当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念は、「わたしたちは、『心』のこもった接客、一流のサービス、最適な情報を提供し、お客様から信頼を得ます。そして会社の発展と社員の幸福の実現をめざします。」です。この経営理念の下、当社グループでは持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を目指しております。持続的な成長のためには、顧客に新たな価値・満足を提供し続けることが前提となることから、中長期的な視点に基づき、将来の成長に向けた事業投資を着実に実施していくことを経営方針としております。この経営方針に基づき、持続的な成長につながる事業への投資を優先し、同時に事業投資による利益成長と株主還元のバランスを重視する考えであります。
当社グループでは、セキュリティ事業を成長の牽引役と位置付け、モバイル事業は安定基盤を形成する事業としています。
各事業における目標は、以下のとおりです。
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セキュリティ事業 |
当社グループの成長の牽引役として、持続的な成長を目指す |
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モバイル事業 |
生産性の高い店舗運営を目指す |
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは堅実で持続的な成長の実現を目指すため、事業規模の拡張性を示す売上高成長率、事業活動の成果を示す営業利益成長率を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標としております。
(3)経営環境
国内では、物価上昇や人手不足といった課題が残るものの、インバウンド需要の回復や設備投資の増加により、景気は緩やかな持ち直し傾向が続いております。一方で、国際社会では、世界的な金融引き締めの影響による景気後退リスク、ウクライナ情勢や中東情勢に起因する地政学リスク、それに伴うエネルギー価格や原材料価格の高騰、サプライチェーンの混乱など、引き続き不確実性の高い状況が続いています。
このような経営環境のもと、当社グループが事業を展開する市場では、防犯カメラの重要性がますます高まっております。事件や事故の報道が続く中で、個人・法人を問わず防犯意識は一段と向上しました。また、労働力不足は深刻な社会問題となっており、省人化や業務効率化へのニーズや、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に伴い、遠隔での一括管理やデータ活用に対する関心も高まっております。
当社グループは、こうした市場ニーズに応えるべく、単なる防犯にとどまらないAIを活用した画像解析ソリューションや、労働生産性向上に貢献する遠隔管理システムなど、防犯カメラの新たな可能性を追求し、市場の拡大を牽引してまいります。
(4)中長期的な経営戦略
当社グループは、多様化する市場に対して迅速に対応し、信頼される企業を目指し、中長期的な経営戦略に基づいた成長率と収益率の確保に努めてまいります。このために成長ドライバーである人財の確保に取り組み、併せて営業拠点の増強、社会課題の解決に向けた商品の企画・開発及びソリューションの提供を図ってまいります。また、店舗の増設、業務のDX化の推進、効率的な接客フローの追求を行ってまいります。
更に当社グループは、安心・安全・便利に暮らせる未来の街(Safe City)の実現に向け、セキュリティ事業における商品倉庫兼実験・研究施設の建設を計画してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①再発防止策の策定と内部統制強化
当社は、2025年4月21日付「第三者委員会の調査報告書(公表版)公表に関するお知らせ」のとおり、第三者委員会の調査結果から当社の子会社における不適切な会計処理が認定されました。また、2025年8月1日付「特別調査委員会の調査報告書(開示版)公表に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会の調査結果から当社における関連当事者取引の適切な手続きがなされていなかったことが認定されました。
以上から本件の対象となる部分について過年度の決算を訂正し、2023年3月期から2024年3月期の有価証券報告書、2023年3月期の第3四半期から2024年3月期の第3四半期までの四半期報告書及び2025年3月期の半期報告書の訂正報告書、そして2022年11月21日付で提出した有価証券届出書の訂正を2025年9月4日付で提出いたしました。
この度の不祥事を厳粛に受け止め、当社は再発防止策を策定のうえ、再発防止に取り組んでまいります。
(ア)ルール遵守体制の強化
全役職員によるルール遵守が徹底されるよう代表取締役から継続的にその旨を発信するとともに、研修の実
施によりルールの浸透を図り、人事評価項目にも組み込むことによりルール遵守体制の強化を図ります。
(イ)情報収集体制の拡充
全役職員がルール違反行為又はその疑義がある行為を発見した際には、その情報が確実に取締役又は監査役
等に行き渡るようにするため、定期的に全役職員向けアンケートを実施するとともに、内部通報制度の周知、
運用の検証を行い、その拡充を図ります。
(ウ)取締役による関連当事者取引及び利益相反取引に対するカバナンス機能の強化
取締役による関連当事者取引及び利益相反取引に関する情報が取締役及び監査役の全員に共有されるような
システムを構築するとともに、管理部においても、関連当事者取引及び利益相反取引を網羅的にモニタンリン
グできる体制を構築します。
(エ)管理部の体制の見直しと拡充
考え得るリスクの回避・コントロールの方策の提言など、営業担当者と一体となってルール違反のないビジ
ネススキームを構築する役割を管理部が担うこととし、その役割を担えるよう人員の拡充を図ります。
(オ)子会社の体制の見直し
子会社のガバナンス体制を見直し、子会社への監視監督機能を強化するとともに、子会社においてもルール
遵守が徹底されるよう子会社の管理体制の見直しを図ります。
(カ)内部監査機能及び監査役機能の強化
内部監査については、監査部門の人員補充を含めた監査体制の強化を図るとともに、監査役監査については
監査項目の見直しと補助スタッフを置くことを検討してまいります。
(キ)リスクの検証等を担う会議体の運用の見直し
リスクの検証を行うリスク・コンプライアンス委員会の適正性を図るため、社外取締役も参加し、執行役員
会とは別の観点を含めてリスクの検証を行ってまいります。
②成長率の確保
セキュリティ事業に係る市場は成長市場であり、特に画像解析の分野には大きな期待があり、それに伴って顧客への新たな価値の創造が課題となっております。このような中、当社グループでは、ディープラーニングをはじめとした画像関連技術の応用を取り組み、実証実験を重ね、実効性の高いデータを蓄積し、実用性の高いAIシステムの企画・開発に取り組んでまいります。これにより、他社との差別化を図り、市場での当社シェアを確保するとともに、持続的な成長に繋げてまいります。
