第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

スマートフォン等のデバイスが浸透し、ありとあらゆるものがIoT化された世界では、インターネット(オンライン)上の“デジタル行動”のみならず、実世界での“リアル行動”も含めた行動分析に基づき、自分の身の回りの環境が自分のことをもっとよく理解してくれる“環境知能”を前提としたマーケティングコミュニケーションから、新たなビジネス価値が生まれます。当社は、「心地よい未来を、データとつくる。」というミッションを掲げ、実社会のデータを解析し、リアルとデジタルが融合した「環境知能」を未来に実装します。さまざまな不便を解消するのはもちろん、地域や交通における社会課題までも改善させ、生活のUX(注1)を心地よくしていきます。

私たちは、未来のメガネで社会を見つめ、より多様な選択肢や出会いにあふれる時代の“うねり”をつくりだします。

 

(注) 1.UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザがプロダクトやサービスを通して得られた体験を表す言葉です。

 

(2) 経営環境

① 市場規模、市場動向について

当社では主にリテールDX、リテールメディア、スマートシティ領域にてリアル行動ビッグデータを活用し、マーケティングや街づくりに必要なサービスを提供しております。

リテールDX市場は、国内において2030年に2019年比で1.6倍となる8,737億円(注2)に、グローバルにおいて2030年に2021年比で6.7倍となる20兆円(注3)に成長することが見込まれております。リテールメディア市場は、国内において2026年に2021年比で8.9倍となる805億円(注4)に、米国において2027年に2021年比で3.4倍となる15兆円(注5)に成長することが見込まれております。スマートシティ市場は、国内において人流・センサーデータ等を集約する都市OS(注6)が2030年に2020年比で37.2倍となる335都市(注7)に増加することが見込まれ、人流と親和性の高いスマートシティIoTの世界市場は2030年に2020年比で6.4倍となる171兆円(注8)に成長することが見込まれております。

 

(注) 2.株式会社富士経済「リテールテック関連機器・システム市場の将来展望 2019」の小売、外食、宿泊業向け機器、システム&サービスの2030年市場規模

3.Verified Market Research「Global Smart Retail Market Size By Product Type (Hardware, Software), By Application (Visual Marketing, Smart Label), By Geographic Scope And Forecast」

4.株式会社CARTA HOLDINGS、株式会社 デジタルインファクト「リテールメディア広告市場」

5.eMarketer「Retail Media Ad Spending Forecast」

6.防災や交通、エネルギー、観光、ヘルスケアなど、都市のさまざまな分野のデータを蓄積・分析し、他の自治体や企業、研究機関などと連携可能なプラットフォーム

7.株式会社矢野経済研究所「国内スマートシティ市場、都市OS実装エリア数を予測(2020年)」(2020年10月26日発表)

8.Report Ocean「IOT IN SMART CITIES: GLOBAL MARKET 2020-2030 BY OFFERING (HARDWARE, SOFTWARE, SERVICES), PRODUCT TYPE, TECHNOLOGY, APPLICATION (CITIZEN SERVICE, TRANSPORTATION, UTILITIES, HOME & BUILDING), AND REGION」

 

②  競争優位性について

当社は独自特許や独自AIによる技術優位性を活かし、ネットワーク効果を持つビーコンプラットフォームや業務効率性の高いプロダクトを開発しており、競争優位性の源泉はビーコンシェア・次世代IoTの技術特許や独自AIの開発による「位置情報に関する技術優位性」、強いネットワーク効果を有するビーコンプラットフォーム、ワンストップでの施策実行や業界を牽引するプライバシー対応による「プラットフォームの優位性」の2点に起因していると考えております。その結果として、当社は屋外・屋内のシームレスなデータから生活者の行動を予測し、リアルタイムに必要な情報をレコメンドできる各種サービス提供を可能としており、競合サービスとは違う優位性を構築しております。今後長期的な成長を続けるべくさらなる競争優位性を確保するため、位置情報ビッグデータを徹底的に科学し、ユーザの状況推定(注9)やペルソナ推定(注10)、店舗の混雑状況や来店者予測等のAIアルゴリズムを開発してまいります。また、位置情報に関連する他データ(購買データ・オンラインデータ等)との掛合せによる、広告効果測定、品揃え予測、キャッシュレスの推進等の先進的かつ高度な用途にも挑戦してまいります。

 

(注) 9.徒歩・自動車・電車などの移動手段、日常・非日常の活動状況等を推定。

10.サービス・商品の典型的なユーザ像のこと。


③ 主要製品・サービスの内容について

当社の主要なサービスの内容につきましては、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (2)サービスの内容」に記載しております。

 

④ 顧客基盤及び販売網について

当社は主に、小売事業者、商業施設運営事業者、消費財メーカー、自治体向けにサービスを提供しており、当社からの直接の営業アプローチに加えて、業務提携先からのご紹介等を通じて受注をおこなっております。

 

(3) 中期的な経営戦略

当社は、どんな店舗や街に行っても、どんな情報に触れていても、当社の行動データが活用された環境知能が実装されている状態を指す「unerry, everywhere」の実現を目指しております。「unerry, everywhere」の実現にあたっては、多くのメガプレイヤーが自社ユーザに対する垂直型のエコシステムを構築する中、当社は、これらのメガプレイヤーと連携して総合的なサービスを作り上げていく横断型のエコシステムを確立することで差別化を図っていきます。そのために、様々なデータやサービスなどリアルとデジタルを融合したあらゆる生活者行動を独自のIDで連携するデータエコシステムの確立を進めております。

 


 


 

 

