第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の数値と異なる可能性があります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「われわれは、創造・改革・挑戦の信念をもって、人間生活・産業・自然との共生を目指し、社会に貢献します。」との経営理念のもと、サステナブルな明るい未来社会を実現するより良い環境づくりを目指して、「事業の永続性を高め、環境創造企業として進化する」という経営ビジョンを掲げております。また、当社グループの事業は、地域の皆さまからの「信頼」がなくては成り立たない事業であり、これまでに積み上げてきた地域の皆さまからの「信頼」により、地域に根差した事業を展開していることが当社グループの最大の「強み」です。「未来は、信頼から生まれる。」という創業の原点をサステナビリティ基本方針として位置付けることで、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指しております。そして、これらを実現するための4つの組織行動として「DINSステートメント」(Development(進化)、Integrity(誠実)、Nature(自然)、Social contribution(社会貢献))を制定のうえ、100年企業に向けての基盤づくりを着実に進めております。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

 当社グループは、人口減少、気候変動、循環経済、技術革新、生物多様性を重要な外部環境の変化と捉えております。また、当社グループの属する廃棄物処理・資源循環業界では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃棄物処理法」という。)が施行されて50年余が経過し、循環経済や脱炭素が求められる社会状況の中で、廃棄物処理や資源循環のあり方を問い直すべき時期にあると考えております。人口減少が進む自治体は、財源等の課題により、公設での一般廃棄物処理施設の整備・運営が困難な状況に陥っている場合も少なくないことから、民間資金を活用した廃棄物処理施設の整備・運営や一般廃棄物処理の民間処理事業者への委託が増えつつあります。また、近年、自然災害が多発・大規模化しており、大量の災害廃棄物を迅速かつ安全に処理するために、民間処理事業者が担う役割が一層重要となっております。

 このような経営環境の中、当社グループは5つの重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。これらの課題解決に向けて、当社グループは、廃棄物処理・資源循環を通じて、決して止めることのできない重要な社会インフラを担う企業として、最も強みとする地域社会との関わりをより深めて、「カーボンニュートラルの実現」、「循環経済の実現」、「廃棄物処理コストの抑制」という社会的価値及び「社会からの信頼」、「持続的な成長」という当社グループの価値の最大化を進めてまいります。

 

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(3)経営戦略

 当社グループは、5つの重要課題を解決していくため、2025年5月に、2028年3月期までの3か年の中期経営計画「D-Plan2028 Foundation for Success」(以下、「D-Plan2028」という。)を策定いたしました。D-Plan2028は、2031年3月期までの6か年計画のうち前半3年間という位置づけであり、2031年3月期の目指す姿に向けて、この3か年においてもオーガニック成長やM&Aによって事業規模や事業エリアを拡大しつつ、成長投資を継続してまいります。

 

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■成長施策

1.D-Plan2028より収益貢献する施策

①資源循環システムの高度化

・再資源化品供給量拡大

 国内のカーボンニュートラルを実現するためには循環経済への転換が不可欠です。当社グループは、地域の皆さまのご理解のもと、これまで築き上げてきた施設群を活用し、動脈市場への再資源化品の供給量拡大を目指します。当社グループが保有する多種多様な再資源化施設を最大限活用し、素材産業などパートナー企業との共創を通じて、循環経済への転換を進めます。

 また、廃棄物の再資源化を徹底していくことは、当社グループが保有する焼却等熱処理施設や最終処分場での二次処理量の削減に繋がり、二次処理コストを低減する効果があります。加えて、焼却等熱処理施設や最終処分場においては、排出事業者から受け入れる廃棄物の量を増やすことが可能となり、売上高の増加に繋がります。

・新施設稼働による受入量増加

 循環経済への転換に向けて、当社グループの優位性は、再資源化を進める上で重要な「選別・破砕・再資源化施設」の拠点数と許可能力を多く有している点であると考えております。当社グループは、動静脈連携により構築した廃プラスチックの回収から製品化までをワンストップで提供するプラスチックリサイクルのトータルコーディネートサービスを活かし、既存施設や新たに設置するプラスチック再資源化施設の稼働率を高め、再資源化品の動脈産業への供給量拡大を図ります。

・最終処分場の容量あたりの売上高最大化

 一方、再資源化できない廃棄物の受け皿となる最終処分場も必要不可欠です。資源循環システムの高度化を進めることで、焼却灰や埋設廃棄物など比重の大きいものや廃石綿等など高単価物といった高付加価値物の受入割合を高め、最終処分場における容量あたりの売上高の最大化を図ります。

 

②自治体との関係深化

 当社グループは、2025年3月期中の取引自治体数は関西・中部エリアを中心に487自治体であり、連結売上高に占める自治体取引額の割合は約20%になります。当社グループは、ワンストップサービスの提供による廃棄物処理の受託だけでなく、実績やノウハウを活かした自治体の課題解決を図る様々な協定の締結を通じて、取引自治体数の増加及び取引自治体との関係の深化を図っております。今後も取引自治体数の拡大を図るとともに、各自治体との関係を深化させることで、連結売上高に占める自治体との取引額の割合の拡大を図ります。

③M&Aによる事業エリアの拡大

 廃棄物処理業界においては、小規模事業者の割合が高く、市場占有率の高い企業が存在しない超分散型市場となっております。資源循環の高度化への対応や後継者不足などにより業界再編機運は高まっております。当社グループは、M&Aによる事業拡大を積極的に進めてきた実績を活かし、全国各エリアで、廃棄物受入量の拡大が見込める案件について積極的にM&Aを実行してまいります。特に、最大の市場である関東エリアでの案件獲得に注力するとともに、これまで自社による新増設を基本としてきた焼却等熱処理施設や最終処分場についても積極的に検討し、シナジー効果が高い案件のM&Aを進めてまいります。

 

2.2031年3月期に向けた施策

①焼却等熱処理施設のキャパシティ拡大

 既存施設を高効率な熱回収施設へ更新するほか、公民連携による新施設稼働に向けた許認可手続き及び施設設置工事を計画的に進め、2031年3月期末までに処理能力を4,000t/日にすることを目指します。

②最終処分場の年間埋立計画量と残容量拡大

 現在増設を進めております当社御坊リサイクルセンターの第2期管理型最終処分場を含め、既存リサイクルセンターでの最終処分場の新増設計画を着実に実行させるとともに、M&A等により新規エリアでの最終処分場の保有を図り、年間埋立計画量を1,250千m3から拡大しつつ、2031年3月期末には15,000千m3以上の残容量を確保することを目指します。

③公民連携事業(PPP)の推進

 日本の人口が減少する中、自治体における財政健全化への歳出改革は喫緊の課題です。民設民営による効率的なインフラ整備は、その課題の解決に繋がると考えております。また、自治体に処理責任のある一般廃棄物は、自治体保有の焼却施設での処理が大部分でありますが、民間が整備する産業廃棄物との一体的処理を行う焼却施設等への処理委託を進める公民連携(PPP)への移行を成長機会と捉えております。

 当社は、現在、熊本県上益城郡5町、兵庫県相生市及び大阪府泉北郡忠岡町の3エリアで公民連携協定を締結済みです。今後、2031年3月期末までに合計12エリアでの締結を目指し、廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏の構築を推進してまいります。

 

■経営基盤強化施策

①人的資本経営推進

 多様な人財が、事業に誇りと使命感を持ち、やりがいを感じる土壌を創ることが当社グループの持続的な成長及び企業価値向上に繋がると考えております。人財育成、多様性の推進、社内環境整備を進めることで従業員エンゲージメントが高まり、従業員と企業がお互いに貢献しあう関係を構築してまいります。また、当社グループが廃棄物処理施設の新増設によるオーガニック成長とM&Aによる成長を両輪で進めていくためには、多くの新たな管理者や有資格者等の人員が必要になります。人的資本経営を推進することにより、それぞれの職場で活躍する人財をより多く育成するとともに、従来以上に採用強化を進めてまいります。

②グループ経営力向上

 子会社数や従業員数が拡大する状況下において、更なる経営基盤強化を進めます。当社は、グループガバナンス体制を構築しており、当社から子会社に役員や管理者を派遣し、管理体制を強化しております。また、子会社の経営上の重要事項は、グループ本部で統括管理し、リスクを低減しております。

 2024年6月には監査等委員会設置会社に移行し監督機能の強化を図っております。今期より、第三者による取締役会の実効性評価も実施し、分析結果を取締役会の実効性の向上に活かしてまいります。