③収益率の向上
資源エネルギーの高騰等により高コストな環境下において、商品等の調達コストの上昇が続いております。このような中、当社グループでは、調達スケジュールの見直しを行い、合理的な在庫管理に基づいた仕入に努めてまいります。その他、顧客との積極的な対話から当社グループオリジナル商品「D’SSブランド」の充実化を図るとともに、コスト意識の徹底により、収益率の向上に繋げてまいります。
また、店舗運営においては、店舗業務のDX化を推進することで業務効率の向上に繋げ、来店に係る予約制の推進から効率的な人員配置の実現に努め、収益率の向上に繋げてまいります。
④人財の育成・確保における課題
当社グループにおける成長ドライバーは人にあるため、将来の人財確保が課題となっております。このような中、当社グループでは、多様化する従業員のやりがいに応える取り組みや制度の導入に積極的に取り組んでまいります。人財育成においては、集合研修及びオンライン研修等、育成環境の整備を進めてまいります。また、育成内容においては、多様なスキルアップをはじめ、マネジメント、リスク・コンプライアンス等、従業員の自立や成長を促す教育プログラムの実施も進めてまいります。
「1人ひとりが、センターで輝ける企業へ」を目指し、成功と失敗を繰り返しながらも成長し続ける「ダイワ通信らしい企業風土」を、これまで以上に推進してまいります。
⑤コーポレート・ガバナンスの継続的な強化
当社グループは、より有効性の高いコーポレート・ガバナンスを実践していくことを経営の重要課題と位置付け、経営の効率性、健全性を高めるコーポレート・ガバナンス・コードに対応した体制の整備・充実に努めております。引き続き、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、一層の体制強化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、誰もが安心・安全・便利に暮らせる未来の街(Safe City)の実現に取り組んでいます。防犯カメラの映像を用いて現場管理の遠隔化を進めるとともに、AIによる画像解析等の技術と組み合わせることで、業務の効率化や省力化を図り、人手不足などの社会課題の解決につなげたいと考えています。これらの事業および社会の持続可能性実現に向けた取り組みは、当社の経営の根幹をなすものです。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ関連リスクも含め、当社グループ全体のリスク管理を行う機関としてリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。当委員会は、取締役3名、執行役員4名及びオブザーバーの常勤監査役で構成され、執行役員会に合わせて適宜開催し、リスクマネジメント推進にかかる議題を審議しております。リスクの重要度によっては取締役会で報告・審議することとしております。
(2)戦略
当社グループは、「未来の街を創造する」をトータルコンセプトに、お客様に安心・安全・便利な製品とそのサービスを提供することに取り組んでおります。この取り組みから、当社は人手不足などの社会問題の解決に貢献していくと考えております。加えて、持続可能な社会の実現にあたり、環境保全は当社においても重要な要素であり、安全・環境を意識した製品の企画と開発のみならず、社内においても資源の節約やリサイクルに取り組んでおります。また、当社グループでは、企業は人であり、従業員の成長なくして会社の成長と発展はなしえないとの考えから、「一人ひとりが、センターで輝ける企業へ」をテーマに、採用活動の活性化、グループ企業間の人事交流、女性が活躍できる環境整備、自己啓発支援に取組んでおります。また、安全で快適な労働環境の整備として、労災、傷病求職及び残業時間の削減、福利厚生施策の推進にも取り組んでおります。
①気候変動への取り組み
当社グループは、大規模災害(地震、洪水、台風、火災など)、調達先における生産稼働停止等による製品供給の停止等のリスクが事業活動に与える影響を踏まえ、持続可能な製品調達の実現を目指し、取引先企業とともに製品の安定供給できるサプライチェーンの構築を図ります。加えて、自然災害の急激な増加や感染症の地域性流行による調達先の生産工場の稼働率低下、また地政学リスクの影響から海外企業との取引停止、希少金属等の材料供給が停止した場合の事業活動への影響は大きいと考え、環境に配慮した国内製造拠点の建設を計画しております。
当社は、気候変動が持続可能な社会を実現する上で重要な課題の1つであり、気候パターンの変化や異常気象により、我々の社会に大きな影響を及ぼすリスクであると考えております。気候変動への取り組みも進んでおりますが、現在その取組に対する具体的な指標及び目標は定めておりません。企業価値の向上に資する指標及び目標の検討を進めてまいります。
②人的資本の多様性
当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を目指しております。持続的な成長のためには、顧客に新たな価値・満足を提供し続けることが前提となることから、中長期的視点に基づき、将来の成長に向けた人財戦略による経営基盤の強化の取り組みが必要であると考えております。社会が変革を遂げるなかで求められるサービス、社会課題解決につながるソリューションの提供、それらを自律的に考えられ、そしてそれらを生み出す力を持った人づくりや能力を発揮できる環境づくりのため、「人財育成強化」「組織活性化」を基本方針として推進してまいります。
当社グループは「1人ひとりが、センターで輝ける企業へ」をバリューに掲げ、従業員1人ひとりが成功と失敗を繰り返しながらも成長し続ける「ダイワ通信らしい企業風土」作りを、以下3つの人財戦略指針に沿って実践してまいります。
●多様な人材の活躍
施策1 女性管理職の育成を促進する研修プログラム
施策2 積極的なキャリア採用と、採用時の入社時研修
●人材育成の促進
施策1 社員の階層別キャリア研修
施策2 年2回のキャリアコンサルティング機会の付与
●働きやすい環境づくり
施策1 育児と仕事を両立できる各種制度の充実
施策2 社員の階層別ハラスメント防止研修
(3)リスク管理
当社は、リスク管理としてリスク・コンプライアンス委員会を設置し、リスクの対応方針や課題について、優先度を選別・評価し、リスクの重要度に応じて取締役会に報告しています。
・気候変動に係るリスクを識別・評価するプロセス
サステナビリティ戦略の推進を所管する管理部が社内の関係部署、グループ会社に係るリスク及び機会の特定を指示し、リスクを識別し、リスク・コンプライアンス委員会に報告します。
リスク・コンプライアンス委員会は識別された気候変動に係るリスクについて気候関連リスクの潜在的な大きさとスコープを評価し、重要度に応じて対応策を検討したうえで、目標を設定し、取締役会に報告します。
・気候変動に係るリスクを管理するプロセス
