当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、デジタル社会の変化に自ら対応・進化し、お客様が欲する最適・的確なソリューションとサービスを提供し続けられるテクノロジーオーガナイズ企業グループを目指し、2022年11月1日に純粋持株会社として当社を設立致しました。
中核事業会社である㈱テリロジーは、1989年の創業以来、政府・自治体、文教分野、そして各業界のグローバル企業において欠かすことのできないインターネット技術や今日のデジタル社会を支える世界の先進・先端技術トレンドを常に追い駆け、この国にとって必要・有益とされる新たなテクノロジーの発掘・開発・導入に数多く挑戦して参りました。また、各グループ会社においては、サイバーセキュリティ、ICTサービス、ITマネージドサービス、インバンドソリューションサービス等の国内展開や、アジアグルーバル分野において、当社グループならではのユニークな事業ポートフォーリオを展開し、各社連携のもと業容の拡大に努めております。
(2)経営戦略等
当社グループは、今後益々進展するデジタル社会の基盤づくりにおいて、合理的な最新技術動向の予見と分析に基づき、果敢に挑戦し、独自の工夫によって市場から認知され社会から信頼されるソリューションとサービスを絶えず創出、提供し続ける存在であり続けます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、これまで事業の成長性と収益性を重視する観点から、売上高および各種利益数字を、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として位置付けておりました。今後はこれら指標に加え、ステークホルダーの期待に応え、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、時価総額の拡大において重要となる指標を定め、今後の経営目標として管理させて頂きます。
(4)経営環境
2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置付けられたことにより、3年超に及ぶコロナ感染対策の日常から解放され、飲食・観光業界は活況を取り戻し、海外からの訪日客も回復傾向にあります。当社グループではみえる通訳をはじめとする様々な多言語ソリューションでお客様のビジネスを支援してまいります。
一方、ウクライナ情勢に起因する地政学リスクの高まりから、世界的なエネルギー価格の高騰や原材料価格の上昇、断続的な円安など、景気の先行きについては依然不透明感が残ります。また、社会インフラを取り巻く脅威はより一層多様化・複雑化し、社会生活や経済活動がインターネットに依存する傾向が高まったことでサイバー攻撃による甚大な被害を及ぼす傾向が益々強まっております。当社グループでは、これらの脅威から社会インフラを守り、安定した運用を実現するためには、サイバーセキュリティ対策やOT/IoTのセキュリティ対策に向けた「サイバースレットインテリジェンスサービス」のほか、「脆弱性診断サービス」、「産業系制御システムのセキュリティ対策」などの導入を促す活動に取り組んでまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、昨年11月の純粋持株会社体制への移行を経て、ポストコロナの新しい社会活動、企業活動を見据えた当社グループ事業構築の拡充、変革を行っていかなければならない時期に直面していると考えております。
デジタルの利活用が進み、旧来のビジネスモデルが変革され産業のDX化が急速に進む中、産業構造も大きく変化・進化していくことになると考えます。
当社グループは、このデジタル変革の期を大きなチャンスと捉え、「安心・安全なデジタルの活用を支えるサイバー・セキュリティ技術の提供」、「簡単で負担を感じないクラウドサービスの提供」、「ログ解析・管理からデータマネージメント技術の提供」を挑戦領域の軸として、国内外の市場を問わずお客様のDX化推進に貢献して参ります。
現在進めておりますお客様が抱える情報システムやセキュリティに関わる「現場課題」、我が国の国策である観光DX、環境DXに関わる「社会課題」解決に向けての事業の加速のみならず、今後の社会にとって「必要不可欠な新たな課題領域」に向けての意欲的な挑戦も続けて参ります。
当社グループの提供するソリューション&サービスが持続可能な社会の支えになることを目的とし、中期経営計画の目標数値については毎年見直しを行うローリング方式とし、2024年3月期を初年度とする新たな3カ年計画を策定致しました。
①グループ連携によるストック型事業モデルへの強化・人材育成
・グループ事業シナジーの追及強化(事業価値連鎖、連結収益力の増強)
・人的資本経営の実践に伴う人材育成・能力開発・組織開発の強化(人材の多様化、人材のグループ間交流、リーダー人材の育成)
・ビジネス・システム・マネージメント事業拡大(情報システム業務・リモート運用監視サービス事業領域をカバー、システム開発事業)
②グループ・ポートフォリオ事業の更なる拡充・拡大
・IT/OT/IoT/DXセキュリティ&テクノロジー事業領域の強化(主力事業領域のトップライン拡大)
・クラウドセキュリティ事業への挑戦(マルチクラウド、SIEM/SASE等新規開発事業)
・ビッグデータマネージメント事業への挑戦(ログ管理、AI/オートメーションテクノロジー)
・ダイナミックなグループ事業の拡大(成長・安定事業のグループ取込、M&Aアライアンスの推進、投資育成対象会社(CBA/NCD)の支援強化)
③グローバルな事業展開
・アジア事業戦略展開強化
・アジアグローバル市場へのビジネス強化(JV事業、事業提携の促進)
