当第3四半期累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更があった事項は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
また、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」の項目番号に呼応したものです。
(1) 人工宝石ビジネス市場の状況
当社の最大の製品である種結晶の販売先市場であるLGD(Laboratory Grown Diamond:人工ダイヤモンド宝石、以下「LGD」という。)の市場は、順調に拡大しております。
Bain and Companyの「The Global Diamond Industry 2020-2021」によれば、LGDは600~700万カラット(2020年)生産されており、その内の300~400万カラット以上(2020年)が気相合成法により製造されていると報告されております。また、全ダイヤモンド生産が1.1億カラット(2020年)とされていますので、既に5.5~6.4%が人工合成になっていると推定でき、LGD市場は今後、毎年15%~20%の成長率があると見込まれます。
上記生産高の規模から、LGD市場の市場規模は1,000億円をはるかに越える市場規模であると推測され、米国を中心に宝飾品としてのLGDの認知も進んでいると考えております。
従って、当社は、宝飾品としてのLGDの認知が進まず市場形成が遅れることや、短期的に消滅する可能性は、現時点でほとんどなくなったと考えております。しかし、国内外の経済情勢の悪化や景気動向の減退等の理由により、市場の成長が鈍化したり、市場規模が縮小したりする場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。LGDの販売価格の低下が進んでも、有力な商品が出てこない場合に、次第に需要低減により市場規模が縮小していく可能性はあります。このような市場縮小は、長期間で進むため、当社はその間に他の製品への転換を進めることで、当該リスクを抑えられると考えております。
(6) 競合他社について
②多結晶ダイヤモンドの種結晶への適用
金属薄膜上にダイヤモンドを成長した場合、金属によっては単結晶に近い多結晶ダイヤモンドが成長する場合があります。この現象は一般に、「ヘテロエピタキシャル成長」と名付けられており、Ir(イリジュウム)の薄膜を使う場合が知られております。(100)面配向の結晶が成長し、お互いに結び付くことで大きな結晶となります。欧州の企業が、この様な結晶を作製して、20x12mm等の大型の種結晶として発売しているとの情報を入手しています。
しかし、この結晶は宝石成長時の歩留まりが悪く、亀裂が発生するなどの問題が指摘されております。これは、完全な単結晶でないために、成長した結晶との間に応力が生じるためと考えられております。
また、この製品を販売して来た企業は昨年に米国のLGD製造企業に買収されました。そのため、他のLGD製造企業はこの種結晶を購入することがほとんどできなくなったと見られます。
上記から、現時点ではヘテロエピダイヤモンド種結晶は、それほど大きな脅威ではないと考えられます。しかし、他に同様の種結晶を製作する企業が出てきた場合には、大型種結晶の一部の市場を奪われる可能性があり、そのような事態となった場合には、当社種結晶の優位性が失われ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期累計期間における世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格高騰の余波で、物価が上昇する中、インフレ抑制のための利上げにより政策金利が上昇し、特に米国景気への影響が心配されました。しかし、全般的に懸念されていたほど景気は大幅に減速することなく、推移しました。
こうした経済情勢の中、当社製品の主要なビジネス分野であるLGD市場は、当第3四半期累計期間において継続して市場規模が拡大しております。引き続きLGD製造企業は活発に設備投資を進めており、新規のLGD製造企業が設立され、また、大型の宝石サイズを指向する傾向にも変化はありませんでした。
当社の種結晶ユーザーからの要求についても、引き続き大型品の割合が増加しています。しかし、LGD供給量が増加したことによって、一部のLGDに余剰感が見られました。特に、2カラット以下の小型宝石においては、業者間取引価格に値下がりの傾向が見られ、既存のLGD製造業者において、小型宝石生産用の種結晶の購入量を減少させるところが出てきました。
当社は、2021年11月より島工場の建設を進めてまいりましたが、2022年11月22日に稼働を開始いたしました。島工場の稼働により、当社の種結晶の生産能力が拡大するとともに、引き続き生産の効率化も進展しました。
一方、これまでの為替の円安傾向は、2022年12月の日本銀行による金融政策の一部変更により為替が円高に振れることとなり、当社売上を下押ししました。
以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は2,103,471千円(前年同期比89.4%増)、営業利益は1,056,127千円(前年同期比172.7%増)、経常利益は1,047,839千円(前年同期比166.9%増)、四半期純利益は727,170千円(前年同期比154.5%増)となりました。また、当第3四半期累計期間の製品種類別の売上高は、種結晶2,024,311千円(前年同期比94.9%増)、基板及びウエハは36,185千円(前年同期比21.3%増)、光学系及びヒートシンクは26,828千円(前年同期比28.5%増)、工具素材は16,145千円(前年同期比24.1%減)となりました。
なお、当社はダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
②財政状態の状況
(資産)