 また、当社グループの廃棄物処理施設の事業運営において、労働災害が発生するリスクがあります。リスクアセスメント活動の強化や安全教育の再徹底などを通じて安全衛生活動を推進し、事故撲滅を進めます。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、D-Plan2028において、飛躍に向けた基盤づくりの期間であるこの3年間も、着実な利益成長を意識した経営により、EPS(1株当たり当期純利益)の最大化を図ることを目指しており、主な経営指標として、売上高、営業利益・営業利益率、EBITDA(営業利益+減価償却費(営業外費用除く)+のれん償却額)・EBITDAマージン(EBITDA/売上高)、EPSを重視しております。

 

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づくものであり、実際の数値や結果とは異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 ① サステナビリティ基本方針

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 当社グループの事業は、なによりもまず、お客様と地域の皆さまの「信頼」がなくては成り立たないものです。1979年の創業から、持続可能な循環型社会の実現をひたむきに目指してきた私たちにとって、永続的な「信頼」を構築することこそが、サステナブルな未来へのスタートラインだと考えております。

 

 ② 重要課題(マテリアリティ)の特定

 当社グループは、株式上場前より展開してきた「ESG施策」の考え方を踏襲しつつ、価値創造に向けた中長期的視点により、5つの重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。2026年3月期以降、5つの重要課題の解決に向けた取組みを通じ、社会課題解決と持続的な成長の両立を目指してまいります。

 

5つの重要課題(マテリアリティ)

① 地域循環共生圏への基盤づくり

② 環境創造企業に向けた事業基盤強化

③ 脱炭素社会への貢献と環境負荷の低減

④ 人的資本経営の推進

⑤ 経営の透明性とグループ力の向上

 

 

(2)サステナビリティ全般

 ① ガバナンス

 当社グループは、気候変動や人的資本をはじめとするサステナビリティ課題に対応するため、代表取締役社長執行役員を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。当委員会において、サステナビリティに関する各種方針やリスク・機会の評価等について年2回以上の頻度で議論し、その結果を取締役会に答申しております。取締役会は、当委員会からの答申・報告に基づき重要事項の決定及び監督を行っております。

 また、総合政策本部IR・サステナビリティ推進部は、当委員会の運営のほか、各部門・子会社・委員会等と連携し、サステナビリティ経営に関する企画立案や進捗管理を行っております。

 

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 ② 戦略

 当社グループは、当社が特定した重要課題の解決を通じて、持続可能な循環型社会の実現に寄与するため、D-Plan2028に掲げた価値創造に向けた中長期的視点による事業戦略を進めてまいります。また、5つの重要課題のそれぞれに対応するアクションプランとKPIを設定し、地域循環共生圏・脱炭素・DX等の成長戦略に関わる施策を推進するとともに、内部統制システムの拡充等による経営基盤強化に関わる施策に取り組んでまいります。

 

 ③ リスク管理

 サステナビリティ全般のリスク・機会について「サステナビリティ推進委員会」が年2回以上特定・評価を行っております。また、その他の当社グループ全体のリスクは、代表取締役社長執行役員が委員長を務める「リスク管理・コンプライアンス委員会」によって年4回以上特定・評価を行っております。各委員会は、統一の判断基準(下図)に基づきリスク・機会の重要度を決定するとともに、法令・規制等の外部環境の変化に応じてリスク項目等の追加変更や重要度の見直しを行っております。また、各委員会で重要度が高いと判断したリスクについては、取締役会に付議・報告することで、当社グループ全体のリスクを統合的に管理しております。

 

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 ④ 指標及び目標

 当社グループの重要課題への取組みにおける主な目標は以下のとおりです。

 

指標

現状

(2025年3月期末時点)

目標

焼却等熱処理施設の処理能力

2,412トン/日

4,000トン/日※1

公民連携協定の締結

3か所

12か所※1

CO2削減貢献量

11.7万トン/年

12.5万トン/年※2

  ※1 2031年3月期末時点

  ※2 2028年3月期末時点

 

(3)気候変動

 資源循環システムの高度化への取組みは、社会全体の温室効果ガス(GHG)排出量の削減につながります。当社グループは、廃棄物処理・資源循環の効率化や高度化を図りながら、廃棄物の焼却発電やバイオガス発電等のエネルギー創出拡大にも取り組んでおります。それらの取組みにおける気候変動に関する影響とそれに伴うリスク及び機会を分析し、適宜、施策に反映させることが必要であると考えております。継続的な取組みにより、廃棄物処理・資源循環分野におけるカーボンニュートラルの実現を目指してまいります。

 

 ① ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ推進体制に組み込まれております。詳細については、「(2)サステナビリティ全般①ガバナンス」をご参照ください。

 

 

 

 ② 戦略

 気候変動に関する戦略として、当社及び連結子会社を対象に、1.5℃及び4℃の気候変動シナリオを用いたシナリオ分析を行い、当社グループの全事業に対するリスクと機会の分析や対応策について議論いたしました。

 

 ■シナリオ分析の前提

条件

説明

対象範囲

・対象組織は、当社及び連結子会社30社※

・対象事業は、当社グループの全事業

・各社の将来において想定される定常的な事業成長(BAU成長)はシナリオ分析に未反映

時間軸

・中期(~2030年)

・長期(~2050年)

シナリオ定義

以下の2シナリオを設定

・脱炭素社会への移行が進行する「1.5℃シナリオ」

・現状を上回る温暖化対策が見込まれない「4℃シナリオ」

主なデータソース等

・IPCC第6次報告書の各シナリオ

・IEA「World Energy Outlook 2023」の各シナリオ

・環境省「廃棄物・資源循環分野における2050年温室効果ガス排出量ゼロに向けた中長期シナリオ(案)」等

※ シナリオ分析は2024年3月期に実施しており、2024年3月期以降に当社の連結子会社となったディーデザイン㈱、アイナックフットボールクラブ㈱、栄和リサイクル㈱、㈱浦安清運、㈱アイア、㈱グローバル・エンバイロメンタル・テクノロジー、相生エコサービス㈱、㈱海成は対象外となります。

 

 ■主な事業リスク・機会

 1.5℃シナリオ

事象

当社グループへの影響

重要度

※1

主な戦略への反映

中期

長期

GHG排出規制強化(脱炭素の導入)

リスク

炭素税の負担による収益の減少

A

A

高効率の選別工程導入、

メタン発酵(バイオガス発電)

焼却等熱処理事業の拡大

機会

省エネ推進、再エネ利用増加によるGHG排出量の削減、炭素税負担の軽減

B

B

廃棄物排出量の減少

リスク

自社の受入量の減少

B

A

資源循環システムの導入・拡大

脱プラスチック戦略推進

リスク

動脈大手の業界参入による競争激化

C

A

動脈大手との協業機会探索

機会

MR、CR※2事業への参入による収益の増加、動脈大手との協業機会獲得

B

A

排出事業者のDX要求の高度化

リスク

DX推進事業者への顧客離れ

B

A

業界標準システムの構築

機会

DX推進によるトレーサビリティの向上、省人化競争優位の確保

B

A

再生エネルギーへの移行

機会

廃棄物由来電源の拡大、収益増加

B

B

メタン発酵(バイオガス発電)

焼却等熱処理事業の拡大

自治体の脱炭素化

機会

公民連携事業、地域循環共生圏の参入

A

A

公民連携事業の推進

脱炭素に対するシンクタンク機能の強化

脱炭素に対する要求の高度化

リスク

従業員の脱炭素対応の遅れによる顧客離れ

C

B

環境マネジメントシステムの高度化

 

 

 4℃シナリオ

事象

当社グループへの影響

重要度

※1

主な戦略への反映

中期

長期

(急性)

気象災害の増加・激甚化

(慢性)

猛暑日・大雨の増加

リスク

屋外作業の生産性低下

C

B

災害に備えた危機管理体制の実行性向上

機会

災害復興支援機会の増加

C

B

機会

レジリエンス向上による競争優位の確保

C

B

 ※1 重要度の判断基準については、「(2)サステナビリティ全般③リスク管理」のリスク/機会マップをご参照ください。

 ※2 MR=マテリアルリサイクル、CR=ケミカルリサイクル

 

 ③ リスク管理

 気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ推進体制に組み込まれております。詳細については、「(2)サステナビリティ全般③リスク管理」をご参照ください。

