当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、以下のミッションを掲げ、「建設業界のニッチ領域の課題を解決するデジタル事業を創造し続ける企業」として、職人が持つ高度な暗黙知をシステムとして具現化することで、クライアント企業の業務効率化から新事業の創出へとつなぐ新たな形のDXを実現します。
領域:巨大な建設業界
建設業界は、非効率なレガシーシステムによる課題を抱える、数多くのニッチ領域で構成された市場
建設市場は国内だけで約75兆円(※1)の規模を持つ巨大な市場でありながら、SaaS化されている領域は施工管理等のごく一部に限られており、未だ非効率なレガシーシステムによる課題を抱えた数多くのニッチ領域が存在します。
当社グループは、「3Dを核としたシステム開発の技術力」、「建設業に特化した開発実績により蓄積したナレッジ」、「課題発見~プロダクト開発~事業化までの全工程をハンズオンで実施する事業創出力」の3つの強みを活かし、建設業界における労働生産性の低迷や就業者の高齢化の進行等の深い課題を解決することができる企業として、DX化において大きなポテンシャルを持つ建設業界内でのユニークなポジショニングを構築してまいります。
※1 国土交通省総合政策局 情報政策課建設経済統計調査室「2025年度建設投資見通し」
事業:デジタル事業立ち上げ
業界の大手企業と共創プロダクトを開発し、共に販売していく
当社グループは、クライアント企業との継続的な協同関係を通じて、DXにかかる課題発見から、課題を解決するプロダクトの共同開発、プロダクト販売の事業化までのプロセスを、一気通貫で支援いたします。開発した共創プロダクトは、クライアント企業を通じて、又は当社とクライアント企業とのジョイントベンチャー等の設立を通じて、外部へ販売することにより、単なるソフトウエア開発の受託にとどまらない継続的な収益拡大を目指します。
特徴:ニッチ領域をBIM/SaaS化
ニッチ領域のレガシーシステムに置き換わる新たなシステムを開発し、高いマーケットシェアを獲得する
当社グループは、建設業界にある数多くのニッチ領域に狙いを定め、自社及び共創でBIM化・SaaS化されたプロダクトを開発し、こうしたニッチ領域の非効率的なシステム(レガシーシステム)を置き換えていくことで、高いマーケットシェアを獲得し、高利益率を実現してまいります。
(2)経営環境
・建設業界の状況
現在の建設業の労働生産性は製造業の約50%といわれており、また、業界の高齢化が進んでいる状況にあります。当社グループは、建設業界は細分化された多重下請け構造が長年の課題を複雑化し、DXの推進が非常に難しい業界であるため、高齢化に伴い職人の暗黙知が消滅していく危機にあると考えており、こうした高度な暗黙知を、高い数学力・深い業界知識で解き明かし、モデル化する力でシステムへと昇華させ、誰もが使えるよう「知」の民主化を進めます。
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建設業の労働生産性 |
建設業就業者の年齢層別割合 |

(出所)
建設業の労働生産性:一般社団法人 日本建設業連合会「建設業デジタルハンドブック」2025年7月更新データ
建設業就業者の年齢層別割合:同 2025年5月更新データ
・建設業界を取り巻く法規制
建設業界のDXの基盤となるBIM利用について、国土交通省は、建設業界の長年の課題である生産性向上を解決する手段として、以前から導入の検討を続けておりましたが、近年、新型コロナウイルス感染症の影響により、各企業でのデジタル化が進んだことを背景に、2023年度からの公共事業におけるBIM利用の原則化を決定、その後のBIM利用の対象範囲を順次拡大していく方針を発表しております。(出所:国土交通省「令和5年度のBIM/CIM原則適用に向けた進め方」)
また、建設業への適用が5年猶予されていた時間外労働の上限規制について猶予期間が終了し、2024年4月より適用が開始されております。(2019年施行 改正労働基準法 第36条)
このような法規制等の状況により、業界の生産性向上はまさに喫緊の課題となっています。当社グループは、3Dを核とした建設業界のDXに必要な技術を網羅しており、特にBIMに関しては、空間自動設計システム「PlantStream®」や、自動配筋ソフト「LightningBIM自動配筋」といったBIM関連製品を生み出してきた実績があります。こうした技術力を活かし、建設業界の大幅な生産性向上を実現します。
・市場規模
当社グループは、建設業界のIT投資額は、日本国内の建設投資見通し額約75兆円(出所:国土交通省総合政策局 情報政策課建設経済統計調査室「2025年度建設投資見通し」)に対し、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査報告書(2025)」等を基に当社が見積もった建設・土木業界における売上高に占めるIT投資割合を乗じることで、約1兆円程度と当社では試算しております。そのうち当社グループがターゲットとする市場規模は、Strainer「建設業 売上高ランキング(2023年1月時点)」等を基に建設業界大手(売上高1,000億円以上)の売上高シェアを約55%と仮定し、約5,500億円と当社では試算しております。
その市場規模の中、前述のBIM原則適用、建設業における時間外労働の上限規制の適用開始の法規制の追い風の元、10%のシェア(売上高約550億円)獲得を目指し、建設業界の深い課題を解決することができる企業として、DX化において大きなポテンシャルを持つ建設業界内でのユニークなポジショニングを構築していきます。また、建設業界においてIT投資が占める割合は他産業と比べて低く、これまで述べたような課題も残されているため、未開拓の市場が多く存在し、将来的には市場規模の更なる拡大も見込めるものと考えております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、クライアント企業に付加価値の高いサービスを提供し続け、M&Aによるプロダクトの拡充を続けることにより、事業の継続的な拡大と企業価値の向上を図ることが重要だと認識しており、事業の成長性を表す売上高成長率と、収益力を表す売上高営業利益率を重要な経営指標と考えております。
