当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社の「エコム」という社名は、Ecology(自然環境)& Combustion(燃焼)を意味する造語であります。「熱のスペシャリスト集団」として、工場の省エネルギー化を実現し、「加熱技術で環境問題に取り組む企業」を企業目標に掲げております。
(2)経営環境、経営戦略等
我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行により、社会経済活動の正常化に向けた大きな区切りを迎えました。しかしながら、ウクライナ紛争等地政学リスク継続を原因としたエネルギー価格や原材料価格の高止まりによる消費マインドの低下や、円安の進行等の影響から、依然として景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
製造業においては、世界的に広まるカーボンニュートラルに向けた潮流をうけ、大手メーカーを中心にCO2排出量削減を実現するための生産設備の更新や改造工事への投資需要の高まりが見受けられました。また、当社の主要顧客である自動車業界ではCASE対応に向けて多額の資金投入が観測されております。
上記のような経営環境のもと、産業システム事業においては、産業構造変化にともなう、設備ニーズの変化に対し、燃焼技術とエネルギー管理という専門性を追求し、最適な技術の提供を継続していきます。また、多品種少量生産のニーズに合わせた、セル生産向けの加熱設備を提供し生産効率向上への貢献をいたします。そして、カーボンニュートラルや排ガス規制などの世界的環境規制をクリアした省エネデバイスの提供により、社会環境への貢献を目指します。
また、保守サービス事業においては、他メーカーの加熱設備、加熱機器を点検できる点検技術を有し、熱設備の不具合に対して困ったときの窓口としての存在感を発揮いたします。そして、IoTを駆使して、いつでも、どこでも設備の稼働状況を把握する設備の予防保全サービスの確立を目指していきます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の目標とする経営指標は、変動費率、売上高総利益率及び売上高営業利益率であります。当社の特色として、産業システム事業は1件ごとの受注額が大きい反面、市場の影響を受けやすく、変動費率の高い特色のセグメントであります。反対に、保守サービス事業は安定的な受注が見込めますが、受注額が小さく変動費率の低い特色のセグメントであります。そのため、当社の経営状況を読み取るには、掲げた3つの経営指標を総合的に判断する必要があります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
コロナ後の世界は、各産業とも新たな生活様式に合わせた構造変化が求められることが予測されるほか、日本は未曽有の人口減少という人口構造の変化により労働力の減少も予想され、業務効率化が急務となっております。当社といたしましては、社会変化に対応した人材育成を重視し、社是である「共育」のもと、以下の課題に取り組んでまいります。
① 優秀な人材の採用と育成・活用
アフターコロナのもと急激に変化する事業環境の中、今後の事業拡大を推進するにあたり、優秀で熱意のある人材を適時に採用することが重要な課題と認識しているため、採用の強化及び従業員が高いモチベーションをもって働ける環境や仕組みの整備・運用を進めてまいります。今後も従業員満足度を高める取り組み、定着に向けた施策を講じながら、優秀な人材の採用とさらなる育成に投資を行っていく方針であります。
② 技術革新への対応
当社は、自動車産業を中心とした様々な業種のお客様にサービスを展開しておりますが、電気自動車への技術革新や進歩に対してタイムリーに対応することが、今後の事業展開上重要な要素であると認識しております。そのために、ヒートトライアルを通じて顧客の動向やニーズを的確に把握し、独自の熱技術を提供することで、自社の先進性や独自性を確保していく方針であります。さらに、自社の得意分野である加熱技術による省エネルギー化した設備を提供することにより、環境に配慮した持続可能な成長を実現してまいります。
③ 海外進出への対応
当社では、日本市場で展開してきた独自の熱技術を海外市場でも活用するべく、海外に拠点を持つ既存顧客へのサービス展開をベースとしながら、様々なネットワークや情報収集を通じて更なる顧客の開拓を図り、サービスの多国展開を達成することが、事業の一層の発展に貢献し得る要素であると考えております。その一環として、株式会社ノリタケカンパニーリミテドとの提携を図り、海外事業の拡大・成長の機会を検討してまいります。
④ 内部管理体制の強化
当社は、アフターコロナのもと急激に変化する事業環境に適応し、持続的な成長を維持していくために、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。このため、事業規模や成長ステージに合わせバックオフィス機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するため、また、円滑で効率的な業務運営を行うため、各種会議体の運営における工夫にも注力してまいります。併せて、事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施によるコンプライアンスに関する意識を高く持つ体制の一層の強化を図るとともに、内部統制システムを活用した監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を行ってまいります。
当社は、モノづくりの街浜松で創業以来、「モノづくり」には欠かせない「熱技術」に特化して成長してまいりました。しかし、「熱」は多くのエネルギーを消費し、CO2が排出されます。当社はこの「熱」が環境に与える影響と常に向き合いながら「環境にやさしい装置開発」と「メンテナンスによる省エネルギー化」を行ってまいりました。
そして、この「熱技術」をすべてのステークホルダーの皆様とともに発展的に共有することで、当社が掲げるSDGsが目指す未来のクリーンで快適な社会づくりに貢献してまいります。当社にとってのサステナビリティとは、事業を通して工業炉から排出されるCO2の削減を図ることでカーボンニュートラルの実現に寄与し、社会課題を解決することであります。ゆえに、当社の持続的な成長が、サステナブルな社会の発展に貢献できると考えております。
