第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

「クオルテックは、「真理の探究」に対して妥協することなく、技術者としての情熱と客観的なデータの蓄積を大切にし、製品の「安全」「環境」「快適性」の向上に取組み、お客様に<満足>と<感動>を提供し、社会に貢献できる企業を目指します。」を企業理念としています。

また、それを実現するための社員の心構えとして、次の5項目を掲げています。

一、技術者としての高い「志」をもとう!

一、現場現物に徹し、「理論的思考力」を磨こう!

一、小さな変化に気付く「感性」を養おう!

一、「スピード」の重要性を再確認しよう!

一、人間としての「心」を大切にしよう!

 

(2)経営環境

(信頼性評価事業)

自動車業界における「CASE(注)」を背景に、「クルマ」の概念が大きく変わろうとしています。将来の自動車業界の変革には、大きくxEV(次世代車)の普及、ADAS(先進運転支援システム)の採用の2点が挙げられます。

世界の主要国においてCo2削減目標が掲げられておりますが、その目標達成に向けた取組みとして自動車の電動化が加速すると考えられ、わが国においても自動車メーカーによる自動車の電動化の開発が進められております。各国がCo2削減目標達成に向けた様々な取組みを行うなか、次世代車の普及は世界的に年々増加するものと見ております。

また、株式会社矢野経済研究所によると、“ADAS/自動運転システム(本調査における自動運転システムはSAE(米国自動車技術協会)の自動化レベル0~5までの6段階で分類しており、レベル1、2を「運転支援」、レベル3を「条件付自動運転」、レベル4を「高度自動運転」、レベル5を「完全自動運転」と定義している。)の標準搭載が進み、日米欧中において2025年には世界搭載台数は6,739万台(乗用車および車両重量3.5t以下の商用車の新車に搭載される自動運転システムの搭載台数ベースで算出。)(※1)”にまで2021年実績から年平均成長率13.2%で成長すると予測されています。また、これに紐付く形で5G関連の需要が大きく拡大し、ADAS用センサーの需要が大きく伸びていると考えております。

これらを背景に自動車の信頼性評価試験の市場では、特にEV化・自動運転に向けた車載機器の信頼性評価の需要が大きく伸びております。製品固有の試験需要や電動化、自動運転技術に伴う高度な試験への対応、また試験設備への投資ハードルや試験コスト削減を目的に、製品開発会社からの委託ニーズも高まりを見せております。また、電気モーターとエンジンを併用するハイブリッド車(HV)の保有台数が右肩上がりで増えており、一般財団法人自動車検査登録情報協会によりますと、“2022年の乗用車の保有台数は6,186万台(※2)”で、うち“ハイブリッド車(HV)は1,080万台を突破(※3)”し、乗用車の電動化が加速しております。近年では、エンジンを発電のみに使うタイプや、家庭の電源で充電可能なプラグインHV(PHV)も人気を集めております。一方、電気自動車(EV)の保有台数は、充電網の拡大などを背景に順調な伸びが続いておりますが、乗用車の保有台数に占める比率はハイブリッド車(HV)やプラグインHV(PHV)と比較して低位にとどまっております。

 

(微細加工事業)

“2010年NTTドコモ、2012年ソフトバンクとKDDIが4Gの商用サービスを開始(※4)”して以降、4Gでの通信が主流となり、大容量データの送受信やより高品質なリアルタイムの映像を受信できるようになったことで、スマートフォンの普及が加速しました。

現在では、5G(第5世代移動通信システム)が次世代の通信システムとして世界中で導入・整備が進められており、高速・大容量、高信頼・低遅延、多数同時接続という特長によって4Gでは叶わなかった高速通信が可能になります。5Gは4Kや8Kといった高画質の動画データを瞬時に送受信し、車の操作を遅延なく行う自動運転システムにも搭載されると考えられます。

そして5Gからさらに進化した“6G(第6世代移動通信システム)は2030年代のサービス開始が目指されており、100Gbps以上の通信速度の実現、宇宙空間からの通信環境への活用など(※5)”が期待されています。