(4)経営戦略等
当社グループは、短期(~FY2025)的には、現在のメイン事業であるプロダクト共創開発におけるクライアントとの取り組み拡大に注力し、非連続成長の達成を目指してまいります。そして、中長期(FY2025~)的には、当社グループが開発した建設業界各領域における「共創プロダクト群の拡販」及び「M&Aによるプロダクト拡充」を実行し、継続的成長を実現する構想を持っております。
(成長戦略のロードマップ)
短期的に実行する具体的なアクションは以下のとおりです。
・プロダクト共創開発の堅実な遂行
当社グループは、現在、建設業界の複数社よりプロダクト共創開発の大型案件を受注し、開発を継続しております。また新規の業界大手からの引き合いも増加しており、こうした案件を確実に事業化し、更なる収益拡大へとつなげるとともに、現在受注している開発を堅実に遂行し、高品質なプロダクトの作成に注力いたします。
・PR、ブランディング施策による更なる案件の獲得
当社グループのクライアントとの取り組みをPR・ブランディングすることで、建設業界におけるDXのポジショニングを確立し、認知度拡大による更なる案件獲得につなげることを目指し、様々な媒体による広報活動の強化を実施してまいります。
・開発体制の強化
当社グループの技術力を維持しながら、事業規模を拡大するためには、優秀なエンジニアの採用が必要不可欠です。当社グループは、フルリモートワークも可能な環境を整備し、海外子会社を設立するなど、国内・海外を問わない積極的かつ柔軟な採用活動を展開し、開発体制の強化を進めております。
・プロダクト事業の成長戦略の遂行
これまで主にDX事業を中心に展開してきましたが、近年はM&A戦略を通じてプロダクトラインナップを大幅に拡充し、以下の3つの戦略を軸に、事業成長を加速させていきます。それぞれの戦略は単独でも成果を生み出しますが、同時に実行することで相乗効果を高め、リスクや突発的な変化にも柔軟に対応できる体制を構築します。
①AIブースト戦略
業務用ソフトウエアにAI機能をあらかじめ組み込み、ユーザーが特別な操作や意識を必要とせずにAIの支援を受けられる「AIブースト戦略」を推進してまいります。
②プロダクト群戦略
建設業界の現場課題に対応する中小規模のSaaSをグループに迎え、それぞれの経営の独立性を尊重しながら長期的に育成する「プロダクト群戦略」を推進してまいります。
③コンサルティング直営業戦略
業界ナレッジに精通した営業体制を自社で構築し、製品説明にとどまらない課題起点のコンサルティング直営業を展開していきます。この「コンサルティング直営業戦略」により、提案の幅と収益性を両立させながら、プロダクトのさらなる拡販と企業価値の向上を目指してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの優先的に対処すべき事業上の課題は以下のとおりであります。なお、財務上の課題は、本書提出日現在において、当社の財務は安定しており、優先的に対処すべき課題がないため記載しておりません。
①PlantStreamの顧客拡大、営業強化
当社グループの想定する顧客は、国内外の大手EPCコントラクター、プラントオーナー、中小EPCコントラクター等であり、現在は国内顧客への販売を中心としておりますが、国外への販売拡大を目指し、営業活動を展開しております。それにより売上は社数×ユーザー数で右肩上がりでの伸長を図っていく方針です。
②デジタル新事業の拡大
当社グループは、千代田化工建設株式会社とのプロダクト共創開発の成果である「PlantStream®」や高砂熱学工業株式会社と共同開発した「PLANETS -開発コードネーム-」等のリリースをはじめとして、建設業界・プラントエンジニアリング業界におけるDX支援の実績を重ねることで、着実に知名度が上がり、各クライアントからの受注が増加しております。このような状況の中、売上高の成長及び売上高営業利益率の向上を目指すには、当社グループの強みである「技術力・ナレッジ・事業創出力」の3つを活かしながら、新事業の創出を実現できる案件を見きわめる必要があります。当社グループは、建設業界のニッチ領域におけるシェア拡大につながる案件を積極的に獲得する方針です。
③採用の強化、組織体制の整備
当社グループの事業規模拡大が想定される中、一連のプロセスの実行において、コンサルタント、エンジニア、プログラマー、プロジェクトマネージャー等の様々なIT人材が必要となります。積極的な採用活動を推進していく一方で、従業員が中長期にわたって活躍しやすい環境の整備、人事制度の構築やカルチャーの推進等を進めてまいります。
④管理体制の強化
当社グループは、成長段階にありここ数年で組織が急速に拡大しておりますが、事業の継続的な成長には業務運営の効率化やリスク管理のための十分な内部管理体制の整備、マネジメント人材の拡充が重要だと考えております。このため、業務効率化のための社内基幹システムのリプレイスやバックオフィス業務の整備、経営の公正性及び透明性を確保するための内部監査の強化、監査役監査によるコーポレート・ガバナンスの充実などを行ってまいります。また、組織の拡大ペースに合わせる形でマネジメント人材の採用や育成、教育研修等を実施していく方針です。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、以下の困難な課題を抱える建設業界において、DX支援のためのコンサルティング・システム開発を通して、課題の解決及びサステナビリティの向上に取り組んでまいりました。
(課題①:従業員の高齢化)
「建設業デジタルハンドブック」(一般社団法人 日本建設業連合会、2025年5月更新データ)によれば、2024年の建設業就業者の年齢別構成比は、55歳以上が36.7%(全産業では32.4%)、29歳以下が11.7%(全産業では16.9%)であり、他産業と比べても著しい高齢化が進んでおります。円滑な世代交代が不可欠な状況であり、サステナビリティの向上における課題であります。
当社グループは「暗黙知を民主化する。」というミッションを掲げ、その事業を通して、熟練工の持つ「暗黙知」をシステム化し、次世代へと受け継ぐことで、将来にわたる建設業の生産体制の維持に貢献しております。