・ベトナム市場への集中(VNCS-Global経営支援)
・米国・イスラエル連携
・先進技術のソーシングの強化(IL Ventures/KG Ventureとの連携強化)
・事業開発投資機能の発揮
・グローバル運用監視支援サービス強化
・24/365モニタリング体制の保有、強化
・NoC/Socサービスの各種メニュー拡充
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループは、経営理念である「デジタル社会の変化に自ら対応・進化し、お客様が欲する最適・的確なソリューションとサービスを提供し続けられるテクノロジーオーガナイズ企業グループ」を目指すにおいて、その土台となるサステナビリティの実現は不可欠だと考えております。
サステナビリティ全般を含むリスク管理を有効に行うため、リスク管理規程及びリスク管理マニュアルを策定し、リスク対応並びに手順等を定め同規程に従ったリスク管理体制を整備しております。
また、当社はリスク管理を迅速かつ有効に行うため、リスク管理委員会を設置し、定期的に会議を開催しており、当社の業務執行に係るリスクとしてリスク管理規程に掲げたリスクを認識し、その把握と管理についての体制を整備しております。不測の事態が発生した場合には、迅速に対策本部を設置し、必要に応じて外部アドバイザリーチームを組織し迅速な対応を図り、損害の拡大を防止しこれを最小限にとどめることとしております。併せて、重要な点については必要に応じリスク管理委員会より取締役会に対し報告および取締役会における議論を行っております。
(2)重要なサステナビリティ項目
上記ガバナンスおよびリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・情報システム
・環境
・人的資本の拡充
① 情報システム
当社グループが情報の喪失、改ざん、外部への漏洩及び情報システムの破壊・停止・誤作動・不正使用等のサイバー攻撃の被害を被ることを防ぐため、当社グループのうち当社子会社であるテリロジー、テリロジーサービスウェア、テリロジーワークスにおいて、情報セキュリティマネジメントシステムの確実な実施と運用及び継続的な改善を全社的に図ることでISO27001(ISMS)の認証を受けるとともに、当社CISOを責任者とするCSIRTを組織し当社グループ自身の防衛にも努めております。
② 環境
当社グループは大気汚染、土壌水質汚染、産業事故等の発生リスクを低減し、地球環境を保全するべく、代表取締役会長を環境マネジメント最高責任者とし、「環境方針」と具体的な「環境目標」のもと、ISO14001に基づいた環境マネジメントシステム(EMS)を構築しております。当社グループでは、エネルギー使用量の削減や顧客の業務効率の向上によるCO2排出削減について具体的な数値目標を定め、それを達成すべく全社的に取り組んでおります。また、廃棄物処理のDXプラットフォーム企業である株式会社CBAとの資本業務提携によるサーキュラーエコノミー実現への貢献や、重要インフラのOTセキュリティを守ることで産業事故を減らすなど、事業面においても環境問題に対するソリューションの提供を行っております。
③ 人的資本の拡充
当社グループでは人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、当社グループの目指す集団像である「自由な発想力、着実な行動力、そして実現力を保有するプロフェッショナルなイノベーション力溢れる企業集団」を実現するため、当社で働く一人ひとりが仕事に誇りを持ちスキルを高めるとともに、多様な考え方、バックグラウンドを持つ人材が活躍できるよう、ダイバーシティを推進いたします。
新卒研修、若手社員研修、管理職研修など各階層に合わせた研修を行うとともに、Eラーニング体制や資格取得支援制度を活用して継続的に人材の成長を支援しています。また、テレワークおよび働き方改革、男性育休取得の推進、地方拠点やワーケーションの実施、在留外国人の積極雇用、女性管理職の登用や若手社員の抜擢など、様々な背景を持つすべての社員が活躍できるよう取り組んでおります。ハラスメント防止対策としては、内部通報制度や当社コンプライアンス室によるハラスメント防止の推進によりハラスメントに関する意識・実態調査を実施するなど、コンプライアンス室を中心としたハラスメントの防止と実態把握、解決のための体制を整備しております。また、社員一人ひとりの意欲を高め、組織の力に繋げていくことを目的として、2023年度よりエンゲージメントサーベイを導入いたしました。本調査結果への対応としてオフィス環境の整備や教育制度の充実などの施策を実施し、更なる従業員エンゲージメント向上に努めております。
また、当社グループでは人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
・男性社員の育児休業取得率10%以上
・新卒採用において、採用した労働者に占める女性労働者の割合30%以上
また、方針として次の目標を掲げております。
・男女ともにキャリアを意識しながら、長く働ける環境の整備
以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努めるものでありますが、本株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、本文における将来に関する事項は、連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.技術革新及び商品供給について
