第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「愛と喜びのある食卓をいつまでも」をコーポレート・スローガンに掲げ、当社グループの商品を通じて、全世界に愛と喜びに満ちた食卓を増やすことを目指し、事業に取り組んでおります。

 

当社グループはグローバルな視野に立ち、以下を経営理念として定めております。

・企業目的

私たちは、正しい経営活動により、顧客・株主・取引先・パートナー・及び地域社会に信頼される誠実な企業を目指します。

私たちは、互いの違いを認め合う、豊かな成熟した大人の文化を創造し、居心地のよい楽しい社会の実現に貢献します。

私たちは、世界中の人々に、おいしく健康で高品質な食をバリューを持って提案し、豊かな食卓と暮らしを楽しむ時間と、人と人が集いつながることのできる場を提供します。

 

・企業としてのあり方

私たちは、企業目的を果たすために、健全な企業活動を行い、長期に社会貢献できるGood Companyを目指します。

あらゆる人々に開かれたオープンな会社であり、経営理念を共有するパートナーたちによって運営される健全な会社を目指します。

パートナー、カスタマー、カンパニーの三方共に満足のいく関係を構築することに注力します。

私たちは、次世代に食文化を継承し、豊かな地球環境を手渡す努力を惜しみません。

 

当社グループは上記の経営理念の下、食のSPA企業(製造・小売企業)として、当社グループを取り巻くステークホルダーの皆さまのライフスタイルをより豊かなものにすることを目指して事業活動に取り組んでおり、これらの活動が居心地のよい楽しい社会の実現と、当社グループの企業価値向上につながると考えております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、当社グループの製商品及びサービスに対するお客様の支持の大きさが、将来の企業価値向上につながると考えております。お客様のご支持をいただけているかどうかについては、当社グループの製商品及びサービスの提供に必要な営業費用を上回って獲得することができる利益の額によって判断しております。そのため、当社グループでは、営業利益及び売上高営業利益率を重要指標としております。

 

(3) 経営戦略等

 当社グループは、「愛と喜びのある食卓をいつまでも」をコーポレート・スローガンに掲げております。その実現のために、当社が中長期で目指す姿は以下のとおりです。

 

① 国内事業

■お客様のロイヤルティが高まり、ロイヤル顧客の数・売上構成比が向上している。

■国内の協力工場や商品生産者とデジタルサプライチェーンシステムで連携されており、生産状況の可視化と効率的な供給体制が実現されている。

■M&Aにより、食のSPAモデルが更に強化されている。

 

 上記の中長期で目指す姿を実現するために、2026年3月期の国内事業において注力する成長戦略は以下のとおりです。

 

ア. 顧客ロイヤルティの向上

(ア)商品付加価値の向上

 当社グループは複数のブランドを有しており、お客様に多種多様な食品をお届けしております。全ての食品に共通することは、商品経営に基づいた「絶対的な美味しさ」を追求し続けることです。そのために当社グループは、社内に設置した商品開発ラボを最大限に活用しながら、お客様からのお声やご要望に沿った高付加価値商品の開発・製造に全力で取り組んでまいります。

 

(イ)お客様満足度の向上

 当社グループの商品はその一つひとつに、作り手やバイヤーの想い、こだわりが詰まっております。その想いをお客様にも体感していただき、感動体験につなげていただくために、店舗ではホスピタリティの向上や試飲試食の強化を推進してまいります。

 

(ウ)マーケティング分析の強化

 当社グループでは、約2,200名のプログラム会員からなるFan-Based Community Program(FBCプログラム)を通じて、当社グループの商品やサービスに対するご意見や潜在的ニーズを把握し、改善につなげる取組みを実施しております。この他にも、N1分析(注)1やショッパー分析(注)2、また外部の分析ツール等を活用してより多くの皆さまからご意見を収集し、商品開発や販促活動、売り場改善等につなげてまいります。

(注)1. N1分析:特定の1人(N=1)の顧客やユーザーを徹底的に深掘りして、その行動や心理から本

           質的なニーズやインサイトを導き出すマーケティング手法

   2. ショッパー分析:買い物客(ショッパー)の行動や心理を科学的に分析し、購買行動の瞬間を理

           解・活用するマーケティング手法

 

イ.生産・供給能力の拡大

 当社は現在、長野県飯綱町の自社工場と15社の協力工場で、自社製品を製造しております。今後は既存工場への設備投資による生産能力の向上に加え、新たに食品工場を買収し、グループ全体の製造能力の拡大を図ってまいります。また、15社の協力工場に関しては、当社が開発した生産管理プラットフォームシステムを通じた情報連携により、各協力工場の生産性向上に取り組んでまいります。

 

ウ.M&Aによる「食のSPA」強化

 当社は「食のSPA」を強化するため、「開発」「製造」「販売」の各領域で親和性の高い企業のM&Aを推進し、より強固な競争優位性を構築してまいります。「販売」に関しては、次の柱となり得る食品ブランドの買収を視野に、積極的な探索及び投資を検討してまいります。

 

② グローバル事業

■米国において、プレミアム日本食ブランドとして独自のポジションを確立し、十分に認知されている。

■その他地域(台湾、韓国、オーストラリア、中国、その他)において、プレミアム日本食ブランドとして独自のポジションを確立し、十分に認知されている。

■M&Aにより複数のブランドを傘下に持ち、ブランドポートフォリオが構築されている。

 

 上記の中長期で目指す姿を実現するために、2026年3月期のグローバル事業において注力する成長戦略は以下のとおりです。

 

 ア. 米国事業の成長

(ア)M&A実行によるブランドポートフォリオ強化

 当社グループは米国の加工食品ブランド企業を買収し、米国におけるブランドポートフォリオの構築を進めております。各地域で認知されているブランドを買収することにより、買収先企業の販路獲得に加えて、当社グループ販路とのクロスセリングが可能となり、販売網の拡大が加速します。さらに、製造ボリュームの拡大により製造効率が改善されることで、コストダウンが可能となります。これらのシナジーによる事業規模の拡大に向け、今後もM&Aをより強く推進してまいります。

 

(イ)ディストリビューター(問屋)・販売ブローカー(注)のネットワークを利用した販売拡大

 当社グループは、販売先に自ら足を運び、商品にかける想いや情熱を直接伝える営業スタイルを大切にしております。これに加えて、米国食品流通において重要なディストリビューターや販売ブローカーのネットワークを活用し、米国内での更なる販路開拓に取り組んでまいります。

(注)販売ブローカー:米国独自の商習慣で、サプライヤーの立場で販路(小売店やフードサービス)に営業 

   活動を行う外部セールス業者をいいます。

 

(ウ)商品開発

  米国事業では、既存ブランドの「KUZE FUKU & SONS」をはじめ、「Portlandia Foods」、「Bonnie’s Jams」の3ブランドを展開しております。販路の拡大に伴い、当該ブランドの販売店が増加する中、大手小売店独自の商品需要も増えており、新商品の開発が重要となっております。今後も各ブランドそれぞれの強みを生かしたオリジナル商品の開発に注力してまいります。

 

(エ) 業務用市場への参入

 米国のレストラン・カフェ市場は、巨大且つ継続的な成長が見込まれる市場です。当該市場において、当社グループの高品質で高付加価値な商品を業務用として展開するために、様々な商品を開発・販売しております。今後も複数ブランドの業務用商品を開発・製造し、業務用市場での販路を拡大してまいります。

 

イ. アジア、その他エリアの成長

 米国以外にも、台湾、韓国を含むアジア地域での販売が足元で大きく伸びているほか、現在はカナダやオーストラリア等へも販路が拡大しております。当社グループは、これらアジア、北米、オセアニア地域のほか、今後は欧州エリアにも販売網を拡大し、世界各地での成長を実現できるよう取り組んでまいります。また、より高い事業成長が期待できるアジア地域では、販売及び製造拠点の確立に向けて準備を進めてまいります。

 

③ ESGポリシー

■当社グループのビジョンに基づき、事業戦略の中にサステナビリティ戦略が自然に組み込まれ、「社会の持続可能性」と「企業の持続的な成長」を同じ目線で追求されている。

 

 上記の中長期で目指す姿を実現するために、当社グループは7つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、それぞれの課題に対して取組みを実施しております。2026年3月期においては、特に以下の分野に注力いたします。

 

