第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本提出書日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社はミッション「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」、ビジョン「日本で最もフードロスを削減する会社」、ブランドパーパス「楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る」を策定し事業活動を行っております。これまでの常識では経済活動を進めれば進めるほど、環境に負荷をかけてしまうモデルが一般的でした。「Kuradashi」は、社会性、環境性、経済性を重視した三方よしのビジネスモデルであり、私たちが成長することで持続可能な社会を実現していきます。

 

① ミッション:ソーシャルグッドカンパニーでありつづける

もったいないを価値へ~凸と凹をマッチングすることで世界を豊かにする。世の中に山積する社会課題解決を目的に設立したソーシャルグッドカンパニー。社会性、環境性、経済性を重視した活動をしていきます。

 

当社は様々な社会課題をボランティアではなく、あえて「事業」として解決することで、経済を循環させながら解決することを目指しております。この背景には、当社代表取締役会長の原体験と想いが深く関わっております。1995年に日本を襲った阪神淡路大震災、代表取締役会長の関藤もこれを経験しました。当時、救援物資を抱え救助に出向くも、「たった一人の力では、多くの人は救えない。」と、個の限界を痛感しました。この想いが、「社会課題は、一人の力ではなく大きな仕組みのもとあらゆる人を巻き込んで取り組む」という当社のビジネスモデルの構想につながっております。

 

② ビジョン:日本で最もフードロスを削減する会社

国内消費食料の約6割を輸入している(※1)にも関わらず、世界有数のフードロス大国である日本。「3分の1ルール」などの商慣習のために、その多くを無駄にしているのです。私たちクラダシは1.5次流通革命を通じて、日本のフードロスを削減します。

 

世界では今、本来食べられるはずの食料が廃棄される「フードロス」が大きな社会問題となっております。なかでも日本は世界有数のフードロス大国であります。この背景には、「3分の1ルール」という納品期限・販売期限を設ける独特の商慣習があり、ロスが発生しやすい社会構造となっております。当社はこの世界の危機に向き合い、フードロス削減に貢献するため、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を展開しております。

 

③ ブランドパーパス:楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る

当社は、義務感や強制力などではなく、「楽しいから」という理由でお買い物してもらえる場所を目指して参ります。「トクする」には「得する」「徳する」の2つの意味を込めており、お得なお買い物が、お客さま、企業、社会、地球、みんなのトク(得及び徳)に繋がります。Kuradashiは「ソーシャルグッド」という言葉をこれからも愚直に、まっすぐと、掲げて参ります。

 

 ※1 消費者庁消費者教育推進課食品ロス削減推進室「食品ロス削減関係参考資料」(令和6年6月21日版)

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社のビジネスは、社会的価値の向上と利益の創出の両立を可能とするものです。すなわち、フードロスの削減という社会的な価値の向上を「Kuradashi」という販路を通じて利益という形で体現しています。このため、売上高の成長を通じて企業価値の向上を図って参ります。

売上高の成長のための客観的な指標として、「累計会員数(※2)」、「月間UU(※3)」及び「ARPPU(※4)」の最大化を図っております。

また、ユーザーに魅力的なサービス提供を行うためには、より多くのパートナー企業とのリレーション強化が重要であることから、「累計パートナー企業数(※5)」、「アクティブ企業数(※6)」及び「平均仕入高(※7)」を重視しております。

加えて、「限界利益率(※8)」を重視することで、採用活動や広告宣伝活動など、売上高を成長させるための施策の自由度を高めることが可能となるため、重要指標と位置づけております。

これらの重要指標を最大化し、パートナー企業と会員双方のメリットを高めてソーシャルグッドの輪を広げることでフードロス削減の第一人者としての地位を確固たるものとし、持続的な企業価値の向上を目指しております。

 

 ※2 創業から四半期会計期間の末日までの累計会員登録者数

 ※3 月間UU(Unique Userの購入ID数)の四半期(3ヶ月)の平均数

 ※4 Average Revenue per Paid User(月間UU1人当たり平均購入金額)

 ※5 創業から四半期会計期間の末日までに取引実績のあるパートナー企業数

 ※6 四半期会計期間内に取引が発生したパートナー企業

 ※7 四半期会計期間の仕入高をアクティブ企業数で除して算出

 ※8 限界利益(売上高から売上原価及び配送料等の変動費を控除した金額)を売上高で除して算出

 

(3)経営環境及び経営戦略等

当社はこれまで、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の拡大、及び産官学連携・メディア戦略により当社「Kuradashi」ブランドの認知度向上を強化する戦略を推進して参りましたが、今後もこの戦略を継続し事業拡大を図ります。

「Kuradashi」の成長は、社会、消費者及びパートナー企業に支えられております。すなわち、フードロスの削減及び社会貢献活動を行う人口の増加を通じた社会的意義、社会貢献を通じた「イミ消費」の実感に裏打ちされた消費者における意義、そして余剰商品の供給及びブランド価値の保護を可能とするパートナー企業の意義です。これらの意義をさらに高めるべく、会員数の増加、寄付金額の増加、取扱商品数の増加並びに買取価格及び販売価格の最適水準の追求を行って参ります。

2024年6月期における支援金額(社会貢献団体への寄付及びクラダシ基金の活動原資の総額)は30,473千円であり、当事業年度末における累計支援金額は、144,184千円となっております。

 

①会員の体験価値

モノ消費、コト消費から、昨今ではイミ消費が重視されるようになりました。近年のクラウドファンディングの台頭や寄付文化の拡大に伴い、消費者のイミ消費を求める潮流は更に強まっております。

「Kuradashi」は、フードロス削減という社会課題に、手軽に楽しく取り組めるという体験を提供しております。売上金の一部が社会問題の解決に取り組む団体に寄付されることから、一般的な社会貢献活動と比して非常に簡単に取組可能な点が特徴になります。

また、フードロスの発生原因の約半分が家庭内である(※9)以上、「Kuradashi」で商品を買っていただくだけの関係では、フードロス削減というビジョンの実現は不十分であると考えております。ビジョンの実現を目指し、調理する、保存するといった“「Kuradashi」を利用していない”時であっても同じ価値観を共有できる“仲間”としての関係を、より多くの会員と築いていくことを目指します。そのために、多様化する食の体験ニーズに応え、より多くの会員と接点を作りながら、社会の役に立つことを楽しみ、喜べるようになっていただくためのコンテンツや購買体験を実現しています。一例として支援金の可視化があります。購入価格には社会貢献活動に対する支援金が含まれており、会員の購入による支援総額がマイページ等で認識でき、いつものお買い物でエシカル消費が実現・実感できます。