当社グループの取扱商品であるネットワークとセキュリティに関連する製品およびこれらに関するソフトウェアは技術革新スピードが極めて速く、ライフサイクルは通常の製品と比較して短くなっております。これに対応して当社グループでは主に海外の最新技術情報等の収集や最新技術を有するメーカー等の発掘に努めておりますが、当業界の技術革新に追随することができなかった場合、ユーザの要求に応え得ない、あるいは市場に適合した商品を供給できない等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.売上高の季節変動について
当社グループの主たるユーザはいわゆる大企業または大企業グループに属する企業が多く、当該企業においては年度予算管理に基づき設備投資がなされること等により、当社グループの売上高が第2四半期および第4四半期に偏重する傾向があります。2021年度より収益認識に関する会計基準等の適用によりその傾向は緩和しております。
3.競合について
ネットワークインフラの関連市場も急激に拡大しており、また、ネットワークインテグレーション市場においても、大手システムインテグレータを始めとする競合企業が多数存在し、競合が厳しくなっております。さらに、これら競合先による優れたシステムやサービスの提供等も考えられることや、価格・サービス競争がさらに激化することも予想され、今後、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
4.技術者の確保について
ネットワーク技術の進歩の速さに対応して、顧客に対して最適なネットワーク環境を提供するためには、市場動向調査とともに最新技術を熟知し応用力のあるネットワーク技術者の確保がますます重要となってきております。当社グループでは、ネットワークインテグレーション分野に必要な技術をネットワーク技術、セキュリティ技術、サーバ技術、ネットワーク保守・運用技術、ネットワークコンサルタント技術の5つに区分し、社内技術教育プログラムに基づく研修により技術者養成に努めており、また技術素養のある人材および必要な能力をもった技術者の確保にも注力し、国内外問わず新卒または外部専門機関との連携による中途を採用しております。今後、必要な技術者を確保できない場合、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
5.為替変動の影響について
当社グループは、米国を中心とする海外メーカーの製品を輸入し、または、海外メーカーの日本法人または代理店等を通して購入しており、仕入総額に対する外貨建て仕入の割合は、2023年3月期においては40.2%、2024年3月期においてはスポットの大型案件の影響で53.0%となっております。為替変動に備える方策等を講ずることにより、リスクの軽減に努めておりますが、予想を超えるような為替の変動により円換算による仕入価格が上昇し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
6.サイバー攻撃に対するリスクについて
社会生活や経済活動がインターネットに依存する傾向が高まった一方で、サイバー攻撃による脅威が急速に増大しております。当社グループはサイバー攻撃から企業を防衛するための各種セキュリティ対策の提案やサービス提供を行っている一方、社内にCSIRTを組織化し当社グループ自身の防衛にも努めております。そのような状況下、当社グループ自身がサイバー攻撃により晒されるリスクがあります。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行後、インバウンド需要や個人消費が回復し、社会経済活動の正常化が進んだことで、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
一方で、ロシアのウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化、原材料価格の高騰と円安による物価の上昇など、依然として景気の先行きは不透明な状況にあります。
このような状況のもとで、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は、わが国が21世紀においても世界をリードしていく国であり続けるために、今後益々複雑化、高度化するデジタル社会において、当社グループが提供する独自の最先端技術による組み合わせの妙味を通じて、豊かで快適で安全な未来づくりに貢献するデジタル・テクノロジーのソリューション&サービス提供事業者を目指すべく、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでまいりました。
当連結会計年度における部門別の概要は、次のとおりであります。
なお、当社グループでは、当社グループ内での事業戦略で定める製品及びサービスの事業実態と名称の整合性を図ることを目的に、「ネットワーク部門」、「セキュリティ部門」、「モニタリング部門」、「ソリューションサービス部門」の4つの事業区分としておりました。
しかしながら、「モニタリング部門」につきましては、昨今の市場環境の変化に伴い、従来のネットワークの可視化から脅威検出やセキュリティ監視、セキュリティ分析など多岐に渡ることから「ネットワーク部門」及び「セキュリティ部門」に振り分けることとし、当第1四半期連結累計期間より、「ネットワーク部門」、「セキュリティ部門」、「ソリューションサービス部門」の3区分に変更することといたしました。
これに伴い、前連結会計年度の数値は、変更後の部門区分に組み替えた数値で比較しております。
(ネットワーク部門)
当部門では、テレワークや在宅勤務の増加を背景に、安心・安全なネットワーク環境の構築をはじめ、Webサイトやサーバを狙ったDDoS攻撃などへのセキュリティ対策が課題となりました。
