第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は「ソリューション提供事業」の単一事業を展開しており、その対象の事業領域は、主に人工知能分野(AI)となります。事業を推進する上での方針として、収益の「継続性」と「高成長性」を実現することを重要視しながら、事業ポートフォリオを組んでいます。「ソリューション提供事業」における「ソリューション」の提供形態と収益の「継続性」と「高成長性」の関係は、具体的には下記の表のように対応しております。

大分類

ビジネス概要

継続性

高成長性

プロジェクト型

 

・顧客の経営問題の解決や課題の達成のための相談と具体的なサービス・システムの設計、開発及び保守運用までをワンストップで提供

・顧客の要求仕様を満たすサービス・システムをプロジェクト単位に契約して契約の期間内に納品・顧客の経営問題に対して中長期的にコミットしながらエンジニアやコンサルタントの稼働やノウハウを安定的に提供

 

サービス型

 

・業務提携先に対する「仮想人材派遣」関連技術に関する技術情報の提供や開発ライセンス・利用ライセンスの供与や関連事業・サービスの立上支援及びAEI基礎技術をAPIとして提供

・業務提携の重点分野としては「コールセンター」、「メンテナンス」、「広告・メディア」、「製造業」を想定

 

 

 当社は、「継続性」・「高成長性」を重要視する中で、現在までの経営状況として、プロジェクト型の方向性に関しては、第6期以降も「継続性」を高めて安定性の高い収益を拡大していくこと、また、サービス型の方向性としては、サービスを本格的に立上げ、「高成長性」の収益を拡大していくことが、事業運営の中で特に重要視していくべき課題だと認識しております。

 ソリューション提供事業を、①サービス提供方法に基づく分類、②テクノロジーに基づく分類、③継続性に基づく分類にそれぞれ事業を分解すると以下のような収益構造となっております。

 

①サービス提供方法に基づく分類

 ソリューション提供事業を、役務提供内容によりプロジェクト型とサービス型に分類しております。自社サービスや自社保有のライセンス利用に係る売上に関してはサービス型売上に分類し、それ以外の売上高についてはプロジェクト型売上に分類しております。

 これに基づく第6期事業年度(2022年11月1日から2023年10月31日まで)の売上高は、プロジェクト型864,394千円、サービス型売上は29,680千円となっております。

 

②テクノロジーに基づく分類

 ソリューション提供事業を、当社提供サービスにより、AEI関連売上とその他売上に分類しております。これは、顧客へ提供する役務の内容として、AI技術もしくは当社が独自に研究開発を行っているAEIという技術を用いたソリューション提供であるかに基づき、当該技術を用いた売上高に関してはAEI関連売上に分類し、それ以外のものに関してはその他売上に分類をしております。

 これに基づく第6期事業年度(2022年11月1日から2023年10月31日まで)の売上高は、AI関連売上528,014千円(うち、AEI関連売上が77,200千円)、その他売上366,059千円となっており、AI関連売上比率は全体の59.1%となっております。研究開発進捗の結果、サービス型売上及びサービス型に付随して発生するプロジェクト型売上の合計である「AEI関連売上」の比率は、8.6%となっております。

 研究開発の状況については、「第2 6 研究開発活動」で詳述します。

(注) AI関連売上は自然言語処理、動画・画像処理、数値分析及びそのための分析・推論インフラ整備を役務として提供している案件の売上を指しております。

 

③継続性に基づく分類

 ソリューション提供事業を、顧客の継続性により、継続的な顧客への売上とその他売上に分類しております。第6期事業年度(2022年11月1日から2023年10月31日まで)の売上高は、継続的な顧客への売上が513,425千円、その他売上が380,649千円となっております。全社売上のうち、57.4%が継続的な顧客への売上であり、既存顧客へのアップセル及びその他売上から継続的な顧客への売上への転換を図っております。

(注) 1.直近四半期会計期間までに4四半期会計期間以上連続で売上を計上している顧客への、4四半期目以降の売上を継続的な顧客への売上として分類し、それ以外の顧客への売上をその他売上として分類しております。

 

 売上高は創業以来、前年対比で堅調な成長を示しております。事業運営の中で顧客との関係性構築を重視しつつ、研究開発等を安定的に行うことでlサービス型売上比率及びAEI関連比率を高めることで、安定的な収益基盤構築を目指し、企業価値の最大化を図ってまいります。