(課題②:長時間労働)
同じく「建設業デジタルハンドブック」(2025年5月更新データ)によれば、2024年の建設業の年間労働時間は1,943時間(調査産業計では1,714時間)であり、調査産業計に比べて約229時間増の長時間労働となっております。長時間労働の改善は、法規制の遵守という面にとどまらず、従業員の心身の健康を保ち、柔軟かつ多様な働き方を可能とする観点からも重要であり、サステナビリティの向上における課題であります。
当社グループは、プラント設計における配管作業を自動的に行うソフトウエア「PlantStream®」、建設設計における配筋検討プロセスを自動化するソフトウエア「LightningBIM 自動配筋」やファミリデータをクラウドで管理し、情報の手動修正やバージョン確認作業を不要にするソフトウエア「LightningBIM ファミリ管理」といったプロダクトを開発・提供し、手作業の削減等による生産性の向上を実現することで、課題の解決に貢献しております。
当社グループのこうした取り組みは、高度な数学力と3D技術を有するエンジニア等の人材により支えられており、人的資本の維持向上が、当社グループのサステナビリティ関連の最重要課題であると認識しております。
上記の認識の下、当社グループは下記の施策に取り組んでおります。
(1)ガバナンス
当社グループは、コーポレート・ガバナンスの一環として、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンス体制を整備しております。
当社グループのコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「
特に最重要課題である人的資本の維持向上に関しては、月1回の定時取締役会において人員推移の報告を実施するなど、継続的なモニタリングを行っております。
(2)戦略
当社グループの経営方針・経営戦略等において、サステナビリティ関連の最重要課題は、高い技術力と深い業界知識を併せ持つエンジニア等の人材を中心とした人的資本の維持向上であります。
上記の課題に対応するため、当社グループでは、フルリモートワークの実施とフレックスタイム制の採用等により、場所や時間にとらわれず、各役職員の状況に応じた働き方を可能とする社内環境整備に努め、多様かつ優秀な人材の確保につなげる方針であります。
また、従業員の安全及び健康に関しては、ハラスメント等に関する相談窓口、心とからだの相談窓口を設置しており、随時相談の受付を行うとともに、定期的に全役職員を対象としたハラスメント防止研修を実施する等、多様な人材が心身の健康を保ち、その能力を十分に発揮できるような社内環境整備に努める方針であります。
(3)リスク管理
当社グループは、リスク管理規程を定めるとともに、四半期に1回のリスク管理委員会において、サステナビリティ関連のリスクを含む重要なリスクについて報告・審議・検討を行っております。
(4)指標及び目標
当社グループは、サステナビリティ関連の最重要課題である人的資本の維持向上の実現を目指し、多様な人材が活躍できる社内環境を整備するため、以下の指標を意識して各種施策に取り組んでおります。なお、外国籍従業員の割合は当社グループの人材の多様性を示す指標の一つとして記載しておりますが、特定の数値にとらわれず人材を確保する観点から、目標値は設けておりません。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度末) |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境について
①業界や市場動向について(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループはIT業界においてプラント・建設業界の課題解決DX、ソフトウエア開発及びサービス提供を主たる業務としております。
建設業界のIT投資額については、日本国内の建設投資見通し額約75兆円(国土交通省総合政策局情報政策課建設経済統計調査室「2024年度建設投資見通し」より)に対し、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査報告書(2024)」を基に当社が見積もった建設・土木業界における売上高に占めるIT予算比率を乗じることで、約1兆円程度と当社では試算しております。建設業界は2023年度よりBIMの原則適用、2024年より時間外労働の上限規制が始まっており、生産性を向上させるため、IT投資は継続的な成長が見込まれております。
当社グループは、高い数学力や深い業界知識を必要とするプラント・建設業界の課題解決DX、ソフトウエア開発及びサービス提供を行うことによって、建設業界のIT投資動向に左右されにくい事業の構築に努めておりますが、国内外の経済情勢や景気動向が変化し、企業がIT投資額を大幅に縮小した場合、当社グループの主たる顧客であるプラント・建設業界の市況が悪化した場合、あるいは予期せぬ事態等により市場成長率の鈍化又は市場規模が縮小する事態となった場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
②競合他社について(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:数年以内、影響度:中)
当社グループはプラント・建設業界の課題解決DX、ソフトウエア開発及びサービス提供を中心に事業展開をしてきており、数多くの競合企業が存在しております。
当社グループは、プラント・建設業界の深い知識を有するプログラマーの高い技術力を背景に競合他社との差別化を図っており、コンサルティング力や技術力の強化に努め競争優位性の確保に努めておりますが、当社グループの競争力が低下した場合には、受注が減少し、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③技術革新への対応について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:数年以内、影響度:中)