当社グループが得意とするIPアドレス管理サーバ製品は、新モデルへのリプレース需要が一巡したことから、テレワークや在宅勤務によるセキュリティ対策としてのDNSセキュリティソリューションの提案活動に加えて、システムのクラウドシフト、クラウドリフトの加速に伴うIPアドレス管理の課題から、IPAM(IPアドレスマネジメント)の提案活動にも注力しました。
また、世界中でサイバー攻撃が増加する中、ロシア・ウクライナ戦争でのウクライナ支援国に対するサイバー攻撃が激化し、国内でもDDoS攻撃が急増したことから、Radware社のDDoS対策ソリューションが注目されたほか、販売終了モデルのリプレースに伴うロードバランサー製品は、提案活動が順調に推移し、受注につなげています。
なお、テレワークや在宅勤務の増加を背景に、安心・安全なネットワーク環境の構築に向けたクラウド型無線LANシステム案件は堅調に推移しており、長期利用後の新機種へのリプレース案件の受注、これに紐づく有線LANネットワーク構築案件も増加しました。
この結果、売上高は1,560百万円(前期1,556百万円、前期比0.3%増)となりました。
(セキュリティ部門)
当部門では、インターネットが社会生活や経済活動を支え、社会インフラとして必要不可欠な存在になるにつれて、インターネットなどのネットワークを介した社会インフラへのサイバー攻撃や不正アクセスなどの脅威が増大しました。
当社グループ独自のセキュリティサービスでは、主にネット上で発信・拡散される偽情報による世論操作などのリスクが、看過できない大きな脅威として認識されたことに伴い、当社グループのこの分野における受注は堅調に推移しました。
特にSNSにおける情報作戦の検知において当社グループのサービスが高く評価されたことで、ツールの販売とコンサルティングサービスが伸長し、今後の成長の大きな推進力となりました。
なお、サイバー関連の事業も安定的に推移し、特に官公庁からの大型案件の受注により収益に貢献しています。
また、電力系などの重要インフラや工場及びビル管理などの産業制御システム向けセキュリティ対策では、経済産業省が策定の工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドラインをはじめ、自動車業界におけるサイバーセキュリティガイドラインなどによるOTシステムへのサイバー攻撃対策のほか、製造業におけるDX化が進み、つながる工場によるネットワーク管理の必要性から、制御システム・セキュリティリスク分析が注目されたことで、各業界からの引き合いは堅調に推移し、国内電力会社をはじめ国内大手製造業からの受注は増加しました。
その他、大手金融機関からは、インターネットバンキングの不正利用対策として、ワンタイムパスワードを採用した認証基盤システムの追加受注をはじめ、昨今のクラウドサービスの利用が加速する中、既存のシステムやセキュリティ対策ツール、SaaS、PaaSなどのログ情報から、外部・内部の脅威をいち早く正確に捉えることができるログ管理・分析クラウドサービスのほか、特定の組織、企業などを標的にしたサイバー攻撃への対策として、ネットワーク不正侵入防御セキュリティ製品の引き合いが増加したことで、当部門の売上高は前期に比べて増加しました。
この結果、売上高は3,005百万円(前期2,155百万円、前期比39.5%増)となりました。
(ソリューションサービス部門)
当部門は、お客様の課題を解決するために、あらゆる技術とアイデアを融合したソフトウェアやサービスの提供を行ってきました。
当部門の多言語リアルタイム映像通訳サービス「みえる通訳」は、インバウンド需要の順調な回復により、公共交通機関、小売店に加え、人手不足が深刻な宿泊施設を中心とする引き合いが増加しているほか、在留外国人の増加に伴う官公庁及び自治体の契約件数も堅調に推移しました。
なお、多言語コンタクトセンターを自社運営する強みから、会議通訳、電話通訳、翻訳などに加え、BPO案件の営業活動も積極的に推進した結果、大口案件の受注につながっています。
また、クラウドマネージドVPNサービスでは、簡便性と導入しやすい価格帯から、クラウドPBX事業者、小売流通や中堅企業などのネットワークサービスとして引き合いが増加したほか、昨今の中小企業におけるセキュリティリスクの高まりを見据え、新たに同市場をメインターゲットにしたSASEソリューションのリリースを予定しております。
当社グループ独自開発のRPAツールでは、誰でも簡単に使える特徴と認知度の高まりから、業界、業種、規模を問わず利用が拡大したほか、新たにリリースした同時接続フローティングロボットが導入台数増加に貢献するなど堅調に推移しました。
その他、訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション事業を行うIGLOOO(イグルー)社は、官公庁及び自治体からの受注が堅調に推移したほか、インバウンドの増加に伴い、民間企業への積極的な営業活動の結果、大口案件の受注につながっています。
情報システム業務支援及びシステム開発のクレシード社では、カスタマサポート事業としてのサポート対応案件の増加や基幹サーバリプレース案件の受注が堅調に推移しておりユーザエクスペリエンスを向上させるシステム開発案件も増加しました。
この結果、売上高は2,314百万円(前期1,965百万円、前期比17.8%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における受注高は7,469百万円(前期5,638百万円、前期比32.5%増)、売上高は6,881百万円(前期5,676百万円、前期比21.2%増)、受注残高は2,439百万円(前期1,851百万円、前期比31.8%増)となりました。