ア. 気候変動対策

 当社グループは、事業活動に係る温暖化ガスの排出量の削減に取り組んでおります。Scope1+2に関しては、2030年までに2021年度排出量の50%削減を目標とし、さらにScope3に関しては、高い精度で測定可能な体制の構築と可視化に向けた取組みを推進し、ホットスポットの特定と排出量削減に向けたアクションプランの設定に取り組んでまいります。

 

イ. 人的資本

 人材は企業を構成する資産の中で最も重要であり、当社グループは経営戦略と連動した人的資本への投資を拡充いたします。平均年収の向上や教育研修の充実のほか、7割強を占める女性従業員が活躍できる環境の整備と、2030年までに管理職に占める女性管理職の比率を30%にする目標を掲げております。

 

ウ. 森林保護

 メインオフィスを置く信濃町センターは、約110,000㎡もの広大な森林(通称「サンクゼールの森」)に囲まれた自然豊かな場所です。毎年、信州大学教育学部森林生態学研究所の協力を得て、植生の調査及び森林の整備を実施しており、森には多様な動植物が生息していることが分かっています。森林保全に関する取組みが評価され、2024年3月には「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」として、環境省より令和5年度後期の「自然共生サイト」に認定されました。今後も「サンクゼールの森」の保全と、そこに生息する動植物を保護する活動を通じて、豊かな自然との共生を実現できるよう取り組んでまいります。

 

エ. 食品ロス対策

 当社グループは食品関連事業者として、2030年までに2021年比で食品ロス50%の削減を目標に掲げ、事業活動から発生する食料品関連の廃棄ロス削減に取り組んでおります。また、本来は廃棄されてしまうワイン用ブドウを絞った後の残渣(ざんさ)を、化粧品の原料や家畜の飼料として再利用したり、原材料が特定できる食品廃棄物を牧場用の肥料として活用する等の取組みも実施しており、今後も食品ロスに向けた様々な施策を推進してまいります。

 

オ. 格差のない平等な社会の実現

  当社グループは、格差のない平等な社会の実現に向けて、事業活動で得られた資金の一部を、NPO法人「ムワンガザ・ファンデーション」を経由して、タンザニアのNGO・SWACCO(ソンゲア女性と子どもの支援団体)へ寄付する活動を実施しております。病気で両親を失った孤児やシングルマザーの母子らが生活するSWACCOの運営施設に必要な資金を確保し、タンザニアの子どもたちが未来に向かって歩みを続けられるよう、今後も支援活動に取り組んでまいります。

  国内では、食を通じた支援活動として、子ども食堂等を運営する長野県内の団体等に当社商品を寄贈する活動を実施しており、こちらも積極的な支援を継続してまいります。

  また、創業者である久世良三氏及びまゆみ氏と当社グループが共同で設立した「一般財団法人 サンクゼール財団」では、食の担い手として歩み成長してきた企業として、コーポレート・スローガン「愛と喜びのある食卓をいつまでも」を実現するため、今後も様々な支援活動に参画してまいります。

 

(4) 経営環境

食品製造及び食品小売業界においては、資源価格や原料価格の高騰及び急激な円安等の影響により、食品メーカーである企業の費用負担が増しており、当該影響を緩和するため食料品の小売価格は値上がりを続け、その傾向は留まる気配がありません。当社グループの主力市場である日本及び米国においても食料品価格の高騰は続いており、このような状況下で、お客様はそれぞれの商品に対する価値を厳しく評価されております。当社グループは、個々のお客様が持つニーズを正確に把握し、それぞれのニーズを満たす価値のある商品を適切な価格で提供していくことが、これまで以上に重要になってくると考えております。

また、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、お客様の購買行動やニーズは大きく変化し、リアル店舗からECへの移行が急速に進みました。EC化が遅れていた食品に関しても移行が進み、食品のEC化率は今後もさらに上昇していくと考えられます。一方で、新型コロナウイルス感染症の5類移行後は経済活動の正常化に伴い、ECからリアル店舗に戻るお客様も一定数いらっしゃいます。今後は、リアル店舗とECの各チャネルが持つ強みを活かしながら、相乗効果によりお客様への価値提供をより一層高めていくことが重要になると考えております。

コロナ禍においては、親戚や友人と対面する機会が大幅に制限されたことで、ギフトを贈る習慣も広く浸透しました。加えて食に対するお客様のニーズは、よりおいしく、より高品質で、より付加価値の高いものへと深化し続けており、自分が食べて「おいしい」と感じたものを大切な人にも共有したいという潮流は、今後も継続して高まっていくと考えております。

このように食品に関するトレンドは時代の流れとともに大きく変化しておりますが、当社グループはこの変化を機会と捉え、今後も事業の特徴である食のSPAをより一層高度化し、お客様のニーズに適した商品をスピーディーに開発、提供していくことに努めてまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが優先的に対処すべき主な課題は以下のとおりです。

 

① ブランド力の向上

当社グループの更なる事業拡大と中長期的な成長を実現するためには、ブランド力を向上し続けることが必要不可欠と考えております。当社グループは商品及び店舗ブランドの「サンクゼール」、「久世福商店」、海外展開ブランドの「KUZE FUKU & SONS」や「Portlandia Foods」、また2024年10月に事業譲受した「Bonnie’s Enterprises,LLC(以下、「Bonnie’s Jams」という。) 」、そしてECプラットフォームサービスの「旅する久世福e商店」等、複数のブランドを有しており、各ブランドの強みを活かしながらお客様に最大限の価値を提供できるよう、今後もさらなるブランド力の向上に努めてまいります。

 

② 成長を支える人材の確保

当社グループは、商品開発、製造、調達、販売の全ての機能を一気通貫で手掛ける食のSPAモデルを展開しております。この食のSPAモデルを支えるためには、多様な人材が密に連携し合う組織体制を構築する必要があります。外部環境が変化するスピードが速く、将来の不確実性が高い現代において、当社グループは環境変化に適応しながら成長を支える多様な人材を確保し、それぞれの人材が働きがいを感じて能力を最大限発揮できるよう、人材採用や教育の強化、オフィス環境の整備や人事制度の改定等、健康経営の促進に積極的に取り組んでまいります。

 

③ マーケティングの強化

当社グループには多様なブランドが複数ありますが、各ブランドのお客様はそれぞれ異なる特徴を有しており、そのニーズも多岐にわたることから、ブランドごとに最適なマーケティング施策を実行していくことが必要です。そのために当社グループはブランドごとにビジネスユニットを作り、それぞれにマーケティング機能を持つ組織体制を採用しております。各ブランドのお客様に対する提供価値を最大化させるため、全てのビジネスユニットにおいて継続的なマーケティングを強化してまいります。

 

④ 商品開発力の向上

ブランドや商品価値の陳腐化を防ぎ、常にお客様にご支持いただける独自性の高い商品を開発し続けるためには、商品開発力の更なる向上が必要であると考えております。そのために当社グループは、商品開発部門の体制強化や人材育成、新商品の研究開発や改良を目的とした新たな商品開発ラボの活用を進めるとともに、引き続き地方の食品メーカーとの友好な関係を構築してまいります。

 

⑤ 新規出店のための優良物件の確保

当社グループの事業拡大のためには、毎年一定数を新規出店することが必要であると考えております。新規出店する店舗の収益性を高められるよう、競争力の高い優良物件を確保していくことに努めてまいります。

 

⑥ 新規事業開発やM&Aに関わる人材やノウハウの充実化

継続的な成長を実現させていくためには、既存事業の成長に加えて新規事業開発やM&Aが重要な戦略であると考えております。新規事業及びM&A案件の探索と、その後の各フェーズの実行を支える人材やノウハウの充実化に取り組んでまいります。

 

⑦ 生産性の向上とDX(注)

お客様に提供する価値を最大化しながら、従業員一人ひとりの事務処理負担を軽減するためには、グループ全体で継続的に生産性を向上させていく必要があります。また、DXを推進するためのテクノロジーは日々進化しており、とりわけ食のSPAに関するテクノロジーについては、適時適切に取り入れていくことが重要です。当社グループは、食のSPAを支えるITインフラを整備してきた知見を活かし、DXを含む業務の見直しと生産性の向上に継続して取り組んでまいります。

 

(注) DXはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称であり、企業がビジネス環境の激しい変化に対応して、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することであります。

 

