当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(または本書提出日)現在において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、キャッシュレス決済サービス事業を取巻く経営環境が大きく変化する中、これまでに醸成されてきた社内文化や価値観を改めて明文化し、Corporate Identityである「ミッション(存在意義)・ビジョン(目指す姿)・バリュー(価値観)」を2020年12月に新たに制定いたしました。これらを、経営戦略の策定や経営の意思決定における根幹の考え方と位置づけ、全社一丸となって持続的成長を目指しております。
当社のキャッシュレス決済サービス事業は、社会インフラであり日本中の生活者の暮らしを支えるものとして高い倫理観を持ち続けながらも、「新しい生活を生み出す会社。」として、さらなる便利で安全な消費社会の創出を目指し、「ありえないを、やり遂げる。」の精神で今後もダイナミックにチャレンジを続けてまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、主な連結財務指標としては売上高、親会社株主に帰属する当期純損益を特に重視しておりますが、KPIとしては、①全社の売上高、②「情報プロセシング」分野の売上高、③定常的収益源であるストック収入売上、④加盟店に対する物理的な「ラストワンマイル」であり非財務指標における当社の事業規模を示す当社センターへの接続端末台数、⑤将来の利益源泉となる開発投資を経常的に実施していることから過年度の投資の影響の少ないEBITDAの5点を事業計画上定めております。また、9つのマテリアリティで構成されるサステナビリティ・ステートメントを定め、持続的な成長と企業価値の向上を目指しております。
(3)経営環境
2018年4月の経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」において、2025年にキャッシュレス決済比率40%の実現を目指す(将来的には世界最高水準の80%を目指す)ことがうたわれ、「国策」としてキャッシュレス決済が推進されております。この目標に対し経済産業省の発表(2025年3月31日)において、2024年のキャッシュレス決済比率が42.8%に達し、目標を前倒しで達成する等、堅調に上昇しております。これを追い風に、同業界においては、生活様式の変化を踏まえつつ、無人店舗やモバイルを起点とした新たなサービスやソリューションが増加しています。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会 「キャッシュレス・ロードマップ 2023」(2023/8)から当社作成
一方、政府の成長戦略により、業界全体の決済手数料減少が推進されることが見込まれているほか、決済手数料を主な収益源としないQR・バーコード決済サービス事業者は、これまでの新規参入段階を経て、現在では勢いを増し市場での存在感を高めています。また、既存の株式会社エヌ・ティ・ティ・データが運営する「CAFIS」及び株式会社日本カードネットワークが運営する「CARDNET」の決済ネットワークに加え、三井住友カード株式会社等が運営する「stera」も拡大しており、業界全体における競争が一層激化しています。このような状況を踏まえ、今後の市場構造や競争環境の動向を注視しております。当社は、決済業界における各プレイヤーと、一部では競合しながらも、競合の少ない電子マネーサービスを強みに、多くのプレイヤーと広く協業し、面を拡大するオープン戦略をとっていることから、市場再編や新規参入にも柔軟に対応していく方針です。
マクロでは、雇用人口減少に伴う自動化の発展、特に主な対面市場となっている小売業のニューリテイル(注)化の流れは新規プレイヤーの参入を促す脅威でもあると同時に、新たな市場機会と捉えております。
[ 決済業界の各プレイヤーと当社の関係性 ]
(注)小売業において、IT及びデータを活用することで、売上の拡大やコスト削減を図るとともに、消費者に対しオンラインとオフラインの融合等により新しい消費体験を提供するコンセプト
(4)経営戦略
当社は、これまで市場が求める全ての決済端末に接続しあらゆる決済サービスを高いセキュリティかつワンストップで提供するという方針のもと、クラウド型の電子決済処理で事業を拡大してまいりました。既に接続端末台数は110万台超(2025年3月末時点)、年間で4.9兆円(2025年3月期実績)を超える決済を処理する社会インフラとして拡大しております。
[短期成長戦略]
今後、短期経営戦略としては、「キャッシュレス決済サービス事業」の面的拡大・岩盤化を推進し、市場成長のフェーズにおいて、ダイレクト営業とホワイトレーベルによる幅広い営業ルートにより圧倒的な規模を追求する「①接続端末の増加戦略」と、汎用電子マネーをフックとしソリューションを複合的に提供することで加盟店に深く入り込む「②クロスセル(注1)戦略」により、ストック収入の成長カーブを引き上げる方針です。
①接続端末の増加戦略
決済事業者との協業による加盟店拡大に加え、金融機関・公共交通・物流事業者等、流通事業者以外の領域拡大により、新たな面の拡大を追求しております。
なお、自社端末としては、新たに新端末「UT-X20」「UT-P11」を市場へ投入するとともに、他社端末での電子マネー対応を支援し、当社決済処理センターでのプロセシングを行う等、引き続きセンター運用強化のために端末レイヤーはオープンに協業を進める戦略です。
②クロスセル戦略
直近では、キャッシュレス推進の追い風を捉え、QR・バーコード決済等の市場に導入される新決済サービスも取込みつつ、端末あたりの定額(決済手段やブランド数に依存するが、処理件数、金額に連動しない)サブスクリプション型の課金体系から一部(QR・バーコード決済精算業務等)の従量課金(GMV課金(注2)、処理件数課金)の導入を進めており、ストック収入による収益拡大と合わせて、定額型・従量型のベストミックスを追求していきます。
[中長期成長戦略]
中長期での経営戦略としては、決済インフラを梃に、店舗の高度化を目的とした「総合流通ソリューション」の提供を通じて、新たな収益基盤の構築を目指しております。その取り組みの一環として、特に決済と親和性の高い店舗業務のラストワンマイルであるPOS(販売時点情報管理システム)に着目し、POSのクラウド化およびIoT化サービスを開始しております。また、POSのクラウド化およびIoT化により、クラウドPOSから集約される決済データと非決済データや、その他の店舗ソリューションから集約されるデータの「保全」「連携」「分析」を一貫して提供するデータプラットフォーム「Xinfony Data Hub(シンフォニー データハブ)」の提供も開始しております。同サービスは、競争優位性をさらに高め、収益化の機会を創出する「情報プロセシング」の重要な要素と考えており、今後一層の展開を行ってまいります。
店舗を高度化する「総合流通ソリューション」としては、決済、プリペイド、ポイントサービスのほか、マーケティングや、画像認識をはじめとするIoT、広告、医療等、領域を拡大しています。
また、キャッシュレス決済サービス事業及び情報プロセシング事業の更なる拡大のため、業界のロールアップも視野に入れ、積極的にM&Aを行っていき、持続的、非連続的成長に努めてまいります。
(注)1. 契約済や検討中のサービスと併せて、他のサービスを販売すること
2.Gross Merchandise Value(流通取引総額)
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① セキュリティ体制の継続的強化及び決済システムの強化
電子決済サービスを提供している当社の事業には強固なセキュリティ、セキュアなシステムが求められており、それらを継続して強化していくことが当社の課題であると認識しております。具体的には、クレジットカード業界のセキュリティ基準協議団体(PCI SSC)が定めるPCI DSSの基準に則った運用をしており、決済端末で暗号化されたカード情報は、システムで復号化されるまで、決済処理の経路上でカード情報を取得できないようにしております。また、当社の事業がインターネットを介しての通信ネットワークに依存していることから、システム内の多層化・冗長化に取組んでおります。システム上の観点のみならず、情報セキュリティに関する規程に基づく管理の徹底と社内教育及び研修の実施によりセキュリティの強化に努めてまいります。
② データセンター移設の遂行
当社は2025年3月期にデータセンター移設完了を予定しておりましたが、データ移設工程を進めている段階において、一部不具合を検出したことを受け、複数の追加対策を講じたことから、移設完了予定を2025年6月に延期し、段階的に移行作業を確実に進めてきておりました。しかしながら、提出日現在において一部の取引先様において、ネットワーク環境の再調査が必要なことが判明したため、万全を期して追加検証を実施することといたしました。これにより2025年6月に予定していたデータセンター移設の完了時期を最長2025年9月末まで延期することといたしました。
移行作業において、一時的にサービスの停止等を余儀なくされるような予期せぬ事象の発生等が、サービス提供に影響を及ぼす可能性があります。なお今回の完了時期の延期による業績への影響は軽微となる見込みです。