6Gの高速通信が身近なものになると、多くの人が同時に接続し情報を共有することが可能になるといわれており、通信エリアや通信速度を意識することがなくなると予想されます。5Gで実現できるとされる自動運転や遠隔操作による診療などにおいても、6Gではより安定した高速通信で改善を図っていくことができると考えられております。

一方で、米中貿易摩擦による半導体不足やコロナ禍による国際物流の混乱等の影響から、試作加工から量産加工への移行に慎重となる顧客が増加するなど、市場環境の変化が激しい市場でもあります。このため、4G需要の拡大から5G需要の立ちあがりまでにタイムラグが発生し、当社の微細加工事業売上もその影響を受けたことからターゲット市場の拡大に努めています。

当社が加工するビルドアップ基板やフレキシブルプリント基板などの電子部品は、スマートフォンを代表とする通信系デバイスや、ミリ波レーダーやカメラを使った自動ブレーキ・車線維持支援などの先進運転支援システム、LiDAR(Light detection and ranging:光による検知と測距)などの自動運転に関わるもの、ハイブリッド・ガソリンから電気に完全シフトした電気自動車の各種制御基板や、超音波プローブ・CTスキャナーなどの医療機器に至るまで、幅広い分野に使用されていることから、今後も需要がさらに増える見通しです。また、技術的な進歩は目まぐるしく、短小軽薄・高多層・高精細化がさらに進んでいくと考えております。

これらの通信以外の市場での量産受注の拡大や今後の5G需要の拡大により、半導体不足や物流混乱による在庫調整の影響を上回る市場の伸びが期待できるものと考えています。

 

(その他事業)

その他事業に属するバイオ事業では、再生医療関連の産業化は、経産省主導の国家戦略として推進されております。また、遺伝子検査の事業においては、2019年の動物愛護管理法の改正により、ペット販売における遺伝性疾患の発生状況の対面での説明が義務化されたことから致死性遺伝性疾患に対する関心の高まりを受けて、遺伝子検査の需要の拡大が見込まれると考えております。

 

(注)CASE

自動車業界において次世代技術やサービスを意味する「Connected(つながる)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared(共有)」、「Electric(電動化)」の4つの英語の頭文字をつなげた造語。

 

<出典>

※1:株式会社矢野経済研究所「自動運転システムの世界市場に関する調査(2022年)」(2022年8月24日発表)

※2:一般財団法人自動車検査登録情報協会 統計情報「わが国の自動車保有動向」自動車保有台数推移表 令和4年 https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html

※3:一般財団法人自動車検査登録情報協会 統計情報「わが国の自動車保有動向」ハイブリッド車・電気自動車の保有台数推移表 令和4年 https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html

※4:総務省「令和2年版情報通信白書」15ページhttps://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/pdf/02honpen.pdf

※5:株式会社NTTドコモ「ホワイトペーパー 5Gの高度化と6G」12~13ページ https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/whitepaper_6g/DOCOMO_6G_White_PaperJP_20221116.pdf

 

(3)経営戦略等

当社では、今後も発展を続ける自動車業界において、そのパラダイムシフトの方向性を的確に把握、認識し、その変化に素早く対応できるように、日ごろから体制構築を図っております。

信頼性評価事業において、当社の強みは、「独立系検査会社」であることと、試験ラインナップが多いことで実現する、幅広い顧客のニーズにワンストップで応えられる「Total Quality Solution」が可能であることと認識しており、ケイパビリティの優位性があるものと考えております。

昨今の検査データ改ざんに見られる企業の不正を無くすことが当社の存在意義であり、メーカーが自らの検査データを改ざんする可能性があるような状況においては、当社のような中立な第三者が担う信頼性評価試験の重要性が高まると考えております。当社は、これまで培った技術力を発揮することにより業界内での存在感を増していきたいと考えております。