 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は収益の「継続性」と「高成長性」の実現のために、「売上高成長率」、「売上総利益率」を経営指標として管理しております。また、「売上高成長率」、「売上総利益率」の管理を通して、高いレベルの「継続性」、「高成長性」の実現のために、参考指標として、上記の「継続的な顧客への売上」、「AEI関連売上」、「サービス型売上」の比率についても、モニタリングしております。

 具体的には、以下の3点の視点で方針を決定し、その上で、方針の達成状況を判断しております。

①「売上高成長率」を一定以上にし、「継続性」、「高成長性」の水準を一定レベル以上に維持

②「売上総利益率」を高い水準で維持しながらAEIに投資を継続することで、「AEI関連売上」、「サービス型売上」の比率を増やし、中長期的に「高成長性」を実現

③「営業利益」に関しては、額・率ともに中長期的な最大化を目標とし、短期的にはAEIへの投資計画に合わせて柔軟に対応

 

(3)経営環境及び戦略

AI領域においては、世界ではAI市場全体で2021年に34兆円規模に達するという推計(IDC:「IDC Forecasts Improved Growth for Global AI Market in 2021」2021年2月23日発表)や、国内でも2030年に2兆円を超える推計(富士経済:「2019 人工知能ビジネス総調査」」2019年6月7日発表)があります。また、総務省の平成29年度版の情報通信白書では、IoT・AIの経済成長へのインパクトとして実質GDPを2030年に132兆円押し上げる効果があることが明らかにされております。

 国内の労働環境をみても、10年から20年のスパンで多くの労働者が不足していくことが各種統計で推計されております。具体的には、パーソル総合研究所は2018年10月23日発表の「労働市場の未来推計 2030」の中で、2030年に644万人不足すると推計し、みずほ総合研究所は2017年5月31日発行の「みずほインサイト」の中で、2020年と比較した際に、2030年で524万人、2040年では1,136万人の労働力が減少すると推計しております。

 また、国税庁が2019年に発表した「民間給与実態統計調査」の中で、平均年収の額は436万円となっております。二つの推計に基づくと国内だけでも、労働者の不足数×平均年収の形での概算により、10年から20年のスパンでは、約30兆円〜50兆円の何らかの形で対処すべき労働者市場が存在すると捉えることができます。

 そのような環境下で、弊社が研究開発、並びにサービス開発を進めている「仮想人材派遣」に対する社会的要請は極めて高いと認識しております。「仮想人材派遣」はAEIのコンセプトの下、特定のジャンルの中に限定した際に人間のようにタスクをこなせるAIを具体化した技術であり、10年のスパンでの実現性が見込まれていることから、「仮想人材派遣」のTAM(Total Addressable Market)(注1)は、AEIの高い相互理解が価値を発揮し、物理的な身体を持たなくても業務を完結しやすい情報通信業と教育、学習支援業の専門的・技術的職業従事者と、全産業の事務従事者と販売従事者がターゲットとした場合、TAMの累計は約94兆円となります。なお、市場規模は、職業分類及び産業分類に応じた人数に対して平均年収を乗じて計算しております。

 そして、「仮想人材派遣」の技術開発のレベル向上が進んでいく中で、対応可能な仕事のジャンルが増えてきて、SAM(Serviceable Available Market)(注2)は、TAM×仮想人材派遣が対応できる業務の割合を乗じることで、約25.7兆円となると推察しております。そして、その流れの中で、重点的にイノベーションを起こす分野として、製造業、メンテナンス業、メディア・広告業、コールセンター業を選定して、そのマーケットに対して参入するための事業パートナーと業務提携し、かつ、AEIによる差別化を確立することによって、SOM(Serviceable Obtainable Market)(注3)の拡大を具体化することを試みております。

 また、最近、発表されたAIの5~10年スパンでの未来戦略を扱ったものとして、2021年2月8日刊行の「次世代AI戦略2025」や2021年6月15日実施のNEDOのシンポジウムの「人とAIの共進化に向けた今後10年間のAIアクションプラン」がございますが、いずれも「自然言語処理分野」を中心とした内容となって、AIの次の主戦場が、AEIのターゲットである「自然言語処理分野」というのが鮮明になってきております。これは、当社が時代を先取りした良いポジショニングに位置していることの何よりの証拠だと当社は捉えております。

 そういった流れの中で、当社は、「差別化されたサービスを開発して提供」という意味においては、創業以来、意味理解を中心とした自然言語処理分野に対して重点投資を継続しており、今後も当該領域における絶対的なリーダーを目指して戦略的に取り組んでまいります。