管理部は、気候変動を含むサステナビリティ戦略の企画・立案及び管理を行い、全社的な気候変動に係るリスクへの対応を推進するとともに、取組状況をリスク・コンプライアンス委員会に報告します。また、識別した気候変動に係るリスクについて、リスク・コンプライアンス委員会に報告します。
リスク・コンプライアンス委員会は、識別・評価されたリスクの軽減に向けた方針を示し、管理部を通じて社内の関係部署及びグループ会社に対応を指示します。また、対応策の取組状況や設定した目標の進捗状況について、取締役会に報告します。
・組織全体のリスク管理への統合プロセス
四半期に1回開催されるリスク・コンプライアンス委員会にて、管理部からの報告内容を評価し、全社リスクの把握と適切な対応を審議し、取締役会に報告します。
気候変動に係るリスクについては管理部を所管部署と定めて報告を受け、組織全体のリスク管理の観点から適切な対応を決定します。
取締役会は、リスク・コンプライアンス委員会から気候変動に係るリスクを含む統合したリスク管理の状況と対応について報告を受け、監督を行います。
・人材確保におけるリスクについて
人材確保におけるリスクについては、「
(4)指標及び目標
当社は、多様な人材の活躍及び人材の育成に関する戦略、働きやすい社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
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区分 |
項目 |
実績 (2024年3月末) |
実績 (2025年3月末) |
目標 ( |
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①多様な人材の活躍 |
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1名 |
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11.1% |
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②人材育成の促進 |
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6名 |
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10名 |
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③働きやすい環境づくり |
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11.6時間 |
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0.0% |
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本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスク及び当該リスクへの対応策等を以下に記載しております。
なお、本文の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
1.事業環境に関する事項
(1) 市場について
①セキュリティ事業
セキュリティ事業におきましては、防犯カメラ並びに関連商品の販売・設置、及び防犯カメラによる画像データを、AI技術を用いて分析するソリューションの提供を行う事業を主力事業としております。今後、新たな法的規制や業界団体による規制の導入、その他予期せぬ要因等により、顧客のニーズの変化等、市場規模が縮小する動きがみられた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは、常に市場動向を把握し、市場動向に応じた柔軟な対応を行うとともに、他市場への展開を積極的に進めることでリスクの低減を図ってまいります。
②モバイル事業
モバイル事業における携帯端末販売では、電気通信事業者の販売奨励制度の見直し、店舗支援策の変更などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社モバイル事業は、教育制度を充実させ、店舗での接客スキルを向上させ、端末販売に依存しない付加価値サービス(データ移行サービス、ガラスフィルム貼付サービスなど)の獲得による収益獲得を図っていきます。
(2) 競合他社による影響について
セキュリティ事業におきましては、大手・中小を問わず多くの企業と競合しております。そのため、当社グループセキュリティ事業では、新しい技術・商品の企画・開発や新しい組み合わせによるソリューションの提供を継続して実施することで、他社との差別化を行うことにより、上記リスクに対応しております。
また、モバイル事業におきましては、法人向け営業を含め、ソフトバンク以外の通信キャリアの代理店のみならず、ソフトバンクの他の代理店との競争も生じております。そのため当社モバイル事業は、教育制度を充実させ、店舗での接客スキルを向上させ、端末販売に依存しない付加価値サービス(データ移行サービス、ガラスフィルム貼付サービスなど)の獲得による収益獲得を図っていきます。
(3)通信事業者政策変更による当社収益への影響について
モバイル事業におけるソフトバンク株式会社一次代理店としてのソフトバンクショップの運営は、ソフトバンク株式会社から手数料等を収受しております。そのため、受取手数料等の金額、受取対象期間、受取対象となるサービス業務の内容、通話料金に対する割合等の取引条件は、ソフトバンク株式会社の事業方針等により変更される可能性があり、今後大幅な取引条件等の変更が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該事業はソフトバンクブランドに依拠するものであるため、ソフトバンク株式会社がソフトバンクショップ運営に関する方針、料金プラン、広告宣伝方針等の事業上の施策を変更した場合、並びにソフトバンクブランドのイメージの悪化その他の原因により他の通信キャリアに比してソフトバンクブランドの魅力が相対的に低下した場合、他の通信キャリアやMVNO事業者との競争激化による通信キャリア間のシェアの変化等、ソフトバンク株式会社の戦略・事業計画の変更やソフトバンクブランドの動向等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 総務省によるルール改正等の影響について
総務省は、2019年1月の「モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言」の公表以降、一連の電気通信事業法改正を実施しております。これらを受け、シンプルで分かりやすい料金プランの実現や販売代理店の業務の適正性の確保に向けた法令等のルール改正が行われる可能性があります。当社グループは、総務省の法令等のルール改正に適切に対応いたしますが、今後の総務省から通信事業者への要請内容、関連する法令の改正等によっては、携帯電話等販売市場全体、当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 法的規制等について