現在の主力事業であるリテールDX事業で培ったノウハウをベースに、リテールメディア事業及びスマートシティ事業を拡大することで、国内のエコシステムを拡大し、さらには、その成功モデルをグローバルへと派生拡大させ、2028年6月期に売上高100億円を目指しております。

 


 


 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社の顧客は、より高い効果を得るため、当社が展開する3つのサービス(分析・可視化サービス、行動変容サービス、One to Oneサービス)を横断的かつ継続的に活用していただいております。このように継続的に取引いただいている顧客について、当社では、①4四半期以上連続で取引のある顧客企業、及び②直近3ヶ月以上連続で取引のある新規顧客企業を「リカーリング顧客」と定義しております。

当社では、持続的な成長と企業価値向上を目指しており、直近では拡大する市場を積極的に取り込むべく売上高の成長率と、それを支えるリカーリング顧客に関する指標(リカーリング顧客売上高、リカーリング顧客売上高比率、リカーリング顧客数、リカーリング顧客平均売上高、NRR)を重視しております。直近における各サービス別の売上高成長率及びリカーリング顧客に関する指標は以下のとおりであります。

        (千円、社)

サービス名/リカーリング顧客関連指標

第5期事業年度

(自 2019年

7月1日

至 2020年

6月30日)

第6期事業年度

(自 2020年

7月1日

至 2021年

6月30日)

第7期事業年度

(自 2021年

7月1日

至 2022年

6月30日)

第8期事業年度

(自 2022年

7月1日

至 2023年

6月30日)

第9期事業年度

(自 2023年

7月1日

至 2024年

6月30日)

分析・可視化

サービス

193,816

79.3%

190,585

△1.7%

503,614

164.2%

598,387

18.8%

870,572

45.5%

行動変容

サービス

274,229

97.8%

388,219

41.6%

576,608

48.5%

873,534

51.5%

1,190,765

36.3%

One to One

サービス

109,218

63.9%

204,213

87.0%

366,103

79.3%

604,816

65.2%

773,569

27.9%

売上高合計

577,264

84.2%

783,018

35.6%

1,446,325

84.7%

2,076,737

43.6%

2,834,907

36.5%

リカーリング顧客

売上高

485,391

713,547

1,247,950

1,869,435

2,539,517

リカーリング顧客

売上高比率

84.1%

91.1%

86.3%

90.0%

89.6%

リカーリング顧客数

21

37

49

78

109

リカーリング顧客

平均売上高

23,113

19,285

25,468

23,967

23,298

NRR(※)

150.7%

110.4%

160.1%

123.9%

124.2%

 

※サービス別売上高の上段は売上高、下段は売上高成長率を記載しております。

※NRR(ネットレベニューリテンションレート)は、以下の式で算出しております。
NRR=(前期以前に獲得したリカーリング顧客の当期売上高)÷(当該顧客の前期売上高)

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 

① 安定的売上の確保

安定的な収益基盤を確立するため、リアル行動分析・可視化ツールをSaaSとして導入する企業を拡大し、そこから出てきた顧客課題を積極的に提案することで、行動変容サービス及びOne to Oneサービスをクロスセルし、顧客に継続的にサービスを利用していただくことが重要であります。当社では、継続的に取引いただいている顧客について、4四半期以上連続で取引のある顧客企業および、直近3ヶ月以上連続で取引のある新規顧客企業を「リカーリング顧客」と定義しており、このリカーリング顧客の数を積み上げていくとともに、クロスセルの推進により売上高に占めるリカーリング顧客の売上比率を90%程度に保つことで、安定的な売上を確保してまいります。

 

② 新規事業の展開

「心地よい未来を、データとつくる」というミッションの下、事業規模拡大と収益多様化を図るため、既存事業はもちろん、新規事業にも積極的な投資を行ってまいります。「中期的な経営戦略」に記載しましたリテールメディア・スマートシティ(都市OS)を軸に、事業領域を拡大させることで、新規顧客の獲得とともに新たな収益源の確保を図ります。

 

③ 優秀な人材の確保と育成

当社は、今後の事業拡大や継続的な成長を目指す上で、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると考えております。特に社員の半数以上を占めるデータ関連人材については当社の競合優位性を支える中核的な人材と捉えており、社内教育制度を充実させながら、スキル向上にも取り組んでおります。そのため、引き続き積極的な採用活動や社外ネットワークの強化を行うとともに、働きやすい環境の整備や育成機会の拡充など人材に対する投資を行ってまいります。

 

④ 内部管理体制の強化
a コーポレート・ガバナンスの強化

株主を含めたステークホルダーとの良好な関係の構築のためには、社会的信用を維持・向上させていく必要があると認識しております。取引先をはじめとした社外関係者との良好な取引関係を維持していくには、当社も社会的信用を維持していく必要があります。また、世間に広く有効なビッグデータを提供していく社会的責任を果たす必要があると認識しております。

そのため、コーポレート・ガバナンス体制を構築し、内部管理体制及び人員増を含めた管理部門の強化を推進してまいります。また、内部監査人と監査役との連携強化等の施策により業務執行の適法性・妥当性を監視する機能を強化し、財務報告に係るリスクを最小化して、経営の健全化に努めてまいります。

 

b 経営管理体制

当社が継続的な開発パイプラインの拡充および事業開発の展開を進める上で、パイプラインの進捗管理、予実管理等を行うための経営管理体制の強化は重要な課題と認識しております。当社は、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように、パイプラインの進捗モニタリングを行うための内部統制の整備、強化、見直しを行っていく方針です。

 

