文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、『こころ 動かそう いのち つなごう』を標語として、ひとびとが、命ある限り、健康で幸せな生活を送るために、技術とこころ、科学と人間をつなぎ、世界中のひとびとの健康と人生に貢献する新たな医療を作り出していくことを経営理念としております。当社はヒトiPS細胞由来の細胞加工物の製造方法に関する研究開発を推進し、安定的かつ効率的で、安全で信頼性の高い細胞加工物を生み出す高レベルな生産技術を確立した上で再生医療等製品としての製造販売の承認を目指しております。また、ヒトiPS細胞由来の再生医療等製品に限らず、新しい細胞製品の製造・実用化にも取り組み、その周辺技術とともに次世代の革新的な細胞治療モダリティを提供してまいります。
(2)経営環境
2023年3月期における我が国経済は、新型コロナウィルス感染症による行動制限が緩和され、景気の持ち直しがみられました。しかしながら、各国の金融政策やウクライナ情勢等による為替相場の急激な変動や資源・エネルギー及び原材料価格の高騰等もあり、当社を取り巻く経営環境においては不確定な要因も多く、依然として景気の先行きは不透明な状況が続くと予想されます。
当社は、再生医療等製品の研究開発を行っていますが、経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課が2020年に公表した資料(再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業 複数課題プログラムの概要 https://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000R01/200302_regenerative_medicine_1st/regenerative_medicine_1st_05.pdf)等に記載のとおり、国内における再生医療の将来市場規模は、2020年は950億円に対し、2030年には1兆円、2050年には2.5兆円まで拡大すると予測されています。また、世界における再生医療の将来市場規模も、2020年は1兆円に対し、2030年には12兆円、2050年には38兆円まで拡大すると予測されています。
再生医療について、国内外の数多くの企業や研究機関等により技術革新は急速に進んでおります。
日本では、2014年11月に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(以下、「再生医療等安全性確保法」)及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「医薬品医療機器等法」)により、再生医療分野の産業化が加速しておりますが、本格的な普及段階までには至っておりません。
(3)経営戦略
当社の経営戦略は以下のとおりであります。
① 大阪大学との共同研究開発を通じて、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの研究開発の推進、製造販売承認申請を日本国内で行い、適用拡大を推進するとともに本製品の販売体制を整備すること。
② ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製品製造体制の確立及び受託サービス事業を推進すること。
③ 各病院にヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを搬送するロジスティックス体制を構築すること。
④ 海外市場でも、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを普及させるため、大手製薬企業等との提携を行うこと。
⑤ ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの更なる改良、より侵襲性の低い製品開発等を通じて、マーケットの拡大を図ること。
⑥ 経営基盤の安定化及び成長性を図るために、心臓のみならずヒトiPS細胞を使い、他臓器の製品開発を行い、製品パイプラインの充実を図ること。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は研究開発費が先行するタイプの企業であり、また過年度より損失を計上していることから、ROEやROAなどの財務指標は、当面、当社の経営指標として馴染まないものと考えております。したがって、各パイプラインにおける研究開発の進捗状況を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。
なお、当社は、従来の創薬系バイオベンチャー企業が直面する、安定的な売上が計上されないまま研究開発費が先行する企業とは異なる経営を目指しております。具体的には、製造拠点を自社で保有している強みを生かし、上市製品がなくてもCDMO事業で売上を安定的に獲得することにより、Cash burn rate(手元流動性が減る速度)を抑え、財務体質の強化を図ることで、投資家への収益還元を早期に実現することを目指しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社はヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの早期実用化を目指し、引き続き、大阪大学による医師主導治験の支援を行うと共に、下記の課題に対して経営陣、社員一丸となって取り組んでまいります。なお、現時点で当面の運転資金は確保していることから、優先的に対処すべき財務上の課題で特筆すべきものはありません。
① 再生医療等製品承認申請に向けた医師主導治験の支援
虚血性心疾患による重症心不全を適応症としたヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの承認取得に向け、大阪大学による医師主導治験(治験後半)の支援を引き続き実施します。また、確立した商用を見据えたスケールのヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに係る高収率製法による治験用再生医療等製品の受託製造、同製法で作製した製品の品質特性及び非臨床試験を実施し、PMDAとの相談等を交え、承認申請に供するデータの創出に取り組んでまいります。
② 承認申請・商用製品を目指した更なる製造の安定・堅牢化
最優先課題である、虚血性心疾患による重症心不全を適応症とした承認取得、商用製品の製造を目指し、品質安定化のために製造及び品質管理技術の標準化レベルの向上を図り、堅牢性の高い製造工程を維持すると共に、本製品を広く普及させるための様々な輸送環境に耐えうる適切な保存・輸送技術の検討に取り組んでまいります。
③ 再生医療等製品製造販売業許可申請に向けた準備
製造販売承認申請時期を見据え、当社の製造販売業許可取得に向け、法的要求事項である三役体制の設置、及びGQP省令並びにGVP省令に基づく、当社の事業規模に見合った合理的なガバナンス体制を構築してまいります。
④ GCTP体制の構築、製造業許可申請に向けた準備
これまでに経験してきた治験製品製造の実績を基に、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの商用製造に向けた再生医療等製品の製造管理及び品質管理基準(GCTP省令)に基づく体制の構築に取り組んでおり、当事業年度は承認申請に向けたデータ取得活動を進めて参ります。また、これまでに類のない複数のプロジェクトを管理可能とする再生医療に特化した製造及び品質管理統合管理システムの開発を進めており、CDMO事業を含めた効率的な管理を実現すべく2024年3月期の稼働を目指しております。