(1)ガバナンス
当社はリスクと考えられる重要課題につきまして、代表取締役を議長とする取締役会で審議・決定しております。さらにESG/SDGsへの取り組み及び気候変動問題への対応を経営の中心に据えるべく、CO2排出削減などについては、経営層による主導的な管理のもと、部署の枠組みを超えて横断的に取り組みを進めております。
(2)戦略
国内におけるCO2排出量の約14%を工業炉が占めているといわれており、脱炭素化に向けた工業炉への対策は喫緊の課題と考えております。当社では、カーボンニュートラルに対応すべく、水素バーナーの開発を始めとした脱炭素燃料対応の製品開発に取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社は、サステナビリティ課題を含む事業へのリスクについて、毎月実施しているリスク・コンプライアンス会議の中でリスクの見直し・検討を実施することでリスクの軽減化を図るとともに、リスク発見時に迅速に対応できる管理体制を整備してまいります。
(4)指標及び目標
当社は、お客様、協力会社様と相互に持続的な成長を目指してまいります。そのために、社是である『共育』と『ECOMWAY』を社内で深く共有、実践することで、社員のやりがいの追求やパートナー企業との持続的成長を目指すとともに、加熱設備の省エネルギー技術を通してクリーンで快適な社会の実現に貢献いたします。具体的なアクションプランとしては、エネルギーロスの低減や排ガスの再利用などの省エネルギーな加熱設備の提案及び当社独自の燃焼技術を利用した低NOxバーナー、排熱回収型バーナーなどの省エネ環境デバイスの開発・普及を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)景気変動のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社製品に対する需要は、自動車産業を中心とした工場等の設備投資規模に連動する傾向があり、景気変動により、受注状況が変動することになります。今後、受注状況が芳しくなく減少する場合には、それによって当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)海外情勢等のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、主に日本企業が世界各国に展開している現地法人、現地工場へ加熱設備を提供しております。従って、海外の経済情勢、紛争、政変等により現地への輸出・納入が困難になった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)海外業務のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、お客様の工場立地が海外である場合もあり、既に製品の輸出、納入、据え付けなど海外業務を行っております。今後、市場の拡大を目指し海外業務を独自で行っていく際には、リスクの洗い出しを入念に行ってまいります。しかし、諸外国における法規制の強化、テロ、紛争その他予期し得ない政治又は社会情勢の変動、景気動向及び為替動向等の経済情勢の変化、言語、文化及び商慣習の違いによるトラブル等業務上の非効率が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)大規模災害のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は地震、落雷、火災、風水害、パンデミック等の各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、損害保険の加入のほか、緊急連絡体制の整備、非常時を想定した訓練の実施等を進めております。しかし、生産拠点が静岡県浜松市に集中していることから、このような災害に伴う人的・物的被害の発生や資材・物流の停滞等により、生産活動の中止等を余儀なくされた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)情報漏洩のリスクについて
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は業務を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、又は設計・技術・営業等の事業活動に係る機密情報を多数保有しております。これらの情報を保護するため、情報管理体制の構築や従業員への教育等を行い、情報漏洩防止に努めております。しかし、コンピューターウイルスによる攻撃、不正アクセス、盗難等により機密情報が漏洩した場合、それによって当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)品質管理に関するリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は品質や安全に関する法令・規制の遵守に努めるとともに、製品の品質確保や安全性、機械安全のリスクアセスメントを通じて、常に信頼性の向上に努めております。さらに、製品の品質に起因する事故、あるいはクレームやリコールに備え、製造物責任賠償保険への加入を行っておりますが、付保金額を上回る損害賠償が発生した場合や、会社に対する信頼が低下した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)競合リスクについて