利益面では、地政学リスクによる資材高騰及び円安の影響による輸入商品の仕入価格の上昇や、中長期的な経営戦略の実現に向けた人的資本への投資に伴う費用が増加したものの、売上高の増加や、全般的なコスト増の抑制並びに一部製品の価格改定により、営業利益272百万円(前期は115百万円の利益)となりました。
また主に、当社グループでは為替(円安)対策を講じて、輸入取引契約における為替変動リスクに備えた為替予約を使って決済をした際に発生した、為替相場の変動に伴う為替差益83百万円及びデリバティブ評価益29百万円を営業外収益に計上したことで、経常利益396百万円(前期は127百万円の利益)となりました。
その他、「その他有価証券」に区分される保有有価証券のうち、時価が著しく下落したものについて、投資有価証券評価損44百万円を特別損失に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益188百万円(前期は46百万円の利益)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、6,898百万円となり、前連結会計年度末に比べ754百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は、4,334百万円となり、前連結会計年度末に比べ635百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は、2,564百万円となり、前連結会計年度末に比べ119百万円増加いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ382百万円減少し、1,916百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は324百万円(前年同期は287百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益352百万円を計上し前受金の増加額140百万円、売上債権の増加額303百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は578百万円(前年同期は34百万円の獲得)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出268百万円、子会社株式取得による支出212百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は134百万円(前年同期は112百万円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出101百万円等によるものであります。
④仕入、受注及び販売の実績
当社グループは単一事業であるため、仕入、受注及び販売の実績については事業部門ごとに記載しております。
a . 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業部門別 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ネットワーク部門(千円) |
652,102 |
△7.9 |
|
セキュリティ部門(千円) |
1,802,296 |
38.5 |
|
ソリューションサービス部門(千円) |
680,125 |
15.9 |
|
合計(千円) |
3,134,524 |
20.7 |
b . 受注実績
当連結会計年度の受注実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業部門別 |
受注高 |
前年同期比 (%) |
受注残高 |
前年同期比 (%) |
|
ネットワーク部門(千円) |
1,769,408 |
8.5 |
646,252 |
47.7 |
|
セキュリティ部門(千円) |
3,344,316 |
61.8 |
1,652,989 |
25.8 |
|
ソリューションサービス部門(千円) |
2,355,421 |
21.4 |
140,464 |
40.7 |
|
合計(千円) |
7,469,146 |
32.5 |
2,439,705 |
31.8 |
c . 販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業部門別 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ネットワーク部門(千円) |
1,560,643 |
0.3 |
|
セキュリティ部門(千円) |
3,005,604 |
39.5 |
|
ソリューションサービス部門(千円) |
2,314,796 |
17.8 |
|
合計(千円) |
6,881,042 |
21.2 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社みずほ銀行 |
78,895 |
1.4 |
506,742 |
7.4 |
|
伊藤忠テクノソリューションズ(株) |
335,158 |
5.9 |
389,649 |
5.7 |
(2)経営者の視点による経営者成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容等
a.経営成績等
(売上高)
当社グループの当連結会計年度の売上高は、前期に比べ1,204百万円増加した6,881百万円となりました。
