第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

(a)経営理念

 当社は経営理念として「自らが輝き、人を元気にする」を掲げております。当社のお客様は、体に不都合を持たれている方が多く、その影響で心も沈みがちになっている方もいるかもしれません。当社は介護という仕事を通して、お客様の「心」を元気にしたいと考えております。その為には、お世話をさせて頂く私たちが暗く後ろ向きではいけません。お客様がその方らしく輝いて生きる事を応援させて頂くために、私たち自身が仕事を通じて自らを磨き自分らしく輝いて生きる事が必要であり、当社社員が輝けば、利用者様の「心」が更に輝き出すと考えております。

 

(b)ミッション

 当社は下記をミッションとして定めております。

① 福祉の職場をもっと魅力的に!

 私たちサンウェルズは夢と誇りを持って志事(しごと)に取り組み、皆があこがれる業界づくりにチャレンジします。

② 介護サービスに進化と変化を!

 私たちサンウェルズは介護の常識にとらわれることなく、利用者様の立場に立ったより良いサービスづくりにチャレンジします。

③ 未来を作る「人」を育成する!

 私たちサンウェルズは仕事を通じてクリエイティブに発想し、自ら行動する「輝く大人」づくりにチャレンジします。

 

(2)目標とする経営指標

 当社では、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的としており、収益力の強化と経営の効率化を図るため、売上高及び経常利益率を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題の改善に取り組んでまいります。

 また、有料老人ホームの運営による売上高が、当社全体の売上高に占める比率が高いことから、「PDハウス」を含めた有料老人ホームにおける提供可能室数及び稼働率も経営成績に影響を与える主要な経営指標として捉えております。

 

(3)経営戦略

 わが国では、2007年に超高齢社会(公益財団法人長寿科学振興財団の定義)を迎え、更に2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」)となる一方で、若年層の人口は減少の一途をたどり、より一層の少子高齢化が加速していくものとみられております。これにより、医療業界における需要と供給のバランスが崩れ、病院数の減少や医師不足といった問題が生じるおそれがあり、介護へのニーズはますます増加するものと考えられます。

 当社は2006年に介護施設としてデイサービスをスタートさせ、15年の歳月をかけてパーキンソン病に焦点を絞った「PDハウス」の全国展開にまで業容を拡大させてまいりました。

 今後は、北陸エリアのデイサービス、有料老人ホーム事業は業容を維持しつつ、「PDハウス」を経営戦略の中心に位置づけ、パーキンソン病専門施設として「PDハウス」での提供サービスを磨き上げること、また、新サービスを創造することによって差別化を実現し、中長期的に安定的かつ持続的な成長と企業価値の拡大を目指すことを計画しております。

 具体的には、以下を当社の経営戦略の骨子としております。

① 「PDハウス」のブランド構築

 パーキンソン病は治療手段について世界中で多くの研究が行われておりますが、いまだに根治する方法が確立されていない進行性神経難病になります。患者数は進行性神経難病の中でも最も多く、関連疾患も含めると約14.2万人(厚生労働省「2020年度衛生行政報告例」(2020年度末現在)、特定医療費(指定難病)受給者証所持者数)の患者がいると推定されております。年齢層も60歳以上が約9割(同上)を占め、症状についても筋肉がこわばる(筋固縮)、体が動かしにくくなる(無動)、手足が震える(振戦)などの動きに関連する症状のほかに、幻覚や幻視、自律神経障害、睡眠障害など様々な生活障害を呈する疾患であり、ケアをするにも高い専門知識と経験、技術が必要になります。

 また、この疾患には正しい薬物療法と十分なリハビリテーションが重要とされますが、薬剤に関して多い方では1日10回程度に分けて薬を服用するケースもあり、リハビリテーションにおいても現行の介護施設では十分量のリハビリテーションを提供できる所が非常に少ないのが現状です。適切な服薬管理と十分な回数のリハビリテーションが提供できれば病気の進行を遅らせ、天寿を全うしていただくことも可能だと考えております。しかしながら、病気の初期段階や軽度要介護度の患者に対しての改善に関するリハビリ報告・治療研究報告は多く存在しますが、病気が進行し重度化した場合の改善事例が非常に少ないのが現状であります。

 「PDハウス」では、全国のパーキンソン病研究の専門医(順天堂大学医学部 服部信孝教授、福岡大学医学部 坪井義夫教授、医療法人北祐会 北海道脳神経内科病院 濱田晋輔理事長)と研究を進め、より効果的な新サービスの創造を目指しております。順天堂大学とは共同研究講座講を開設し、3次元オンライン診療システムの検証、ウェアラブル端末による活動検知の検証及びオンラインセミナーを実施しております。福岡大学とは寄付講座を開設し、ダンスプログラムによる症状改善の検証、病状を数値化し、進行速度を比較解析及び提供するサービスに関する合同検討会を行っております。医療法人北祐会 北海道脳神経内科病院とは共同研究講座講を開設し、リハビリ機器、訓練アプリの効果検証、提供するサービスに関する合同検討会及びオンラインセミナーを実施しております。また、原正彦医師(株式会社mediVR 代表取締役社長)が開発に携わったVR(仮想現実)技術を用いた医療機器(VRリハビリ機器「カグラ」)の効果検証を行っております。新たな専門サービスの開発により同業者の模倣困難性の向上に努めております。