(注) 1.TAM(Total Addressable Market)ある市場の中で獲得できる可能性のある最大の市場規模、つまり商品・サービスの総需要のこと

2.SAM(Serviceable Available Market)TAMの中でターゲティングした部分の需要。国勢調査の結果の従業上の地位(8区分)、職業(大分類)の数字に基づいて、「労働者派遣事業所の派遣社員」と「雇用者 パート・アルバイト・その他」の合計により、補完的雇用形態の比率を算出し、TAMの数字に乗じて計算しております。

3.SOM(Serviceable Obtainable Market)実際に商品・サービスをもって市場に参入した時に、実際にアプローチして獲得できるであろう市場規模

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①優秀な技術陣の採用及び育成

 当社では顧客の課題解決の最有力の手段は、「優秀な技術陣の採用・育成」だと捉えております。優秀な人材をインターンとして積極的に受け入れており、育成・抜擢を継続して行っております。その結果として、現時点でAIやITなどの技術系に対応できる人材の割合は大多数を占め、大学院生以上の人材も多く在籍しております。学習力に長けたメンバーが数多く在籍しており、世の中の技術的なイノベーションや法的規制等による変化が劇的になればなるほど、当社の強みが生きてくると認識しております。また、優秀な技術陣の確保により、新たに求められる技術への追随を短期間で行うことができ、組織としての競争力を維持することが可能となります。そのため、人材の採用及び育成は当社として重要な意味をもっており、採用・育成に係る投資を継続的にしてまいります。

 

②営業体制の強化

 顧客ニーズを明確に把握し、AIを用いて顧客の課題解決を行うためには、技術面・ビジネス面に知見の深い人材が必要となります。今後の事業の成長合わせた営業体制の維持・構築が必要となることから、技術面・ビジネス面に知見のある営業人材の積極的な採用及び営業ノウハウの仕組化への投資を行ってまいります。

 

③事業開発及び研究開発活動への対応

 今後の持続的な成長のためには、事業開発及び研究開発への投資を積極的に行っていくことが必須であると認識しております。AEIを中心とした自社サービスの展開(サービス型)と、他社のニーズに応えたソリューション提供(プロジェクト型)のバランスをとった事業ポートフォリオの構築が必要となります。そのため、事業活動により得られた営業キャッシュフロー等を資金源として、プロジェクト型サービスを安定的に成長させつつ、AEIを用いた事業開発及び研究開発活動に積極的に資金を投資してまいります。

 

④健全な財務基盤の構築

 優秀な人材の採用及び育成、事業開発及び研究開発活動への対応を行うために、事業資金の安定的な確保が必要不可欠であると考えております。当社のソリューション提供事業の「プロジェクト型」においては、高付加価値案件の提供により、高い売上総利益率に基づいた事業開発及び研究開発等への再投資のサイクルが機能しており、資金確保については、自己資金又は営業活動によるキャッシュフローから充当していくことを基本方針としております。ただし、今後事業拡大に向けた投資資金需要に対応すべく、金融機関からの借入、エクイティファイナンス等で資金の調達していくことを検討しております。
 

⑤セキュリティ体制の強化

 当社は案件によっては、顧客の重要情報等を取り扱うことが多くございます。そのため、当社の市場からの信頼性確保のためにも、厳重なセキュリティ体制の構築は必須であると認識しております。セキュリティ体制強化のために、より厳重性の高い開発環境の構築や社内研修の拡充等を積極的に進めてまいります。

 

⑥内部管理体制の強化

 当社の今後の継続的な成長のためには、事業の成長に合わせてコーポレート・ガバナンスや内部統制、内部管理体制を強化していくことが重要であると認識しております。そのためにも、社内研修の拡充や、三様監査の連携強化、内部監査の厳密化等を積極的に進めてまいります。

 

SDGs(持続可能な開発目標)への貢献

 当社技術及びソリューションにおいて、各産業の課題解決を行うことはSDGs(持続可能な開発目標)課題とも密接に関連していると考えております。具体的には、当社のソリューション提供事業において、「すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに」「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の課題と当社ソリューションが密接に関連していると認識しております。当社の事業活動の拡大に伴い、AIを用いて顧客の事業課題の解決を推進することにより、より深く広範にSDGs課題の解決につながると認識しており、より具体的な課題解決を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

