当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
なお、当社は、当中間連結会計期間より中間連結財務諸表を作成しているため、前中間連結会計期間及び前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
当中間連結会計期間における我が国経済は、賃上げや雇用・所得環境の改善が続く一方で、為替相場の変動やエネルギー・原材料価格の上昇により、物価の高止まりが続いております。さらに、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊張といった地政学的リスクが影響を与え、景気の先行きは依然として不透明感が残っております。
このような環境のもと、当社の報告セグメントは、従来、「モバイルセグメント」及び「ソリューションセグメント」の2つを報告セグメントとしておりましたが、2025年1月31日付でAI音声合成技術関連事業を展開する株式会社テクノスピーチを完全子会社化したことに伴い、2025年4月より同社の損益計算書を連結し、当中間連結会計期間から「AI歌声合成セグメント」を第3の報告セグメントとして追加いたしました。
「モバイルセグメント」では、当社の高成長事業であるモバイルペイントアプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」シリーズの開発・運営を中心に事業を展開いたしました。「ibisPaint」は、世界200以上の国と地域で利用されており、デジタルイラストを描くユーザー向けに、トレンドを取り入れた新機能やサービスの提供に注力いたしました。またサブスクリプション課金などによるマネタイズの強化にも取り組み、収益の持続的な成長を図りました。
「ソリューションセグメント」では、当社の安定成長事業として、スマートフォンやタブレットなどのインターネット端末向けのアプリケーション開発支援を行いました。経済産業省が推進する企業のDX化など、情報技術の活用に対する社会的ニーズの高まりを背景に、需要が拡大するITエンジニアの採用・育成を継続し、法人顧客に向けた提案型の営業活動を強化いたしました。
「AI歌声合成セグメント」では、音楽制作市場における幅広い層のクリエイターを対象に、AI歌声合成アプリ「VoiSona(ボイソナ)」を中心としたプロダクト戦略を展開いたしました。国内外の著名アーティストによるボイスライブラリの充実、モバイル領域への展開、そしてサブスクリプション型の安定収益モデルの構築に取り組みました。
以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高2,378,760千円、営業利益569,527千円、経常利益567,696千円、親会社株主に帰属する中間純利益376,701千円となりました。
事業セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
<モバイルセグメント>
当中間連結会計期間におきましては、主力製品の「ibisPaint」についてはシリーズ累計のダウンロード数を積み重ね、2024年5月2日に大台の4億ダウンロードを達成し、2025年6月末日時点では4億8622万ダウンロードとなりました。アプリの継続的な改善(Ver.12.2.13~Ver.13.1.1)や、YouTubeでのお絵描き講座の動画投稿、季節やトレンドに合わせた素材コンテストの開催(第45~47回)及び豊富な無料素材の追加など、常にユーザーの創作活動を後押しする取り組みを積極的に行ってまいりました。また、2025年3月5日に実施した大型のアップデートでは、ユーザーがオリジナルのブラシパターンを作成・共有できる「オリジナルブラシパターン機能」や、選択範囲内の閉じた領域を指定色で瞬時に塗りつぶしたり、塗りを削除することが可能な「塗りつぶしツール:囲って塗る・囲って消す」など全部で9つの新機能をリリースいたしました。これらの新機能の一部はプレミアム会員限定機能として提供されており、リリース直後にはサブスクリプション契約数の増加を後押しするなど、収益面においても一定の成果を挙げております。また、4月には教育機関向け商品「ibisPaint Edu」に新たに「ibisPaint Edu for Android」を追加し、iOSとAndroid両環境への対応を実現いたしました。この対応により、学校配布端末からの使用を通じて、生徒による将来的な有料会員転換を見据えた体制を整えました。加えて当社では、これまでモバイルアプリの開発で培ってきた技術を活かして、創作活動以外のビジネスの場でも役立つサービスを展開し始めております。6月にはAI議事録サービス「ibisScribe」の提供を開始し、ストレージサービス「ibisStorage」との連携により、新たなユーザー獲得を目指しております。
以上の結果、売上高は1,362,456千円となりました。売上区分別の国内売上高及び海外売上高は以下のとおりであります。
当事業において主な収入源となっているアプリ広告につきましては、為替円高の影響を受けつつも、DAU(日次アクティブユーザー)は引き続き高い水準を維持いたしました。広告市況については一部に軟調な動きも見られましたが、安定したユーザー基盤に支えられ、eCPM(広告単価)は一定の水準を保ち、売上高は709,263千円となりました。広告収益の改善に向けては、広告配信アルゴリズムの変化や、競合アプリの動き、当社の広告戦略とのバランスを見ながら、ユーザーの行動データをもとにした分析や運用の見直しを行い、広告効果を高める取り組みを進めております。一方、アプリ課金の中では、サブスクリプションが引き続き好調で、各種新機能の追加や既存ユーザー向けの契約促進施策が功を奏し、売上高は521,237千円となり、会員数は303,789人に達しました。これにより、定期的な収益源が安定し、収益基盤が強化されました。売切型アプリについては、モバイル向け・Windows向けともにサブスクリプションへの誘導が進んだため、売上高は129,063千円、販売数は89,472件となりました。また、前事業年度よりオーガニック成長へ転換、効果的な広告投資を行った結果、セグメント利益は712,820千円となりました。