⑤ 販売流通及び情報提供等の体制の整備
基幹業務システムの導入、並びにロジスティクス、適正使用に必要な情報提供及び期限・条件付き承認された場合の試験・調査に関するデータの収集・管理に係る体制の整備・構築に取り組んでまいります。また、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの国内販売については、当社自身での販売及びプロモーション活動を行い、販売先を確保する方針であり、必要なリソースの確保を行っておりますが、しかるべきタイミングで医療機関との交渉を開始し、販売先の確保を進めます。
⑥ 海外展開と効能追加の検討
海外でのビジネス展開に向け、理想とする候補企業のプロファイル(循環領域に強い製薬企業、当該領域の技術を持つ企業等)を検討し、医師主導治験のデータ等を基に候補企業にアプローチを行います。また、海外開発用ヒトiPS細胞株について、諸課題の洗い出しを含めた検討を進めてまいります。さらに、虚血性心疾患に続く効能追加を視野に入れながら、解決すべき諸課題を抽出し、対応してまいります。
⑦ 新規開発パイプラインの拡充と進展
当社の持つ大量製造技術に基づき開発、製造されたヒトiPS細胞由来細胞を、独自の専用カテーテルによる新たなアプローチで心臓へ移植する治療技術や体内再生因子誘導による治療薬のみならず、引き続きヒトiPS細胞由来心筋細胞及びそのシートの適用拡大に向けた臨床開発、新しい細胞を用いた新規開発パイプラインの拡充を続けます。また、それらのパイプラインについて、試作品の開発、治験の実施準備など製品化に向けた取組みを進展させてまいります。
⑧ 人材の確保及び獲得
当社は社歴が浅く小規模な組織であるため、今後の企業価値向上に向けては、研究開発活動のみならず全社的に人材の確保及び拡充が重要な課題であると認識しております。次世代の治療技術に係る研究開発、多様な事業計画に基づく高度なキャリア形成を可能とする優位性を生かし、人材の育成及び積極的な採用により、優秀な人材の確保及び拡充を図ってまいります。
⑨ 知財戦略
第三者との共同研究開発を含む当社での研究開発活動により獲得した知的財産権を確保し、また第三者の知的財産権を侵害しないための体制整備を構築していることが将来の事業活動を推進していく中で重要な課題であると認識しています。そのため、当社の知的財産権を維持及び確保し、また第三者の知的財産権を侵害しないよう、顧問弁理士と緊密な連携を図り知的財産管理を行ってまいります。
⑩ Cash burn rate(手元流動性が減る速度)を抑える取り組み
当社は、研究開発型の企業であり、研究開発にかかる先行投資として長期にわたり多額の資金を必要とするため、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。当社は早期の営業活動によるキャッシュ・フローのプラスへの転換に向け、製造販売承認に向け取り組んでいるものの、再生医療等製品の研究開発期間は長期に渡ることから、上市製品がなくてもCDMO事業での売上を安定的に獲得することや、支出の抑制を通じて、Cash burn rate(手元流動性が減る速度)を抑える取り組みを行ってまいります。
当社の事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。ただし、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではありません。また、投資判断上、又は当社の事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項についても、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。
当社はこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。当社は再生医療等製品及び医薬品等の研究開発を行っておりますが、それらの研究開発には長い年月と多額の費用を要し、またすべての研究開発が成功するとは限りません。特に販売開始前の研究開発段階のパイプラインを有する製造・開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、投資家の投資対象として相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。
なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1) 再生医療等製品及び医薬品等の研究開発及び製造販売に関するリスク
① 医薬品医療機器等法及び再生医療等安全性確保法等の法的規制について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社はヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの開発、製造及び販売を行うため、「医薬品医療機器等法」、「再生医療等安全性確保法」、「製造物責任法」及び「廃棄物の処理及び製造に関する法律」等、多数の法的規制を受けております。
当社は、事業に関連する法規制について、業界団体等を通じた情報収集、社内チームでの検討や、専門家からの助言に基づき、関連法令等の遵守の徹底と管理体制の構築を図っておりますが、当社が法規制に抵触しているとして、許可・登録の取り消し処分等を受けた場合、事業の停止や当社に対する社会的信用の失墜により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社に関連する法令等の改廃や新規の法的規制の制定により、事業の継続が困難になる場合や、多額の追加コストが発生する場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 薬価制度と医療費抑制政策について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、現在、開発を行っているヒトiPS細胞由来心筋細胞シートについて日本国内での製造販売承認の取得を最優先に取り組んでおります。
日本においては、増嵩する医療費を抑制するため、定期的な薬価の引き下げや後発医薬品の使用促進等が進んでいます。当社が開発するヒトiPS細胞由来心筋細胞シートその他の再生医療等製品及び医薬品等が国内での製造販売承認を取得した場合、当然ながら薬価政策の影響を受けることになりますが、将来的に薬価が大きく引き下げられる場合には、収益性の低下により当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 再生医療等製品の安全性について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
再生医療等製品の開発においては、新しい研究開発成果や安全性及び有効性に関する知見が日々発見されております。
現在、治験などの研究開発活動を通じてヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの安全性を慎重に確認している段階でありますが、重大な健康被害につながる顕在化したリスクとしては確認されたものはありません。