(1)ガバナンス

当社は「知の創発により、新しい選択肢を生み出す」をミッションとし、当社のすべての活動の基本としております。当社は、サステナビリティに関する課題を経営上の重要課題として、それに関わるリスク及び機会の把握につとめており、当社のミッション及び中長期的な成長持続の実現のために重要であると認識しております。

その基盤となるコーポレート・ガバナンス体制の整備は当社グループにとって不可欠な経営課題と位置付けており、継続的な充実・強化に努める方針であります。取締役会、監査役会に加え、経営会議やコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、サステナビリティに関する事項を含む重要事項の審議・検討を通じて、ガバナンス向上を図っております

 

(2)戦略

当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。

 ①人材育成方針

  当社は「人の可能性を広げる」というビジョンを実現すべく、「知の創発により、新しい選択肢を生み出す」をミッション、「ユニークなプロフェッショナルであれ」をバリューとして掲げております。日本の現状として、少子高齢化を好機として捉えAIやロボットの導入率を世界最高水準に引き上げ、日本の生産性を世界一にして人々の可処分時間や可処分所得を増やすことを目指しております。

  その実現のためには、「優秀な技術陣の採用・育成」だと捉えております。そのために、優秀な人材をインターンとして積極的に受け入れており、育成・抜擢を継続して行っております。その結果として、現時点でAIやITなどの技術系に対応できる人材の割合は大多数を占め、大学院生以上の人材も多く在籍しております。学習力に長けたメンバーが数多く在籍しており、世の中の技術的なイノベーションや法的規制等による変化が劇的になればなるほど、当社の強みが生きてくると認識しております。また、優秀な技術陣の確保により、新たに求められる技術への追随を短期間で行うことができ、組織としての競争力を維持することが可能となります。そのため、人材の採用及び育成は当社として重要な意味をもっており、採用・育成に係る投資を継続的にしてまいります。

 また、性別、国籍、年齢等の属性に制限を設けず、多様な人材の確保、育成をしていく方針であります。

 

 

②社内環境整備方針

 当社では従業員の満足度調査を毎月実施しており、職場環境の改善や労働環境の改善を継続して図っております。また、書籍購入制度、資格取得補助、従業員交流会等といった自己研鑽活動やコミュニケーションの促進等を会社負担により実施することで、従業員の成長意欲の向上、自己実現に向けた満足度の向上に資することで、社会課題等の解決ができると考えております。今後も従業員が自己実現に向けて働くことができる環境の整備に努めてまいります。当社の人材の状況、労働環境は以下のとおりです。


 

(3)リスク管理

当社は、経営会議にてリスク管理を統括しており、サステナビリティの活動を通じたリスク管理を実施しております。各役員及び各執行役員は、経営会議にてプロジェクトのリスク・機会の識別及び管理等を行うものとし、各部門やプロジェクトにおいてリスクの特性や状況に応じた適切な対策がなされていることをモニタリングしております。また、当社のコーポレート・ガバナンスを支える内部統制上の重要性の観点から、取締役会で定める規程に従いリスク・コンプライアンス委員会を設置し運用しております。サステナビリティに関するリスクは潜在的なものを含め多岐にわたり、中長期的な対応を要することから、その管理については事業の状況に照らし優先順位付けを行った上で実施しております。

なお、当社のリスク管理体制については、「第4(提出会社の状況) 4(コーポレート・ガバナンスの状況等) (1)コーポレート・ガバナンスの概要」の「②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」及び「③企業統治に関するその他の事項 内部統制の整備の状況」もご参照ください。

 

(4)指標及び目標

当社では、小規模な組織体制であるため、重要性も加味した上で、年齢、国籍、性別等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値等は定めておりません。その具体的な目標設定や状況の開示については、今後の課題として検討してまいります。ただし、当社ミッションを実現し、事業成長を加速するためには、様々な局面において多様な意見を反映することが重要であるという認識の下、女性や中途採用者の管理職への登用を推進しております。2022年11月から、女性部長が1名選任されております。今後も期待する役割に応じた能力と実績に基づき、積極的に登用を進めるとともに、適切に能力が評価されるような施策や環境の整備に取り組んでまいります。また、当事業年度の当社の従業員の平均残業時間は6.5時間であり、従業員のワークライフバランスも重要視しており、業務以外での自己実現や充実等、労働環境の整備にも積極的に取り組んでまいります。

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。

また、当社におけるリスクの把握及び管理する体制は、後述の「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバ ナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