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、産業システム事業及び保守サービス事業を行っております。これら事業を推進する中で、お客様の置かれた状況・環境に応じたご提案を行い、生産性の向上に資する改善提案等にも努めることにより、付加価値を高め、競合他社との差別化を継続的に図っております。しかし、これらの取組みが奏功せず、将来にわたって差別化を維持できなくなる場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)訴訟・クレームのリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、事業運営において、サービス品質等のトラブルなどの問題が生じた場合、当社の瑕疵の有無にかかわらず、サービス品質等のトラブルや問題に起因する損害の賠償請求や訴訟(以下「訴訟等」という。)の提起を受ける可能性があります。当社は事前に取引基本契約書を締結する等により訴訟等のリスクを低減し、またトラブルや問題等が発生した場合は可能な限り迅速に対応する等して訴訟等のリスクに対する対策を講じております。しかし、万が一訴訟等が生じた場合は、訴訟等の内容や損害賠償請求額によっては、社会的信用の低下を招き、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)サービス品質の低下リスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、産業システム事業及び保守サービス事業のサービス提供にあたって、製品・サービスの品質維持・向上を図り、お客様満足度の向上に努めております。しかしながら、これらの取組みが奏功せず、製品・サービス品質の低下を招く等、お客様満足度が低下することがあった場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)コスト上昇リスクについて
発生可能性:高、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、新規設備の導入等による生産性の向上や業務改善を実施し、常に原価低減への取組みを行っております。また、世界的な半導体不足などの材料不足あるいは原油、鉄、非鉄金属などの資源高騰の影響から、材料費や外注費等の直接原価が高騰した場合は、お客様にご理解いただき値上げ対応させていただく方針であります。しかしながら、その交渉が難航するケースにおいては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)業績変動のリスクについて
発生可能性:高、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社のファーネスプロダクツに関する売上は、お客様の指定工場の据付等作業の受入事情によって検収日程が延期することがあり、売上が当初の計画どおり計上できない場合があります。経済や業界の動向に伴うお客様の工場稼働に係る受入事情などにより、計画どおり検収が進捗しない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)投資成果に関するリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、今後も、生産性向上やお客様ニーズに対応した生産拠点・営業拠点の整備、取得等にかかる設備資金、並びに事業拡大に伴う運転資金へ資金を充当していく予定であります。しかしながら、予定どおりの使途に資金を充当した場合でも、計画したとおりの売上高が見込めず、また、設備にかかる投資効果が得られない場合には、固定資産に減損損失が発生する恐れがあり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)金利変動のリスクについて
発生可能性:高、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、今後拠点の新設や事業展開に必要な資金を借入等により調達することも選択肢として考えております。変動金利による借入金は、金利の変動リスクに晒されているため、固定・変動調達比率の調整を行い、極力低金利による固定化等でリスク管理していく予定でありますが、リスクを完全に回避できるものではなく、変動金利での借入を行い予測を上回る金利の上昇等があった場合、調達コストが増加し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)人材確保のリスクについて
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社では、今後保守サービス事業の拡大にともない人材の確保が重要となります。当社の事業計画を遂行する上で必要な人材を継続的に採用し、労働環境の整備や教育体制の充実等により人材の定着を図ることが、当社の持続的な成長にとって必要となります。しかし、これらが達成できなかった場合、また、達成のために人件費等の増加が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)システムダウンによるリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社では、基幹システム等に対する被害を防御し、又は最小限に抑えるべく、ウイルス対策やデータのバックアップ等の予防策を講じております。しかしながら、万が一、災害やコンピューターウイルス等によりシステムがダウン又は破壊された場合、業務に多大な被害を受ける可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)M&A及び資本業務提携等のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、持続的な成長のため、M&Aや資本業務提携等を行うことがあります。これらの実施にあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約内容等の審査を十分行い、リスクを検討した上で決定することになります。しかし、実施後の事業環境の変化等により、当初想定していた成果が得られないと判断した場合や、資本業務提携等を解消・変更する場合など、のれんや投資の減損損失等の発生により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)配当方針にかかるリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
株主に対する利益還元を経営上の重要な課題と認識しており、剰余金の配当については、将来の事業展開及び財務体質の強化のために必要な内部留保資金を確保しつつ、安定した剰余金の配当を実施していく方針であります。しかしながら、外部環境の影響等様々な要因により、想定どおりの収益を確保することができない場合、配当方針に影響を及ぼす可能性があります。
