ダイヤモンド宝石製造会社が成長装置の大幅な技術革新を実現した場合、当社の成長装置の性能が陳腐化することでコスト競争力が失われ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、産総研とも共同研究などを通じて、成長装置の高度化を進める所存で、リスクを下げるような各種の対策を講じております。
(8) 重要な生産装置の重大な故障
当社の生産工程において、必ず使用する必要があるイオン注入装置を2台保有しております。当社では定期的な設備点検により故障を防止する対策を行っておりますが、主要部品が壊れるなど長期にわたって当該装置が稼働できないという状況になった場合には、生産が完全に止まることとなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 特定人物への依存
これまでの当社の新製品開発や新技術開発については、当社の代表取締役社長である藤森直治を中心として推進してまいりました。当社は、産総研ダイヤモンド研究センター長であった藤森直治を中心に、ダイヤモンド単結晶製造技術の事業化を目的として設立されており、その技術の知見に対する依存度は極めて高いと言えます。開発や生産に係る技術者を雇用、育成することで、藤森直治に依存しない体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、新製品の開発遅れや、生産効率化の遅れなどにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 小規模組織であること及び人材確保
当社は小規模な組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。当社は事業の拡大を目指していますが、その実現には管理体制強化及び絶え間ざる技術革新が必要であり、管理部門、生産部門、開発部門で幅広く人材確保を進めています。しかしながら、計画通りの採用が実現できなかったり、必要とする能力を有する人材の応募が無かったりした場合には、適切な人材配置が困難となり事業拡大に制約が発生するなどにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 感染症等の影響(新型コロナウイルス感染症問題)について
当社は新型コロナウイルス感染症対策として、役職員に対し、テレワークやオフピーク通勤を奨励しており、定期的にPCR検査を実施して来ました。また、遠距離の出張の原則禁止や宴会を行わない等の蔓延防止策を講じました。全国的な患者発生数の減少や、政府の蔓延防止施策の変更があり、当社も段階的に警戒のレベルを変更してまいりました。
しかし、新たな変異株などで、当社において感染症等が蔓延した場合、業務停止及び遅延によって、売上の減少、納期遅延等が生じる可能性があります。また、当社の顧客に感染症等が蔓延した場合、顧客からの発注が止まることや、出荷停止、遅延等が生じる可能性があります。さらに、当社の仕入先や外注先に感染症等が蔓延した場合には、調達及び製品製造の停止や遅延等が生じる可能性があります。これら諸要因の動向によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 自然災害等
当社の活動拠点の本社、横江工場(旧横江第1工場)及び島工場は、大阪府北摂地区に立地し、外注先は愛知県西部の臨海地域に立地と、活動拠点は分散しているため、両地域が同時に台風や地震で壊滅的な被害を受ける可能性は低い、と判断しております。しかしながら、当社の生産能力の大部分は大阪府北摂地域に集中しているため、大阪府北部で大地震やその他操業に影響する災害などが発生した場合には、売上の減少、装置類の損傷による多額の補修費用の発生、停電による情報管理ネットワークの遮断等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) 当社製品へのクレーム
当社では生産する全ての製品について、万全の品質管理に努めるとともに、全ての工場の設備の予防保全に努めており、現時点において、品質に関する重大なクレーム及び納期に関するクレーム等は発生しておりません。また、軽度のクレームには迅速に対応し、顧客の信頼を損ねないような対応を行っておりますが、将来、製品の重大な品質クレームや重大な生産トラブルによる納期クレームが発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 為替リスク
当社は数多くの海外顧客との取引があり、海外顧客との取引(日本の商社経由の取引を含む)は外貨建て取引を採用しており、当社の取引高に占める外貨建の取引の割合は2022年3月期が93.8%、2023年3月期が95.3%となっております。為替に関して円高のトレンドが明確となった場合には、為替予約によってリスクを回避することとしており、既にこのための体制を整えております。最近3年間の変動状況から、110円/$以上の円安の水準では、為替予約を基本的には行わず、110円/$の水準に近づいた段階で為替予約を執行することを検討いたします。
(15) 中近東の政治情勢
当社の主要な販売先としてイスラエルの企業が含まれるため、当社では、販売対象地域の状況把握に努めておりますが、政治情勢が不安定となり戦争の勃発等の事態となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 情報漏洩