⑧ グローバルサプライチェーンの進展

昨今の資源価格の上昇や物流コストの上昇は、当社グループの成長を阻害する要因であり、対処すべき課題であると考えております。当社グループは日米に有する各工場の生産力を最大限活用すると同時に、原料の国際調達等による製造コストの低減に努めております。また、米国を始めグローバルに商品を流通させていくために、調達と販売の両面において、グローバルサプライチェーンの更なる進展を図ってまいります。

 

⑨ 気候変動対策を含むサステナビリティに関する取り組みの推進

当社グループがコーポレート・スローガンに掲げている「愛と喜びのある食卓」を多くの家庭で長期持続的に実現するためには、当社グループの事業戦略の中にサステナビリティ戦略がしっかりと組み込まれ、「社会の持続可能性」と「企業の持続的な成長」が同じ目線で追求されている状態をつくり、強力に推進していくことが必要となります。中でも食品業界における気候変動の影響は、主に原材料の調達等に深刻な影響を及ぼす可能性があることから、当社グループは気候変動の原因となる温室効果ガス(GHG)の排出量を抑制するために、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルの実現に取り組んでまいります。また、食品ロスやプラスチックごみ等の環境問題にも適切に対処していくことが必要不可欠であると考えており、当社グループにおきましても、これらの環境問題の解決に向けた具体的な取り組みを計画し、実行してまいります。

 

⑩ 内部管理体制の強化

当社グループの成長のためには、それを阻害するリスク要因を漏れなく把握し、各リスクへ適切に対処することが必要不可欠となります。当社グループは、個人情報管理や法規制への対応等のコンプライアンス体制の強化を含め、内部管理体制の強化に継続的に取り組んでまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ

当社グループは「愛と喜びのある食卓をいつまでも」というコーポレート・スローガンを掲げ、当社グループの事業活動により、より多くの方が「愛と喜びのある食卓」を実現できることを目指しております。当社グループは、この「愛と喜びのある食卓」を長期持続的に実現していくために、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置づけ、事業戦略の中に組み込むことで、「社会の持続可能性」と「企業の持続的な成長」が同じ目線で追求される状態をつくり、中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。

 

① ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関する取り組みを通して、「事業機会の創出」と「社会課題の解決」を推進するため、グループ全体のガバナンス体制を構築しております。具体的には、中期経営計画の中にサステナビリティに関する重要課題の解決に向けた施策を盛り込み、取締役会での承認後、代表取締役社長が中心となってグループ全体で課題解決に向けた取り組みを推進しております。

また当社はサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長が委員長を務め、取締役、各部長及び重要な業務の責任者を中心に構成されております。原則として月1回開催されており、サステナビリティに関する基本方針の策定、重要課題の特定、目標設定と進捗管理、推進体制及び情報開示に関する事項等の審議を行い、定期的に取締役会に対して報告及び提案を行っております。

 


② 戦略

当社グループは7つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、それぞれの課題に対して以下の取り組みを推進しております。

 

ア.容器リサイクル、サーキュラーエコノミー、脱プラスチック

当社グループは食品製造企業として、長野県上水内郡飯綱町にある食品工場で製造する商品において、リサイクル可能なガラス瓶の活用を推進し、紙資源及びプラスチック資源の削減に取り組んでおります。当社グループで使用しているガラス瓶は地球の砂から作られ、食品の保存性や安全性に優れているという特長があり、容器リサイクル法に準拠してガラス瓶のリサイクルにも積極的に取り組んでおります。また、紙製封印シールやプラスチック製シュリンクキャップに代わるセーフティボタン付きツイストキャップの導入や、ポリ手提げ袋をバイオマス混合素材へ変更すること等により、ポリエチレンの削減にも貢献しております。

 

イ.気候変動対策、サプライチェーン全体のカーボンニュートラル

当社グループは日本政府の地球温暖化対策計画を踏まえ、サプライチェーン全体の省エネルギー対策とCO2排出量の削減に取り組んでおります。例えば、工場での使用電力を中部電力ミライズのCO2フリー電気「Greenでんき」に変更し、実質的なCO2排出量ゼロの状態を目指しております。また、「Greenでんき」の料金の一部は再生可能エネルギーの開発や維持メンテナンスに活用され、再生可能エネルギーの普及拡大にも貢献しております。

 

ウ.DE&I、サプライチェーン全体のWell-being

当社グループでは、様々な背景を持つ全従業員(パートナー)が安心して働ける環境の整備に努めております。その一環として、「職場いきいきアドバンスカンパニー」認証を取得し、仕事と家庭の両立に向けた働き方改革や、雇用の安定に向けた制度の導入を推進しております。また、女性活躍推進にも注力しており、全社的な研修会やヒアリングを通じて、女性従業員が働きやすい環境づくりに取り組んでおります。

 

エ.地域経済の発展

当社グループは、事業活動を通じた地域経済の活性化に取り組んでおり、地域資源を活用した食品産業の振興や、地域連携協定による地方創生と社会貢献に取り組んでおります。

 

(ア)飯綱町産りんごのシードル・蒸留酒づくり

当社の本社がある長野県上水内郡飯綱町のりんごを活用し、地元の生産者とともに品種や製造方法にこだわりながら、世界に誇れるシードルや蒸留酒(ブランデー)の製造に取り組んでおります。

 

(イ)当社ブランドを通じた全国各地の生産者との取り組み

全国各地の生産者と共同開発して、各地域のこだわりを活かした商品を製造・販売しております。地方の繁栄を創出し、地域活性化に貢献することを目指しております。

 

(ウ)地域とのパートナーシップ協定

島根県及び奈良県とのパートナーシップ協定を締結し、地域の産業振興や地域連携を推進しております。島根県では食品製造事業者の支援や販路拡大、奈良県では県産商品の販売や県産食材の活用を通じて、地域の魅力を広く紹介しております。

 

オ. フードロス低減

当社グループは、世界中で食べられずに廃棄される食料品の問題を重視し、廃棄食品の削減に取り組んでおります。

 

(ア)事業活動で発生する食品ロス削減への取組み

当社グループは、自社工場の事業活動で発生する食品廃棄物について、改善活動(PDCA)を実行しながら、食品ロス削減に向けた取組みを継続しております。また、自社工場で発生した食品廃棄物を家畜の飼料や畑の肥料として他社に提供する等、事業活動の結果やむを得ず排出されてしまう食品廃棄物についても、可能な限り再利用できるような仕組み作りを推進しております。

 

(イ)アウトレット店舗の取組み

当社グループは、アウトレット店舗において「売りきる」取り組みを推進しており、「訳あり商品」と明示して値引き販売することで、お客様にフードロス低減の重要性を伝えることを目指しております。今後は、店舗での賞味期限切れによる廃棄金額をゼロにすることを目標として、フードロス低減をより一層推進してまいります。

 

カ.森林保全と生物多様性

当社グループは「サンクゼールの森」の森林保全活動や、一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団の支援を通じて、地域の自然共生型社会づくりを推進しております。

 

(ア)「サンクゼールの森」における森林保全活動

当社がオフィスを構える信濃町センター周辺に広がる「サンクゼールの森」では、毎年信州大学教育学部森林生態学研究所の協力を得て、植生の調査及び森林の整備を実施しております。その取り組みが評価され、2024年3月に「民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域」として、環境省より令和5年度後期の「自然共生サイト」に認定されました。今後も「サンクゼールの森」を保護し、活用するためのプロジェクトを通じて、豊かな自然との共生を実現できるよう取り組んでまいります。

 

(イ)「アファンの森財団」支援活動

一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団は、長野県上水内郡にある黒姫高原の荒廃した森を再生する活動を行っており、当社はその活動を支援しております。当社は2019年に同財団とのオフィシャルスポンサー契約を結び、森林保全活動を通じて地域の自然共生型社会づくりに貢献しております。

 

キ.不平等のない社会の実現(経済、教育格差)

当社グループは、格差や不平等のない社会の実現に向けて、タンザニア支援、母子家庭支援、ホームレス支援、社会復帰の支援など幅広い取り組みを行っています。今後もさらなる地域や社会への貢献を目指し、幅広い支援活動を展開してまいります。

 

(ア)タンザニア支援

当社グループは、格差のない平等な社会の実現に向けた活動として、当社グループの事業活動で得られた資金の一部を、NPO法人「ムワンガザ・ファンデーション」を通じてタンザニアのNGO・SWACCO(ソンゲア女性と子どもの支援団体)へ寄付する活動を継続しております。病気で両親を失った孤児、シングルマザーの母子らが生活するSWACCOの運営施設に必要な資金を確保し、タンザニアの子どもたちが未来に向かって歩みを続けられるよう、今後も支援活動に取り組んでまいります。