移動体通信事業者の代理店業務については、「電気通信事業法」、「景品表示法」、「個人情報保護法」、「携帯電話不正利用防止法」等の法的規制があります。当社グループは、当該法令等を遵守し販売活動を行っており、法令等を遵守するために従業員教育の実施を含め社内管理体制の強化に努めております。しかしながら、個人情報の漏洩等が発生した場合や上記法令等に違反した場合には、損害賠償責任を負い、代理店契約の解除又は営業の停止等の処分を受ける可能性があり、当社グループの業績及び事業計画に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 技術革新
当社グループが事業展開しているセキュリティ関連市場・モバイル関連市場では、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められております。当社グループとしても、技術革新に応じた機器の選定、ソリューションの拡充・改善及び事業戦略の修正などを迅速に行う必要があるものと考えております。なお、急激な技術革新の進展により、非常に速い速度で顧客の需要が変化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは、海外・国内の開発企業・協力企業との連携を密にとること(定期的な打ち合わせ、セキュリティショーへの参加など)により、新しい技術・商品のキャッチアップを継続して行い、常に顧客の需要動向を注視し、適切な在庫管理に努めることでリスク回避を図っております。
(7) 経営上の重要な契約について
当社の経営上重要と思われる契約の概要は、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載のとおりであります。当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合、もしくは当社にとって不利な改定が行われた場合、または契約の相手方の経営状態が悪化したり、経営方針が変更されたりした場合には、当社の事業戦略及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 人財確保について
当社グループは、継続的な事業成長のため、営業・販売及び商品企画並びに技術的な対応ができる優秀な人財の確保が重要であると認識しており、継続的な人財採用及び教育を実施しております。また、福利厚生等の充実により人財定着に努めておりますが、国内及び各地域における人財雇用・採用環境の変化等により人財確保が困難となる場合、社内人財の流出が継続する場合、人財獲得またはつなぎ止めのための費用増加が生じる可能性があるほか、著しい人財流出が生じた場合には事業運営に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)コンプライアンスに関するリスク
当社グループにおいて法令違反、社会規範・倫理上の問題や品質不正、企業秘密漏洩等のコンプライアンス問題が生じた場合、当社グループに対する罰則等による直接的影響はもとより、社会的信用・企業イメージの低下等により、事業戦略や経営成績等に大きな影響が生じる可能性があります。
このため当社は、当社および当社グループ会社のコンプライアンス向上に資する活動の企画立案、実行等を行う委員会としてリスク・コンプライアンス委員会を設置し、社員教育の実施や内部統制強化に関する対応を実施しています。
当社は、2025年4月21日付「第三者委員会の調査報告書(公表版)公表に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、第三者委員会による調査の結果、当社の連結子会社であるディーズセキュリティ株式会社において不適切な会計処理が行われていることが判明いたしました。また、2025年8月1日付「特別調査委員会の調査報告書(開示版)公表に関するお知らせ」にて公表しましたとおり、当社において関連当事者取引に関する不適切な手続きが行われていることが判明いたしました。
当社は、各事案を受け、第三者委員会の調査報告書及び特別調査委員の調査報告書による各々の原因分析及び提言を真摯に受け止め、再発防止策を策定し、コーポレート・ガバナンスの強化、内部管理体制の整備等、再発防止策の実施に真摯に取り組んでおります。
しかしながら、再発防止策を実施してもコーポレート・ガバナンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、不測の事態が発生する恐れがあります。万が一、当社グループが的確に対応できなかった場合、訴訟や損害賠償等による費用等の発生や当社グループのイメージ・評判の低下、金融機関との関係悪化や受注減少を招き、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
2.事業内容に関する事項
(1) 商品の調達及び外部生産委託について
セキュリティ事業における商品は、海外及び国内メーカーより調達しております。また外部業者に商品の生産を委託し、商品の調達を行っております。各メーカー及び外部業者とは密接かつ良好な関係を保ち、安定的な商品の調達に努めております。一方、需要急増による商品の納入遅れ、商品の欠陥といった品質上の問題、地震等の災害が発生した場合等、商品の調達に重大な支障をきたした場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、半導体不足の影響下では、一部の商品において調達が困難になる恐れが生じております。
そのため、当社グループでは複数のメーカー及び外部業者と幅広く取引を行うこと、また独自ブランドの商品を活用することで、特定企業の経営方針等の変更及び特定商品の需給状況の変動等にも対応できる体制を構築しております。
(2) 認定パートナー制度について
セキュリティ事業では、各地域の認定パートナーとの間で商取引基本契約書及び商品の取引に関する覚書を締結し、特定地域での商品の販売を委託しております。当該代理店の業績・販売方針によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、毎年認定パートナーの販売状況に応じたパートナー契約の見直し作業を行っており、常に優良パートナーと契約を行うことにより、当社グループの業績を安定させる体制をとっております。
(3) 特定商品に関する大幅な需要変動
①セキュリティ事業
セキュリティ事業は、市場動向を注視し、需給の変動に合わせた商品の生産及び購入を行い、急激な変動への対応と余剰在庫の発生を抑制するよう努めておりますが、経済状況や市場動向の急激な変化により当社グループ商品の需要が予想を大幅に下回る事態となった場合には、商品が余剰となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②モバイル事業
モバイル事業においては、国内の景気低迷等による携帯電話の買い控え等に起因して携帯電話端末の販売台数が減少した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)製造物責任について