 これからの社会保障制度においては、入院期間の短期化や介護療養病床の廃止などにより、まだ専門的な治療が必要にもかかわらず地域に退院してくる方が増大することが予想されます。介護施設においても病院医療機関のように専門化(脳神経内科、消化器科、循環器内科など)を図り、地域包括ケアの中において専門性の高いケアを受けられる施設は重要と考えており、「PDハウス」はその一端を担える事業と自負しております。

 

② 「PDハウス」の事業拡大

 パーキンソン病患者は2020年度末で約14.2万人(厚生労働省「2020年度衛生行政報告例」2020年度末現在 指定医療費(指定難病)受給者証所持者数)といわれております。そのため、地域毎に必要とされる床数を展開していきたいと考えております。

 当事業年度末では、北海道、関東、関西、九州、北陸にて「PDハウス」を全国に12施設(613床)運営しております。今後も「PDハウス」展開を成長ドライバーとして位置づけ、大都市圏や地方の中核都市を中心に更なる全国展開を計画しております。大都市圏では期間を空けずに新規開設することにより、エリアの囲い込みと従業員の適正配置を行い、利益の最大化を図ります。地方の中核都市では、まずは一つ目を開設することにより、そのエリアにくさびを打ち、ニーズに合わせて周辺エリアに新規開設することで同業他社の進出を阻むと共に、中期的にはそのエリアでの高シェアを図ります。

 また、当社はこれまで北陸エリア定着に向けて、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、福祉用具事業、加圧トレーニング事業といった介護系サービスを展開し、1人の利用者に対して手厚く包括的なケアの提供を行い、安定した経営基盤を築きました。北陸エリアで得た収益を今後の「PDハウス」の事業拡大への人材採用、教育といった投資、本社費用を賄い、「PDハウス」事業拡大を目指します。

 「PDハウス」の開設においては、開設2か月前からリーダー職員を採用、入居ペースに合わせた採用を行い、入念な研修を経て開設を迎えます。更に周辺の医療機関や施設からの紹介、TV、新聞、Web等による広告で集客をすることにより、早期黒字化を図ります。開設時期が集中すると一旦は業績を押し下げる要因となりますが、早い段階で業績に寄与するようになるとともに、「PDハウス」を利用される方は長期に亘り施設を利用いただくので、安定した稼働率で推移し、定常的な業績を目指します。

 

③ 「PDハウス」を中心とした事業の展開

 現在、「PDハウス」はパーキンソン病が進行された方を中心に利用していただいております。そこで得たリハビリテーションのノウハウ等を活かし、中期的には軽度の方にも利用していただけるリハビリテーションサービスを提供することを計画しております。各地の「PDハウス」でのノウハウをコアにし、インターネットでリハビリテーションが受けられるサービスを展開することにより、より多くのパーキンソン病患者の方にサービスを提供してまいります。さらに海外でもこのインターネットでのサービスを展開することを計画してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 人材の採用及び定着

 少子高齢化により労働人口が減少する中、介護を必要とする人の数は増えており、介護業界では人員不足の状況が続いております。

 このような状況のもと、当社は経営理念及びミッションのとおり、お客様に満足していただくには従業員自らが輝く必要があると考えており、魅力的な職場づくりに取り組むとともに、従業員の採用力強化、及び定着率の向上に取り組んでおります。

 採用力強化につきましては、採用担当者を増員し、Web面接や採用専用ダイヤルの設置、リファラル採用(当社社員からの紹介による採用)の導入など新しい取り組みを導入し、採用力を増強しております。特に将来の大きな戦力となる新規卒業者の採用にも注力し、優秀な人材の獲得に向け、就職フェア等へのイベント参加を積極的に行っております。また、「PDハウス」の都市部展開に伴う対応として、新規参入地における採用担当者を雇用し、採用力を強化してまいります。

 定着率の向上につきましては、キャリアアップ制度の構築や給与等の待遇改善に注力するとともに離職率の低いリファラル採用に力を入れ、従業員の定着につなげてまいります。

 

② 専門知識の習得、向上

 当社では、介護事業を行っていくうえで、サービスの質の向上及び平準化は重要な事項だと認識しており、従業員に対し、研修項目を多数設けるほか、専門職が集結する部会などを実施し、従業員教育を行っております。また、介護士の知識・技術の高水準・均一化を図るため、独自の介護技術認定制度(MCライセンス)を導入しております。

 当社の従業員が安定した質の高い介護サービスが提供できるよう、無資格・未経験の従業員に対しては、介護職員初任者研修の受講費用を負担するなど、人材育成に力を入れております。

 また、「PDハウス」の全職員へは、専門医によるオンラインセミナーや事例検討会を実施し、パーキンソン病ケアのプロフェッショナルスキルを擁した専門人材の育成に力を注いでおります。

 