 

(イ)母子家庭支援、ホームレス支援、社会復帰の支援

 国内では、食を通じた支援活動として、子ども食堂等を運営する長野県内の団体やホームレスの支援団体、難民支援団体等に当社商品を寄贈しております。当該活動を通じて、母子家庭の経済支援や食糧の安全確保、社会復帰支援等に取り組んでおります。

 

(ウ)一般財団法人「サンクゼール財団」との協働

 創業者である久世良三氏及びまゆみ氏と当社グループは、コーポレート・スローガン「愛と喜びのある食卓をいつまでも」の実現に向けて、2023年12月に「一般財団法人 サンクゼール財団」を設立し、災害支援や地域社会への貢献活動等を行っております。今後も様々な支援活動に共同で参画してまいります。

 

③ リスク管理

当社グループでは、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の特定を行うとともに、サステナビリティに関するリスクと機会の特定、並びにその管理に取り組んでおります。当該リスクと機会の特定に関しては、原則として月1回開催するリスク&コンプライアンスマネジメント委員会において、エンタープライズリスク管理(ERM)の視点から、当社グループ全体に関わるリスクの識別と評価、及びリスク低減とコンプライアンス遵守に関する議論を行っております。リスク&コンプライアンスマネジメント委員会には、定期的に社外監査等委員が参加しており、外部の目線も踏まえたリスク識別及び評価等を行っております。

 

④ 指標と目標

当社グループは、サステナビリティのリスクと機会に関する実績を長期的に評価、管理、監視するために、以下の指標を設定し、目標達成に向けて積極的に取り組んでおります。当社グループにおいては、関連する指標に対する具体的な取り組みが行われているものの、現時点では、連結グループに属する全ての会社で実施されていないため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を含む提出会社のものを記載しております。

 

 

項目

指標

目標

実績(当事業年度)

気候変動対策

Scope1+2によるGHG排出量

2030年度までに2021年度比50%削減

(2021年度実績1,781tCO2)

1,153tCO2

(2021年度比35%減少)

フードロス低減

食品ロス

2030年度までに2021年度比50%削減

(2021年度実績116t)

  51t

(2021年度比56%削減)

 

 

(2) 人的資本

当社グループは、人材を極めて重要な資産と捉え、人的資本経営に取り組んでおります。経営戦略と連動した人材戦略を立案・実行し、持続的な企業価値向上の実現を図っております。

 

① 戦略

当社グループは、従業員それぞれのライフスタイルに応じた働き方が尊重されております。当社グループは年齢や性別、国籍を問わず多様な人材が互いに感謝し称え合い、人として尊敬できる関係を築きながら、生き生きと働きやすい環境のなかで自己実現や成長を図ることにより、企業価値向上を実現していくことを目指しております。その実現のために、採用・キャリア形成、教育研修、働き方改革等の多面的な施策に取り組んでおります。

 

ア.採用・キャリア形成

    当社グループは、新卒採用とキャリア採用を複合的に実施し、経営戦略実現に必要となる人材の獲得を行っております。求める人材像は、当社グループの経営理念や大切にする価値観を十分に理解し、自分自身に落とし込み実践していく強い決意を持った人材、豊かな人間性を持ったコミュニケーション能力の高い人材です。様々な事業展開に係る多様な職種が存在していることは、当社グループへの入社・転職動機を高め、従業員のキャリア形成においても魅力的な環境となっており、今後も多様性のある有為な人材を採用・育成することにより、会社の持続的な成長を図ってまいります。

 

イ.教育研修

当社グループは、教育研修の機会拡充を図るとともに、従業員が自発的に高い学びの意識を持てるような環境づくりに注力しております。コンプライアンスを含む共通スキルをはじめ、職種や階層別の学び、専門スキルの習熟等の様々な教育コンテンツを企画・展開し、多種多様な学びの機会を提供しております。

 

ウ.働き方改革

当社グループは、短時間勤務制度、地域限定勤務制度、職種転換制度、リモートワーク推進等により、多様な働き方が実現可能な環境を整えております。また、全社DX推進の取り組みにより、各現場の業務負荷軽減や従業員の労働時間削減を推進しております。

女性活躍推進では、多様な働き方や各種休暇制度の利活用、研修や個別ヒアリング等のフォローアップ体制の整備等により、女性従業員の持続的なキャリアアップを支援するとともに、役職への登用を積極的に行っており、今後も女性管理職比率の向上を図ってまいります。

 

② 指標と目標

当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、関連する指標をもとに具体的な取り組みが行われているものの、現時点では連結グループに属する全ての会社で実施されているものではないため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を含む提出会社のものを記載しております。

 

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2030年まで30

23.3

 

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) サステナビリティに関するリスク

 (顕在化可能性:中 / 顕在化する時期:中長期 / 影響度:中)

当社グループが営む食のSPAは、商品開発、調達、製造及び販売に至るまで、サプライチェーンが多岐に及んでおります。当該サプライチェーンは、気候変動の進行により、従来の方法では原材料や商品の調達が困難になる可能性や、環境負荷の小さい商品を好むようになる等のお客様趣向の変化といったような、事業を取り巻く環境変化により、様々な影響を受ける可能性があります。さらに、事業の拡大とともに食品ロスの発生が増加した場合、環境負荷の増加やお客様の当社ブランドに対するイメージ悪化の可能性があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループはサステナビリティに関する重要課題を設定し、当該重要課題に対する取り組みを行っております。

当該取り組みの内容は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

 

(2) 経済状況の変化に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループは、国内における食品製造販売を主たる事業としておりますが、日本の景気変動や政治情勢の変化により、当社グループの営む事業に影響を与える事象が発生した場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは国内において複数のブランドと複数の販売チャネルで事業を展開していくとともに、海外を成長領域の一つと位置づけ、グローバルの売上を伸長するために必要な投資を継続的に実施してまいります。

 

(3) 業界環境、市場規模について

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

食品は人間にとって必須のものであり、決してなくなることはないものの、消費者のニーズや生活スタイルの変化により、好まれる食品のタイプが変わるリスクが存在します。当社グループが環境の変化に機敏に対応できず、消費者のニーズを取り込むことができない場合は、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは、店舗やECでの販売動向や会員アプリによる顧客データの分析、その他マーケティングに必要な投資を継続的に実施し、消費者のニーズを適確に把握できる体制の強化に努めてまいります。

 

(4) 食の安全性に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)

食品の品質に対する消費者の要求は一段と高まっております。当社グループにおきましても「食の安全性」の確保を経営の最重要課題の一つと位置づけ、品質方針及び品質目標を掲げるとともに、品質保証部門を中心とした品質マネジメントシステムを通じて、製品の安全性と品質の確保に万全を期しております。しかしながら、当社グループのみならず、製品の仕入先や当社ブランドの製造委託先においても、偶発的な場合を含め商品の品質を低下させる事象が発生する可能性があります。これにより、多額の損害賠償金の負担やブランドイメージ低下による売上の減少等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループは、外注先工場を定期的に訪問し、品質管理体制の確認や研修会を実施するとともに、品質に関する重要な問題が発生した場合には、案件の規模に応じて、取締役会、経営会議及びリスク&コンプライアンスマネジメント委員会にて協議する等、リスクマネジメントの強化に努めております。

 

(5) 天候不順等のリスク

 (顕在化可能性:中 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループは、食品製造販売事業を主たる事業としております。天候不順等により当社グループが取り扱う製商品の原材料である食材が不作となり、原材料の調達が困難となった場合、当社グループにおける商品の仕入量や製品の生産量が減少し、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは主力製商品の一部を当社グループの日本と米国の双方で製造できる体制を整えてまいります。また万が一、特定の製商品の原材料調達が困難となった場合に備えて、当該製商品の代替商品を同一製商品カテゴリーに加える等、製商品カテゴリーごとの商品点数を拡充することにより、リスク分散を図っております。

 

(6) 自然災害等のリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)

当社は長野県上水内郡飯綱町及び同信濃町に本社機能を有するとともに、全国各地に「サンクゼール」及び「久世福商店」の2つのブランドを展開しており、2025年3月末時点で合計175店舗が存在しております。自然災害や新型インフルエンザ等の感染拡大等、当社グループの予測できない事象が起こった場合は、本社機能の停止、店舗の損壊及び原材料調達の阻害等の影響が発生する可能性があります。

