(はじめに)
当社は、1953年7月に株式会社新興製作所(現社名)の100%子会社として同社の欧文印刷電信機「テレプリンター」の保守を目的に、株式会社新興印刷電信サービスステーションとして創業しました。
1960年代はタイプライター、郵便局窓口端末、データ通信端末等の事務機の保守、販売を行い、1970年代から東京三洋電機株式会社(1986年三洋電機株式会社と合併)のレセプトコンピュータシステム「メディコム」の保守を全国で開始するとともに、NECフィールディング株式会社よりビジネスパソコン(N5200、N6300)、モデム等の保守業務を受託し保守サービスを中心に事業を拡大してまいりました。現在、保守サービス事業を基盤に、サーバやPC等のIT機器の設定やネットワークの構築を行うソリューション事業、IT技術者を派遣する人材サービス事業を全国で展開しております。
株式会社新興印刷電信サービスステーションは数度に渡り商号を変更し、1982年5月に商号を当社の旧社名である新興サービス株式会社に変更しました。
当社は、創業時から2014年までの主たる株主は株式会社新興製作所でしたが、2014年及び2017年に実施された計2回のマネジメント・バイ・アウト(以下、「MBO」といいます)により、株主が異動しておりますのでその内容について説明いたします。
2014年に株式会社新興製作所が保有する当社(当時の商号は「新興サービス株式会社」。以下、「旧新興サービス株式会社」といいます)の株式について、株式会社新興製作所より買取り要請があったため、2014年5月に当時の経営陣が新会社(新興リボーン株式会社)を設立し、2014年6月に旧新興サービス株式会社の既存株主からプライベートエクイティ・ファンド(以下、「当該ファンド」といいます)を活用し発行済株式の100%を取得しました。
2014年11月に新興リボーン株式会社は旧新興サービス株式会社を吸収合併し同日に商号を新興サービス株式会社に変更しました。この株式取得や合併は、当社の代表取締役福留泰蔵を中心とする経営陣が主導し経営していくことで、経営判断のスピードを早め、さらなる事業拡大につなげることを目的として行われたものであります。新興サービス株式会社は会社合併時に被合併会社である旧新興サービス株式会社(実質上の存続会社)の営業活動を全面的に継承しております。以上が1回目のMBOであります。
2014年11月に完了した1回目のMBOにより、MBOに参加した当該ファンドが当社の普通株式の66.7%及び全てのA種優先株式(無議決権)を保有することになりました。その後、2016年9月頃に当社及び経営者株主である福留泰蔵は当該ファンドより普通株式及びA種優先株式全ての取得要請を受けたことから、経営の独立性を維持し、事業を安定的に運営することを目的に当該ファンドから株式を取得するための受け皿会社として2016年12月に当時の当社役員6名(福留泰蔵、佐山龍一、高坂喜一、石田英章、菊池薫、佐藤秀樹)が株式会社ヒューマンサービスを設立し、2017年1月に、当社が当該ファンドからA種優先株式の一部を自己株式取得し消却した上で、株式会社ヒューマンサービスは残るA種優先株式と普通株式を当該ファンドから取得しました。一般的なMBOスキームのように株式会社ヒューマンサービスを存続会社として当社が株式会社ヒューマンサービスと合併した場合には、合併後の存続会社に多額ののれんが発生し償却負担が生じることが想定されたため、当社と株式会社ヒューマンサービスは合併を行うことなく、株式会社ヒューマンサービスが調達した借入金及び優先株式の返済等の原資には、株式会社ヒューマンサービスが取得した当社のA種優先株式の配当を充てるスキームを採用しました。以上が2回目のMBOであります。その結果、株式会社ヒューマンサービスは当社普通株式の65.1%を保有し親会社となりました。なお、2O20年4月に商号を新興サービス株式会社から株式会社SHINKOに変更し現在に至っております。
株式会社ヒューマンサービスは、2023年3月22日付で当社が東京証券取引所スタンダード市場へ株式を上場した際、当社株式の一部売出しを行い当社議決権の所有割合が15.1%に減少したことにより、親会社に該当しないこととなりました。
2023年6月30日には、同日付で当社従業員に付与したストックオプション40個が行使され、当社発行済株式数が1,834,000株となったことにより、同社の当社議決権の所有割合が14.77%となり、株式会社ヒューマンサービスは、2023年6月29日に自己株式の一部取得及び消却と、2023年6月30日に福留泰蔵の資産管理会社である福留興産株式会社への同社個人株主からの株式譲渡を実施し、福留泰蔵の直接保有する株式比率が51.22%、福留興産株式会社の保有する株式比率が48.78%となりました。これにより、株式会社ヒューマンサービスは実質的に福留泰蔵が100%出資する資産管理会社となり、引き続き当社の筆頭株主である主要株主ではあるものの、その他の関係会社に該当しないこととなりました。
当社の設立から現在に至るまでの沿革の模式図は次のとおりです。
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回次 |
第6期 |
第7期 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
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決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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当期純利益 |
(千円) |
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持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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普通株式 |
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A種優先株式 |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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普通株式 |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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A種優先株式 |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益 |