③ 利用者満足度の向上

 当社の社会的使命は、利用者様に心から満足いただけるサービスを提供することだと考えております。当社がサービスを提供する各施設においては、利用者様に安心安全に、安定したサービスを提供するとともに、各利用者様のご要望に沿えるよう柔軟に対応することが必要になります。当社では、人材の確保、サービス基盤の拡充等に加え、各施設内、施設間の連携を強化し、急な状況変化にも耐えうる体制を整備しております。

 

④ 「PDハウス」のブランド力強化及び知名度向上

 2022年3月期においては、上期に「PDハウス今宿」、「PDハウス西宮の沢」、「PDハウス岸部」、下期に「PDハウス藤沢」、「PDハウス門真」、「PDハウス板橋」と計6施設を開設いたしました。今後も都市部を始め全国へと展開を進め、「PDハウス」のブランド力強化と知名度の向上に努めてまいります。

 

⑤ 情報管理体制の構築及び強化

 当社は、事業を行う上で入手した顧客に関する様々な個人情報を保有しております。万が一これらの情報が外部に漏えいした場合、当社に対する信用失墜や損害賠償請求等によって当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 情報管理については、従業員との情報管理に関する誓約書の締結、社内規程の整備及び従業員教育の徹底等、管理体制の強化に努めることで情報流出を抑止しております。又、インターネットセキュリティの強化及び事業所の防犯対策等の実施により外部者の不正な情報取得を防ぐなど、可能な限りの対策を取っております。

 IT社会の発展に伴い、当社でも稟議の電子決裁、保存書類のペーパーレス化、Webでの入社面接、TV会議等、業務の効率化を図るためITを導入して参りました。ネットワークの管理に関しましてはIT統合管理システムを導入し、事業の拡大とともに増加するPC機器等の管理を行えるように致しました。それにより災害時でも耐えうる情報管理体制の構築に取り組んでおります。

 

⑥ 財務体質の強化

 当社は、金融機関からの借入金の割合が株主資本に対して高い比率となっております。今後は、運転資金拡大に加え、施設開設のための資金の確保も必要であることから、有利子負債とのバランスを勘案し自己資本の拡充を図ってまいります。

 

⑦ 内部管理体制の強化

 利用者満足度の高いサービス提供のためには、利用者様からの信頼を獲得することが必要であり、そのため当社では個人情報管理体制をはじめとした、内部管理体制の強化を継続して推進していくこと及び事業規模拡大に対応した十分な内部管理体制の整備が必要であると認識しております。当社は内部管理部門についても積極的な人材採用を進めるとともに、社内業務のIT化・アウトソーシングなどを活用し、効率的な内部管理体制を整備してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)人材の確保について

 当社が今後事業をさらに拡大し、成長を続けていくためには優秀な人材の確保が重要課題となっております。内閣府の令和3年版高齢社会白書によると、2020年に65歳以上人口の日本の総人口に占める割合は28.8%となりました。年々増加傾向にあり、2065年には国民の4人に1人が75歳以上になると予測されています。介護事業においては、介護士、看護師、理学療法士など専門職の確保が必須ですが、医療・介護業界での慢性的な人材不足と今後益々の介護業界へのニーズの高まりで、求人競争激化の環境は予断を許さない状況であります。このような状況の下、当社では、人材採用に関する専門部署を設置し、求人サイトやメディアを利用しておりますが、これを漫然と利用し続けることを避け、常に効果を検証しながら積極的かつ戦略的な採用活動を実施するほか、福利厚生制度の整備や柔軟な働き方を認めるなど、従業員の労働環境に配慮し、働きやすい環境づくりに取り組んでおります。

 しかしながら、こうした人材の確保が計画どおりに進まなかった場合、又は育成が計画どおりに進まず、あるいは重要な人材が社外に流出した場合には、既存施設ではサービス提供の規模縮小、新規施設ではオープン時期の順延等により、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)コンプライアンスに関するリスク

 当社は、法令遵守及び企業倫理に基づき誠実に行動することを経営上の最重要課題としております。事業に直接関係する法令のみならず、近年、SNSによるトラブルが問題になるなど、企業が求められる企業倫理は多岐に渡ります。そのため、社会的責任のある企業として遵守すべき法令全般につき、当社の全役職員が法令等・倫理に基づいた行動をとるよう、コンプライアンス研修の継続的な取り組みを実施しており、日常的にコンプライアンス意識と行動の徹底を図っております。また、内部通報制度を整備運用して内部の不正を抑止するよう努めております。しかしながら、コンプライアンス上の問題に直面した場合には、法令による処罰・訴訟の提起・社会的信頼の失墜等により、当社の業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(3)新規施設の開設について

 当社は事業の拡大のため、新規施設の開設を推進しております。新規開設機会を逃さないよう常に情報収集に努め、必要に応じて、迅速な経営判断が下せるよう、代表取締役社長を含めた経営陣は緊密な連携をとることとしております。また、新規施設の開設にあたっては、各種調査を実施し、十分な検討時間を設けて様々な角度から事業計画及び採算性等を十分に検討した上で実施しております。

 しかしながら、希望する立地に物件を確保できない場合やプロジェクトに遅延が発生した場合、また、事業計画と実績に大幅な乖離が生じた場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)高齢者介護における安全管理及び健康管理について