③ 顧客満足度向上
当社のさらなる成長を実現していくために、より多くの顧客に継続的に選ばれるよう、顧客満足度向上に努めることが、当社の事業競争力の強化に資すると考えております。そのために、決済遅延やシステム障害を未然に防止し、常時安定したサービスを提供できるインフラの整備や、顧客の声を反映しながら機能や性能の向上を図る改善サイクルの確立、顧客からのご意見・ご要望に迅速かつ的確に対応できる体制の強化等、サービス品質向上に努めてまいります。
④ 一時的な赤字計上への対応
当期は、データセンター移設およびサービス品質向上に際し、システムの安全性確保やサービスの安定提供を目的に複数の対策を実施したことにより、一時的なコストが増加したほか、フロー収入である端末販売について一部端末にて次期機種の展開を見据えた買い控えや、顧客の計画見直しによる導入遅延や失注により当初計画を下回ったことも重なり、赤字計上する結果となりました。これらは将来的な事業基盤強化を目的とした先行投資および一過性の要因であると認識しており、データセンター移行の確実な遂行と販売施策の強化による売り上げ回復により、収益構造の早期改善に向け努めてまいります。
⑤ ストック収入による定常的な利益の創出
当社の収益モデルは、顧客端末が当社決済処理センターに接続され継続して利用されることで収益が積み上がっていくストック型の構造にありますが、収益を積み上げていくために先行して費用が計上されるインフラ事業的要素があります。顧客基盤の拡大と端末設置台数の増加に伴い、当社決済処理センターへの接続による売上のみで定常的な利益を創出することが課題となるため、コストマネジメントを徹底し利益の創出に取組んでまいります。
⑥ 「情報プロセシング」事業の拡大
当社は決済のみならず流通業が必要とするソリューションを総合的に提供する企業体、そしてデータを保存・分析・連携する「情報プロセシング」を提供する高度なインフラ事業体へと進化を遂げることが戦略的方向性であることから、「情報プロセシング」の安定的な収益化が課題であると認識しております。「情報プロセシング」の新サービスとなる「クラウドPOS」「Xinfony DataHub」「RXクラウド」の提供を開始し、今後はさらなる導入拡大を図るとともに、収益性向上の観点からは、スケールメリットを活かしたコスト効率の改善等利益体質の強化にも注力してまいります。その他のサービスにおいても、顧客等との実証実験などを通じ具体化を図り、取組みを加速させていくことで収益化を図ってまいります。
⑦ M&A及びアライアンスによる企業価値向上
当社は、当連結会計年度において、M&A及びアライアンスにより事業領域を拡大、新たな顧客基盤を獲得してまいりました。引き続き、当社グループの中長期的な持続的成長と企業価値向上のため、M&A及びアライアンスを推進してまいります。
⑧ 子会社との連携強化と子会社管理体制の確立
当社と経営統合した子会社との間で協業の体制を構築するとともに、相互に事業シナジーを創出し、当社グループの企業価値を向上させていくことが必要であると認識しております。当社の経営方針に沿った子会社の経営管理体制を整備し、子会社管理に関する規程等に基づき経営管理を行い子会社管理の体制を確立させ、当社と子会社のサービスの融合、相互送客によりグループシナジーを創出してまいります。
⑨ 人的資本経営の推進
当社の持続的な成長と企業価値の向上には、何事もやりきることができる強い「組織」とそれを構成するあらゆる「人材」が必要不可欠と考えております。事業の拡大に伴う、意欲の高い「人材」を確保し、戦略的な教育と成果に応じた評価と処遇の実行及び安心して働くことができる職場環境の向上をもって、より一層の人的資本経営の推進を行ってまいります。
⑩ 人件費・外部支出増加への対応
近年のIT分野の人材不足、円安や国内外の政情による経済への影響等により、外部委託コストを含む人件費およびサービス提供に必要となる機器やソフトウェアの価格が上昇しており、当社収益を圧迫する要因となっています。更なる事業成長のために、サービス品質を維持・向上させながら、持続可能な収益性を確保するために、引き続きコスト構造の見直しと最適化に努め、適正なコストコントロールを目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
(1)基本的な考え方
当社グループは、コーポレートアイデンティティ(Mission、Vision、Value)を掲げ、その実現のため、サスティナブル経営の推進を行っております。「安心できる、暮らしをつくる」というミッションとして掲げ、そのベースとなる3つのマテリアリティである当社が提供するサービスを「誰でも、どこでも」使えるように利便性を高め、「いつでも、確実に」ご利用いただけるよう質を高めていく。その土台として「社員も、パートナーも」いきいきと活躍できる環境づくりに努めていくことで、キャッシュレス決済事業サービスを通じてサスティナブルな社会の実現を目指しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(2)ガバナンス
当社グループは、取締役会において、経営上のサステナビリティに関するマテリアリティの決定及び業務執行状況の監督を行っております。経営会議においては、サステナビリティの推進に向けた各マテリアリティのKPIを設定し、その推進施策の議論、KPIの進捗状況の確認と達成に向けた協議を行い、関係部署を通じて実行しております。
(3)戦略
短期、中期及び長期にわたり当社グループの経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組みのうち、重要なものについて該当事項はありません。
当社グループのサスティナブル経営のうち、人的資本経営では当社が掲げるコーポレートアイデンティティが体現できる人材の確保のために、事業の成長戦略に不可欠な人材の積極採用を行い、人材の量とともに質の向上に努めております。特に多様なスキルや経験を有するキャリア採用では、新規事業企画や現サービスの根幹を担う営業や開発人材を中心に、人材紹介やダイレクトリクルーティング、リファーラル、カムバック採用等の幅広い手法を用いて人材の確保を行っております。また、将来のリーダーとなる人材を創り出していくべく、新卒人材の採用と教育も積極的に取り組んでおります。
当社グループの非連続(クオンタムリープ)な成長を連続的に起こすための新規事業の創出においては、「事業や組織体制の仕組化」を意識しております。社内リソースの視点のみならず外部パートナーをはじめとしたすべてのステークホルダーとの協業による仕組み化された事業推進体制を整えており、更に全社的な業務改善活動などを通じて、今後より一層組織体制を強化してまいります。
引き続き事業の成長とともに国内外に新しい価値を提供していくべく、事業計画に則った人材戦略を基に、人材の採用と育成を計画的に実行すること、組織と個人の成果に報いること、そして、働く環境の整備が重要と認識しております。具体的な対応策については、以下のとおりであります。
①人材育成
当社における事業の成長には、「人材」が必要不可欠と考えております。
事業成長を担う人材を計画的に育成することで、事業を成功に導く蓋然性を向上させています。従業員ひとりひとりのキャリアパスと目標の進捗を把握するために、頻度高く実施している上司による1on1ミーティングと、それを実現するために、全従業員各層に対するマネジメント力やリーダーシップ、コミュニケーション力などを養成する各種教育や研修のプログラムを設けると合わせて、組織ごとに求められる多様で専門的なスキルを学ぶためにスペシャルスキル研修を実施することで、自己理解や学び、自己成長の機会を提供しております。また、役職者は360度のレビューを実施することで、上司だけではない他部署の役職者や、同僚、部下などからどのように自身が見えているのかが認識でき、自らの行動の改善や成長のきっかけを得る仕組みを構築しております。
さらに、当社は従業員が望むキャリアプランを実現することにより、モチベーションが最大限まで上がり、それに伴い早期成長につながるという考えのもと、従業員自らが申請できるキャリアチャレンジ制度を導入しております。これを行うことで、「新しい成長機会やチャレンジの創出」を継続的に提供する取組みを行っております。また、タレントマネジメントツールを活用しながら従業員のスキルや評価を一元管理することで、適所適材な人材配置や育成プランの策定が可能な環境を構築しております。
多様な強みを持つ人材を各組織がポジティブに受け入れ、育成、登用することで、当社の創造性をより高め成長を継続させることを目指しております。
②公正な処遇
当社では高い成果を出す従業員により報いることができる仕組みをつくるべく2023年10月に人事制度を大幅に改定しております。
改定の要旨を、(ⅰ)成果を明確にし、公正に処遇に反映すること、(ⅱ)専門的なスキルや経験を持つ人をキャリアアップしやすくすること、(ⅲ)コーポレートアイデンティティを体現し、業績に貢献する社員を評価し育成すること、(ⅳ)若手社員の処遇を改善すること、(ⅴ)会社利益を従業員に還元することとしました。