しかしながら、今後、治験実施時又は製造販売承認の取得後であっても、研究開発段階又は製造販売承認時には想定できなかった又は発見できなかった事由による健康被害が発生する可能性は否定できません。また、多様な再生医療等製品においては、製品ごとに安全性に関する懸念事項は異なることもあり、現段階では再生医療等製品として安全性が一般的に確立された状況ではありません。そのため、そのような健康被害が発生した場合には、販売停止による売上高の減少等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 研究開発の不確実性について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
本書提出日現在、当社はヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得に向け研究開発を行っており、売上高を獲得できる段階には至っておりません。製造販売承認の取得に向けて研究開発を進めてまいりますが、再生医療等製品及び医薬品等の製品開発には不確実性が伴うため、当社製品の開発活動が想定どおり進まない、又は承認の取得に想定以上の時間を要することで、製品の上市時期の遅れが生じた場合には、売上高の獲得の開始時期が遅れ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼします。
また、当社製品の安全性や有効性が認められず、製品の開発を中止する場合若しくは製造販売承認を取得できない場合、又は適応対象の限定など当初想定どおりの内容の承認を取得できない場合には、売上高の全部又は一部を獲得できず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼします。承認が下りた後においても、再審査の結果、承認が取り消される可能性や、追加調査に伴うコストが発生する可能性があります。
さらに、当社製品が当初想定どおりの製造販売承認の取得に至った場合であっても、複数のパイプラインによる収益の多角化を進め、特定のパイプラインによる収益の依存度を低減する必要があると考えておりますが、特定の製品に依存するビジネスモデル下において、当該製品の収益性を損なうような事象が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 技術革新と競合について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
国内外の数多くの企業や研究機関等により、再生医療領域に限らず、新たな再生医療等製品及び医薬品等に関する研究開発が行われており、技術革新は急速に進んでいる状況にあります。したがって、当社がこれからも優位性をもって事業を継続できるとは限らず、競合相手の研究開発の成果、生産方法の確立、競合製品の安全性・有効性によっては当社の優位性が損なわれ、売上高が減少することで、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 製造販売体制について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:3年以内、影響度:大)
当社は、再生医療等製品及び医薬品等に関する研究開発のみならず、その製品化並びに製造及び販売も事業の目的としております。そのため、当社では、自社で商業用細胞培養加工施設を保有するなど、製品の製造及び販売に向けた体制の確立に向けて注力しております。そのため、製造及び販売に従事する人材の確保が計画どおりに進まない場合や、大量培養技術の確立や大量培養をするための体制構築が想定どおり進まない場合、また、原材料等及び製品に係るロジスティクスの構築が想定どおり進まない若しくは想定以上のコストを要する場合、天災地変により細胞培養加工施設の稼働維持が困難となった場合等には、当社の経営成績及び今後の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社の再生医療等製品及び医薬品等の製造に当たっては、特定のサプライヤーのみ供給可能である特殊な原材料等があるため、それらの不足が生じないように一定量の事前確保等の対応を講じておりますが、当該原材料が不足した場合には、再生医療等製品及び医薬品等の安定的な供給に問題が生じる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社は、製造販売承認された再生医療等製品及び医薬品等については、販売先となる医療機関等との交渉を進め、販売先を確保する方針ですが、競合製品の台頭等により当社の事業計画を達成するための販売先の確保ができない場合や各医療機関への販売数量が当社の想定する需要を下回った場合、販売先及び販売数量の確保が計画どおりに進まず、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、第一三共株式会社がヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの日本国内での販売権のオプションを有しており、当該オプションの行使がなされた場合には、販売先の拡大は期待できるものの、製品単位当たりの当社の利益割合が減少する可能性があり、その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 製造物責任について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認を取得した場合、自社の細胞培養加工施設にて製造を行うことから、製造物責任賠償のリスクが存在しております。当社は、製造物責任保険を付保する予定でおりますが、最終的に当社が負担すべき全額を補填できるとは限りません。
したがって、当社製品が患者への健康被害を引き起こし、当社が製造物責任を負う場合には、売上高の減少、賠償額の支払、販売製品の回収の他、当社の信用失墜を招くことになり、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑧ 知的財産権について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、研究開発活動等により獲得した技術・ノウハウ等について、顧問弁理士の助言に基づき特許等をはじめとした知的財産を確保するよう努めております。また、当社が第三者の知的財産権を侵害しないよう顧問弁理士に調査を依頼しております。
しかしながら、第三者により当社の知的財産権が侵害された場合や当社が第三者の知的財産権を侵害し損害賠償を支払う場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は職務発明規程その他の社内規程を制定しており、役員及び従業員等の職務発明等の譲渡を受ける体制を整えておりますが、特許法等の定めにより、それらの譲渡を受けるに当たっては「相当の対価」を支払う必要があるとされています。これまで発明者等との間で問題は生じておりませんが、将来において発明者等との間で対価についての紛争が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社が日本及びその他の国において出願した知的財産が拒絶査定により登録されなかった場合、又は競業他社が先んじて出願し権利を取得した場合には、当社が当該知的財産について法的保護を受けることができない状況、又は当該知的財産を使用できない状況となり、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