 

 ④ 指標及び目標

 政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、当社グループの事業活動に伴うGHG排出量に対して削減目標を設定しております。今後は使用エネルギーの削減・省エネ化に努めるとともに、段階的に再生可能エネルギーに代替することにより目標達成に取り組んでまいります。

 

 ■当社グループのGHG排出量削減目標

 <長期目標>

  ・2050年までに当社グループ全体でカーボンニュートラルを達成する

 <中期目標>

  ・2030年までに当社グループ全体の電気使用によるCO排出量を実質ゼロにする

 

 ■当社グループのGHG排出量実績                    単位:トン-CO

 

2024年3月期

2025年3月期

スコープ1

261,601※2

252,315

スコープ2

25,013

19,766

合計

286,615※2

272,082

(参考)スコープ3

223,306

184,299

※ 報告対象年度において当社グループに含まれる連結子会社法人を対象としておりますが、期中に連結子会社化した法人に関しては対象外としております。

 

(4)人的資本・多様性

 当社グループは、経営戦略の実行にあたって、多様な人財が事業に誇りと使命感を持ち、やりがいを感じる土壌を創ることが、持続的な成長及び企業価値向上に繋がると考えております。

 

 ① ガバナンス

 人的資本・多様性に関するガバナンスは、サステナビリティ推進体制に組み込まれております。詳細については、「(2)サステナビリティ全般①ガバナンス」をご参照ください。

 

 ② 戦略

 持続的な成長と企業価値の向上を実現し、中期経営計画における人財戦略の位置付けを具現化するためには、従業員エンゲージメントを向上させることが重要であると考えております。そのために、経営理念、経営ビジョンを実践する従業員の育成を重要な戦略とし、あわせて多様性を推進する社内環境整備を通じて、従業員の働きがい・幸福度の向上に向けた取組みを進めてまいります。

 

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 (a)人財育成

  a.経営戦略における成長投資と人財戦略

 当社グループは、持続的な企業価値向上を目指すため、焼却等熱処理施設の処理能力の増強、地域循環共生圏の構築に伴う施設拡大、M&A戦略における地域パートナー企業との連携などを推進していく上で、人財戦略を策定しております。施設の増設・新設に伴う人財確保については、新卒採用だけではなく、中途採用も積極的に行い地域に密着した雇用を継続して行う予定であります。有資格者や管理者の確保も重要な課題と認識しており、社内での人財育成に加え、外部からマネジメント人財や有資格者を獲得し、必要な施設への配置を進めてまいります。

 

  b.人財育成方針

 当社グループは、経営理念を実践できる人財の育成に注力し、各種研修制度の充実を図っております。具体的には、将来の経営層、管理職層となる人財の候補者をリストアップし、次世代リーダー研修を実施しております。2025年3月期は92名が次世代リーダー研修に参加し、能力の向上に努めております。他には、階層別研修や職種別のスキル向上に向けた教育プログラムに計画的に取り組み、企業価値の向上に努めております。

 また、多様な人財が活躍できるよう社内環境の整備を充実させ、従業員の知識・能力を最大限に活かすことを目的に、公募制度や人事ローテーションを積極的に行っております。

 

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 (b)多様性

  a.女性活躍推進に向けた取組み

 多様性の確保については、持続的な企業価値向上を実現するための経営戦略の一つであると考えております。当社グループは、女性が働きやすい職場環境となるよう、継続して女性が活躍できる土台をつくることに努めており、一例として、産後のサポートとして、休暇中の社内の情報提供などを行い、復帰しやすい環境の構築を進めております。加えて、女性管理職候補を増やし、女性管理職の比率の向上を目指しております。さらに、新卒女性の採用比率が継続的に30%以上となることを目指し、女性の活躍推進に取り組んでおります。

 また、当社グループは女性活躍推進の一環として男女賃金差異の割合に注目し、改善を図る取組みを積極的に進めております。当社グループは、下表のとおり、いずれの職位においても男性の構成割合が高い傾向にあります。これは、当社グループのビジネスモデル上、慣例的に男性が多くなる傾向があり、事務系職員を除くと大半は男性となっております。そのため、事務系以外の職場では、係長級、課長級以上は男性が多数を占めており、男女賃金差異に大きく影響しております。当社グループの戦略上も、事務系以外の職場での人財の確保は喫緊の課題であり、当該職場での女性の活躍は不可欠であると考えております。現在、女性のキャリアプラン形成を支援し、さらなる活躍の場を提供する取組みを進めております。これらの取組みを通じて、2026年3月末までに女性の管理職比率を4.5%とする目標達成に向け推進してまいります。

 

■ 職位別女性社員比率

パート

・有期労働者

正規雇用労働者

全体

一般

係長級

課長級以上

21.8%

20.2%

20.9%

6.9%

18.4%

 

 

  b.高齢者雇用の積極化

 当社グループでは、定年退職者の積極的な再雇用を進めております。多様な経験と知識を備えたシニアの活躍の場を創出することで、人財の確保に努めております。なお、当社は最長で満70歳までの雇用契約を可能としております。

 

 (c)社内環境整備

  a.社内環境整備方針

 当社グループは、持続的な企業価値向上のために社員一人一人が心身ともに健康で安心して働ける環境を継続的に整備することが必要不可欠であると考えております。当社グループでは、エンゲージメントの強化のために職場ごとの課題を認識し、より良い職場環境の実現に向けた取組みを継続してまいります。

 

  b.健康経営に関する取組み

 従業員の心身の健康は、従業員および従業員の家族の幸福に繋がり、意欲的に働く原動力になると考えております。具体的には、メンタルヘルス相談窓口を設置し、いつでも相談ができる体制を整えており、また禁煙活動を進める施策を継続するなど、従業員が健康で働き続ける職場環境を整えることで、企業価値を向上させ、社会貢献を行う環境創造企業として持続的に進化していくことを目指し、積極的に推進してまいります。

 

  c.従業員の資産形成に対する取組み

 従業員が業務に専念できるように、従業員の資産形成に対するサポートを行う取組みを進めております。特に、持株会制度の充実を図り、従業員の資産運用のサポートを実施しております。また、確定拠出年金制度(企業型DC)について運用教育を拡充し、さらなる環境整備を進めてまいります。

 

 ③ リスク管理

 人的資本・多様性に関するリスク管理は、サステナビリティ推進体制に組み込まれております。詳細については、「(2)サステナビリティ全般③リスク管理」をご参照ください。

 

 

 ④ 指標及び目標

 当社グループは下表のとおり、人的資本・多様性に関する指標及び目標を設定し、進捗管理を行っております。

指標

現状

(2025年3月期末時点)

目標

2026年3月期末時点)

女性新卒採用比率(大卒以上)

33.3

30.0%以上

女性管理職比率

4.3

4.5%以上

定年退職者の再雇用率

80.0

70.0%以上

有給休暇取得率

74.9

90.0%以上

男性育児休業取得率

90.9

90.0%以上

ストレスチェックにおける

高ストレス者の割合

10.9

10.0%以下

男女賃金差異の割合

72.3

75.0%以上

 

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ここに記載した各リスクの発生可能性、発生時期、影響度は、当連結会計年度末現在における分析に基づくものであり、また、発生可能性又は影響度が「低」又は「小」と記載されたリスクについても、現に当該リスクが発生し又は当社の事業等に重大な影響を及ぼす可能性を否定するものではなく、発生時期の記載と異なる時期に当該リスクが発生する可能性を否定するものではありません。なお、発生時期における「特定時期なし」は、短期から長期のいずれにおいても発生しうるリスクであり、現に一部顕在化しているリスクを含みます。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業活動に関するリスク

① 費用の増加について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループの事業においては、人件費が営業費用の相当部分を占めているところ、日本における労働人口の減少や人財不足により人件費がさらに増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業運営においては、廃棄物の収集運搬や廃棄物処理施設の運営等にあたって、燃料、電力、薬剤に加え、設備の保守管理に用いる部材等の消耗品を多く使用していることから、それらの価格変動の影響を大きく受けます。特に、燃料価格については、地政学的な要因、為替変動、石油輸出国機構(OPEC)を含む主要な石油供給者の生産計画、需要状況の変化、原油産出国の政情不安、豪雨等の天候不順等により、大きく変動する可能性があります。近時、ロシアによるウクライナ侵攻や日米金利差拡大による円安傾向の恒常化により、当社グループにおける燃料費は、高止まり傾向にあります。