当社は、品質検査や分析、測定などを行う試験所等に対する要求事項を定めた試験所認定と呼ばれるISO/IEC17025の認定を取得しており、当社の技術力は国際的に認められており、今後も同認定を維持して参ります。高度な分析には高性能の装置や設備が不可欠になることから、以前より設備投資を行って参りました。顧客の要望に応えるために必要な設備を揃えることで、技術やノウハウを蓄積しております。

「(2)経営環境」でも述べた通り、CASEを背景に2030年頃からEV(電気自動車)市場が急拡大すると言われており、当社は日本でCASEを推進している企業と取引しております。

市場が急拡大する前段階にある試作品段階では、量産時の製品の安全性を確保するため、何度も信頼性評価試験が繰り返されます。当社はこれらの需要を着実に獲得し、その後の量産品段階での需要獲得に繋げることを目指して参ります。

自家用車のEV化が進むその先には、モビリティの小型化や建設機械及び航空分野の電動化も進むものと予測されます。そのような環境においても、これまで通り当社の高度な技術力に基づいた信頼性評価試験を行うことで、顧客と共に成長できるパートナーとしての確固たる地位の獲得を目指して参ります。

さらに、裾野の広い自動車業界に属する主要顧客との関係性を強化、確立することで、幅広く関連企業のニーズ開拓に繋げていきたいと考えております。

微細加工事業における市場環境は、半導体不足によりスマートフォン向けの電子基板、モジュール基板などの製品の生産が減少する中でも、自動運転に関連した製品や医療機器などは安定した生産が続くと考えております。それらの市場をターゲットに高付加価値、特殊用途、小ロット多品種でも製品ライフの長い製品に関する試作の受注拡大を進めており、これらの量産受注の獲得を目指して参ります。

当社は同事業において20年以上の歴史を持っており、大ロットの量産から、小ロット多品種の試作、材料評価まで幅広い対応力を持つ強みと24時間受付、稼働することで幅広いニーズをキャッチする体制を整えております。また、フェムト秒グリーンレーザ加工(※)など特殊な材料の加工や特殊な工法が可能なことも強みのひとつであり、これら当社の強みを活かして医療分野などで大ロット製品の量産受注を目指すなど、ターゲット市場の開拓を進める考えです。

その他事業において、表面処理技術事業では当社の技術力により顧客との信頼関係を更に強固なものとし、安定した受注の獲得を図って参ります。また遺伝子検査では、ペット販売における遺伝子疾患の発生状況を対面で説明することの義務化により生じた需要を協業企業と共に、受注増に繋げる考えです。

販売戦略としては、技術営業を強化し、計画的・戦略的にプッシュ型コンタクトによる顧客開拓を進め、同時にルールメークの輪に技術と営業の両面で入り込むことを計画しております。

技術戦略としては、顧客の多種多様なニーズに対応できる技術陣が当社の強みであり、特異技術を駆使した特殊解析のニーズへの対応力を保つことで、競争優位性を確保し、さらに高度なニーズにも応えられるよう、人材育成と技術の伝承に注力し、期待以上の提案ができる集団を目指して参ります。

当社が重要と考える自動車市場は、時代と共に変化しながらも益々成長する可能性を秘めていると考えており、同市場において当社は、顧客のニーズのひとつひとつに実直に応えることで着実な成長を目指します。

当社はこれからも、環境性能と安全性能の評価技術を確立し、安心・快適な未来社会の実現に貢献することを基本方針とし、「未来品質の創造」をスローガンにすべてのステークホルダーのため、社業に邁進して参ります。

 

※パルス幅(時間幅)が数ピコ秒(1兆分の1秒)よりも短いレーザ加工で、熱拡散する時間を与えずに分子結合を切断、除去することで、熱影響の少ない高品位な加工を可能にする工法。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、継続的な事業拡大及び成長の観点から、売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標としており、業界動向及び当社業績の推移等を勘案し、適切な目標設定を行い、企業価値向上に努めて参ります。