(18)大株主のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の代表取締役であり、大株主である髙梨智志は本書提出日現在では発行済株式総数の24.80%を所有しており、引き続き大株主となる見込みであります。また、同人の二親等内の親族である髙梨今日子、髙梨千宙の所有分を合算した場合は44.57%となっております。同人は安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権の行使に当たっては、株主共同利益を追求するとともに少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。同人は、当社の代表取締役であるため、当社といたしましても安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情によって、同人が当社株式を売却することとなった場合、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、以下のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産の部)
当事業年度末における資産合計は4,032百万円となり、前事業年度末に比べ28百万円減少いたしました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は2,713百万円となり、前事業年度末に比べ182百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が375百万円増加した一方で、流動資産のその他に含まれる未収消費税等が83百万円、受取手形が75百万円、仕掛品が67百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は1,319百万円となり、前事業年度末に比べ211百万円減少いたしました。これは主に新社屋の稼働開始に伴う建設仮勘定の振替及び旧社屋の売却の結果、建物が514百万円増加した一方で、建設仮勘定が695百万円、土地が94百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計は1,130百万円となり、前事業年度末に比べ359百万円減少いたしました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は737百万円となり、前事業年度末に比べ324百万円減少いたしました。これは主に支払手形が204百万円、買掛金が189百万円減少した一方で、未払法人税等が54百万円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は393百万円となり、前事業年度末に比べ35百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が42百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は、2,902百万円となり、前事業年度末に比べ331百万円増加いたしました。これは、2023年3月31日付での名古屋証券取引所メイン市場への上場に伴い普通株式20,000株の公募増資を実施し、加えて当該公募増資に伴うオーバーアロットメントによる株式売出しに関連して普通株式21,000株の第三者割当増資を実施したことにより、資本金及び資本剰余金がそれぞれ31百万円増加したことに加え、当期純利益の計上及び配当金の支払いにより利益剰余金が268百万円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行により、社会経済活動の正常化に向けた大きな区切りを迎えました。しかしながら、ウクライナ紛争等地政学リスクの継続を原因としたエネルギー価格や原材料価格の高止まりによる消費マインドの低下や、円安の進行等の影響から、依然として景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
製造業においては、世界的に広まるカーボンニュートラルに向けた潮流をうけ、大手メーカーを中心にCO2排出量削減を実現するための生産設備の更新や改造工事への投資需要の高まりが見受けられました。また、当社の主要顧客である自動車業界ではCASE対応に向けて多額の資金投入が観測されております。
このような状況の中、当社は、主要取引先である自動車業界を中心とした製造業における設備需要の回復の影響を受け、当事業年度の経営成績は、売上高2,381百万円(前年同期比58.7%増)、営業利益243百万円(前年同期比149.1%増)、経常利益228百万円(前年同期比115.0%増)、当期純利益277百万円(前年同期比174.3%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(産業システム事業)
産業システム事業におきましては、自動車業界を中心としたアフターコロナへ向けた増産体制の強化を図るための設備需要の回復が見受けられ、その影響からファーネスプロダクツが好調に推移し売上が増加いたしました。また、業務提携先から移管された新規商材のアニール炉の拡販に努めてまいりました。一方、世界的なインフレーションの進行から、半導体や鋼材不足による製造部材の仕入価格の高騰、代替品の選定などによる人的コストの増加、光熱費の上昇等の影響から製造原価が上昇いたしました。他方で、設計コストが削減できるリピート品等の生産や新規外注委託先を開拓し生産高の向上を図ることにより、売上総利益率を微減に留める結果となりました。
この結果、当事業年度のセグメント売上高は1,687百万円(前年同期比92.7%増)となりました。また、セグメント利益は199百万円(前年同期比293.8%増)となりました。
(保守サービス事業)
保守サービス事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調による各業界の生産再開、増産に向けた設備修繕・工事の需要拡大は落ち着きつつあるものの、依然堅調に推移いたしました。また、業務提携先の製品の点検保守や大型工事の獲得に注力してまいりました。加えて、製造業においてカーボンニュートラル達成に向けた取り組みが加速し、省エネルギー改造工事の需要が高まっていることから、その需要の獲得に努めてまいりました。