(1)イノベーションへの対応について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大
 当社が事業を展開するIT業界においては、イノベーションのスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新機能の導入等が行われております。当社のサービスは、当社の自然言語処理、機械学習、ITシステム開発と当社の独自データを組み合わせることにより、今後も競争力のあるサービスを提供できるように取り組んでおります。当社のサービスは現在、既存顧客等からの紹介等による安定した新規受注を受けており、高い顧客継続率を維持しておりますが、予想以上の急速なイノベーションや代替技術・汎用的な競合商品の出現等により、当社のサービスが十分な競争力や付加価値を確保できない場合等には、新規受注の減少や顧客契約継続率の低下により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
 
(2)法的規制等によるインパクトについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大
 現在、日本国内においてインターネットに関連する主要な法規制は電気通信事業法となっておりますが、インターネット上の情報流通やEコマースのあり方についても様々な議論がなされている段階であります。当社が営むインターネット関連事業そのものを規制する法令は本書提出日時点において存在しませんが、今後、インターネットの利用者や関連するサービス及び事業者を規制対象とする法令等が制定される他、既存の法令等の解釈の変更があった場合、当社の事業が制約され、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
 
(3)景気動向の変動によるインパクトについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大
 企業を取り巻く環境や労働人口減少に伴う企業経営の効率化などの動きにより、当社の関連市場は今後急速に拡大すると予測されるものの、その一方で、企業の景気による影響や別の各種新技術に対する投資による影響を受ける可能性があります。また新型コロナウイルス感染症の感染拡大やウクライナ情勢は社会経済に大きな影響を与えており、現時点では終息する見込みが立っておりません。当社の事業を展開する市場への影響が想定を超えて長期化する等、経済情勢の変化に伴い事業環境が悪化した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
 
(4)事業開発の確実性について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大
 当社のサービスは、商品特性ゆえに幅広い産業に対して提供することが可能であります。今後も引き続き、保安や広告・説明コンテンツの校正校閲やコールセンター市場のみならず、他の産業にも積極的に参入し、新サービス及び新規事業に取り組んでまいります。但しこれにより、システムへの投資や人件費等による追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規事業の拡大・成長が当初の予測どおりに進まない場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
 
(5)採用及び育成について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大
 当社は、事業の拡大に伴い、自然言語処理、機械学習、ITシステム開発の各々に対応可能なエンジニアやマネージャーの獲得・確保・育成を進めております。更に、大学生を中心とするインターン生に関しても、日進月歩で技術革新が進むAI分野において、最新の知見を有しており、当社の技術を支える重要な存在であることから、継続的な採用・育成を進めております。また、従業員の働きやすさを重視した業務環境の整備(テレワーク等)を積極的に行うことで、人材の外部流出防止にも努めております。しかしながら、事業規模の拡大に応じた当社内における人材育成、外部からの優秀な人材の採用等が計画どおりに進まず、必要な人材を確保することができない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
 

 

(6)システムトラブル等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
 当社は、サービス及びそれを支えるシステム、並びにインターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であり依存していると認識しております。従って、常時データバックアップやセキュリティ強化を実施しているほか、クラウドサービスへシステムを分散配置することで、安定的なシステム運用体制の構築に努めております。しかしながら、予期せぬ自然災害や事故によるインターネット通信網の切断や、予想外の急激なアクセス増加等による一時的な過負荷やその他予期せぬ事象によるサーバーダウン等により、当社のサービスが停止する可能性があります。これまで当社において、そのような事象は発生しておりませんが、万が一サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)プロジェクトの採算悪化について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社のプロジェクト型案件は社内標準のマニュアルに基づき想定される工数から見積りを作成し、見積りの顧客提示前に部長・CTO等がレビューを実施する他、案件開始後もプロジェクトマネージャーと部長・CTO等が定期的に進捗を確認することで丁寧にプロジェクトを管理しております。しかしながら、特に大規模案件に関しては見積りの誤りや作業の遅れ等により超過コストが発生する場合がございます。このような事象が発生した場合、プロジェクトの採算悪化や納品遅延等により売上原価の増加や売上計上の遅れが発生して、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。