具体的な改定内容としては、(ⅰ)評価によってダイナミックな報酬のメリハリをつけ、(ⅱ)マネジメントだけのキャリアパスではなく、専門的なスキルと経験を保有する人材を高い処遇とするためにプロフェッショナル職の導入をし、(ⅲ)当社が掲げるコーポレートアイデンティティの「Value」の要素を評価項目に反映し、(ⅳ)主に若手社員(下位等級)層の社内外の競争力が担保でき得るよう報酬ベースアップの実施、(ⅴ)期初予算に対して一定割合以上に上振れる業績があった場合に、定期賞与以外に決算賞与を従業員に支給する制度の導入をしております。
評価においては、従業員が上司からの結果フィードバックを納得いく形で受けているかを確認するフィードバックレビューを導入し、上司がマネジメントの責務を果たしているかなどのフィードバック内容に対する従業員の意見を汲み取る仕組みを構築し、評価制度に公正性をもって運営しております。
また、定年再雇用制度の対象となるシニア人材においては、これまで培ってきたスキルと経験、リレーションなどを伝達するといった後進人材の育成を主とするも、人材によっては定年前と同様の業務を継続して遂行することができ、業務内容によって処遇にメリハリをつけることができる制度を構築し、組織と人材の状況に合わせた柔軟で積極的な活用をしております。
③働く環境
当社は、「働きやすい環境づくり」として、リモートワーク制度やコアタイムなしのフレックス勤務制度、福利厚生や各種制度充実による従業員の働き方の柔軟性やワークライフバランスを向上させる取組みを行っております。
特に新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、社員間のコミュニケーションや連携・創造をより強化するために出社による働き方を試行しハイブリッド型での働き方を実施しております。上司マネジメントと勤怠システムによる労働時間の管理、その労働時間の蓋然性担保のために業務パソコンのログオンオフ時間と整合を取るためにシステムによる突合の実施をするなど、アクションを取続けることで業務事故の発生の防止や未病に努めております。
また、組織と従業員のコンディションを把握するために、従業員の仕事や職場、会社への満足度の状況を定期的に従業員満足度調査でモニタリングしております。個人の特性を活かせているか、職場の環境や組織体制が整っているか、上司とのコミュニケーションや適切な支援があるか、経営トップ層との信頼関係はどうか、仕事や人間関係の負担が多すぎないかなどをレビューすることや、社長と従業員が直接コミュニケーションを取れる、ラウンドテーブルを実施し、従業員が経営層の考えを直接触れることができ、直接伝えることを可能とする取組みを通じて意見を交わすことによって、理想となる組織像に向けた組織開発を推進しております。
障がい者雇用の観点では、農園事業の取組みに参画をしており、重度、軽度の障がい者が働く場を提供しております。そこで作った農作物を各オフィスに配布し、従業員は農作物を料理した写真にメッセージを添えて御礼を伝えるなどをすることで、従業員は福利厚生となり、障がい者は従業員からのレスポンスをモチベーションアップにつなげるといった好循環をつくり出しています。
その他にも、社内外の相談窓口を設置し希望によっては匿名による従業員が抱える困りごとが相談できる仕組みはもちろんのこと、定期的にハラスメント研修、コンプライアンス研修を実施することで課題が顕在化しやすい環境を作っていることや、健康経営の一環では、従業員の健全な体と心を維持するため、専門アドバイザーを招聘し、健康促進セミナーなどの取組みを実施しております。
従業員ひとりひとりが安心して就業することができる働きやすい職場を作ることで、組織と従業員の心理的安全性を醸成し、成果の最大化につなげることで、当社の更なる成長を促進すると考えておりますので、引き続き従業員との会話を通じて、アクションを取続けてまいります。
④健康経営の推進
当社は、電子決済サービスを基盤に、安全で便利な消費環境の創出を目指す企業として、従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取組み、「すべての社員がいきいきと活躍できる職場環境の実現」のため、健康企業宣言をし「健康経営」を推進しております。
従業員が心身ともに健康な状態で働き続けることができることが、当社の事業継続の重要な基盤の一つとして考えており、積極的に健康投資を行っております。健康企業宣言と健康経営の推進によって、健康を何よりも大切にする風土を醸成し、働きがいのある職場であり続けることを目指しております。
健康経営の推進にあたっては、従業員の健康診断結果やアンケートを通じて、健康上の課題・問題を明らかにし、産業医や保健師とともに治療や健康に向けての従業員へのアドバイスなどに取組むほか、従業員の健康や運動意識の向上として、「カラダ測定会」や「姿勢測定会」の実施、健康をテーマにした各種研修を実施しております。
新たな施策として、業務の合間に体を動かす「ラウンドリフレッシュ」を導入し、業務特性上症状が起こりやすい肩こりや腰痛などへの対策も進めております。
これらの施策を通じ、その成果の一つとして、健康優良法人の認定を2021年度以降、継続して受けており、引き続き、従業員の健康増進のため、健康経営に取組んでまいります。
(4)リスク管理
サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程については、当社グループの主要事業が環境に与える負荷が小さく、また気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響が少ないことから、「
(5)指標及び目標
① サステナビリティ経営に関する指標及び目標は次のとおりになります。
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項目 |
指標 |
目標 |
実績 |
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マテリアリティ |
累計端末台数計画 |
200万台(2030年) |
稼働接続端末台数 110万台 (2025年3月末現在) |
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サービスの年間稼働率 |
99.98%以上 |
99.99% |
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従業員満足度調査 |
総合評価指数前年以上 |
56.5% (前年比-0.9pt) |
(注)連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社の実績及び目標を記載しております。
② 人材育成及び社内環境整備に関する指標及び実績は次のとおりとなります。
なお当社は、人材の多様性の確保、コーポレートアイデンティティの実現のため、人材の育成及び社内環境整備に係る指標について、具体的な取組みを行っているものの、本報告書提出日現在においては、当該指標についての目標を設定しておりません。今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標の設定を検討してまいります。
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指標 |
実績(2025年3月末現在) |
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(注)連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社の実績を記載しております。
本書に記載した当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
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(1)経営環境について |
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顕在化可能性:中 |
影響度:中 |
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当社グループの売上の大宗を占めているキャッシュレス決済サービス事業に関しては、日本国政府のキャッシュレス推進の追い風により市場拡大が見込まれておりますが、政府の方針転換やキャッシュレス決済の成長鈍化などにより、当社の取扱高減少や新規案件の減少等による接続端末台数の減少が発生し、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、近年のQR・バーコード決済の普及等において、新たに決済事業分野に参入してきている企業もあり、事業者が多様化している中、今後の競争環境の変化が当社業績に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては事業計画をモニタリングし、兆候の把握と情報プロセシング事業等の収益の多角化によってリスクの低減に向けた対応を行っております。 |
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(2)感染症・伝染病の発生・蔓延について |
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顕在化可能性:低 |
影響度:小 |
