第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第39期

第40期

第41期

第42期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

10,859,522

14,165,059

17,865,650

19,162,919

経常利益

(千円)

578,177

1,322,512

1,620,612

1,401,636

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

268,579

939,053

1,058,878

818,088

包括利益

(千円)

241,106

1,001,999

1,136,025

819,440

純資産額

(千円)

353,782

1,355,782

4,226,011

4,742,077

総資産額

(千円)

5,448,424

6,464,452

9,174,438

9,422,534

1株当たり純資産額

(円)

46.03

177.12

465.73

513.43

1株当たり当期純利益金額

(円)

35.54

122.91

132.70

89.42

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益金額

(円)

124.50

87.26

自己資本比率

(%)

6.5

20.9

46.0

50.3

自己資本利益率

(%)

130.9

110.2

38.0

18.3

株価収益率

(倍)

33.7

26.8

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,051,816

983,799

1,055,311

681,924

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

6,285

510,081

243,430

778,154

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

596,273

640,617

1,235,225

605,586

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

1,395,139

1,249,371

3,317,671

2,660,149

従業員数

(名)

225

252

255

265

〔ほか、平均臨時
雇用人員〕

529

473

535

546

 

(注) 1.第39期及び第40期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。

2.第39期及び第40期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

3.2022年1月11日付けで普通株式1株につき普通株式200株の割合で株式分割を行っております。第39期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。

4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第40期の期首から適用しており、第40期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第38期

第39期

第40期

第41期

第42期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

11,042,188

10,529,961

14,014,531

17,412,913

18,362,503

経常利益

(千円)

78,296

497,801

1,252,742

1,604,743

1,572,430

当期純利益

(千円)

2,117

192,932

876,026

1,045,048

983,442

資本金

(千円)

100,000

126,299

126,299

1,127,115

1,134,150

発行済株式総数

(株)

36,500

38,200

7,640,000

9,068,200

9,230,200

純資産額

(千円)

101,122

346,653

1,231,068

3,999,983

4,687,902

総資産額

(千円)

5,246,324

5,154,611

6,034,800

8,723,959

9,345,136

1株当たり純資産額

(円)

2,770.49

45.37

161.13

441.10

507.89

1株当たり配当額

(円)

35.00

35.00

35.00

(1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

58.02

25.53

114.66

130.96

107.49

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

122.87

104.89

自己資本比率

(%)

1.9

6.7

20.4

45.9

50.2

自己資本利益率

(%)

2.1

86.2

111.0

40.0

22.6

株価収益率

(倍)

34.1

22.3

配当性向

(%)

30.5

26.7

32.6

従業員数

(名)

196

195

220

234

239

〔ほか、平均臨時
雇用人員〕

589

529

471

533

545

株主総利回り

(%)

54.4

(比較指標:配当込み
TOPIX)

(%)

(-)

(-)

(-)

(-)

(141.3)

最高株価

(円)

4,530

4,735

最低株価

(円)

2,134

2,024

 

(注) 1.第38期から第40期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

2.第38期から第40期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

3.主要な経営指標等のうち、第38期については会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

4.第39期から第42期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。

5.第39期において当社における棚卸資産評価損の計上に係る誤謬の訂正を行った結果、第39期の財務諸表の数値と定時株主総会において承認された計算書類の数値が一部異なっております。

6.2022年1月11日付けで普通株式1株につき普通株式200株の割合で株式分割を行っております。第39期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第40期の期首から適用しており、第40期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

8.第38期から第41期の株主総利回り及び比較指標は、2022年12月21日に東京証券取引所グロース市場に上場したため記載しておりません。第42期の株主総利回り及び比較指標は、2023年3月期末を基準として算定しております。

9.最高・最低株価は、東京証券取引所グロース市場における株価を記載しております。ただし、当社株式は2022年12月21日から東京証券取引所グロース市場に上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。

 