IT業界は、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に速く、それに伴い、常に新しい技術やサービスが生み出されております。当社グループの事業においては技術力が競争力の源泉であるため、技術革新への対応が遅れることは当社にとって重大なリスクになると考えております。従いまして、技術革新に迅速に対応できるよう、常に市場動向を注視し技術革新への対応を講じることにより、今後も競争力のあるサービスを提供できるように取り組んでおります。また優秀なITエンジニアの確保や社内勉強会の開催等による社員のスキルアップにも注力しております。
しかしながら、例えば、AI技術の急速な発達により、当社の採用するアルゴリズムより高速に計算が可能となる技術が実用化された場合等、予想以上の急速な技術革新や代替技術・汎用的な競合商品の出現等により、当社グループのサービスが十分な競争力や付加価値を確保できない場合には、新規受注の減少や既存顧客の離反を招来し、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④システムリスクについて(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは事業及び社内管理の基盤をインターネット通信網に依存しており、通信ネットワーク機器の故障及び自然災害や火災・事故等によるシステム障害を回避すべく、稼働状況の監視、定期的なバックアップの取得等の未然防止・回避策を実施しております。
しかしながら、大地震等の自然災害が発生した場合の、電力供給やインターネットアクセスの制限等、コンピューターウイルスやハッキングなどの外的攻撃やソフトウエアの不具合、その他予測できない重大な事象が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容について
①特定の販売先への依存について(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:数年以内、影響度:中)
当社グループにおいて高砂熱学工業株式会社及び株式会社PlantStreamに対する売上高は高い水準にあります。
(販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合)
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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高砂熱学工業株式会社 |
1,552,850 |
52.8 |
1,239,233 |
30.8 |
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株式会社PlantStream |
711,603 |
24.2 |
711,166 |
17.7 |
(注)株式会社PlantStreamに対する販売実績は、完全子会社化後の連結上の相殺処理を反映した金額であります。
株式会社PlantStreamは当社の関連会社でしたが、2025年3月に完全子会社化いたしました。そのため今後、連結損益計算書の売上高には、株式会社PlantStreamに対する株式会社Arentの売上高に持分法を適用した金額ではなく、株式会社PlantStreamでのライセンス販売等による売上高の金額を計上することになりました。そのため当該取引の依存リスクは解消される見込みです。一方で高砂熱学工業株式会社とのプロダクト共創開発は順調に進捗しており、引き続き高い水準での取引関係が継続しております。当社グループとして特定販売先への依存度は低下傾向にありますが、当社グループでは、今後もソフトウエア開発取引を継続しながら、他の既存顧客との取引拡大や新規顧客の獲得をすることによって、依存度が低下していくものと考えております。しかしながら、依存度が想定どおり低下せず、当該との取引が縮小した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②情報セキュリティについて(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループでは、クライアント企業のシステム開発を手掛けているため、顧客側で保有している機密情報に触れる場合があります。機密情報の取り扱いについては、情報システム管理規程、個人情報取扱規程等を整備し、定期的に社内研修を実施することにより周知徹底を図るとともに、外部機関の情報セキュリティに関する認証を取得するなど、適切な運用を義務づけております。
しかしながら、このような対策にも関わらず当社グループの人的オペレーションのミス、その他予期せぬ要因等により情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任等を負う可能性や顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制について
①知的財産について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
ソフトウエア業界においては、多くの特許出願がなされており、当社グループにおいても新技術に対して積極的に特許出願を行っております。今後も数多くの特許出願が予測され、あわせて特許権侵害等の問題が生じることが考えられます。
当社グループでは、製品開発において特許権の侵害等がないかチェックを行っております。また、リスク管理委員会・コンプライアンス委員会の活動を通して課題と対応策の検討を行っております。しかしながら、このような対策にも関わらず、第三者と知的財産権に関する問題が発生した場合、顧問弁護士及び弁理士と対応を協議していく方針ですが、案件によっては解決に時間と費用を要し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②訴訟について(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、事業を展開するなかで、当社グループが提供するサービスの不備等により、何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟の提起がなされる可能性があります。その場合、当該訴訟に対する防御の為に費用と時間を要する可能性があるほか、当社グループの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)社内組織について