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治療法が確立されていない感染症や伝染病の発生、蔓延に伴う外部環境の変化に対応するため、当社ではリモートワーク制度を導入しており、感染症の感染拡大局面においても、事業を継続できる体制を整備しております。しかしながら、当社の役職員等に大規模な感染が発生し、事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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(3)海外部材・製品の調達について |
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顕在化可能性:低 |
影響度:小 |
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当社は、データセンターにおいては、海外製の機器やソフトウェアを利用しており、サービス品質を維持・向上させながら、持続可能な収益性を確保するために、業務効率化や調達戦略の見直し等を含む対策を行ってまいります。また当社は、決済端末製造企業との連携を強化し、半導体不足となる可能性等を考慮した在庫確保に努めております。 為替や米国の関税政策、米中経済摩擦、ロシア・ウクライナ情勢等の国際情勢の変化により上記を始め、当社サービス提供に必要なハードウェア部材の不足やソフトウェアの価格上昇が顕在化し、納期遅延や調達費上昇による収益の低下が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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(4)売上高の計上時期について |
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顕在化可能性:低 |
影響度:中 |
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当社は納期管理を徹底しており当社起因による納期遅延の事例は少ないものの、大型開発案件等で検収時期が遅延し、計画どおりに売上計上ができない場合があります。特に期末月の3月に予定されていた顧客の検収に遅延が生じた場合には、当該事業・売上自体がなくなるわけではないですが、売上計上が翌期にずれ込むため、当期業績に対しては大きな影響を及ぼす可能性があります。 |
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(5)特定のデータセンター業者への依存と災害リスクについて |
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顕在化可能性:低 |
影響度:大 |
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当社の事業を支える決済処理センターは、当社が契約するデータセンターで管理されており、複数のサーバーによる負荷分散、定期的なバックアップの実施等を図り、システム障害を未然に防ぐべく取組みを行っております。障害が発生した場合に備え、リアルタイムのアクセスログチェック機能やソフトウエア障害を即時にスタッフに通知する仕組みを整備しており、障害が発生したことを想定した復旧訓練も実施しておりますが、特定のデータセンターを活用していることから、火災、地震等の自然災害や、外的大規模通信障害、外的破損、人的ミスによるシステム障害、その他予期せぬ事象の発生により、万が一、当社の設備及びネットワークの利用に支障が生じた場合には、サービスの停止等を余儀なくされることによる収益機会の損失、顧客からの信頼低下等による解約の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は2025年3月期にデータセンター移設完了を予定しておりましたが、移設工程を進めている段階において、一部不具合を検出したことを受け、複数の追加対策を講じたことから、移設完了予定を2025年6月末に延期し、段階的に移行作業を確実に進めてきておりました。 しかしながら、提出日現在において一部の取引先様において、ネットワーク環境の再調査が必要なことが判明したため、万全を期して追加検証を実施することといたしました。これにより2025年6月に予定していたデータセンター移設の完了時期を最長2025年9月末まで延期することといたしました。 移行作業において、一時的にサービスの停止等を余儀なくされるような予期せぬ事象の発生等が、サービス提供に影響を及ぼす可能性があります。なお今回の完了時期の延期による業績への影響は軽微となる見込みです。 |
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(6)情報処理センターネットワークの利用について |
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顕在化可能性:中 |
影響度:大 |
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株式会社エヌ・ティ・ティ・データが運営する「CAFIS」のネットワークや、株式会社日本カードネットワークが運営する「CARDNET」のネットワーク、三井住友カード株式会社が運営する「stera」などと連携して当社の決済サービスを提供している場合があり、今後これらのネットワークシステムの障害等により、当社のサービス提供が困難になる可能性があります。 また、株式会社エヌ・ティ・ティ・データは「INFOX」、株式会社日本カードネットワークは「JET-S」、三井住友カード株式会社は「stera」のサービス名称で、国内の主要な決済プラットフォームを提供しており、当社の決済処理センターはそのすべてと接続されております。これらの接続に関する契約の終了等が発生した場合、当社グループの業績に対して影響を及ぼす可能性があります。 |
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(7)技術革新への対応とシステムインフラ等への投資について |
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顕在化可能性:低 |
影響度:中 |
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当社は新技術の積極的な投入を行い、適時に独自のサービスを構築していく方針ではありますが、技術革新等への対応が遅れ、計画外の追加設備投資等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、事業の拡大に応じて、システムインフラ等への継続的な投資を計画、実行しておりますが、当社の想定を超える急激なアクセス数の増加等によるキャパシティ不足や、インターネット技術の急速な進歩等に伴う、想定外のハードウエアやソフトウエアへの投資が必要となった場合、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。 引き続き、サービス品質の維持、向上に向けて、技術革新を採り入れながら高い信頼性を実現するシステムの開発・運用、及びその体制整備に継続的に投資してまいりますが、当社のアプリケーション、ソフトウエアやシステムにおいて、各種不具合が発生する可能性があります。その不具合に対し適切な対応を講ずることができない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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(8)「情報プロセシング」について |
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顕在化可能性:中 |
影響度:中 |
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当社は、「情報プロセシング企業」への進化を標榜しており、当該事業は既存のキャッシュレス決済サービス事業のアセットを有効に活用しながら、情報プロセシング事業を効率的に立ち上げていく予定ですが、同事業の多くは未だ先行投資のフェーズであり、その先行投資が当社グループ業績の利益率を低下させる可能性があります。また、情報プロセシング事業の拡大・成長が、事業の立ち上がりの遅れ等により、当初の計画どおりに進まない場合、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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(9)情報漏洩リスクについて |
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顕在化可能性:低 |
影響度:大 |
