独立監査人の監査報告書

 

 

 

2025年6月26日

株式会社サンウェルズ

 

 

取締役会 御中

 

 

 

有限責任監査法人トーマツ

 

 

       北陸事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

小松 聡

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

大枝 和之

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

石橋 智己

 

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社サンウェルズの2024年4月1日から2025年3月31日までの第20期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社サンウェルズの2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

当事業年度に発覚した、訪問看護事業における過剰な診療報酬請求への対応

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 当事業年度の財務諸表に計上されている売上高26,496百万円のうち、訪問看護事業に係る売上高は15,157百万円(57%)である。

 追加情報に記載されている通り、当事業年度において、外部機関の報道を契機として、訪問看護事業において全社的に過剰な診療報酬請求が行われた疑義が判明したため、会社は、2024年9月20日に独立した外部の弁護士を含む特別調査委員会を設置して調査を進め、2025年2月7日に特別調査委員会から調査報告書を受領した。

 特別調査委員会の調査の結果、訪問看護事業において診療報酬の請求が過大に行われた事実が判明したことから、会社は過年度の財務諸表について訂正を行い、2025年2月12日に2022年3月期から2024年3月期までの有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書を提出している。

 診療報酬の過大請求による重要な虚偽表示が発生し、過年度の有価証券報告書及び四半期報告書の訂正を要したことから、会社は前事業年度において全社的な内部統制及び業務プロセスに関する内部統制に開示すべき重要な不備が存在すると判断している。また、会社の内部統制報告書に記載の通り、診療報酬の過大請求発覚後、各種の再発防止策が講じられているものの、当該不備の整備及び運用の期間が十分確保できていないため、当事業年度末も引き続き全社的な内部統制及び業務プロセスについて、開示すべき重要な不備が存在すると会社は判断している。

 当該状況を受けて、会社による診療報酬の過剰な請求に起因する売上の過大計上が網羅的に把握されず、適切に会計処理されないリスクに対応するためには慎重な検討が必要であることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項であると判断した。

 

 当監査法人は当事業年度において、訪問看護事業にかかる診療報酬の過大な請求が判明したことを受けて、主として以下の監査手続を実施した。

(1)特別調査委員会の調査において判明した診療報酬の過大な請求が網羅的に把握され、適切に訂正等の処理がなされているかの検討

 特別調査委員会が実施した調査に関して、当監査法人の不正専門家を関与させ、以下の事項を実施した。

・特別調査委員会メンバーの能力及び独立性(業務の客観性)を評価した。

・特別調査委員会による調査結果報告書を閲覧するとともに、調査の範囲、本事案の内容や発生原因、調査の十分性、及びこれらの見解について特別調査委員会メンバーに質問した。

・特別調査委員会による調査手続の妥当性について、調査目的に適合したものであるかを評価した。

・特別調査委員会による調査結果について、監査証拠としての利用可能性を調査資料の閲覧や再実施等により評価した。

・特別調査委員会による調査結果により指摘された事項に係る財務諸表の修正が、網羅的かつ正確に行われているかどうかを検討した。

 

(2)特別調査委員会による調査対象ではない期間に対する期末残高監査

 特別調査委員会の調査において判明した診療報酬の過大な請求と類似の取引が生じていないことを検証するため、新たに整備された業務プロセスに対する内部統制のデザイン及び整備運用状況を評価した。また2025年1月~3月の訪問看護記録データの分析により、短時間訪問及び少数の看護行為に基づく請求を全件抽出し、看護記録をもとに会社の請求基準にあてはめ、請求の可否に関する会社判断が妥当か慎重に検討した。

 また、特別調査委員会による調査対象期間ではない期間について、診療報酬の過剰な請求に起因する売上の過大計上が発生するリスクに対応するため、2025年1月~3月の全訪問看護記録データと請求データの整合性確認により、訪問看護記録データに基づかない請求データがないか検討した。

 

 

 

継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 2025年2月7日付「特別調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」にて公表したとおり、訪問看護事業において診療報酬の請求が過大に行われた事実が判明した。会社は本件の対象となる部分について過年度の決算を訂正し、また再発防止策の策定と内部統制強化に取り組んだ結果、収益性は大幅に低下し、当事業年度において当期純損失925百万円を計上している。

 上記の結果、当事業年度末の借入金のうち、2023年3月14日締結のコミットメント期限付タームローン契約(当事業年度末現在の借入金残高392百万円)及び2023年9月15日締結のコミットメント期限付タームローン契約(当事業年度末現在の借入金残高649百万円)に付されている財務制限条項に抵触する状況となっている。

 以上より、経営者は、当事業年度の末日において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識している。

 当該状況をふまえ、経営者は、抜本的な運営体制の見直しによる経営の健全化を進めており、人員配置の適正化に伴うコスト削減を計画している。また会社は取引先金融機関から財務制限条項の抵触に基づく期限の利益喪失の猶予の承諾を得ており、決算日から翌1年間において十分な運転資金の確保を計画している。

 以上より、経営者は、当事業年度の末日において継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと判断している。

 経営者が実施した継続企業の前提に関する重要な不確実性の評価を検討するためには、会社の作成した資金計画及びその基礎となる事業計画の信頼性の検討が必要となる。事業計画には、新規施設の開設による収益向上や、人員配置の適正化による費用削減といった重要な仮定が含まれており、当該仮定は経営者の主観的な判断や不確実性を伴うことから、当監査法人は当該事項を「監査上の主要な検討事項」に該当すると判断した。

 当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるかどうかを検討するにあたり、経営者の対応策とその実行可能性を確かめるため、主として以下の監査手続を実施した。

 

・経営者が作成した資金計画に関連する翌事業年度の事業計画について、その作成プロセスを理解するとともに、当該計画が取締役会において承認されていることを確かめた。

・資金計画の前提となる事業計画の合理性・実行可能性の評価にあたり、新規施設の開設による収益向上や人員配置の適正化による費用削減が計画どおりに行われるという経営者の仮定の合理性を検討するために、担当者への質問を実施した。また回答の妥当性を検討するため、新規施設の入居者数の仮定については、既存施設における過去の入居者推移や直近の入居申込状況、費用削減の仮定については、適正な訪問看護を前提とした人員配置及び現状の人員数等の裏付け資料の閲覧を実施した。

・過去の計画と実績の差異を分析することにより、当該事業計画の見積りの精度を評価した。

・決算日から翌1年間の資金計画表について、事業計画や借入金返済スケジュール表、設備投資計画との整合性を確かめる等の手続によって、資金計画表の基礎数値の正確性を確認した。

・財務制限条項に係る期限の利益喪失の猶予の承諾を得ている点及び今後の新規融資・融資継続に関する融資姿勢について、金融機関融資責任者へのインタビュー及び書面による回答の閲覧を実施した。

・経営者が評価を行った日以後に追加的な事実や情報がないか否かを含め、経営者の対応策に関連する事項を把握するために監査報告書日までに開催された取締役会の議事録を閲覧した。

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

 監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

 

 

 

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