当社は、開発段階から顧客と共同で取り組んでいる案件について、秘密保持契約を締結し情報管理を行っております。また、共同開発(研究)契約を締結して進めている案件もあります。これらの契約は、契約していること自体が重要情報である場合もあり、役職員にはこの重要性を知らしめ、啓発、教育を行うと共に、秘密保持誓約書を提出させる等、情報漏洩の防止には万全を期しております。
しかし、情報の漏洩が発生した場合には、当社が賠償責任を負う可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 訴訟に関するリスク
当社の事業又は活動に関連して、知的財産権、環境、労務等、様々な訴訟、紛争、その他の法的手段が提起される可能性があります。現在、当社の経営成績と財政状態に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来において、重要な訴訟等が提起された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、主要製品である種結晶に関する係争については、注意を払っております。
(18) ストック・オプションの行使による株式価値の希薄化
当社は、取締役、監査役及び従業員等に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションを付与しております。これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化することとなり、将来における株価に影響を及ぼす可能性があります。本書提出日の前月末現在のこれらのストック・オプションによる潜在株式数は、600,000株であり、本書提出日の前月末現在の発行済株式総数13,122,500株の4.6%に相当しております。
(19) 配当政策
当社はこれまでの経営状況から、配当を行っておりません。将来の社債発行や増資に際して、配当を行っていないことでの不利が発生し、必要な資金調達が出来ない事態がリスクとなる可能性があります。それによって、必要な設備投資ができなかったり、遅れたりすることで、ビジネスの拡大が妨げられたり、顧客を失ったりする可能性があります。
当社は、上場後においては、利益を確保でき、配当に十分な剰余金を確保した場合には、配当の実施を検討いたしますが、現時点では時期は未確定です。
(20) 各工場及び土地の賃貸借契約が解除され、継続使用が困難となるリスク
当社が活動している本社、各工場及び土地は、賃貸借契約で入居しております。災害あるいは貸主の都合によって、この契約を解除され、退出を余儀なくされれば、全般の活動や生産活動に支障を来たします。工場の移転期間中の減産や、インフラ設備の除去費用、さらに移転費用の負担があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。現状の契約期間は、横江工場(旧横江第1工場)が3年、開発部(旧横江第2工場)が2年と比較的短期間であることから、今後、契約期間の長期化に向けた対応を検討いたします。
(21) 法的規制等
当社は事業活動において、輸出貿易管理令、製造物責任法、外国為替及び外国貿易法、特許法、下請代金支払遅延等防止法、建築基準法、借地借家法、労働安全衛生法、消防法、廃棄物処理法、大気汚染防止法等の各種法的規制を受けておりますが、上記法的規制等の新設や改正等が行われた場合には、当社の事業活動が制約を受け、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、法令等の遵守に努めておりますが、何らかの理由で上記法的規制等への抵触が発生した場合、当社の事業活動が制約を受け、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、経済産業省は、経済安全保障の強化のため、「輸出貿易管理令の一部を改正する政令」を制定し、2022年12月6日に施行されました。その中で、規制対象として半導体基板としての三酸化二ガリウム(Ga203)とダイヤモンドが追加されました。当社は、改定直後から関係機関や当局とコミュニケーションを取って、改正後の法令に則した対応等について調査・検討しており、それに伴い2023年4月以降、一時的に製品の輸出取引を保留しております。
ユーザーからは早期の取引再開を求められており、引き続き当局とのコミュニケーションを進めております。今後の状況により当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度の世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー、資源価格の高騰と、継続していた新型コロナウイルス感染症流行の影響があり、経済状況が揺れ動きました。それに伴う物価の上昇により、米国の政策金利が大幅に上昇しました。これによって米国の景気が落ち込むことが心配されましたが、全般的には大きな落ち込みはなく、株価も高値を維持しました。また、米中関係の緊迫や中国国内の新型コロナウイルス感染症の感染対策が、サプライチェーンに影響し、半導体不足から各種の機器の納期遅延等が問題となりました。
