当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、デジタル社会の変化に自ら対応・進化し、お客様が欲する最適・的確なソリューションとサービスを提供し続けられるテクノロジーオーガナイズ企業グループを目指し、2022年11月1日に純粋持株会社として当社を設立致しました。
中核事業会社である㈱テリロジーは、1989年の創業以来、政府・自治体、文教分野、そして各業界のグローバル企業において欠かすことのできないインターネット技術や今日のデジタル社会を支える世界の先進・先端技術トレンドを常に追い駆け、この国にとって必要・有益とされる新たなテクノロジーの発掘・開発・導入に数多く挑戦して参りました。また、各グループ会社においては、サイバーセキュリティ、ICTサービス、ITマネージドサービス、インバンドソリューションサービス等の国内展開や、アジアグルーバル分野において、当社グループならではのユニークな事業ポートフォリオを展開し、各社連携のもと業容の拡大に努めております。
(2)経営戦略等
当社グループは、今後益々進展するデジタル社会の基盤づくりにおいて、合理的な最新技術動向の予見と分析に基づき、果敢に挑戦し、独自の工夫によって市場から認知され社会から信頼されるソリューションとサービスを絶えず創出、提供し続ける存在であり続けます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、これまで事業の成長性と収益性を重視する観点から、売上高および各種利益数字を、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として位置付けておりました。今後はこれら指標に加え、ステークホルダーの期待に応え、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、時価総額の拡大において重要となる指標を定め、今後の経営目標として管理させて頂きます。
(4)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、個人消費の回復、インバウンド需要の高まり等を背景に、緩やかな回復基調にあります。当社グループでは、好調なインバウンド需要の拡大に伴い、みえる通訳をはじめとする様々な多言語ソリューションでお客様のビジネスを支援してまいります。
一方で、長期化するロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化による地政学的リスクをはじめ、為替相場の急激な変動、原材料価格やエネルギーコストの高騰による物価の上昇等に加え、2025年1月に発足した米国トランプ政権の関税政策等による世界的な景気動向の不透明感から、国内景気の先行きは依然不透明な状況が予想されます。
また、社会インフラを取り巻く脅威はより一層多様化・複雑化し、社会生活や経済活動がインターネットに依存する傾向が高まったことでサイバー攻撃による甚大な被害を及ぼす傾向が益々強まっております。
当社グループでは、これらの脅威から社会インフラを守り、安定した運用を実現するためには、サイバーセキュリティ対策やOT/IoTのセキュリティ対策に向けた「サイバースレットインテリジェンスサービス」のほか、「脆弱性診断サービス」、「産業系制御システムのセキュリティ対策」などの導入を促す活動に取り組んでまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、昨年11月の純粋持株会社体制への移行を経て、ポストコロナの新しい社会活動、企業活動を見据えた当社グループ事業構築の拡充、変革を行っていかなければならない時期に直面していると考えております。
デジタルの利活用が進み、旧来のビジネスモデルが変革され産業のDX化が急速に進む中、産業構造も大きく変化・進化していくことになると考えます。
当社グループは、このデジタル変革の期を大きなチャンスと捉え、「安心・安全なデジタルの活用を支えるサイバーセキュリティ技術の提供」、「簡単で負担を感じないクラウドサービスの提供」、「ログ解析・管理からデータマネージメント技術の提供」を挑戦領域の軸として、国内外の市場を問わずお客様のDX化推進に貢献して参ります。
現在進めておりますお客様が抱える情報システムやセキュリティに関わる「現場課題」、我が国の国策である観光DX、環境DXに関わる「社会課題」解決に向けての事業の加速のみならず、今後の社会にとって「必要不可欠な新たな課題領域」に向けての意欲的な挑戦も続けて参ります。
当社は、当社グループの提供するソリューション&サービスが持続可能な社会の支えになることを目的とし、原則として毎年改定を行うローリング方式による中期経営計画として目標数値の見直しを行い、事業成長・拡大を加速化し、次のステージに向けたコミットメントとして2024年度を初年度とする新たな3ヵ年のテリロジーグループ新中期経営計画「挑戦と更なる成長」を策定致しました。
しかしながら、急激な円安進行や物価上昇等を背景に厳しい経営環境が継続し、2024年度の当社業績は、売上高は目標を上回ったものの、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は目標を下回る結果となりました。
このような環境のなか、当社グループは、外部環境の変化に対応しつつ、長期的にめざす姿を実現するために、ローリング方式にて連結数値目標の見直しを行い、新たに2025年度から2027年度までの3年間を対象とするテリロジーグループ新中期経営計画を策定致しました。
2025年度は、「更なる成長とグループ事業価値の創造・実現」をスローガンに掲げ、次のステージに向けたコミットメントとして計画に掲げた目標を着実に達成し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んで参ります。
なお、当社グループの経営戦略の基本的な方向性は以下の通りであります。
①事業戦略の基本
・経営資源の最適化、活用の最大化
・グループ事業価値の創造、拡大
・営業力の強化、ポートフォリオ事業強化
・ビジネス機会が多いことによる社員のモチベーションのアップ(挑戦意欲をかきたてる)
②財務戦略
・グループファイナンスによる効率的な資金運用
・収益向上による自己株式取得=株主還元策
・資金調達の多様化(クレジットライン/企業与信)、金融機関との取引多様化
・ダイナミックなグループ事業の拡大(成長・安定事業のグループ取込、M&Aアライアンスの推進、投資育成対象会社(CBA/NCD)の支援強化)
③人事戦略
・社員のスキルアップ、育成への積極投資
・グループ人事交流の活発化(キャリア拡大)
・新卒採用からの組織構造の適正化
・経営層の強化(経営経験のシェア)
④投資戦略
・既存事業の成長強化策としての事業投資
・事業アライアンスを狙った戦略的互恵関係目的の投資、提携の推進
・将来期待できる新市場、新事業獲得目的の投資活動
⑤グローバル戦略
・ボーダーレス取引、事業機会の増大/対応力強化
・市場弾力度とリスクの検証に基づく海外進出
・海外取引先との交流強化、信頼関係の強化
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループは、「デジタルの力で現場課題と社会課題を解決する」というミッションを掲げており、その土台となるサステナビリティの実現は不可欠だと考えております。
サステナビリティ全般を含むリスク管理を有効に行うため、リスク管理規程及びリスク管理マニュアルを策定し、リスク対応並びに手順等を定め同規程に従ったリスク管理体制を整備しております。
また、当社はリスク管理を迅速かつ有効に行うため、リスク管理委員会を設置し、定期的に会議を開催しており、当社の業務執行に係るリスクとしてリスク管理規程に掲げたリスクを認識し、その把握と管理についての体制を整備しております。不測の事態が発生した場合には、迅速に対策本部を設置し、必要に応じて外部アドバイザリーを加えた特命チームを組織し迅速な対応を図り、損害の拡大を防止しこれを最小限にとどめることとしております。併せて、重要な点については必要に応じリスク管理委員会より取締役会に対し報告および取締役会における議論を行っております。
さらに、サステナビリティに関する課題解決をより迅速かつ全社的な取り組みとして行うため、新たに代表取締役を委員長とするサステナビリティ推進委員会の設置を経営会議にて決定し、活動を開始いたしました。
サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティ課題についての重要事項を取締役会へ報告、上程するほか、中長期的な企業価値の向上に重きを置いた経営戦略上の重要な議論、計画の進捗・成果の確認などを行います。
