文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」をミッションとして掲げております。
企業や各種業界が抱える様々な社会課題・顧客課題をAI・ディープラーニング等の先端技術を用いて解消するために、現場に入り込んだコンサルテーションに始まり、アセスメント、開発、導入、顧客による運用まで視野に入れた、実用的なソリューションを提供しております。
また、当社グループの「宇宙関連ビジネス」売上が当社全体の30%程度となってきており引き続き力を入れてまいります。衛星データは、現状において十分に活用されていない知見が多くあり、今後は衛星データを活用した様々なAIソリューションやAIサービスが立ち上がっていくと考えており、当社グループはその分野でいち早く成果をあげ、衛星データ解析の国内トッププレイヤーを目指しております。
さらに、当社グループのミッションである社会課題の解決においては、衛星画像による土砂崩れの解析や、ドローンを使った海ごみ解析など、当社が開発・提供する環境モニタリングAIを中心に、SDGsの目標達成に向けて積極的に取り組んでおります。
当社グループは、安定的な成長を図るため、成長性、収益性及び効率性を重視した経営が必要と認識しております。このため当社では、売上高、営業利益、従業員数を重要な指標と位置づけて各種経営課題に取り組んでおります。
当社グループは、AIコンサルティング・ソリューション開発による知見・ノウハウ等の価値の蓄積、蓄積した価値の最大化、そして蓄積・最大化した価値を生かした新たな市場を創造し、新たな価値の蓄積を積み上げる、というエコシステムによる事業展開・拡大を目指します。

フェーズ1:先進技術による課題解消の知見・ノウハウ等「価値の蓄積」
当社グループは、各業界の大手企業や公的研究機関との共同開発において、様々な社会課題・顧客課題をAI・ディープラーニング等の先端技術を用いて解消するために、現場に入り込んだコンサルテーションに始まり、アセスメント、開発、導入、顧客による運用まで視野に入れたワンストップ対応による実用的なソリューションを提供することで、収益を上げると同時にAI・ディープラーニングによる課題解消の知見・資産を蓄積しております。ここでの蓄積される知見・資産は、顧客の実運用までを徹底支援し、AIのみならず既存技術や人による運用をあわせて組み上げた非常に実践的なソリューションであるため、顧客からの高い評価を獲得し、顧客との継続的・発展的な関係作りの基礎を担っております。
フェーズ2:蓄積した「価値の最大化」
次に当社グループは、フェーズ1における様々なプロジェクトや共同開発等によって蓄積した知見・資産といった価値を顧客企業の他の事業や類似するプロセスに拡大することによって、顧客企業にとっての価値の最大化を図ります。この際、既に存在する知見・資産の活用が可能であることから当社グループとしての収益性も向上し、収益の拡大に寄与します。
また、蓄積した価値を個別企業のみならず各業界のキープレイヤーとの協業スキームを活用して、業界のAI・DX化を進めることで、より大きな社会課題・ビジネス課題を解消するとともに、コンサルティングやシステム開発を主とするフロー型の収益モデルに加えて、サービス利用料やパートナーによる販売時の手数料収入といったレベニューシェア型で、かつ業界全体の多くの企業や人々に価値を届けるアセット型の収益モデルを実現してまいります。
さらには、これらの価値をより持続可能なものにするために、当社グループのAI×SDGsの仕組みである環境問題への貢献を目指す環境モニタリングAI、検査工程の省力化、効率化に寄与するソリューションの提供及びひび割れ検出(設備保守)AIなど社会問題への貢献を目指す社会活動モニタリングAIとの組み合わせによって、SDGsの目標達成の実現手段の1つとして、個別企業や業界に提供することで、様々な観点での「価値の最大化」を目指します。
フェーズ3:蓄積・最大化した価値からの新たな市場創造
当社グループの事業ドメインであるAI・ディープラーニングは、まだ手付かずの未知の領域が数多く存在しております。当社グループは、その未知の領域における新たな市場(=新たな価値)を開拓・創造してまいります。具体的には、既に蓄積している知見・資産の価値と、AI・ディープラーニングが活用されていない業界における潜在的な課題を掛け合わせることで、新たな市場を創造します。そのためには、国の研究機関や大学、そして大手企業の基礎研究領域における研究開発にも積極的に先行投資的な活動を行い、新たな市場(=新たな価値)を創造してまいります。
これらの方針に従い、当社グループは中長期戦略として4つのドライバー(施策)で顧客企業とともに事業拡大をしていく方針です。
①ストック収益の拡大に向けたアクション
顧客企業との共同事業案件の確かな推進と、プラットフォーマーへのAIライセンスの提供による2軸でストック収益を拡大していきます。
②コンサルティングファームとの連携による大規模な事業共創案件の獲得
業界のリーディングカンパニーへのリーチを増やすために、当社グループがもつAI及びデジタル技術の知見をコンサルティングファームに共有し、補完関係を構築し、中長期テーマを共同で展開していきます。
③次世代AIの進化を見据えた研究開発
官能検査・生成系AI・マルチモーダルなど、次のAIへの期待に応えるための先行研究と事例を発信し、優秀な研究者・エンジニア採用による事業拡大を目指します。
④人工衛星データ解析AIでの国内リーディングポジションの確立とグローバル展開
衛星解析AIを強みに、人工衛星解析市場の拡大に合わせ、環境テーマ等のニーズを先読みし、官公庁と民間の両方へのアプローチを行い事業展開を目指します。