 これら費用の増加について、当社グループが顧客から受領する廃棄物の処理受託価格に適時に転嫁できない場合や、他の費用の削減ができない場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 労働災害について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社グループは、廃棄物の収集運搬や廃棄物処理施設の設置・運営を行っているため、事業運営の過程において事故、又は設備の欠陥もしくは誤作動等による死亡事故を含む労働災害が発生する可能性があります。当社グループは、車両及び機械設備の保守管理や防護具の使用等の対策に加え、事業本部において労働災害を一元管理し、各事業所で毎月実施する安全衛生委員会やグループ全体で実施する安全衛生大会において、起こりうる事故や発生した事故の情報共有と対策の立案・周知徹底を行っておりますが、このような施策が功を奏する保証はありません。

 これらの労働災害の発生により、保険により填補される金額を超える損害賠償責任の発生、施設等の操業の停止もしくは中止、又は当社グループの社会的信用の低下が生じ、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 危険を伴う廃棄物の取扱いについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループは、可燃性廃棄物や特別管理廃棄物等の危険を伴う廃棄物を取り扱っているため、事業運営の中で火災その他の事故の発生により、人的被害が生じる可能性や、機械設備等が大きく損傷することにより長期にわたり事業活動に支障が生じる可能性があります。また、当社グループによるこれら危険を伴う廃棄物の取扱いが不適切であった場合には、法令違反として、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消し又は罰金等の制裁を受ける可能性もあります。そのような場合、当社グループの社会的信用が低下し、施設の周辺地域からの信頼を失い、許認可の新規取得や既存の許認可の維持に悪影響を及ぼす可能性もあります。

 当社グループでは、消火設備等のハード対策や従業員に対する安全教育等のソフト対策を実施しており、AIによる火花探知システムの事業所への導入を順次進める等の対策を講じることで、火災発生の未然防止に努めておりますが、かかる対策だけでは功を奏しない可能性があります。

 

④ 顧客との取引について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社グループの売上は、自治体、メーカー、ゼネコン及び医療機関等の主要顧客との間の継続的な取引によるものが大半を占めております。かかる顧客との取引に係る契約の更新に際しては、顧客との間で価格交渉が行われますが、競合他社との価格競争の結果によっては、既存顧客との取引を失う可能性や更新前の価格よりも低い価格で受注することになる可能性があります。また、契約条項の違反が生じた場合には、契約期間内であっても取引が解消される可能性もあります。

 これらにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 競合他社との競争について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループの属する廃棄物処理業界においては、全国的に大きなシェアを持つ大企業は存在せず、各地域に多くの中小企業が分散し、競合しております。当社グループは、関西、中部及び関東エリアを中心に事業を展開し、多角的な事業展開により、多くの事業者及び自治体等と継続的に取引を行っており、今後も地理的にも事業領域を拡大することを企図しておりますが、自治体や地域と強固な関係を構築している既存の事業者が存在する場合には、そのような地域への進出が困難となる可能性があります。

 また、海外事業者や他産業からの新規参入に加えて、既存の競合他社による企業買収・提携等を活用した地理的な事業領域の拡大や、提供するサービスの多角化を含む業界再編に伴う競争環境の変化により、当社グループより価格競争力の高い競合他社が出現した場合には、価格競争が激化し、当社グループによる新規顧客の獲得や、契約更新を控えた自治体を含む既存顧客の維持ができなくなる可能性があります。また、上記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1)環境関連事業」のとおり、産業廃棄物及び一般廃棄物の収集運搬、中間処理・再資源化及び最終処分に至るまでワンストップでサービスを提供することができるというのが当社グループの強みと考えておりますが、競合他社が企業買収・提携等を活用して、同様のワンストップサービスを実現するような場合には、当社グループの競争上の優位性が失われる可能性があります。

 このように当社グループが競合他社との競争上優位に立つことができない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 人財の確保・育成について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループの事業においては、多様かつ優秀な人財の確保と育成が不可欠です。日本における少子高齢化及びそれに伴う労働人口の減少や人財不足等によって、優秀な人財の確保・育成ができない場合や予期しない規模の人財流出が起こった場合には、社内の重要なノウハウやリソースが失われ、また、当社グループの社会的信用が損なわれることにより、当社グループの競争力が損なわれる可能性があります。

 当社グループは、事業の見える化を推進し、業界と当社グループの認知度・ブランド価値を高めるとともに、ダイバーシティ経営を推進することで、優秀な人財が集まる会社を目指しております。また、「次世代リーダー層の育成」、「成長意欲のある社員への投資」、「多様性を活かす取組み」を柱とする人財育成を推進しておりますが、かかる施策は功を奏さない場合があります。

 

⑦ 廃棄物の排出量の減少について(発生可能性:高、発生時期:長期、影響度:大)

 当社グループの事業は関西、中部及び関東エリアを中心とした日本国内でのみ行われており、日本の人口動態や経済の影響を強く受けます。日本の少子高齢化及び人口減少が進み、また、日本の景気後退によって消費・経済活動が停滞する場合には、建設業及び製造業を中心に廃棄物の排出量が減少し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、欧米を含む外国中央銀行と日本銀行における金利差の影響、日本と周辺諸国における地政学的な緊張の高まり、円安傾向の恒常化等、今後の日本経済には種々の不確定要素が存在いたします。これらの要因により廃棄物の排出量が減少した場合には、廃棄物の処理受託価格の下落圧力がかかる可能性もあります。

 さらに、日本におけるサステナビリティ、ESG、CSRに対する意識の高まり及びそれに伴う政府による廃棄物量の減少やリサイクル率の向上に向けた施策によって、廃棄物の排出量が減少することが長期的に見込まれるとともに、廃棄物処理の方法も循環経済への移行に向けて徐々に変化していくことが考えられます。当社グループがこうした廃棄物量や廃棄物処理方法の変化に適応したサービスを提供できない場合には、当社グループが顧客から受託する廃棄物量が減少する可能性があります。

 当社グループは、資源循環システムの高度化を進め、動脈市場への供給量拡大を図るとともに、地域に根差した経営を推進し、信頼できるパートナー企業との連携等を通じ、事業エリアの拡大及び事業の多様化を図っておりますが、こうした施策が功を奏さず、当社グループが、上記のマクロ経済及び事業環境の変化に適切に対応できない場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 中期経営計画について(発生可能性:中、発生時期:短期から中期、影響度:大)

 当社グループは、2025年5月14日付で新たにD-Plan2028を策定しております。当社グループの中期経営計画における各種施策及びその経営指標については、新設・増設する施設・機械設備等が計画どおりの能力を有し予定どおり稼働開始すること、廃棄物の排出量・処理受託価格が当社グループの想定の範囲内であること、当社グループの計画どおりに施設・機械設備等の新設・増設及び稼働に関する許認可が得られること、燃料やその他の費用の変動が当社グループの想定の範囲に収まっていること、当社グループの社会的信用に悪影響を与える事象が発生しないこと、当社グループに適用される規制に変更がないこと、廃棄物処理業界における競争環境に著しい変更がないこと等、様々な前提や仮定に基づいて算定しております。しかしながら、これらの前提や仮定が実際の事実関係と異なる場合には、当社グループの中期経営計画における各種施策の遂行及び経営指標の達成が困難となる可能性があります。

 

⑨ サステナビリティに関する目標について(発生可能性:中、発生時期:長期、影響度:大)

 当社グループは、上記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおり、重要課題(マテリアリティ)に対する長期的な目標を設定しており、その達成に向けた種々のアクションプランを掲げておりますが、アクションプラン等の遂行とその効果の発現には、様々なリスク及び不確実性が存在いたします。当社グループがかかる目標を達成できない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績や社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、近時はサステナビリティ投資の拡大を背景として、企業におけるサステナビリティに関する方針の策定及び実施、並びに気候変動関連リスク等の開示に対する意識が高まっておりますが、それらを適切に実践できない場合には、当社グループの社会的信用や投資家からの評価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 企業買収・提携について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、事業エリアの拡大及び事業の多様化を図る手段の一つとして、企業買収・提携等を実施することがあります。当社グループは、企業買収・提携に際しては、対象企業の事業・財務内容や契約関係等についてデューデリジェンスを実施するとともに、企業買収・提携後も対象企業の経営状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて是正措置を実施しております。