2 【沿革】

年月

概要

1982年6月

㈱斑尾高原農場(資本金5,000千円)設立

1989年5月

レストランサンクゼール OPEN

1989年8月

農業生産法人㈲三水ワイン生産農園を設立、農業経営開始

1990年4月

サンクゼールブランド立ち上げ

1992年6月

資本金70,000千円に増資

1994年6月

果実酒酒造免許取得

1996年4月

リキュール類の酒類製造免許取得

1997年4月

オリンピックのライセンスを取得し、特別製造ジャムを限定販売

2000年2月

カリフォルニアワインの輸入販売をスタート

2000年11月

資本金320,000千円に増資

2005年10月

商号を「㈱サンクゼール」に変更

2008年5月

資本金365,000千円に増資

2010年11月

資本金100,000千円に減資

2011年7月

ものづくり大賞NAGANO2011で大賞受賞

2012年6月

㈲三水ワイン生産農園の商号を「㈲斑尾高原農場」に変更

2013年2月

サンクゼール シードルが原産地呼称認定

2013年11月

チャリティージャム事業で第10回日本パートナーシップ大賞グランプリを受賞

2013年12月

久世福商店のブランドを立ち上げ、久世福商店1号店 イオンモール幕張新都心店OPEN

2014年3月

サンクゼール信濃町センターを設立

2016年11月

信州ブランドアワード2016にて企業・事業ブランド部門賞を受賞

2017年4月

St.Cousair Oregon Orchards, Inc. (SCOO社)設立

2017年5月

㈲斑尾高原農場の事業を引き継ぐ目的で㈱斑尾高原農場(1982年設立の法人とは別の法人)を設立

2017年5月

いいづなシードルブランデー製造開始

2017年9月

奈良県とパートナーシップ協定を締結

2018年12月

SCOO社名を「St.Cousair, Inc.」(SCI社)に変更

2019年1月

Kuze Fuku & Sons ブランド立ち上げ

2019年5月

一般財団法人アファンの森財団とのオフィシャルスポンサー契約締結

2019年9月

Forbes Japan SMALL GIANTS AWARD 2019-2020 グローカル賞を受賞

2020年1月

飯綱工場・信濃町工場にて「JFS-B規格」認証を取得

2020年6月

資本金126,299千円に増資

2020年10月

久世福e商店街(現 旅する久世福e商店)立上げ

2020年12月

長野県いきいきアドバンスカンパニー認証

2021年3月

島根県とパートナーシップ協定を締結

2021年10月

Bokksu, Inc.へ出資及び業務提携契約を締結

2022年7月

Blue Hill Tech, Inc.へ出資及び業務提携契約を締結

2022年12月

東京証券取引所グロース市場に株式を上場

2023年6月

SCI社がPortlandia Foods, Inc.と事業譲渡契約を締結

2023年9月

MeKELブランド立ち上げ MeKEL1号店 長野若里店

2023年12月

久世良三氏及びまゆみ氏と「一般財団法人 サンクゼール財団」を共同設立

2024年3月

サンクゼールの森が「民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域」として、環境省より令和5年度後期の「自然共生サイト」に認定

 

 

3 【事業の内容】

 当社グループは、日本全国に171店舗(2024年3月末時点)の自社店舗(直営52店舗、フランチャイズ・チェーン(以下、「FC」と呼称。)119店舗)を展開する食品製造販売事業を行っております。また、自社店舗(直営及びFC)以外にも、自社で構築したオンラインショップ(以下、「自社公式ECサイト」という。)や楽天サイトを通じた販売、また地方の生産者と消費者をつなぐオンラインマーケットプレイスを運営するEC事業、大手食品卸企業や小売企業に対するホールセール事業、そして米国を中心とするグローバル事業など、様々なチャネルを通じて製商品の販売を行っております。

 当社グループ事業の特徴は、マーケティング、製商品の企画・開発、調達・製造、店舗設計、そして販売までの全てのプロセスを一気通貫で手掛ける、食のSPAモデルを有している点であります。これにより、当社グループの5つのブランドそれぞれに必要な要素を共通の世界観で構築することができるため、独自のグロッサリーストア(食料品店)の展開が可能となっております。

 当社グループの商品は、その約90%が自社の開発部門によって企画・開発されたものであり、各ブランドのコンセプトを体現した独自性のある商品となっております。また、各店舗の商品点数は、小規模店舗で600アイテム以上、大型店舗で1,200アイテム以上に及び、いずれもネーミング、パッケージデザイン、及びおいしさにこだわって作り上げた商品であります。当社グループ工場及び協力メーカー工場では、店舗からのきめ細かな発注に応えられるよう、多品種少量生産に適した生産体制を構築しており、このような生産体制をとることで、消費者の需要に合わせた生産調整が可能となり、店舗では最適なボリュームでの商品陳列を実現しております。

 