これは主に、社会生活や経済活動におけるインターネットサービスへの依存度の高まりからサイバー攻撃等が増加し、社会インフラや工場、ビル管理システム等の産業制御システム分野のセキュリティ対策として、当社グループが得意とする制御システム・OTセキュリティリスクアセスメントサービスが注目され、国内電力会社をはじめ国内大手製造業等に採用されたほか、官公庁、国内企業向けのネットワークセキュリティ構築案件が堅調に推移したことによるものです。
また、当社グループ独自のセキュリティサービスでは、主にネット上で発信・拡散される偽情報による世論操作などのリスクが、看過できない大きな脅威として認識されたことに伴い、当社グループのこの分野における受注活動は堅調に推移したほか、サイバー関連の事業も安定的に推移し、特に官公庁からの大型案件の受注により収益に貢献しています。
なお、インバウンド需要の再開による訪日外国人の増加に伴い、ソリューションサービス部門の多言語リアルタイム映像通訳サービスでは、公共交通機関、小売店に加え、人手不足が深刻な宿泊施設を中心に利用が増加したほか、訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション事業を行うIGLOOO(イグルー)社は、官公庁及び自治体からの受注が堅調に推移し、民間企業への積極的な営業活動の結果、大口案件の受注につながりました。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度に比べ298百万円増加し、2,292百万円となりました。
これは主に、地政学リスクによる資材高騰及び円安の影響による輸入商品の仕入価格の上昇したことによるものであります。
(営業利益)
販売管理費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ141百万円増加し、2,020百万円となりました。これは主に、中長期的な経営戦略の実現に向けた人的資本への投資に伴う費用が増加したことによるものであります。
これらの結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ157百万円増加し、272百万円となりました。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度に比べ269百万円増加し、396百万円となりました。これは主に、為替(円安)対策を講じて、輸入取引契約における為替変動リスクに備えた為替予約を使って決済をした際に発生した、為替相場の変動に伴う為替差益83百万円及びデリバティブ評価益29百万円等を計上したためであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益は、「その他有価証券」に区分される保有有価証券のうち、時価が著しく下落したものについて、投資有価証券評価損44百万円が計上されております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ142百万円増加し、188百万円となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,323百万円となり、前連結会計年度末に比べ255百万円増加いたしました。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産が364百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は1,574百万円となり、前連結会計年度末に比べ499百万円増加いたしました。これは主に無形固定資産が243百万円増加、投資その他の資産が201百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は6,898百万円となり、前連結会計年度末に比べ754百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は3,993百万円となり、前連結会計年度末に比べ668百万円増加いたしました。これは主に前受金が272百万円増加、買掛金が144百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は340百万円となり、前連結会計年度末に比べ32百万円減少しました。これは主に長期借入金が49百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は4,334百万円となり、前連結会計年度末に比べ635百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,564百万円となり、前連結会計年度末に比べ119百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益188百万円を計上したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は36.7%(前連結会計年度末は39.1%)となりました。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、社会生活や経済活動におけるインターネットサービスへの依存度の高まりから、サイバー攻撃等から社会インフラを守り、安定した運用を実現するためのサイバーセキュリティ対策、制御システム・OTセキュリティリスクアセスメントサービスの他、インバウンド需要の再開による訪日外国人の増加に伴い、公共交通機関、小売店に加え、人手不足が深刻な宿泊施設等での多言語リアルタイム映像通訳サービス利用が増加し、訪日外国人を誘客するための訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション需要が増加したことで、2023年度については、売上高6,881百万円/営業利益272百万円/経常利益396百万円/親会社株主に帰属する当期純利益188百万円/1株当たり当期純利益11.54円となりました。