 当社が介護サービスを提供しているのは、主に要介護認定を受けた介護度の高い高齢者であり、介護事故、転倒事故、食中毒、食物誤嚥事故、感染症の集団発生、また高齢者の特性に起因する事故等が発生する可能性があり、利用者の命に係わる重大な事故に発展する可能性もあります。これらにより、当社側の過失責任や管理責任が問われた場合には、損害賠償の支払い等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクに関する顕在化の可能性は一定程度あると認識しておりますが、各種スキルアップ研修の提供や介護マニュアル、業務手順書等の整備等により社員教育を徹底しているほか、日常のサービス提供におけるヒヤリハット事例を共有することで、未然の事故防止に努めており、当該リスクの顕在化の抑制に最大限努めております。

 

(5)介護保険制度について

 当社は介護保険法に基づく介護保険制度のもと、介護事業を営んでおり、同法及び関連諸法令の規制を受けております。介護保険制度については、3年毎に制度の見直し及び介護報酬の改定が行われており、市町村介護保険事業計画の策定も3年毎に行われております。また、6年毎の健康保険制度との同時改定のタイミングにおいて社会保障制度及び医療介護福祉政策の方向性が示されております。そのため、当社事業を推進するにあたり、定期的な制度の見直し等により当社にとって不利な改正がなされた場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、介護保険制度は、介護を社会全体で支えることを目的として、2000年から定期的に経済情勢、人口動態、サービスの需給状況等を総合的に勘案し、制度の見直しや介護報酬の改定が実施されていますが、これまでの改定状況から勘案しても、当該改定に伴い当社の事業がただちに大きな影響を受ける可能性は低いと考えております。しかしながら、介護保険制度の目的や方針等に大きな変更があった場合や同制度が廃止された場合は、当社事業に及ぼす影響は大きく、現時点で影響度合いを推測することは出来ませんが、事前に政府での検討状況等について情報収集を行い、必要な対応策を実行することとしております。

 

(6)法的規制について

 当社は介護保険法に基づく介護サービスの提供にあたり、事業所ごとに指定業者として指定を受けており、同指定を取得するにあたり、厚生労働省令「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(1999年3月31日厚生省令第37号)及び各自治体条例介護保険法で定める基準を満たしております。

 該当する根拠法で許認可取消事由がそれぞれ定められておりますが、主な内容は以下のとおりであります。

・不正請求  …実体のないサービス提供に対する請求、実体のない加算請求

・人員基準違反…人員不足での運営、無資格者によるサービス提供、実在しないスタッフによる記録作成、勤務時間の虚偽

・運営基準違反…記録の未整備、計画未作成、重要事項や計画の説明未実施

・虚偽報告  …自治体への届出や報告、実地指導対応における事実とは違う書類提出や答弁

 なお、当社では当該基準を常に満たすために人材の育成、教育、採用を強化しているほか、当社が運営する各施設の管理者が緊密に連携を取れるよう連絡体制を整備しており、基準の遵守を徹底しております。加えて、内部監査室の監査による確認の実施のほか、情報収集に努め、基準の変更等にも迅速に対応しているため、当事業年度末現在、事業運営の継続に支障を来すような状況は生じておりません。しかしながら、これらの基準を遵守できなかった場合や不正請求が認められた場合には、指定の取消し等の処分を受けるおそれがあります。一事業所でも指定取消を受けた場合、法人が指定の欠格事由に該当し、指定取消から5年間は新たに指定を受けることができず、また指定の更新も受けることができなくなります。その場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

各サービスと根拠法等、主な指定・登録取消事由

① 訪問系サービス

サービス名

根拠法等

主な許認可取消事由

訪問看護

介護予防訪問看護

・介護保険法(厚生労働省)

指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。

都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となる。

・健康保険法(厚生労働省)

介護保険法に基づく指定を受けた際には、健康保険法の指定があったとみなされるため、有効期間は介護保険法に基づく指定の有効期間に準じる。

地方厚生局が事業の指定権者となる。

・訪問看護

介護保険法第77条

(指定の取消し等)

・介護予防訪問看護

介護保険法第115条の9

(指定の取消し等)

訪問介護

居宅介護支援

・介護保険法(厚生労働省)

指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。

都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となる。なお、居宅介護支援については、2018年4月以降の指定権者は市区町村となっている。

・訪問介護

介護保険法第77条

(指定の取消し等)

・居宅介護支援

介護保険法第84条

(指定の取消し等)

介護予防・日常生活支援総合事業

・介護保険法(厚生労働省)

指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。

市町村が事業の指定権者になる。

介護保険法第115条の45の9

(指定権者の指定の取消し等)

居宅介護

重度訪問介護

・障害者総合支援法(厚生労働省)

指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。

都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となる。

障害者総合支援法第50条

(指定の取消し等)

 

② 通所系サービス

サービス名

根拠法等

主な許認可取消事由

通所介護

・介護保険法(厚生労働省)

指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。

都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となる。

・通所介護

介護保険法第77条

(指定の取消し等)