(1) オリジナリティ溢れる5つのブランド

 当社グループでは、「サンクゼール」、「久世福商店」、「MeKEL(メケル)」、「Kuze Fuku & Sons」、そして「Portlandia Foods」の5つのブランドを展開しております。各ブランドはコンセプトを明確に分けており、お客様に対してブランドごとに異なる商品を提供しております。

 各ブランドのコンセプトと特徴は以下のとおりです。

 

ブランド

コンセプト

特徴

サンクゼール


Country Comfort

~田舎の豊かさ、心地よさ~

 

創業者である久世良三氏がペンションを営んでいた頃、朝食のために作っていた手作りジャムが当ブランドの原点となっております。その後、創業者がフランスの田舎を訪れたときに感じたイメージをもとに、長野県上水内郡飯綱町に製造工場とワイナリー、レストラン、売店を備えた「サンクゼールの丘」を作り上げ、現在の「サンクゼール」ブランドが形作られていきました。主要な取扱商品は、自社製造のワイン、ジャム、パスタソース、ドレッシング等の洋食材です。2024年3月末現在、店舗数は16店舗(直営12店舗、FC4店舗)となっております。

久世福商店


ザ・ジャパニーズ・グルメストア

創業者の父であり、食品卸問屋を営んでいた久世福松氏がブランド名の語源であります。それぞれの商品は、素材の選定から味付けまで、当社と各メーカーが共同して開発を手掛けているものも多くあり、高品質でおいしいと感じられる逸品を取り揃えております。また、商品の魅力だけでなく、生産者の人柄まで掘り下げることで、より独自性の高い商品開発に努めております。主要な取扱商品は、ご飯のお供、だし、味噌や醤油等の和食材です。2024年3月末現在、店舗数は154店舗(直営39店舗、FC115店舗)となっております。

MeKEL(メケル)

 


ザ・ワールド・グルメマーケット

ブランド名の語源は、長野県の方言で「見つける」を意味する「めっける」に由来しております。主要な取扱商品は、MeKELオリジナル商品を含む冷凍食品や、日本を含むアジア等の調味料や食料品です。調理が簡便でしかもおいしい冷凍食品を提供することで、拡大する時短ニーズに応えるとともに、MeKELを通じて、新しい味や知らなかった食文化を見つける楽しさ、ワクワク感を感じていただきたいという願いを込めております。2024年3月末現在の店舗数は直営1店舗です。

 

 

ブランド

コンセプト

特徴

Kuze Fuku & Sons

 


The Premium Japan Brand

 

 

 

 

 

 

当社グループの米国子会社であるSt.Cousair,Inc.で作った商品を、グローバルに展開するために誕生したブランドです。ブランド名には、創業者の父、久世福松氏の息子たちが米国に進出し、「親から子へ」脈々と受け継がれている、日本人としてのアイデンティティを大切にしたいという想いが込められております。主要な取扱商品は、St. Cousair, Inc.で作られているドリンクベースやドレッシング、ジャム等のほか、日本から輸入する自社製品及び仕入商品であります。

Portlandia Foods

 


Healthy.

Happy.

Together.

2023年6月に事業譲受した、米国メインストリームの加工食品ブランドです。米国オレゴン州で自社ブランドのオーガニック認証を得たケチャップやマスタード等の加工食品を販売する事業を展開しております。創業当初より、オーガニック食材や持続可能な生産を通して、健康で幸せな未来を築いていこうというメッセージを発信し続け、地元地域の多くのお客様に親しまれております。

 

 

 

(2) 食のSPAモデル

 当社グループは、全国各地の優れた逸品を探し出し、様々な販売チャネルを通じて販売していく食のSPAモデル事業を展開しております。

 


 

①お客様からのフィードバックを直接取得するマーケティング

 当社グループは食のSPAにおいて、お客様のフィードバックを素早く商品開発や売場改善に反映し、お客様の当社ブランドに対するロイヤルティの向上につなげていくことが、最も重要な要素であると考えております。当社グループでは、全国に有する自社店舗(直営及びFC)にご来店いただくお客様の声を直接聞き取り、その内容を「自社POS連動型ERPシステム」を通じて、遅滞なく本部に伝達する体制を整えております。また、2021年4月より開始した「久世福商店・サンクゼール公式アプリ」では、会員であるお客様の購買データを分析することで、ニーズの変化等をスピーディーに把握することに努めております。