 しかしながら、デューデリジェンスにおいて全てのリスク、損失又は債務等が提示される保証はなく、提示されたリスクや債務に対する当社グループの評価が適切である保証もありません。企業買収・提携には、買収後の業務、技術、人事及び企業風土の統合が想定どおりに進まない、買収後に判明した偶発債務や簿外債務について十分な補償を受けることができない、当初想定していたシナジーが実現しない、買収先の主要な顧客及び役職員が離脱する、のれん等の無形固定資産の減損が生じる、買収・提携先との関係に拘束され当社グループにとって最適な施策を実施することができない、提携先が提携終了後に当社グループと競合する等のリスクがあり、これらが顕在化した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 外部委託について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社グループの「廃棄物処理・資源循環」においては、廃棄物の収集運搬、中間処理、再資源化又は最終処分など業務の一部を外部業者に対して委託しておりますが、かかる委託先が当社グループから委託を受けた業務を適時かつ適切に遂行することができない可能性があります。

 加えて、廃棄物処理法上、廃棄物処理業者は産業廃棄物の収集運搬や処分を委託する場合であっても、処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならず、委託先の産業廃棄物処理業者が法令の定める基準を満たす必要があるとされております(廃棄物処理法第14条第15項、同法施行規則第8条の2の8、第8条の3)。そのため、委託先の外部業者が当社グループから委託を受けた廃棄物の処理に関して法令に違反した場合には、当社グループが業務停止命令等の制裁の対象となる可能性もあります。

 これらの事象が生じた場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 固定資産の減損について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社グループは、収集運搬から中間処理・再資源化及び最終処分に至るまでのワンストップサービスを提供するために、多数の廃棄物収集車両、並びに顧客ニーズに合わせた多様な再資源化施設等の中間処理施設及び最終処分場を保有しており、多額の固定資産を計上しております。また、当社グループは、事業エリアの拡大及び事業の多様化を図る手段として過去に企業買収を実施しており、これにより生じたのれんを有しております。

 投資時においては資金収支や内部収益率(IRR)に基づく評価を実施しております。投資後においては業績推移のモニタリングを徹底することで、減損の兆候の早期把握・改善対応に努めておりますが、当初の想定と異なり、これらの固定資産の収益性が低下し、将来キャッシュ・フローの見込額が減少した場合には、減損損失が計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

⑬ 設備投資について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、競争力の維持・強化のため、営業活動によるキャッシュ・フローを恒常的に廃棄物処理施設・機械設備・車両の取得や維持等の設備投資に充当しております。また、当社グループの事業に適用される法令の基準等が変更された場合には、それに対応するため、想定外の設備投資が必要となる場合もあります。かかる設備投資により、他の投資への余剰資金が減少するほか、減価償却費の増加により、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 有利子負債について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社グループは、廃棄物収集車両、中間処理施設及び最終処分場等の多額の固定資産を計上しており、当該機械設備等の取得や維持・修繕のための資金が必要であり、新設計画等の将来的な資金需要に応じて、今後も有利子負債で資金を調達する可能性があります。2025年3月末時点において、有利子負債残高は66,532百万円であり、有利子負債比率は70.6%、総資産に占める割合は36.0%、ネットD/Eレシオ((有利子負債-現金及び現金同等物)/自己資本)は0.1倍となっております。当社グループは、金利の変動リスクを軽減するために、固定金利での調達を行っておりますが、今後金利が上昇する場合には将来の借入等に関する支払利息の負担が増加する可能性があります。

 

⑮ 自然災害等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループは、関西、中部及び関東エリアを中心とする日本各地の事業所において、多数の廃棄物処理施設、再資源化施設、最終処分場、機械設備等を有しております。これらの当社グループの施設は、特に日本における大規模な地震、津波、台風、集中豪雨、降雪、洪水、火災、落雷等の自然災害により、甚大な被害を受ける可能性があります。

 そのため、当社グループにおいては、事業継続計画(BCP)を策定するとともに、事業所間連携を強化し、自然災害の有事の際にも事業への影響が小さくなるよう努めておりますが、上記のような事象が発生した場合には、施設の操業停止や廃棄物の収集運搬・処理の遅滞が生じ、修繕費用等も発生する可能性があります。また、これらの自然災害の発生により、当社グループの顧客の事業活動に悪影響が生じ、当社グループの事業に対する需要が減少する可能性もあります。これらの結果、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 感染症について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 新型コロナウイルス感染症のような感染症の拡大・継続により、企業の生産活動が停止し又は制約を受け、建設業及び製造業を中心に廃棄物の排出量が減少することで、当社グループの売上が減少する可能性があります。また、当社グループが行う「廃棄物処理・資源循環」には社会や経済活動を維持する上で、必要不可欠なサービスとして臨機応変かつ柔軟な対応が求められることから、感染症に対する基本的対処方針を定め、感染対策を徹底することで事業の継続性を確保するよう努めておりますが、かかる施策にかかわらず、当社グループの従業員の多くが感染症等に感染した場合には、施設等の操業に支障が生じ、当社グループは適時かつ十分に廃棄物を受け入れることができない可能性があります。これらの事象により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法務、規制、コンプライアンス、レピュテーションに関するリスク

① 法的規制等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループの営む事業においては、「廃棄物処理法」に基づく廃棄物収集運搬業許可、廃棄物中間処理業・最終処分業許可、廃棄物処理施設設置許可、「土壌汚染対策法」に基づく汚染土壌処理業許可、「使用済自動車の再資源化等に関する法律」に基づく特定再資源化物品の再資源化認定、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」に基づく再商品化事業者認定、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」に基づく再生利用事業計画の認定、「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」に基づく再資源化事業計画の認定、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に基づく再資源化事業計画の認定や、それらの許認可を取得する上で必要となる「都市計画法」に基づく開発許可等、各種環境法令に基づく多くの許認可の取得が必要であり、それぞれの法的規制等を受けております。

 当社グループは、全役職員に対するコンプライアンス教育等を実施し、法令遵守の徹底を図るとともに、事業本部において許認可を一体的に管理する体制を構築することを通じて、法改正等を適時に把握し、迅速な対応に努めておりますが、上記の環境法令に違反した場合には、当社グループが損害賠償義務を負い、又は業務改善命令、業務停止命令もしくは罰金等の制裁を受ける可能性があります。

 

 

 また、国内外の環境法令の改正やその運用の変更があった場合には、当社グループの事業運営に支障が生じる可能性、追加の費用が必要となる可能性、既存施設の改修が必要となる可能性、廃棄物処理の需要に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

<廃棄物処理法>

 当社グループの営む主要な事業を規制する廃棄物処理法には、許可の取消し要件(廃棄物処理法第7条の4、第14条の3の2、第14条の6)が定められております。当社、当社役員及び5%以上の株式を保有している株主が廃棄物処理法の罰則規定に該当する場合はもちろん、刑法、浄化槽法、その他生活環境の保全を目的とする法律、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、暴力行為等処罰ニ関スル法律のいずれかに違反し、罰金刑に処せられた場合等欠格要件(廃棄物処理法第7条第5項第4号、同条第10項第4号、第14条第5項第2号、同条第10項第2号、第14条の4第5項第2号、同条第10項第2号)に該当した場合には、当社の許可の取消し要件に該当いたします。また、当社グループの子会社や関連会社が欠格要件に該当した場合、当該グループ会社が取得している許可の取消し要件に該当するとともに、一定の条件を満たした場合には当社が取得している許可の取消し要件にも該当することとなります。

 当社グループにおいては、現在許可の取消し要件に該当する事象は生じておりませんが、万一、許可の取消し要件に抵触し、許可が取り消される場合には、事業停止に陥り、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 なお、廃棄物処理法における許可の取消し事由及び当社グループが取得している許認可の概要は以下のとおりであります。

 

(廃棄物処理法における許可の取消し事由)

第七条の四 市町村長は、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。

一 第七条第五項第四号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条まで若しくは第三十二条第一項(第二十五条から第二十七条までの規定に係る部分に限る。)の規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに該当するに至つたとき。

二 第七条第五項第四号リからルまで(同号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条までの規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに係るものに限る。)のいずれかに該当するに至つたとき。