地域密着型通所介護

認知症対応型通所介護

・介護保険法(厚生労働省)

指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。

市町村が事業の指定権者となる。

・地域密着型通所介護

・認知症対応型通所介護

介護保険法第78条の10

(指定の取消し等)

 

③ 入所系サービス

サービス名

根拠法等

主な許認可取消事由

認知症対応型共同生活介護

(グループホーム)

・介護保険法(厚生労働省)

指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要。

市町村が事業の指定権者となる。

・認知症対応型共同生活介護

介護保険法第78条の10

(指定の取消し等)

住宅型有料老人ホーム

・老人福祉法(厚生労働省)

届出制であり、届出後の有効期間の設定はない。都道府県、政令指定都市及び中核市が届出先となる。

老人福祉法第29条第14項

(届出等)※事業の制限又は停止に関する定めあり。

サービス付き高齢者向け住宅

高齢者住まい法(国土交通省)

登録制であり登録の有効期間は5年で、以降5年毎に更新が必要。

都道府県、政令指定都市及び中核市が登録先となる。

高齢者住まい法第26条

(登録の取り消し)

 

(7)感染症について

 当社事業所では、換気・手洗い・手指消毒の励行等をはじめ、フェイスシールド、N95マスク、ガウンテクニックの正しい着用方法の研修を行う等、日常的に感染対策に取り組んでおります。しかしながら、昨今、世界中で感染拡大が続く新型コロナウイルスは感染力が強く、利用者や職員間でクラスターが発生する可能性があります。クラスターが発生した事業所では一定期間、クラスターが収束するまでの期間、売上が減少する可能性があります。当社では、現在までにクラスターの発生による利用者の新規入居一時停止や職員の出勤停止によるサービス提供の縮小を要因とする売上の減少がありましたが、陽性者の迅速な検出や隔離徹底により早期収束に努めたことでその影響は軽微であります。

 新型インフルエンザやコロナウイルス等の感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行し、当該地域の事業所の稼働が長期にわたり困難になった場合には、事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)虐待等の防止への取組とリスクについて

 当社は、老人福祉法及び介護保険法に規定する「養介護施設」又は「養介護事業」に該当し、これらの養介護施設又は養介護事業で働く当社の職員は、高齢者虐待防止法に定める「養介護施設従事者等」に該当します。高齢者虐待防止法では、養介護施設従事者等による身体的虐待、介護・世話の放棄・放任等の高齢者虐待の防止に関する取り組みを求められており、当社は役職員を対象とした研修やマニュアルの整備等により、いかなる虐待も防止するように努めております。しかしながら、虐待や不適切な身体拘束が発生した場合には、法令による処罰・訴訟の提起・社会的信頼の失墜等により、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9)大規模な自然災害について

 当社が保有する施設が所在する地域において大規模な地震、風水害等の自然災害、事故、火災等によって人的・物的被害を受けた場合、当該地域の事業所の稼働が長期にわたり困難になった場合には、事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当該リスクの発生時期等は予測することができませんが、常に当該リスクが顕在化する可能性はあると認識しております。そのため、当社では各種保険制度への加入はもちろんのこと、避難訓練、災害時の連絡手段の確立、飲食物の備蓄等を行うなど、自然災害等の発生による被害を最小限に抑えるための対策を実施しております。

 

(10)内部管理体制のリスク

 当社では、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。その認識のもと、内部管理体制の一層の充実を図るべく、内部通報制度の運用や内部監査の実施、情報セキュリティ体制の構築等により、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおりますが、急速な事業拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)特定人物への依存について

 当社の代表取締役社長である苗代亮達は当社の創業者であり、設立以来、最高経営責任者として経営方針や経営戦略等、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしております。特定の人物に依存しない体制の構築を目指しておりますが、現在においても同氏の影響力は大きなものとなっております。そのため、同氏が退任、その他の理由により当社の経営から退くような事態が発生した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)競合他社の出現について

 当社が、全国展開を図っている主力の「PDハウス」は、一般的な介護施設では提供できないパーキンソン病を患った方への専門的なリハビリサービスの提供を他社との差別化要因の一つとしております。

 当該事業の遂行に必要な特許等は存在しないため、当社のビジネスモデルを模倣し、同様のサービス提供する競合他社が現れる可能性があります。現在、当社では、大学、研究機関との共同研究(ICT制御に基づく在宅医療開発講座、ホログラムを使った3次元遠隔診療システムの実証実験、VR(仮想現実)を活用したリハビリテーションの効果検証)を実施し、新たなサービスの開発に努めておりますが、競合他社の新規参入等による競合環境が激化した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)情報管理について

 当社は、事業を行う上で入手した顧客に関する様々な個人情報を保有しております。

 情報管理については、従業員との情報管理に関する誓約書の締結、社内規程の整備及び社員教育の徹底等、管理体制の強化に努めることで内部からの情報流出を抑止しており、インターネットセキュリティの強化及び事業所の防犯対策等の実施により外部者の不正な情報取得を防ぐなど、可能な限りの対策を取ることとしており、情報漏えいリスクの顕在化については、限りなく低いと考えております。しかしながら、これらの情報が外部に漏えいした場合、当社に対する信用失墜や損害賠償請求等によって当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)信用・評判について