①内部管理体制について(発生可能性:小、発生する時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、更に法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②人材の採用・育成について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、今後急速な成長が見込まれる事業の展開や企業規模の拡大に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが必須であると認識しております。質の高いサービスの提供や競争力の向上に当たっては、開発部門を中心に極めて高度な技術力・企画力を有する人材が要求されていることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を継続的に採用すると共に、成長ポテンシャルの高い人材の採用及び既存の人材の更なる育成・維持に積極的に努めていく必要性を強く認識しております。そのため、当社では採用体制の強化、人材育成計画・人事評価制度の向上を図る方針であります。
しかしながら、特にエンジニア等の一定の人材の確保に関する競争は激しく、当社グループの採用基準を満たす優秀な人材の確保や人材育成が計画どおりに進まなかった場合、コアメンバー、熟練エンジニアの退職又は人材確保のためにより高額の報酬を支払うこととなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③特定の人物への依存に係るリスクについて(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の代表取締役社長である鴨林広軌は、当社の経営方針や事業戦略の立案・決定及び遂行において、重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会やその他会議体において役員及び従業員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の経営執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他
①株式の希薄化について(発生可能性:大、発生する可能性のある時期:数年以内、影響度:小)
当社は、2019年12月に、役職員等に対して会社業績の向上への意識を強くさせるため、新株予約権信託を用いたインセンティブプランを導入する等、新株予約権の発行を行っております。この新株予約権が行使された場合は、新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は468,400株であり、発行済株式総数6,538,085株の7.2%に相当しております。
②資金使途について(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:数年以内、影響度:中)
株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、当社グループの事業のさらなる拡大のため、広告宣伝費及び事業成長のための採用費用、人員増による人件費、自社プロダクトの開発費などに充当する予定であります。しかしながら、上述に記載したように様々なリスク・不確実性のなかで事業運営を行っており、事業環境が変化することも考えられるため、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。
また、市場環境の変化により、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性が発生した場合には、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりとなりました。
(資産)
資産合計は、前連結会計年度末比1,024,091千円増加し、6,084,513千円となりました。これは主に、のれんが839,108千円増加したことによるものです。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末比347,498千円増加し1,282,684千円となりました。これは主に、連結子会社の追
加によって契約負債が429,584千円増加した一方、償還により、社債及び1年内償還予定の社債が81,000千円減少したことによるものです。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末比676,593千円増加し、4,801,829千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が633,499千円増加したことによるものです。
②経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的な金融引締めの影響や中国経済の先行き懸念等が景気を下押しするリスクは存在するものの、雇用・所得環境が改善する下で緩やかに持ち直しつつあります。
また、AI技術の普及が急速に進むなど、企業のデジタル化・DX推進の流れは継続しており、当社グループが主なターゲットとする建設業界においても、時間外労働の上限規制等への対応が求められる中、DXによる生産性向上への関心が高まっています。
このような中、当社グループは、クライアントの課題を把握し、モデル化・実装まで一気通貫でDXを推し進めるためのソフトウエア開発及びサービス提供を行っております。
特に、建設業界のDX需要の高まりに狙いを定め、当社グループの強みの一つである「3Dを核としたシステム開発の技術力」を活かし、クライアント企業の業務効率化を実現する高品質なプロダクトの共創開発に注力しております。