また、製品の開発及び製造等の当社の事業活動において、他社の知的財産を利用する必要がある場合には、当該他社との交渉等を行いますが、他社から知的財産の利用の許諾を得られない場合、又は交渉の過程で想定を上回る利用料を提示された場合は、当社の事業活動に支障が生じ、又は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業活動に関するリスク
① 小規模組織及び少数の事業推進者への依存について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、2023年4月30日時点で取締役6名、監査役3名及び従業員49名(臨時雇用者含む)の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針であります。
また、当社の事業活動は、経営者、各部門責任者及び特定の研究開発要員に強く依存するところがあります。特に、当社が製造販売を目指しているヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの主たる開発者であり、当社の取締役でもある澤芳樹大阪大学大学院医学系研究科名誉教授は、その経験、見識及び人脈等を含め当社の事業活動において非常に重要な役割を果たしています。そのため、常に優秀な人材の確保と育成、経験、見識及び人脈等の承継に努めてまいりますが、人材の確保や育成が順調に進まない場合、また人材の流出が発生した場合には、研究開発活動や製造活動等に遅延が生じるため、当社の事業活動に支障が生じる可能性があります。
② 特定の取引先への依存について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、2017年9月に第一三共株式会社と「共同研究開発契約」を締結し、心不全治療に用いるヒトiPS細胞由来心筋細胞製造法及びシート化技術の確立、製造販売承認申請に必要な非臨床及び臨床試験の実施、本製品の製造販売承認の取得を目的とした共同研究開発を行ってまいりました。
これにより、当該共同研究開発に関して、当社は第一三共株式会社から研究開発費及び研究開発人員の受け入れを行うと共に、知的財産権等のライセンスの供与を受けております。
当社は、今後も第一三共株式会社とは良好な関係を維持し、共同研究開発等を継続していく方針でありますが、当社にとって不利な条件で契約が改定され又は契約が終了した場合には、研究開発活動の遅延、販売計画の未達等、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定団体への依存について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科の研究成果であるヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを再生医療等製品として製造及び販売することを目的として設立した企業であります。大阪大学とは、2016年9月に「共同研究講座設置契約書」を締結し、iPS細胞を用いた重症心不全治療の実用化に向け研究を進めてまいりました。現在においても大阪大学は、当社の研究開発活動において重要なパートナーであります。
また、当社が使用しているiPS細胞に直接関連する特許は、iPS細胞自体と同様、国立大学法人京都大学のiPS細胞研究所において確立されたものであり、同大学より当該特許権の実施許諾事業を任されているiPSアカデミアジャパン株式会社との間で特許ライセンスに係る契約をそれぞれ締結しております。
当社は、今後も大阪大学及びiPSアカデミアジャパン株式会社等とは良好な関係を維持し、共同研究開発等を継続していく方針でありますが、当社にとって不利な条件での契約改定又は契約が更新されなかった若しくは解除に至った場合には、研究開発活動の遅延等、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 風評被害の発生について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社や当社が属する業界に対する否定的な風評が、マスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づくか否かに関わらず、当社の社会的信用に影響を及ぼすため、売上高の減少や取引先との契約解消等、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報管理について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の事業において、研究又は開発途上の知見、技術、ノウハウ等は非常に重要な秘密情報であります。当社は、その流出リスクを軽減するため、役員及び従業員並びに取引先等への守秘義務の設定、、並びにクラウドストレージサービスを利用しての細かいアクセス制限の設定や会社指定デバイス以外からの社内ネットワークへの接続の禁止等、秘密情報の管理体制の整備などに努めております。しかしながら、不正アクセス等により、当社の知見、技術、ノウハウ等が流出した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の事業運営においては、クラウドサービスなどを積極的に活用し、システムダウンリスクの低減に努めていますが、それらのクラウドサービスの障害、停止などにより、当社の業務が長時間にわたり中断した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 電力不足による研究開発活動及び生産活動の停滞について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、研究開発活動及び生産活動において、多数の電子機器や機械装置を使用しております。当社は重要な原材料の分散保管や施設での緊急時の電力確保等、その対応に努めておりますが、電力不足による停電等が生じた場合には、当社の研究開発活動及び生産活動等、事業活動に支障が生じる可能性があります。
⑦ 大規模な自然災害又は感染症の流行の発生について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の事業拠点の周辺地域において大規模な自然災害や感染症の流行等が発生した場合、当社は従業員及び関係者等の安全を最優先に考え事業運営を行います。当社は重要な原材料の分散保管や施設での緊急時の電力確保等、その対応に努めておりますが、施設や設備機器の損壊、サプライチェーンの分断による長期間の原材料の供給不足や高騰、出荷の停滞、従業員の就労不能等が発生する場合には、当社の継続的な事業活動に支障が生じ、また代替品の調達や施設等の修補のために追加費用が生じるため、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 戦争等の発生による原材料及び資材の不足及び入手困難について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、研究開発活動及び生産活動に使用するヒトiPS細胞については当面必要となる量を既に確保しておりますが、原材料及び資材については、日本国外で製造されるもの又は日本国外の原材料を使用して製造されるものがあります。そのため、戦争、紛争等による製造施設の破壊、取引の禁止、物流の停滞、価格の高騰等が発生した場合には、当社の研究開発活動及び生産活動等の事業活動に支障が生じ、又は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 業績・財政状態に関するリスク