(8)法令遵守に関する体制について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
 当社は、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのためコンプライアンス規程を策定するとともに適宜研修を実施し、周知徹底を図っております。また、定期的にコンプライアンス・リスク管理委員会を開催し、当社の運営に関する全社的・総括的なコンプライアンス管理の報告及び対応策検討を実施しております。しかしながら、これらの取り組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の企業価値及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)訴訟、係争について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社では、本書提出日現在において、業績に影響を及ぼす訴訟や係争は生じておりません。また、当社は取引の契約締結に際して事前に契約条文の確認を行う等、トラブル等の未然防止に取組んでおります。しかしながら、当社が事業活動を行う中で、顧客等から当社が提供するサービスの不備等により、訴訟や係争が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これらが発生した場合は、臨時的な費用の発生やブランドイメージの悪化等により、当社の事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。

 
(10)知的財産権について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
 当社では、知的財産の取扱いについてまとめた知的財産管理規程を制定し、社内周知しております。また、当社による第三者の知的財産権侵害の可能性につきましては、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、特許に関する対価(ロイヤリティ)の支払や損害賠償請求等により、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
 

(11)機密情報について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
 当社は、一部の案件につき、業務上、顧客の保有する機密情報等を知りうる可能性があります。当社では、顧客と共にセキュリティ体制の強化を図ることはもとより、社内においても情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させるとともに、ネットワークセキュリティ等を強化することで、顧客が保有するデータの徹底的な管理や当社システムのデータ漏洩への対策を進めております。

 

(12)小規模組織であることに関して(発生可能性:大、発生時期:短期、影響度:中)

 当社の持続的な企業価値の構築のため、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。当社は小規模な組織であるものの、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するために、現在の規模において最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しておりますが、規模の拡大及びサービスの多様化に応じて適切な内部管理体制や業務執行体制を適切に変化させることができない場合、当社の業績及び事業運営に影響を与える可能性があります。当社では、今後の業務量の増加及び業務内容の多様化に対応するため、組織規模を適切に把握し、組織体制の見直し、人員の増強及び業務の自動化、効率化によって、内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針であります。

 

(13)社歴が浅いことに関して(発生可能性:大、発生時期:短期、影響度:中)

 当社は2018年7月に設立された社歴の浅い企業となります。当社はIR・広報活動などを通じて経営状態を積極的に開示していく方針でありますが、当社の過年度の経営成績は、決算期変更をしていることや、事業譲受を経て組織体制を大幅に変更していることからも、期間業績比較を行うための十分な分析材料とはならず、このため今後の業績等の将来的な予測における基礎情報としては不十分である可能性があります。

 

(14)当社株式の流動性について(発生可能性:中、発生時期:短期、影響度:中)

 当社の株主構成は、事業法人及び当社役職員が中心となっており、本公募及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、㈱東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末において29.6%となっております。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、役員・事業会社様への一部売出しの要請、新株予約権の行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 
(15)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:小)
 当社では、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、本書提出日現在における自己株式を除く発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は9.6%となっております。これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、既存株主が有する株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
 
(16)配当政策について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
 当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社は現在、成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、本書提出日現在において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当事業年度(2022年11月1日から2023年10月31日まで)における当社を取り巻く経営環境につきましては、当社の所属する業界においては、AI等の最新技術への関心が高まっており、製造業顧客及び情報通信業顧客向けのソリューションの提供を中心にプロジェクト型の契約件数等が堅調に増加した結果、売上は順調に推移いたしました。また、業務提携先に対する「仮想人材派遣」に関連する技術情報の提供やライセンスの供与、関連事業・サービスの立上支援、API化したAEI基礎技術の提供等のサービス型の役務提供を拡大しており、研究開発の商用化を順次図っております。

 以上の結果、当事業年度の売上高は894,074千円(前年同期比+23.1%)、営業利益は162,848千円(前年同期比+27.5%)、経常利益は162,853千円(前年同期比+40.0%)、当期純利益は120,756千円(前年同期比+0.1%)となりました。なお、当社の事業セグメントはソリューション提供事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。

 

②財政状況

(資産)

ⅰ.流動資産

 当事業年度末における流動資産は951,261千円となり、前事業年度末に比べ3,409千円増加いたしました。これは主に、投資有価証券の取得や法人税等の納付により現金及び預金が43,135千円減少したこと、売上規模拡大により、売掛金及び契約資産が48,744千円増加したことによるものであります。

ⅱ.固定資産

 当事業年度末における固定資産は214,598千円となり、前事業年度末に比べ142,969千円増加いたしました。これは主に、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定72,197千円の増加やオフィス増床等による有形固定資産の増加5,139千円があった一方で、営業権が定額償却により2,234千円減少したことによるものであります。ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定に関しては、前事業年度より当社の研究開発活動である仮想人材派遣の一部について将来の収益獲得が確実になったことに伴い、その中核技術であるN4及びPSFの一部につき、資産計上を行っております。