<ソリューションセグメント>
当中間連結会計期間におきましては、生成AIの進展やDXへの対応加速を背景に、企業の業務効率化・生産性向上に対する関心が一段と高まる中、当社に対するアプリケーション開発支援のニーズも継続して寄せられました。特にスマートフォンやタブレットなどインターネット端末向けの開発においては、高度な端末間連携などの技術対応力により、顧客企業から引き続き高い評価をいただきました。
受託開発事業では、スクラッチ型のアプリケーション開発案件において一部で発注の抑制傾向が見られましたが、当社ではAIを活用した開発生産性の抜本的向上策を推進しており、業務の一部自動化によって残業時間の削減や人件費の効率化といった効果が表れ始めました。IT技術者派遣事業におきましては、当中間連結会計期間を通じて、複数の法人顧客において安定的な受け入れが進みました。
また、足元では人材の定着傾向が強まり、現場体制の安定が一層進みました。これにより、生産性向上施策や案件対応力の平準化が着実に図られております。
さらに、第1四半期に実施した営業と技術部門の連携強化、意思決定プロセスの迅速化を目的とした組織改編については、第2四半期を通じて安定的な運用が進み、現場の業務改善が浸透いたしました。これらの取り組みは、第3四半期以降の業績に資するものと見込んでおります。
以上の結果、売上高は986,730千円となり、内訳としては、受託開発事業が240,442千円、IT技術者派遣事業が746,288千円となりました。また、引き続きハイスキルなITエンジニアの採用などの開発人材投資を推進したこともあり、セグメント利益は140,381千円となりました。
<AI歌声合成セグメント>
AI歌声合成セグメントではVoiSona事業(BtoC向け)と受託開発事業(BtoB向け)を推進し、AI音声合成技術を活用した事業活動を行いました。VoiSona事業では、3種のソングボイスライブラリ(うち1種は中国語)、及び1種のトークボイスライブラリを新たにリリースし、売上が増加いたしました。特に「VoiSona 雨衣(CV:しぐれうい)」は、ユーザーによる作品がYouTubeのミュージックビデオランキング(注)で日本国内6位にランクインし、注目を集めました。また、ユーザー体験を向上させるため、ソングライブラリに「10秒お試し機能」、トークライブラリにオーディオトラック機能を追加いたしました。受託開発事業では、継続的なライセンス提供により安定した売上を確保し、音声合成及び歌声合成のマルチタスクモデルに関する先進的な研究開発を行いました。両事業とも、新規顧客の獲得を目指し、マーケティング及び営業活動を強化しております。
以上の結果、売上高は29,573千円となり、VoiSona事業は24,124千円、受託開発事業は5,448千円となりました。また、のれん償却額18,828千円を計上し、セグメント損失は35,710千円となりました。
(注)YouTube Music Global Charts「人気のミュージックビデオ トップ100」2025年6月末。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当中間連結会計期間末の資産合計は3,337,780千円となりました。これは主に、現金及び預金が1,875,764千円、売掛金及び契約資産が502,241千円であったこと等によるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債合計は958,418千円となりました。これは主に、未払法人税等が193,401千円、賞与引当金が115,832千円であったこと等によるものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末の純資産合計は2,379,361千円となりました。これは主に、利益剰余金が1,546,644千円、資本金が390,087千円であったこと等によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は1,875,764千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動による資金の増加は329,089千円となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益567,696千円の計上及び法人税等の支払額267,942千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動による資金の減少は516,339千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出71,054千円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出455,725千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動による資金の減少は160,750千円となりました。これは、長期借入金の返済による支出14,454千円、配当金の支払額146,296千円があったことによるものであります。
当中間連結会計期間において、経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は26,969千円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、株式会社テクノスピーチを完全子会社したことに伴い、AI歌声合成セグメントの従業員数が13名増加しております。また、業容の拡大に伴いモバイルセグメントにおいて12名、ソリューションセグメントにおいて5名増加しております。なお、従業員数には臨時雇用者数を含めておりません。
当中間連結会計期間において、当社の経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。