⑤  資金調達・財務基盤の強化

人材の採用・育成及びその他事業活動に多額の資金が必要となってまいります。これらの資金を外部から調達する必要があり、中長期的な視点から、財務基盤の強化のためにも、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資等を通して、事業の運営、プロダクトの開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。

 

⑥ 情報セキュリティの強化

近年外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、マルウェア等のコンピュータウイルス等によりシステム障害が発生する事例や、機密情報や個人情報等が漏洩する事例が増加しております。当社は、情報システム及び通信ネットワーク上の障害や外部からのサイバー攻撃等に備えるため、ファイアウォールシステムの構築や不正アクセスの監視、定期的なデータバックアップ等の対策を実施しておりますが、今後も必要に応じて適宜情報セキュリティの強化を行ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、「心地よい未来を、データとつくる。」をミッションに掲げ、リアル行動データを活用した顧客課題・社会課題の解決を通じ、継続的に企業価値を向上させるとともに、社会の持続的な発展に貢献してまいります。また、サステナビリティに関する課題の中でも、人的資本を最重要課題と認識しており、以下の取り組みを実施しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社は、人的資本戦略推進において、具体的な取り組みであるKPIの進捗状況や人事施策の効果・課題については取締役会および経営会議で定期的に議論をしながら進めています。

また、リスクの早期発見・対処のため、エンゲージメントサーベイなどを活用してモニタリングする体制を整備、また、内部通報窓口を設置し、ガバナンスの強化に努めています。

 

(2) 戦略

人的資本戦略の柱として、5つのテーマ「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の浸透」、「未来をつくる人材の継続的な確保・拡大」、「グローバル企業としてのダイバーシティ実現」、「チャレンジを褒め称えるチームワーク」、「プロダクトリソースシフト」を設定し、それぞれのテーマにおいて独自の施策やKPIを設定し、長期的な企業価値の最大化を実現します。

 


 

① ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の浸透

 年1回のMVV合宿(オフサイトミーティング)や定期的なマネジメント層との面談実施を通じてMVVの浸透を図り、従業員エンゲージメントの向上および採用力の強化に取り組んでまいります。

 


 

② 未来をつくる人材の継続的な確保・拡大

 全社員に対する独自のデータ研修やチューター/メンター制度によるフィードバック、資格取得支援制度などを通じてデータ専門職の採用・育成およびデータ人材の拡大に注力してまいります。

 


 

③ グローバル企業としてのダイバーシティ実現

 事業の海外展開に向けて多様な人材が活躍する組織を目指して外国籍社員の積極的な登用や語学研修、学習サポートを充実させます。

 


 

④ チャレンジを褒め称えるチームワーク

 Unipos株式会社が提供する、従業員同士がお互いの良い行動を感謝・賞賛し、少額のインセンティブを添えて投稿するサービスのUnipos(ユニポス)を導入し、チャレンジが賞賛され、チーム間が助け合う組織風土を作り上げていきます。

 


 

⑤ プロダクトリソースシフト

 生産性の更なる向上のため、事業開発チームの一部をプロダクトチームにシフトし、人員増に連動しない成長を目指します。

 

(3) リスク管理

当社は、2024年6月期において従業員数が約1.2倍に増加し、事業の成長とともに組織としても急成長してまいりました。組織化が進み、チームが形成され業務が細分化していく中で、業務目的が不明瞭になることによるモチベーションの低下やチーム間調整コストの発生による生産性の低下がリスクとして挙げられます。

当社は、上記リスクに対する管理として、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の浸透施策やその他エンゲージメント施策などを実施し、eNPS(職場に対する推奨度)などの指標の測定などを通じて従業員の状態を把握し、従業員のモチベーションの減退や退職リスク等に備え、従業員が生産性高く業務に取り組める環境づくりを整備します。

また、当社においては、労働市場をめぐる環境が大きく変化する中において、成長を支えるデータ人材の継続的な確保が困難になることもリスクとして挙げられます。

当社は、上記に対するリスク管理として、独自の施策や研修制度などによるデータ専門職の採用・育成および非データ専門職のデータ人材化に注力し、ミッション実現のための継続的な人材の確保を目指します。

 

(4) 指標及び目標

人的資本経営戦略においては、5つのテーマのうち、4つのテーマにおいて指標および2025年6月末における状態目標を定義しています。

「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の浸透」においては、従業員アンケートを通じてeNPS(職場に対する推奨度)のスコアを集計し、2025年6月末時点において▲12%を目指します。ミッション・ビジョン・バリューの浸透を通じて従業員エンゲージメントおよび採用ブランドの向上を通じて採用力が強化された状態を目指します。

「未来をつくる人材の継続的な確保・拡大」においては、データ専門職(エンジニア、データアナリスト、データサイエンティスト、マーケティングアナリストなど)比率60%以上、データ人材(業務においてビッグデータを分析・集計した実績のある社員)比率90%以上を目指し、データ専門職の育成・プロフェッショナル化・AI活用および非データ専門職のデータ人材化が達成できた状態を目指します。

「グローバル企業としてのダイバーシティ実現」においては、女性管理職30%超および社員に占める外国籍社員の比率10%以上を指標とし、多様な人材が活躍できる環境が整った状態を目指します。

「チャレンジを褒め称えるチームワーク」においては、チャレンジ賞賛指標については45%、チーム間助け合い指標については55%を指標とし、チャレンジを褒め称えるチームワークが形成された状態を目指します。

 

(参考) 人的資本に関する指標

項目

前事業年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

当事業年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

従業員数(期末)

 

従業員数

68

80

 

 

役員を含む社員数

76

88

流動性

 

採用数

25

24

 

 

退職者数

5

11

 

 