セキュリティ事業では、品質管理基準に従い商品の組み立て作業を実施しておりますが、全ての商品について欠陥がなく、将来においてリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。万が一、大規模なリコールが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、商品の仕様及び特性を熟知し、商品に関係する知識及び資格を持った者を組立作業に関与させる等、商品欠陥発生予防に努めております。
(5) 特定の取引先(販売先、仕入先)への依存について
①セキュリティ事業
セキュリティ事業では、警備会社系及び事務機器メーカー系の販路をもち、また全国に販売網を持つ大手販売先との販売体制を構築できていることが強みであります。なかでも販売比率が10%を超える販売先であるALSOK株式会社及びその関係会社は重要な特定販売先であります。当該事業においては、特定販売先と継続的な取引を目的とした取引基本契約書を締結し、また特定販売先と密接かつ良好な関係に努め、リスクの低減を図っております。ただし、特定販売先との取引契約において、取引条件の重大な変更や取引の解消等の不測の事態が生じた場合、販売高に大きく影響することが考えられ、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
当該事業における商品調達は、全商品調達に対し、HIKVISION(※)をはじめとする海外メーカーの商品が半数を占め、特にHIKVISIONに依存しております。当社グループは、特定メーカーと良好な関係を維持しつつ、また特定メーカーとの対話に努め、リスクの低減を図っております。一方、今後の世界情勢によっては、特定地域または特定メーカーからの商品調達が困難となることが考えられます。これにより、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
その他、当該事業における商品調達に関し、海外メーカーから商品を輸入するための輸入業務及び海外メーカーとの取引き等に関する手続き業務を兼ねて株式会社F.K.Solutionsから商品調達を行っております。海外メーカーからの調達比率が高いことを背景に、同社を経由して調達する商品は多く、同社への依存度は高い状況にあります。当社グループは、同社と密接かつ良好な関係を維持し、また仕入先の管理には万全を期すことによりリスクの低減を図っております。ただし、同社との急な取引契約の解消や経営不振等の不測の事態が生じた場合、商品の円滑な供給に支障をきたすことが考えられ、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
※ HIKVISIONとは、中国の監視カメラメーカーであります。
②モバイル事業
モバイル事業においては、ソフトバンク株式会社との代理店委託契約に基づくソフトバンクショップの運営並びに携帯電話端末等の販売及びソフトバンクのサービス提供にあります。当該事業にかかる商品の仕入れも代理店委託契約に基づき、同社より仕入れを行うことから同社に依存しております。
当該事業における事業活動の前提となる同社との代理店委託契約は、1年毎の自動更新でありますが、契約上、同社及び当社の双方どちらかが3ヶ月前に事前告知することで解除が可能となっているほか、以下のような事由を即時解除事由として定めております。
(解除事由)
・当事者のいずれかが、差押、会社の整理もしくは再生・更生手続の開始、営業停止又は解散等に該当する場合
・当社が同社の信用・名誉を失墜させる行為もしくは同社との信頼関係を著しく損なう行為を行った場合
・当社が虚偽の請求もしくは報告等その他同社または顧客に対する背信的な行為を行った場合
・当社に反社会的勢力との関係があることの疑いが判明した場合
なお、当社は同社と良好な関係を維持しており、本書提出日現在において解除事由等は生じておりません。ただし、同社との代理店委託が解除・解約等により契約が終了した場合や、契約の内容が大幅に変更された場合には、当該事業の存続に支障が生じ、当社の業績に影響が生じる可能性があります。
(6)商品の需給動向の変動について
当社が取り扱う商品は、半導体をはじめとする様々な部品で構成されております。主要部品の半導体においては、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、またそれに伴う加速的なリモート化、各種電子機器の技術革新を背景に、需要と供給のバランスが崩れる状況が生じております。今後の世界情勢によって、半導体やその他部品の需給バランスが崩れ、商品仕入価格の高騰、また予定数量の商品確保ができない恐れがあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
その他、米国と中国における貿易摩擦に端を発し、米国は中国ハイテク企業からの製品調達を禁止すると表明しております。そのハイテク企業に、HIKVISIONが含まれております。本書提出日現在、国内(日本政府の方針含む)におけるHIKVISION製品の取扱いに関し、当社は、特別な問題は生じていないと認識をしております。ただし、米国と販売取引の関係を有する国内大手企業においては、HIKVISION製品の取扱いを見直す動きがあるようにも認識しております。
当社における影響として、株式会社リコー及びその関係会社との販売取引があります。同社は、HIKVISION製品の取扱いを行わない方針を表明しております。当社は同社の方針を受け、当社オリジナル商品「D'SSブランドカメラ」またはHIKVISION以外のメーカー商品で対応を既に実施しており、現状、当社における影響度は、限定的なものと捉えております。
当社は、今後も各取引先(販売先、仕入先)と密接な関係を保ち、計画的かつ安定的な商品の調達を目指したうえで、安定した商品供給に努めてまいります。
3.その他
(1)特定人物への依存
岩本秀成氏は、当社の創業者であり、以降、当社の代表取締役社長でありましたが、2025年8月1日付「代表取締役の異動(辞任)」にて公表いたしましたとおり、同日付で辞任しております。2025年3月31日時点で、同氏及び同氏の資産管理会社が当社株式の63.39%を所有する株主であります。同氏は創業以来、最高経営責任者であり、当社グループの事業運営において重要な役割を果たしておりました。当社グループは、特定の人物に依存しない体制の構築を目指し、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成、採用を継続的に図っており、現時点において、2026年3月期の当社グループの事業運営等における影響は小さいと判断しております。
(2)知的財産権
当社は、第三者の特許権や商標等の知的財産権に関して、外部の弁理士等を通じて調査する等、その権利を侵害
しないように留意するとともに、必要に応じて商標権等について知的財産権を登録することにより、当社権利の保
護にも留意しております。しかしながら、当社の認識していない第三者の知的財産権が既に成立している又は今後