① 損失計上と資金繰りについて
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、現状、第三者割当増資による資金調達や、共同研究開発のパートナー企業からの共同研究開発費を受領しており、資金繰りを維持できております。
しかし、当社は、研究開発型の企業であり、研究開発にかかる先行投資として長期にわたり多額の資金を必要とするため、その費用負担により当期純損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。また一方で、当社はCDMO事業を開始したものの、現状では黒字化を達成するほどの収益を獲得するには至っておりません。
このため、当社は、製品が上市し、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に増資等を含めた資金調達等を実施する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。
② 固定資産の減損について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、自社研究施設を兼ね備えた商業用細胞培養加工施設を設置したこと等による固定資産を多額に計上しております。保有する固定資産については、固定資産の減損に係る会計基準等に従い、減損の兆候が見られる場合には、将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失の認識の要否を検討しております。
現時点で固定資産の回収可能性に問題はないと判断しておりますが、経営環境の悪化等により、保有する固定資産から十分な将来キャッシュ・フローを生み出せないと判断した場合には、減損損失を認識することになり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 株式価値の希薄化について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、当社役員及び従業員等に対し新株予約権を発行しております。本書提出日現在、当社の発行済株式総数は5,857,916株でありますが、全ての新株予約権が行使された場合には発行済株式総数の約8%に当たる507,950株の新株が発行されることとなります。ただし、507,950株のうち418,350株については、契約上ノックアウト条項が付された新株予約権であって、当社の株価が所定の株価を終値ベースで一日でも下回った場合には消滅します。
さらに、当社は、研究開発型の成長企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、新株発行による増資を中心とした資金調達、及び人材確保のための新株予約権発行を機動的に実施していく可能性があります。
これらの新株発行及び新株予約権発行により、当社の1株当たり株式価値が希薄化する可能性があります。
④ 配当政策について
(発生可能性:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、当社の設立以来、株主に対する配当実績はありません。また、今後についても、当面は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先する方針です。しかしながら、株主への利益還元は当社の重要な経営課題であると認識しており、積極的な投資による企業価値の向上を通じて、将来において十分なキャッシュを獲得した時点で、経営成績、財政状態及び更なる投資による企業価値向上との比較結果等を勘案しつつ、配当による利益還元の実施を検討したいと考えております。現時点において、配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態の状況
第6期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(資産)
当事業年度末の流動資産の残高は、前事業年度末に比べ251,478千円減少し、3,367,090千円となりました。これは主に、研究開発費や事業運営費の支出により現金及び預金が200,665千円減少したことによるものであります。固定資産は、前事業年度末に比べ67,909千円減少し、677,816千円となりました。これは主に、減価償却費の計上によるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べ319,388千円減少し、4,044,906千円となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債の残高は、前事業年度末に比べ7,988千円増加し、112,410千円となりました。これは主に、未払金が34,469千円減少した一方で、預り金が39,556千円増加したことによるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べ580千円減少し、36,949千円となりました。これは主に、繰延税金負債が652千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ7,408千円増加し、149,360千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産の残高は、前事業年度末に比べ326,796千円減少し、3,895,546千円となりました。これは主に、当期純損失375,337千円の計上によるものであります。
2021年10月11日に当社取締役及び従業員を対象に有償ストック・オプション(第1回新株予約権)を発行し、その一部が権利行使されております。これにより、資本金及び資本準備金がそれぞれ15,250千円増加しております。また、2022年2月14日開催の臨時株主総会において、資本金の額の減少を行うことを決議し、2022年3月1日付で資本金105,250千円をその他資本剰余金に振り替えております。この結果、当事業年度末の資本金は10,000千円、資本準備金は2,455,250千円、その他資本剰余金は2,449,145千円、新株予約権は15,792千円となりました。
第7期第3四半期累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
(資産)
当第3四半期会計期間末の流動資産の残高は、前事業年度末に比べ330,179千円減少し、3,036,910千円となりました。これは主に、研究開発費や事業運営費の支出により現金及び預金が359,197千円減少したことによるものであります。固定資産は、前事業年度末に比べ51,578千円減少し、626,238千円となりました。これは主に、減価償却費の計上によるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べ381,758千円減少し、3,663,148千円となりました。
(負債)
当第3四半期会計期間末の流動負債の残高は、前事業年度末に比べ34,125千円減少し、78,285千円となりました。これは主に、預り金が52,984千円減少したことによるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べ435千円減少し、36,514千円となりました。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ34,560千円減少し、114,799千円となりました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産の残高は、前事業年度末に比べ347,197千円減少し、3,548,348千円となりました。これは主に、四半期純損失357,352千円の計上によるものであります。