離職率

8.5

%

15.3

%

ダイバーシティ

性別

男性(管理職)

66.7

%

82.4

%

 

 

女性(管理職)

33.3

%

17.6

%

 

 

男性(従業員・管理職除く)

69.5

%

66.7

%

 

 

女性(従業員・管理職除く)

30.5

%

33.3

%

 

男女賃金差異

全体

69.3

%

73.3

%

 

 

正規

74.6

%

73.8

%

 

年代

56-60歳

-

%

-

%

 

 

51-55歳

5.1

%

1.4

%

 

 

46-50歳

3.4

%

4.2

%

 

 

41-45歳

10.2

%

9.7

%

 

 

36-40歳

20.3

%

22.2

%

 

 

31-35歳

27.1

%

23.6

%

 

 

26-30歳

23.7

%

29.2

%

 

 

20-25歳

10.2

%

9.7

%

 

育児休業取得従業員比率

男性

25.0

%

50.0

%

 

 

女性

100.0

%

-

%

 

育児休業等の後の復職率・定着率

 

100.0

%

100.0

%

 

育児休業取得従業員数

男性

1

1

 

 

女性

1

-

健康・安全

 

労働災害の発生件数・割合、死亡数等

0

0

コンプライアンス

 

コンプライアンスや人権等の研修を受けた従業員割合

100.0

%

100.0

%

 

 

苦情の件数

0

0

独自指標

ミッション・ビジョン・

バリュー(MVV)の浸透

eNPS(職場に対する推奨度)

△30.4

%

17.2

%

 

未来をつくる人材の継続的な確保・拡大

データ専門職比率 ※1

57.6

%

56.9

%

 

 

データ専門職人材比率 ※2

79.7

%

77.8

%

 

グローバル企業としての

ダイバーシティ実現

外国籍比率

8.5

%

8.3

%

 

チャレンジを褒め称える

チームワーク

チャレンジ賞賛指標 ※3、※5

36.9

%

38.5

%

 

 

チーム間助け合い指標 ※4

49.0

%

51.0

%

 

※1 従業員数におけるデータ専門職(エンジニア、データアナリスト、データサイエンティスト、マーケティングアナリストなど)が占める比率

※2 SQLなどを利用し、ビッグデータを分析・集計した実績のある従業員の比率

※3 Unipos株式会社提供するサービスUniposにおいて、チャレンジを賞賛された投稿を貰った従業員の比率

※4 Unipos株式会社提供するサービスUniposにおいて、チームを超えて投稿を貰った従業員の比率

※5 チャレンジ賞賛指標の集計方法が変更されたため、昨年度の割合を算出しなおし、変更後の割合を記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、発生する可能性が低く、当社として必ずしも重要なリスクとして考えていない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社はこれらのリスクの発生可能性を考慮した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

当社は、リスクを適切に把握するため、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 (g) リスク管理委員会」に記載しておりますリスク管理委員会を設置し、日常的にリスクの把握に努めております。

 

(1) 事業環境について

① 法的規制について(発現可能性 中、影響度 大)

当社は、人々の位置情報データを取得してAI解析することにより、マーケティングや社会課題解決の最適化を図っております。

位置情報データは、アプリケーションや各種Webサービス等において、許諾を得たユーザの端末より取得されております。取得されたデータは、生活を便利にするための情報発信、お得なクーポンや広告等の配信、市場調査や都市計画等のための統計データの作成、インフラの整備、災害時の対策等を目的として、国や地方自治体、研究機関や民間企業等において活用されております。

位置情報データは、基本的に、単体では特定の個人を識別することはできず、他の情報と容易に照合して特定の個人を識別することができない限りにおいては、個人情報保護法が定める「個人情報」には該当しません。一方、位置情報データは蓄積や利活用の方法によって、行動経路や滞在履歴が可視化されたり、特定の個人が識別されたりする可能性が高まる性質があります。当社は、複数の情報に基づきAIにて推定される属性や居住地、勤務地の情報は、実際にデータをご利用いただく際は、敢えて誤差(エリア単位の粒度とする等)をつけて利用いただくという配慮を行っております。また、当社は、一般社団法人LBMA Japan(注1)が、位置情報データの利活用に関する業界全体としての基準を定めた「位置情報関連ビジネスを展開する上での活用に関するガイドライン」に則した運用を実施するように努めるとともに、同法人が認定するLP(ロケーションプライバシー)マーク (注2)を取得しております。

しかしながら、個人情報保護委員会・公正取引委員会、他規制官庁から位置情報を利用した広告、位置情報データの分析用途に対する制限が行われた場合は、当社の収益機会に制約がかかる可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

当社は、一般社団法人LBMA Japanに設立メンバーとして参画しており、業界に重要な影響を及ぼす規制動向を注視し、必要に応じて本事業者団体を通じて働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 

(注)1.LBMA(ロケーションベースドマーケティングアソシエーション 本部:カナダ President/Founder:Asif Khan)は、世界各地に支部を持ち、多数の企業会員を持つ世界的企業連合であり、ロケーションマーケティング・サービスに関する研究と教育、共同イノベーションの促進を目的とした国際的な非営利団体であり、一般社団法人LBMA Japanは、LBMAの日本支部であるとともに、日本国内における位置情報マーケティング、サービスを推進する非営利社団法人であります。

2.一般社団法人LBMA Japanが定める共通ガイドラインに準拠し、プライバシーに配慮した適切なガバナンスを行っていることを、客観的な審査により認められた組織に対して付与される認定制度

 

② レピュテーションリスクについて(発現可能性 低、影響度 大)