この結果、当事業年度のセグメント売上高は694百万円(前年同期比10.9%増)となりました。また、セグメント利益は199百万円(前年同期比21.9%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末より375百万円増加し、1,783百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果により獲得した資金は179百万円(前事業年度は9百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益が390百万円であり、未払又は未収消費税等の増減額156百万円があった一方、仕入債務の減少額393百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果により獲得した資金は201百万円(前事業年度は574百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入217百万円があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果により支出した資金は5百万円(前事業年度は243百万円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入63百万円があった一方、長期借入金の返済による支出42百万円及び上場関連費用の支出17百万円があったためであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
産業システム事業 |
1,549,241 |
141.8 |
|
保守サービス事業 |
682,983 |
107.1 |
|
合 計 |
2,232,224 |
129.0 |
(注)金額は販売価格によっており、当社はセグメント間の取引についてはありません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) |
|||
|
受注高 (千円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比(%) |
|
|
産業システム事業 |
1,489,946 |
70.3 |
1,447,233 |
88.0 |
|
保守サービス事業 |
657,593 |
101.0 |
162,915 |
81.7 |
|
合 計 |
2,147,540 |
77.5 |
1,610,148 |
87.3 |
(注)金額は販売価格によっており、当社はセグメント間の取引についてはありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
産業システム事業 |
1,687,682 |
192.7 |
|
保守サービス事業 |
694,171 |
110.9 |
|
合 計 |
2,381,854 |
158.7 |
(注)1.当社はセグメント間の取引についてはありません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2021年8月1日 至 2022年7月31日) |
当事業年度 (自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社キャタラー |
241,894 |
16.1 |
474,942 |
19.9 |
|
明和テクノス株式会社 |
50,463 |
3.4 |
278,422 |
11.7 |
|
草野産業株式会社 |
215,745 |
14.4 |
80,419 |
3.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(売上高)
当事業年度における売上高は、2,381百万円(前年同期比58.7%増)となり、前事業年度に比べて880百万円増加いたしました。
これは、産業システム事業において、アフターコロナを見据えた設備投資への反動需要が集中したことによるものであります。加えて、全世界的な需要の拡大の影響から半導体を始めとした各種部品の長納期化したため、通常6ヶ月を想定している設備製造にかかるリードタイムが長期化し、前事業年度に売上が見込まれていた多くの案件が当事業年度の売上になったことが大きく影響しております。この結果、産業システム事業の売上高は、1,687百万円(前年同期比92.7%増)となりました。
一方、点検、メンテナンスを主とする保守サービス事業においては、業務提携先企業との協調を進め、新規顧客層の獲得に注力することで、堅調に売上を拡大することができました。また、カーボンニュートラルに向けた既存設備の省エネ改造工事の需要を取り込むことができました。この結果、保守サービス事業の売上高は、694百万円(前年同期比10.9%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、1,738百万円(前年同期比66.9%増)となり、前事業年度に比べ696百万円増加いたしました。これは主に産業システム事業における売上高の増加に紐づく、製造原価の増加によるものであります。また、世界的な景気回復基調を受けた半導体や鋼材を中心とした仕入価格の高騰や原油価格の高騰による物流コストの拡大の影響、短納期の代替部品の確保やそれに伴い追加される再設計などによる製造経費の増加により売上原価率が増加したことに起因しております。この結果、売上総利益は643百万円(前年同期比40.0%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、399百万円(前年同期比10.4%増)となり、前事業年度に比べ37百万円増加いたしました。これは主に新工場の稼働に伴う減価償却費及び管理諸費の増加、株式上場により資本金が増加したことによる外形標準課税が適用されたことに伴う租税公課の増加によるものであります。この結果、営業利益は243百万円(前年同期比149.1%増)となり、前事業年度に比べ145百万円増加いたしました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は5百万円(前年同期比45.0%減)となり、前事業年度に比べ4百万円減少いたしました。これは主に前事業年度に発生した補助金収入や為替差益が減少したことによるものであります。営業外費用は19百万円(前年同期比3,183.1%増)となり、前事業年度に比べ19百万円増加いたしました。これは主に株式上場に伴う上場関連費用が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は228百万円(前年同期比115.0%増)となり、前事業年度に比べ122百万円増加いたしました。