また、自社製造工場がある長野県上水内郡飯綱町及び同信濃町は冬場の積雪量が多い地域であり、予想の範囲を超えた積雪によってやむをえず工場の稼働停止が生じた場合には、製品の生産量の減少を招く可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症のような感染症が拡大した場合、食品製造販売事業を営む当社グループにとっては、原材料調達の遅延や生産活動の停滞等のリスク、さらに感染拡大防止のための店舗休業等を含めた営業制限リスク等が懸念されます。

これらのリスクに対応するため、当社グループは多くの製商品を米国子会社や全国500社を超えるサプライヤーネットワークから調達し、それを全国各地の店舗、EC、ホールセール及びグローバルの複数のチャネルで販売しており、特定の地域に過度に依存することのないサプライチェーンを構築しております。

 

(7) 情報システムに関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)

当社グループでは、店舗運営を含む事業運営全般を当社グループ独自の基幹システムで運用・管理しており、データ消失等のリスクに対しては適切なバックアップ体制を構築し、不正アクセス等の外部からの攻撃に対しても適切な対抗策を講じております。しかしながら万が一、システムダウンや不正アクセスによるデータの改ざん等が発生した場合には、事業運営の阻害や社会的信用の失墜を招くことになり、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは以下の3点に取り組んでおります。

①稼働しているシステムのセキュリティ強化

全てのシステムでユーザー認証を求めることを基本とし、攻撃を受けやすいECサイト等は、外部専門機関による脆弱性診断を受け、サイバー攻撃に対する耐性強化を推進しております。

②全従業員を対象としたセキュリティ教育の強化

セキュリティポリシー及び個人情報の管理規程を整備し、それをもとにセキュリティ教育研修を実施しております。他社で発生した事例等を盛り込み、常に危機意識を持って行動できるよう指導を徹底しております。

③セキュリティ強化への投資

UTM(統合脅威管理)装置を導入する等、セキュリティ対策及び強化に必要な投資を行っております。

 

(8) 個人情報の漏洩等のリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)

当社グループでは、お客様、及び従業員の個人情報を収集・保管しており、個人情報漏洩のリスクに関しては個人情報保護方針に従い適切に管理しております。しかしながら万が一、これらの個人情報が社外に流出した場合には、多額の損害賠償金や当社グループの社会的信用の失墜により、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社は2023年6月にプライバシーマークを取得し、個人情報保護に関する社内体制の継続的な強化を図っております。

 

(9) 法的規制等に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)

当社グループは事業遂行にあたり、食品衛生法、景品表示法、食品表示法、消費者安全法、労働基準法等の法的規制の適用を受けております。これら法的規制の適用に当たり、当社グループは法務主管部門である総務法務労務課が関連部門と連携して法令改正に適宜対応し、関連法規の遵守を徹底しております。しかしながら万が一、これら法的規制に違反する事象が発生した場合には、多額の損害賠償、行政処分並びに社会的信用の失墜を招き、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、原材料のアレルゲン表示については細心の注意を払っておりますが、記載漏れ等が発生した場合には人的被害が生じる可能性があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループは法務主管部門やその他の関連部門が、顧問弁護士及び顧問弁理士と適時コミュニケーションを図るとともに、必要に応じて社内勉強会を開催する等、法的規制等の遵守に努めてまいります。

 

(10) 原料、製商品の仕入先、卸販売先との関係悪化や依存リスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)

当社グループは、原料及び製商品の仕入先、並びに卸販売先の各企業と良好な関係を構築しており、それら取引先数も着実に増加しております。しかし、今後も良好な取引を継続できる保証はなく、当初の計画通りに原料や製商品が調達できない場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、原料メーカー、製商品の仕入先、及び卸販売先との間にトラブル等が発生した場合には、訴訟の提起等により、同じく業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは今後も、取引先各社と良好な関係を維持できるよう十分なコミュニケーションを図り、Win-Winの関係を継続できるように努めてまいります。

 

(11) 競合リスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)

当社グループが属する食品流通業界には多くの競合企業が存在しており、競争関係はますます熾烈化しております。他社が当社グループと差別化した商品や出店戦略を展開し、当社グループの競争優位性が低下した場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは、店舗やECでの販売動向や会員アプリを通じた顧客データの分析、その他マーケティングに必要な投資を継続して実施し、常に最新の消費者ニーズを把握できる体制を強化することで、同業他社と差別化した商品やサービスの提供に努めてまいります。

 

(12) 商品及び原材料の調達並びに価格変動に関するリスク

 (顕在化可能性:中 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループでは、日本及び米国子会社の自社工場において製品の原材料を調達するほか、当社ブランドの製造委託先や商品の仕入先から製商品の仕入を行っておりますが、天候不順や自然災害、また仕入先の諸事情により、これら原材料や製商品の調達が困難となり、市場価格が高騰する等の状況が生じた場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループは多くの製商品を米国子会社及び全国500社を超えるサプライヤーネットワークから調達しており、特定の地域や特定の商品に過度に依存することのないサプライチェーンを構築しております。

 

(13) 物流網及び物流費用に関するリスク

 (顕在化可能性:中 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループは、国内物流業者の協力のもと、全国各地の店舗へ製商品を効率的に配送するための物流体制を構築しております。しかし、大規模災害等により物流配送網に支障が生じる場合には、店舗への製商品供給不足により、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、いわゆる2024年問題に関連する配送ドライバーの労働時間短縮施策等により物流費用は上昇傾向にあり、今後も当社グループの予想を超えて物流費用が上昇する場合には、同じく業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループは常に効率的な物流網を比較検討するとともに、複数の外部倉庫や運送会社と契約することで、物流網及び物流費用に関するリスクの分散化を図っております。

 

(14) 商品企画及び商品開発に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループが属する食品流通業界は、常に消費者の嗜好変化や流行の影響を受けます。当社グループは6つのブランド、計1,500品目を超える製商品を販売しており、各ブランドにおいてお客様のニーズや時代変化に対応した製商品の企画及び開発に注力しております。しかしながら、お客様の嗜好や食品マーケットトレンドは短期的かつ急激に変化する傾向にあり、当社グループの製商品とお客様のニーズとの間で乖離が大きくなった場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは店舗やECでの販売動向や会員アプリを通じた顧客データの分析、その他マーケティングに必要な投資を継続して実施し、常に最新の消費者ニーズを把握できる体制を強化することで、お客様が求める製商品やサービスの提供に努めてまいります。

 

(15) 知的財産権に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループは、所有する6つのブランドについて商標登録を行っており、各ブランドの製商品開発において、商標登録したロゴ等をラベルやパッケージデザインに使用しております。当社グループが保有する商標について、第三者の商標権等を侵害している事実はありませんが、商品のデザインを含め第三者の商標権等を侵害していると認定された場合には、損害賠償やブランドイメージの低下等により業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

また当社グループは、第三者によって当社グループのブランドロゴやデザインを模した商品が販売されている事例等がないかどうか、日常的に情報収集を行っておりますが、万が一当該商品等が市場に出回り、当社グループの知的財産権管理が十分に機能しない場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループは、法務主管部門やその他の関連部門が顧問弁理士と適時コミュニケーションを図り、知的財産権の侵害防止に努めております。また、当社グループのブランドロゴやデザインを模した商品等が発見された場合には、法務主管部門やその他の関連部門が当社の顧問弁理士とともに当該第三者と協議を行い、適切な措置を講じてまいります。

 

(16) 訴訟に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)

当社グループは事業を遂行するにあたり、各種法令、諸規則を遵守しております。また、第三者の知的財産権を侵害することのないよう細心の注意を払っており、現時点で当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす係争中の案件はありません。しかしながら万が一、商標権の侵害等の訴訟が提起された場合には、その結果により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは法務主管部門やその他の関連部門が顧問弁護士及び顧問弁理士と適時コミュニケーションを図るとともに、適宜社内勉強会を開催して法的規制等の遵守に努めてまいります。

 

(17) 海外展開に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

米国子会社であるSt.Cousair,Inc.は、主に米国向け製品の製造・販売を行っておりますが、米国の政治・経済・社会・法規制等のカントリーリスクによって米国向けの販売が困難となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