(円) |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
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△ |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
△ |
△ |
△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
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△ |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:東京証券取引所配当込みTOPIX) |
(%) |
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( |
( |
( |
( |
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最高株価 |
(円) |
- |
- |
- |
3,200 |
2,861 |
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最低株価 |
(円) |
- |
- |
- |
1,935 |
1,907 |
(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.第6期及び第7期の1株当たり純資産額については、A種優先株式の発行金額及び優先配当額を純資産の部から控除して算定しております。
3.A種優先株式は、経営陣が設立した株式会社ヒューマンサービス(親会社)が、2017年1月に、当時株主だったファンドから譲り受けた種類株式であります。2021年6月に当社が株式会社ヒューマンサービスから全株式を買取り、消却済となっております。
4.A種優先株式に係る配当は優先配当であります。この配当金は株式会社ヒューマンサービスが当社株式譲り受けのために調達した資金の返済原資として、定款に基づく配当を実施したものであります。
5.第6期及び第7期の1株当たり当期純利益については、A種優先株式の優先配当額を当期純利益から控除して算定しております。
6.第6期から第8期までの潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。
当社株式は、2023年3月22日に東京証券取引所スタンダード市場に上場したため、第9期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、新規上場日から第9期の末日までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。
7.第6期から第8期までの株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
8.配当性向は、普通株式に係る1株当たり配当額を1株当たりの当期純利益で除して算出しております。
9.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。
10.第7期以降の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人の監査を受けております。
なお、第6期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。
11.第6期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フロー計算書に係る各項目については記載しておりません。
12.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は年間平均人員を()内にて記載しております。
13.当社は、2021年9月30日開催の取締役会決議により、2021年11月1日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行っております。第7期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
14.2023年3月22日付をもって東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場いたしましたので、第6期から第9期までの株主総利回り及び比較指標については記載しておりません。
15.最高株価及び最低株価は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
なお、2023年3月22日付をもって同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。
16.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号令和2年3月31日)等を第8期の期首から適用しており、第8期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
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当社の沿革 |
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2014年5月 |
新興サービス株式会社の株式の引受けを目的に新興リボーン株式会社設立 |
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6月 |
旧新興サービス株式会社の株主から発行済株式の100%を取得し、同社を子会社化 |
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11月 |
旧新興サービス株式会社を吸収合併 商号を新興サービス株式会社に変更 |
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2016年12月 2017年1月 |
新興サービス株式会社の株式の引受けを目的として、株式会社ヒューマンサービス設立 株式会社ヒューマンサービスは、当社普通株式の67.5%を既存株主から取得し、当社を子会社化 |
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2020年4月 |
商号を株式会社SHINKOに変更 |
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2023年3月 |
東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場 株式会社ヒューマンサービスは、上場に伴う当社株式売出により普通株式の所有割合が15.1%となったため、当社の親会社に該当しないこととなり、その他の関係会社となる。 |