日本の景気も横ばい気味で推移しましたが、引き続き労働市場は需給が逼迫している状況が継続しました。このために、中小企業を中心に人員不足が各業種において発生いたしました。
こうした経済情勢の中、当社製品の主要なビジネス分野であるLGD市場は、この数年継続して拡大して来たと見られます。このために、LGD製造企業は活発に設備投資を進め、新規企業も多数設立されました。当社はこのような状況から、2021年11月に島工場の建設を開始し、生産能力の拡大を進めてまいりました。また、本社にあった生産設備を工場に移転し、あわせて工程ごとに集中する配置に転換しました。島工場は2022年11月に稼働を開始し、工程集中による合理化も合わせ、2022年12月にはダイヤモンドの成長能力が計画通り拡大したことを確認できました。一方で、島工場の一部生産設備の納期遅延により、当初計画したすべての設備が整ったのは、2023年3月となりました。
しかし、第3四半期会計期間の末頃から、LGD製造企業の上記の状況から、小型宝石において供給過剰が発生しました。このため、その取引価格が、それまでのペースを上回って下落しました。第4四半期には、LGD製造企業の中には、生産の縮小や、設備増設計画の見直しや延期をするところも出てきました。このようなLGD製造企業の動きは、当社の主力商品である種結晶の受注状況を大幅に変えることとなりました。それまで生産拡大を続けていました当社の大手ユーザー各社も、2023年1月以降に一旦種結晶の購入を控える動きが出てまいりました。
当社のこれまでの種結晶売上は、数社の大手ユーザーがそのほとんどを占めていました。特に、10x10mm以上の大型種結晶については、生産量がそれほど多くなかったこともあり、ユーザーを限定していました。しかし、受注が減少した事態に対応するため営業方針の変更を行いました。それは、大手ユーザーからの小型宝石生産用種結晶の受注減少により、今まで当社の生産能力の問題で供給することができなかったユーザーへの販売を開始し、10x10mm以上の大型種結晶については需要のある全てのユーザーに販売開始する、という方針変更を行いました。これらの対策によって、2023年2、3月の種結晶売上は安定しました。また、10x10mm以上の種結晶の売上比率も増加し、平均単価が上がることとなりました。
一方、種結晶以外の製品については、当事業年度の初めから内外の企業、研究機関から多くの引き合いが来ていました。特に、量子コンピューター関連研究を行っているベンチャー企業などから、半導体関連開発向けの基板需要が想定より膨らみました。米国や欧州で新規のダイヤモンドデバイス企業が設立され、当事業年度後半には日本においても新たに2社のベンチャー企業が立ち上がりました。これらの企業からも基板の引き合いが来ており、市場全体が活発になったと考えられます。
光学部品では、X線や赤外線の窓材が量産に移行し、定期的な購入が始まりました。ヒートシンクについては、レーザー等への小型製品と共に、大型の材料を使った実装技術へのアプローチも開始され、モザイク結晶を購入する動きが始まりました。
当社は当事業年度において東京証券取引所グロース市場に上場することを目指し、数年前からガバナンス体制の整備等を進めてまいりました。整備が完了した2022年3月に上場申請を行い、その後東京証券取引所の審査を経て、2022年6月27日に上場を果たしました。
上場によって多数の新たな業務への対応が必要となりましたので、管理部門の人員を補強しさらに社外の専門家との連携を図る等により、内部管理体制の一層の強化を図ってまいりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,707,217千円(前年同期比73.3%増)、営業利益は1,280,928千円(前年同期比146.1%増)、経常利益は1,280,724千円(前年同期比142.6%増)、当期純利益は909,628千円(前年同期比142.7%増)となりました。
なお、当社はダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,962,243千円となり、前事業年度末に比べ1,543,689千円増加いたしました。これは主に東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資等により現金及び預金が1,172,574千円、仕掛品が205,680千円及び売掛金が91,096千円増加したことによるものであります。
固定資産は3,054,213千円となり、前事業年度末に比べ1,655,214千円増加いたしました。これは主に有形固定資産が
1,629,652千円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は6,016,457千円となり、前事業年度末に比べ3,198,903千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は740,545千円となり、前事業年度末に比べ383,356千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が282,558千円、未払金が55,403千円及び1年内返済予定の長期借入金が28,640千円増加したことによるものであります。