三 第七条第五項第四号リからルまで(同号ホに係るものに限る。)のいずれかに該当するに至つたとき。

四 第七条第五項第四号イからトまで又はリからルまでのいずれかに該当するに至つたとき(前三号に該当する場合を除く。)。

五 前条第一号に該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による処分に違反したとき。

六 不正の手段により第七条第一項若しくは第六項の許可(同条第二項又は第七項の許可の更新を含む。)又は第七条の二第一項の変更の許可を受けたとき。

2 市町村長は、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者が前条第二号又は第三号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。

 

第十四条の三の二 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。

一 第十四条第五項第二号イ(第七条第五項第四号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条まで若しくは第三十二条第一項(第二十五条から第二十七条までの規定に係る部分に限る。)の規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに係るものに限る。)又は第十四条第五項第二号ロ若しくはヘに該当するに至つたとき。

二 第十四条第五項第二号ハからホまで(同号イ(第七条第五項第四号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条までの規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに係るものに限る。)又は第十四条第五項第二号ロに係るものに限る。)に該当するに至つたとき。

三 第十四条第五項第二号ハからホまで(同号イ(第七条第五項第四号ホに係るものに限る。)に係るものに限る。)に該当するに至つたとき。

四 第十四条第五項第二号イ又はハからホまでのいずれかに該当するに至つたとき(前三号に該当する場合を除く。)。

五 前条第一号に該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による処分に違反したとき。

六 不正の手段により第十四条第一項若しくは第六項の許可(同条第二項又は第七項の許可の更新を含む。)又は第十四条の二第一項の変更の許可を受けたとき。

2 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が前条第二号又は第三号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。

3 前二項の規定により許可を取り消された者であつて当該許可に係る産業廃棄物の収集、運搬又は処分を終了していないものは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、許可を取り消された旨を当該収集、運搬又は処分を終了していない産業廃棄物の収集、運搬又は処分を委託した者に書面により通知しなければならない。

4 第十四条の二第五項の規定は、前項の規定による通知をした者について準用する。

 

(取得している主要な許認可の概要)

大栄環境株式会社

許認可等の名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期限

一般廃棄物収集運搬業許可

市町村

一般廃棄物の収集・運搬

(最初に期限を迎えるもの)2026年3月31日

(最後に期限を迎えるもの)2026年3月31日

一般廃棄物処分業許可

市町村

一般廃棄物の中間処理・最終処分

(最初に期限を迎えるもの)2025年9月3日

(最後に期限を迎えるもの)2026年10月13日

産業廃棄物収集運搬業許可

都道府県、

政令市

産業廃棄物の収集・運搬

(最初に期限を迎えるもの)2025年8月17日

(最後に期限を迎えるもの)2031年8月9日

産業廃棄物処分業許可

都道府県、

市町村

産業廃棄物の中間処理・最終処分

(最初に期限を迎えるもの)2027年2月24日

(最後に期限を迎えるもの)2031年7月26日

特別管理産業廃棄物収集運搬業許可

都道府県、

政令市

特別管理産業廃棄物の収集・運搬

(最初に期限を迎えるもの)2025年10月3日

(最後に期限を迎えるもの)2032年1月15日

特別管理産業廃棄物処分業許可

都道府県、

市町村

特別管理産業廃棄物の中間処理・最終処分

(最初に期限を迎えるもの)2028年4月3日

(最後に期限を迎えるもの)2030年7月24日

 

三重中央開発株式会社

許認可等の名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期限

一般廃棄物収集運搬業許可

市町村

一般廃棄物の収集・運搬

(最初に期限を迎えるもの)2025年8月10日

(最後に期限を迎えるもの)2027年3月31日

一般廃棄物処分業許可

市町村

一般廃棄物の中間処理・最終処分

(最初に期限を迎えるもの)2026年3月31日

(最後に期限を迎えるもの)2027年3月11日

産業廃棄物収集運搬業許可

都道府県、

政令市

産業廃棄物の収集・運搬

(最初に期限を迎えるもの)2025年7月29日

(最後に期限を迎えるもの)2031年7月31日

産業廃棄物処分業許可

都道府県

産業廃棄物の中間処理・最終処分

(最初に期限を迎えるもの)2026年8月27日

(最後に期限を迎えるもの)2031年6月12日

特別管理産業廃棄物収集運搬業許可

都道府県、

政令市

特別管理産業廃棄物の収集・運搬

(最初に期限を迎えるもの)2026年5月14日

(最後に期限を迎えるもの)2031年11月15日

特別管理産業廃棄物処分業許可

都道府県

特別管理産業廃棄物の中間処理・最終処分

(最初に期限を迎えるもの)2029年6月30日

(最後に期限を迎えるもの)2029年6月30日

 

<その他関係法令>

 当社グループは、廃棄物処理法等の環境法令以外に、建設業法、古物営業法、刑法や労働安全衛生法等による規制を受けております。これらの法規制の改廃や新たな法規制、条例等の制定による規制強化がなされた場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 入札の指名停止等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社グループは2025年3月期において、487の自治体と一般廃棄物処理や災害支援に関する契約を締結しております。自治体に対しては、業者登録が必要であり、登録事業者が入札に参加することが可能となります。しかしながら、入札手続において虚偽記載等があった場合、談合を行い競争法に違反した場合や従業員の労働衛生が不十分であった場合には、業者登録が取り消される、あるいは入札の指名が停止され、自治体との契約ができなくなる可能性があり、これにより当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

<指名停止基準>

a.指名競争又は一般競争参加資格審査申請

 地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)上、指名競争入札及び一般競争入札には参加要件が定められております。また、指名競争入札又は一般競争入札に参加しようとする者が、契約の履行にあたり、故意に工事、製造その他の役務を粗雑に行い、又は物件の品質もしくは数量に関して不正の行為をしたとき等に該当すると認められるときは、地方自治体はその者について3年以内の期間を定めて指名競争入札又は一般競争入札に参加させないことができます。

 また、必要があるときは、指名競争入札及び一般競争入札に参加する者に必要な資格として、あらかじめ、契約の種類及び金額に応じ、工事、製造又は販売等の実績、従業員の数、資本の額その他の経営の規模及び状況を要件とする資格を定められる可能性があります。

 指名競争入札及び一般競争入札へのかかる参加資格の認定にあたっては、あらかじめ地方自治体に資格審査申請を行う手続が定められていることがあります。このような資格審査申請手続において、虚偽の記載等があった場合は、指名競争入札及び一般競争入札参加資格の認定は受けられず、認定後に発覚した場合には取り消されることがあります。

 かかる入札参加資格として、当社グループは省庁及び都道府県を含む地方自治体における指名競争入札及び一般競争入札に参加するための資格として、「全省庁統一資格」を含む複数の資格を取得しております。かかる資格に関しては、各省庁や各地方自治体が定める指名停止等の措置要領に定められた一定の事由(指名停止事由)に該当した場合には、指名停止措置を受け、一定期間入札に参加することができなくなります。指名停止事由はこれを定める省庁又は地方自治体により異なりますが、入札参加資格審査申請書等に虚偽の記載があった場合、安全管理措置の不適切による事故により死亡者又は負傷者を生じさせる等した場合、入札妨害・談合を行った場合、関連業法に違反した場合等が定められることがあります。

 また、全省庁統一資格は、破産手続開始の決定を受けた場合や暴力団員等に該当するに至った場合等、所定の場合に取り消されるものとされております。

 

b.入札行為

 独占禁止法違反や官製談合等の不正な入札行為を行った場合は、公正取引委員会から排除措置命令が行われます。排除措置命令を受けた場合は、営業禁止や営業停止の行政処分の他、国及び自治体から指名停止の処分が科せられます。

 

③ 環境影響について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループの営む事業においては、当社グループが現在又は過去において所有・運営する廃棄物処理施設等における廃棄物等の中間処理や最終処分の過程で、騒音、振動、排気ガス、粉塵、排水、悪臭が発生し、また、危険性を伴う廃棄物を取り扱っていることにより、周辺の土壌・地下水・地表水等に有害物質が流入し環境汚染が生じる可能性もあるため、周辺住民その他の関係者に対して法的責任を負う可能性があります。当社グループは、かかるリスクを最小化するために、適切な設備を配置し環境保全対策を実施し、また、施設の稼働に伴う環境への影響をモニタリングしておりますが、これらの対策には追加費用を要するうえ、奏功する保証はありません。また、当社グループが過去の所有者等から、契約等において施設の所在する土地等の環境リスクに係る表明保証を得ていたとしても、その違反があった場合の補償額や期間制限が当社グループの負う損害賠償責任を填補できず、また過去の所有者等が十分な資力を有していない可能性もあります。加えて、有害物質に関する新たな規制の導入や規制の改正により、追加費用が必要となり、法的紛争のリスクが増加する可能性もあります。