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2023年6月 |
当社従業員に付与したストックオプション40個が行使されたことにより、株式会社ヒューマンサービスの普通株式の所有割合が14.8%に低下し、更に同社は実質的に当社代表取締役社長福留泰蔵が100%出資する資産管理会社となり、引き続き当社の主要株主ではあるものの、その他の関係会社に該当しないこととなりました。 |
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旧新興サービス株式会社の沿革 |
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1953年7月 |
東京都港区三田において株式会社新興印刷電信サービスステーションを創業 株式会社新興製作所(現社名)のST型頁式和欧文印刷電信機(テレプリンター)の保守サービス会社並びに保守対応機器の販売会社として発足 |
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1963年8月 |
本社事務所を東京都港区新橋に移転 |
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1969年8月 |
商号を谷村新興サービス株式会社に変更 |
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1972年7月 |
本社事務所を東京都港区西新橋に移転 |
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1982年5月 |
商号を新興サービス株式会社に変更 OA機器(FAX・コピー機等)販売開始 |
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1994年6月 |
東京地区の三洋電機製品販売拡大を目的として、株式会社サンヨーオーエー新興を三洋電機情報機器株式会社との共同出資により設立 |
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1998年1月 |
勧奨退職制度による退職社員の再雇用の場として株式会社エス・エス・エンジニアリングを設立 |
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2001年4月 |
株式会社サンヨーオーエー新興を吸収合併 |
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12月 |
本社事務所を東京都港区西新橋内で移転 |
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2002年4月 |
自社開発の「電気工事積算システム」のバージョンアップ及び開発・販売体制強化を目的として株式会社ドソネ設立 |
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2004年4月 |
株式会社ドソネ解散 |
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2005年1月 |
愛・地球博(日本国際博覧会)にエンジニアを派遣したことを契機に、人材サービス事業を開始 |
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2007年7月 |
ソリューション営業に特化した組織を作り、全国で展開作業等のソリューション事業を開始 |
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2011年5月 |
本社事務所を東京都台東区浅草橋へ移転 |
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2014年11月 |
新興リボーン株式会社と合併。この合併により、旧新興サービス株式会社は消滅 |
当社は、保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業の3事業を柱に、全国60超の拠点より24時間365日エンジニアが機器の保守、導入設計、設置展開サービスを提供しております。
なお、上記3事業は、本書の「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント区分と同一であります。
保守サービス事業
システムのサポート、機器の保守、コールセンター、ヘルプデスクサービスを提供しております。
全国の病院、クリニックに導入されているウィーメックス株式会社(PHC株式会社メディコム事業部とPHCメディコム株式会社が2023年4月に統合)製電子カルテシステム、レセプトコンピュータ(診療報酬明細書発行システム)を始め、調剤薬局に導入されているPHC株式会社製電子薬歴システム、薬剤情報システム、自動錠剤包装機、一包化監査システム、医事コンピュータ、注射薬払出システム、適温配膳車等の保守サービスを受託しております。
全国の病院・一般診療所の数は、厚生労働省の調査によると現在約11万3千件(厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m24/dl/is2402_01.pdf 2024年2月末時点データ)、また、調剤薬局は、全国約6万2千件(厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyk_2_4.html 2022年時点データ)であります。そのうち当社では病院・一般診療所へ導入されている電子カルテシステムやレセプトコンピュータ、調剤薬局に導入されている電子薬歴システム等の機器を合わせて、約3万6千件の保守契約を締結し保守サービス業務を行っております。
電子カルテシステム及びレセプトコンピュータの保守は、顧客と直接保守契約を締結する「ハードウェア保守契約」と機器のメーカーであるウィーメックス株式会社と顧客がハードウェア機器契約を締結した後、当社が顧客に対してサービスを提供し、ウィーメックス株式会社からハードウェア保守料を受領する「システムサポート契約」の2つのパターンがあります。現在ウィーメックス株式会社により、システムサポート契約の締結が促進されており、既存顧客は機器のリプレースのタイミングで順次ハードウェア保守契約からシステムサポート契約へ契約形態を変更しております。また、従来契約を締結しないまま障害発生の都度修理対応をしていた顧客に対しても契約締結を促す意向であることから、毎年契約件数は増加しており、今後もその傾向は継続していくと予測しております。