 

②パートナー企業のブランド価値向上

当社にとって、社会を持続可能な状態にしていく本当の主役はパートナー企業であり会員であります。市場価格保護のために“ブランドを守るために捨てる”という企業行動を変えてフードロスを削減していくためには、捨てない、無駄にしないことこそがブランドの持続可能性につながる、という世の中に変えていかなくてはなりません。当社は、主役のひとりであるパートナー企業の“捨てない、無駄にしない”という決意とアクションが正しく社会に評価され、それを企業の持続可能性と競争優位につなげていくためのパートナーであります。

パートナー企業は当社との取引を通じて、廃棄コストをゼロにすることのみならず「Kuradashi」に再流通させることでフードロスを削減し環境に配慮した会社としての評価を高めることが可能であります。

サステナビリティが新標準となるなか、企業は従来の商慣習の廃棄という選択から環境を配慮したサステナブルな選択へとシフトすることが求められ、「Kuradashi」はブランド価値向上のための新しいソリューションを提供しております。

 

※9 農林水産省「食品ロス量の推移(平成24~令和4年度)」

 

(4)中期経営戦略

当社のミッション・ビジョン実現のために、「フードロス削減のインフラに」をテーマとして、中期経営計画(2024年8月8日開示)を策定しております。

主たる事業であるソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の成長を加速させ、かつ、収益を複線化させる以下の事業展開を中期経営戦略として設定しており、収益基盤強化を図っていく方針であります。これらの施策を継続していくことにより、「Kuradashi」ブランドを一層強化するとともに、事業規模を拡大し持続可能な成長を目指して参ります。

中期経営計画テーマ

フードロス削減のインフラに

業績目標

売上高:100億円(2027年6月期)

EBITDA(※):5億円(2027年6月期)

成長戦略

基幹事業であるフードロス品取引と親和性の高い周辺領域で事業を創造

フードロス削減へのシナジー効果によるインフラ化と共に、ポテンシャルの大きい領域で単体事業としての収益化を図る

 1. EC事業の拡大

 2. サプライチェーンにおける機能拡張

 3. M&A含む新規事業による非連続の成長

 

※EBITDA=営業利益+各種償却費等の非資金損益項目

 

①EC事業の拡大(EC Kuradashi)

パートナー・ユーザーの双方向拡大、オペレーション強化により、フードロス削減の輪の拡大を目指して参ります。

EC事業の取引形態は在庫型とマーケットプレイス型の2種類に分類されます。

パートナーサイドでは、フードロス品の情報を早期にキャッチすべく、マーケットプレイスモデル/卸機能を強化し、取引の裾野を拡大すると共に、在庫型商材の拡充を図って参ります。

ユーザーサイドでは、CRMによる新規会員・コアファン創出をすべく、広告宣伝活動や販売促進活動へのコストの効率的な投下、SKU充実によるユーザーのF2転換/コアファン化、及び、UI/UX投資によるユーザビリティ改善を図って参ります。

また、パートナー・ユーザー双方の利便性向上を図るべく、オペレーションDXによる仕入から販売までのリードタイム短縮、サプライチェーンにおける機能拡張によるUX改善を図って参ります。

 

②サプライチェーンにおける機能拡張(Kuradashi Stores/Hub/Base/Forecast)

基幹事業であるフードロス品取引と親和性の高い周辺領域で事業を創造することで、フードロス削減へのシナジー効果によるインフラ化と共に、ポテンシャルの大きい領域で単体事業としての収益化を図ってまいります。

・Kuradashi Stores/Hub(OMOサービス/ECマーケティングサービス)

オンライン販売・ブランディングノウハウを食品メーカー等に提供することで、クライアント企業のブランド価値を高めつつ、自社のメディア効果も最大化して参ります。

・Kuradashi Base(フルフィルメントサービス)

食品EC運用ノウハウ及び食品メーカーとのリレーションを活かして、難易度の高い食品(3温度帯)のEC物流サービスを提供して参ります。食品流通の課題を解消しつつ、Kuradashi出品への導線を創出し、他モールとの差別化を図って参ります。

・Kuradashi Forecast(商品開発)

Kuradashiの蓄積データやサプライヤーとのリレーションを活用し、サステナブルなPB(プライベートブランド)商品開発や定期便といったサプライチェーン上流でフードロスが発生しない仕組みを構築して参ります。

 

③M&Aを含む新規事業による非連続の成長

既存事業の拡大・新規事業の立ち上げに加え、M&A活用により事業成長加速・非連続成長を目指して参ります。なお、当社のM&Aの考え方は以下の通りとしております。

 

M&Aの考え方

 既存事業領域/新規事業領域を中心に、シナジーのある同種あるいは注力領域を優先対象

 黒字企業/事業を合理的なEBITDA倍率で取得し、投資効率を追求

 デット資金を基本とした資金調達方法により、資本コスト最小化を企図

 経営支援/シナジー追求により獲得事業の成長を支援

 

 

領域

展開の方向性

既存事業領域

EC事業の拡大

・商品製造企業

・商品設計/PB(プライベートブランド)

・食品EC事業

新規事業領域

サプライチェーン

機能拡張

Stores

・ECサイト運営企業のカテゴリー領域拡充

・EC戦略/マーケティングコンサルティング

・ブランドソリューション(広告事業)

Hub

・販売チャネルの拡充(オンライン・オフライン両軸)

Base

・倉庫事業/運送事業

・倉庫管理システム(WMS)及びサイト販売システム(OMS)

新規領域

・サステナビリティ分野への投資

 

 

当社は、これらの非連続な成長を実現していくために、創業社長による経営から、より早期に次世代に経営を継承していく必要があると考え、2024年7月1日付で、代表取締役2名体制に移行しております。事業環境の変化に迅速に対応し、機動的な経営判断と業務執行を実現するべく、次世代経営体制の確立と継承を進め、当社の更なる発展と企業価値の向上を目指します。