当社は人々の位置情報データを、Bluetoothが有効となっているスマートフォンやタブレット等を通して、またはアプリケーションとの連携を前提として、合法かつ適切に取得、分析し、企業の広告配信や市場調査等に利活用しておりますが、一般のユーザにより、「データが取得されていることの不快感」をSNSやブログ等において指摘され、非難を受けるリスクがあります。位置情報取得・活用に関する悪いイメージが広がった場合、位置情報データを利活用しようとする企業等が減少し、位置情報データを中心としたリアルタイムビッグデータを高精度にAI解析し、ソリューションを提供している当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

当社は、当社の位置情報技術(SDK)(注)を各社のアプリケーションと連携させるにあたり、本アプリケーションをダウンロードするエンドユーザへの許諾プロセスを必ず導入することにより、データの取得・活用における透明性を図り、位置情報データ利用に関する否定的な風評が広まることのないように努めております。今後もプライバシー保護に配慮し、位置情報の取得に係るエンドユーザの理解を得られるよう努めていきます。

 

(注) SDK(ソフトウェア開発キット)とはアプリに組み込むプログラムをいいます。

 

③ 競合との競争激化によるリスクについて(発現可能性 低、影響度 中)

位置情報を活用したマーケティング企業は増加傾向にあり、技術的な側面からみた参入障壁は、著しく高いものとは言えず、したがって、資金力、ブランド力を有する大手企業をはじめとする競合他社が参入し、今後類似サービスを提供する事業者の増加が予想されます。それにより、価格競争など市場競争が一層激化し、サービス価格の引き下げを強いられる、または市場シェアが低下するなどにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。あるいは、全く新しい発想や技術を活用した競合サービスが登場し、かつそれが市場に支持されることにより、当社サービスの相対的な優位性が低下した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、これらのリスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

当社は、ネット・リアルの売上を最適化するためのDXコンサルティング、CDP構築、モバイルアプリ開発、総合的な広告サービスを提供することで、業界最先端の事例創出を目指し、実験的取組みを実施し、新しい用途開発を行うことでサービス領域の拡大に努めるとともに、位置情報・関連リアルデータを活用したAIアルゴリズム・Ambient技術(注)開発に取り組み、業界での地位確立に努めております。

また、当社はショッパーみえーるをはじめとしたSaaS製品を開発し、クライアントからの継続的な収益を確保することに注力しております。SaaS製品を入り口として広告やアプリ開発等その他の自社サービスの利用により解約率の低下に努めております。結果として、安定した収益体制を構築することで業績が低下するリスク低減を図ります。

 

(注) Ambient技術とは、数理統計・最適化理論に基づく汎用データ解析技術のことであります。

 

④ 位置情報提供ユーザの減少について(発現可能性 低、影響度 大)

当社は、ビーコン等IoTセンサーが発する信号をBluetooth接続されているスマートフォン等のデバイスがキャッチする仕組みにより位置情報を取得しておりますが、Apple, IncやGoogle LLCが、デバイスの位置情報の取得条件を厳しくするなどiOS/Androidの方針変更を行った場合、位置情報連携アプリの減少によりログ採取量が減少いたします。取得データの絶対量が減少することによりデータ解析精度が低下し、高精度にターゲットを選定した効果的な広告配信サービス等、ビッグデータ解析に基づくサービスが成り立たず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

当社は、常にApple, IncやGoogle LLCのルール変更の動向について情報収集、調査を行い、両社の変更に対して迅速に対応できる体制を整備しております。また、別の手段にて位置情報データを取得できるよう、リスク低減のための開発を進めております。

 

⑤ 技術革新について(発現可能性 低、影響度 中)

当社が主として事業を展開しているIoT、AI分野は技術革新のスピードが非常に速いため、新技術による新製品開発、サービス開発、新市場の開拓に継続的に取り組んでおります。しかしながら、万一新技術等への対応に遅れが生じ、提供している技術が陳腐化する場合や、採用した新技術等が浸透しなかった場合、顧客ニーズの変化に適切に対応できず事業競争力が低下した場合、あるいは顧客ニーズに応えるために新技術及び新サービス開発に多額の資金が必要となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、予測不能な外部環境の変化やニーズの読み違いにより、開発した新機能や新サービスが期待どおりの成果を上げられない場合、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、これらのリスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

当社は、最新の技術や顧客ニーズを全社的に収集、共有する仕組みを構築しており、優秀な人材の確保や教育によるマーケティングや技術開発のノウハウの蓄積等に積極的に取り組み、技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。

 

⑥ 新規事業について(発現可能性 中、影響度 中)

当社は、今後も事業規模の拡大及び収益基盤の強化のため、新サービスもしくは新規事業の展開に積極的に取り組んでまいりますが、これにより、人材の採用やシステム開発等の追加的な投資が発生し、安定的な収益を生み出すには時間を要することがあります。また、新サービス、新規事業の展開が当初の計画通りに進まない場合には、投資を回収できなくなる可能性があること、新サービス、新規事業の内容によっては固有のリスク要因が加わる可能性や、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、これらのリスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

⑦ 海外市場について(発現可能性 中、影響度 中)

当社は、事業拡大戦略の一環として、海外展開を行っております。進出にあたっては、現地の市場動向や関連法令の有無・内容等に関する調査を行い、慎重な判断を行っておりますが、今後、予期しない法規制の変更、政情不安等による社会的混乱等のリスクが顕在化し、当初の計画どおりに事業展開が進展しなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 
⑧ 業績の季節偏重について(発現可能性 高、影響度 小)