また、当社グループは、プロダクト共創開発の更なる拡大とともにM&Aによるプロダクト群の拡充を目指してい
ます。これまでに開発したプロダクトである空間自動設計システム「PlantStream®」や、建設業界のBIM化を推進
するソフトウエア「Lightning BIMシリーズ」に加えて、M&Aにて子会社化した株式会社構造ソフトのプロダクトな
どの販売拡大を目指し、営業活動の強化に取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の売上高は4,028,518千円(前連結会計年度比37.0%増)、営業利益は1,690,673千円
(同36.8%増)、経常利益は868,015千円(同9.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は633,499千円(同3.7%
減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(プロダクト共創開発)
プロダクト共創開発では、建設業界からの大型の受託開発の受注等により、業績は堅調に推移いたしました。この結果、当セグメントの売上高は3,386,890千円(前連結会計年度比14.1%増)、セグメント利益は1,414,511千円
(同2.6%増)となりました。
(共創プロダクト販売)
共創プロダクト販売では、空間自動設計システム「PlantStream®」の販売を進め、着実に顧客層を拡大いたしま
した。この結果、当セグメントの売上高は274,979千円(前連結会計年度比18.4%増)となりましたが、ソフトウ
エア減価償却費等の計上により、セグメント損失は210,696千円(前連結会計年度は268,665千円の損失)となりま
した。
なお、共創プロダクト販売の売上高及びセグメント利益の金額は、当社の持分法適用関連会社であった株式会社PlantStreamの財務情報の金額に当社の持分割合を乗じた金額であるため、連結損益計算書において、当セグメン
トの売上高は計上されず、持分法の会計処理を通じて、持分法による投資損失に反映されております。
(自社プロダクト)
自社プロダクトでは、2022年4月にリリースした自動配筋ソフト「Lightning BIM 自動配筋」の販売を進めると
ともに、これに続くプロダクトの開発を継続して行い、2024年1月に「Lightning BIMシリーズ」の第2弾となる
「Lightning BIM ファミリ管理」をリリースいたしました。また連結子会社化した株式会社構造ソフト、株式会社
PlantStreamの連結子会社化後の経営成績は「自社プロダクト」セグメントへ追加しております。この結果、当セ
グメントの売上高は335,665千円(前連結会計年度比1,281.6%増)、セグメント損失は86,948千円(前連結会計年度
は90,071千円の損失)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比26,468千円減少し、3,826,528千円とな
りました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は840,732千円(前年同期は850,215千円の獲得)となりました。これは主に、税金等
調整前当期純利益1,092,600千円、法人税等の支払額383,375千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は841,386千円(前年同期は43,299千円の使用)となりました。これは主に、M&Aによ
る連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出379,420千円や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得
による収入155,540千円、関連会社貸付けによる支出500,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は19,555千円(前年同期は168,809千円の使用)となりました。これは主に、社債の
償還による支出81,000千円、株式の発行による収入53,163千円によるものであります。前年同期比では、株式の発
行による収入51,665千円が増加いたしました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
プロダクト共創開発 |
3,386,890 |
114.1 |
|
共創プロダクト販売 |
274,979 |
118.4 |
|
自社プロダクト |
335,665 |
1,381.6 |
|
報告セグメント計 |
3,997,535 |
124.0 |
|
調整額 |
30,982 |
- |
|
合計 |
4,028,518 |
137.0 |
(注)1.プロダクト共創開発の販売実績のうち、当社の持分法適用関連会社であった株式会社PlantStreamに対するものは、調整額において、持分法適用による未実現損益の消去を行っております。
2.共創プロダクト販売の販売実績の金額は、当社の持分法適用関連会社であった株式会社PlantStreamの販売実績の金額に当社の持分割合を乗じた金額であるため、調整額において消去しております。
3.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主に、自社プロダクトにおいて、M&Aによる連結子会社の売上の増加などによるものであります。
4.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
高砂熱学工業株式会社 |
1,552,850 |
52.8 |
1,239,233 |
30.8 |
|
株式会社PlantStream |
711,603 |
24.2 |
711,166 |
17.7 |
(注)株式会社PlantStreamに対する販売実績は、完全子会社化後の連結上の相殺処理を反映した金額であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、その補足事項は以下のとおりであります。
(ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定、のれんの評価)
当社グループは事業用の重要な資産としてソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)及びのれんを保有しており、固定資産の減損の兆候が存在する場合には、当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの見積りに基づき、減損の認識の要否の判定を実施しております。判定の結果、減損損失を認識した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、株式会社PlantStreamにおいて、ソフトウエアの減損損失を計上しており、当該減損損失の計上額は当連結会計年度において614,589千円であります。この金額は当社の持分法適用関連会社であった株式会社PlantStreamの財務情報の金額に当社の持分割合を乗じており、持分法による投資損失に含めております。
将来キャッシュ・フローの見積りは、事業計画を基礎としておりますが、主要な仮定として、将来における獲得見込み顧客へのライセンス販売額(単価に件数を乗じた金額)並びに既存顧客及び将来における獲得見込み顧客の顧客単価上昇率・解約率(継続率)があります。主要な仮定は、いずれも不確実性を伴うため、今後の継続的な経営成績の悪化や経済環境の変化等により、事業計画と実際の経営成績に乖離が生じた場合、関係会社において固定資産の減損損失が発生し、当社の翌連結会計年度の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は、前連結会計年度比1,088,992千円増加し、4,028,518千円(前連結会計年度比37.0%増)となりました。これは主に、プロダクト共創開発における受注の増加やM&Aによる自社プロダクトの売上増加などによるものです。将来的な事業化も見据えた大型の案件が進行中であり、規模を徐々に拡大しながら安定的に受注を獲得しております。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、前連結会計年度比241,121千円増加し、1,476,183千円(同19.5%増)となりました。これは主に、売上高の増加に応じた労務費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は、前連結会計年度比847,871千円増加し、2,552,334千円(同49.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比393,390千円増加し、861,661千円(同84.0%増)となりました。これは主に、採用強化に伴う採用教育費及び人件費の増加やM&Aの関連費用の発生などによるものであります。この結果、営業利益は、前連結会計年度比454,480千円増加し、1,690,673千円(同36.8%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、受取利息の増加等により前連結会計年度比10,685千円増加し、12,745千円(同518.8%増)となりました。営業外費用は、持分法による投資損失の増加等により、前連結会計年度比559,017千円増加し、835,402千円(同202.3%増)となりました。この結果、経常利益は、前連結会計年度比93,851千円減少し、868,015千円(同9.8%減)となりました。
なお当社グループの持分法適用関連会社であった株式会社PlantStreamは、2025年3月付で株式を追加取得したことにより連結子会社化しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比24,663千円減少し、633,499千円(同3.7%減)となりました。
③経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社グループは、主な経営指標として売上高成長率及び売上高営業利益率を重視しており、各指標の推移は以下のとおりです。
当連結会計年度の売上高成長率は、プロダクト共創開発における受注の増加やM&Aによる自社プロダクトの売上増加などの結果、37.0%となりました。また、当連結会計年度の売上高営業利益率は、プロダクト共創開発の売上増加と、効率的な事業運営と適切なコスト投下の徹底の結果、引き続き高い水準を維持し、42.0%となりました。いずれも高い水準を実現できたと考えております。
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
売上高成長率 |
45.4% |
37.0% |
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売上高営業利益率 |
42.1% |
42.0% |
④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、業績が堅調に推移する中、売掛債権の回収期間は1~2ヵ月程度の短期間を維持したため、840,732千円のプラスとなり、健全な状況と考えております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、M&Aによる連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出等の戦略的な成長投資の実行により、841,386千円のマイナスとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出や社債の償還による支出等により、19,555千円のマイナスとなりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、3,826,528千円となっており、十分な流動性を確保しております。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、主として内部資金を活用し、不足分は金融機関からの借入等により資金調達を行っております。また、売掛金の未回収等の突発的な事象に備え、取引金融機関と当座貸越契約の締結により必要資金を調達できる体制をとっております。