氏名

新体制

旧体制

関藤 竜也

代表取締役会長

代表取締役社長

河村 晃平

代表取締役社長CEO

取締役執行役員CEO

 

代表取締役社長CEOの河村は、2019年6月に当社に参画し、これまでも取締役執行役員CEOとして業務執行を統括し、当社の企業価値向上を牽引してまいりました。今後はより経営スピードの加速化を図るため、河村のリーダーシップのもと、「みんなトクするフードロス削減のインフラに」を目指し、さらなる成長を実現してまいります。

一方、関藤は創業者として、社会課題を仕組みで解決していくという情熱とリーダーシップで、当社の基盤を築き、企業活動を率いてまいりました。今後は、代表取締役会長として、引き続きその想い・理念を社内外に発信し、当社の価値向上に励んでまいります。両名それぞれの強みを活かした役割分担を行うことによって、将来の当社の価値の最大化につなげてまいります。

 

また、同時に、次世代経営者向けインセンティブ設計しており、キャリアコミットメントとインセンティブの一体化による当社の非連続な成長と中長期の企業価値・株主価値の向上を目指す経営体制を構築して参ります。

<インセンティブプランの内容>

2024年6月7日付で、代表取締役関藤竜也の資産管理会社であるSocialGoodが保有する当社普通株式2,906,000株(譲渡予約権が全て行使された場合の最大株式数)を対象として、SocialGoodと新たに代表取締役となる河村晃平ならびに経営幹部との間で譲渡予約権(コールオプション)付与契約を締結いたしました。譲渡予約権は、2025年6月期から2027年6月期までの事業年度において、下記別表(A)と(B)の条件を両方満たした場合にかぎり、段階に応じて行使できるものとされています。なお、この度の株式譲渡予約権付与及び行使による株式の希薄化はありません。

(別表)

 

行使条件

行使可能対象株式数

1段階

(A)2025年6月期から2027年6月期の継続在籍

(B)年度決算にて売上高50億円とEBITDA(※)2億円の達成

1,453,000株

2段階

(A)2025年6月期から2027年6月期の継続在籍

(B)年度決算にて売上高100億円とEBITDA(※)5億円の達成

1,453,000株

 

※EBITDA=営業利益+各種償却費等の非資金損益項目

 

(5)経営環境についての経営者の認識

当社は、環境省から委託を受けたみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社(以下「みずほリサーチ&テクノロジーズ」)と連携し、「デジタル技術を活用した脱炭素型 2R ビジネスの効果実証」を行いました。当実証実験において、当社のビジネスが削減した食品ロス量は3,745トン(※10)と試算されております。また、当実証実験と同様の方法により、当社が試算した当事業年度中に当社のビジネスが削減した食品ロス量は6,378トンであります。

農林水産省及び環境省の推計によると、日本では、まだ食べられるものの廃棄される食品、いわゆる「フードロス」が食品製造業、食品卸売業、食品小売業合計で年間1,760千トン(※9)発生しているといわれております。

以上の計数から当社が削減した食品ロス量の占有率は1%未満と大きく伸びしろを残していると考えております。当社は1.5次流通の創出により当市場のフロントランナーとして開拓して参ります。

 

※10 試算対象期間:2020年11月~2021年10月、実施時期:2022年2月

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社の対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

 

① フードロス市場の拡大

農林水産省及び環境省の推計によると、日本では、まだ食べられるものの廃棄される食品、いわゆる「フードロス」が食品製造業、食品卸売業、食品小売業合計で年間1,760千トン(※9)発生しているといわれております。当社が削減した食品ロス量の占有率は1%未満と大きく伸びしろを残していると考えております。当社は問題なく消費できるが廃棄されてしまう商品を価値あるものに生まれ返らせ中古でもない新品でもない商品を市場に提供する1.5次流通を創出し、市場規模拡大の取り組みを行っており、リーディングカンパニーとして市場を牽引する立場であり続けることが当社の成長においても重要であると考えております。

 

② サービスの認知度向上、新規ユーザーの獲得

当社が今後も高い成長率を持続していくためには、「Kuradashi」のブランディング及び認知度の向上が重要な課題であると認識しております。従来より、積極的な広報活動に加え、インターネットを活用したマーケティング・広告活動、大手企業との提携等により認知度向上に向けた取り組みを行って参りましたが、今後、これらの活動をより一層強化・推進して参ります。

 

③ 優良パートナー企業の獲得

当社が継続的に成長するためには、優良なパートナー企業の獲得が重要な課題であると認識しております。従来より、金融機関・自治体・大手企業等によるビジネスマッチングを通じたパートナー企業獲得に取り組んで参りましたが、今後、これらの活動をより一層強化・推進して参ります。

 

④ 優秀な人材の採用と育成

今後の成長を推進するにあたり、優秀な人材を適時に採用することが重要な課題であると認識しているため、採用の強化及び研修制度の充実化に努めて参ります。今後も優秀な人材の採用と更なる育成に投資を行っていく方針であります。

 

⑤ 技術力の強化について

当社は、インターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に関するシステムを安定的に稼働させることが事業運営上、重要であると認識しております。会員数の増加に伴うアクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化等、継続的にシステムの安定性確保に努めて参ります。

また、先端技術への投資に注力し、更なるサービス向上に努めて参ります。具体的には、パートナー企業、当社、会員間のデータを一元管理し、生産計画・需給バランスを予測可能な仕組みを導入することを検討しております。

 

⑥ サービスの安全性及び健全性の確保

ECやソーシャルメディア等が普及していくにしたがい、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりをみせております。当社は、サービスの安全性、健全性確保に継続的に取り組んで参ります。

 

⑦ 情報管理体制の強化について

当社は、システム開発やシステム運用、又はサービス提供の遂行過程において、機密情報や個人情報を取り扱っており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、情報システム管理規程等に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育、研修の実施やシステムの整備を継続して参ります。

 

⑧ 内部管理体制の強化について

当社は、成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。そのため、バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するため、より強固な内部管理体制の構築に取り組んで参ります。

 

⑨ 利益の創出

当社は、2021年6月期まで営業利益を計上しておりましたが、事業拡大を目指し認知拡大のための広告宣伝活動に積極的に投資を行った結果、2022年6月期及び2023年6月期は営業損失を計上しております。