 介護事業においては利用者、そのご家族及び関係者の方々からの信頼の下、サービスを提供しております。施設での不適切な運営や不正請求、職員の不祥事等により、当社及び当社が提供するサービスについて信用を失った場合、または評価が低下した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクに対して当社は、経営理念、ミッション及び行動指針を定め、役職員に周知徹底しているほか、利用者の方が気持ちよく施設を利用できるよう様々な研修プログラムを役職員に対し提供し、高品質なサービス提供を通じて、利用者様等からの信頼の獲得に日々励んでおります。

 

(15)減損会計について

 当社は、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として、主に施設を基本単位としてグルーピングしております。介護施設の新規開設後の実績が計画どおりであるかを経営会議においてモニタリングし、減損に関するリスクの低減に努めております。しかしながら、外部環境の著しい変化等により、施設収益が悪化し、施設における営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなった場合には、固定資産について減損損失を計上することとなり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)調達資金の使途について

 当社の株式上場時における公募による調達資金の使途については、新設施設の設備資金等に充当する予定であります。しかしながら、当社を取り巻く外部環境や経営環境の変化に対応するため、調達資金を予定以外の使途に充当する可能性があります。また、資金使途の効果が、当社の想定と異なった場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)訴訟等の可能性について

 当社は、サービスの提供にあたって法令遵守の徹底及び顧客や取引先とのトラブル回避に努めており、現時点において業績及び財政状態に影響を及ぼす訴訟が提起されている事実はありませんが、今後予期せぬ事象の発生により、訴訟その他の請求が発生した場合、これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクについては、現時点で顕在化のリスク及び影響を予測することはできませんが、研修等を通じて役職員のコンプライアンス意識を高めるほか、顧客及び取引先等と日頃から良好な関係の構築に努めることが、当該リスク顕在化の抑制につながると考えております。

 

(18)地域との関係について

 介護・医療サービスの提供という事業性から、事業の収益性に課題が生じた場合においても、撤退時の利用者の行き先確保、賃貸借契約上の制約、医療機関や行政機関との関係性の維持等から即時撤退を行うことが困難な場合があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)長期賃貸借契約について

 当社が運営する施設の中には、長期賃貸借契約に基づいているものがあり、一定期間は事業撤退の制約が課せられます。これに反した場合は中途解約による違約金等の支払いが生じる可能性があります。

 また、契約期間満了後において契約更新が難しい場合がありますが、その場合は計画的に新たな移転先を決める事としており、当該リスクが顕在化する可能性は限りなく低いと考えております。

 

(20)資金の流動性について

 当社は、施設の開設等に充当するための資金を、金融機関等から調達しております。国内外の金融市場の混乱や金融規制の変更、当社への金融機関の融資方針の変更など調達環境に大きな変化が生じた場合には、資金調達の制約や調達コストの増加などにより、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクについては、資金調達を行う際に、資金需要の見通しに基づき、手元流動性の確保に努めるほか、固定金利での調達やデリバティブ取引等も選択肢として検討し、資金調達時点において、最適な調達方法を検討しており、リスクの低減に努めております。

 

(21)有利子負債に関するリスク

 当社では、運転資金及び新規出店の設備投資資金を金融機関からの借入金で調達しており、当事業年度末の有利子負債残高は6,599百万円、有利子負債自己資本比率は1,136.3%となっております。今後、新規施設の開設に伴い有利子負債依存度が相対的に高い水準で推移していくことが予想されますが、収益性の向上を図ることによって拡大する内部留保資金を設備投資に充当することで、有利子負債の上昇を可能な限り抑えていく方針であります。しかしながら、現行の金利水準が変動した場合や計画どおりの資金調達ができなかった場合、また、新規出店のための開設資金を借入金で調達した場合には、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

(22)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、当社の役員、従業員に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションによる新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が一定程度希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のために同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。さらに、新株予約権の行使により取得した株式が市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在これらの新株予約権による潜在株式数は220,000株であり、発行済株式総数(自己株式を除く)9,501,000株の2.3%に相当しております。

 

(23)大株主との関係について

 当社の代表取締役社長である苗代亮達は、当社の大株主であり、直接保有並びに同氏が支配株主である株式会社杏での間接保有を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数(自己株式を除く)の69.1%を保有しております。今後も安定株主として中長期的に一定の議決権比率を維持する一方で、議決権の行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。しかしながら、何らかの事情により、大株主である同氏の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度における資産合計は9,015百万円となり、前事業年度末から4,227百万円増加しました。これは主に、「PDハウス今宿」、「PDハウス岸部」、「PDハウス藤沢」、「PDハウス門真」、「PDハウス板橋」のリース資産計上や、「PDハウス秋吉」の土地購入によるものです。

(負債)

 当事業年度における負債合計は8,434百万円となり、前事業年度末から4,300百万円増加しました。これは主に、「PDハウス今宿」、「PDハウス岸部」、「PDハウス藤沢」、「PDハウス門真」、「PDハウス板橋」のリース債務計上や「PDハウス秋吉」の建設に伴う新規借入金によるものです。