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当社のクレジット決済ゲートウェイを利用する場合、クレジットカード番号を当社のコンピュータシステムに送信する必要があります。また、プリペイドサービスにおいてはクレジットカード番号のほかに氏名・住所・電話番号・メールアドレス等の個人情報の登録を求める場合があり、登録された情報は当社の管理下にあるデータベースに保管しております。昨今、企業が保有する個人情報の漏洩が相次ぐ中、個人情報の扱いに対する社会的関心が高まっており、2017年5月に改正個人情報保護法が全面施行され、今後益々個人情報管理の徹底が必要となります。 このような中、当社は一般社団法人日本クレジット協会へ加入し、同協会で義務化されている個人情報保護指針に基づく個人情報管理の運用を実施しています。クレジットカード情報及び個人情報を守るために、プライバシーマークやPCI DSSの認定(有効期限2024年9月、1年更新で PCI SSCが認定する審査機関による監査に基づき更新されるもの)を取得し、個人情報の漏洩を未然に防止するよう努めております。PCI DSSの認定は当社のクレジット決済ゲートウェイサービス提供の前提となっている一方、その認定取消し基準等が明確に設定されておらず、万が一、重大な個人情報漏洩等によりPCI DSSの認定がPCI SSCによって取消された場合、認定を再取得するまでの期間において一部のサービス提供が困難になる可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、本日時点において、許認可が取消されるような事象は生じておりません。 当社は、取引先情報等、さまざまな企業情報を保有していることから、情報セキュリティの基本方針を定め、外部及び内部からの不正なアクセスを防止する対策を講じており、社内の情報セキュリティの状況を常に把握し、必要な対応を迅速かつ円滑に実施すべく情報セキュリティ委員会を設置し管理しています。 また、当社のクレジット決済ゲートウェイサービス提供部門においては、情報セキュリティにおける国際標準規格であるISO27001(ISMS認証)の認定を受け、情報漏洩を未然に防止するよう努めております。しかし、人為的なミスや、外部及び内部からの何らかの不正なアクセス方法等により、クレジットカード情報や企業情報等の重要な情報が外部に流出した場合には、セキュリティインシデントに対する対応コストの発生や、当社の社会的信用の失墜等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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(10)知的財産について |
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顕在化可能性:中 |
影響度:中 |
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当社は、第三者の知的財産権を侵害することのないように弁護士・弁理士等と連携し、知的財産権に関する啓蒙及び社内管理体制を強化しておりますが、当社の事業分野における知的財産権の現況を完全に把握することは困難であり、当社が把握できないところで第三者が既に特許・著作権・その他知的財産を保有している可能性は否めません。今後、当社の事業分野において第三者が当社より早く特許・著作権・その他知的財産を保護し、当社に対し損害賠償または使用差止等の請求をしてきた場合には、当社グループの業績に何らかの影響を及ぼす可能性があります。 |
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(11)訴訟リスクについて |
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顕在化可能性:低 |
影響度:中 |
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当社は、現時点において、係争中の訴訟を有しておりませんが、当社事業分野において、第三者が当社より早く特許権・著作権・その他知的財産権を保護し、当社に対し損害賠償または使用差止等の請求をしてきた場合や、予期せぬトラブルの発生等により訴訟を提起された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事実が判明した時は直ちに、事案に応じて、弁護士・弁理士等と連携し解決に努める体制を整備しております。 |
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(12)減損損失について |
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顕在化可能性:中 |
影響度:中 |
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当社は、将来の収益獲得あるいは費用削減が確実であると認められた開発費用についてはソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)に計上しております。このソフトウエアについて、今後使用状況の変更やサービスの陳腐化等により収益獲得、費用削減効果が大幅に損なわれた場合や、利用期間が想定より短縮された場合に、ソフトウエアの償却や減損が必要になり、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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(13)親会社等との関係について |
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顕在化可能性:低 |
影響度:小 |
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三菱商事株式会社は、当社の発行済株式総数の25.44%(2025年3月31日現在)を保有する筆頭株主であり、当社の「その他の関係会社」に該当します。当社は独自に経営方針・政策決定及び事業展開の意思決定を行っております。
①グループ内での位置付け 三菱商事株式会社は8の事業グループを通じて、幅広い産業を事業領域としていますが、当社は、S.L.C.(Smart Life Creation)グループの出資先に位置づけられております。なお、三菱商事株式会社の企業グループ内において、当社の電子決済サービス提供事業と類似する事業を展開している企業はないため、競合の状況について該当事項はありません。
②親会社等との取引 三菱商事株式会社本体との直接の取引関係は、関連当事者取引に該当し2025年3月期で当社への出向に伴う事務協力費24,066千円が発生しております。詳細は「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」を参照ください。 親会社等との取引については、一般株主との間に利益相反リスクが存在しますが、当社は実効的なガバナンス体制を構築することによって、一般株主の利益に十分配慮した対応を実施しております。
③人的関係 本書提出日現在、当社の役員10名のうち、三菱商事株式会社の従業員を兼ねる者は1名であり、豊富な経営経験から当社事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。 なお、三菱商事株式会社では人材育成及びキャリアパス形成等の観点から、積極的に事業投資先との人材交流を行なっており、当社においても出向社員を受け入れております。本書提出日現在で三菱商事株式会社から当社へ出向している社員は4名(社外役員を除く)であります。
④親会社等からの独立性確保 当社の事業展開にあたっては、親会社等の指示や承認に基づいて行うのではなく、一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立役員、及び過半数を占める専任役員を中心とする経営陣の判断のもと、独自に意思決定して実行しております。
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(14)特定の経営者への依存について |
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顕在化可能性:低 |
影響度:中 |
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代表取締役社長 大高 敦は当社の創業者であり、経営方針や事業戦略等の策定を含め、経営の重要な役割を果たしております。現在、当社では同氏に過度に依存しないよう、本部制を導入し各本部長が本部体制を整備・強化しておりますが、現在の状況において、同氏が当社の業務を遂行することが困難となった場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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(15)事業の拡大に応じた経営管理体制について |
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顕在化可能性:中 |
影響度:中 |