当社の売上高は、下表のように、3月決算である顧客の予算執行サイクルにより、第3四半期(1月から3月)に偏重する傾向があります。

一方で、原価における固定的な費用と販売費及び一般管理費は定常的に発生することから、営業利益については同四半期において最も高くなる傾向があります。したがって、季節偏重のない業種に比べて売上高及び利益の変動が起こりやすいほか、繁忙時のリソースを確保しておく必要があり、売上高の小さい第1・2四半期においては、原価の一部と販売費及び一般管理費等の経費は固定費として、比較的均等に発生するため営業赤字となることがあります。なお、第9期(2024年6月期)における当社の四半期の売上高、営業利益の推移は以下の通りです 。

 

 

第1四半期

(7月~9月)

第2四半期

(10月~12月)

第3四半期

(1月~3月)

第4四半期

(4月~6月)

通期

売上高(千円)

490,030

658,111

937,047

749,718

2,834,907

構成比(%)

17.3

23.2

33.1

26.4

100.0

営業利益(千円)

△46,948

12,741

207,627

5,641

179,061

 

 

(2) 事業運営について

① 知的財産権侵害について(発現可能性 低、影響度 中)

当社が行う位置情報・関連リアルデータを活用したAIアルゴリズム・Ambient技術開発においては、特許や著作権等の知的財産権の確保が事業遂行上重要な事項であり、独自の技術・ノウハウ等の保護・保全や第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払っておりますが、今後、当社事業分野における第三者の特許等が成立した場合、また当該事業分野において認識していない特許等が既に成立している場合、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性及び特許に関する対価(ロイヤリティ)の支払等が発生する可能性があります。この結果、当社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

当社は、技術開発の段階において、他社の知的財産権の侵害状況について特許事務所に調査を依頼する等、細心の注意を払っております。

 

② 品質低下について(発現可能性 低、影響度 小)

当社は、取得・分析するデータボリュームの低下や対応要員のひっ迫等により、広告の運用、分析レポート、アプリ開発など様々なデリバリーにおいて品質低下を招くことがないよう、デリバリープロセスにおける役割の明確化、標準化、分散化を図っております。しかしながら、不測の事態等やむを得ない状況により品質低下を招いてしまった場合は、顧客からの信頼を失い、結果として当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

③ システムトラブルについて(発現可能性 低、影響度 大)

当社は、コンピューターシステムの管理に細心の注意を払い、システム障害等のトラブルが発生することのないよう運営にあたっており、万一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できる体制を整えております。しかしながら、システムへのアクセス急増等一時的な過負荷や電力供給の停止、当社ソフトウエアの不具合、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社の予測不可能な様々な要因によってコンピューターシステムがダウンした場合、当社の事業活動に支障をきたし、その結果、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ヒューマンエラーその他予期しない要因により、情報漏洩や受託開発アプリの不具合が発生した場合、当社の経営成績及び業績に影響を与える可能性があります。なお、これらのリスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

当社は、過負荷に対応するため、年1回程度、システムの基本設計を見直し、負荷キャパシティの改善を図っております。また、不測の事態が発生するおそれのある場合、または発生した場合には、情報セキュリティ統括責任者の指示のもと、迅速に対応いたします。

 

④ 外部委託について(発現可能性 低、影響度 小)

当社では、一部のシステム開発等の業務において外部委託を利用しております。外部委託先の分散によりリスクの低減を図っておりますが、必要に応じた外部委託先の確保が十分にできない場合や、当社の外部委託先管理の不備または外部委託先における何らかの問題等に起因して、納期遅延または不具合等が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性、顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

⑤ 提携・協力関係について(発現可能性 低、影響度 中)

当社は“未来を創る”テクノロジーベンチャーとして、データの分析精度向上や活用領域の拡大に力を入れ、AI・IoT等のデジタルテクノロジーを活用し、ビジネスの変革・新たな価値創造を推進するために、ビジネスパートナーと様々な提携・協力を行っており、それらを通じて製品やサービスの開発、販売・サービス体制の整備・拡充の展開を図っております。本書提出日現在においてビジネスパートナーとは具体的な事例創出にむけた事業基盤の強化、効率的な経営の実現に向けて、広範な提携関係を構築しており、マネジメント同士の定期的な意見交換や提携先の拡充により、リスクの低減を図っております。

期待する効果が得られない場合や何らかの事情により提携・協力関係が解消された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

⑥ 不適切な広告配信について(発現可能性 低、影響度 小)

当社は、顧客に提供する価値を担保するために、当社のクライアントが配信する広告に係る品質管理の徹底が重要な課題であると認識しております。これらの広告は、不当景品類及び不当表示防止法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の各種法令により一定の制約が掛けられており、当社では、これらの法令に抵触することがないよう、広告内容の適法性の確保に努めております。しかしながら、何らかの要因によってこれらの対応に不備が生じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、これらのリスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

⑦ システム開発における採算性の低下リスクについて(発現可能性 低、影響度 小)

当社サービスにおけるシステム開発は、仕様や業務内容がお客様の要求に基づき定められ、プロジェクト単位で遂行されております。契約ごとの個別性が高く、お客様要望の高度化、案件の複雑化や完成までの事業環境の変化等によって、受注時に採算性が見込まれる案件であっても、作業工数の増加により採算が確保できない可能性があります。特に、新規のお客様や新規の業務分野の受注においては、受注時の想定以上に作業が発生することがあります。

当該リスクに対応するため、遂行管理においては、注視すべきプロジェクトに対する定期的なモニタリングを実施しております。

 

(3) 組織体制について

① 特定人物への依存について(発現可能性 低、影響度 小)