売上高を指標とすることは、当社の主要市場の成長や同業他社の売上高との比較、分析に有用であると考え重要な指標と位置付けております。当社が市場での競争優位性を確保しつつ売上高を向上させるために、主要市場の動向を注視し、ニーズに応える技術力の向上に取組んで参ります。併せて、事業の収益性、販売活動の効率性を図る観点から、売上高営業利益率を重要な指標と位置付けております。当社が市場での競争優位性を確保するために、高い付加価値の提供と効率的かつ効果的な販売活動に取組んで参ります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の我が国経済は、資源価格の高騰やロシアのウクライナ侵攻による不安定な国際情勢のなかで、当面は先行き不透明な事業環境が継続するものと見込まれます。このような環境の中、以下の事項を当社の対処すべき課題として取組みを進めていきます。

 

①自動車業界以外の柱となる業界の開拓

当社の主要事業である信頼性評価事業においては、自動車業界の得意先向けの売上割合が高い状況となっております。今後は、微細加工事業においてヘルスケア分野への進出や新規事業として取組んでいるバイオ事業の規模拡大を図ること等により自動車業界以外の柱となる業界を開拓していきます。

 

②設備の増強

自動車業界におけるティア2(ティア1に部品を供給する企業)やティア3(ティア2に部品を供給する企業)メーカーといった部品メーカーからの受託試験のみならず、今後ティア1(完成車メーカーに部品を供給する企業)からのインバータやモーターなどユニット単位の受託試験のニーズに対応するため、大型冷熱、大型振動、大型X線CT等の導入を進めて参ります。

 

 

③技術力の向上

顧客の様々なニーズに応えるためには今後も技術力の向上が必要であると考えており、規格に沿った信頼性評価試験のみならず、パワーサイクル試験、アバランシェ試験、メーカー独自規格の試験に取組むことで高難度な試験能力を蓄積することで技術力の向上を図ります。

 

④新規事業の醸成

AIを活用したクラック、ボイドの観察などの解析技術をX線など分析装置メーカーと協力して一体販売することでAIによる解析技術を事業化することを目指していきます。現在、ボイド解析アプリの提案を顧客数社へ行い、解析性能の向上やユーザーごとのカスタマイズ対応など、事業化に向けた取組みを進めております。

AIを活用した技術の現状は日進月歩で、様々な分野での活用例が見られます。AIを当社の事業へ活用するためには、AIでの解析精度を熟練技術者レベルにまで引き上げることが課題と考えており、より多くの解析データの機械学習により解析制度の向上を図って参ります。

 

⑤優秀な技術者の採用及び育成

当社では、優秀な技術者の採用と育成が事業成長に必要不可欠であると認識しております。近年、技術者の採用市場は獲得競争が激化しており、今後も人材確保には厳しい状況が続くものと予想されますが、労働環境の改善や紹介会社との連携強化を行うなど引き続き積極的な採用活動を行って参ります。また、採用後も高いモチベーションを持って安心して働くことができる労働環境の改善、人事制度の充実、人材育成のための教育・研修制度の整備を進めて参ります。

 

⑥営業体制の強化

当社の継続的な事業成長には、既存顧客のニーズを的確に把握すること等による更なる関係強化に加え、新規顧客開拓を強化する必要があると認識しております。そのため、既存顧客のニーズへの迅速な対応が可能な体制強化の推進と、ホームページでの技術力のアピールや展示会への積極的な出展等により新規顧客を獲得することで受注量拡大を図り、引き続き顧客満足度の向上に取組んでいく必要があると考えております。

 

⑦情報セキュリティの強化

当社では、技術や営業に関する情報、取引先の重要情報など多くの情報を取扱っており、情報セキュリティの強化が重要であると認識しております。

情報セキュリティに関する規程等を策定し、情報セキュリティ委員会を通じて、情報資産の機密性、完全性、可用性の視点から情報セキュリティの維持、向上の取組みを行うなど、これら情報資産の流出や外部からの攻撃の対応策を徹底し、情報資産の毀損による損害の防止や取引先からの信頼に応えるべく、情報セキュリティの強化を継続的に図り、万全な防御体制の構築を進めていきます。