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は580百万円となり、前事業年度末から73百万円減少しました。これは主に、配当の支払いにより利益剰余金が減少したことによるものです。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大の長期化や新たな変異株の発生による断続的な感染拡大が続く中、ワクチン接種の普及により経済活動も徐々に持ち直していくことが期待されますが、ロシアのウクライナ侵攻に伴う経済封鎖の影響なども相まって、資源・原材料価格が高騰し、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社の関連する介護及び医療環境につきましては、団塊の世代が全て75歳以上の高齢者となる2025年に向けて、高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられる社会の実現(地域包括ケアシステムの構築)への取り組みが進められています。地域に関わらず適切な医療・介護が受けられる体制が求められ、質の高い在宅医療・訪問看護の確保が重要となってきています。さらに指定難病においてはその専門性を有することから、専門病院や専門介護のニーズが今後ますます高まっていくものと考えております。

 このような環境のもと、当社は、パーキンソン病専門施設である「PDハウス」の全国展開を加速させております。当事業年度において、「PDハウス今宿」(九州3棟目)、「PDハウス西宮の沢」(北海道2棟目)、「PDハウス岸部」(関西初)、「PDハウス藤沢」(関東2棟目)、「PDハウス門真」(関西2棟目)、「PDハウス板橋」(関東3棟目)を新規開設いたしました。また、管理体制の強化のため、東京本社を移転拡張いたしました。これを機にさらなる事業拡大を目指してまいります。

 以上により、当事業年度における経営成績は、売上高8,174百万円(前年同期比52.4%増)、営業利益245百万円(前年同期比13.4%減)、経常利益103百万円(前年同期比62.6%減)、当期純利益は10百万円(前年同期比94.7%減)となりました。

 なお、当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて318百万円増加し、814百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは378百万円の資金増加(前事業年度は201百万円の資金増加)となりました。これは法人税等の支払額が98百万円であったほか、増収に伴い売上債権の増加額が607百万円となった一方で、税引前当期純利益101百万円、減価償却費311百万円、賞与引当金の増加104百万円、診療報酬返還に伴う負債の増加245百万円、未払金及び未払費用の増加254百万円が生じたことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは633百万円の資金減少(前事業年度は648百万円の資金減少)となりました。これは有形固定資産の取得による支出452百万円、敷金の差入による支出143百万円が生じたことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは573百万円の資金増加(前事業年度は489百万円の資金増加)となりました。長期借入金の返済による支出290百万円、配当金の支払額84百万円があったものの、短期借入金による収入1,040百万円があったことなどによるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注に該当する事項がないため、受注実績に関する記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

 なお、当社は介護事業の単一セグメントであるため、サービス区分別の販売実績を記載しております。

サービス区分の名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

PDハウス           (千円)

4,794,256

231.6

医療特化型住宅         (千円)

2,343,960

102.2

グループホーム         (千円)

161,869

100.5

デイサービス          (千円)

392,566

100.5

福祉用具事業          (千円)

438,052

107.5

加圧トレーニング事業      (千円)

44,133

104.3

合計(千円)

8,174,839

152.4

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

石川県国民健康保険団体連合会

2,807,050

52.3

2,990,353

36.6

福岡県国民健康保険団体連合会

582,412

10.9

1,111,509

13.6

富山県国民健康保険団体連合会

643,589

12.0

2.当事業年度における富山県国民健康保険団体連合会に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果とは異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は「自らが輝き、人を元気にする」を経営理念に掲げております。わが国は2007年に超高齢社会(公益財団法人長寿科学振興財団の定義)へと突入し、2025年に団塊の世代がすべて75歳以上(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」)となることを契機に、高齢化の様相は今後一層強くなり、介護・医療の需要はさらに高まるとされています。一方で、介護・医療の制度を経済的に、また人的に支える労働人口の減少が予測されており、今後の高齢化の進展に対応し得る介護・医療の持続可能な制度設計がわが国の根本的、かつ緊要な課題のひとつであることは論をまちません。

 当社では、この課題に対して、指定難病であるパーキンソン病患者を対象とした「PDハウス」とこれに関連するサービスの提供を通じて、地域の介護・医療資源を効果的かつ効率的に利用できる仕組みづくりを行うことで応えてまいります。地域では、病床削減とこれに伴って療養の場を病院から在宅(自宅や施設等)へ移すとする政策を受けて、特に慢性期や終末期における介護・医療の需要が高まっております。パーキンソン病患者は慢性期が長期化する傾向があることから、当社にとって有利な事業環境であり、引き続き事業を積極的に展開していく背景となっております。

 

 当事業年度において、当社では新たに6施設(福岡県福岡市「PDハウス今宿」、北海道札幌市「PDハウス西宮の沢」、大阪府吹田市「PDハウス岸部」、神奈川県藤沢市「PDハウス藤沢」、大阪府門真市「PDハウス門真」、東京都板橋区「PDハウス板橋」)を開設いたしました。当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

(売上高)