当第3四半期会計期間末における総資産は5,743,872千円となり、前事業年度末に比べ2,926,318千円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資等により現金及び預金が1,048,182千円、有形固定資産が1,511,867千円、仕掛品が134,559千円、売掛金が109,996千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債は996,127千円となり、前事業年度末に比べ223,833千円増加いたしました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定を含む)が66,743千円減少したものの、その他流動負債に含まれる未払金が71,377千円、未払法人税等が200,385千円、退職給付引当金が10,545千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産は4,747,745千円となり、前事業年度末に比べ2,702,485千円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資や新株予約権の行使等により資本金及び資本準備金がそれぞれ988,495千円、四半期純利益計上により利益剰余金が727,170千円増加したこと等によるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当社の研究開発活動は、(ⅰ)生産技術に関する研究開発、(ⅱ)新製品に関する研究開発、(ⅲ)製造装置及び方法に関する研究開発の3つのカテゴリーにおいて、優先順位を考慮して実施しております。
開発テーマは審査会を経て選定され、年度計画の下で開発作業を行っています。また、半期単位で開発報告会を開催して、進捗状況を社内に周知しています。
当第3四半期累計期間における研究開発費の総額は、70,428千円であります。
また、当第3四半期累計期間における研究開発活動の状況の変更内容は、次のとおりであります。
研究開発活動の結果、当第3四半期累計期間において、①大型、高品質結晶の開発、②低抵抗Bドープ基板の量産化手法開発、③島工場で使用する新型成長装置の成長条件の開発について成果がありました。
研究開発活動の結果の具体的な内容は、以下に示すとおりです。
なお、当社は、ダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(ⅰ) 生産技術に関する研究開発
当社の生産技術は、親結晶からの分離技術によって、親結晶と同じサイズの子結晶を作るところが出発点になっており、このプロセスでは、親結晶の大きさとその性状は、子結晶を通じて全ての製品の大きさと品質を決定づけることとなります。このため、元となる結晶を、大型化し、高品質化することが、全ての製品にとって重要な技術課題となっております。既に16x16mmの大型単結晶の試作に成功しており、当第3四半期累計期間において、引き続き20x20mmの結晶開発に向けた成長装置の設計に関する基礎的な検討を進めました。
(ⅱ) 新製品に関する研究開発
当社が想定している新製品は、応用分野によって分かれており、以下のとおりであります。
①ダイヤモンド半導体デバイス開発等に必要な素材の開発
a.ウエハの開発
ダイヤモンド半導体デバイス等の製作において必須の素材であり、2インチウエハの実用化を目指しています。上記の大型の結晶の開発が本研究課題の推進に関連しており、引き続き検討を進めました。
b.低抵抗基板の開発
ダイヤモンドのパワーデバイスにおいては、縦型デバイス構造が重要であり、これに使用する抵抗値の低いBドープ基板を開発してきました。縦型デバイスでは、デバイスの底面から上面(または逆方向)へ電流を流すため、抵抗値の低い基板が必要で、高濃度のBをドーピングすることで実現できます。
当社は既にこのような低抵抗のダイヤモンドが成長する条件を開発しており、0.2mm程度の厚さの基板の試作を行い、目標とした抵抗等の特性を得られることを確認しました。この製品化について審査を行い、2023年3月期第3四半期からテスト的な販売を開始し、その評価状況を見て、2024年3月期にも製品化を行うことを検討します。この製品化に必要な生産設備の導入も順次進めてまいります。
②光学部品として必要な高品質結晶の開発
研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(ⅲ) 製造装置及び方法に関する研究開発
2023年3月期第1四半期において新型成長装置の面積拡大が確認できましたので、成長速度やできあがった子結晶の品質を確認しました。成長時の周辺部分は、成長速度が遅く、この改善の為に成長結晶を支えるホルダー構造の検討を行いました。その結果、成長面積の拡大を行っても、均一な板厚となるホルダー構造を開発することに成功しました。この成果によって、島工場の新型成長装置は、当社の主要成長装置として利用できることが明らかになりました。
(6)主要な設備
前事業年度末において計画中であった主要な設備の新設等のうち、当第3四半期累計期間に完了したものは次のとおりであります。
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会社名 事業所名 |
所在地 |
設備の内容 |
完了年月 |
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当社 島工場 |
大阪府茨木市 |
成長装置 |
2022年11月 |
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当社 島工場 |
大阪府茨木市 |
研磨機 |
2022年11月 |
|
当社 島工場 |
大阪府茨木市 |
工場建屋 |
2022年11月 |
(注)当社はダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。