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当社は、業容の拡大及び従業員の増加に合わせた組織及び内部管理体制の整備に加え、当社の経営方針に沿った子会社の経営管理体制の整備を進めており、今後も一層の充実を図る予定ですが、適切な人的・組織的な対応をできずに、子会社を含む事業規模に応じた経営管理体制、内部管理体制の構築が追いつかない場合には、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。
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(16)人員の育成・確保について |
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顕在化可能性:中 |
影響度:大 |
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当社は今後の更なる事業拡大に向け、引き続き、人員の採用を積極的に進めていく予定であり、また処遇や勤労環境の改善等に継続的に取組んでおります。特に技術力の高い人材の確保が必要となる中、政府が発表している「2025年の崖」にもありますとおり、国内の人的リソースの不足が見込まれており、当社が事業拡大に向け十分な人員採用を実現できなかった場合、あるいは技術力の高い人材が大量に流出した場合には、事業拡大の遅延等により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
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(17)配当政策について |
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顕在化可能性:中 |
影響度:小 |
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当社は、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現するためには、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来、当事業年度を含め配当を実施しておりません。 株主利益の最大化は、重要な経営目標の一つであり、業績の推移、財務状況、今後の事業・投資計画、内部留保等を総合的に勘案し、株主還元を適切に講じていく方針です。
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(18)税務上の繰越欠損金について |
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顕在化可能性:高 |
影響度:中 |
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2025年3月31日現在において、当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。今後、当社の業績が事業計画に比して順調に推移し、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
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(19)M&Aの影響について |
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顕在化可能性:中 |
影響度:中 |
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当社は、事業拡大を加速する有効な手段の一つとして、当社に関連する事業及び同事業を展開する企業のM&Aを推進してまいります。M&A実行に際しては、対象企業の事業・財務・法務等についてデューデリジェンスを行うことにより、各種リスクの低減に努める方針です。しかしながら、実行後に経営資源の統合・活用が円滑に進まず、想定どおりに事業を拡大できず、また、その結果として、のれん等の減損処理を行う可能性があり、その場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
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当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度の連結財務諸表については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額により開示しております。
以下の経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の前連結会計年度の連結財務諸表の数値を用いて比較しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は17,246,390千円となり、前連結会計年度末に比べ1,064,094千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が895,828千円増加したことによるものであります。固定資産は9,743,353千円となり、前連結会計年度末に比べ366,881千円増加いたしました。これは主に有形固定資産の器具及び備品が207,108千円、無形固定資産のソフトウエアが658,895千円増加したものの、のれんが61,467千円、ソフトウエア仮勘定が400,840千円減少、投資その他の資産は繰延税金資産を92,166千円取崩したことによるものであります。
この結果、総資産は、26,989,744千円となり、前連結会計年度末に比べ1,430,976千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は15,028,425千円となり、前連結会計年度末に比べ2,466,701千円増加いたしました。これは主に預り金が2,216,798千円、リース債務が206,303千円増加したことによるものであります。固定負債は1,835,278千円となり、前連結会計年度末に比べ331,904千円減少いたしました。これは主にリース債務が291,644千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、16,863,703千円となり、前連結会計年度末に比べ2,134,797千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は10,126,040千円となり、前連結会計年度末に比べ703,821千円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失682,434千円計上したことによる利益剰余金の減少及びその他有価証券評価差額金75,888千円の減少によるものであります。
この結果、自己資本比率は37.3%(前連結会計年度末は42.2%)となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大が進むなど、緩やかな回復基調となりました。一方で、物価上昇の継続、為替・金融資本市場の変動、アメリカ政府の動向等の影響が海外・国内景気の下振れリスクとなっており、当社グループを取り巻く経済環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。
キャッシュレス業界においては、政府はキャッシュレス決済の推進を国策として、2025年には同決済比率を40%、将来的に世界最高水準となる80%を目指しております(注1)。この目標に対し経済産業省の発表(2025年3月31日)において、2024年のキャッシュレス決済比率が42.8%に達し、目標を前倒しで達成する等、堅調に上昇しております。これを追い風に、同業界においては、生活様式の変化を踏まえつつ、無人店舗やモバイルを起点とした新たなサービスやソリューションが増加しています。
このような経済状況のもとで、電子決済サービスにおいては、当社データセンターに接続する端末は堅調に増加しており、稼働端末台数は約110万台となりました(2025年3月31日)。
ストック収入に当たるセンター利用料、QR・バーコード精算料は、決済処理金額及び決済処理件数の拡大に向けて、大手ドラッグストアでの当社決済端末導入を進めた他、東海道新幹線の車内決済サービス等の新たなユースケースを創出し、また、対応ブランドにアジア他11か国で利用できるAlipay+(アリペイプラス)が加わることで海外決済ブランドを含む多種多様なキャッシュレス決済への対応を低コストで実現しインバウンド消費の活性化に対応するなど、拡大に寄与いたしました。
フロー収入に当たる端末販売については大型案件導入が進んだものの、一部端末にて次世代機種の展開を見据えた買い控えや、顧客の計画の見直しによる導入の遅延や失注、また開発売上は顧客の計画変更に伴うプロジェクト凍結等が発生し、一部の販売機会の損失がありました。