当社の資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費及びM&Aの実行資金です。この資金需要に対する財源は、営業活動で得られる自己資金と、銀行からの長期借入金を主に活用しておりますが、M&A等の高額な資金需要に対しては、取引金融機関からの借入等のほか、その規模に応じた適切な資金調達手段も検討してまいります。
(1)技術支援契約
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契約会社名 |
相手先の名称 |
相手先の住所 |
契約 締結日 |
契約期間 |
契約内容 |
|
株式会社Arent (当社) |
株式会社 PlantStream |
東京都港区浜松町二丁目7番19号 |
2020年 7月31日 |
2020年8月3日から3年間(当社又は株式会社PlantStreamから書面による終了の申し出がなければ1年間延長される) |
プロセスプラント、医薬品プラント、食品プラント、洋上プラント、船舶プラント、発電プラント等の各種プラントの配管、ダクト、ケーブル等自動ルーティングプログラムを含む産業プラントの空間自動設計システムの開発、アップデート及び販売等を助成することを目的とした技術サポートの提供 |
(2)利用許諾に関する合意
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契約会社名 |
相手先の名称 |
相手先の住所 |
契約 締結日 |
契約期間 |
契約内容 |
|
株式会社Arent (当社) |
株式会社 PlantStream |
東京都港区浜松町二丁目7番19号 |
2021年 7月6日 |
2021年7月6日から(1)技術支援契約の終了まで |
当社及び当社の関係会社が開発・製作する当社又は当社の関係会社向けの製品において、本知的財産権の利用を無償で許諾するもの(ただし、株式会社PlantStreamの競合他社又は競合事業の対象となる領域での利用は不可) |
|
株式会社Arent (当社) |
株式会社 PlantStream |
東京都港区浜松町二丁目7番19号 |
2022年 2月17日 |
2022年2月17日から(1)技術支援契約の終了まで |
前段に加えて、当社が第三者から受託する開発業務及び当該開発による第三者の製品において、事前に株式会社PlantStreamの承諾を得ることを条件として、自動ルーティングに関する本知的財産権の利用を有償で許諾するもの(ただし、株式会社PlantStreamの競合他社又は競合事業の対象となる領域での利用は不可) |
(3)連結子会社の吸収合併
当社は、2025年5月14日付「連結子会社の吸収合併、2025年6月期業績予想の修正及び2026年6月期業績予想の発表」のとおり、完全子会社の株式会社PlantStream(以下「PlantStream」といいます。)を吸収合併(以下「本合併」といいます。)することを2025年5月14日の取締役会で決議しておりますが、2025年8月22日付開催の取締役会において、当社を吸収合併存続会社、PlantStreamを吸収合併消滅会社とする吸収合併契約の締結を決議し、同日付で吸収合併契約を締結いたしました。
なお、本合併は2025年9月26日開催の第13期定時株主総会で承認可決されております。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。
(4)株式取得に関する契約
当社は、2025年5月14日付「株式会社スタッグの株式取得及び簡易株式交換による完全子会社化に関するお知らせ」のとおり、2025年5月14日開催の取締役会において、株式会社スタッグ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:石田 泰三、以下「スタッグ」といいます。)の発行済株式の一部を取得したうえで、Arentを株式交換完全親会社、スタッグを株式交換完全子会社とする簡易株式交換を行うことを決議し、同日付で株式譲渡契約及び株式交換契約を締結しておりましたが、株式取得を2025年7月1日、簡易株式交換を2025年7月4日に完了し、スタッグを完全子会社化いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。
なお、千代田化工建設株式会社と締結しておりました合弁契約は、2025年3月の株式会社PlantStreamの完全子会社化に伴い、解約し株式譲渡契約を締結しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
当社グループは、当社グループが持つ建設業に関するドメイン知識を活かした業務改善DXの知見と3DCAD関連を中心とした技術力やAI技術に関する知識を活用し、新製品を開発するための研究開発を行っております。
当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
プロダクト共創開発
プロダクト共創開発では、連結子会社である株式会社Arent AIにおいて、2024年7月にリリースした法人向け生成AIプラットフォーム「BizGenie」の追加開発など変化の激しいAI技術に関する研究開発を進めてまいりました。プロダクト共創開発に係る研究開発費は
共創プロダクト販売
該当事項はありません。
自社プロダクト
自社プロダクトでは、プロダクト共創開発、共創プロダクト販売で培ったノウハウにより、当社独自のプロダクトの開発をしています。具体的には、大林組とコラボ開発した、AIを実装した現場支援型スマート工程管理ソフト「PROCOLLA」の開発を進めてまいりました。
非効率なレガシーシステムに代わるBIM/SaaS化された新たなプロダクトを開発やM&Aでグループインした企業が保有するプロダクト等にAIを組み込む「AIブースト戦略」等で、建設業界の課題解決を図るとともに、高いマーケットシェアを獲得し、収益拡大につなげることを目指しております。
自社プロダクトに係る研究開発費は