② 経営成績の状況
第6期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の長期化により、経済活動及び社会生活が引き続き制限されました。また、直近ではウクライナ情勢の深刻化による資源・エネルギー及び原材料価格の上昇等もあり、依然として景気の先行きは不透明な状況となっております。
当社は虚血性心疾患による重症心不全を適応症とするヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得に向け、大阪大学が実施する医師主導治験を継続して支援しております。当事業年度においては、商用を見据えたスケールでのヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに係る高収率製法の確立、同製法による非臨床試験・治験用の細胞製造、非臨床試験(造腫瘍性試験等)の実施、品質管理体制の構築及び多施設共同医師主導治験に併せた治験製品輸送方法の確立に取り組んでまいりました。
同医師主導治験は、大阪大学が2019年10月に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に医師主導治験計画届書を提出したものであり、2020年1月に第1例目の被験者に対しヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの移植を行い、2020年11月までに計3症例の被験者に対して移植が行われました。これらの移植については、現在、その有効性や安全性を評価している段階にあります。
また、大阪府箕面市で稼働している当社の商業用細胞培養加工施設(「CLiC-1」:Cuorips Labo-integrated Cell Processing Facility for Advanced Therapy-1st)が、2021年9月22日付で、厚生労働省近畿厚生局より「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)第35条第1項に基づく「特定細胞加工物製造許可」を取得し、当第3四半期会計期間より製造開発受託(CDMO)事業を開始いたしました。当社がこれまでに培ったヒトiPS細胞由来心筋細胞の製造・品質管理技術及びノウハウと、プロセス開発から細胞加工物の製造・品質管理までワンストップで実施できる「ラボ一体型」のCLiC-1を活用し、様々な細胞加工物を対象としたCDMO事業を提供しております。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高13,913千円(前年同期比6,224.3%増)、営業損失373,264千円(前年同期は281,840千円の損失)、経常損失373,140千円(前年同期は295,845千円の損失)、当期純損失375,337千円(前年同期は307,834千円の損失)となりました。
当事業年度において発生した研究開発費(総額)は655,546千円(前年同期比1.4%減)でありましたが、当社は共同研究開発のパートナー企業から共同研究開発費(以下、共同研究開発費受入額)を受領しており、共同研究開発費受入額を控除した金額112,805千円(前年同期比55.3%増)を販売費及び一般管理費において研究開発費として計上しております。
なお、当社は、再生医療等製品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第7期第3四半期累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
当第3四半期累計期間における我が国経済は、新型コロナウィルス感染症による行動制限が緩和され、サプライチェーンの混乱による供給制約も次第に解消されつつあります。しかしながら、為替相場の急激な変動や資源・エネルギー及び原材料価格の高騰等、当社を取り巻く経営環境においては不確定な要因も多く、今後の動向を引き続き注視してまいります。
当社は、虚血性心疾患による重症心不全を適応症とするヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得に向け、大阪大学が実施する医師主導治験を継続して支援しております。当第3四半期累計期間においては、同医師主導治験の進捗を加速させるために、当社は治験参加施設の拡充や治験参加施設に対する同医師主導治験のサポート業務を行いました。
同医師主導治験は、前半部分(コホートA)と後半部分(コホートB)に分かれており、コホートAでは2020年11月までに計3症例の被験者に対して移植が行われました。コホートBでは計5症例の被験者に対して移植が行われる計画になっており、2022年8月には同治験参加施設である順天堂大学医学部附属順天堂医院において第1症例目の移植が行われ、2022年12月にも同院において第2症例目の移植が行われました。
また、コホートAについては、現在、その有効性や安全性を評価している段階にありますが、大阪大学の研究チームがコホートAの第1症例目を対象に有効性及び安全性について解析した結果、肯定的な評価を示唆する論文を発表しております。( https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.12.27.21268295v1.full )
本論文では、移植後にヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに関連する有害事象は認められず、また、心機能だけでなく、運動耐容能も改善し得る可能性が示唆されています。
本論文は、2022年8月2日に「Frontiers in Cardiovascular Medicine」誌の査読後、アクセプトされ、より詳細な情報を含んだ上で、公開されております。
( https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcvm.2022.950829/abstract )
その他の研究開発活動におきましては、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに続く新たな研究開発パイプラインの製品化に向けた取り組みを本格的に開始しております。当第3四半期累計期間においては、主に、カテーテル、体内再生因子誘導剤、虚血性心疾患(海外)に関する研究開発活動を進めてまいりました。
売上高について、前事業年度より提供を開始した製造開発受託サービス(CDMOサービス)は、当第3四半期累計期間においても堅調に推移いたしました。
この結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高13,488千円、営業損失356,252千円、経常損失356,243千円、四半期純損失357,352千円となりました。
当第3四半期累計期間において発生した研究開発費(総額)は490,762千円でありましたが、当社は共同研究開発のパートナー企業から共同研究開発費(以下、共同研究開発費受入額)を受領しており、共同研究開発費受入額を控除した金額134,162千円を販売費及び一般管理費において研究開発費として計上しております。