また、当社のサステナビリティ項目の中で最も重要な項目として人的資本経営の推進を掲げ、新設したグループ人事本部とテナビリティ推進委員会が連携し、経営戦略に基づいた実務レベルのより具体的な施策を検討・実行する役割を担います。
(2)重要なサステナビリティ項目
上記ガバナンスおよびリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・情報システム
・環境
・人的資本経営の推進
① 情報システム
当社グループが情報の喪失、改ざん、外部への漏洩及び情報システムの破壊・停止・誤作動・不正使用等のサイバー攻撃の被害を被ることを防ぐため、当社グループのうち当社子会社であるテリロジー、テリロジーサービスウェア、コンステラセキュリティジャパン、クレシード、ログイットにおいて、情報セキュリティマネジメントシステムの確実な実施と運用及び継続的な改善を全社的に図ることでISO27001(ISMS)の認証を受けるとともに、当社CISOを責任者とするCSIRTを組織し当社グループ自身の防衛にも努めております。
また、業務効率改善を継続的に行うため、基幹システムの改修等に取り組んでおり、以下の数値目標を設定しております。
・当社DX戦略に柔軟に対応できる業務及びシステム体系の構築:
SaaS活用率80%以上
・システム保守コスト削減及びシステムによる課題対応のスピードアップ:
運用コスト10%削減、アドオン率10%以下
・最新ビジネスモデルや規制に対する対応のスピードアップ:
受注登録処理時間50%削減、出荷・売上登録処理時間50%削減
法律・規制改変に対応したアプリケーションの適用を施行3ヶ月以上前とする
・データの一元管理と入出力の自動化による業務効率向上:
10秒以内のステータス状況照会、RPA適用率30%以上
② 環境
当社グループは大気汚染、土壌水質汚染、産業事故等の発生リスクを低減し、地球環境を保全するべく、当社取締役を環境マネジメント最高責任者とし、「環境方針」と具体的な「環境目標」のもと、ISO14001に基づいた環境マネジメントシステム(EMS)を構築しております。その中で、当社グループでは以下の3点を重点項目として定め、達成すべく全社的に取り組んでおります。
・電気使用量の削減:一人当たり電力使用量において前年度比99%(1%削減)
・RPAツールの販売促進:EzAvater 100ライセンス販売による顧客の業務効率化への貢献
・OT/IoTセキュリティ製品の販売促進:NOZOMI Networks製品の年間計100件の契約獲得による重要インフラのセキュリティ強化
また、発電所など重要インフラのOTセキュリティを強化することで産業事故の回避に努めたり、廃棄物処理のDXプラットフォーム企業である株式会社CBAとの資本業務提携によるサーキュラーエコノミー実現への貢献など、事業面においても環境問題に対するソリューションの提供を行っております。
③ 人的資本経営の推進
当社グループでは人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、当社グループの目指す集団像である「自由な発想力、着実な行動力、そして実現力を保有するプロフェッショナルなイノベーション力溢れる企業集団」を実現するため、当社で働く一人ひとりが仕事に誇りを持ちスキルを高めるとともに、多様な考え方、バックグラウンドを持つ人材が活躍できるよう、ダイバーシティを推進いたします。
また、人的資本経営に対する取り組みの強化及びグループ全体での人事施策の遂行加速を目的として、2025年度より新たにグループ人事本部を設立しました。当本部はサステナビリティ推進委員会と密に連携し、現場課題の洗い出しと、課題解消のための施策の検討・実施をサポートして参ります。
<具体的な取り組み>
①教育による人材育成
社員一人ひとりの成長が企業の持続的な活動の糧であるという考えのもと、当社グループのバリューでもある「常に『学習』する組織」の醸成を目指し、各種研修制度から自己研鑽を目的としたeラーニング及び資格取得奨励制度を導入し、継続的な人材の成長を支援しています。2024年度においては、部下とのコミュニケーションや組織マネジメントをテーマにした管理職研修や、並行して次期管理職候補養成を目的としてリーダーシップやマネジメントの模擬体験をテーマにした若手研修を実施しました。これらを含め、2024年度の実績は以下の通りです。
・研修について
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研修 |
対象 |
実施形式 |
実施回数 |
受講者数 |
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階層別研修 |
管理職研修 |
グループ全社の 部下を持つ管理職 |
集合 グループワーク |
4回/年 |
25名 |
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若手社員研修 |
企画/営業職及び 技術職の若手社員 |
集合 グループワーク |
4回/年 |
39名 |
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新卒研修 |
新卒採用社員 |
集合 グループワーク |
4~5月 |
17名 |
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テーマ別研修 |
営業研修 |
新卒採用の 企画営業職社員 及び中途採用の 企画営業職社員一部 |
集合 グループワーク |
2回/年 |
10名 |
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ハラスメント研修 |
グループ役員 及び管理職 |
オンライン グループワーク |
1回/年 |
77名 |
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ハラスメント研修 |
グループ全社員 (一部グループ会社を除く) |
eラーニング |
1回/年 |
240名 |
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メンター研修 |
メンター候補者 |
集合 グループワーク |
1回/年 |
15名 |
・資格取得について(資格取得奨励金制度対象分)
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2024年度実績 |
2025年度目標 |
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資格取得数 |
45件 |
65件 |
・eラーニングについて
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2024年度実績 |
2025年度目標値 |
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一人当たりの年間受講講座数 |
6.4講座 |
12講座 |
②ダイバーシティ
当社グループでは様々な背景を持つ全ての社員が活躍できるよう、ジェンダー・国籍・年齢・障がいの有無を問わず、全ての人材が持てる力を最大限に発揮できる環境づくりを推進しており、具体的には、一部グループ会社または一部部署にて、以下の制度を導入しております。
・週2日のテレワーク勤務
・フレックス勤務
・週1回のノー残業デー
・地方拠点やワーケーション
また、当社グループでは人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
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2024年度実績 |
目標値 |
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男性社員の育休取得率 |
100% |
10%以上 |
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新卒採用において、採用した労働者に占める女性労働者の割合 |
33% |
30%以上 |
また、方針として掲げる「男女ともにキャリアを意識しながら、長く働ける環境の整備」を達成するため、2025年度4月より、育児介護休業に関する大幅な制度改定を実施しております。具体的な施策は以下の通りです。
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変更前 |
変更後 |
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育児時短勤務可能期間の延長 |
子が小学校に入学する前まで |
子が小学校2年生まで |