情報プロセシングサービスにおいては、流通事業者が保有する様々なビッグデータの活用が可能となるサービスとして、データの「保全」「連携」「分析」を一貫して提供するデータプラットフォーム「Xinfony Data Hub(シンフォニー データハブ)」の提供を2024年6月より開始し、同年9月には、大手ドラッグストアチェーンにクラウドPOS(販売時点情報管理)システムの本格導入を開始し、競争優位性をさらに高め、収益化の機会を創出しました。しかしながら先進化に向けた設計及び開発に充分なリソースを費やしたことから立ち上がりが遅れ計画どおりの売上獲得には至りませんでした。
また2030年までのさらなる事業成長を見据え、取り扱うデータが飛躍的に増加することが予想されることから、データセンターを移設し基盤を強化することを当年度の重要施策として進めてまいりました。当初、2025年3月末に移設完了予定でしたが、障害発生に伴い安全性担保のため移設プロセスを再検証した結果、移設完了予定を2025年6月末に延期し、段階的に移行作業を確実に進めてきておりました。しかしながら、提出日現在において一部の取引先様において、ネットワーク環境の再調査が必要なことが判明したため、万全を期して追加検証を実施することといたしました。これにより2025年6月に予定していたデータセンター移設の完了時期を最長2025年9月末まで延期することといたしました。なお今回の完了時期の延期による業績への影響は軽微となる見込みです。
連結子会社のウェブスペース社においては、概ね計画通りに推移しました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は12,300,727千円(前年同期比18.6%増)となりました。売上原価は、障害対応及び保守対応に伴う人件費、サービス品質強化に伴う追加費用、今後更なる事業成長に備え、持続的な成長を可能とする処理能力を確保するため、データセンター移設に伴う一過性の費用等を計上したことから、売上原価8,899,397千円(前年同期比26.3%増)、売上総利益3,401,330千円(前年同期比2.4%増)、営業損失504,561千円(前年同期は777,042千円の営業利益)、経常損失513,215千円(前年同期は765,780千円の経常利益)となりました。また、特別損失として減損損失66,406千円を計上し、法人税等15,004千円の計上及び通期業績の修正に伴う繰延税金資産の取崩しによる法人税等調整額86,302千円の計上により親会社株主に帰属する当期純損失は、682,434千円(前年同期は585,348千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
なお、当社の事業セグメントはキャッシュレス決済サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注1)「キャッシュレス・ビジョン」経済産業省(2018年4月)
(参考情報)
当社グループは、投資家が会計基準の差異にとらわれることなく、当社グループの業績評価を行い、当社グループの企業価値についての純粋な成長を把握するうえで有用な情報を提供することを目的として、連結財務諸表及び財務諸表に記載された売上高以外に、当社グループの主要なサービスごとに外部顧客への売上高の推移を下表のとおり把握しています。またEBITDAを経営成績に関する参考指標としており、当該EBITDA及び算出方法は以下のとおりであります。
日本基準に基づくEBITDA=経常利益+減価償却費+支払利息
(単位:千円)
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連結会計期間 |
第14期 |
第15期 |
第16期 |
第17期 |
第18期 |
|
売上高 |
- |
- |
- |
10,370,036 |
12,300,727 |
|
(売上内訳) |
- |
- |
- |
|
|
|
センター利用料 |
- |
- |
- |
4,285,319 |
4,646,979 |
|
決済端末販売売上 |
- |
- |
- |
1,730,791 |
1,730,523 |
|
QR・バーコード 精算料 |
- |
- |
- |
2,231,898 |
2,992,427 |
|
登録設定料等 |
- |
- |
- |
537,154 |
489,833 |
|
開発売上 |
- |
- |
- |
861,756 |
536,925 |
|
その他 |
- |
- |
- |
723,115 |
1,904,038 |
|
経常利益 |
- |
- |
- |
765,780 |
△513,215 |
|
調整額: +減価償却費 +支払利息 |
- |
- |
- |
1,615,088 8,273 |
1,921,932 27,656 |
|
調整額小計 |
- |
- |
- |
1,623,362 |
1,949,588 |
|
EBITDA |
- |
- |
- |
2,389,143 |
1,497,841 |
(注)第17期より連結財務諸表を作成しているため第16期以前の各数値については記載しておりません。
(単位:千円)
|
会計期間 |
第14期 |
第15期 |
第16期 |
第17期 |
第18期 |
|
売上高 |
6,451,089 |
7,139,159 |
7,831,435 |
10,370,036 |
10,938,444 |
|
(売上内訳) |
|
|
|
|
|
|
センター利用料 |
3,133,165 |
3,496,550 |
3,822,014 |
4,285,319 |
4,646,979 |
|
決済端末販売売上 |
1,459,692 |
1,364,468 |
1,360,886 |
1,730,791 |
1,730,523 |
|
QR・バーコード 精算料 |
188,890 |
486,812 |
1,147,778 |
2,231,898 |
2,992,427 |
|
登録設定料等 |
631,720 |
728,445 |
647,724 |
537,154 |
489,833 |
|
開発売上 |
820,645 |
897,052 |
636,416 |
861,756 |
536,925 |
|
その他 |
216,973 |
165,829 |
216,615 |
723,115 |
541,755 |
|
経常利益 |
158,690 |
712,345 |
535,357 |
818,089 |
△461,480 |
|
調整額: +減価償却費 +支払利息 |
1,206,470 1,981 |
1,463,926 4,624 |
1,601,425 255 |
1,615,088 8,273 |
1,812,712 26,350 |
|
調整額小計 |
1,208,452 |
1,468,550 |
1,601,681 |
1,623,362 |
1,839,062 |
|
EBITDA |
1,367,143 |
2,180,896 |
2,137,039 |
2,441,452 |
1,377,582 |
(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第15期の期首から適用しており、第15期以降は当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、14,069,217千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、3,624,042千円となりました(前年同期比579.6%増加)。これは主に、税金等調整前当期純損失の計上額581,127千円、売上債権の増加額222,216千円、仕入債務の減少額121,921千円、法人税等の支払額189,094千円による減少があるものの、減価償却費の計上額1,901,382千円、のれん償却額の計上額61,467千円、預り金の増加額2,216,798千円による増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、2,644,931千円となりました(前期は4,588,705千円の獲得)。これは主に、有形固定資産の取得による支出599,521千円及び、無形固定資産の取得による支出1,918,202千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、83,282千円となりました(前期は5,190,151千円の獲得)。これは主に、長期借入金の借入による収入80,000千円、長期借入金の返済による支出76,085千円、リース債務の返済による支出85,341千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため受注実績に関する記載は省略しております。
c.販売実績
当社グループは、提供するサービスについて、サービス内容に従って「センター利用料」、「決済端末販売売上」、「開発売上」、「登録設定料等」、「QR・バーコード精算料」、「その他」の6つに売上を区分しております。
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センター利用料 |
電子決済処理の月額利用料 |
|
決済端末販売売上 |
非接触リーダー・ライター等の販売 |
|
開発売上 |
決済処理サービスに関連する開発売上 |
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登録設定料等 |
