1【内部統制報告書の訂正報告書の提出理由】

 2024年6月27日に提出いたしました第19期(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)内部統制報告書の記載事項に誤りがありましたので、金融商品取引法第24条の4の5第1項に基づき、内部統制報告書の訂正報告書を提出するものであります。

 

2【訂正事項】

 3 評価結果に関する事項

 

3【訂正箇所】

 訂正箇所は___を付して表示しております。

 

3【評価結果に関する事項】

(訂正前)

 上記の評価の結果、2024年3月31日現在における当社の財務報告に係る内部統制は有効であると判断いたしました。

 

(訂正後)

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

 

 

 当社は、当社が不正な診療報酬請求を行ったとする報道を受け、当社より独立した社外の専門家を委員とする特別調査委員会を設置し、客観性のある業務実態の調査を行い、2025年2月7日、当該特別調査委員会より調査報告書を受領いたしました。当該調査の結果、当社がPDハウス等で受け入れている入居者は、重症度の高いパーキンソン病患者であったことから、入居者及びご家族の同意を得た上で、1日3回・複数名訪問を標準としていたところ、現場の看護師等の多くに1日3回・複数名訪問が必須との認識を与えてしまい、訪問回数及び同行者の要否という観点での個別的検討・見直しが徹底されていなかったこと(訪問数等既定事案)が判明しました。また、そのような中で、①数十秒から数分という短時間の訪問であるにもかかわらず30分を標準とする訪問看護を実施したとして診療報酬の請求を行っていた事案(短時間訪問事案)、及び②訪問看護サービス提供の際に同行者が不在であったにもかかわらず同行者がいたものとして診療報酬請求を行っていた事案(同行者不在訪問事案)が存在していたことも判明しました。

 当社は、調査報告書の内容を検討した結果、過年度の決算を訂正し、2022年3月期から2024年3月期の有価証券報告書及び2023年3月期の第1四半期から2024年3月期の第3四半期までの四半期報告書について、訂正報告書を提出いたしました。

 

 当社は、上記事案が生じた原因として、現経営陣や、経営戦略部、運営本部、教育部等に所属する経営推進を担う従業員において、訪問看護事業を推進するための基盤となるリスク分析・評価等のための体制が不十分であったことを背景として、上記事案の発生を抑止するための内部統制が機能不全となっており、また、訪問看護の適切なオペレーションに関する教育・研修を提供することができていなかったと認識しております。加えて、訪問数等既定事案については、各施設に対し売上目標として設定された単価の水準が、入居者の相当数に対して1日3回及び複数名訪問を実施しないと到達できない水準で設定されており、それが人事評価制度の評価基準としても設定されていたこと、また、短時間訪問事案及び同行者不在訪問事案については、①就寝時間帯の訪問の場合、入居者の睡眠を妨げるおそれがあることから、実施可能な看護内容が限定されており、訪問看護時間は短時間にならざるを得ない客観的状況が存在したこと、②ナースコール発報が非常に多く生じる中、それに対応するための人材が十分に確保されていなかった結果、同行を予定していた介護士等が、同行の予定を変更して、ナースコール対応等にあたる必要性が生じていたこと、③訪問看護として割り当てられた時間帯以外の時間で看護行為が求められることも少なくないところ、それらの時間も通算すれば十分な訪問看護時間を確保できているとの考えを有している従業員も存在し、このような考えが、短時間訪問事案・同行者不在訪問事案においても適切な看護サービスを提供しているとして診療報酬を請求することを心理的に正当化する要因として働いていたことが、それぞれの原因として存在したと認識しております。

 当社は、これらの内部統制の不備が財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制及び訪問看護事業における請求業務プロセスに係る内部統制について、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。

 また、上記事実の特定は当事業年度末日以降となったため、当該開示すべき重要な不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。

 

 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。

(1)訪問看護事業を推進するための基盤となるリスク分析・評価等を行う体制の導入・実施

ア.「訪問看護・介護事業リスク検討委員会」の設置

イ.経営陣による施設ラウンドの定期実施

ウ.医療・介護業界のコンプライアンスに精通する外部有識者招へいの検討

(2)内部統制の強化・再構築

ア.PDハウス等の現場における内部統制の強化・再構築

(ア)訪問看護時間を正確に把握・記録する為の電子記録制度の導入

(イ)複数の看護師の連携による訪問看護計画の作成・見直し

(ウ)現場管理職による訪問看護記録のチェック体制の強化

(エ)管理職(看護課長)による訪問看護記録のサンプルチェックの実施

(オ)運営部長による定期的なヒアリング調査の実施

イ.管理部門における内部統制の強化・再構築

(ア)PDハウス等の現場の共用部カメラによる監視体制の導入

(イ)管理部門に新たに看護部を設置

ウ.内部監査室による監査機能の強化

(ア)内部監査における調査内容の拡充

(イ)内部監査の対象及び監査内容の拡充

(ウ)内部監査室長への適切な役職者の配置及び権限の強化

(3)研修・教育の充実とコンプライアンス意識の醸成

ア.オペレーションに関する継続的な教育体制の構築

イ.訪問看護に関するマニュアルの整備・改訂及び管理体制の強化

ウ.不正行為等に対する懲戒処分の厳格化及びその周知

(4)人事評価の指標としての施設単価目標の廃止を含む人事評価制度の変更

(5)就寝時間帯における訪問看護の内容の再検討

(6)ナースコール対応人員体制の確保