なお、当社は、再生医療等製品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第6期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ200,665千円減少し、3,341,782千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、220,762千円の支出(前年同期は282,797千円の支出)となりました。これは主に、増加要因として減価償却費92,739千円(前年同期は73,914千円)及び未収消費税等の減少額56,105千円(前年同期は未収消費税等の増加額54,762千円)があった一方で、減少要因として税引前当期純損失373,140千円(前年同期は295,845千円)を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、28,444千円の支出(前年同期は670,208千円の支出)となりました。これは主に、CLiC-1において有形固定資産の取得による支出28,691千円(前年同期は668,177千円の支出)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、48,541千円の収入(前年同期は3,766,740千円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の発行による収入16,594千円(前年同期は-千円)、新株予約権の行使による株式の発行による収入29,700千円(前年同期は-千円)によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
CDMOサービスにおいては、一部受注生産を行っておりますが、ほとんどの場合において、生産に要する期間が短く、受注実績が僅少であることから記載を省略しております。
c.販売実績
第6期事業年度及び第7期第3四半期累計期間の販売実績は、以下のとおりであります。なお、当社は再生医療等製品事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
|
サービスの名称 |
第6期事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
第7期第3四半期累計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年12月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
金額(千円) |
|
|
CDMO・コンサルティングサービス |
13,913 |
6,224.3 |
13,488 |
(注)1.当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、当事業年度よりCDMO・コンサルティングサービスを本格的に開始したことによるものであります。
2.最近2事業年度及び第7期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
|
相手先 |
第5期事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
第6期事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
第7期 第3四半期累計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年12月31日) |
|||
|
金額 (千円) |
割合 (%) |
金額 (千円) |
割合 (%) |
金額 (千円) |
割合 (%) |
|
|
株式会社 VC Cell Therapy |
- |
- |
11,327 |
81.4 |
6,248 |
46.3 |
|
セルソース株式会社 |
- |
- |
- |
- |
3,780 |
28.0 |
|
カノンキュア株式会社 |
- |
- |
1,800 |
12.9 |
3,460 |
25.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
第6期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当事業年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (3)業績・財政状態に関するリスク」に記載のとおりであります。
第7期第3四半期累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
当第3四半期累計期間の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、研究開発を行う上で必要な資金は、他の製薬企業との共同研究開発契約を通じて確保しております。また、設備投資や事業運営費等の資金は、第三者割当増資により資金調達を図っております。また、研究開発パイプラインの拡充に向けて、株式上場時の公募増資等により財務基盤の強化が必要であると認識しております。
資金の流動性については、一時的な余資は主に流動性の高い金融資産で運用しており、投機的な取引は行わない方針であり、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物によって確保を図っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。資産・負債及び収益・費用の測定にあたり、金額を直接観察できない場合には、経営者は過去の実績やその他の様々な仮定を設定し、合理的に算定しておりますが、見積金額の測定には、固有の限界があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) 共同研究開発契約
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相手方の名称 |
契約名 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
|
国立大学法人大阪大学 |
共同研究講座設置契約書 |
2016年 9月26日 |
・iPS細胞を用いた重症心不全治療の実用化を研究目的とした最先端再生医療学共同研究講座を設置する。(本契約は2017年6月22日付で株式会社セルキューブより当社が契約上の地位を承継) ・当社は共同研究講座に対して研究員の参加と研究経費の負担を行う。研究開発の成果は貢献割合に応じ単独所有又は共有する。 |
2016年10月1日 から 2025年9月30日 まで |
|
国立大学法人大阪大学、 公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団 |
共同研究契約書 |
2018年 4月1日 |
・重症心不全に対する新たな治療として、iPS細胞を用いた心筋再生医療の開発を目指して京都大学iPS細胞研究所で樹立された「医薬用iPS細胞ストック」から、心筋細胞を高効率で分化誘導・大量培養し、未分化iPS細胞を除去して純化し、安全性をより高めたシートを作成する研究を行う。 ・当社は共同研究に対して研究員の参加と研究経費の負担を行う。研究開発の成果は貢献割合に応じ単独所有又は共有する。 |
2018年4月1日 から 2024年3月29日まで |