固定負債は345,409千円となり、前事業年度末に比べ69,696千円減少いたしました。これは主に資産除去債務が39,559千円及び退職給付引当金が9,167千円増加したものの、長期借入金が118,424千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、1,085,954千円となり、前事業年度末に比べ313,660千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は4,930,502千円となり、前事業年度末に比べ2,885,243千円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資や新株予約権の行使等により資本金及び資本準備金がそれぞれ988,645千円増加したこと、当期純利益計上により利益剰余金が909,628千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は82.0%(前事業年度末は72.6%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権の増加、棚卸資産の増加、有形固定資産の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、税引前当期純利益が1,275,102千円(前年同期比146.9%増)と758,651千円増加したこと等により、前事業年度末に比べ1,172,574千円増加し、当事業年度末は2,239,570千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,184,225千円(前事業年度は635,000千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益1,275,102千円、減価償却費317,090千円があった一方で、棚卸資産の増加額284,166千円及び法人税等の支払額千126,079円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,886,624千円(前事業年度は545,005千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1,884,391千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は1,862,248千円(前事業年度は15,666千円の獲得)となりました。これは主に株式の発行による収入1,962,589千円等があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社はダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであります。当事業年度における生産実績は以下のとおりであります。
|
生産高 |
当事業年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
生産高合計(千円) |
945,359 |
130.0 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.当社の売上高及び生産高は、ダイヤモンド単結晶の製造のための設備の規模(生産能力)に依存します。なお、最近2事業年度の当社の生産能力(カラットベース)は、以下のとおりであります。
|
|
前事業年度 (自2021年4月1日 至2022年3月31日) |
当事業年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
|
(カラット) |
(カラット) |
|
|
生産能力 |
110,000 |
150,000 |
b.受注実績
当社はダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであります。当事業年度における製品種類別の受注実績は以下のとおりであります。
|
製品種類 |
当事業年度 (自2022年4月1日至2023年3月31日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
種結晶(注) |
1,636,588 |
81.2 |
357,818 |
32.0 |
|
基板及びウエハ |
70,300 |
160.2 |
10,734 |
147.8 |
|
光学部品及びヒートシンク |
34,177 |
81.7 |
9,920 |
72.4 |
|
工具素材 |
20,292 |
62.5 |
2,280 |
85.5 |
|
宝石原石 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
1,761,357 |
82.6 |
380,752 |
33.3 |
c.販売実績
当社はダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであります。当事業年度における製品種類別の販売実績は、以下のとおりであります。
|
製品種類 |
当事業年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
種結晶(千円)(注)2. |