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介護時短勤務可能期間の撤廃 |
連続する3年間の範囲 |
- |
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妊娠/育児/介護期間における テレワーク可能上限日数引上げ |
上限週2日 |
上限週3日 |
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産休/育休者の業務を代替する 従業員に対する手当の支給 |
- |
最大一人5万円/月 |
③従業員エンゲージメントの向上
当社グループでは社員一人ひとりの意欲を高め、組織の力に繋げていくことを目的として、2023年度より年1回のエンゲージメントサーベイを導入し、本調査結果への対応としてオフィス環境の整備や教育制度の充実、社内コミュニケーション活性化のためのメンター制度の導入などの施策を実施いたしました。引き続き定期的な調査とフィードバックによって、更なる従業員エンゲージメント向上に努めて参ります。
以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努めるものでありますが、本株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、本文における将来に関する事項は、連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.技術革新及び商品供給について
当社グループの取扱商品であるネットワークとセキュリティに関連する製品およびこれらに関するソフトウェアは技術革新スピードが極めて速く、ライフサイクルは通常の製品と比較して短くなっております。これに対応して当社グループでは主に海外の最新技術情報等の収集や最新技術を有するメーカー等の発掘に努めておりますが、当業界の技術革新に追随することができなかった場合、ユーザの要求に応え得ない、あるいは市場に適合した商品を供給できない等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.売上高の季節変動について
当社グループの主たるユーザはいわゆる大企業または大企業グループに属する企業が多く、当該企業においては年度予算管理に基づき設備投資がなされること等により、当社グループの売上高が第2四半期および第4四半期に偏重する傾向があります。2021年度より収益認識に関する会計基準等の適用によりその傾向は緩和しております。
3.競合について
ネットワークインフラの関連市場も急激に拡大しており、また、ネットワークインテグレーション市場においても、大手システムインテグレータを始めとする競合企業が多数存在し、競合が厳しくなっております。さらに、これら競合先による優れたシステムやサービスの提供等も考えられることや、価格・サービス競争がさらに激化することも予想され、今後、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
4.技術者の確保について
ネットワーク技術の進歩の速さに対応して、顧客に対して最適なネットワーク環境を提供するためには、市場動向調査とともに最新技術を熟知し応用力のあるネットワーク技術者の確保がますます重要となってきております。当社グループでは、ネットワークインテグレーション分野に必要な技術をネットワーク技術、セキュリティ技術、サーバ技術、ネットワーク保守・運用技術、ネットワークコンサルタント技術の5つに区分し、社内技術教育プログラムに基づく研修により技術者養成に努めており、また技術素養のある人材および必要な能力をもった技術者の確保にも注力し、国内外問わず新卒または外部専門機関との連携による中途を採用しております。今後、必要な技術者を確保できない場合、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
5.為替変動の影響について
当社グループは、米国を中心とする海外メーカーの製品を輸入し、または、海外メーカーの日本法人または代理店等を通して購入しており、仕入総額に対する外貨建て仕入の割合は、2024年3月期においてスポットの大型案件の影響では53.0%、2025年3月期においては48.0%となっております。為替変動に備える方策等を講ずることにより、リスクの軽減に努めておりますが、予想を超えるような為替の変動により円換算による仕入価格が上昇し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
6.サイバー攻撃に対するリスクについて
社会生活や経済活動がインターネットに依存する傾向が高まった一方で、サイバー攻撃による脅威が急速に増大しております。当社グループはサイバー攻撃から企業を防衛するための各種セキュリティ対策の提案やサービス提供を行っている一方、社内にCSIRTを組織化し当社グループ自身の防衛にも努めております。そのような状況下、当社グループ自身がサイバー攻撃により晒されるリスクがあります。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の回復、インバウンド需要の高まり等を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。
また、長期化するロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化による地政学的リスクをはじめ、為替相場の急激な変動、原材料価格やエネルギーコストの高騰による物価の上昇等に加え、2025年1月に発足した米国トランプ政権の関税政策等による世界的な景気動向の不透明感から、景気の先行きは依然不透明な状況が続きました。
このような経済状況のもと、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は、今後益々進展するDX社会の基盤づくりにおいて、独自の先見力に富む合理的な最新技術動向の分析に基づき、新たなテクノロジー導入に果敢に挑戦し、独自の工夫によって市場から認知され、社会・お客様から信頼されるソリューションとサービスを絶えず創出、提供し続ける存在であり続けるため、「デジタル経営人材・事業を創出・育成する会社」として、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでまいりました。
当連結会計年度における部門別の概要は、次のとおりであります。
(ネットワーク部門)
当部門では、テレワークや在宅勤務における安心・安全なネットワーク環境の構築のほか、DDoS攻撃からWebサイトやサーバを守るネットワークセキュリティ対策が注目を集めました。
当社グループが得意とするIPアドレス管理サーバ製品は、クラウドリフトの加速に伴うIPアドレス管理の課題から、国内製造業や情報サービス業向けDNS/DHCP案件の大型受注を獲得したほか、DNSに対する脅威を遮断し、より効果的なセキュリティ対策を実現するプロテクティブDNS(保護DNS)の提案活動が順調に推移したことで、既存顧客のリプレイス案件や追加導入案件、バージョンアップ作業等の受注に繋がっています。
また、国内では大規模なDDoSサイバー攻撃に対する警戒感が高まったことでDDoS対策を見直す企業が急増しました。
当部門では引き続き、Radware社DDoS対策製品及びWAFの拡販に注力するとともに、継続してウェビナーや展示会にて情報発信を行ったことで、DDoS攻撃対策ソリューションの引き合いは増加しました。
その他、安心・安全なネットワーク環境の構築に向けたクラウド型無線LANシステムは、柔軟なモビリティが求められる無線LANにおいて、オフィスフロアや倉庫、新規拠点開設に伴う追加案件のほか、不具合時のサポートまでを提供することで、長年利用されたアクセスポイントのリプレイス案件が増加する等、受注活動は堅調に推移しました。
この結果、売上高は1,657百万円(前期1,560百万円、前期比6.2%増)となりました。
(セキュリティ部門)
当部門では、社会生活や経済活動におけるインターネットやクラウドサービス等、ITへの依存度が高まるとともにサイバー攻撃等の脅威が増加するなか、当社グループが推進するOTセキュリティビジネスは堅調に推移しました。
社会インフラや製造業の制御ネットワークに対するセキュリティ意識の高まりから、現状把握・可視化・検知・防御の考えが広がり、特に、半導体業界・自動車関連業界をはじめとした製造業を中心に対策の導入が進み、電力会社をはじめとした社会インフラ事業者では横展開が広がったことで受注に繋がりました。
また、当社グループ独自のセキュリティサービスは、安全保障におけるサイバー及び認知戦の重要性が一層高まるなか、当部門が提供するサービスに対する官公庁からの需要は引き続き堅調に推移したことで、当該サービスは順調に推移しました。