また、米国子会社との取引は米ドル建てで行っており、連結決算上は米国子会社の決算数値を期中平均相場等の為替相場で換算しておりますが、米ドル相場の急激な変動が業績及び財政状態へ悪影響を与える場合があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループは日々、米国を始めとする進出先国の政治・経済・社会・法規制等の情報収集を行い、事業に影響する事象の把握に努めております。また、一部の外貨建取引にかかる為替相場変動リスクに対しては必要に応じて為替予約を行う等、為替相場変動リスクの低減に努めております。

 

(18) 固定資産の減損に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:低)

当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。当社グループは直営店舗設備や本社設備などの様々な固定資産を保有しており、これらの固定資産に関して減損損失を認識する必要があると判断した場合には、多額の減損損失の計上により、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは、ビジネスユニットごとに店舗別業績の動向を常に把握し、業績が悪化している店舗に関する原因分析と対策の早期立案・実行に努めております。

 

(19) M&A等に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループは、M&A等による成長可能性を積極的に検討しており、株式買収、事業買収、マイノリティ出資及び業務提携など様々な手法で企業価値の向上を図っております。2025年3月末時点において、投資有価証券を55,394千円、過去に実施した買収に伴うのれんを167,996千円計上しておりますが、M&A等により取得した資産が当初想定していた効果を下回った場合には、投資有価証券評価損やのれんの減損の計上により、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは、投資先に対する助言や当社グループの経営資源の提供を通して、投資先の超過収益力の維持又は向上に努めてまいります。

 

(20) 新規事業について

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループは中長期的な企業価値向上を目的として、新規事業の可能性を継続して検討しており、企業価値向上に資すると判断した場合には積極的に実行に移しております。これらの新規事業は、設備投資や人的資本投資など、多額の先行投資が必要になるため、実行に際しては事前に十分な検討を行った上で事業計画を策定し、経営会議や取締役会等での承認を経ておりますが、実際の業績が想定を下回った場合には、一時的に当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは事前段階において十分な情報収集を行った上で事業計画を策定するとともに、事後段階においては新規事業に係る業績動向の分析を慎重に実施してまいります。

 

(21) 繰延税金資産に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:低)

当社グループは、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討して計上しておりますが、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは事業全体を通して収益性の向上を図り、将来の課税所得の蓋然性を高めてまいります。

 

(22) 棚卸資産の評価に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループの扱う製商品は加工食品が中心であり、多くの商品に賞味期限が設定されておりますが、賞味期限まで十分な期間を残して販売できるように予測し、商品の在庫管理を適宜行っております。また、賞味期限が近い製商品は店頭での値引き販売等により、食品ロスを最大限抑制できるように努めております。しかしながら、感染症の感染拡大等により店舗の休業が余儀なくされる場合や需要予測を見誤った場合には、賞味期限内の販売が困難な製商品が発生し、当該製商品に対して棚卸資産評価損を計上することにより、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループはIT化による需要予測及び受発注プロセスの高度化を実現し、在庫管理の精度向上に努めてまいります。

 

(23) 店舗の敷金及び差入保証金の回収不能リスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:低)

当社グループの直営店舗は、その多くが建物を賃借して出店しており、賃借に際して差し入れる敷金及び差入保証金は、2025年3月末時点で301,024千円であります。賃借先は国内の大手不動産事業会社が中心であり、これらの賃借先に対しては当社グループが定めた与信管理規程に基づいて与信判断を行っておりますが、万が一、賃借先の財政状態の悪化等により敷金及び差入保証金の回収が困難となった場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは与信管理規程に基づく与信判断の精度を向上し、リスクの低減に努めてまいります。

 

(24) 人材の確保及び育成に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

直営店舗による店舗展開を行う上では、優秀な店長人材の確保・育成が不可欠となりますが、適切な人材の確保・育成ができない場合又は優秀な店長人材が社外に流出した場合には、当社グループの業務運営や経営成績等に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは、経営理念や経営方針の伝達を通して、従業員一人ひとりが当社グループの目指す方向性を十分に理解できるように取り組むほか、待遇面や福利厚生の充実等、従業員が働きやすい環境の構築を進めております。これらの施策を通して、当社グループに対する従業員のエンゲージメントを高め、働きがいを感じながら従業員一人ひとりが成長を実感できるような組織を構築し、当該リスクの低減につなげてまいります。

 

(25) パートタイマー及びアルバイトの確保に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループは、多店舗展開を行う上で多くのパートタイマーやアルバイト従業員を雇用しておりますが、当該人材が計画どおりに雇用できない場合や、人口動態の変化により適正な労働力の確保が困難となった場合には、事業遂行を阻害する要因となり、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、社会保険の加入要件を満たす全ての有期契約従業員に社会保険の加入を義務付けておりますが、社会保険制度の変更等により社会保険制度の適用対象の拡大や社会保険料の増額が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループは直営だけでなく、FC、EC、ホールセール及びグローバルの複数の販売チャネルで事業を展開することで、直営店の運営に過度に依存することのない体制の構築に努めております。

 

(26) 出店政策に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループは、高い集客力が見込める郊外の大規模ショッピングモールや都市部の主要駅周辺に出店しております。新規出店にあたっては、商圏人口、賃貸条件、収益性及び投資回収期間等を総合的に勘案して決定しているため、これらの条件に合致する物件が見つからない場合には、計画どおりの出店が困難となり、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、出店後に環境が変化した場合や、同業他社等から新規参入があった場合には、当初の計画どおりに店舗収益が確保できず、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

さらに、当社グループの出店先商業施設は特定の商業施設管理会社への依存度が高いため、これらの商業施設管理会社との間でトラブル等が発生した場合は、新規出店数の減少や既存店舗の契約解除等につながる可能性があり、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループは店舗の魅力を継続的に高めて既存店の収益性を向上することで、出店先商業施設が当社グループのブランド店舗に対して高い出店意欲を維持できるように努めてまいります。

 

(27) フランチャイズ・チェーン(FC)展開に関するリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループでは直営店のほか、FC展開の拡大を推進しております。当社グループはFC加盟店企業各社とパートナーシップ契約を締結しており、各FC店舗に対してサービスや衛生管理等の指導を行い、その対価としてロイヤリティ収入等を収受しております。

FC加盟企業とは良好な関係を構築しており、FC店舗数は着実に増加しております。しかし、今後も継続的にFC店舗を獲得できる保証はなく、計画どおりに獲得できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、FC加盟企業との間にトラブル等が発生した場合には、パートナーシップ契約の解除や訴訟が発生する可能性があるほか、加盟店の法令違反や不祥事等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループは新たにFC加盟企業となる企業に対して、運営能力や財務基盤等を慎重に判断しております。また、既存のFC加盟企業とは良好な関係を維持できるよう十分なコミュニケーションを図ることで、双方Win-Winの関係を継続することに努めてまいります。

 

(28) インターネット等による風評被害のリスク

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社グループが保有する商標等の不正利用や、ソーシャルメディアへの書き込み等による風評被害が発生・拡散した場合は、その内容の正確性にかかわらず、当社グループの事業、経営成績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの競合他社等に対する風評被害であっても、食品小売業界全体の社会的評価や評判が下落することにより、当社グループの事業、経営成績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用にも影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対応するため、当社グループは、ソーシャルメディアへの書き込みを定期的に分析し、風評被害等に発展するような内容の有無を検証しております。また、問題のある書き込み等がある場合は、必要に応じて経営会議やリスク&コンプライアンスマネジメント委員会において協議し、適切な対策を講じるよう努めてまいります。

 

(29) 特定人物への依存(会長、社長及び副社長の関係性等)について

 (顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社の取締役会長である久世良三は当社の創業者であり、設立以来事業を牽引し成長させてまいりました。また、代表取締役社長である久世良太は、当社グループ全体の経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。加えて、代表取締役副社長である久世直樹は、当社グローバル事業全般の事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。そのため、3名のうちいずれかが当社の業務を継続することが困難となった場合、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社は、取締役会、監査等委員会及び指名・報酬委員会等を通じて取締役間の相互の情報共有や経営体制の強化を図るとともに、ビジネスユニット組織を採用し、ビジネスユニット長への権限委譲を行う等、取締役と経営幹部が一丸となって、特定の取締役に過度に依存しない経営管理体制の強化に努めております。

 

(30) 配当政策について

 (顕在化可能性:中 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)