 さらに、2023年3月期からは、アプリ会員である一部のお客様に、当社グループが運営するコミュニティプログラム「Fan-Based Community」(以下「FBCプログラム」と言う。)にご参加いただき、定期的なアンケートやインタビュー等から、商品開発や売場改善に対するフィードバックを得る取り組みを開始しております。プログラム会員のみならず、自社店舗をご利用いただく全てのお客様に当社ブランドのファンになっていただけるよう、今後も継続して当該プログラムの活動に取り組んでまいります。

 

②独自性の高い商品開発力

 当社グループは、自社のグループ工場で製造するオリジナル製品はもとより、OEMメーカーから仕入れた商品に独自性を加える等、商品の企画・開発に注力しております。当社グループはブランドごとに組織を分けており、各ブランドの商品開発チームが、新商品の開発及び定番商品の改良を行っております。商品の開発・改良については、ご来店いただくお客様からのご要望やFBCプログラムのフィードバックにより、お客様ニーズをスピーディーに反映しております。

 また当社グループは、パッケージやラベルデザインについても専門デザイナーを自社におき、ブランドコンセプトに合致したデザインをタイムリーに仕上げることができております。

 

③日米の自社製造拠点

 当社グループは、長野県上水内郡飯綱町に有する国内工場の他、米国子会社であるSt.Cousair,Inc.が所在する米国オレゴン州の海外工場で製品を製造しております。

 

・国内工場(株式会社サンクゼール 長野県上水内郡飯綱町)

 飯綱町の製造工場では、サンクゼールブランド用のジャムやパスタソース等のほか、久世福商店ブランド用として、ごはんのお供シリーズ等の食品を製造しております。同一エリア内にある自社ワイナリーでは、国内外及び近隣農家から仕入れた果実を原料とするワインやシードルを製造しております。さらに飯綱町と協同し、町の特産品であるりんごを使用したブランデーの蒸留を行っております。飯綱町のりんごの特徴でもある豊かな風味と芳醇な甘みを感じることができるブランデーとして、2017年より「いいづなアップルブランデー」という商品名で製造を開始しております。

 

・海外工場(St.Cousair,Inc. 米国オレゴン州)

 当社グループは2017年4月に米国オレゴン州の食品加工工場を買収し、米国子会社St. Cousair Oregon Orchards, Inc.(現St.Cousair,Inc.)を設立いたしました。オレゴン州は大規模な災害が少なく、年間を通して寒暖差が大きいことから、世界有数のベリー系果実原料の産地となっております。米国オレゴン州に工場を設置することで、新鮮で高品質な果実原料を安価に調達することができ、商品の品質向上及びコストメリットに大きく寄与しております。また、2017年の同工場買収時にUSDA(United States Department of Agriculture)によるオーガニック認証を取得し、以降も毎年更新を継続しております。これにより、当該認証ロゴの使用と、USDAオーガニックの基準に則った商品の製造・販売が可能となっております。

 

④日本全国の仕入商品メーカーとのネットワーク

 当社グループは、2024年3月末時点で全国500社を超える食品メーカーとのネットワークを有しております。各食品メーカーは、それぞれの地域に根差した独自性の高い商品を展開しており、それらの商品に当社グループの各ブランドが持つオリジナリティを加えることで、より付加価値の高い商品を開発しております。地方に拠点を置く食品メーカーにとっては、当社グループの店舗を通じて、全国各地に商品を流通させることができるという利点があります。このように当社グループは、それぞれのブランドがプラットフォームとして機能し、各地域の食品メーカーとWin-Winの関係で、強固なネットワークの構築を実現しております。

 

⑤多様な販売チャネル

 当社グループは、国内外の多様な販売チャネルを通して商品を販売しております。各チャネルの特徴は以下のとおりです。

 

ア. 直営及びFC

 当社グループは、日本国内において直営及びFCでの自社小売店舗を有しております。

 

・本店(直営)

 長野県飯綱町の本社エリアには、サンクゼール及び久世福商店の本店があります。エリア内には他にも、レストランやイングリッシュガーデンがあり、長野県飯綱町を見渡せる小高い丘の頂上に位置していることから、親しみを込めて「サンクゼールの丘」と呼ばれており、毎年、多くの近隣住民や観光客が訪れる場所となっております。この本社エリアは当社グループの創業の原点であり、創業者の想いを継いでいく場所、そして当社グループの経営理念を体現し、発信していく場所として、当社グループの事業における重要な拠点となっております。