当社グループは、デジタル社会の変化に自ら対応・進化し、お客様が欲する最適・的確なソリューションとサービスを提供し続けられるテクノロジーオーガナイズ企業グループを目指し、2022年11月1日に純粋持株会社として当社を設立いたしました。
中核事業会社である㈱テリロジーは、1989年の創業以来、政府・自治体、文教分野、そして各業界のグローバル企業において欠かすことのできないインターネット技術や今日のデジタル社会を支える世界の先進・先端技術トレンドを常に追い駆け、この国にとって必要・有益とされる新たなテクノロジーの発掘・開発・導入に数多く挑戦して参りました。また、各グループ会社においては、サイバーセキュリティ、ICTサービス、ITマネージドサービス、インバンドソリューションサービス等の国内展開や、アジアグルーバル分野において、当社グループならではのユニークな事業ポートフォーリオを展開し、各社連携のもと業容の拡大に努めております。
当社グループでは、2022年11月の純粋持株会社体制への移行を経て、ポストコロナの新しい社会活動、企業活動を見据えた当社グループ事業構築の拡充、変革を行っていかなければならない時期に直面していると考えております。
デジタルの利活用が進み、旧来のビジネスモデルが変革され産業のDX化が急速に進む中、産業構造も大きく変化・進化していくことになると考えます。
当社グループは、このデジタル変革の期を大きなチャンスと捉え、「安心・安全なデジタルの活用を支えるサイバーセキュリティ技術の提供」、「簡単で負担を感じないクラウドサービスの提供」、「ログ解析・管理からデータマネージメント技術の提供」を挑戦領域の軸として、国内外の市場を問わずお客様のDX化推進に貢献してまいります。
現在進めております、お客様が抱える情報システムやセキュリティに関わる「現場課題」、我が国の国策である観光DX、環境DXに関わる「社会課題」解決に向けての事業の加速のみならず、今後の社会にとって「必要不可欠な新たな課題領域」に向けての意欲的な挑戦も続けてまいります。
当社グループでは、経営環境の変化等に柔軟に対応するため、原則として毎年改定を行うローリング方式による中期経営計画として目標数値の見直しを行い、事業成長・拡大を加速化し、次のステージに向けたコミットメントとして2025年3月期を初年度とする新たな3ヵ年のテリロジーグループ新中期経営計画「挑戦と更なる成長」を策定いたしました。
これは、当社グループの提供するソリューション&サービスが持続可能な社会の支えになることを目的として見直しを行っております。
当社グループは、今後益々進展するDX社会の基盤づくりにおいて、独自の先見力に富む合理的な最新技術動向の分析に基づき、新たなテクノロジー導入に果敢に挑戦し、独自の工夫によって市場から認知され、社会・お客様から信頼されるソリューションとサービスを絶えず創出、提供し続ける存在であり続けるため、「デジタル経営人材・事業を創出・育成する会社」として、以下の経営理念の基、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。
・現状に満足しない、成長し続ける会社にする。
・自分の仕事に誇りを持てる会社にすること。
・常に仕事の現場を大切にする現場第一主義の会社にすること。
また、当社グループの経営理念の実現を果たす経営戦略の基本的な方向性は以下の通りであります。
①事業戦略の基本
・経営資源の最適化・活用の最大化
・IT事業の多様性をもつ事業モデル
・シナジー効果とリスク分散
・ビジネス機会が多いことによる社員のモチベーションのアップ
(挑戦意欲をかきたてる)
②財務戦略
・グループファイナンスによる効率的な資金運用
・収益向上による自己株式取得=株主還元策
・資金調達の多様化(クレジットライン/企業与信)
③人事戦略
・社員のスキル アップ・育成への積極投資
・グループ人事交流の活発化(キャリア拡大)
・新卒採用からの組織構造の適正化
・経営層の強化(経営経験のシェア)
④投資戦略
・既存事業の成長強化策としての事業投資
・事業アライアンスを狙った戦略的互恵関係目的の投資
・将来期待できる新市場・新事業獲得目的の投資活動
⑤グローバル戦略
・ボーダーレス取引・事業機会の増大/対応力強化
・市場弾力度とリスクの検証に基づく海外進出
・海外取引先との交流強化、信頼関係の強化
なお、当社グループの成長を支える事業経営力の強化として「知恵を絞って、創って、育てて、強くする」を仕組みの整備を図ってまいります。
①資本の効率化(コスト改善)
・資金効率の改善
・コスト、業務の削減・改善
・キャッシュフローの増大
②グループ統治改革
・意思決定スピード化
・グループ経営効率の向上
・Hub & Spokeのグッド・バランス
③人的資本への投資
・多様なタレントの教育・育成
・社員の挑戦を促す・人事交流(多様なキャリアパスの実践)
なお、当社グループでは、新中期経営計画の初年度である2024年度は、売上高8,455百万円/営業利益376百万円/経常利益376百万円/親会社株主に帰属する当期純利益262百万円/1株当たり当期純利益15.98円を連結業績目標としております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資産の流動性
当社グループの事業活動における短期の運転資金については、基本的には自己資金および金融機関からの短期借入金を主な財源としており、設備投資や長期の運転資金に関しては、金融機関からの長期借入金によっております。