当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、今後は経営成績及び財政状態等を総合的に勘案しながら、単体決算上の当期純利益の30%を目安に、安定的かつ継続的な配当の実施を検討してまいります。しかしながら、重要な事業投資を行う場合やキャッシュ・フローが著しく悪化した場合においては、配当を行わない、又は配当を減額するといった判断を行う可能性があります。

 

(31) ストック・オプションの行使に伴う既存株式の希薄化リスク

 (顕在化可能性:高 / 顕在化する時期:1~3年以内 / 影響度:中)

当社は、役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、ストック・オプションを付与しております。これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権所有割合が希薄化する可能性があります。2025年3月31日時点でこれらのストック・オプションによる潜在株式数は116,800株であり、発行済株式総数9,264,200株の1.3%に相当しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

 (資産)

当連結会計年度の総資産は9,245,329千円となり、前連結会計年度末に比べ177,205千円減少いたしました。これは、売掛金が210,712千円減少したこと等によるものであります。

 (負債)

当連結会計年度末の負債合計は4,284,156千円となり、前連結会計年度末に比べ396,301千円減少いたしました。これは、未払法人税等が267,211千円減少したこと等によるものであります。

 (純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益350,434千円や剰余金の配当323,057千円の計上により、利益剰余金が前連結会計年度末に比べ27,377千円増加いたしました。その結果、株主資本は前連結会計年度末に比べ29,620千円増加し、4,658,074千円となり、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ219,095千円増加し4,961,173千円となりました。なお、この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は53.6%となりました。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)は、世界的な政情不安や中国経済の成長鈍化等、先行きへの不透明感が継続しました。国内では、雇用や所得環境の改善が見られる一方で、円安の進行や原材料価格の上昇等に起因する物価の上昇に実質賃金の上昇が追い付かず、日常生活における節約志向は一層強まっております。
 食品製造及び食品小売業界におきましても、円安や原材料価格の高騰を背景に食品価格の値上げが継続的に実施されており、消費者の経済的負担の高まりによる消費低迷が懸念される等、依然として先行きが非常に不透明な状況が続いております。
   そのような状況の中、当社グループは「愛と喜びのある食卓をいつまでも」というコーポレート・スローガンのもと、お客様の食卓に彩りを与え、ご満足いただける商品やサービスの提供に注力しております。今後もお客様の声に真摯に耳を傾け、お客様ニーズを起点とした商品やサービスを提供することで、より多くの皆様に当社グループのファンになっていただけるように取り組んでまいります。

 

当連結会計年度のB to C販売チャネルである店舗(直営・FC)に関しましては、売上高が前年同期比で0.4%の増加となりました。既存店(注)のお客様数は2024年4月を底に回復傾向にありましたが、昨今の物価高騰による買い控えに加え、2025年2月の寒波の影響により営業時間を短縮した店舗等もあり、第4四半期会計期間において前年同期比で減少傾向となりました。一方でお客様単価は2024年9~10月に実施しました自社製造商品価格の一部値上げ等により、前年同期比で増加傾向となっております。店舗では継続して販売力及び接客力を強化し、ご来店いただくお客様の感動体験による付加価値向上に努めてまいります。ECに関しましては売上高が堅調に推移しており、前年同期比で10.8%増となりました。今後もお客様からのお声をもとに改善を重ねるほか、ギフト需要の更なる高まりを好機と捉え、引き続き商品ラインナップやサービスの拡充に努めてまいります。

(注)当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。

 

B to Bの販売チャネルであるホールセールに関しましては、主要取引先である大手小売チェーンに向けた一部商品の販売が苦戦を強いられ、売上高は前年同期比で17.0%減少いたしました。現在は商品ポートフォリオの拡充により一部商品への依存度を下げるほか、取引先の拡大を視野に入れた営業活動に注力しております。グローバルに関しましては、アジア市場での売上高増に加え、米国Portlandia Foodsの売上が増加したこと、また2024年10月に事業譲受しました「Bonnie’s Jams」の売上が計上されたこと等により、売上高は前年同期比で48.6%の増加となりました。グローバル事業は今後も、事業譲受等により新たな商品群と販路の獲得に加え、既存販路とのクロスセリングや自社工場の製造効率アップを実現することで、更なる事業規模の拡大を図ってまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高が19,467,260千円(前年同期比1.6%増)となりました。営業損益は、売上高が増加した一方で、売上総利益率が低下したこと等の影響により、835,995千円(前年同期比35.2%減)の営業利益となりました。経常損益は、損害補填金12,456千円等の営業外収益39,985千円を計上した一方で、為替差損11,298千円等の営業外費用30,911千円を計上したことにより、845,069千円(前年同期比39.7%減)の経常利益となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、税金費用302,574千円等を計上したことにより、350,434千円(前年同期比57.2%減)の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。

 

出店政策に関しまして当社グループは、商圏人口、賃貸条件、ROIC等の指標を総合的に勘案し、新規出店を行っております。当連結会計年度におきましては、「久世福商店」業態で8店舗を新規出店した一方、「サンクゼール」業態で1店舗、「久世福商店」業態で2店舗、そして「MeKEL」業態で1店舗を退店いたしました。また、「サンクゼール」業態の3店舗を「久世福商店」業態へ切り替えを行いました。その結果、当連結会計年度末における店舗は直営店52店舗、FC加盟店123店舗、計175店舗となりました。

 

 当連結会計年度における業態別の店舗数は以下のとおりです。

業態名

区分

前連結会計年度末

増加

減少

当連結会計年度末

サンクゼール

直営店

12

-

3

9

FC加盟店

4

-

1

3

16

-

4

12

久世福商店

直営店

39

4

-

43

FC加盟店

115

7

2

120

154

11

2

163

MeKEL

直営店

1

-

1

-

FC加盟店

-

-

-

-

1

-

1

-

全業態合計

直営店

52

4

4

52

FC加盟店

119

7

3

123

171

11

7

175

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は724,103千円減少し1,936,046千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度におきましては、税金等調整前当期純利益653,463千円となった一方で、棚卸資産が355,762千円増加したこと等により、営業活動のキャッシュ・フローは247,438千円の収入(前連結会計年度は681,924千円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、「Bonnie's Jams」ブランド等の事業譲受による支出が477,823千円、有形固定資産の取得による支出が222,677千円となったこと等により、756,022千円の支出(前連結会計年度は778,154千円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金が60,000千円減少したこと、配当金の支払額が323,057千円となったこと等により、244,162千円の支出(前連結会計年度は605,586千円の支出)となりました。

 

④  生産、受注及び販売の状況

ア. 生産実績

セグメントの名称

第43期連結会計年度

(自 2024年4月1日 

 至 2025年3月31日

前期比(%)

食品製造販売(千円)

4,410,279

+3.7

合計(千円)

4,410,279

+3.7

 

 

イ. 受注実績

当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

ウ. 販売実績

当社グループは、食品製造販売事業の単一セグメントであるため、販売チャネル別に記載しております。

販売チャネル

第43期連結会計年度

(自 2024年4月1日 

 至 2025年3月31日

前期比

食品製造販売

 

 

直営(千円)

6,223,893

△3.6%

FC(千円)

7,310,904

+4.0%

EC(千円)

1,231,398

+10.8%

ホールセール(千円)

2,640,493

△17.0%

グローバル(千円)

2,060,570

+48.6%

合計(千円)

19,467,260

+1.6%

 

 

    (注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Costco Wholesale Corporation

3,174,510

16.6

2,812,691

14.4

株式会社イートスタイル

2,232,144

11.6

2,286,706

11.7

 

 

・直営

当連結会計年度における直営店の既存店お客様数は、2024年4月を底に前期比で回復傾向にありましたが、第4四半期会計期間における寒波の影響等により再び前期比で減少に転じております。一方お客様単価は堅調に推移しており、直営店の売上高は6,223,893千円となり、前期比で3.6%の減少となりました。新規出店に関しましては、「久世福商店」で1店舗を出店いたしました。また、「サンクゼール」から「久世福商店」への切り替えを3店舗、「MeKEL」で1店舗を退店し、当連結会計年度末の直営店の店舗数は52店舗となっております。

 