ウィーメックス株式会社によれば、同社製の電子カルテシステム、レセプトコンピュータは、クリニック(診療所)向けの機器としては高い国内シェアを維持しているとのことですが、顧客がウィーメックス株式会社製の機器を選ぶ理由の一つとして、当社の保守サービスの品質への高い評価も存在すると当社では考えております。
当社は、メーカーに属さない独立系の保守会社であることが強みであり、医療機器やIT機器、非IT機器を問わず様々なメーカー機器の保守対応が可能であり、24時間365日オンサイトサービスを提供しております。
この点が評価され、ウィーメックス株式会社及びPHC株式会社以外にも多くのベンダーから多種多様な機器の保守サービスを委託されており、緊急対応の要否、駆けつけ時間と部品在庫管理等の細かな修理対応サービスレベルに合わせた保守契約を各ベンダーと締結しております。
保守サービス事業の多くは保守契約に基づき継続的に収益が入るストック型ビジネスであることから、経済状況の変動に左右されにくいという特長があります。新型コロナウイルス感染症が拡大し、経済が低迷した2020年以降においても、大きな影響を受けることなく安定した収益を確保できておりました。
また、コールセンターやヘルプデスク業務、機器の稼働状況を継続的にチェックする死活監視業務についても、近年需要が増えております。2024年2月には保守およびソリューションサービスの全社サポート拠点であるテクニカルセンターを東京都台東区から東京都江戸川区に移転、拡充いたしました。
テクニカルセンターはオンサイトサービスの中枢拠点でもあり、障害発生の一次連絡を受付けております。連絡受付後、障害内容を踏まえて対応方法をジャッジし、現地対応が必要な案件については、拠点の管理者(通称ディスパッチャー)へ連絡します。ディスパッチャーはエンジニアを手配したり、訪問前準備をしたり、各種サービスの司令塔として機能し、迅速なトラブル対応を可能にしております。その他テクニカルセンターでは、ネットワークやPCの遠隔監視や診断を行っており、障害発生時にも自動的にアラートが上がる仕組みになっております。また、遠隔監視により、システムの利用が不可能となるような重度の障害を未然に防ぐ等の予防保守にもつながっております。現在は70の企業より業務を受託しております(2024年3月31日時点)。
さらに、今後の保守サービス事業の拡大を目指し、2016年に東京都、2020年には大阪府、2021年には宮城県、2022年には北海道、福岡県、2023年には広島県、2024年には長野県において医療機器修理業の許可を取得しました。医療分野における保守実績のある当社へは、現在多くのメーカーから医療機器の保守依頼や、同業他社からの協業依頼がきております。
ソリューション事業
医療機関、福祉施設、一般企業、官公庁向けにシステムの設計、構築、設置工事、展開管理等のICTサービスを提供、また顧客の要望に合わせた機器の提案、販売をしております。
本社におけるソリューション営業活動では、日本電気株式会社、KDDI株式会社といった大手企業との協業により、ネットワーク機器やPC関連の設定サービスを提供する他、大手総合重工業メーカー物流部門との協業による自動倉庫システムサービスの展開等、様々なサービスメニューを開発、展開しております。これらの案件は本社が全国拠点をマネジメントすることにより、全エリアにおいて同一品質のサービスを提供しております。
また、2024年2月に移転したテクニカルセンターは機器の設定から現地配送までを一括管理するキッティングセンターとしての機能も備えており、東京都八王子市、北海道支店、東北支店、中部支店、関西支店に設置しているキッティングスペースと併せて、品質の平準化を図るべくその体制を強化しております。
また、全国13支店においてもそれぞれソリューション営業の活動をしております。特に地元企業とのリレーションに力を入れ、例えば北海道支店における家畜セリシステムといった地元ならではの機器に関わるソリューション案件も獲得しております。
顧客からの情報収集、営業提案、ネットワークの設計、構築、機器の設置展開、更に保守サービス事業へ引き継いでの運用管理、オンサイトサービスという一連の流れをワンストップで提供できることが当社の強みであります。2023年には古物商(事務機器商)の許可を取得し、IT資産の選定から廃棄までのライフサイクルを各プロセスに応じてサポートするLCMサービス事業の展開が可能となりました。
人材サービス事業
IT機器の保守、点検、修理を行うカスタマエンジニア(以下、「CE」といいます)、システムの設計や、ネットワークの設計・構築、派遣先企業のフロント営業のサポートを行うシステムエンジニア(以下、「SE」といいます)を派遣しております。
主要取引先であるNECフィールディング株式会社へはCEを、KDDIグループへはSEを派遣しております。
NECフィールディング株式会社とは1967年のプリンター保守サービスの提供をきっかけに、以来長期に渡る取引の中で当社のエンジニアの技術力が評価され、現在は140名を超えるCEを派遣しております(2024年3月31日時点)。
KDDIグループからは、2005年の日本国際博覧会におけるSE派遣以来、継続して派遣の要請があり、現在は60名のSEを派遣、また20名が準委任契約又は請負契約による業務に従事しております(2024年3月31日時点)。上記2社からは、毎年多くの増員要請を受けております。
また、その他複数の企業にもエンジニアを派遣しており、派遣を契機にソリューションや保守案件を受託するケースが増えております。
人材サービス事業全体の各期末時点における派遣人員数は、2020年3月期233名、2021年3月期241名、2022年3月期262名、2023年3月期254名、2024年3月期257名と推移しております。IT人材不足という市場環境において、派遣の需要が毎年増え続けていることから、今後も機会損失が無いよう、毎年計画的に派遣人員を採用し、社内研修による資格取得推進を始め、スキルアップを図っております。
人材サービス事業は保守サービス事業同様、派遣契約に基づくストック型のビジネスが主であります。
当社の社員は入社後、CEあるいはSEとしての教育を受け、必要な資格を取得した上でそれぞれ拠点へ配属されます。エンジニアは各配属先において現場経験を積むことや、資格取得講習等を受講することにより、必要なスキルを身に付けていきます。その後、ジョブローテーションにより、新たな部署で経験を積むことで、マルチな対応が可能なエンジニアへとスキルアップしていく、そのような環境が当社にはあります。
当社には現在700名を超えるエンジニアがおり(2024年3月31日時点)、その多くはCEとSEの両スキルを保有しております。特定の時間に集中していることが多い保守サービス業務の前後の時間に機器の設定や設置等作業を行うことにより、業務効率が上がり、生産性の向上につながっております。