当社の事業拡大には、フードロスという社会課題の認知度向上及びフードロス削減におけるプレーヤーとしての当社の認知度向上が不可欠であるため、第三者割当有償増資により調達した資金を認知度向上に投資して参りましたが、フードロス削減におけるプレーヤーとして第一想起される認知を確立したうえで、今後は効率的な広告宣伝活動へと注力することで規律ある固定費の支出を行い、安定的な利益の創出を図って参ります。

 

⑩ 財務上の課題

当社は、基本的に自己資金による安定的な財務基盤を確保しており、優先的に対処すべき財務上の課題はありません。ただし、今後の成長戦略の展開に伴い、資金需要が発生する可能性があることから、内部留保の確保により、さらに財務体質を強化するとともに、株式市場からの必要な資金確保と金融機関からの融資等を選択肢とする等により多様な資金調達を図って参ります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、ミッションを「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」、ビジョンを「日本で最もフードロスを削減する会社」と掲げ、社会課題の解決とビジネスの両立を目指した事業を展開しております。3分の1ルールといわれる商慣習や賞味期限の切迫、季節商品、パッケージの汚れやキズ、自然災害による被害などの要因で、消費可能でありながら通常の流通ルートでの販売が困難となった商品を販売する、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営しております。「Kuradashi」による売上金の一部を社会貢献団体への寄付や「クラダシ基金」として活用することで、誰もが気軽に参加できるソーシャルグッドの仕組みを構築しております。

様々なサステナビリティ課題、社会課題をビジネスで解決していくためには、当社の事業活動や経営そのものが、社会性・環境性・経済性に優れた持続可能なものである必要があります。当社が描くサステナビリティ、課題解決に向けた取り組みについて、発信・開示し、ステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、より一層のソーシャルグッドの実現を目指しております。

また、当社のサステナビリティへの取り組みについての詳細は、当社コーポレートサイトの「Sustainabilty」ページにも掲載しております。

(URL:https://corp.kuradashi.jp/sustainability/)

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

 

(1)ガバナンス

当社は、会社法上の機関設計として、監査役会設置会社を選択しています。事業に精通した社内取締役と客観的な視点を持つ社外取締役で構成する取締役会が経営の基本方針や重要な業務の執行を決定しています。また、監督と執行を分離し、執行役員を中心とする各部署への業務執行権限の委譲を促進しています。さらに、代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を設け、外部弁護士の助言も受けながら、コンプライアンスの遵守及び社内外リスクを管理するためのモニタリングを行い、リスクの早期発見及び防止に努めています。

当社のガバナンス体制に関しては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)リスク管理

当社はリスク管理をサステナビリティポリシーの実現や内部統制のための重要な手段として認識しております。社会情勢やステークホルダーからの要請を把握し、経営会議において、当社のサステナビリティポリシーや中長期的な経営戦略との整合を図りながら、当社におけるリスク管理の観点からも重要課題(マテリアリティ)を特定・見直し、対応策の策定・実行を行い、取締役会へ報告し、リスクへの対応状況を定期的にモニタリングします。

 

(3)戦略並びに指標及び目標

①サステナビリティ全般について

提出日現在における当社が特定したマテリアリティは以下の通りであり、今後継続的に取り組んでいく予定であります。

 

<マテリアリティ>

ⅰ)ソーシャルグッドな世界の実現

・Kuradashiを通じた、誰もが気軽に楽しく社会貢献に参加できる仕組みの価値向上

・経済性の成り立つソーシャルビジネス・モデルの確立

・社会貢献活動団体への支援による社会インパクトの最大化

ⅱ)フードロス削減と環境への貢献

・フードロスの削減と温室効果排出の削減効果の最大化

・事業を通じた環境負荷の低減、気候変動への対応(Scope3の算出)

ⅲ)おいしい食へのアクセスの向上

・Kuradashiを通じたフードロスの削減

・日本の食に携わる一次産業の促進

・フードバンク/こども食堂への支援

ⅳ)企業と人が共に成長できる場所

・社会の変化を捉え、多様な人材が活躍し続けられる環境づくり:DE&I・Well-beingの実現

・ソーシャルグッドな事業をドライブしていく人材が成長できる環境づくりと、それによってクラダシも成長し、社会と従業員に還元できるサイクルの構築:人材育成・登用

ⅴ)コーポレートガバナンスの強化

・情報セキュリティ

・食の安全とサプライヤー管理

・コンプライアンスの遵守

 

②人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

a.戦略

当社にとって、従業員は最も大切なステークホルダーの1つであり、ソーシャルグッドな事業を創っていく原動力であります。当社で働くことで、成長でき、充実した時間を過ごせるよう、また多様なバックグラウンド・価値観を持つ従業員が活躍し続けられるよう、人材育成・DE&I促進・Well-beingの実現に注力していきます。

当社のミッション・ビジョンの実現のため、全従業員の共通の価値観として、以下の3つのバリューを定めており、当該バリューを基に採用、育成及び評価制度の設計を行っております。

 


 

入社時のオンボーディング研修の実施による当社事業や各事業部の理解、基礎的なビジネススキル習得を通して、多様なキャリアを活かしながら、即戦力として活躍できる環境を整えております。また、定期的な1on1や組織サーベイの実施などにより、チームで成果を出すためのコミュニケーション機会を充実させております。事業成長を加速させていくことで、各自がチャレンジできる機会を提供していくと同時に、働き方に対する価値観の多様化やライフステージの変化にあわせて、長く柔軟に働くことのできる制度の設計にも取り組んでおります。

自社の特性も踏まえ、社会環境の変化や事業・組織の状況に応じて、人事制度をアップデートしており、事業全体への貢献と個人としてのライフスタイルが共存し、ともに成長できる場所を目指しております。

 

b.指標及び目標

当社は、行動指針であるバリューに基づき、人材育成や多様な人材が活躍できる組織の運営を目指しておりますが、提出日現在において、当社の事業環境及び各人材の就労状況を踏まえ、その時点で最適な方法を検討・選択しており、人材育成方針や社内環境整備方針に関する具体的な指標及び目標は設定しておりません。しかしながら、当社が描くサステナビリティを推進するために、より働きやすい環境の実現や社内制度の改善に向けての取り組みを推進してまいります。