その他、昨今、クラウドサービスの利用が加速するなか、既存のシステムやセキュリティ対策ツール、SaaS、PaaS等のログ情報から外部・内部の脅威をいち早く正確に捉えることができるログ管理・分析クラウドセキュリティサービスの引き合いが増加したことで、インターネット証券会社、暗号通貨取引所、情報サービス業等からの受注を獲得しています。
この結果、売上高は3,375百万円(前期3,005百万円、前期比12.3%増)となりました。
(ソリューションサービス部門)
当部門では、お客様の課題を解決するため、あらゆる技術とアイデアを融合したソフトウェアやサービス等の提供を行ってきました。
当部門の多言語リアルタイム映像通訳サービスは、好調なインバウンド需要の拡大により、百貨店、小売店、宿泊施設を中心に受注活動は堅調に推移しました。
Zoomライセンスを中心としたビジュアルコミュニケーション事業は、業務における必要不可欠な手段として安定的に推移したほか、中小企業のネットワークセキュリティを統合的に提供する「Zero-Con SASE」についても、引き続き多くの反響と共に堅調に伸長しています。
なお、当社グループ独自開発のRPAツールは、誰でも簡単に使える特徴と認知度の高まりから、業界、業種、規模を問わず利用が拡大したほか、展示会等の積極的なマーケティング活動を実施したことで、案件数も堅調に推移しました。
その他、訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション事業を行うIGLOOO(イグルー)社は、訪日外国人観光客の増加に伴い、官公庁や自治体のほか、民間企業からも誘客するPR需要は増加し、受注は拡大しました。
情報システム業務支援及びシステム開発のクレシード社は、DX推進支援に関連するサーバのリプレイス、ネットワークの追加等の案件が増加し、ユーザエクスペリエンスを向上させるシステム開発案件も堅調に推移しました。
音声を中心に企業向けコンタクトセンターソリューションを提供するログイット社は、既存顧客向け保守ビジネスは堅調に推移し、新たに金融コンプライアンス向け通話録音ソリューションの受注、導入に向けたプロジェクトは順調に進みました。また、クラウドコンタクトセンターソリューションの案件数は増加基調にあり、感情解析ソリューションにおいては、コンタクセンター向けのみならず、新たにHR向けに、エンゲージメント向上の具体的な活用の推進、提案に努めました。
この結果、売上高は3,620百万円(前期2,314百万円、前期比56.4%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における受注高は10,021百万円(前期7,469百万円、前期比34.2%増)、売上高は8,653百万円(前期6,881百万円、前期比25.8%増)、受注残高は3,807百万円(前期2,439百万円、前期比56.1%増)となりました。
利益面では、地政学的リスクによる資材高騰及び円安の影響による輸入商品の仕入価格の上昇や、中長期的な経営戦略の実現に向けた人的資本への投資に伴う費用が増加したものの、売上高の増加や、全般的なコスト増の抑制並びに一部製品の価格改定により、営業利益273百万円(前期は272百万円の利益)となりました。
また主に、当社グループでは為替(円安)対策を講じて、輸入取引契約における為替変動リスクに備えた為替予約を使って決済をした際に発生した、為替相場の変動に伴う為替差益91百万円を営業外収益に計上し、デリバティブ評価損及び通貨スワップ評価損等50百万円を営業外費用に計上したことで経常利益327百万円(前期は396百万円の利益)となりました。
その他、オンデマンド動画配信サービスの事業撤退損7百万円を特別損失に計上したことで、親会社株主に帰属する当期純利益176百万円(前期は188百万円の利益)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、7,109百万円となり、前連結会計年度末に比べ210百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は、4,238百万円となり、前連結会計年度末に比べ95百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は、2,870百万円となり、前連結会計年度末に比べ306百万円増加いたしました
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ234百万円減少し、1,681百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は54百万円(前年同期は324百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益319百万円を計上した一方で、前渡金の増加額286百万円、売上債権の増加額149百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は234百万円(前年同期は578百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出88百万円、無形固定資産の取得による支出61百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は46百万円(前年同期は134百万円の使用)となりました。これは主に自己株式処分による収入250百万円等によるものであります。
④仕入、受注及び販売の実績
当社グループは単一事業であるため、仕入、受注及び販売の実績については事業部門ごとに記載しております。
a . 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
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事業部門別 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
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ネットワーク部門(千円) |
693,092 |
6.3 |
|
セキュリティ部門(千円) |
2,133,118 |
18.4 |
|
ソリューションサービス部門(千円) |
1,451,654 |
113.4 |
|
合計(千円) |
4,277,865 |
36.5 |
b . 受注実績
当連結会計年度の受注実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
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事業部門別 |
受注高 |
前年同期比 (%) |
受注残高 |
前年同期比 (%) |
|
ネットワーク部門(千円) |
1,651,033 |
△6.7 |
639,831 |
△1.0 |
|
セキュリティ部門(千円) |
4,363,469 |
30.5 |
2,640,951 |
59.8 |
|
ソリューションサービス部門(千円) |
4,007,083 |
70.1 |
526,942 |
275.1 |
|
合計(千円) |
10,021,586 |
34.2 |
3,807,725 |
56.1 |
c . 販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
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事業部門別 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ネットワーク部門(千円) |
1,657,454 |
6.2 |
|
セキュリティ部門(千円) |
3,375,507 |
12.3 |
|
ソリューションサービス部門(千円) |
3,620,605 |
56.4 |
|
合計(千円) |
8,653,567 |
25.8 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営者成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容等
a.経営成績等
(売上高)
当社グループの当連結会計年度の売上高は、前期に比べ1,772百万円増加した8,653百万円となりました。