また、グループ内の資金効率向上のため、当社は子会社と当座貸越契約を契約し、資金の集中管理をおこなっております。
当社グループの資金の流動性については、上記方策により十分な現金及び現金同等物を確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表を作成するに当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.投資有価証券の減損
当社グループの連結財務諸表に計上されている投資有価証券については、従来より減損処理に関する基準を設けており、これに基づいて処理を実施しております。市場価格のある投資有価証券については、期末日における被投資会社の株価が取得価額に比べ50%以上下落している場合は原則として減損処理を行っております。市場価格のない投資有価証券については、被投資会社の純資産額を基にした1株当たりの実質価額を見積り、株価の代わりに用いて検討することで市場価格のある投資有価証券と同等の減損処理を行っております。
被投資会社の株価もしくは業績の著しい低迷があった場合には、投資有価証券の評価損を計上する可能性があります。
b.繰延税金資産
当社グループの連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上しております。将来の税金の回収可能予想額は、当社グループの将来の課税所得の見込額に基づき算出しておりますが、将来の課税見込額の変動により、繰延税金資産が変動する可能性があります。
c.のれんの減損
のれんの償却方法については、投資効果の及ぶ期間にわたり、定額法により償却しております。なお、のれんの対象事業の収益性が低下し、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等は次のとおりです
(資本業務提携及び第三者割当増資の引受け)
当社は、2023年5月25日開催の取締役会において、さくらインターネットグループのITシステム運用監視・マネージドサービスプロバイダー(MSP)事業者であるアイティーエム株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:河本 剛志、以下「アイティーエム」)との間で、資本業務提携契約および第三者割当増資(以下「本第三者割当」)の実施に関する契約について決議し締結いたしました。
1.資本業務提携の目的および理由
本資本業務提携を通じ、アイティーエムの持つ、25年にわたるMSPサービスの提供実績に裏付けられたシステム運用監視のノウハウおよび体制と、当社のサイバーセキュリティ事業における目利き力と市場対応力を活かした、クラウドセキュリティマネージドサービスの提供やOT分野における業界特化型のクラウド基盤の構築、ソリューションの開発等の加速化を図ることで、両社のお客様に対してより幅広いセキュリティサービスを提供することが可能になると見込まれ、今後の当社の企業価値向上と、株主の利益に資するものと判断いたしました。
2.資本業務提携の内容
(1)業務提携の内容
① 提供サービス、ソリューションの強化
アイティーエムがMSPサービスで培った24時間365日のシステム運用オペレーション機能と、テリロジーが保有するサイバーセキュリティに関する技術力、知見を活用し、Managed OT-Securityサービス、既存ソリューション群のマネージドサービス化等、高精度なセキュリティ運用ソリューションの提案が可能となり、両社のお客様に対して提供サービスを拡大・拡充し、顧客満足度を高めることで、両者の成長を促進します。
② 新規事業開発における連携強化
インダストリークラウドをはじめとした、業界特化型のクラウドサービスの開発や、海外最先端セキュリティソリューションをローカライズし、SaaS化を実施する等、成長市場領域における新規事業開発を両社共同で行います。
(2)資本提携の内容
当社はアイティーエムとの業務提携によるシナジー効果を確実にするため、本第三者割当により発行される普通株式のすべてを引受けました。本第三者割当の結果、アイティーエムは当社の持分法適用関連会社となりました。
本第三者割当の概要は以下の通りであります。
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(1) 引受株式数 |
普通株式 13,250株 |
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(2) 払込価額 |
1株につき9,739円 |
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(3) 払込価額の総額 |
129,041,750円 |
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(4) 払込予定日 |
2023年5月31日 |
(株式取得)
・当社は、2023年10月26日開催の取締役会において、株式会社エフェステップ(以下、「エフェステップ社」)の株式を取得し、同社を子会社化することについて決議いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
・当社は、2024年2月28日開催の取締役会において、ログイット株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:鈴木禎宏)の株式を取得し、同社を子会社化することについて決議いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
特記事項はありません。