 不測の事態により環境汚染が発生した場合、人的被害、資産もしくは天然資源への損害を理由とする損害賠償請求を受け、又は周辺の調査や浄化に係る義務を負うこととなる可能性があり、これにより当社グループの社会的信用が低下し、施設の周辺地域からの支持を失い、新規の許認可の取得や既存の許認可の維持に支障を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 当社グループの社会的信用について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループの事業運営においては、周辺住民との良好な関係を含む社会的信用が非常に重要であり、これを維持・向上するための様々な施策を講じていますが、当社グループの事業活動やCSR活動、従業員又は委託先に関する風評等が生じる可能性は否定できず、その場合、風評等が正当なものかどうかに関わらず、当社グループの社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの社会的信用が低下した場合には、顧客からの受注が減少する可能性、自治体から事業上必要な許認可を新規に取得できない可能性、社会的信用の回復に追加の費用等を要する可能性があります。

 

⑤ 新規施設計画の遅延・中止について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループの事業上・財務上の経営指標を達成するためには、新規施設に係る許認可取得等が必要不可欠であり、許認可取得等についての規制当局等による承認を得られない場合、新たな中間処理施設や最終処分場の設置等が禁止される可能性があります。廃棄物処理施設の新規開設を行う場合は、周辺住民その他の関係者との合意形成が求められるため、新規施設に関する説明会を開催することなどにより良好な関係を構築し、円滑な開発に努めておりますが、それが実現できない場合には、施設の周辺住民その他の関係者が当社グループによる許認可の新規取得に反対する可能性があります。

 これらの事情により合意形成が遅れる場合には、新規施設計画が遅延し、売上の計上が後ろ倒しとなり、先行して発生する費用負担が増大する可能性があります。また、最終処分場の新規計画が遅延し、当社グループの既存の最終処分場で処理しきれない場合には、より高いコストで外部業者へ最終処分を委託しなければならない可能性もあります。さらに、新規施設計画が中止になる場合においては、先行して発生した費用の回収が困難となるだけでなく、全体の事業計画の見直しが必要となるおそれもあります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 訴訟等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小から大)

 当社グループは、施設の周辺住民その他の関係者、顧客その他の取引先、競合他社、従業員等から、環境被害、契約違反、労働問題、知的財産権侵害や機密情報漏洩等を理由として、訴訟その他の法的手続を提起される可能性があります。

 特に当社グループは、労働基準法を遵守するとともに、勤務条件等について従業員に対して丁寧な説明を行うことで、労働訴訟の未然防止に努めておりますが、従業員及び労働組合等の団体から、勤務条件等に関して労働訴訟が提起されております。

 かかる訴訟等の提起がなされ、当社グループに不利な決定又は和解がなされた場合には、例えば労働問題の場合には当社グループの従業員の採用が困難となり又は既存の従業員の離脱が発生するなど、当社グループの事業運営に悪影響を及ぼす可能性や、当社グループの社会的信用が低下し又は顧客との関係が毀損する可能性があります。また、仮に当社グループに不利な決定が下されなかった場合でも、訴訟対応のため、時間、費用その他の経営資源を費やす結果、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 情報管理について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループは、経営情報や顧客情報等の機密情報及び個人情報を取り扱っております。これらの情報が、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、社内設備の故障、システム障害、人為的・技術的な過失、自然災害等により、外部に漏洩・消失する可能性があります。

 当社グループでは、情報管理システムを整備しており、個人情報の保護に関する法律を遵守し、情報システム管理規程の制定や情報管理に係る社内教育の実施等により、情報セキュリティ対策を講じる等、上記のような事態の未然防止に努めておりますが、そのために多くの時間と費用を要する可能性があるうえ、かかる予防策が奏功せず、予期せぬ事態により情報が漏洩・消失する可能性があります。今後機密情報及び個人情報の取扱いに係る規制が変更された場合には、それに対応するために、システム開発等の費用が必要となる可能性もあります。

 当社グループは、情報システムの運営及び保守の一部について第三者に委託しているため、当社グループの管理の及ばないところでシステム障害その他の問題が発生する可能性があり、その開発、維持及び拡張に要する費用が将来大幅に増加する可能性もあります。また、当社は事業継続計画(BCP)を定めているものの、情報システムの障害をもたらす可能性のある全ての事態に対処できるとは限りません。

 これらにより、当社グループに対する社会的信用の失墜、事業活動の制約、損害賠償責任の発生等が生じる可能性があります。

 

 

(3)当社株式に関するリスク

① 大株主との関係について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 ウイングトワ株式会社は、当連結会計年度末現在、当社の発行済株式総数(自己株式を除く)の62.33%を保有しております。同社が当社株式を売却しようとする場合には、売却時の市場環境等により、当社株式の市場価格等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、同社は、当面の間引き続き相当数の当社株式を保有する予定とのことであり、当社の取締役の選解任を含む株主の承認を必要とする事項について引き続き一定の影響力を有します。また、同社は、当社グループの運営その他の事項に関し、当社の一般株主と異なる利害関係を有している可能性があり、同社が保有する株式に係る議決権については、一般株主の利害と異なる議決権の行使が行われる可能性があります。

 

② 当社株式の流動性について(発生可能性:中、発生時期:短期、影響度:小)

 当社は、2022年12月に株式会社東京証券取引所プライム市場に上場しており、上場後も公募増資等によって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は2025年3月末時点において36.08%となっております。

 今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達や大株主への一部売出しの要請による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場維持基準に抵触した場合にはプライム市場から他の市場に移行し、当社株式の市場における流動性が減少する可能性があり、それにより当社株式の株価が不安定となる可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、中国の景気低迷による海外景気の下振れ、米国の政策動向により世界経済に及ぼされる影響が国内景気を下押しするリスク要因となっていること及び原材料価格が高止まりしている状況にあるものの、国内建設工事での価格転嫁やAI需要などにより最高益を更新する企業業績を背景に、堅調に推移していると考えております。

 このような状況のもと、当社グループは、関西・中部エリアを中心としたインフラ開発案件の受注やパートナー企業及び自治体との廃プラスチック資源循環システムの構築に注力してまいりました。また、2024年4月に栄和リサイクル株式会社、同年7月に株式会社浦安清運及び株式会社アイア、2025年1月に株式会社海成を連結子会社化いたしました。これらの会社は関東エリアを拠点に事業を展開しており、同エリアで既に事業を展開している連結子会社の株式会社共同土木と一体となった運営を行うことで、売上拡大を進めてまいりました。

 利益面に関しては、人件費や解体工事の受注に伴う外注費の増加があった一方で、最終処分場での容量あたりの売上高が伸びたこと、内製化によるコスト削減を継続して進めた結果、増収増益となり、過去最高の業績を達成することができました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、次のとおりとなりました。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

連結会計年度

2025年3月期

連結会計年度

増減額

増減率

売上高

73,035

80,178

7,143

9.8%

営業利益

19,714

21,548

1,833

9.3%

営業利益率

27.0%

26.9%

△0.1pt

経常利益

20,589

21,484

895

4.3%

親会社株主に帰属する当期純利益

13,591

14,364

772

5.7%

EBITDA

26,265

27,824

1,558

5.9%

EBITDAマージン

36.0%

34.7%

△1.3pt

(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費(営業外費用除く)+のれん償却額

   2.EBITDAマージン=EBITDA/売上高

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(環境関連事業)

(単位:百万円)

 

2024年3月期

連結会計年度

2025年3月期

連結会計年度

増減額

増減率

売上高

71,032

77,487

6,455

9.1%

セグメント利益

20,109

21,893

1,783

8.9%

 

 「廃棄物処理・資源循環」において、廃棄物受入量は2,196千トン(前年同期比0.5%減)となりました。これは、関西・中部エリアを中心とするインフラ開発案件に伴う廃棄物処理需要を獲得したものの、低単価廃棄物の受入量が減少したことによるものであります。一方で、高単価廃棄物の受入量は堅調であったことから、増収となりました。

 「土壌浄化」において、汚染土壌受入量は335千トン(前年同期比17.4%減)となりました。これは、大型案件の終了に加えて、最終処分場で受け入れる汚染土壌の受注単価を見直したことによるものであります。一方で、難処理土壌の獲得などにより増収となりました。