なお、当社の管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、情報の適時開示の観点から、積極的に開示しております。

当社は、これらのリスクの発生可能性を考慮した上で、発生の回避及びリスクの軽減に努める所存でありますが、当該株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本頁以外の記載事項を、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

各リスクについての顕在可能性、影響度、発生時期については、下表のとおりです。

 

分類

リスク

顕在可能性

影響度

発生時期

(1)事業環境に関するリスク

①フードロス市場について

中期

②競合他社の動向について

中期

(2)事業内容に関するリスク

①特定事業への依存について

長期

②新規事業への取組について

長期

③自然災害等について

長期

④保管コストについて

中期

⑤配送コストについて

中期

⑥知的財産等について

中期

⑦ブランドの確立、堅持等の重要性について

中期

⑧食品の安全性及び商品表示について

中期

⑨訴訟等の可能性について

中期

⑩供給不足の可能性について

中期

⑪固定資産の減損について

不特定

⑫繰延税金資産の回収可能性について

不特定

⑬広告宣伝活動について

中期

(3)システム等に関するリスク

①システムについて

中期

②技術革新について

中期

③情報セキュリティについて

中期

(4)事業運営体制に関するリスク

①小規模組織であることについて

短期

②社歴が浅いことについて

短期

③特定経営者への依存について

中期

(5)法的規制に関するリスク

①個人情報の保護について

中期

②インターネット及び食品並びに酒類に関する法的規制について

中期

(6)その他

①資金使途について

中期

②配当政策について

長期

③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

中期

④大株主について

長期

 

 

 各リスクの具体的な内容は下記のとおりです。

(1)事業環境に関するリスク

① フードロス市場について(顕在可能性:中 影響度:高 発生時期:中期)

 農林水産省及び環境省の推計によると、日本では、まだ食べられるものの廃棄される食品、いわゆる「フードロス」が食品製造業、食品卸売業、食品小売業合計で年間1,760千トン(上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営環境及び経営戦略等」(※9)参照)発生しているといわれております。当社が削減する食品ロス量の占有率は1%未満と大きく伸びしろを残していると考えております。当社は問題なく消費できるが廃棄されてしまう商品を価値あるものに変え、中古でも新品でもない商品を市場に提供する1.5次流通を創出し、フードロス市場規模拡大の取り組みを行っております。今後、フードロス問題の社会的要請を背景に、同市場は成長を続けるものと考えておりますが、当社の予測通りにフードロス市場が拡大しなかった場合には、売上高の減少等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合他社の動向について(顕在可能性:中 影響度:高 発生時期:中期)

 本書提出日現在において、当社が運営する「Kuradashi」と明確に競合する高い資本力や知名度を有する会社はないものと認識しております。当社は長年培った顧客基盤、品質を活かし、社員教育体制を整備することで、サービスにおいても同業他社の追随を許さぬように日々努力しております。しかしながら、今後、高い資本力や知名度を有する企業が類似サービスに参入することにより競争が激化した場合、会員の流出や集客コストの増加等が予想されます。そのような場合には、売上高の減少や集客コストの増加等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業内容に関するリスク

① 特定事業への依存について(顕在可能性:低 影響度:高 発生時期:長期)

 当社は、「Kuradashi」運営事業の単一セグメントであり、当該事業に経営資源を集中させております。収益源の分散を図るため、今後の新たな柱となる事業の育成を継続しておりますが、事業環境の変化等により、「Kuradashi」運営事業が縮小し、その変化への対応が適切でない場合、売上高の減少等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 新規事業への取組について(顕在可能性:低 影響度:高 発生時期:長期)

 当社はさらなる収益基盤の拡大を目指し、「Kuradashi」に付随する形の新規事業の展開を企図しております。しかしながら、新規事業には不確定要素が多く、当社の目論見どおりに新規事業が推移せず、投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合には、投資に対する損失の計上等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 自然災害等について(顕在可能性:低 影響度:高 発生時期:長期)

 大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限、配送網の分断、混乱等の不測の事態が発生した場合には、当社によるサービス提供に支障が生じる可能性があります。当社はリスク管理に係る規程等を整備し、リスク管理体制を構築しております。しかしながら、当社の想定する範囲を超えた大規模災害や、それに伴う被害の復旧が遅れた場合には、売上高の減少や復旧に関するコストの発生等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 保管コストについて(顕在可能性:中 影響度:高 発生時期:中期)

 当社が運営する「Kuradashi」の流通形態は、弊社倉庫から会員へ配送する形態とパートナー企業から会員へ直接配送する形態に分類されております。前者については、当社が保管場所を用意する必要があるため、倉庫会社に在庫保管業務を委託しております。将来的には、後者の割合を増やしていく予定であるため、保管コストは圧縮されていく予定ですが、当社の目論見通りに移行しなかった場合には、物流コスト増加により費用負担が増加することで、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 配送コストについて(顕在可能性:中 影響度:高 発生時期:中期)

 当社が運営する「Kuradashi」では、商品販売に際し運送会社に商品配送業務を委託しております。現在は委託価格の安定化を図っておりますが、今後配送コストが上昇した場合には、物流コスト増加により費用負担が増加することで、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 知的財産等について(顕在可能性:低 影響度:低 発生時期:中期)

 当社では、当社が運営する事業に関する知的財産権を確保するとともに、定期的に知的財産権に関する周辺調査を実施することで、第三者の知的財産権を侵害しない体制の構築に努めております。
 しかしながら、当社の認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社の事業運営が制約を受ける場合や、第三者の知的財産権侵害が発覚した場合等には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ ブランドの確立、堅持等の重要性について(顕在可能性:低 影響度:高 発生時期:中期)

 当社は、「楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る」というブランドパーパスのもと、ECサイトで様々な商品を日々販売し、高品質のコンテンツを作り続けており、フードロスを削減する企業及びソーシャルグッドマーケットを展開する企業として独自の位置づけと信頼及び評価を得てきました。今後もコンテンツを生む力を強化し、ECサイト及び商品のブランド価値を高めていきます。そのために、ミッション及びビジョン並びにブランドパーパスに則って事業を運営していきますが、フードロスを削減する企業としての評価の変化及び生活者の志向の変化、風評被害等をきっかけに当社のブランド価値が低下した場合には、会員数や販売数量の低下により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 食品の安全性及び商品表示について(顕在可能性:低 影響度:高 発生時期:中期)