 当事業年度の売上高は8,174百万円となり、前事業年度より2,809百万円の増加となりました。これは主に、既存施設及びサービスの利用率が向上し、また新規に「PDハウス」を開設(6施設)、サービス提供が開始されたことにより介護保険及び医療保険収入が生じたことなどによります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は6,314百万円となり、前事業年度より2,286百万円の増加となりました。これは主に、新規に「PDハウス」を開設したことに伴い採用した施設従業員の人件費が生じたことなどによります。この結果、売上総利益は1,860百万円(前年同期比39.1%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は1,615百万円となり、前事業年度より560百万円の増加となりました。これは主に、業務の規模拡大に伴い採用した本社従業員の採用費用及び人件費が生じたことなどによります。この結果、営業利益は245百万円(前年同期比13.4%減)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当事業年度の営業外収益は25百万円となり、前事業年度より18百万円の減少となりました。これは主に、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策に対する補助金等が減少したことなどによります。また、当事業年度の営業外費用は167百万円となり、前事業年度より117百万円の増加となりました。これは主に、新規出店によりリース債務の支払利息が増加したことなどによります。この結果、経常利益は103百万円(前年同期比62.6%減)となりました。

 

(特別利益、特別損失)

 当事業年度の特別利益は0百万円となりました。これは、株式譲渡に伴う投資有価証券売却益が発生したことによります。また、当事業年度の特別損失は2百万円となりました。これは主に、札幌支社閉鎖に伴う固定資産除却損が発生したことなどによります。

 

(当期純利益)

 当事業年度の法人税等合計は90百万円となり、この結果、当期純利益は10百万円(前年同期比94.7%減)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の資金需要のうち主なものは、新規施設開設のための資金、運転資金等となっております。当社の資金調達については、自己資金及び金融機関からの借入れ等で実施しております。なお、これらの資金調達方法については、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行い、決定しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

 当社は介護サービスの提供を行っておりますが、現在運営している施設については、稼働率も順調に推移しているほか、介護保険制度や医療保険制度において報酬が決まっていること等により売上高を増加させることは難しいため、今後はコスト削減及び運営の効率化等により利益率を向上させ、強固な収益基盤を構築したいと考えております。

 成長戦略としましては、北陸エリアで2019年3月期に第1号施設を開設し、2020年3月期に全国展開を開始後、当事業年度末において全国12か所で運営を行っているパーキンソン病患者専門の有料老人ホーム「PDハウス」が、高い稼働を維持していることから、「PDハウス」の新規開設を積極的に推進してまいります。これまでパーキンソン病患者専門の有料老人ホームが無かったことに加え、高齢化社会の進行により同疾患患者数が増加しており、需要が高まっていることを受け、各都道府県における患者数等を勘案し、施設の開設を進めてまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社の経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後さらなる成長を遂げるためには、さまざまな課題に対処することが必要であると認識しております。

 それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、「PDハウス」による競合との差別化を推進し、さらなる事業拡大を図ってまいります。

 

⑦ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高及び経常利益率を重要な経営指標としております。

 「PDハウス」の事業拡大により、売上高については、当事業年度は8,174百万円と前年同期比で52.4%増加しております。これは、現時点において予定どおりの進捗となっており、堅調に推移しているものと認識しております。一方で、経常利益率については、当事業年度は1.3%と前年同期比で3.9ポイント減少しております。これは、新規出店に係る先行投資をした影響によるもので、高収益企業へのさらなる成長に向けた基盤固めが進んでいるものと認識しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社では、順天堂大学医学部神経学講座と共同し、2019年10月に共同研究講座「ICT制御に基づく在宅医療開発講座」を開設しております。この共同研究講座では、2019年10月より当社のパーキンソン病専門の有料老人ホームにおいて検証実施を始めた、ICT(情報通信技術)によるマルチセンサーやウェアラブル端末によるモニタリングによって、患者のバイタル、活動量、消費カロリーといったビッグデータを蓄積することで、病気の進行状況が数値化され、高い診療効果を得ることや、24時間変動を把握することで正確な薬剤調整に繋がることが期待できます。このようにデータ収集・解析を行い、パーキンソン病患者の日常生活動作(ADL)上の障害を検出し、住宅のハード面及びソフト面における介入を行うことにより、パーキンソン病患者の生活の質(QOL)を改善するホームアダプテーションの研究・開発を行っております。また、当社従業員に対するパーキンソン病に関連する基本や最新情報についてのオンラインセミナーが開催され、パーキンソン病の理解や知識レベルの向上を図っております。また、2020年10月よりVR(仮想現実)技術を用いて姿勢制御及び二重課題型の認知機能を定量的に測定できる医療機器の導入及び効果検証を実施しており、ゲーム感覚で取り組むことによって楽しく継続できたり、歩行速度や身体バランスの改善が期待できます。さらに、2021年に順天堂大学がリリースした遠隔地を映し出す3次元オンライン診療システムの実証実験を当社では2021年6月より共同実施しており、全身観察でより精度の高い診察が可能となったり、通院や待ち時間における身体的苦痛の解消が期待できます。

 これにより、当事業年度の研究開発費の総額は23百万円であります。当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。