(特別利益、特別損失及び当期純利益)
特別利益として旧社屋の売却に伴う固定資産売却益96百万円、新工場建設に対する補助金収入57百万円等を計上した結果、税引前当期純利益は390百万円(前年同期比148.9%増)となりました。また、法人税等合計は113百万円となり、前事業年度に比べ57百万円増加いたしました。
以上の結果、当期純利益は277百万円(前年同期比174.3%増)となり、前事業年度に比べ176百万円増加いたしました。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当社の経営指標は変動費率55%以下、売上高総利益率29.5%以上、売上高営業利益率9%以上を目標としております。
当事業年度においては、変動費率、売上高総利益率、売上高営業利益率はそれぞれ57.5%、27.0%、10.2%となり、売上高営業利益率は達成いたしました。これは、アフターコロナを見据えた設備投資需要の回復の影響により、産業システム事業の売上高が大きく増加したことにより、原価高の影響を多大に受けている産業システム事業の売上高に占める割合が増加したことで相対的に製造原価が増加したことにより、変動費率が増加し、売上高総利益率が減少したことによるものと分析しております。一方、売上高自体が新型コロナウイルス感染症の影響から回復したことにより、相対的に販売費及び一般管理費の割合が減少した結果、売上高営業利益率は増加いたしました。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
資金需要
当社における資金需要は主に運転資金需要があります。運転資金需要のうち主なものは、当社の産業システム事業の設備製造にかかわる材料費、外注費、労務費及び保守サービス事業のメンテナンスにかかわる材料費、労務費があります。また、各事業に共通するものとして販売費及び一般管理費の人件費があります。その他に設備投資需要としまして、各種固定資産購入費用があります。
財務政策
当社は現在、運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金を充当しております。不足が生じた場合は金融機関からの短期借入金で調達するために、金融機関に十分な借入枠を有しております。
設備投資需要に係る資金につきましては、原則として自己資本により賄うこととしておりますが、必要に応じて長期借入金により資金調達を行う等、柔軟に対応することとしております。
当事業年度末における長期借入金の残高は、1年内返済予定の長期借入金の残高を含め、235百万円の借入であります。
手元資金の流動性について
当社は当事業年度末において、1,817百万円の現金及び預金を保有し、そのうち334百万円の定期預金を保有しておりますが、これは短期の定期預金のため、十分な手元流動性を確保しております。また、今後、必要に応じて金融機関との間で資金調達を検討するとともに、新規投資の時期を慎重に見極め、経費抑制によりキャッシュ・フロー管理を徹底し、十分な手元流動性の確保に努めてまいります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、景気変動、海外情勢等、海外業務、大規模災害、情報漏洩、品質管理等様々なリスクが存在するものと認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化や、人材の確保と育成等に力を入れ、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切な対応に努め、改善に取り組みます。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針
当社が今後、事業を拡大し、継続的な成長を実現するためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環
境及び対処すべき課題等」に記載しておりますとおり、「カーボンニュートラル実現」に向けた加熱技術の省エネルギー・省CO2化、インフレによる材料価格の高騰に対する対応、工業炉業界での市場規模の拡大等の課題について適切に対処していく必要があると認識しております。
それらの課題に対応するための経営者の方針として、経営者は、常に市場のニーズや内部環境並びに外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を積極的に行い、当社経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
加えて、外部企業とのアライアンスを積極的に推進し、当社の強みを活かし、弱みを補う形で業務の拡大及び
事業補完を目指して取り組んでまいります。また、新規販路拡大や必要な人材を安定的に確保するため企業のブ
ランド力の強化を図ります。併せて、若い世代への技術継承をシステマティックに行う土壌を作成し、人材育
成・定着に注力し、基幹事業の継続体制の盤石化に注力してまいります。
さらには、IoT技術(DX)を活用したリモートメンテナンスシステムの構築、省エネ環境デバイスの開発を推進し、予防メンテナンスや省エネルギーに貢献できる商材を提供することで保守サービス事業の拡充に努めてまいります。
該当事項はありません。
当社は、「加熱技術で環境問題に取り組む企業」を企業目標に、日本の産業部門のエネルギー消費量の約40%を工業炉が占める現実の中、我が国の掲げた2050年カーボンニュートラルの実現という目標の達成に向け、工業炉の省エネルギー化にて貢献すべく研究開発を行っております。
当社は、特定の研究開発部門を持たず、開発プロジェクトの立ち上げ都度、部門横断的にスタッフを招集し、研究開発活動に取り組んでおります。
当事業年度に、これらの活動に要した費用は
当事業年度における主な活動は以下のとおりであります。
・東京瓦斯株式会社及び関西電力株式会社との共同のもと、水素バーナー試験を行いました。当社の特許技術であるフレームレス燃焼技術を用いたバーナーを使用することで、水素を燃焼する際に課題となるNOx排出量を大幅に削減することを達成いたしました。