 当社は、食品に携わる企業として、パートナー企業や委託先である倉庫及び運送会社の協力のもと、品質管理及び適正な商品表示のために社内体制の整備・強化に注力しておりますが、万が一、食品の安全性等についてトラブルが発生した場合や産地偽装等による不可抗力的な商品表示の重大な誤りが発生した場合、また、その対応に不備があった場合には、当社のブランドイメージが棄損され、売上高の減少等により、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 訴訟等の可能性について(顕在可能性:低 影響度:低 発生時期:中期)

 会員による違法行為やトラブル、第三者の権利侵害があった場合等には、当社に対して会員、その他の第三者から訴訟その他の請求を提訴される可能性があります。また、当社が第三者に何らかの権利を侵害され、又は損害を被った場合には、訴訟等による当社の権利保護のために多大な費用を要する可能性があります。

 訴訟等の当事者となる可能性のあるクレーム・トラブル案件につきましては、速やかに経営層や関係部署が情報共有して対処方針を検討するなど適切な対応をとっており、また、必要に応じて顧問法律事務所等外部の専門家と緊密に連携する体制を構築しております。
 しかしながら、このような事象が発生した場合には、その訴訟等の内容又は請求額によっては、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 供給不足の可能性について(顕在可能性:中 影響度:中 発生時期:中期)

 当社の取扱商品の特性上、特定の商品の安定供給を受けることは困難であります。また、当社は、商品の確保にあたっては、複数のパートナー企業を確保する等、不測の事態には備えておりますが、パートナー企業の経営悪化、災害、規制環境の変化等により、当社が求める品質及び数量の商品の供給に遅延や中断が生じた場合又は原材料等の価格高騰が生じることにより仕入数量が低下する場合があります。さらに、既存パートナー企業のフードロス品発生機会の減少及びフードロス品が発生しているパートナー企業の逸失により、仕入数量が低下する場合があります。以上の事象が生じた場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 固定資産の減損について(顕在可能性:低 影響度:低 発生時期:不特定)

 当社は、有形固定資産及び無形固定資産等の固定資産を保有しており、今後のシステム開発等により、無形固定資産の増加を見込んでおります。これらの資産の取得にあたっては事前に必要性や収益性を十分に検証した上で決定しております。しかしながら、経営環境や事業の著しい変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には、対象資産に対する減損損失の計上により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 繰延税金資産の回収可能性について(顕在可能性:低 影響度:低 発生時期:不特定)

 当社は、繰延税金資産に対して、将来の課税所得の予測等に照らし、定期的に回収可能性の検証を行っております。しかし、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達等により課税所得の見積もりの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更等があった場合には、繰延税金資産が減額され、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑬ 広告宣伝活動について(顕在可能性:低 影響度:低 発生時期:中期)

当社は、新規会員の獲得を目的として継続した広告宣伝活動を行っております。当社の広告宣伝は、Web広告(リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、アフィリエイト広告等)を中心に活用をしております。

広告宣伝活動においては、広告手法や媒体、その実施方法及びタイミング等について、費用対効果を検討した上で効率的な広告宣伝費の投下を行い、広告効果の最大化に努めておりますが、著しい広告効果の低下や広告費用の上昇が生じた場合、新規会員の獲得等に影響が生じ、また、当該費用負担により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)システム等に関するリスク

① システムについて(顕在可能性:低 影響度:高 発生時期:中期)

 当社が運営する「Kuradashi」の利用に関しては、会員のインターネットへのアクセス環境が不可欠であると共に、当社のITシステムも重要となります。

 当社は、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できる体制を整えております。しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウェアの不具合、コンピュータウィルスや外部からの不正な手段によるコンピュータへの侵入、自然災害、事故等、当社の予測不可能な要因によってシステムがダウンした場合や、当社のシステム外で会員のアクセス環境に悪影響を及ぼす事象が発生した場合には、売上高の減少や復旧に関するコストの発生等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術革新について(顕在可能性:中 影響度:低 発生時期:中期)

 インターネット関連市場では、技術革新が活発に行われており、新しいサービスが次々と生まれております。そのため、当社では、常に業界の動向を注視し、適時に事業戦略を見直し、必要に応じて、迅速に技術革新に対応するため、既存サービスに新たな技術を展開できる開発体制を構築しております。

 しかしながら、技術革新の内容によっては、対応するための相当な開発費用が発生する可能性があり、また、適切な対応ができない場合は当社サービスの競争力が相対的に低下する可能性があります。そのような場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報セキュリティについて(顕在可能性:中 影響度:高 発生時期:中期)

 当社は、厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、事業の一環として得意先から預託された機密情報や個人情報の収集・保管・運用を行っております。ISMS認証(※)を取得し、社内で運用する他、従業員研修を繰り返し実施する等、これらの情報管理には万全な方策を講じておりますが、万が一当社の従業員や業務の委託会社等が情報を漏洩又は誤用した場合には、当社が企業としての社会的信用を喪失し、売上高の減少等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

※ ISMS(アイ・エス・エム・エス):Information Security Management Systemの略

情報セキュリティ管理の国際標準に基づき定められた情報セキュリティマネジメントシステムの適合性評価制度。継続的に情報セキュリティリスクを管理しリスク回避や軽減を図り、この認証基準に適合したマネジメントシステムを構築・維持できている企業や団体が第三者機関により認証される。

 

(4)事業運営体制に関するリスク

① 小規模組織であることについて(顕在可能性:中 影響度:高 発生時期:短期)

 当社は組織規模が小さく、規模に応じた業務執行体制となっております。また、今後の堅調な事業成長のためには、有能な人材の確保と育成が必要と認識しており、適宜、採用を図り、社内研修制度の充実及び組織力の強化に注力して参ります。

 しかしながら、適切なタイミングで当社の求める人材の確保が十分にされない場合や、当社の役員や重要な業務を担当する従業員の流出等により、必要な人材を確保できなくなった場合には、売上高の減少等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 社歴が浅いことについて(顕在可能性:中 影響度:高 発生時期:短期)