成立する可能性があり、仮に当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者により損害賠償請求、使
用差止請求又はロイヤリティ支払要求等が発生する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を
及ぼす可能性があります。
(3)配当政策について
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題であると認識しており、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針としております。
(4)当社株式の流動性について
2025年3月末現在、当社株式についての、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は33.1%にとどまっております。今後は、当社大株主への一部売出しの要請、当社の事業計画に沿った成長資金としての公募増資による調達等による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)大規模な自然災害、重大な感染症等の発生について
①大規模な自然災害
火災、地震、風水害等の大規模な自然災害等の緊急事態が発生した場合には、当社グループの事業活動が停滞し、業績及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。また、取引先からの商品供給不足や仕入価格の高騰、特定商品の欠品による機会損失が発生し、売上高及び利益が減少する等、当社グループの業績、財政状態及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これら自然災害に対する備えとして、各自然災害への対応及び対策を記載した危機管理マニュアルを従業員に周知徹底するとともに、商品及び店舗設備等に損害保険を付保し、自然災害の影響を低減させる等の対策を講じております。
②重大な感染症
当社グループでは重大な感染症が長期間にわたり拡大・蔓延した場合には、出店施設の臨時休業、時短営業、外出自粛による来店客数の減少、取扱い業務の制限、取引先からの商品供給不足等が生じる恐れがあり、当社グループの業績及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、重大な感染症が流行又は発生した場合には、監督官庁及び関連する行政機関の指針に従うとともに、キャリアショップにおいては通信事業者と適切な連携を図り、お客様、取引先及び従業員の安全を最優先に考え、関係機関と連携しながら感染症拡大防止に努めてまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として下記の対策を実施しております。
イ.全従業員に対し、健康状態の確認アンケートを実施
ロ.法人営業・間接部門等におけるテレワーク及び時差出勤の実施
ハ.キャリアショップにおける感染予防策の実施
1)対面接客用フェンスの設置及び座席間隔の確保
2)スタッフのマスク及びゴーグル着用
3)共用部、物品の除菌
4)非接触型体温計を利用したお客様の検温
5)Web来店予約の推進
(6)訴訟等について
当社グループが事業活動を行うに当たっては、偶発的に発生する訴訟や訴訟に至らない請求等を受ける可能性があります。このような訴訟等が発生し、予期せぬ結果となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、役職員に対しコンプライアンス意識の醸成のために定期的に啓蒙活動を行うと同時に、訴訟等の当事者となる可能性のある案件の発生を適切なモニタリングにより未然に防げるよう努めてまいります。
(7)設備投資について
当社グループは、「Safe City」の実現に向け、またセキュリティ事業の将来を見据え、中長期的なDSS商品倉庫兼研究施設として、「D’s security五郎島ファクトリー」の建設を予定しております。当社グループが認識する経営課題(商品在庫の保管場所及び組立て加工場、実証実験場の確保、商品購買の訴求を目的としたショールーム等)の解決を目的とした設備投資になりますが、投資予定額が3,800百万円と大きな投資にあたり、建設工事等の進捗の計画との乖離や物価上昇による追加費用の発生等が生じた場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループは、当該設備投資計画の進捗状況等を継続的にモニタリングし、社外関係者との密な連携及び計画内容の調整により、投資予定額に見合う効果を得るよう努めてまいります。
(8)上場維持基準の適合状況
当社は、2025年6月30日付「上場維持基準の適合に向けた計画及び改善期間入りのお知らせ」にて公表いたしましたとおり、2025年3月31日時点において、東証スタンダード市場における上場維持基準のうち、流通株式時価総額については基準に適合をしておりません。当該基準については経過措置基準・期間が設けられており、2026年3月31日時点で当該状況が改善されていない場合、監理銘柄に指定されるリスクがあります。
当社は、今回不適合となった「流通株式時価総額」を充たすために、2026年3月31日までを改善期間とした、上場維持基準への適合に向けた各種取組を進めてまいります。
(9)宣誓書違反による再審査に係る猶予期間入りについて
当社は、2022年12月に東京証券取引所スタンダード市場に上場をしているところ、2025年6月20日付「宣誓書違反による再審査に係る猶予期間入り及び上場契約違約金の徴求に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、東京証券取引所スタンダード市場への上場審査における実質基準(コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性の観点)を充足しない事案であったことが認められました。結果として、新規上場申請時の宣誓書において宣誓した事項に違反し、上場審査基準に適合していなかったとして、2025年6月19日付で株式会社東京証券取引所より宣誓書違反による再審査に係る猶予期間入りの通知を受けました。
2026年6月19日までの猶予期間内に東京証券取引所スタンダード市場の新規上場基準に準じた基準に適合するかどうかの審査申請を行った場合、当該基準に適合したときは、当社株式の上場が継続されることとなりますが、当該基準に適合しないときは、上場廃止となります。なお、猶予期間内に同取引所プライム市場又は同取引所グロース市場への市場区分の変更申請を行った場合、当該市場区分の変更の承諾を受けたときは、上記にかかわらず、変更後の市場区分において当社株式の上場が継続されることとなります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善による個人消費の回復やインバウンド需要の増加により、景気は緩やかに回復しております。しかしながら、円安進行などによる物価上昇、中東情勢の悪化やロシアによるウクライナ進行の長期化、米国の今後の政策動向に伴う影響などが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、また、金融資本市場の変動等の影響に注意が必要など、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような経済環境のもと、当社グループにおいては、誰もが安心・安全・便利に暮らせる未来の街「Safe City」の実現に向けて、大手事務機器メーカー及び大手警備会社との連携を強化し、全国に防犯カメラ設置を推し進めてまいりました。