当社グループは、様々な業界に対してAI活用による課題解決を行っております。当社グループのビジネス市場である国内のAI市場は富士キメラ「2020人工知能ビジネス総調査」によると2021年の1.1兆円から2027年に1.9兆円になる見込みとなっております。その中でも当社のAI活用コンサルティング・AI開発サービスの位置するサービス市場の市場規模は、2021年度が6,248億円、2022年度が7,026億円、2027年度には10,429億円になる見込みとなっております。今後は、労働人口不足、働き方改革、インフラの老朽化など社会問題の解決策としてAI導入が加速すると予想され、AIサービス市場は拡大を続けると見込まれております。
その中でも当社グループが狙う市場としては、AI活用があまり進んでいない製造業・サービス業が抱える課題へのAI導入を目指しており、製造業の顧客が多くプロジェクト実績もあることが当社の強みとなっています。

上記方針を実現するため、当社グループが認識している課題と対応する具体策は、次のとおりです。
当社グループにとって、AIをはじめとした先端技術の研究による、技術基盤の確立、ソフトウェアの開発は必要不可欠なものであるため、社内のエンジニアの育成だけでなく、AI技術者などの専門的な技術をもつ人材の確保・採用も進めてまいります。また、必要に応じて産学連携や新技術を持つ企業との業務提携、共同研究等を進め、サービスメニューの充実化や事業化に向けた取り組みに注力してまいります。
当社グループの財産は、高度な技術・専門性とチャレンジ精神を持った優れた従業員であると認識しております。当社グループは「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」というミッションを掲げ、ビジネス・社会の重要な問題解決に必要な技術を見立て、技術の応用化に向けた開発を一気通貫・迅速に実行するプロフェッショナル集団として事業を遂行しております。今後も当社のミッションを遂行していくためには、従業員の生活・人生を豊かにし、業務においては成果の創出に集中できるような働きがいのある環境づくりが必要であると考え、その実現に取り組んでまいります。
当社グループのカスタムAIソリューション事業におけるシステム開発や運用等の遂行過程において、顧客の機密情報や個人情報等を取り扱う可能性があります。当社では、情報管理の強化が重要であると考えISO27001の認証を取得しているほか、情報セキュリティに関する情報セキュリティ基本規程を制定し従業員への教育を実施しておりますが、今後も社内での研修強化、情報管理体制強化のためのシステム整備等を継続して実施してまいります。
当社グループの継続的な発展を実現させるためには、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であり、そのために財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの適切な運用が重要であると認識しております。
コーポレート・ガバナンスに関しては、内部監査による定期的なモニタリングの実施と監査等委員や監査法人との連携を図ることにより適切に運用しておりますが、ステークホルダーに対して経営の適切性や健全性を確保しつつも、俊敏さも兼ね備えた全社的に効率化された組織体制の構築に向けて更に内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
当社グループは、財務基盤の安定性を維持しながら、様々な事業上の課題を解決するための事業資金を確保し、また、新たな事業価値創出のために機動的な資金調達を実行できるよう、内部留保の確保と株主還元の適切なバランスを模索していくことが、財務上の課題であると認識しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、中長期的な企業価値の向上のため、今後、サステナビリティに関する取組みを拡充・充実させていく必要があると認識しており、特に、人的資本・知的財産への投資等が非常に重要であると認識しております。現在、当社グループでは、AIを通じた地域社会や地球環境への貢献及び価値あるサービスの創出を目指しているほか、そういったサービスの特許取得による知的財産保護や、人材確保・定着のための取組みの拡大等を実施しております。また、サステナビリティに関する取り組みについて、実効性が確保されているかを取締役会等で検証し、改善を図りつつ方針を実行する経営体制を構築しております。
当社グループは、サステナビリティに関する取組みのうち、特に人材確保・定着に関する取組みを経営上重要であると考えております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
従業員は事業の成長を支える重要な存在であるとの認識のもと、多様な人材が仕事と家庭を両立し、最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組んでおります。具体的な取り組みとして、働きがいのある環境づくりのため、在宅勤務の導入や休暇取得の促進等、従業員の意向を踏まえた快適な労働環境を提供しており、研修や定期的な勉強会を実施する等自己研鑽の機会を設けております。
また、社員一人一人の自己能力を高めることができる業務体制や年齢、国籍、性別等区別することなく、意欲と能力のある従業員が平等に管理職への登用への機会等が得られるような人事制度を整えております。
当社グループでは、「コンプライアンス・リスク管理委員会規程」等に基づき、取締役会やその他の社内会議等を通じてリスクの識別・評価・管理を行うためのプロセスを整備し、リスクの未然防止及び会社損失の最小化に努めております。また、必要に応じて弁護士、公認会計士、弁理士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家からアドバイスを受けられる体制を構築するとともに、内部監査及び監査等委員による監査を通じて、潜在的なリスクの早期発見に努めております。そのほか、サステナビリティ関連の課題について今後取締役会等で検討し、適切な対応を行っていく予定です。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