 

⑧内部管理体制の強化

当社は現在、成長途上にあり、今後もより一層の事業拡大を進める上で、内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、バックオフィス業務の効率化を図るための業務改革を推進し、事業運営上のリスクの把握と管理をより適切に行う強固な内部管理体制を構築し、コンプライアンスを重視した経営管理体制を敷くことで経営の公平性や透明性を確保致します。

 

2【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

尚、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)市場環境に関するリスク

①自動車業界の構造変化に伴う業績変動リスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社の主要事業である信頼性評価事業は、自動車業界が主要な顧客であり、当社の業績は同業界の研究開発の動向及び生産動向に強く影響を受けております。自動車業界においては「CASE」の実現に向けて自動車の電動化・電装化の加速が予測されていますが、経済産業省が2035年までに乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう、包括的な措置を講じるとしたことも相俟って、自動車業界の構造が大きく変化する可能性があります。

従って、今後の同業界の業界構造変化による研究開発の動向及び生産動向の大幅な変動、並びに他業種企業が同業界に新規参入することにより既存の同業界企業との間でシェア争いが発生した結果、いわゆるゲームチェンジが起こることにより同業界の構造が大きく変化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

この影響を最小限に留めるべく、積み上げてきた実績・技術を背景として国内外の顧客基盤の拡充を図って参ります。

 

②技術革新に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社の事業分野においては、自動車業界をはじめとして新しい技術が急速に発展しております。

当社においても当社事業分野における技術革新に対応するために、研究開発に対して多くの経営資源を投入しております。加えて、学会の講演や各研修への参加、社内の定期的な勉強会等を通じて、技術革新の動向を把握するとともに、それに対応したサービスの提供ができるよう努めております。

しかしながら、当社の研究開発の成果が顧客要求水準を満たさず、顧客の求めるサービスとして適用されなかった場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③重要な設備投資に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社の事業分野においては、試験設備等が重要な差別化要因となっており、当社では他社との差別化を図るため積極的な設備投資を行っております。しかし、市場環境の変化等により試験設備が陳腐化し投資額の回収が見込めなくなった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④競合他社、新規参入に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社は、独立系検査会社であり第三者機関としての責務を果たすため、日々技術力の向上に努め、顧客の高水準のニーズに対応することで、競合他社と比較して優位性を確保できていると考えております。

また、既存顧客との関係強化や新規顧客への取引拡大により、各事業における競争優位性を維持・向上させる事業活動を行っております。

しかしながら今後、新規参入企業の増加や当社の技術力を上回る国内外の企業が出現する可能性があります。これらにより、市場競争が激化し、当社が市場における競争力を維持できない場合や、顧客が競合他社のサービスに移行した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤内製化に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

当社は、顧客との連絡を密に取り顧客の開発動向に係る方針転換について情報収集に努め、受注減少のリスクを低減するとともに顧客のニーズに対応する提案を行い、受注拡大に努めております。

しかしながら、当社の主要事業である信頼性評価事業や微細加工事業について、顧客が自ら設備投資を行い、あるいは顧客グループ内企業でそれらの事業を行う等の内製化が推進された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑥エネルギー価格の変動に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

当社の信頼性評価事業における各種検査装置や微細加工事業におけるレーザ加工機といった当社設備の稼働コストは、電力等のエネルギー価格高騰による影響を受けております。これらに対して、電力等のエネルギー消費量を抑えるなどの原価低減施策や販売価格の見直しなどによって対応できるよう努めておりますが、電力等のエネルギー価格の高騰に対応した十分な原価低減施策や販売価格の改定を行えない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)事業に関するリスク