・FC

当連結会計年度におけるFCの既存店お客様数は、2024年4月を底に前期比で回復傾向にありましたが、第4四半期会計期間における寒波の影響等により再び前期比で減少に転じております。一方お客様単価は堅調に推移しており、FC売上高は7,310,904千円となり、前年同期比で4.0%の増加となりました。新規出店に関しましては、「久世福商店」で7店舗を出店いたしました。また、「サンクゼール」で1店舗、「久世福商店」で2店舗を退店し、当連結会計年度末のFCの店舗数は123店舗となっております。

 

・EC

ECに関しましては、高まるギフト需要に対して、需要の高い商品ラインナップの拡充及びサービスの充実等に注力いたしました。これにより、ギフトの年間出荷件数は前期比で大きく増加し、特に商戦規模の大きいお中元や年末年始での売上高が伸長いたしました。以上の結果、売上高は1,231,398千円、前期比で10.8%の増加となりました。

 

・ホールセール

ホールセールに関しましては、主要取引先である大手小売チェーンに対する一部商品の販売が苦戦しております。商品ポートフォリオを拡充することで一部商品への依存度を下げるほか、取引先の拡大を視野に入れた営業活動に注力しており、リスク管理を継続しております。

以上の結果、ホールセール売上高は2,640,493千円、前期比で17.0%の減少となりました。

 

・グローバル

当連結会計年度におきましては、アジア市場での売上高増に加え、米国Portlandia Foodsの売上が増加したこと等により、売上高は2,060,570千円、前期比で48.6%の増加となりました。2024年10月には、フルーツやスパイスを使ったオリジナルジャム等を開発、販売している「Bonnie’s Jams」を事業譲受し、グローバル事業は今後も更なる事業規模の拡大を図ってまいります。

国別の内訳は、米国顧客への売上高が1,343,675千円、台湾顧客への売上高が609,469千円、その他の地域への売上高が107,425千円であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容

 (売上高)

当連結会計年度の売上高は、19,467,260千円(前期比1.6%増)となりました。チャネル別でみると、直営及びホールセールにおいて前期を下回る結果となりましたが、FC、EC、グローバルチャネルは売上高が前期を上回りました。各チャネルの詳細につきましては以下のとおりであります。

 

ア. 直営及びFC

直営及びFCの売上高に関しましては、直営が前年同期比3.6%減、FCが前年同期比4.0%増となり、直営及びFCを合わせた店舗全体の売上高は、前年同期比で0.4%の増加となりました。既存店のお客様数は2024年4月を底に回復傾向にありましたが、昨今の物価高騰による買い控えに加え、2025年2月の寒波の影響により営業時間を短縮した店舗等もあり、第4四半期会計期間において前年同期比で減少傾向となりました。一方でお客様単価は2024年9~10月に実施しました自社製造商品価格の一部値上げ等により、前年同期比で増加傾向となっております。

 

イ. EC

ECの売上高は前年同期比10.8%と堅調に推移いたしました。ギフトニーズの高まりにより、ギフトの年間出荷件数は前期比で大きく増加し、特に商戦規模の大きいお中元や年末年始での売上高が伸長いたしました。

 

ウ. ホールセール

ホールセールに関しましては、主要取引先である大手小売チェーンに向けた一部商品の販売が苦戦し、売上高は前年同期比で17.0%の減少となりました。

 

エ. グローバル

グローバルに関しましては、アジア市場での売上高増に加え、米国「Portlandia Foods」の売上が増加したこと、また2024年10月に事業譲受しました「Bonnie’s Jams」の売上が計上されたこと等により、売上高が前年同期比で48.6%と大幅に伸長いたしました。アジアでは、特に台湾における大手小売りチェーン向けの売上高が堅調に推移しております。

 

 (売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い、12,687,615千円(前年同期比4.8%増)となりました。

売上総利益率は34.8%となり、前期比で2.0ポイント低下いたしました。その主な要因は、原材料価格の高騰や為替の影響等によるものであります。

 

 (販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、5,943,649千円(前年同期比3.1%増)となりました。この主な要因は、ベースアップ及び新規採用に伴う人件費が前年同期比で4.2%の増加、また物流費の高騰等による荷造運搬費が前年同期比で8.1%増加したこと等によるものです。この結果、当連結会計年度の営業利益は、835,995千円(前期比35.2%減)となり、売上高営業利益率は4.3%と前期比で2.4ポイント悪化いたしました。

 

 (営業外収益、営業外費用、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、主に受取利息1,283千円や損害補填金12,456千円を計上したことにより、39,985千円(前年同期比71.5%減)となりました。また、当連結会計年度の営業外費用は、主に為替差損11,298千円を計上したことにより、30,911千円(前年同期比10.3%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は845,069千円(前年同期比39.7%減)となりました。

 

 (特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、退店店舗の什器等の売却による固定資産売却益2,908千円を計上いたしました。また、当連結会計年度の特別損失は、「MeKEL長野若里店」等の退店に伴う減損損失121,712千円や、当社が保有する一部の投資有価証券の実質価額が下落したことにより投資有価証券評価損71,865千円を計上いたしました。

以上に加えて、法人税、住民税及び事業税281,805千円、法人税等調整額(借方)20,768千円、非支配株主に帰属する当期純利益454千円をそれぞれ計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は350,434千円(前年同期比57.2%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

資本政策につきましては、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資に充当するとともに、配当に関しましては、年間配当総額を前事業年度における当社単体決算の当期純利益30%を目安とした金額となるように実施してまいります。

また、当社グループにおける資金需要の主なものは、原材料費・労務費・製造経費・商品仕入高・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。当社グループは必要な資金について、主に自己資金及び金融機関からの借入金により対応してまいります。

資金の流動性に関しましては、2025年3月末時点で取引金融機関5行との間で合計1,550,000千円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態に備えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社グループは、経営上の目標の達成状況を売上高営業利益率を重視して判断しております。

当連結会計年度の売上高は、直営とホールセールを除いたFC、EC及びグローバルで売上高が前期比を上回って推移いたしましたが、原材料価格の高騰やチャネル別売上構成比の変化等により、売上総利益率が低下いたしました。さらに、人件費や荷造運搬費等を含む販売費及び一般管理費が増加したことで、売上高営業利益率は4.3%となり、前期比で2.4ポイント悪化いたしました。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に含めて記載しております。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

  (1) パートナーシップに関する契約

株式会社サンクゼールとFC加盟店企業とのパートナーシップに関する契約(以下、「本契約」という。)の要旨は、次のとおりであります。

① 当事者の間で、取り結ぶ契約

a.契約の名称

パートナーシップ契約

 b.契約の本旨

FC加盟店企業が当社グループ商品の売買その他の業務を遂行し、各企業と当社グループの一層の繁栄を増進すること。

② 経営理念の遵守及び研修

本契約を締結する企業(以下、「パートナー企業」という。)とその役職員は、当社グループの経営理念その他当社グループが大切にする価値観を理解共有の上遵守すべく、誠実に努めなければならないものとしております。そのために、当社グループは、パートナー企業の役職員に当社グループの経営理念の遵守に必要な研修を実施しております。

 

③ 加盟に際し、徴収する加盟金、保証金に関する事項

 a. 加盟金  1店舗につき100万円(税抜)   パートナー企業の店舗がFCに加盟するための証拠金

 b. 保証金  1店舗目500万円、2店舗目以降100万円  本契約を維持していくための預託金

 

④ 加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項

 a. 卸原価  

当社グループの商品ごとに設定した価額であり、パートナー企業は当該価額で当社グループ商品を買い受けるものとしております。

 b. チャージ

本契約に基づく物販又は飲食業務に関して、パートナー企業の店舗粗利額または売上金額に一定率を乗じた金額を当社グループへお支払いいただくものとしております。

 

⑤ 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項

パートナー企業は、本契約に関する金銭債務について、毎月末日締翌月末日支払にて、お支払いいただくものとしております。

 

⑥ 経営の指導に関する事項

経営の指導に関して、本契約において以下の内容を定めております。

・当社の営業指導、助言及び要請に対して、指摘された箇所を速やかに改めるものとする。

・当社は、本契約に基づく営業店舗へ随時臨店することができるものとする。

・臨店時の店舗チェックの結果、当社の求める基準を下回る等、店舗に問題があると当社グループが判断した場合、パートナー企業は当社又は当社指定業者の実施する監査を受けなければならないものとする。

 

⑦ 契約の期間等に関する事項

本契約の期間は、本契約締結後1年間とし、契約期間満了の6か月前までに、書面による申し出がない限り、本契約は1年間自動的に更新されるものとしております。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は7,452千円であります。