各種商品等の企画開発にも積極的に取り組み、さらに人材確保に向けた給与のベースアップ等の人材投資にも積極的に取り組みました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高5,241百万円(前連結会計年度比7.3%増)、営業利益453百万円(前連結会計年度比93.9%増)、経常利益460百万円(前連結会計年度比90.7%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は特別調査費用等引当金繰入額などの特別損失があり、163百万円(前連結会計年度は117百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
a.セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(セキュリティ事業)
セキュリティ事業においては、防犯需要の高まりや大手事務機器メーカー・大手警備会社との連携強化により、防犯カメラ売上が大きく増加しました。
一方で製品の企画開発に積極的に取り組んだ結果、売上原価が増加いたしました。
以上の結果、当連結会計年度のセキュリティ事業の業績は、売上高2,857百万円(前連結会計年度比7.3%増)、セグメント利益437百万円(前連結会計年度比78.8%増)となりました。
(モバイル事業)
モバイル事業においては、当社店舗が出店しているショッピングモール等の商業施設内で積極的な販促活動を実施し、MNPを含めた新規顧客の獲得に注力いたしました。また新型端末の発売とともにお客様のニーズに応えた様々な料金プランが登場しており、お客様のご利用状況に合わせた端末及び料金プランを提案するとともに、光回線、映像・音楽コンテンツ配信、キャッシュレス決済、お客様へのサポート等、収益の多様化に取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度のモバイル事業の業績は、売上高2,370百万円(前連結会計年度比7.3%増)、セグメント利益266百万円(前連結会計年度比21.6%増)となりました。
b.当連結会計年度の財政状態は次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比1,310百万円増の5,318百万円となりました。これは主に、売掛金の増加6百万円、商品及び製品の増加169百万円、建設仮勘定の増加865百万円、繰延税金資産の増加126百万円に対して、現金及び預金の減少26百万円、敷金及び保証金の減少5百万円などによるものです。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比1,514百万円増の3,051百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加929百万円、未払金の増加224百万円、特別調査費用等引当金の増加390百万円に対して、支払手形及び買掛金の減少47百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の減少71百万円などによるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比204百万円減の2,267百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失163百万円による利益剰余金の減少及び剰余金の配当40百万円によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は674百万円となり、前連結会計年度末に比べて126百万円減少しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は149百万円(前連結会計年度は170百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費63百万円、特別調査費用等引当金の増加額390百万円等に対し、税金等調整前当期純損失188百万円、棚卸資産の増加額170百万円、仕入債務の減少額47百万円、法人税等の支払額94百万円等の支出があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,076百万円(前連結会計年度は46百万円の支出)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出898百万円、定期預金の預入による支出104百万円、保険積立金の積立による支出54百万円等に対し、固定資産の売却による収入20百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は801百万円(前連結会計年度は88百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増額929百万円、長期借入金の返済による支出71百万円、配当金の支払額40百万円、リース債務の返済による支出15百万円等があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、記載すべき事項はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
セキュリティ事業(千円) |
1,480,733 |
117.4 |
|
モバイル事業(千円) |
1,680,287 |
104.4 |
|
合計(千円) |
3,161,021 |
110.1 |
(注)金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループは、主にパッケージされた商品の販売を行っており、個別受注に基づく商品の生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
セキュリティ事業(千円) |
2,857,054 |
107.3 |
|
モバイル事業(千円) |
2,370,890 |
107.3 |
|
報告セグメント計(千円) |
5,227,944 |
107.3 |
|
その他(千円) |
13,100 |
105.6 |
|
合計(千円) |
5,241,044 |
107.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額 (千円) |
割合 (%) |
金額 (千円) |
割合 (%) |