これは主に、社会生活や経済活動におけるインターネットやクラウドサービス等、ITへの依存度が高まるとともにサイバー攻撃等の脅威が増加するなか、社会インフラや製造業の制御ネットワークに対するセキュリティ意識の高まりから、現状把握・可視化・検知・防御の考えが広がり、特に、半導体業界・自動車関連業界をはじめとした製造業を中心に対策の導入が進み、電力会社をはじめとした社会インフラ事業者では対策強化で横展開が広がったことで受注に繋がりました。
また、当社グループ独自のサイバーセキュリティにおける脅威情報解析サービスは、安全保障におけるサイバー及び認知戦の重要性が一層高まるなか、当部門が提供するサービスに対する官公庁からの需要は引き続き堅調に推移いたしました。
なお、好調なインバウンド需要の拡大に伴い、ソリューションサービス部門の多言語リアルタイム映像通訳サービスでは、百貨店、小売店、宿泊施設を中心に受注活動は堅調に推移したほか、訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション事業を行うIGLOOO(イグルー)社は、官公庁や自治体のほか、民間企業からも誘客するPR需要は増加し、受注が拡大したことによるものであります。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度に比べ524百万円増加し、2,817百万円となりました。
これは主に、地政学的リスクによる資材高騰及び円安の影響による輸入商品の仕入価格の上昇したことによるものであります。
(営業利益)
販売管理費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ524百万円増加し、2,544百万円となりました。
これは主に、中長期的な経営戦略の実現に向けた人的資本への投資に伴う費用が増加したことによるものであります。
これらの結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ0百万円増加し、273百万円となりました。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度に比べ69百万円減少し、327百万円となりました。
これは主に、為替(円安)対策を講じて、輸入取引契約における為替変動リスクに備えた為替予約を使って決済をした際に発生した、為替相場の変動に伴う為替差益91百万円を営業外収益に計上し、デリバティブ評価損及び通貨スワップ評価損等50百万円を営業外費用に計上したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益は、オンデマンド動画配信サービスの事業撤退損7百万円が計上されております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ12百万円減少し、176百万円となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,536百万円となり、前連結会計年度末に比べ212百万円増加いたしました。これは主に前渡金が286百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は1,572百万円となり、前連結会計年度末に比べ2百万円減少いたしました。これは主に投資その他の資産が74百万円増加一方で、無形固定資産が83百万円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は4,002百万円となり、前連結会計年度末に比べ8百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が111百万減少した一方で、その他の流動負債が98百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は235百万円となり、前連結会計年度末に比べ104百万減少しました。これは主に長期借入金が87百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,870百万円となり、前連結会計年度末に比べ306百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益176百万円を計上したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は39.7%(前連結会計年度末は36.7%)となりました。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、社会生活や経済活動におけるインターネットやクラウドサービスなど、ITへの依存度が高まるとともにサイバー攻撃等の脅威が増加するなか、これらの脅威から社会インフラを守り、安定した運用を実現するためのサイバーセキュリティ対策や制御システム・OTセキュリティリスクアセスメントサービスなど、当社グループが推進するセキュリティ対策の需要は引き続き堅調に推移いたしました。
また、好調なインバウンド需要の拡大に伴い、百貨店、小売店、宿泊施設を中心にソリューションサービス部門の多言語リアルタイム映像通訳サービスの利用が増加し、官公庁や自治体、民間企業からも訪日外国人を誘客するためのPR需要は増加しております。
その他、企業のDX推進を支援する当社グループ独自開発のRPAツールや情報システム業務支援、システム開発などの案件も堅調に推移したことから、2024年度については、売上高8,653百万円/営業利益273百万円/経常利益327百万円/親会社株主に帰属する当期純利益176百万円/1株当たり当期純利益10.48円となりました。
当社グループは、デジタル社会の変化に自ら対応・進化し、お客様が欲する最適・的確なソリューションとサービスを提供し続けられるテクノロジーオーガナイズ企業グループを目指し、2022年11月1日に純粋持株会社として当社を設立いたしました。
中核事業会社である㈱テリロジーは、1989年の創業以来、政府・自治体、文教分野、そして各業界のグローバル企業において欠かすことのできないインターネット技術や今日のデジタル社会を支える世界の先進・先端技術トレンドを常に追い駆け、この国にとって必要・有益とされる新たなテクノロジーの発掘・開発・導入に数多く挑戦して参りました。また、各グループ会社においては、サイバーセキュリティ、ICTサービス、ITマネージドサービス、インバンドソリューションサービス等の国内展開や、アジアグルーバル分野において、当社グループならではのユニークな事業ポートフォリオを展開し、各社連携のもと業容の拡大に努めております。
当社グループでは、2022年11月の純粋持株会社体制への移行を経て、ポストコロナの新しい社会活動、企業活動を見据えた当社グループ事業構築の拡充、変革を行っていかなければならない時期に直面していると考えております。
デジタルの利活用が進み、旧来のビジネスモデルが変革され産業のDX化が急速に進む中、産業構造も大きく変化・進化していくことになると考えます。
当社グループは、このデジタル変革の期を大きなチャンスと捉え、「安心・安全なデジタルの活用を支えるサイバーセキュリティ技術の提供」、「簡単で負担を感じないクラウドサービスの提供」、「ログ解析・管理からデータマネージメント技術の提供」を挑戦領域の軸として、国内外の市場を問わずお客様のDX化推進に貢献してまいります。
現在進めております、お客様が抱える情報システムやセキュリティに関わる「現場課題」、我が国の国策である観光DX、環境DXに関わる「社会課題」解決に向けての事業の加速のみならず、今後の社会にとって「必要不可欠な新たな課題領域」に向けての意欲的な挑戦も続けてまいります。
このような環境のなか、当社グループは、外部環境の変化に対応しつつ、長期的にめざす姿を実現するために、ローリング方式にて連結数値目標の見直しを行い、新たに2025年度から2027年度までの3年間を対象とするテリロジーグループ新中期経営計画を策定いたしました。
2025年度は、「更なる成長とグループ事業価値の創造・実現」をスローガンに掲げ、次のステージに向けたコミットメントとして計画に掲げた目標を着実に達成し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。
なお、当社グループの経営戦略の基本的な方向性は以下の通りであります。
①事業戦略の基本
・経営資源の最適化、活用の最大化
・グループ事業価値の創造、拡大
・営業力の強化、ポートフォリオ事業強化
・ビジネス機会が多いことによる社員のモチベーションのアップ(挑戦意欲をかきたてる)
②財務戦略
・グループファイナンスによる効率的な資金運用
・収益向上による自己株式取得=株主還元策
・資金調達の多様化(クレジットライン/企業与信)、金融機関との取引多様化
③人事戦略
・社員のスキルアップ、育成への積極投資