①品質に関するリスク  (顕在化の可能性:高/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

当社では、高品質で顧客満足度の高いサービスが提供できるよう、従業員への教育による技術レベルの向上に努めておりますが、顧客が求める品質水準に至らない場合や、満足度の低下により受注の減少が生じた場合、提供したサービスに予期せぬ欠陥等が発生し、その欠陥に起因して顧客が被った損害の責任を負うこととなった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

②特定顧客への依存リスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社の主要事業である信頼性評価事業においては、自動車業界の顧客(特にトヨタ自動車グループのサプライチェーンに関連する企業群)向けの売上割合が高い状況であり、その中においても当社の強みでもありますが、株式会社デンソーとは長期間に亘って取引関係を構築しており、同社向け売上高は2022年6月期において649,801千円となっており、当社売上高の20.6%を占めております。

当社は、自動車の電動化・電装化等により新たに見込まれる需要の取り込みや、自動車業界以外への業界シェア拡大に努めておりますが、同社グループの業績等が変動した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③継続的な受注獲得に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社の事業が成長していくためには、継続的な受注獲得及び顧客による継続的なサービスの利用が重要であると考えております。これらを促進するために、提供サービスの拡大及び品質の向上に加えて、潜在的顧客及び受注獲得のための最適な営業活動の遂行に注力しております。

しかしながら、需要に応じたサービスが提供できない場合や、営業活動による効果が十分に得られない場合には、新規受注獲得や既存顧客からの受注が減少する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④人材確保及び育成に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社の事業は、高い意欲と技術力を備えた人材に支えられています。従って、優秀な人材の確保・育成・定着率の向上が経営上重要となります。しかしながら、労働市場においては、少子高齢化による労働人口の減少により、中長期的には人材の確保が難しくなる傾向にあります。

当社といたしましては引き続き優秀な人材の確保に努め、人材育成に注力して参ります。また、安全で働きやすい職場環境づくりに向け、適切な労働時間管理、長時間残業の撲滅、ハラスメント予防に関する社員教育の徹底などにも取組んでおりますが、雇用情勢や経済環境によっては、計画通りの人材確保・育成ができず当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤内部管理体制に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社では、企業価値を継続的、安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が不可欠であると認識し、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの充実・強化に努めております。

しかしながら、事業の拡大ペースに応じた内部管理体制の整備に遅れが生じた場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥特定時期への売上の集中リスク  (顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

当社の主要事業である信頼性評価事業においては、得意先の決算期である3月に納期が集中することから、売上高及び利益は第3四半期(1月-3月)に増加し、第4四半期(4月-6月)には減少する傾向にあります。また、第3四半期に予定していた製品の納入及び検収が遅延した場合には、売上高及び利益の計上が第4四半期にずれることにより、当社の四半期の業績に変動が生じる可能性があります。

当社は特定の事業分野への依存を避けるべく、常に新たな技術分野への事業展開を図っておりますが、信頼性評価事業においては自動車業界における電動化の進展等により需要の拡大が見込まれることから、当面の間は当社の主要事業であり続けることが想定されるため、上記の変動のリスクは継続することが予想されます。

 

⑦顧客の与信リスク  (顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

当社の主な顧客は大手企業で顧客数は多数に及びます。当社は、与信管理規程を制定し、取引開始時に信用状況の調査及び与信限度額を設定し、顧客ごとに期日及び与信残高を管理するとともに、年1回与信限度額を見直し、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握及び軽減を図っております。

しかしながら、顧客の業績悪化により回収遅延や回収困難となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑧減損会計適用に関するリスク  (顕在化の可能性:小/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

当社は、各事業所における信頼性評価試験・分析装置をはじめとした有形固定資産を所有しております。これらの資産については、減損会計を適用し、減損の兆候がある場合には当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っております。

しかし、将来の環境変化等により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨繰延税金資産の回収可能性に関するリスク  (顕在化の可能性:小/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