|
|
ソフトバンク株式会社 |
790,249 |
16.2 |
901,233 |
17.2 |
|
ALSOK株式会社 (旧 綜合警備保障株式会社) |
582,280 |
11.9 |
670,676 |
12.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは、経営理念である「心のこもった接客・一流のサービス・最適な情報を提供し」という考え方の下、「未来の街を創造する」というビジョンの実現に向けて、セキュリティ事業を探求し、新世代の通信規格や最先端のデジタルテクノロジーを活用した商品やサービスの提供により、誰もが安心・安全・便利に暮らせる未来の街「Safe City」の実現に取り組んでおります。
このことから当社グループでは、売上高成長率及び営業利益成長率を経営上の目標とし、その客観的指標を用いて、経営上の目標の達成状況を判断しております。
当連結会計年度においては、売上高5,241百万円(前年同期比107.3%)となっております。これは主に、国内における設備投資の需要拡大にあわせて、防犯需要の高まりや大手事務機器メーカー・大手警備会社との連携強化により、防犯カメラ売上が大きく増加しました。
また営業利益においては、453百万円(前年同期比193.9%)となっております。防犯需要の高まりによる売上高の増加はあったものの、各種製品の企画開発にも積極的に取り組み、さらに人材確保に向けた給与のベースアップ等の人材投資にも積極的に取り組んだ結果、売上原価および販売費及び一般管理費が増加いたしました。
② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況分析
キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び流動性に係る内容
当社グループの主な資金需要は運転資金と設備投資資金になります。運転資金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び銀行借入金にて賄う方針であります。具体的には、手許流動性資金、国内金融機関11行と締結している特殊当座貸越枠のフレキシブルな資金調達手段を確保し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。また、設備投資資金に関しては、内部留保及び資金計画に基づき、長期借入による調達を行い、財務の安定性を確保してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社グループのセキュリティ事業及びモバイル事業における重要な契約等は、以下のとおりとなります。
a.セキュリティ事業
|
締結年月 |
2014年5月13日 |
2019年1月11日 |
2021年4月1日 |
|
契約の名称 |
売買取引基本契約 |
売買基本契約 |
販売基本契約 |
|
相手先 |
株式会社リコー |
ALSOK株式会社 (旧綜合警備保障株式会社) |
株式会社F.K.Solutions |
|
契約の概要 |
自2014年5月13日 至2015年5月12日 (1年ごとの自動更新) 当社が株式会社リコーに対し継続的に商品を売り渡すことの契約となっております。 また個別契約により販売した商品の代金を、同社よりその支払いを受けるものとしております。 なお、同社に対し、売上高に応じた販売報酬を支払うものとしております。販売報酬に係る料率は、当社及び同社間の協議のうえ決定するものとしております。 |
自2019年1月11日 至2020年1月10日 (1年ごとの自動更新) 当社がALSOK株式会社に対し継続的に商品を売り渡すことの契約となっております。 また個別契約により販売した商品の代金を、同社よりその支払いを受けるものとしております。 なお、販売報酬に係る支払いはありません。 |
自2021年4月1日 至2022年3月31日 (1年ごとの自動更新) 連結子会社ディーズセキュリティ株式会社が株式会社F.K.Solutionsより継続的に商品を買い受けることの契約となっております。 子会社は、個別契約により購入した商品の代金を、同社に支払うものとしております。 |
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締結年月 |
2019年1月1日 |
2020年4月1日 |
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契約の名称 |
HIKVISIONディストリビューター契約 |
OEM/ODM契約 |
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相手先 |
HIKVISION |
UNIVIEW |
|
契約の概要 |
自2019年1月1日 至2019年12月31日 (1年ごとの自動更新) 連結子会社ディーズセキュリティ株式会社が日本におけるHIKVISIONのディストリビューターとなることの契約となっております。 子会社は、個別契約により購入した商品の代金を、同社に支払うものとしております。 |
自2020年4月1日 至2021年3月31日 (1年ごとの自動更新) 連結子会社ディーズセキュリティ株式会社がUNIVIEWに対して商品開発を委託すること、また商品販売取引を行うことの契約となっております。 子会社は、個別契約により購入した商品の代金を、同社に支払うものとしております。 |
b.モバイル事業
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締結年月 |
2013年6月20日 |
2015年8月1日 |
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契約の名称 |
代理店委託契約 |
代理店基本契約 (ワイモバイル通信サービス) |
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相手先 |
ソフトバンク株式会社 (旧ソフトバンクモバイル株式会社) |
ソフトバンク株式会社 (旧ワイモバイル株式会社) |
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契約の概要 |
自2013年6月20日 至2014年3月31日 (1年ごとの自動更新) ソフトバンク株式会社が、当社に電気通信サービスに係る商品販売並びに委託業務の委託を行うことの契約となっております。 また、当社は当社による委託業務の対価を、同社よりその支払いを受けるものとしております。 なお、対価は、同社が定める条件により算出となっております。 |
自2015年8月1日 至2016年3月31日 (1年ごとの自動更新) ソフトバンク株式会社が、当社に電気通信サービスに係る商品販売並びに委託業務の委託を行うことの契約となっております。 また、当社は当社による委託業務の対価を、同社よりその支払いを受けるものとしております。 なお、対価は、同社が定める条件により算出となっております。 |
該当事項はありません。