決済処理センターへの登録料 |
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QR・バーコード精算料 |
QR決済処理の利用料 |
|
その他 |
上記以外の売上 |
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはキャッシュレス決済サービス事業の単一セグメントであるため、上記のサービス別に記載しております。
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(単位:千円) |
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サービスの名称 |
当連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
センター利用料 |
4,646,979 |
8.4 |
|
決済端末販売売上 |
1,730,523 |
0.0 |
|
QR・バーコード精算料 |
2,992,427 |
34.1 |
|
登録設定料等 |
489,833 |
△8.8 |
|
開発売上 |
536,925 |
△37.7 |
|
その他 |
1,904,038 |
163.3 |
|
合計 |
12,300,727 |
18.6 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自2023年4月1日 至2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日) |
||
|
金額 (千円) |
割合 (%) |
金額 (千円) |
割合 (%) |
|
|
株式会社日本カードネットワーク |
1,741,106 |
16.8 |
1,478,123 |
12.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
②財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(売上高、売上原価、売上総利益)
売上高は主にセンター利用料及びQR・バーコード精算料が増加したことにより、12,300,727千円(前年同期比18.6%増)となりました。
売上原価は主にデータセンター移設に伴う費用や障害対応及び保守対応費用が増加したことにより、8,899,397千円(前年同期比26.3%増)となりました。
その結果、売上総利益は、3,401,330千円(前年同期比2.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は主に給料及び手当、業務委託料の増加により、3,905,892千円(前年同期比53.5%増)となりました。
その結果、営業損失は504,561千円(前年同期は777,042千円の営業利益)となりました。
(営業外損益、経常損失)
営業外収益は主に保険解約返戻金の増加により、19,013千円(前年同期比418.1%増)となりました。営業外費用は主に支払利息の増加により、27,666千円(前年同期比85.3%増)となりました。
その結果、経常損失は513,215千円(前年同期は765,780千円の経常利益)となりました。
(特別損益、当期純損失)
特別利益の計上はありません。特別損失は主に減損損失を計上した結果、67,911千円となりました。法人税等合計は主に法人税、住民税及び事業税を15,004千円、法人税等調整額86,302千円を計上した結果、101,307千円(前年同期比43.9%減)となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、682,434千円となりました。(前年同期は585,348千円の親会社株主に帰属する当期純利益)
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社は、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、運転資金や設備投資等の調達につきましては、自己資金、金融機関からの借入及びリースを基本としております。
必要な運転資金は、金融機関との当座貸越契約を締結し十分な借入枠を有しております。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑤経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さ
い。
⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表作成に際して採用している重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
⑦経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、第2(事業の状況)(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に記載のとおり、①全社の売上高、②「情報プロセシング」分野の売上高、③ストック収入売上、④接続端末台数、⑤EBITDAの5点を重要指標としております。
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前連結会計年度 (自2023年4月1日 至2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日) |
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全社の売上高(千円) |
10,370,036 |
12,300,727 |
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情報プロセシング分野の売上高(千円) |
618,282 |
1,904,038 |
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ストック収入売上(千円) |
7,054,372 |
8,129,240 |
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接続端末台数(台) |
968,000 |
1,102,000 |
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EBITDA(千円) |
2,389,143 |
1,497,841 |
当社は、決済業界における主要なプラットフォームである「INFOX」、「JET-S」、「stera」のすべてと当社センターが接続しており、これら個別の契約としては重要なものとして位置付けております。
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契約締結年月日 |
契約の相手先 |
契約の名称 |
契約の内容 |
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2011年4月15日 |
株式会社NTTデータ |
サービス提供業務委託契約 |
㈱NTTデータ(以下NTTD)と当社との、NTTDが顧客に提供する「INFOX-NET シンクライアント」サービスに関し、当社がNTTDに提供する「TMN決済サービス」を提供するための契約であります。 契約期間:2011年4月15日から2014年4月14日まで 以降1年ごとの自動更新 |
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2013年4月17日 |
株式会社日本カードネットワーク |
業務委託契約 |
㈱日本カードネットワーク(以下JCN)と当社との、JCNが顧客に提供するサービスに関し、当社がJCNに提供する「TMN決済サービス」を提供するための契約であります。 契約期間:2013年4月17日から2014年4月16日まで 以降1年ごとの自動更新 |
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2020年3月9日 |
三井住友カード株式会社 |
TMN決済サービス利用契約 |
三井住友カード㈱と当社との、プラットフォーム「stera」に関して、決済端末を用いて「TMN決済サービス」を利用することについて定めた契約であります。 契約期間:2020年3月9日から2025年3月8日まで 以降1年ごとの自動更新 |
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2025年3月10日 |
株式会社ジィ・シィ企画 |
資本業務提携契約 |
㈱ジィ・シィ企画と当社の、決済事業領域における両社のサービスや機能を組み合わせて、顧客への提案力強化を図るとともに開発リソースの融通等、効率化を行うことで、今後もキャッシュレス事業領域でのさらなる成長と事業拡大を目的とした資本業務提携契約であります。 譲渡される株式の種類及び数: 普通株式数508,000株(2024年12月31日時点の完全議決権株式2,506,160株に対する所有株式数の割合20.29%) |
該当事項はありません。