2,581,506 |
177.6 |
|
基板及びウエハ(千円) |
67,523 |
143.4 |
|
光学部品及びヒートシンク(千円) |
37,591 |
127.4 |
|
工具素材(千円) |
20,597 |
63.7 |
|
宝石原石(千円) |
- |
- |
|
合計(千円) |
2,707,217 |
173.3 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自2021年4月1日 至2022年3月31日) |
当事業年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
CBC株式会社 |
244,378 |
15.6 |
687,713 |
25.4 |
|
Lusix LTD. |
410,079 |
26.2 |
680,566 |
25.1 |
|
Sigma Carbon Technologies |
387,413 |
24.8 |
532,967 |
19.7 |
|
Cornes Technologies USA |
196,404 |
12.6 |
444,856 |
16.4 |
2.当社は、大型のダイヤモンド単結晶を大量に製造することができますが、当社の主要な製品である種結晶に
ついて、人工宝石市場における種結晶の大型化のニーズが増大しております。なお、当事業年度におけるサ
イズ別の種結晶の出荷割合(出荷個数ベース)は以下のとおりであります。
|
種結晶サイズ |
当事業年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
|
割合(%) |
|
|
7x7mm以下 |
16.3 |
|
8x8mm~9x9mm |
45,5 |
|
10x10mm以上 |
38.2 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
また、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、 新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
a.経営成績に重要な影響を与える要因
当社の事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要のうち主なものは、ダイヤモンド単結晶の製造のための設備投資、研究開発費、人件費等の営業費用であります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社は、日常の運転資金については自己資金で賄い、自己資金では賄えない設備投資資金等については金融機関からの長期借入で賄うとともに、資本での調達を検討することとしております。
なお、当事業年度末における借入金の残高は、350,054千円であり、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,239,570千円であります。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための成長性を判断する客観的な指標として、①売上高成長率、②経常利益率、③ROE、④自己資本比率を重視しております。
①当事業年度における売上高成長率は、73.3%(前期は37.0%)となっております。
売上高成長率は、当社の成長性や事業進捗のペースを表す指標として、重視しております。
当社が競争優位性を確保しながら適切なペースで売上高を向上させ、経営上の目標を達成するための施策としては、当社の売上高はダイヤモンド単結晶の製造のための設備の規模に依存することから、金融機関からの借入及び資本での調達による長期的な資金を獲得し、設備投資を進め、生産能力の拡大を図ってまいります。
②当事業年度における経常利益率は、47.3%(前期は33.8%)となっております。
経常利益率は、当社の売上高に対する収益性を表す指標として、重視しております。
当社の事業進捗及び競争優位性の確保にとって、設備投資及び研究開発活動が重要ですが、そのための長期的な資金として自己資金を継続的に確保することが必要であるため、一定の経常利益率の確保に努めてまいります。
③当事業年度におけるROEは、26.1%(前期は20.4%)となっております。
ROEは、当社の投下資本に対する収益性を表す指標として、重視しております。
また、研究開発活動により、ダイヤモンド単結晶の新たな用途を開拓することにより事業領域の拡大を図ってまいります。具体的には、ダイヤモンド半導体デバイス開発に必要な素材の開発や光学部品として必要な高品質結晶の開発を推進してまいります。
④当事業年度の自己資本比率は、82.0%(前期は72.6%)となっております。
当社の事業進捗にとって設備投資は重要ですが、財務の健全性を保つためには、自己資本比率を50%以上に保ちたいと考えております。過度な借入を行うことがないよう、キャッシュ・フローにも注意を払っております。
当事業年度末現在における経営上の重要な契約等は以下のとおりであります。
(1) 特許実施権許諾契約
|
契約締結先 |
契約締結年月日 |
契約期間 |
契約の名称 |
主な内容 |
|
国立研究開発法人産業技術総合研究所 (注1) |
2020年5月1日 |