 上記の結果、総資産は1,165,859千円となり、前事業年度末に比べ146,379千円増加いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債は216,568千円となり、前事業年度末に比べ17,357千円増加いたしました。

これは主に、法人税等の納付により未払法人税等が11,679千円、未払消費税等が12,846千円が減少した一方で、事業拡大に伴い社員数等が増加した結果、未払費用が39,201千円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は216,568千円となり、前事業年度末に比べ17,357千円増加いたしました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は949,291千円となり、前事業年度末に比べ129,021千円増加いたしました。これは主に、新株予約権の行使に伴う新株発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ3,229千円増加及び、新株予約権の行使に伴う自己株式の処分に伴い資本剰余金が1,802千円増加したこと、当期純利益により、利益剰余金が120,756千円増加したこと等によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度から43,135千円減少し、762,481千円となりました。当会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は91,216千円(前年同期は114,644千円の獲得)となりました。

主な減少要因は、ソリューション提供事業の売上規模拡大に伴う売上債権及び契約資産の増加額48,744千円(前年同期は売上債権及び契約資産の増加額40,174千円)、未払消費税等の減少額が12,846千円(前年同期は未払消費税等の増加額15,537千円)等があったことによるものであります。

一方、主な増加要因は、売上規模拡大による税引前当期純利益の獲得162,853千円(前年同期は税引前当期純利益136,481千円)、人員拡大に伴う人件費増加による未払費用の増加額39,201千円(前年同期は人員拡大に伴う、未払費用の増加額17,849千円)等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により支出した資金は、142,617千円(前年同期は11,921千円の支出)となりました。

これは、当事業年度にソフトウエアの取得による資金の支出が84,375千円(前年同期は26,606千円)、投資有価証券の取得による支出が51,800千円(前年同期はなし)あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は、8,265千円(前年同期は564,236千円の獲得)となりました。

 これは、前事業年度において新規上場に伴う自己株式の処分による収入が569,250千円あったことにより減少しております。また、当事業年度における収入は主に、新株予約権の行使による収入が6,458千円、新株予約権の行使に伴う自己株式の処分が2,046千円あったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 a 生産実績

当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、当該記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注に該当する事項がないため、当該記載を省略しております。

 

c 販売実績

当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

ソリューション提供事業

894,074

23.1

合計

894,074

23.1

 

(注)  最近2事業年度の主な相手先別の販売実績については、売上高の10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

      なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積に用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。

当社の財務諸表作成に際して採用している重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。会計上の見積りのうち重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

②経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当事業年度の売上高は、894,074千円(前年同期比23.1%増)となりました。

主な要因は、AIに関する需要の高まりから、製造業及び情報通信業の大手企業等を中心に、AIソリューションを提供しており、前事業年度から継続顧客等を中心として契約件数が上昇したことによるものであります。また、AEIを活用した業務提携に関して、当事業年度においては、AEI関連売上比率が8.6%となっております。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度の売上原価は358,512千円(前年同期比26.1%増)となりました。

この結果、売上総利益は535,562千円(前年同期比21.2%増)となり、売上総利益率はAEI関連売上等の高付加価値案件が増加したことに伴い59.9%(前年同期は60.9%)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は372,714千円(前年同期比18.6%増)となりました。

主な要因は、AEI実用化に伴うソフトウエア資産計上があったことによる研究開発費の減少26,569千円、従業員数増加に伴う本社オフィスの増床による地代家賃の増加9,319千円、セキュリティ体制強化や従業員増加に伴う機器の購入による消耗品費の増加10,211千円、事業拡大による人員増加に伴う人件費等の増加26,145千円、事業拡大に伴う採用費の増加12,934千円等によるものであります。この結果、営業利益は162,848千円(前年同期比27.5%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当事業年度の営業外収益は5千円となりました。この結果、経常利益は162,853千円(前年同期比40.0%増)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

当事業年度の当期純利益は120,756千円(前年同期は当期純利益120,635千円)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでございます。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものは、ソリューション提供事業に係る営業費用(労務費、人件費、外注費)及び、研究開発費用であります。これらの事業運営に必要な運転資金に関しては、現時点では自己資金で賄っており、基本的には今後も自己資金又は営業活動によるキャッシュフローから充当していくことを基本方針としております。なお、今後事業拡大に向けて急激な資金需要が生じた場合、これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを検討しております。