・グループ人事交流の活発化(キャリア拡大)
・新卒採用からの組織構造の適正化
・経営層の強化(経営経験のシェア)
④投資戦略
・既存事業の成長強化策としての事業投資
・事業アライアンスを狙った戦略的互恵関係目的の投資、提携の推進
・将来期待できる新市場、新事業獲得目的の投資活動
⑤グローバル戦略
・ボーダーレス取引、事業機会の増大/対応力強化
・市場弾力度とリスクの検証に基づく海外進出
・海外取引先との交流強化、信頼関係の強化
また、当社グループでは、2024年度に公表した中期3カ年計画2年目となる2025年度は、売上高は維持する一方で、最近の経済動向の不透明感を踏まえて営業利益以下を保守的に予想したことで、売上高9,700百万円/営業利益450百万円/経常利益450百万円/親会社株主に帰属する当期純利益280百万円/1株当たり当期純利益16.39円を連結業績目標としております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資産の流動性
当社グループの事業活動における短期の運転資金については、基本的には自己資金および金融機関からの短期借入金を主な財源としており、設備投資や長期の運転資金に関しては、金融機関からの長期借入金によっております。
また、グループ内の資金効率向上のため、当社は子会社と金銭消費貸借契約を契約し、資金の集中管理をおこなっております。
当社グループの資金の流動性については、上記方策により十分な現金及び現金同等物を確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表を作成するに当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.投資有価証券の減損
当社グループの連結財務諸表に計上されている投資有価証券については、従来より減損処理に関する基準を設けており、これに基づいて処理を実施しております。市場価格のある投資有価証券については、期末日における被投資会社の株価が取得価額に比べ50%以上下落している場合は原則として減損処理を行っております。市場価格のない投資有価証券については、被投資会社の純資産額を基にした1株当たりの実質価額を見積り、株価の代わりに用いて検討することで市場価格のある投資有価証券と同等の減損処理を行っております。
被投資会社の株価もしくは業績の著しい低迷があった場合には、投資有価証券の評価損を計上する可能性があります。
b.繰延税金資産
当社グループの連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上しております。将来の税金の回収可能予想額は、当社グループの将来の課税所得の見込額に基づき算出しておりますが、将来の課税見込額の変動により、繰延税金資産が変動する可能性があります。
c.のれんの減損
のれんの償却方法については、投資効果の及ぶ期間にわたり、定額法により償却しております。なお、のれんの対象事業の収益性が低下し、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度において、新たに締結した重要な契約等は次のとおりです。
(資本業務提携及び第三者割当による自己株式の処分)
当社は、2024年8月14日開催の取締役会において、高千穂交易株式会社(以下「高千穂交易」)との間で資本提携契約(以下「本資本提携契約」また、本資本提携契約に基づく資本提携、並びに、当社及び高千穂交易間で締結した2024年4月1日付業務提携契約書(以下「本業務提携契約」)に基づく業務提携を総称して「本資本業務提携」)を締結すること、及び本資本提携契約に基づき、高千穂交易を割当予定先とした第三者割当による自己株式の処分(以下「本自己株式処分」といいます。)を行うことを決議いたしました。
Ⅰ 本資本業務提携について
1.資本業務提携の目的および理由
当社グループ(当社、連結子会社6社及び関連会社2社(本日現在)により構成される企業グループのことをいいます。以下同じです。)は、「デジタルの力で現場課題と社会課題を解決する」をミッションに掲げ、デジタル社会の変化に自ら対応・進化し、お客様が欲する最適・的確なソリューション・サービスを提供し続けられるテクノロジーオーガナイズ企業グループとして、今日のデジタル社会を支える世界の先進・先端 技術トレンドに基づいたソリューション・サービスを創出・提供しております。一方、高千穂交易は『技術商社として「創造」を事業活動の原点に据え、1.テクノロジーをとおして、お客様のご満足を高めます。2.技能と人間性を磨き、世界に通用する信用を築きます。3.力を合わせて、豊かな未来を拓き、社会に貢献します。』という企業理念に基づき、「安全・安心・快適」をソリューションの核とし、技術商社として、豊富な実績と経験を活かし、技術力を要する専門性の高いソリューションをご提供することで、お客様の企業価値向上に貢献しています。また、2024年4月より、当社グループと高千穂交易は、当社グループのOT/IoTセキュリティに関する技術力・ナレッジと高千穂交易の持つサービス&サポートの対応能力や安全管理の知見の融合によるOTセキュリティ事業を中心とした取引の拡大、及び双方の持つ海外とのリレーションの活 用による新規事業領域の開発に取り組んでまいりました。このたび、かかる事業提携の目的を達成するため、当社と高千穂交易のより安定的かつ強固な関係を構築すべく、高千穂交易が当社普通株式を保有する資本関係を築く必要があると判断したため、かかる業務提携の一環として、本自己株式処分及び本売出しを実施することし、本資本業務提携を行うことといたしました。
2.資本業務提携の内容
(1)業務提携の内容
当社グループ及び高千穂交易は以下の内容を実施いたします。
① 高千穂交易におけるOTセキュリティ事業の共同立ち上げ及び営業における提案力・製品ソリューションの強化
当社子会社である株式会社テリロジーは、OTネットワークにおけるセキュリティの重要性にいち早く着目し、OT/IoTセキュリティ市場のマーケットリーダー、米国NozomiNetworks社の販売代理店として日本国内の製造業/社会インフラを中心とした多くの大手企業への導入実績を積み上げてまいりました。直近では、海外先端の各種関連OTセキュリティ製品をいち早く日本市場に提供しています。すでに、高千穂交易のOTセキュリティ事業の開始に伴い、当社及び当社子会社と高千穂交易は共同でウェビナーを開催し、また高千穂交易のロイヤルカスタマー向けにOT/IoTセキュリティ市場のマーケットリーダーである米国NozomiNetworks社製品の提案を開始するなど、事業上の取引を行っております。本資本業務提携を通じて、高千穂交易及び同社お客様へのOT/IoTセキュリティに関するより幅広な提案や技術提供を行い、付加価値の高く独自性のあるソリューションの展開可能性を両社で検討してまいります。
② 投資活動及び新規商材発掘における提携強化
当社グループは創業以来の強みとする目利き力やイスラエルを中心とした最先端の海外テック企業とのリレーションを活かし、サイバーセキュリティを中心にソーシングを実施し、多くのテクノロジーを発掘し、独自の技術力でローカライズを行うことでお客様に最適なソリューションを提供してまいりました。一方で、高千穂交易は米国サンマテオにシリコンバレー・イノベーションセンターを開設し、現地ベンチャーキャピタルとともに将来のコア事業の創造に向けた新規事業やビジネスモデルの開拓にも積極的に取り組んでいます。当社と高千穂交易との協業により、今後、シリコンバレーを中心とした米国テック企業に対する共同でのテクノロジーファインディングや、イスラエル発のIndustry4.0、AI、SmartManufactureなどの次世代産業DXソリューションの国内における市場開発を積極的に行いたく考えております。また、タイやベトナム等の東南アジア市場におけるビジネスの拡大についても両社の現地法人やその他経営資源・人的なつながりをフルに活用し、ともに進めていきたいと考えています
(2)資本提携の内容
本資本業務提携を推進し実効性を高めるため、当社は、高千穂交易に当社普通株式685,700株(2024年3月31日現在の発行済株式総数17,111,742株に対する所有割合4.01%(小数点以下第三位を四捨五入。以下所有割合について同じです。))を割り当て、高千穂交易は本自己株処分による株式をすべて引き受けております。なお、本自己株式処分の詳細につきましては、下記「Ⅱ.第三者割当による自己株式の処分について」をご参照ください。また、高千穂交易は、津吹氏との間で、津吹氏が保有する当社普通株式170,000株(2024年3月31日現在の発行済株式総数17,111,742株に対する所有割合0.99%)を、市場外の相対取引により譲り受ける旨の契約(以下「本株式譲渡契約」といいます。)を、2024年8月14日付で締結し、津吹氏は本売出しを行います。本売出しの詳細につきましては、下記「Ⅲ.株式の売出しについて」の「(1)売出しの概要」をご参照ください。本自己株式処分及び本売出しにより高千穂交易が取得する株式の合計数は855,700株(当社の2024年3月31日現在の発行済株式総数17,111,142株に対する所有割合5.00%)となります。