このように、保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業全てに対応でき、各事業の知見があるエンジニアが、自身の配属先あるいは派遣先での業務に従事する中で、取引先企業の抱える課題や需要を把握し、当社の3事業の特長を生かした提案をすることで、新たなビジネスが生まれております。他にも当初機器の導入展開案件を受託した取引先から、その次のステップである運用管理まで依頼されるケースも増えてきております。このように、事業間シナジーにより新規案件を獲得できること、3事業を通じて様々な市場に参画できるといった強みがあります。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
該当事項はありません。
なお、2023年6月30日付で、当社のその他の関係会社であった株式会社ヒューマンサービスが、その他の関係会社に該当しないこととなりました。異動に至った経緯は次のとおりです。
当社のその他の関係会社に当たる株式会社ヒューマンサービスは、当社議決権の15.1%を所有する筆頭株主である主要株主であり、当社の代表取締役社長 福留泰蔵が、同社の代表取締役社長を兼任しているため、その他の関係会社に該当しておりました。2023年6月30日付で、当社従業員に付与したストックオプション40個が行使され、当社発行済株式数が1,834,000株となったことにより、同社の当社議決権の所有割合が14.8%となりました。また、株式会社ヒューマンサービスは、2023年6月29日に自己株式の一部取得及び消却と、2023年6月30日に福留泰蔵の資産管理会社である福留興産株式会社への同社個人株主からの株式譲渡を実施し、福留泰蔵の直接保有する株式比率が51.2%、福留興産株式会社の保有する株式比率が48.8%となりました。これにより、株式会社ヒューマンサービスは実質的に福留泰蔵が100%出資する資産管理会社となり、引き続き当社の主要株主ではあるものの、その他の関係会社に該当しないものと判断いたしました。
(1)提出会社の状況
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2024年3月31日現在 |
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従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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( |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
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保守サービス事業 |
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( |
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ソリューション事業 |
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( |
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人材サービス事業 |
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( |
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報告セグメント計 |
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( |
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全社(共通) |
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( |
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合計 |
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(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属している者であります。
(2)労働組合の状況
提出会社における労働組合の状況は下記のとおりであります。なお、労使関係は円満であり特記すべき事項はありません。
名 称 SHINKO従業員組合
組合員数 2024年3月31日現在の組合員数は、430人であります。
上部団体 所属する上部団体はありません。
(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
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当事業年度 |
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管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1. |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2.3. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)2.4.5. |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
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(注)1.管理職に占める女性労働者の割合は当事業年度末(2024年3月31日)時点の数値です。「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。パートタイマーの管理職を含めて割合を計算しています。
2.男性労働者の育児休業取得率及び男女の賃金差異算出の対象期間は当事業年度(2023年4月1日~2024年3月31日)です。
3.男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号の方法により算出したものです。
4.男女の賃金差異は、女性労働者の平均年間賃金÷男性労働者の平均年間賃金×100%として算出しています。また、平均年間賃金は、総賃金(賞与及び基準外賃金を含む)÷人員数として算出しています。
5.非正規雇用労働者は嘱託社員、無期転換社員、臨時雇用者及びパートタイマーを対象に算出していますが、パートタイマーについては、フルタイム換算をせず、実際に支給した賃金に基づき算出しています。