 当社は、2014年に設立され、未だ社歴が浅く成長途上の会社であるため、過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。当該リスクへの対応策として、当社は、投資家の投資判断に寄与するよう、財務情報だけでなく、会社の方針等の非財務情報もIR情報として積極的に開示していく方針であります。

 

③ 特定経営者への依存について(顕在可能性:低 影響度:中 発生時期:中期)

 当社創業者であり代表取締役である関藤竜也は、当社の経営方針や事業戦略の立案・決定における中枢として重要な役割を果たしております。当社は、取締役会や経営会議等において役員及び社員への情報共有を行うと共に、執行役員制度を導入しており、また、非連続な成長と中長期の企業価値の向上を目指す経営体制を構築することを目的とし、2024年7月1日付で代表取締役2名体制に移行し、河村晃平が代表取締役社長CEOに就任しております。

 代表取締役2名体制への移行や執行役員に業務執行の権限を委譲する等、組織体制の強化を図りながら同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由で同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法的規制に関するリスク

① 個人情報の保護について(顕在可能性:中 影響度:高 発生時期:中期)

 当社は、会員登録情報をはじめとする個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報については、個人情報保護規程を定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出し、悪用されるといった事態が発生した場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② インターネット及び食品並びに酒類に関する法的規制について(顕在可能性:中 影響度:中 発生時期:中期)

 当社が運営する事業は、「景品表示法」、「消費者保護法」、「食品表示法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「健康増進法」、「特定商取引法」、「酒税法」の対象となっております。当社は、これらの法規制を遵守した運営を行っており、今後も社内教育や体制の構築等を行っていく予定でおります。しかしながら、今後新たな法令の制定や、既存法令の強化等が行われ、当社が運営する事業が規制の対象となる等制約を受ける場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)その他

① 資金使途について(顕在可能性:中 影響度:低 発生時期:中期)

 東京証券取引所の新規上場時に行った公募増資による資金調達の使途につきましては、主に、さらなるユーザー獲得に向けてユーザー体験価値向上のため、EC Kuradashiの機能的価値向上のためのUI/UX開発、中期経営計画の実現のためのシステム開発費に充当する予定でおりましたが、資金使途及び充当時期を見直し、システム開発に加えて、調達した資金の一部を中期経営計画の実現のため、M&Aに関する資金として充当する予定でおります。しかしながら、当社が属する業界の急速な変化により、計画通りに資金を使用した場合でも、想定通りの投資効果をあげられない可能性があります。また、将来に亘っては資金調達の使途の前提となっている事業計画・方向性が見直される可能性があります。

 

② 配当政策について(顕在可能性:低 影響度:低 発生時期:長期)

 当社は、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。現時点では、当社は成長過程にあると考えているため、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在可能性:高 影響度:低 発生時期:中期)

 当社は、取締役及び従業員に対して、財政状態及び経営成績向上に対する意欲を高めることを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。新株予約権が行使された場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式数は773,020株であり、発行済株式総数10,807,808株の7.1に相当しております。

 

④ 大株主について(顕在可能性:低 影響度:高 発生時期:長期)

 当社の設立者であり代表取締役会長関藤竜也は当社の大株主であり、本書提出日現在で発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式割合は46.5となっております。

 同氏は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。

 当社は、同氏が安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により大株主である同氏の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2024年6月7日付で、同氏の資産管理会社であるSocialGoodが保有する当社普通株式2,906,000株(譲渡予約権が全て行使された場合の最大株式数)を対象として、SocialGoodと新たに代表取締役となる河村晃平ならびに経営幹部との間で譲渡予約権(コールオプション)付与契約を締結しておりますが、河村晃平および経営幹部は安定株主であると認識しており、当該譲渡予約権付与契約の存在が直ちに安定株主比率に重要な影響を及ぼすことはないと認識しております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社は、「Kuradashi」運営事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の総資産は1,454,452千円となり、前事業年度末と比べ111,737千円増加となりました。

流動資産は、48,291千円増加し、1,279,642千円となりました。主たる要因は、現金及び預金が66,510千円減少、商品及び製品が49,633千円増加、売掛金が39,701千円増加したことによるものであります。

固定資産は、63,445千円増加し、174,809千円となりました。主たる要因は、無形固定資産が74,355千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末の負債は411,037千円となり、前事業年度末と比べ92,626千円増加となりました。

流動負債は、36,547千円増加し、316,841千円となりました。主たる要因は、買掛金が36,076千円増加、未払費用が17,369千円減少1年内返済予定の長期借入金10,776千円増加したことによるものであります。

固定負債は、56,079千円増加し、94,196千円となりました。主たる要因は、長期借入金が56,079千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産は1,043,415千円となり、前事業年度末と比べ19,110千円増加となりました。主たる要因は、当期純利益の計上に伴い利益剰余金が12,623千円増加、新株予約権の行使に伴い資本金及び資本準備金がそれぞれ1,511千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当社は、「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」をミッションに掲げ、世の中に山積する課題を解決するために社会的、環境的、経済的に優れた活動を行っております。

その主たる事業内容は、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を通じた、フードロス削減のためのマッチングビジネスであり、インターネットを活用することで、迅速にフードロス商材を顧客に届けることを実現しております。また、売上金の一部を社会貢献団体へ寄付をするビジネスモデルにより、社会貢献活動の活性化を図っております。

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症にかかる制限が緩和されたことにより、経済活動の正常化と回復の兆しが見られはじめました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による世界的な資源価格の高騰や為替相場の大幅な変動による影響など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような状況のもと、当事業年度は、第1四半期における食品値上げによる外部環境の悪化の影響が作用し、第2四半期以降、市況の回復傾向が見受けられましたが、依然として市況は回復傾向の途上にあるものと考えております。

売上高は、前年同期比ではHub取引のスポット取引による差分があり、減収となりましたが、主力であるEC取引は前年同期比+105%の成長を堅持、Stores取引の案件獲得は順調に成長し利益に寄与しております。

利益については、収益の複線化による限界利益の向上や広告宣伝費の効率的な投下、及び、固定費のコストコントロールにより、当事業年度においては、営業利益の計上となりました。

その結果、当事業年度の売上高は2,862,197千円となり、前事業年度と比べ48,038千円減少(前期比1.7%減)となりました。

また、営業利益21,192千円(前期は営業損失164,154千円)、経常利益23,316千円(前期は経常損失171,604千円)、当期純利益12,623千円(前期は当期純損失167,372千円)となりました。