3.本資本業務提携の相手先の概要
|
① |
名称 |
高千穂交易株式会社 |
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|
② |
所在地 |
東京都新宿区四谷一丁目6番1号 |
||||
|
③ |
代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 井出 尊信 |
||||
|
④ |
事業内容 |
クラウドサービス、商品管理、入退室管理システム、監視カメラシステム等のシステム機器の販売、設置、保守、及び電子部品や機構部品などの販売 |
||||
|
⑤ |
資本金 |
1,209百万円 |
||||
|
⑥ |
設立年月日 |
1952年3月13日 |
||||
|
⑦ |
大株主及び持株比率 (2024年3月31日現在) |
株式会社マースグループホールディングス |
8.78% |
|||
|
日本マスタートラスト信託銀行株式会社 (信託口) |
5.43% |
|||||
|
セコム株式会社 |
4.91% |
|||||
|
株式会社みずほ銀行 |
3.28% |
|||||
|
株式会社マーストーケンソリューション |
2.89% |
|||||
|
明治安田生命保険相互会社 |
2.36% |
|||||
|
ヒューリック株式会社 |
2.18% |
|||||
|
高千穂交易従業員持株会 |
2.03% |
|||||
|
NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE IEDP AIFCLIENTS NON TREATY ACCOUNT (常任代理人 香港上海銀行東京支店) |
1.83% |
|||||
|
佐々木 豊実 |
1.33% |
|||||
|
⑧ |
当事会社間の関係 |
|||||
|
資本関係 |
該当事項はありません。 |
|||||
|
人的関係 |
当社から高千穂交易への在籍出向者が1名おります。 |
|||||
|
取引関係 |
当社と高千穂交易には、OTセキュリティ及びNWソリューションに係る取引関係があります |
|||||
|
関連当事者への該当状況 |
該当事項はありません。 |
|||||
|
⑨ |
最近3年間の経営成績及び財務状態(連結、単位:百万円。特記しているものを除きます。) |
|||||
|
決算期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
|||
|
純資産 |
15,025 |
16,432 |
16,835 |
|||
|
総資産 |
20,593 |
22,133 |
22,963 |
|||
|
1株当たり純資産(円) |
1,680.73 |
1,811.32 |
1,851.62 |
|||
|
売上高 |
20,784 |
23,360 |
25,224 |
|||
|
営業利益 |
1,024 |
1,376 |
1,465 |
|||
|
経常利益 |
1,247 |
1,588 |
1,835 |
|||
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
878 |
1,205 |
1,437 |
|||
|
1株当たり当期純利益(円) |
98.61 |
134.69 |
158.46 |
|||
|
1株あたり配当金(円) |
55.00 |
133.00 |
158.00 |
|||
Ⅱ 第三者割当による自己株式の処分について
1.資本業務提携の目的および理由
(1)本自己株式処分の概要
|
① 払込期日 |
2024年8月30日 |
|
② 処分する株式の種類及び数 |
普通株式685,700株 |
|
③ 処分価額 |
1株につき366円 |
|
④ 調達資金の額 |
250,966,200円 |
|
⑤ 処分方法 |
第三者割当の方法によります。 |
|
⑥ 割当予定先 |
高千穂交易株式会社 |
|
⑦ 割当予定先 |
本自己株式処分については、金融商品取引法に基づく有価証券届出書の効力が発生していることを条件とします |
(2)処分の目的及び理由
① 本自己株式処分の目的
「Ⅰ.本資本業務提携について」の「1.本資本業務提携の目的及び理由」及び「2.本資本業務提携の内容」に記載のとおり、本自己株式処分は、本資本業務提携の一環として、両社の関係をより一層強化するために実施するものであり、本自己株式処分により調達した資金は下記「(3)調達する資金の額、使途及び支出予定時期」の「2.調達する資金の具体的な使途」にて記載のとおり活用し、本資本業務提携の効果をより一層促進することを目的としております。
② 資金調達の方法として自己株式処分を選択した理由
本自己株式処分の目的に照らし、本資本業務提携に際して提携先との関係をより強固なものにするため、また、自己資本の増強を通じて財務的基盤を盤石なものとし、業務提携を含めた事業活動のより一層の円滑化を図るため、資金調達の方法につきましては、以下の第三者割当による自己株式の処分以外の方法に比べ、第三者割当による自己株式の処分が最適であると判断いたしました。
ⅰ)公募増資や株主割当は、特定の資本業務提携先のみに株式を割り当てるものではない点で、高千穂交易とのより安定的な関係の構築に資するものではないこと
ⅱ)新株予約権の発行は第三者割当による自己株式の処分よりも資金調達の確実性が乏しく、また、権利行使がされるまで資本業務提携先は当社の株主とはならず、第三者割当による自己株式の処分と比較して本資本業務提携に対する十分なコミットを確保できないおそれがあること
ⅲ)銀行借入、普通社債や新株予約権付社債の発行等の負債性のある資金調達手段よりも第三者割当による自己株式の処分の方が財務健全性に資する上、負債性のある資金調達手段では資本業務提携先との間で資本関係を構築することができず、高千穂交易とのより安定的な関係の構築に資するものではないこと
(3)調達する資金の額、使途及び支出予定時期
① 調達する資金の額
|
① 払込金額の総額 |
250,966,200円 |
|
② 処分諸費用の概算額 |
4,000,000円 |
|
③ 差引手取概算額 |
246,966,200円 |
(注)1.調達した資金につきましては、実際に支出するまでは、銀行口座にて管理いたします。
2.上記具体的な使途につき、優先順位はございません。支出時期の早いものより充当する予定であります。
また、資金使途の詳細は、以下のとおりです。
ⅰ)日本国内市場における新規事業立ち上げ・注力事業拡大のための市場開発投資及び将来的なM&A及び資本業務提携等に係る資金
当社は「テリロジーグループFY2024-FY2026新3ヵ年中期経営計画」に基づき、グループ・ポートフォリオ事業の更なる拡充・拡大を目指し、新規事業の立ち上げと注力領域の拡大を行っております。新規事業の立ち上げについては「I.本資本業務提携について」の「(2)本資本業務提携の内容」に記載のとおり、高千穂交易と当社の協業によるIndustry4.0や、AI、SmartManufactureなどの海外先端産業DXソリューションの国内展開を行うにあたり、市場調査や技術検証、マーケティング等を実施したく考えています。また、既存注力事業に関してもOTセキュリティ事業を始めとして、クラウドセキュリティ事業やビジネス・システム・マネージメント事業等の更なるトップラインの伸長、マーケットシェアの拡大のための投資を行ってまいりたく考えております。また、新規事業立ち上げ及び注力事業拡大のため、事業シナジーが見込まれる有望な投資機会があれば、積極的に買収を含めたアライアンス戦略を推進してまいります。上記を踏まえ、当社は、2024年9月から2027年8月にかけて、本自己株式処分による資金調達のうち、約141百万円を日本国内市場における新規事業立ち上げ・注力事業拡大のための市場開発投資及び将来的なM&A及び資本業務提携等へと支出する予定です。
ⅱ)グローバル市場におけるテクノロジーファインディング及び東南アジア等における市場調査・参入費用