当社グループでは、小規模な組織体制であるため、重要性も加味したうえで、年齢、国籍、性別等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値等は定めておりません。ただし、当社が掲げるミッションを実現し、事業成長を加速するためには、様々な局面において多様な意見を反映することが重要であるという認識の下、女性や中途採用者の管理職への登用を推進しており、その数は増加傾向にあります。今後も期待する役割に応じた能力と実績に基づき、積極的に登用を進めるとともに、これらの者が成果を最大化し、適切に能力が評価されるような施策や環境の整備に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループが継続的にユーザーに支持されるサービスを提供していくためには、優秀な人材の確保及び育成が極めて重要な要素であると考えており、対外的な人材獲得及び社内の人材育成に加え、人材流出を防止するための環境整備に取り組んでおります。他方、当社グループの属するIT業界においては、人材獲得競争が非常に激しいことから、必要な人材を適時に十分確保できない場合や当社グループの優秀な人材が流出してしまった場合には、今後の事業展開に制約が加えられることとなり、その結果、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると認識しております。コンプライアンス遵守及びリスク管理のため、代表取締役社長の直轄組織としてコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、原則として四半期に一度コンプライアンス・リスク管理委員会を開催してコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、ISO27001の認証を取得しており、機密情報と情報機器等の管理は厳密に行っております。業務の性格上、ユーザーが保有している機密情報(経営戦略上重要な情報等)に触れる場合があります。情報の取り扱いについては、情報セキュリティ基本規程、個人情報保護規程を策定するとともに、適宜社内研修を実施することで周知徹底を図っております。しかしながら、このような対策にも関わらず、情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、損害賠償等の金銭補償や企業イメージの悪化等により、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
企業を取り巻く環境や労働人口減少に伴う企業経営の効率化などの動きにより、当社グループが事業を展開しているAI業界は今後も拡大していくことが予測されるものの、国内外の経済情勢や景気動向、それに伴う設備投資意欲の減退等の理由により、市場の成長が鈍化する可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループが事業を展開しているAI業界は、技術革新が速く、当社グループの優位性を維持するためには、技術革新に即座に対応する必要があります。当社グループでは、各種イベントやセミナーへの参加や社内の定期的な勉強会等を通じて、AI業界の技術革新の動向を把握するとともに、それに対応した新サービスの提供ができるよう努めております。しかしながら、当社グループが技術革新に対応できないような場合、または、当社グループが対応できないような技術革新が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、AI活用コンサルティング・AI開発を主たる事業領域としておりますが、技術革新や顧客ニーズの変化が速く、AI業界へ参入する企業も増加する傾向にあることから、引き続き事業の拡大及び競争力の維持・変化への対応に努めてまいります。当該リスクへの対応として、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めてまいります。しかしながら、当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは環境問題や社会問題を解決する新規AIエンジンの開発を行っており、これらのAIエンジンをプロダクトとして販売することで事業規模拡大を見込んでおります。プロダクトの販売が想定どおりに進まない場合や、プロダクトとしての販売に際してAIエンジンの精度向上のためのデータ蓄積が想定どおりに進まない可能性がありますが、その時期は想定されるものではなく当該リスクが短期的に顕在化する可能性は低いと想定しております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、第三者の知的財産権侵害の可能性について、チェック体制を整備することにより、十分な注意を払うとともに、案件によっては顧問弁護士や弁理士等に調査を依頼することとしております。しかしながら、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せず他社の知的財産権を侵害し、訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の代表取締役社長である柳原尚史は、創業者であるとともに、創業以来、当社グループの事業推進において重要な役割を担ってまいりました。柳原尚史は、サービスの企画から開発、及び運用に至るまで豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。