当社代表取締役社長である内山 英俊は、当社の創業者であり、当社の事業展開において事業戦略の策定や、業界における人脈の活用等、極めて重要な役割を担っております。

当社は、内山 英俊に過度に依存しない経営管理体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により内山 英俊が当社の経営に携わることが困難となった場合、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

② 小規模組織であることについて(発現可能性 低、影響度 小)

当社は、小規模組織であり、内部管理体制もこのような組織規模に応じたものとなっております。また、小規模組織であるため、業務執行については役員を中心とした特定の人物が各部門の責任者として非常に重要な役割を担っております。

今後も引き続き、事業拡大に向けた優秀な人材の採用や経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、役員への過度な依存の脱却に努め、事業規模に応じて内部管理体制の強化を進めるとともに、従業員への情報共有や権限委譲により業務執行体制の充実を図っていく方針であります。当社は、中長期インセンティブ(ストック・オプション)の付与や、定期的な健康診断における健康維持管理を推進する等、現在の経営管理体制の維持を図っておりますが、万が一何らかの理由により役員の業務遂行が困難となった場合、あるいは退職した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

③ 人材の確保と育成について(発現可能性 低、影響度 中)

事業の継続、発展、成長のためには、高い専門性を備えた人材(営業職、技術職その他)の採用、育成、維持が最も重要な経営課題の一つであると認識しております。当社が事業を展開している情報サービス産業においては、継続的に人材の獲得競争があり、人材も不足傾向にあります。当社は、人的資本戦略を推進し、優秀な人材の確保と育成に力を入れております。しかしながら、大量の人員または重要な役職員が流出した場合、あるいは、当社の社風にあった適格な人材を十分に採用、育成、維持できない場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

(4) その他

① 社歴が浅いことによる業績の不確実性について(発現可能性 低、影響度 小)

当社は2015年8月に設立された社歴の浅い会社であります。当社は現在成長過程にあると認識しており、今後も当社の成長のための投資が必要となり、一時的に損益が悪化する可能性があります。

当該状況についての分析・検討内容及び解消・改善するための対応策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、当社の属するIT業界を取り巻く環境はスピードが速く流動的であるため、当社における経営計画の策定には不確定事象を含まざるを得ない状況にあります。当社は今後もIR活動などを通じて経営状態を積極的に開示していく方針でありますが、過年度の経営成績のみでは、今後の当社の業績や成長性を判断するためには不十分である可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

② 配当政策について

株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しておりますが、当社は成長過程にあるため、人材確保・育成、サービス強化のための投資、営業強化のための広告宣伝や販売促進、その他成長投資に対して迅速に対応することが重要であると考えております。そのため、現在まで配当を実施しておらず、今後においても当面はこれら成長投資に備え、内部留保の充実を図る方針であります。

将来的には、財政状態及び経営成績、事業展開に備える内部留保とのバランスを勘案し、株主への利益還元を検討してまいりますが、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。

 

③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発現可能性 高、影響度 小)

当社は、当社の役員、従業員及び社外協力者に対して、ストック・オプションとして新株予約権を付与しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は221,080株であり、発行済株式総数3,744,000株の5.9%に相当します。

 

④ 当社株式の流動性について(発現可能性 中、影響度 中)

当社は、当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、取引所の定める流通株式比率は当事業年度末時点において28.4%であります。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金としての公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 訴訟等について(発現可能性 低、影響度 中)

当社は、本書提出日現在、損害賠償を請求されている事実や訴訟を提起されている事実はありません。また、当社は、法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制を構築するとともに、取引先、従業員その他第三者との関係において、訴訟リスクを低減するよう努めております。しかしながら、システム障害によりサービスが停止した場合、当社の開発したソフトウエアに不具合が生じた場合、開発が予定通り進捗しなかった場合、知的財産権の侵害等の予期せぬトラブルが発生した場合、取引先等との関係に何らかの問題が生じた場合、これらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起されるリスクがあります。かかる損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社の社会的信用、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

⑥ 自然災害について(発現可能性 低、影響度 大)

当社は、安定的なサービスの提供を維持するため、地震、落雷、火災等の災害に対して十分な耐性を有すると判断されるビルにオフィスを構えるとともに、全社在宅勤務に対応した業務プロセス、ルールを確立しておりますが、想定を超える自然災害等の発生により、サーバー等に保存する情報が消失する等、当社サービスの提供維持が困難な事態が生じた場合、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

⑦  パンデミックについて(発現可能性 低、影響度 小)

当社では、感染症拡大防止を目的とした企業及び消費者への活動自粛要請が長期に亘って続いた場合には、新規営業の遅延や既存顧客の業績不振による解約等、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社内における感染者や重篤者の発生等によって、事業活動の停止を余儀なくされる場合には、業績へ影響を及ぼすことになります。なお、これらのリスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

当社では、これらのリスクに対応するため、全社在宅勤務に対応した業務プロセス、ルールを確立し、事業及び営業活動の継続に取組んでおります。また、社内における感染予防や拡大防止に対して適切な管理体制の構築に努めています。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の第5類への分類移行に伴い、社会経済活動が徐々に正常化するとともに、円安によるインバウンド需要が拡大し、景気の緩やかな回復が進んだものの、世界各地で紛争が発生するなど国際情勢が不安定化したことや、日米の金利差が拡大したことによる急激な円安傾向が継続したことで、物価や賃金の上昇といったインフレ傾向が顕著となり、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 このような経営環境の中、当社はミッションである「心地よい未来を、データとつくる。」の実現に向け、リアル行動ビッグデータの収集体制の拡充や解析精度の向上、新サービスの提供及びプロダクト開発の推進など、リアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank®」の基盤及び利活用の強化に注力してまいりました。