当社グローバル事業において、先進・先端技術ソーシング先としての米国及びイスラエルでの取り組み並びに今後の成長市場としてのアジアグローバル市場でのパートナリング戦略を進めてまいりました。その中でも、日系企業の進出が著しい成長市場としてのベトナムへ注力しています。今後、更なる先進技術のソーシングの強化を企図しており、現地ベンチャーキャピタルやテック企業への投資、当社技術戦略部隊の定期的な海外展示会への派遣を含む現地訪問によるリレーションシップの構築を行いたく考えております。また、高千穂交易とのグローバル市場での協業を進めるにあたり、すでに現地企業との合弁会社を設立したベトナムのみならず、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシアなどへの進出にあたり、市場調査や駐在員の派遣、現地法人設立等のため必要な資金や人材を確保する必要がございます。上記を踏まえ、当社は、2024年9月から2027年8月にかけて、本自己株式処分による資金調達のうち、約70百万円をグローバル市場におけるテクノロジーファインディング及び東南アジア等における市場調査・参入費用へと支出する予定です。
ⅲ)人的資源確保・育成のための投資当社グループにおいては人的資本経営を実践しており、社員の採用及び育成、経営人材の創出が重要課題となっております。今後、人材採用を強化するとともに研修の実施をはじめとした人材開発により一層の投資を行うことで、競合優位性を高め事業の継続的な成長及び新たな事業の開発を目指してまいります。上記を踏まえ、当社は、2024年9月から2027年8月にかけて、本自己株式処分による資金調達のうち、約35百万円を人的資源確保・育成のための投資へと支出する予定です。
(4)資金使途の合理性に関する考え方
本自己株式処分により調達する資金は「(3)調達する資金の額、使途及び支出予定時期」の「2.調達する資金の具体的な使途」に記載のとおり、①日本国内市場における新規事業立ち上げ・注力事業拡大のための市場開発投資、及び将来的なM&A及び資本業務提携等に係る資金、②グローバル市場におけるテクノロジーファインディング及び東南アジア等における市場調査・参入費用、及び③人的資源確保・育成のための投資にそれぞれ充当し、当社と高千穂交易の事業の更なる拡大を目指してまいります。その結果、当社の成長戦略の実現による企業価値及び当社の中長期的な株主価値の向上、並びに既存株主の皆様の利益拡大が図られるものと考えており、上記の資金使途については合理性があるものと考えております
(5)処分条件等の合理性
① 払込金額の算定根拠及びその具体的内容
処分価額については、2024年8月14日開催の本自己株式処分に係る取締役会決議の前営業日(2024年8月13日。以下「基準日」といいます。)までの直前60営業日の株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)における当社普通株式の終値の単純平均値である366円(円未満四捨五入)といたしました。取締役会決議日の直前60営業日の終値の単純平均値を採用しましたのは、①直前取引日という特定の一時点を基準とするのではなく、平均株価という一定期間の平準化された値を採用することが、一時的な株価変動等の特殊要因を排除でき、算定根拠として客観性が高く合理的であると判断したこと、また、②直近1ヶ月平均では短期的な相場変動の影響を強く受ける可能性がある一方、直近3ヶ月平均や直近6ヶ月平均では直近のマーケットプライスを適切に反映できない可能性があることから、直前60営業日の平均が合理的であると判断したためです。処分価額366円は、基準日の終値である334円に対し9.58%のプレミアム、基準日以前1ヶ月の終値平均値349円(円未満四捨五入)に対し4.87%のプレミアム、基準日以前3ヶ月の終値平均値363円(円未満四捨五入)に対し0.82%のプレミアム、基準日以前6ヶ月の終値平均値335円(円未満四捨五入)に対し9.25%のプレミアムとなっており、日本証券業協会の「第三者割当増資の取扱いに関する指針」に準拠したものであること、上記「Ⅰ.本資本業務提携について」の「(1)本資本業務提携の目的及び理由」に記載の本資本業務提携の目的及び理由を考慮するとともに、本自己株式処分の処分条件について十分に高千穂交易と交渉を行った上で合意されたものであることから、特に有利な処分価額には該当しないと判断しております。なお、当社監査役3名全員(うち社外監査役2名)からは、上記算定根拠による処分価額は、当社普通株式の価値を表す客観的な値である市場株価を基準にしており、上記のとおり日本証券業協会の「第三者割当増資の取扱いに関する指針」にも準拠していること、直近60営業日の平均株価が現時点における当社の客観的企業価値を適正に反映していると判断した上で高千穂交易との交渉により合意されたものであることから、高千穂交易に特に有利な金額には該当しない合理的な水準であり、適法である旨の意見を得ております
② 処分数量及び株式の希釈化の規模が合理的であると判断した根拠
本自己株式処分に係る株式数は、685,700株(議決権数6,857個)であり、これは2024年3月31日現在の当社の発行済株式数17,111,742株に対して4.01%(2024年3月31日現在の総議決権数163,844個に対して4.19%)の割合に相当し、既存株主の保有する株式に対して一定程度の希釈化をもたらすことになります。しかしながら、当社としては、本資本業務提携の一環として行われる本自己株式処分を通じた当社と高千穂交易との関係の強化は、本資本業務提携契約に基づく業務提携を確実に推進する上で重要、かつ、当社事業の成長性・収益性向上に資するものであり、結果として、当社の中長期的な企業価値の向上に繋がるものと考えており、本自己株式処分による処分数量及び株式の希釈化の規模は合理的な水準であると判断しております。
(6)割当予定先の選定理由等
① 割当予定先の概要
「Ⅰ 本資本業務提携について」の「3.本資本業務提携の相手先の概要」に記載のとおりです。
② 割当予定先を選定した理由
「Ⅰ. 本資本業務提携について」の「1.本資本業務提携の目的及び理由」及び「2.本資本業務提携の内容」をご参照ください。
③ 割当予定先の保有方針
当社は、割当予定先である高千穂交易より、本自己株式処分による株式の取得は当社との関係強化を目的とした投資であり、長期的に継続して保有する方針であることを口頭で確認しております。なお、当社は、割当予定先である高千穂交易から、払込期日から2年以内に本自己株式処分により取得する当社普通株式の全部又は一部を譲渡した場合には、その内容を当社に対し書面により報告すること、当社が当該報告内容を東京証券取引所に報告すること、及び当該報告内容が公衆の縦覧に供されることに同意することにつき、確約書を取得する予定です。
④ 割当予定先の払込みに要する財産の存在について確認した内容
当社は、割当予定先である高千穂交易の払込みに要する財産の存在について、高千穂交易が2024年6月27日に関東財務局長宛に提出している第73期有価証券報告書(自2023年4月1日至 2024年3月31日)に記載の連結貸借対照表により、高千穂交易において本自己株式処分の払込みに必要かつ十分な現金及び預金を保有していることを確認しております。なお、高千穂交易は、自己資金のみを以って本自己株式処分及び本売出しの払込みに要する資金を賄う予定とのことです。
(7)処分要綱
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① 処分株式数 |
普通株式685,700株 |
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② 処分価額 |
1株につき366円 |
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③ 処分価額の総額 |
250,966,200円 |
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④ 処分方法 |
第三者割当による自己株式処分 |
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⑤ 処分期日 |
2024年8月30日 |
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⑥ 割当先(割当予定先) |
高千穂交易株式会社 |
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⑦ 処分後の自己株式 |
29,700株 |
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⑧ その他 |
本自己株式処分については、金融商品取引法に基づく届出の効力発生を条件とします。 |
(資本業務提携)
当社は、2025年5月9日開催の取締役会において、サクサ株式会社との間で資本提携契約を決議し、同日付で本資本業務提携契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
特記事項はありません。