当社グループでは、取締役会や経営会議等において役員及び従業員への情報共有や権限委譲を進める等組織体制の強化を図るとともに、これらの者に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により、柳原尚史が当社グループの経営執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、及び健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と考えており、人員の増強による内部管理体制の充実に継続的に努めております。しかしながら、事業の急速な拡大等の理由により、内部管理体制の構築の十分性が確保できない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2024年7月31日現在において、取締役9名(うち監査等委員3名)、従業員数73名と小規模組織であり、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の業務拡大に応じた人員増強や従業員の育成により、内部管理体制の一層の充実を図っていきますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の設立は2016年7月と社歴の浅い会社でありますが、これに対応すべく、各部門において、十分な知識と経験を有する人材の確保を行っております。他方、当社社歴の浅さとAI業界を取り巻く環境の急激性・流動性が相まって、当社グループにおける経営計画の策定には、不確定事項が含まれざるを得ない状況にあり、過年度の財政状態及び経営成績では、今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。
当社グループは、取締役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストック・オプション(新株予約権)を発行しております。また、今後もストック・オプション制度などの株式報酬型のインセンティブを活用することが考えられることから、現在付与している新株予約権に加え、今後株式が付与された場合、または、今後付与される新株予約権について、権利が行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は、149,620株であり、発行済株式総数3,861,160株の3.9%に相当しております。
当社グループは、株主に対する利益還元については経営の重要課題の一つと位置付けておりますが、配当を実施しておりません。今後におきましては、経営成績、財政状態、事業計画の達成状況等を勘案しながら、株主への利益配当を検討していく方針であります。しかしながら、当社グループの事業が計画どおり推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。
当社グループは、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準は25%であるところ、流通株式比率は本書提出日現在において36.06%となっております。今後は、大株主への一部売出し要請、ストック・オプションの発行及び行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらにより流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのカスタムAIソリューション事業においては、提供するAIソリューションの機能性・利便性の向上及び他分野への展開が重要と考えております。そのため、上場時に調達した資金の使途につきましては、システム開発や事業拡大に伴う人件費及び研究開発費用へ積極的に投資していきたいと考えております。しかしながら、AI関連市場は変化が激しく、その変化に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途に使用する可能性があります。また、上記計画どおりに資金を使用したとしても当初想定していた事業規模の拡大が進まない可能性があります。なお、将来にわたっては、資金調達の使途の前提となっている事業計画・方向性が見直される可能性があります。
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、地震、台風、洪水等の自然災害又は感染症の流行等が発生した場合、被災状況によっては正常な事業活動が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではテレワーク可能な社内管理体制及びそれを可能とする業務システムの運用を行い、それにより当該状況でも従来どおりの事業継続が可能となる事業運営を行っております。
2024年6月に子会社化した株式会社スターミュージック・エンタテインメントは、今後の当社グループの業績に貢献するものと見込んでおります。しかしながら、事業環境の変化等により当初の想定を下回る場合、のれんの減損処理等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。そのため、①経営成績の分析、③キャッシュ・フローの状況、④生産、受注及び販売の実績、に関する記載につきましては、個別財務諸表に係る数値を記載しています。
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度(2023年8月1日から2024年7月31日)における我が国経済は、緩やかな回復傾向が見られるものの、急激な円安進行及び東欧や中東における紛争の影響による資源価格の高騰に加え、先進諸国を中心としたインフレの継続と金融政策の見直し等により、先行き不透明な状況が続いております。
このような中、当社を取り巻く国内AI市場においては、大規模言語モデルによる技術革新が進展し生成AIの活用に対する注目の高まりにより、企業の生産性向上や競争力強化を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の高い需要が継続しており、引き続き様々な場面においてAI導入の流れが加速しております。