|
第一三共株式会社 |
共同研究開発 契約書 |
2017年 9月29日 |
・心不全治療に用いる商業化可能なiPS細胞由来心筋細胞製造法及びシート化技術の確立、製品の製造販売承認申請に必要な非臨床/臨床試験の実施、当該製品の製造販売承認の取得を目的とした研究開発を行う。 ・同社は当社に対して人員の派遣及び研究開発費の交付を行う。研究開発の成果は共同保有とし、当社が独占的実施権を有する。 |
2017年9月29日から 契約の目的を達成したとき又は本共同研究開発を中止したときまで |
|
朝日インテック株式会社 |
共同研究契約書 |
2022年 4月4日 |
・iPS細胞の培養・分化・大量培養技術とノウハウを活かし、新たな治療法に適したiPS細胞由来細胞の開発、広く普及する新たな細胞移植方法の確立についての共同研究を行う。 ・研究開発の成果は貢献割合に応じ単独所有又は共有する。 |
2021年4月1日 から 2024年6月30日 まで |
(2) 実施許諾契約
|
相手方の名称 |
契約名 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
|
国立大学法人大阪大学 |
特許権実施 許諾契約書 |
2014年 10月31日 |
・当社は大阪大学が保有する心筋細胞の分化に関する特許の独占的実施権の提供を受ける。(本契約は2017年7月31日付で株式会社セルキューブより当社が契約上の地位を承継) ・当社は成果の提供に基づき同大学に対して一定の対価を支払う。 |
2014年10月31日から 契約を解除した日まで |
|
国立大学法人大阪大学 |
ノウハウ供与 契約書 |
2018年 11月20日 |
・当社と大阪大学との共同研究講座によって得られた、大阪大学が保有する細胞加工物の製造に関するノウハウの再実施許諾権付きの独占的実施権の供与を受ける。 ・当社はノウハウの供与に基づき同大学に対して一定の対価を支払う。 |
2018年11月20日 から 2028年11月20日 まで |
|
国立大学法人大阪大学 |
再生医療等製品を使用する医師主導治験に係わる契約書 |
2019年 7月23日 |
・当社は大阪大学が医師主導治験の実施により取得した成果の提供を受ける。 ・当社は成果の提供に基づき同大学に対して一定の対価を支払う。 |
2019年7月23日 から 本治験が終了した日又は中止された日まで |
|
公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団 |
所有権譲渡 契約書 |
2022年 5月2日 |
・当社は一定の使用条件の下で、同財団が保有するiPS細胞の所有権を譲り受ける。 ・当社はiPS細胞の所有権の譲受けに基づき同財団に一定の対価を支払う。 |
2022年5月2日 から iPS細胞を利用した製品の開発、製造、販売等の断念又は中止の通知をした日まで |
|
iPSアカデミアジャパン株式会社 |
人工多能性幹細胞(iPS細胞)使用に関する特許実施許諾契約書 |
2018年 8月6日 |
・当社は同社が国立大学法人京都大学から実施許諾を受けたiPS細胞の製造等に関する特許権の再実施許諾(非独占的通常実施権)を受ける。 ・当社はiPS細胞の使用等に関する再実施許諾に基づき同社に一定の対価を支払う。 ・現在の契約は研究用ライセンスであり、当社製品の承認申請等に際して、医療用途ライセンスへの切り替えを行う。 |
2018年4月1日 から 2024年3月31日 まで |
|
第一三共株式会社 |
覚書((1) 共同研究開発契約に記載の「共同研究開発契約書」の関連覚書) |
2023年 3月20日 |
・iPS細胞由来心筋細胞シートの商業化に必要な知的財産権のライセンス条件を定める。 ・当社は自らヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの販売を行うが、同社は日本国内におけるヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの販売権のオプション(オプション期間:2025年3月19日まで、またオプション行使があった場合でも当社の販売活動は可能。)を有する。 ・当社は知的財産権の独占的実施権許諾に基づき同社に対して一定の対価を支払う。 |
2023年3月20日から(終了期限の定めなし) |
(3) 知的財産権譲受契約
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相手方の名称 |
契約名 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
|
国立大学法人大阪大学、 小野薬品工業株式会社 |
特許及びノウハウの譲渡に関する覚書 |
2022年 1月5日 |
・当社は一定の対価を支払う条件で同社より特許権及びノウハウを譲り受ける。 |
- |
|
株式会社 カルディオ |
特許契約上の地位譲渡契約書 |
2022年 4月18日 |
・当社は一定の対価を支払う条件で同社より特許権等を譲り受ける。 |
- |
第6期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当事業年度は、虚血性心疾患による重症心不全を適応症とするヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに関連した研究開発に取り組みました。
当社の研究開発は、当社取締役であり大阪大学大学院医学系研究科の澤芳樹教授((現)名誉教授)を中心に研究部、開発部、製造・品質管理部で推進しております。研究開発に従事する従業員数は、36名(臨時雇用者を含む)であり、これは総従業員数(臨時雇用者を含む)の約77%に相当します。また、当社は大阪大学に共同研究講座を設置し、大手製薬企業及び医療機器メーカー等との共同研究開発契約を締結することで、研究開発体制を強化しております。
当事業年度における当社の研究開発費の総額は
なお、当社は再生医療等製品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績を省略しております。
第7期第3四半期累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
当第3四半期累計期間は、虚血性心疾患による重症心不全を適応症とするヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに関連した研究開発活動に取り組んだ他、カテーテル、体内再生因子誘導剤、虚血性心疾患(海外)等、新たな研究開発パイプラインの製品化に向けた取り組みを本格的に開始いたしました。
当社の研究開発は、当社取締役であり大阪大学大学院医学系研究科の澤芳樹教授((現)名誉教授)を中心に研究部、開発部、製造・品質管理部で推進しております。研究開発に従事する従業員数は、38名(臨時雇用者を含む)であり、これは総従業員数の約78%に相当します。また、当社は大阪大学に共同研究講座を設置し、大手製薬企業及び医療機器メーカー等との共同研究開発契約を締結することで、研究開発体制を強化しております。
当第3四半期累計期間における当社の研究開発費の総額は
なお、当社は再生医療等製品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績を省略しております。
具体的な研究の目的、主要課題、研究成果等は、「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。