2023年10月31日まで |
特許実施権許諾契約 |
当社の製造技術に係る産総研特許の独占実施権契約。全部で内外の17件の特許について、独占実施権を当社に付与する。 |
(注)1.契約締結先は、2015年に「独立行政法人産業技術総合研究所」から「国立研究開発法人産業技術総合研究所」に名称が変更されております。
2.上記の契約による独占的実施権の許諾期間満了後は、非独占的通常実施権が特許の存続満了日まで付与されることとなっております。
3.上記の契約は、以下の事由に該当する時は、書面による通知をもって産総研が当社に解約を申し入れることができることとなっております。
(産総研からの解約事由)
①当社が上記の契約に基づく特許実施権許諾の対価を支払わない時、又はそれらの支払いを著しく遅延した時
②当社が、上記の契約に定める当社製品の販売状況に関する報告書の提出を著しく遅滞した時、又は帳簿の閲
覧に正当な理由なく応じない時
③当社が上記の契約に定める秘密保持義務を怠った時
④当社が、直接間接を問わず、本契約に定める特許の有効性について争った時
⑤当社が、本契約の履行について虚偽の報告その他不法行為をした時
4.上記の契約は、以下の事由に該当する時は、書面による通知をもって当社が産総研に解約を申し入れることが
できることとなっております。
(当社からの解約事由)
①産総研が上記の契約に定める秘密保持義務を怠った時
②本契約に定める特許の全部について拒絶すべき旨の査定もしくは拒絶をすべき旨の審決又は特許を無効にす
べき旨の審決が確定した時
5.上記の契約上の義務を履行しない場合には、15日以上の期間を定め当該義務の履行に関する催告をし、当該期間内に相手方による履行がなされない時は、書面による通知をもって、産総研又は当社が相手方に対し解約を申し入れることができることとなっております。
6.上記の契約に定める特許権の概要及び存続期間満了日は、以下のとおりであります。
|
特許権の名称 |
対象国 |
出願 または 登録 |
出願番号または出願年月日 登録番号または登録年月日 |
存続期間満了日 |
|
ダイヤモンドの表面層又は成長層の分離方法 |
日本 |
登録 |
特許第4919300号 2012年2月10日 |
2027年8月31日 |
|
ダイヤモンドの表面層又は成長層の分離方法 |
米国 |
登録 |
米国特許9410241号 2016年8月9日 |
2027年8月31日 |
|
オフ角を有する単結晶基板の製造方法 |
日本 |
登録 |
特許第4873467号 2011年12月2日 |
2026年7月27日 |
|
オフ角を有する単結晶基板の製造方法 |
日本 |
登録 |
特許第5382742号 2013年10月11日 |
2026年7月27日 |
|
オフ角を有する単結晶基板の製造方法 |
独国 |
登録 |
独国特許第602007033907.3号 2013年11月20日 |
2026年7月27日 |
|
オフ角を有する単結晶基板の製造方法 |
仏国 |
登録 |
仏国特許第2048267号 2013年11月20日 |
2026年7月27日 |
|
オフ角を有する単結晶基板の製造方法 |
英国 |
登録 |
英国特許第2048267号 2013年11月20日 |
2026年7月27日 |
|
マイクロ波プラズマCVD装置の基板支持体 |
日本 |
登録 |
特許第4366500号 2009年9月4日 |
2024年3月22日 |
|
特許権の名称 |
対象国 |
出願 または 登録 |
出願番号または出願年月日 登録番号または登録年月日 |
存続期間満了日 |
|
大面積ダイヤモンド結晶基板及びその製造方法 |
日本 |
登録 |
特許第4849691号 2011年10月28日 |
2028年12月25日 |
|
大面積ダイヤモンド結晶基板及びその製造方法 |
日本 |
登録 |
特許第8940266号 2015年1月27日 |
2028年12月25日 |
|
モザイク状ダイヤモンドの製造方法 |
日本 |
登録 |
特許第5621994号 2014年10月3日 |
2030年12月15日 |
|
モザイク状ダイヤモンドの製造方法 |
英国 |
登録 |
英国特許第2488498号 2017年11月22日 |
2030年12月15日 |
|
ダイヤモンドの表面層又は成長層の分離方法 |
独国 |
登録 |
独国特許第602007045953.2号 2016年8月9日 |
2027年8月31日 |
|
ダイヤモンドの表面層又は成長層の分離方法 |
仏国 |
登録 |
仏国特許第2058419号 2016年4月2日 |
2027年8月31日 |
|
ダイヤモンドの表面層又は成長層の分離方法 |
英国 |
登録 |
英国特許第2058419号 2016年4月2日 |
2027年8月31日 |
|
単結晶の製造方法 |
日本 |
登録 |
特許第4613314号 2010年10月29日 |
2025年5月26日 |
|
単結晶の製造方法 |
米国 |
登録 |
米国特許7736435号 2010年6月15日 |
2025年5月26日 |
(2) 賃貸借契約及び借地権設定契約
|
契約締結先 |
契約締結年月日 |
契約期間 |
契約の名称 |
主な内容 |
|
株式会社イマス |
2014年10月14日 |
2015年2月1日から 2020年1月31日まで (注1) |