当社は「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」をミッションとして掲げ、カスタムAIソリューション事業として顧客の目的から現場のプロセス、課題を理解し、様々なデータに対応したAIを組み合わせた最適なAIソリューションを提案し、実装までを行っております。また、株式会社スターミュージック・エンタテインメントを子会社化したことから、新たにデジタルマーケティング事業を加えて新たなAIソリューションの提供が可能な体制を構築していきます。
当事業年度においても、前事業年度から継続している大手企業の顧客を中心にAIプロジェクトの執行を行いました。特に衛星解析や生成AI案件が拡大したことにより、当事業年度において、過去最高の売上高及び利益となりました。AI活用コンサルティング・AI開発は前年度並みで売上高は643,049千円となり、当事業年度に特に売上の伸びが大きかったのは人工衛星AI解析の売上高で、官公庁からのプロジェクトが大幅に増加したため人工衛星AI解析の売上高は340,946千円となりました。また、保守運用案件が継続しているためAIライセンス提供の売上高は87,958千円となりました。これらの結果、売上高は合計で1,071,954千円(前年同期比35.6%増)となりました。
売上総利益については、売上高の増加と利益率のよい大型案件が増加したこと及び社員の高い稼働率により売上総利益率が前年度から向上したことにより737,367千円(前年同期比43.0%増)となりました。
上記の売上総利益の増加が社員数増加による人件費増加等を吸収したことにより、営業利益は152,738千円(前年同期比117.1%増)、経常利益は153,014千円(前年同期比151.3%増)、当期純利益は121,697千円(前年同期比173.1%増)となりました。
当連結会計年度末における資産合計は3,043,228千円であります。主な内訳は現金及び預金が2,116,037千円、売掛金及び契約資産が285,496千円、のれんが333,116千円であります。なお、のれんは株式会社スターミュージック・エンタテインメントの株式を取得し連結子会社化したことに伴い発生したものであります。
当連結会計年度末における負債合計は602,899千円であります。主な内訳は外注先等への買掛金が160,065千円、社員給与等の未払金が122,190千円、子会社での金融機関からの1年以内返済予定の長期借入金48,106千円及び長期借入金47,237千円であります。
当連結会計年度末における純資産合計は2,440,328千円であります。主な内訳は資本剰余金が1,945,140千円、利益剰余金が155,797千円、非支配株主持分が316,336千円であります。
なお、当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であり、前期は連結財務諸表を作成していないため、前期との比較は行っておりません。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、関係会社株式の取得等の要因により、前事業年度末に比べ349,981千円減少し、当事業年度末には1,370,799千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は348,619千円となりました。これは主に、税引前当期純利益153,014千円の計上、売上債権及び契約資産の減少額67,991千円、未払金の増加額27,804千円、契約負債の増加額71,425千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は723,019千円となりました。これは主に、株式会社スターミュージック・エンタテインメント株式の取得による支出712,000千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果調達した資金は24,419千円となりました。これは主に、新株予約権の行使に伴う株式発行による収入22,931千円があったことによるものであります。
当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はカスタムAIソリューション事業の単一セグメントのため、サービス別に記載しております。
(注) 1.最近2事業年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(売上高)
AI活用コンサルティング・AI開発の売上高は643,049千円(前事業年度比104.1%)となりました。これは主に前事業年度から継続している大手企業の顧客を中心にAIプロジェクトの継続及び拡大があったことによるものです。
人工衛星AI解析の売上高は340,946千円(前事業年度比331.9%)となりました。これはデータ解析だけではなく大型のAIシステムの開発案件の受注があったことにより増加していることによるものです。
AIライセンス提供の売上高は87,958千円(前事業年度比125.7%)となりました。これは前期より保守運用案件が継続していることと定期的なライセンス収入があったことによるものです。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,071,954千円(前事業年度比135.6%)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は334,587千円(前事業年度比121.8%)となりました。これは主に、売上高が増加したことにより売上原価も増加したためですが、利益率のよい大型案件が増加したこと及び社員の高い稼働率により売上総利益は売上原価以上の割合で増加しました。
以上の結果、当事業年度の売上総利益は737,367千円(前事業年度比143.0%)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は584,628千円(前事業年度比131.3%)となりました。これは主に、売上高増加やM&Aによる規模拡大に対応するために販売や管理の人件費が増加したことによるものであります。