 

・直営店

 当社グループが店舗設備投資を実施し、当社グループの従業員が店舗を運営する形態であります。なお、直営店舗の中には、店舗運営業務のみを外部に委託する「OFC(オーナー・フランチャイズ・チェーン)」という形態の店舗も含まれております。

 

・FC加盟店

 FC加盟企業と締結するパートナーシップ契約に基づき、店舗設備投資及び店舗スタッフの人件費を含む店舗運営に関わる全ての費用をFC加盟企業の負担により運営する形態であります。当社グループは、当社グループのブランド使用権及び本部サービス提供に対し、各FC加盟企業からロイヤリティ収入を収受しております。

 

自社小売店舗の販売に関する特徴は以下のとおりです。

・特徴①:多品種少量生産を可能とする商品供給体制

 自社小売店舗の商品点数は、大型店舗で1,200アイテム以上にのぼります。多数の商品点数を確保するために、当社グループの自社工場及び仕入商品メーカーの各工場では、必要なときに必要な量をタイムリーに仕入れることができるよう、多品種少量生産を可能とする生産体制が構築されており、このようなこまやかな供給体制は、他社の参入を困難とする当社グループの強みとなっております。

 また、全国に171店舗(2024年3月末時点)の自社小売店舗(FCを含む)を展開することにより、全国各地500社を超える仕入先メーカーからは、大きなロットでの調達による安価な仕入価格を実現することができ、価格戦略を含む店舗運営上の競争優位性の源泉となっております。

 

・特徴②:魅力的な売り場、世界観が統一された内装什器

 当社グループは、自社小売店舗の内装・什器などの店舗設計全てを、社内の店舗設計チームが手掛けております。これにより、各ブランドの世界観を統一して表現することができ、商品の魅力を最大限に引き出せる売り場作りが可能となっております。

 

・特徴③:教育された店舗スタッフと接客力

 当社グループはお客様の信頼を第一と考えており、お客様が快適に商品を購入できるよう、日々、店舗スタッフの接客力向上に取り組んでおります。当社グループには、各店舗の店長及び店舗スタッフの教育を専門業務とする教育チームが存在しており、毎月開催している店長会では、当該チームによる社内研修を実施しております。

 また、当社グループは経営理念の中で、「オンリーワンを目指し、お客様に感動を与えるサービスを提供する」という方針を掲げ、この考えが店舗スタッフ一人ひとりに浸透するよう、経営理念の教育を徹底して行っております。お客様に喜んでいただくために必要な対応をその場で判断し実行に移すことで、お客様にとってより居心地のよい空間を作り上げることができるように、今後も店舗スタッフの教育を継続して取り組んでまいります。

 

イ. EC

 当社グループは、「サンクゼール」、「久世福商店」、「Kuze Fuku & Sons」の3ブランドの商品を自社公式ECサイト及び楽天市場サイトで販売するほか、全国各地の生産者や食品メーカーと消費者を直接結び付けるオンラインマーケットプレイス「旅する久世福e商店」の運営を行っております。

 

・自社公式ECサイト及び楽天市場サイトでの販売

 当社グループは、自社公式ECサイトに加え、楽天市場へ出店しております。ECでは売上高の50%以上がギフト商品で構成されております。ギフト商品に対するニーズにお応えするため、2022年4月からは当社公式ECサイト限定で、オリジナルメッセージカードの作成サービスを開始しております。

また、当社グループは、2021年4月から開始している「久世福商店・サンクゼール公式アプリ」の会員データと、店舗会員であるお客様データを共通で管理することで、自社小売店舗とECの連携による販売促進施策を行っております。例えば、アプリ会員のお客様向けに、自社小売店舗で実施する販促キャンペーン情報等を定期配信することで、リアル店舗への集客を促進する等の取り組みを推進しております。

 

・旅する久世福e商店

 当社グループは2020年10月より、全国各地の生産者及び食品メーカーと消費者を直接結び付けるオンラインマーケットプレイス「旅する久世福e商店」の運営を行っております。生産者及び食品メーカーは、当社グループが開発したECサイトシステム上に自社のECサイトを構築し、同じく当社グループが開発したECプラットフォーム「旅する久世福e商店」に出店するという形でオンラインマーケットに参加します。一方、消費者は「旅する久世福e商店」に出店している生産者及び食品メーカーの各サイトを訪問して好みの商品を購入し、生産者及び食品メーカーは当該商品を直接購入者に届けます。その際、当社グループは、生産者及び食品メーカーの売上金額に対して販売手数料を収受いたします。