当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は762,481千円であり、現状の事業運営に必要な運転資金は十分であると考えておりますが、今後も資金残高及び各キャッシュ・フローの状況を常時モニタリングし、資本の財源及び資金の流動性の確保に努めてまいります。

 

⑤経営方針等の目標と達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針等の目標と達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、管理指標としてソリューション提供事業における売上高成長率、売上総利益率を使用し、参考指標として継続的な顧客への売上比率、AEI関連売上比率及びサービス型売上比率を使用しており、当該指標の推移に関しては以下のとおりでございます。

 

第5期事業年度

(自 2021年11月1日 

 至 2022年10月31日)

第6期事業年度

(自 2022年11月1日

 至 2023年10月31日)

売上高成長率(%)

43.0

23.1

売上総利益率(%)

60.9

59.9

継続的な顧客への売上比率(%)

70.7

57.4

AEI売上比率(%)

10.6

8.6

サービス型売上比率(%)

1.9

3.3

 

売上高成長率に関しては一定以上の成長率を確保し、投資余力を拡大することを目標としております。

AEIを活用して他社と差別化を行う他、既存顧客からのアップセル、上場等の知名度向上に伴う追加的な新規顧客の獲得により一定以上の成長率を確保していきたいと考えております。

売上総利益率に関しては、一定水準以上を維持することで投資余力を確保することを目標としております。高い売上総利益率の水準を維持できるように高付加価値案件を増やしていきたいと考えております。

継続的な顧客への売上比率に関しては、新規顧客の獲得を重要視しつつも、継続的な顧客の定着及びアップセル等により高水準を維持していく方針でございます。

AEI売上比率及びサービス型売上比率に関しては、売上高成長率及び売上総利益率により確保した投資余力をAEI関連の研究開発投資に充てることで中長期的にその数字を伸ばしていく方針でございます。

 

⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業体制、法的規制等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 

⑦経営者の問題意識と今後の方針について

当社は、「知の創発により、新しい選択肢を生み出す」をミッションに事業の運営を行っております。
AIを軸に、当社のビジョンである「人の可能性を広げる」ことを実現していきます。当社の「AEI」が社会的に活用されることにより、社会全体の生産性が向上し、ひいては人類の可処分時間や可処分所得が増加し、あらゆる人を幸せに寄与できると考えております。そのために、当社の経営陣は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、最大限にバリューを発揮し、最善の経営方針を立案するよう努めていく必要があると認識しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)業務提携契約

相手先の名称

相手先の所在地

契約締結日

契約期間

契約内容

株式会社

アビスト

東京都三鷹市下連雀三丁目36番1号

2019年1月31日

2019年2月1日から

2019年2月28日まで

AIソリューションの提供及びAEIに関するライセンスの利用許諾

 

(注) 1.契約期間に関しては、2019年2月28日以降、1ヶ月毎の自動更新となっております。

2.AEIに関するライセンスの利用許諾は2022年4月より開始しております。

 

 

6 【研究開発活動】

当社の研究開発活動は、当社の展開する「ソリューション提供事業」における収益の「継続性」と「高成長性」を高めることを目的として持続的競争優位性のあるサービスの開発・立ち上げ・収益拡大を実現するために行われており、Artificial Elastic Intelligence(AEI)というコンセプトの下、継続的に特定の分野にフォーカスして、技術検討、開発が行われております。

 

当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は50,031千円であります。

(1)AEI開発による研究開発活動

当社は、第4世代AIとして、既に実現している人工知能(AI)と極めて実現が難しいとされている汎用人工知能(AGI)の間の概念として、独自に「柔軟な人工知能」、英訳として「Artificial Elastic Intelligence(AEI)」を定義し、その実現を目的として開発に取り組んでおります。なお、AEIの詳細に関しては、「第1企業の概況 3事業の内容 (1)ソリューション提供事業の内容 ③サービス型の特徴」をご参照ください。また、開発体制としては、「第1企業の概況 3事業の内容 (1)ソリューション提供事業の内容 ①ソリューション提供事業の分類と特徴」の記載のある文系・理系の知見を融合した「文理融合型」のメンバーが中心となっており、ディープラーニングと知識・記号推論の融合という研究課題に取り組んでおります。

当事業年度においては、中核技術であるN4、PSFデータ、パーソナライズ要約の設計及び開発を進めてまいりました。その結果、AEI開発による研究活動の総額は、50,031千円となりました。