 「施設建設・運営管理」において、当連結会計年度に連結子会社化した栄和リサイクル株式会社及び株式会社海成における解体工事の受注が寄与し、大幅増収となりました。

 利益面に関しては、最終処分場での容量あたりの売上高が伸びたこと、内製化によるコスト削減を継続して進めた結果、増益となりました。

 

(その他)

(単位:百万円)

 

2024年3月期

連結会計年度

2025年3月期

連結会計年度

増減額

増減率

売上高

2,002

2,691

688

34.4%

セグメント損失(△)

△238

△225

13

 

 売上高については、アルミ市況の高騰により「アルミペレット」の販売単価が上昇したこと及び販売量が増加したこと、「リサイクルプラスチックパレット」の販売枚数が増加したこと、「スポーツ地域振興」におけるスポンサー収入の計上により増収となりました。

 利益面に関しては、「アルミペレット」においてアルミ缶原料の仕入単価が上昇したことに加えて、「スポーツ地域振興」における会場使用料の計上等により、セグメント損失となりました。

 

b.財政状態

(単位:百万円)

 

2024年3月期

連結会計年度

2025年3月期

連結会計年度

増減額

増減率

資産

172,796

184,905

12,109

7.0%

負債

84,787

90,223

5,435

6.4%

純資産

88,008

94,681

6,673

7.6%

自己資本比率

50.7%

51.0%

0.3pt

 

(資産の部)

 当連結会計年度末における総資産は184,905百万円(前連結会計年度末比12,109百万円の増加)となりました。

 流動資産は69,781百万円(前連結会計年度末比3,199百万円の増加)となりました。これは主に、現金及び預金が2,458百万円増加したことによります。

 固定資産は115,021百万円(前連結会計年度末比9,062百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産が8,170百万円、無形固定資産が1,207百万円増加したことによります。有形固定資産の増加は主に、機械装置及び運搬具が1,258百万円減少したものの、最終処分場が6,086百万円、建設仮勘定が2,943百万円、土地が1,153百万円増加したことによります。最終処分場は主に、三重中央開発株式会社で建設していた第8期最終処分場が全面供用開始したことに伴う増加となります。建設仮勘定は主に、DINS関西株式会社のプラスチック再資源化施設建設工事、土地は主に、株式会社浦安清運の連結子会社化に伴う増加となります。また、無形固定資産の増加は主に、栄和リサイクル株式会社の連結子会社化に伴い、のれんが1,178百万円増加したことによります。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債は90,223百万円(前連結会計年度末比5,435百万円の増加)となりました。

 流動負債は29,114百万円(前連結会計年度末比490百万円の減少)となりました。

 固定負債は61,108百万円(前連結会計年度末比5,925百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入金が6,423百万円増加したことによります。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産は94,681百万円(前連結会計年度末比6,673百万円の増加)となりました。これは主に、自己株式を取得したことに伴う自己株式1,787百万円の減少及び配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が7,933百万円増加したことによります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

連結会計年度

2025年3月期

連結会計年度

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

21,674

23,021

1,346

投資活動によるキャッシュ・フロー

△15,562

△18,956

△3,394

フリー・キャッシュ・フロー

6,112

4,065

△2,047

財務活動によるキャッシュ・フロー

△7,643

△3,543

4,099

(注)フリー・キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べて523百万円増加し、52,647百万円(前連結会計年度末比1.0%増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは23,021百万円の収入(前連結会計年度は21,674百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加額が1,949百万円、法人税等の支払額7,364百万円があったものの、税金等調整前当期純利益21,554百万円、減価償却費6,174百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは18,956百万円の支出(前連結会計年度は15,562百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出16,227百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出3,112百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは3,543百万円の支出(前連結会計年度は7,643百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入19,500百万円があったものの、長期借入金の返済による支出13,522百万円、配当金の支払額6,428百万円及び自己株式の取得による支出1,862百万円によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループの大半を占める「環境関連事業」における生産実績とは、廃棄物の処理実績を意味しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比

環境関連事業(百万円)

77,487

9.1%

その他(百万円)

2,455

36.0%

合計(百万円)

79,942

9.8%

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

 当社グループの営む事業においては、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比

環境関連事業(百万円)

77,487

9.1%

その他(百万円)

2,691

34.4%

合計(百万円)

80,178

9.8%

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.総販売実績に対する割合が10%以上の主要な販売先がないため、相手先別の販売実績の記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

中期経営計画

(2023年3月期~2025年3月期)

最終年度

目標値

連結会計年度

(2025年3月期)

実績

(参考)2022年3月期

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

売上高年平均成長率

(2022年~2025年3月期)

5~6%成長※

7.3%

売上高

64,992百万円

営業利益率

20%程度

26.9%

営業利益率

19.8%

EBITDAマージン

30%以上

34.7%

EBITDA

マージン

30.5%

※ 2022年~2025年3月期までの年平均成長率であります。

 

 売上高は、インフラ開発案件に伴う廃棄物処理需要を獲得したこと、低単価廃棄物の受入量を抑制した一方で高単価廃棄物の受入量が堅調に推移したことなどにより、80,178百万円(前期比9.8%増)となりました。この結果、2022年から当連結会計年度までの年平均成長率は7.3%となり、中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)を上回る成長となりました。

 利益面については、人件費や解体工事の受注に伴う外注費の増加があったものの、最終処分場の容量あたりの売上高が伸びたこと、継続的な内製化を通じてコスト削減を進めた結果、営業利益率及びEBITDAマージンは26.9%、34.7%となり、中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)を大きく上回る結果となりました。

 

 また、ROE(親会社株主に帰属する当期純利益/期首期末平均の自己資本)は15.8%、ROIC(NOPAT/期首投下資本、NOPAT=(営業利益+のれん償却額)*(1-実効税率(30.6%))、投下資本=固定資産+流動資産(現金及び預金除く)-流動負債(有利子負債除く))は14.1%、ネットD/Eレシオ((有利子負債-現金及び現金同等物)/自己資本)は0.1倍となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 運転資金は、手許資金で賄っており、設備資金については、金融機関からの借入金や社債で資金調達をしております。外部借入は当社のみが行う方針であり、当社グループ子会社の設備投資時には、当社から子会社に資金を貸し付け、グループファイナンスによる資金の有効活用を図っております。

 当社グループは、収益力の強化により営業活動によるキャッシュ・フロー獲得能力を高めるとともに、財務体質を健全化し、資金の流動性を高めてまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、環境関連事業における資源循環の促進に関する技術開発であり、当社技術部が中心に行っております。

 当社グループの経営ビジョンである「事業の永続性を高め、環境創造企業として進化する」を根幹として、100年企業の基盤づくりの取組みを一層推進するために、中期経営計画を策定し、資源循環システムの高度化等、サステナブルな明るい未来社会の実現に向けての新たな価値の創出に寄与する研究開発に取り組むとともに、研究開発活動を通じて100年企業の担い手となる人財を育成してまいります。

 上記を実現するために、次のとおり処理・リサイクルプロセスの改善、新サービス・新技術等に関する研究開発を進めております。

 なお、当社グループにおいては、自社で研究開発を行う場合と国の研究機関など外部からの委託を受けて研究開発を行う場合があり、自社研究開発は研究開発費、受託研究開発は売上原価として処理しております。

 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は187百万円、受託研究開発に係る売上原価の総額は177百万円であり、研究開発規模の総額は364百万円であります。

 なお、当連結会計年度における研究開発活動の内容は、次のとおりであります。

 

(1)自社研究開発

・廃太陽光パネルの処理技術・リサイクルシステムの検討

・廃石膏ボードのリサイクル用途拡大の検討

・廃プラスチックガス化ケミカルリサイクル共同実施プロジェクト

・焼却灰に含まれる貴金属量の把握及び回収方法の検討

・ASR(自動車破砕残さ)のマテリアルリサイクル検討

・HBS(ハイブリッドソイル)の配合及び強度の検討

 

(2)受託研究開発

・高度循環型システム構築に向けた廃電気・電子機器処理プロセス基盤技術開発

・非接触型ごみ収集システムの開発と社会実装に向けたシナリオ構築

・ガラス固化技術(GeoMelt®ICV™溶融技術)による放射性セシウム含有溶融飛灰等の高減容・安定化処理技術の実証

・自動車再生樹脂グレード開発及びリサイクルシステム構築実証