建物賃貸借契約書 |
当社の横江第1工場として使用する建物の賃借 |
|
小西ますみ 小西税 小西敦 |
2021年12月21日 |
2021年12月23日から 2023年12月22日まで (注2) |
事業用建物賃貸借契約書 |
当社の横江第2工場として使用する建物の賃借 |
|
有限会社KND |
2022年3月22日 |
2022年5月20日から30年間 (注3)(注4) |
事業用定期転借地権設定契約書 |
2022年11月稼働の当社の島工場用地として使用する土地の事業用定期転借地権の設定 |
(注)1.契約期間満了6ヶ月前までに、当社及び契約締結先双方より相手方に対し、書面による別段の申し出がない場合は、本契約は自動的に3年間更新されることとなっております。なお、本契約期間内に契約締結先の正当な理由及び当社の都合により本契約を解約する場合、当社及び契約締結先双方ともに6ヶ月前までに相手方に対し、書面にて通告することが必要であります。
2.当社及び契約締結先の協議により、本契約を更新することができることとなっております。ただし、契約締結先が当社に対して、契約期間満了の6ヶ月前までに、本契約を更新しない旨または本契約の条件を変更する旨の通知等、特段の意思表示をした場合は、この限りではありません。また、本契約期間内であっても、当社が契約締結先に対して、3ヶ月前までに書面により解約の申し入れを行うことにより、本契約を解除することができます。
3.当社及び契約締結先は、本契約期間中に本契約を解約することはできないこととなっております。ただし、当社は、本契約期間中であっても、やむを得ない事情により、本契約を解約する場合は、6ヶ月前までに契約締結先に対して書面で通知することにより、通知後6ヶ月を経過後に本契約を解約することができます。
4.契約期間の開始日は、当社による本体工事着手日と定めています。
当社の研究開発活動は、(1)生産技術に関する研究開発、(2)新製品に関する研究開発、(3)製造装置及び方法に関する研究開発の3つのカテゴリーにおいて、優先順位を考慮して実施しております。
開発テーマは審査会を経て選定され、年度計画の下で開発作業を行っています。また、年度単位で報告会を開催して、進捗状況を社内に周知しています。
当事業年度における研究開発費の総額は、
研究開発活動の具体的な内容は、以下に示すとおりです。
なお、当社は、ダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1) 生産技術に関する研究開発
当社の生産技術は、親結晶からの分離技術によって、親結晶と同じサイズの子結晶を作るところが出発点になっており、このプロセスでは、親結晶の大きさとその性状は、子結晶を通じて全ての製品の大きさと品質を決定づけることとなります。このため、元となる結晶を、大型化し、高品質化することが、全ての製品にとって重要な技術課題となっております。既に16x16mmの大型単結晶の試作に成功しており、当事業年度において、引き続き20x20mmの結晶開発に向けた成長装置の設計に関する基礎的な検討を進めました。
(2) 新製品に関する研究開発
当社が想定している新製品は、応用分野によって分かれており、以下のとおりであります。
①ダイヤモンド半導体デバイス開発等に必要な素材の開発
a.ウエハの開発
ダイヤモンド半導体デバイス等の製作において必須の素材であり、2インチウエハの実用化を目指しています。上記の大型の結晶の開発が本研究課題の推進に関連しており、引き続き検討を進めました。
b.低抵抗基板の開発
ダイヤモンドのパワーデバイスにおいては、縦型デバイス構造が重要であり、これに使用する抵抗値の低いBドープ基板を開発してきました。縦型デバイスでは、デバイスの底面から上面(または逆方向)へ電流を流すため、抵抗値の低い基板が必要で、高濃度のBをドーピングすることで実現できます。
当社は既にこのような低抵抗のダイヤモンドが成長する条件を開発しており、0.2mm程度の厚さの基板の試作を行い、目標とした抵抗等の特性を得られることを確認しました。この製品化について審査を行い、2023年3月期第3四半期からテスト的な販売を開始し、その評価状況を見て、2024年3月期にも製品化を行うことを検討します。この製品化に必要な生産設備の導入も順次進めてまいります。
②光学部品として必要な高品質結晶の開発
ダイヤモンドは、熱伝導率が高く、熱膨張係数が小さいため、高エネルギービームの光学部品として適した材料です。また、X線を透過するのにも適しています。このような特性の組み合わせとして、強力なX線ビームを作り出す放射光施設で使う光学部品(特にモノクロメーターと呼ばれる部品)をダイヤモンド化することが、期待されています。
モノクロメーターに使用する結晶は、極限までの高品質とする必要があり、当社はこの結晶の開発を進めています。
(3) 製造装置及び方法に関する研究開発
2023年3月期第1四半期において新型成長装置の面積拡大が確認できましたので、成長速度やできあがった子結晶の品質を確認しました。成長時の周辺部分は、成長速度が遅く、この改善の為に成長結晶を支えるホルダー構造の検討を行いました。その結果、成長面積の拡大を行っても、均一な板厚となるホルダー構造を開発することに成功しました。この成果によって、島工場の新型成長装置は、当社の主要成長装置として利用できることが明らかになりました。