 また当社は、2022年7月から業務提携を行ってきた三菱食品株式会社とさらなる関係強化を進め、両社が保有するデータ、技術、営業ネットワーク等を活用し、小売データ・位置情報・各種メディアを統合したリテールメディアネットワーク事業を共同推進することを目的として、2023年8月14日に資本業務提携を行いました。

 当事業年度におけるリテールDX及びリテールメディア領域の主な活動として、2023年10月に株式会社インティメート・マージャーと共同でオンラインとオフラインを統合したマーケティング効果測定サービスの提供を開始いたしました。また、同年12月にWEBサイト閲覧者の実店舗への来訪を分析できるダッシュボード「Beacon Bank 来店計測 for WEB」の提供を開始いたしました。さらに2024年4月には、株式会社電通及び株式会社SalesPlusと連携し、テレビCM接触者の来店・購買を計測、分析し、メディアプランニングをサポートする「TV de Sales+」の提供を開始するとともに、同月Google Cloud Marketplace経由で「Beacon Bank」サービスの提供を開始するなど、新たなサービスを拡充し、新規顧客の獲得と業容拡大を推進してまいりました。

また、スマートシティ領域における主な活動の成果として、当社は東京都のスマートサービス実装促進プロジェクト「Be Smart Tokyo」や「メタ観光マップ」を活用したにぎわい・回遊性の創出プロジェクト「東京データプラットフォームケーススタディ事業」に採択され、さらには株式会社NTTデータとの協業により、東京都豊洲エリアの「令和5年度東京都データ連携・活用促進プロジェクト」への参画や総務省が推進する自動運転レベル4に向けた検証プロジェクトに参画するなどスマートシティ関連の事業を拡大してまいりました。

グローバル領域では、北米版BeaconBankのプロダクト開発など北米における事業展開に注力してまいりましたが、北米地域特有のニーズへの対応などにより、想定よりも事業展開に時間を要する結果となりました。

 以上の取り組みの結果、当事業年度の業績は、主にリテールメディア及びスマートシティ領域の事業成長により、売上高は2,834,907千円(前期比36.5%増)、営業利益は179,061千円(前期比409.3%増)となりました。また、北米事業展開の遅れに伴いGroundLevel Insights Inc.への投資額に対し貸倒引当金を全額計上したことから、経常利益は134,971千円(前期比286.5%増)、当期純利益68,266千円(前期比629.5%増)となりました。

なお、当社は、Beacon Bank事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② 財政状態の状況

当事業年度末における財政状態については次のとおりであります。

 

(資産)

当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて、592,672千円増加し、2,103,221千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加531,542千円、売掛金及び契約資産の増加120,992千円、投資その他の資産の貸倒引当金の増加48,321千円、繰延税金資産の減少27,778千円によるものであります。

 

(負債)

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて、60,735千円増加し、474,191千円となりました。これは主に、未払金の増加74,032千円、未払法人税等の増加38,395千円、買掛金の増加21,294千円、契約負債の増加15,387千円、流動負債のその他の増加15,138千円、1年内返済予定の長期借入金の減少104,993千円によるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて、531,937千円増加し、1,629,029千円となりました。これは主に、その他資本剰余金の増加238,080千円、資本準備金の増加230,178千円、繰越利益剰余金の増加68,266千円によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ531,542千円増加し、1,658,798千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は180,321千円となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の増加額120,992千円による資金の減少があったものの、税引前当期純利益の計上134,971千円、未払金の増加額74,032千円、貸倒引当金繰入額の計上48,321千円、仕入債務の増加額21,294千円、契約負債の増加額15,387千円による資金の増加があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は5,882千円となりました。これは、敷金及び保証金の回収による収入7,602千円による資金の増加があったものの、敷金及び保証金の差入による支出13,485千円による資金の減少があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られた資金は357,098千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出104,993千円による資金の減少があったものの、株式の発行による収入418,001千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入39,923千円による資金の増加があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社はBeacon Bank事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。

 

a.生産実績

生産に該当する事項がないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

受注生産を行っていないため、記載を省略しております。

 

c.販売の実績

販売実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

Beacon Bank事業

2,834,907

36.5

合計

2,834,907

36.5

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。なお、主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

 

相手先

前事業年度

(自 2022年7月1日

 至 2023年6月30日)

当事業年度

(自 2023年7月1日

 至 2024年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ジョイフル

228,855

11.0

296,941

10.5

 

2.販売実績が大幅に増加した主な要因は、リアル行動データを活用したマーケティング活動の顧客認知度が向上し、当該活動へのニーズ及び投資が増加したことによるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要①経営成績の状況」に含めて記載しております。

 

② キャッシュ・フローの分析

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者に依る会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

 

④ 資金需要及び資金調達方法に係る情報

当社の資金需要は、主に運転資金であり、運転資金需要のうち主なものは、人件費及び業務委託費等であり、これらに必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて最適な方法による資金調達を行う予定であります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」をご参照ください。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 
⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社は、企業のマーケティング課題や自治体等の社会的課題を、実世界でのリアル行動データとインターネット上のデジタル行動データ等を融合した環境知能インフラの活用によって解決するべく、社内データサイエンティストを中心にリアル行動ビッグデータの分析精度を向上させるための環境知能AIの研究に取り組んでおります。これらの継続的な研究開発は、将来の成長エンジンになる新たなソリューションサービスの推進だけでなく、ユーザのUI/UXの向上や自社内における業務効率化等につながっております。これらの結果、当事業年度における研究開発費の総額は10,889千円であります。