なお、当社は「Kuradashi」運営事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の当事業年度末残高は、前事業年度末に比べ66,510千円減少982,345千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、減少した資金は34,055千円(前事業年度は161,905千円の減少)となりました。これは主に、税引前当期純利益23,316千円、棚卸資産の増加額48,552千円、売上債権の増加額39,701千円、仕入債務の増加額36,076千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は89,463千円(前事業年度は51,470千円の減少)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出89,011千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、増加した資金は57,007千円(前事業年度は480,322千円の増加)となりました。これは主に、長期借入による収入100,000千円、長期借入金の返済による支出33,145千円、株式の発行による収入761千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b 受注実績

当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c 販売実績

販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は「Kuradashi」運営事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

「Kuradashi」運営事業

2,862,197

98.3

合計

2,862,197

98.3

 

(注) 主要な販売先につきましては、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実績の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。重要な会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社は、「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」というミッションのもと、フードロス削減及び社会貢献を目標に「Kuradashi」を運営しております。このミッションのもと、日々、サービスの利便性向上・営業力の強化に取り組み、会員登録者数及び取扱商品数の増加を図って参りました。今後も新規会員登録者の獲得等に更に注力し、「Kuradashi」事業の更なる成長を図って参ります。

 

(売上高)

当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ48,038千円減少し、2,862,197千円(前事業年度比98.3%)となりました。前年同期比ではHub取引のスポット取引による差分があり、減収となりましたが、主力であるEC取引は前年同期比+105%の成長を堅持、Stores取引の案件獲得は順調に成長し利益に寄与しております。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べ80,000千円減少し、1,531,641千円(前事業年度比95.0%)となりました。これは主に、売上高の減少によるものであり、売上総利益は前事業年度に比べ31,961千円増加1,330,555千円(前事業年度比102.5%)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ153,385千円減少し、1,309,363千円(前事業年度比89.5%)となりました。これは主に、高効率の水準でのデジタルマーケティング投下による広告宣伝費の減少によるものであります。

以上の結果、営業利益21,192千円(前事業年度は営業損失164,154千円)となりました。

(営業外損益、経常利益)

当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ12,842千円減少し、2,780千円(前事業年度比17.8%)となりました。これは主に、協賛金収入や国庫補助金受贈益が減少したことによるものであります。また、営業外費用は、前事業年度に比べ22,416千円減少し、656千円(前事業年度比2.8%)となりました。これは、上場関連費用や固定資産圧縮損が減少したことによるものであります

以上の結果、23,316千円(前事業年度は経常損失171,604千円)となりました。

(特別損益、当期純利益)

当事業年度における特別損益の計上はありませんでした。

当事業年度における法人税等は、前事業年度に比べ14,924千円増加し、10,692千円(前事業年度は△4,232千円)となりました。

以上の結果、当期純利益12,623千円(前事業年度は当期純損失167,372千円)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社における資金需要は、運転資金及び設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金のほか、金融機関からの借入等外部資金の活用も含め、最適な方法による資金調達にて対応する予定であります。

なお、当事業年度末における1年内返済予定の長期借入金、長期借入金の残高はそれぞれ、36,584千円94,196千円であります。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は982,345千円となっております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「累計会員数」、「月間UU」、「ARPPU」、「累計パートナー企業数」、「アクティブ企業数」、「平均仕入高」及び「限界利益率」を重視しております。

いずれの指標も堅調に推移しておりますが、これは、新型コロナウイルス感染症によるライフスタイルの変化に加え、地方自治体との提携・マスメディア向けのイベント等の広報活動、会員のアクティブ率向上施策として、会員限定クーポンの発行、メールマガジン・SNS等を利用した販促活動により、当社のソーシャルグッドなビジネスモデルに共感するエシカル志向のユーザーへの認知度・利用率が高まりや、パートナー企業とのリレーション強化により、魅力的な商品ラインナップへの拡充が図られていることによります。

現時点において、これらの指標は堅調に推移しているものと認識しておりますが、今後も商品ラインナップの拡充や顧客からのフィードバック、購買情報をもとに商品の開発・改善、マーケティングおよびサービスの改善を図りながら、更なる成長性や収益性を向上させることに取り組んでまいります。

指標の推移は以下のとおりです。

 

 

2023年6月期

単位

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

累計会員数(※1)

392,706

446,286

462,879

477,552

月間UU(※2)

21,203

27,177

24,622

21,117

ARPPU(※3)

7,988

8,258

9,104

9,338

累計パートナー企業数(※4)

1,134

1,233

1,319

1,428

アクティブ企業数(※5)

361

403

417

435

平均仕入高(※6)

千円

1,040

1,373

1,077

731

限界利益率(※7)

%

20.9

26.0

24.1

23.3

 

 

2024年6月期

単位

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

累計会員数(※1)

491,279

515,952

538,654

550,256

月間UU(※2)

19,815

24,923

25,177

21,223

ARPPU(※3)

8,378

9,756

9,291

9,989

累計パートナー企業数(※4)

1,536

1,637

1,724

1,829

アクティブ企業数(※5)

474

552

573

571

平均仕入高(※6)

千円

661

818

818

654

限界利益率(※7)

%

28.4

27.1

24.4

22.1

 

 

(※1)創業から四半期会計期間の末日までの累計会員登録者数

(※2)月間UU(Unique Userの購入ID数)の四半期(3ヶ月)の平均数

(※3)Average Revenue per Paid User(月間UU1人当たり平均購入金額)

(※4)創業から四半期会計期間の末日までに取引実績のあるパートナー企業数

(※5)四半期会計期間内に取引が発生したパートナー企業

(※6)四半期会計期間の仕入高をアクティブ企業数で除して算出

(※7)限界利益(売上高から売上原価及び配送料等の変動費を控除した金額)を売上高で除して算出

 

5 【経営上の重要な契約等】

(株式取得に関する契約)

当社は、2024年6月27日開催の取締役会において、株式会社クロスエッジが運営する冷凍弁当の宅配サービス「Dr.つるかめキッチン」事業の取得を目的とし、同日クロスエッジ株主との間で株式譲渡契約を締結し、2024年8月23日をもって株式会社クロスエッジを完全子会社化しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。