「旅する久世福e商店」のビジネスモデルは以下のとおりです。

 

(旅する久世福e商店ビジネスモデル)


 

ウ. ホールセール

 当社グループは、自社製造商品を食品卸企業及び小売企業へ販売するほか、他社のPB商品のOEMを行っております。当社グループは、商品開発チーム、自社工場製造チーム、卸営業チームを1つの組織にまとめており、それぞれのチームが密に連携することで、開発・製造・販売のサイクルを高速回転させ、顧客ニーズを素早く商品に反映させる体制を構築しております。

 

エ. グローバル

 当社グループの子会社である米国オレゴン州のSt.Cousair,Inc.がグローバル展開のヘッドクオーターとしての機能を持ち、米国内での販売に加えて、アジアやオセアニア地域の顧客に対する営業活動を行っております。前述のとおり、St.Cousair,Inc.の工場ではUSDAによるオーガニック製品の製造認証を得ており、近年、米国で拡大が続くオーガニック食品市場を重要なターゲット市場と位置付けて事業を展開しております。また、米国西海岸エリアは世界の食トレンドの最先端エリアであり、当社グループはSt.Cousair,Inc.での米国内マーケティングを通じて、最先端の食に関する情報収集を行っており、ここで入手した情報は素早く社内で共有し、新たな商品開発につなげる体制を整えております。

 

⑥食のSPAを支える内製化システム

 商品開発から販売までを一気通貫でコントロールする食のSPAを展開するためには、それを支える高度なシステムが必要となります。当社グループで使用する「在庫管理システム」、「自社POS連動型ERPシステム」、「旅する久世福e商店及び自社公式ECサイトシステム」、「会員アプリ及び会員顧客分析データシステム」、そして「ECメッセージカードサービスシステム」等のシステムは、その大部分を社内のエンジニアチームが作り上げております。ゼロベースでシステムを開発することで、事業運営に必要な機能を柔軟に、且つ効率的に設計することができ、商品開発から販売に至るプロセスをスムーズに連携、コントロールすることが可能となっております。

 

当社グループの事業系統図は以下の通りです。

 


 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

㈱斑尾高原農場

(注)1、2、3

長野県上水内郡飯綱町

10,000

ワイン用ブドウの栽培

   49

[51]

当社製品の原材料を製造しております。

役員の兼任があります。

当社より資金援助をしております。

St.Cousair,Inc.(注)4

米国オレゴン州

463,704

食品の製造・販売

   100

当社製品を製造しております。

ロイヤリティを収受しております。

当社製品を仕入れ、米国内で販売しております。

役員の兼任があります。

当社より資金援助をしております。

 

(注) 1. 議決権の所有割合は、100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため子会社としております。

   2.議決権の所有割合の[ ]内は、緊密な者の所有割合で外数となっております。

3.1982年設立の㈱斑尾高原農場(現 当社)とは別法人であります。

4.特定子会社に該当しております。

5.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

 

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

265

546

 

(注)  臨時従業員数(契約社員及びパートタイマーを含み、人材派遣会社からの派遣社員は除いております。)は、

   年間平均人員を( )外数で記載しております。

 

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

239

(545)

38.3

8.01

4,828

 

(注)  1.臨時従業員数(契約社員及びパートタイマーを含み、人材派遣会社からの派遣社員は除いております。)は、年間平均人員を( )外数で記載しております。

   2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

  提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1、3

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

21.4

75.0

48.5

75.4

92.5

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.労働者の男女の賃金の差異について、次のとおり補足説明いたします。

      ・役職、年齢、勤続年数等の属性が同じ男女間では、賃金の差異はありません。

・「正規雇用労働者」について、管理監督者に占める男性の割合が高いこと、多様な働き方としての短時間労働を選択する女性が多いことから、賃金の差異が生じております。現在当社では、女性管理職比率の向上を図ると共に、さらなる多様な働き方が選択できるように、取り組みを進めております。

・「パート・有期労働者」について、女性が占める割合が高く、短時間労働を選択する女性が多いことから、賃金の差異が生じております。