以上の結果、当事業年度の営業利益は152,738千円(前事業年度比217.1%)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度の営業外収益は276千円(前事業年度は201千円)となりました。これは主に社員による講演料収入です。
当事業年度の営業外費用の発生はありませんでした。
以上の結果、当事業年度の経常利益は153,014千円(前事業年度比251.3%)となりました。
(当期純利益)
当事業年度の税引前当期純利益は153,014千円(前事業年度比251.3%)となりました。当期純利益については、法人税等と繰延税金資産の取崩による法人税等調整額の計上により121,697千円(前事業年度比273.1%)となりました。
財政状態の分析及びキャッシュ・フローの分析は、前述の「(1)経営成績等の状況の概況」に含めて記載しております。
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり売上高、営業利益又は営業損失(△)、従業員数としております。過年度における当社の各指標の進捗は以下の通りです。
(単位:千円)
売上高は1,071,954千円(前事業年度比135.6%)となりました。特に顧客需要の増加にともない衛星解析や生成AI案件が拡大したことによるものです。
営業利益は152,738千円(前事業年度比217.1%)となりました。これは売上高の増加と利益率のよい大型案件が増加したこと及び社員の高い稼働率により売上総利益率が前年度から向上したことにより営業利益も大幅に増加しました。
従業員数は前期比で12名増加し41名となりました。今後もエンジニアと共にコンサルタントを増やしていく方針です。従業員数は売上高の伸びにある程度比例するものと考えており、将来の受注見込を考慮して引き続き人材獲得を目指すものであります。
当社では、「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」の経営方針を掲げ、技術者を尊重する企業環境の下、先端技術の実用化に取り組んでまいりました。その結果として、ディープラーニングを中心としたAI関連技術を実装することについて、他社に対し優位な立場を築くことができていると考えております。一方で、当社が事業を営むカスタムAIソリューション事業においては、技術革新のスピードは非常に早く、その状況を常に注視し、また技術の変化、新技術の登場にいち早く対応することができなければ、当社の有する技術的な優位性は失われ得るものです。この優位性を維持し、さらに強固にするために、優秀な人材を継続して確保することが、当社にとって最優先の課題となると考えております。
現在、AI関連技術を有する人材に対する市場のニーズは強くその獲得競争は激化していると認識しております。当社においては、「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」の経営方針をより強く発信し、また最先端の研究をしている大学教授等と共同研究の取り組みを行うことにより、優秀な人材の確保を進める方針です。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載したとおり、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。市場動向及び業界動向に対して常に情報を集め、また、優秀な人材の獲得と育成に取り組むとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に迅速かつ最適な対応に努めてまいります。
当社の資金需要のうち主なものは、人件費、外注費等の売上原価であります。運転資金は自己資金を基本としております。当事業年度末において、現金及び預金は1,370,799千円であり、十分な流動性を確保していると判断しております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者の会計方針の選択や適用、資産・負債や収益・費用の計上に際し、合理的な基準による見積りが含まれており、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りによる数値と異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)『財務諸表』注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。なお、当社の財務諸表で採用する重要となる会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 『財務諸表』注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
当社は2024年6月6日開催の取締役会決議に基づき、株式会社スターミュージック・エンタテインメントとの間で同日付で株式譲渡契約書を締結しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社は、「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」の経営方針に基づきAI・ディープラーニング等の先端技術の社会実装を目的として、大学等の研究機関と共同研究や共同事業の開発に取り組んでおります。
研究の目的は、LLMや生成AIの活用となり、顧客からそれら技術を用いたプロジェクトの相談や受託を受けるようになっております。研究開発のための社内体制は、開発部のエンジニアが研究目的ごとにプロジェクトチームを組成し、技術顧問のサポートを受けながら研究開発を進めております。
当事業年度における当社の支出した研究開発費の総額は