当社は、将来減算一時差異に係る繰延税金資産を計上しており、その回収可能性を評価しておりますが、繰延税金資産の計算は、将来の一定期間における事業計画に基づく課税所得に関する見積りを含めた様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果が予測・仮定とは異なる可能性があります。事業計画の達成度合い等により、当該見積りを見直し、繰延税金資産の全部または一部の回収ができないと判断した場合には、繰延税金資産の減額と税金費用の計上が必要となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制に関するリスク

①コンプライアンスに関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社では、事業活動が法令及び内規を遵守して遂行されるよう、コンプライアンス規程を整備し、法令遵守の啓蒙活動や内部監査などを通じた検証を行っております。しかしながら、当社の役員及び従業員、外部委託先等の第三者が法令等に違反した場合や、社会的に不適切とみなされる行為に及んだ場合には、法令等による処分や処罰、社会的制裁、訴訟の提起を受ける可能性があり、当社の社会的信頼が損なわれるだけでなく、従業員の身体的、精神的不安や金銭的損害を被ることにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②知的財産権に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社では、特許権の取得により知的財産権の保護に努めておりますが、保護が不十分であった場合あるいは違法に侵害された場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、他社の有する知的財産権についても権利を侵害しないよう注意を払っておりますが、万が一、他社の有する知的財産権を侵害したと認定され、損害賠償等の責任を負担する場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)その他のリスク

①災害の発生等によるリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

地震等の自然災害や火災・事故等により、当社の従業員や試験設備等が被害を受ける可能性があります。これに伴う売上高の減少や試験設備等の修復又は代替のための費用が想定以上に発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

②情報漏洩によるリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

当社では、顧客の機密情報を取扱っており、情報セキュリティに関する規程等の策定、機密データへのアクセス管理のほか、セキュリティエリアへの電子鍵による入退室管理や監視カメラでの出入り口の監視を行うなど情報管理の徹底を図っておりますが、万が一、情報漏洩等が発生した場合は、社会的信用失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③新型コロナウイルス感染症に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

当社では、新型コロナウイルス感染症に対して、取引先及び従業員の健康と安全を第一に考え、政府当局の指針に従った、感染防止策を継続しております。

現時点で同感染症による当社の事業への影響は限定的ではありますが、今後再び感染拡大が生じた場合、市場の低迷、顧客の業績悪化による債権回収の停滞や受注の減少、従業員への感染等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④地政学的リスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

ロシアによるウクライナ侵攻が長期化することで引き起こされる物価の高騰や為替相場の変動等により景気動向が減速することで、顧客の業績悪化や投資行動が急激に変化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑤主要株主に関するリスク  (顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:1年以内)

当社は、ライジング・ジャパン・エクイティ第二号投資事業有限責任組合から、純投資を目的とした出資を受けており、本書提出日現在、同組合は当社株式の44.05%を所有する主要株主となっております。また、取締役である長瀬氏はライジング・ジャパン・エクイティ株式会社から派遣されております。

同組合は、当社株式上場において、保有する当社株式の全部を売却する予定ではありますが、一部の売却となった場合、保有する当社株式の上場後の保有・処分方針によっては、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、当社株式の市場価格形成に影響を及ぼす可能性があります。また、上場後の当社株式の保有状況によっては、役員の選解任、他社との合併等の組織再編、剰余金の配当等当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社株式の47.38%を所有する主要株主である志方廣一氏は当社の創業者であり、当社取締役である志方哲明の父であるため、今後も当社の安定株主と認識しております。引き続き継続保有をしていただけるよう当社の企業価値向上に努めて参りますが、将来的に何らかの事情により、主要株主が保有する株式数が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

①財政状態の状況

第30期事業年度(自 2021年7月1日 至 2022年6月30日)

(資産)

当事業年度末における総資産は3,397,792千円となり、前事業年度末に比べ113,068千円増加致しました。

流動資産は2,217,677千円となり、前事業年度末に比べ304,734千円増加致しました。これは主に「現金及び預金」197,811千円増加及び「売掛金」100,984千円増加によるものであります。固定資産は1,180,115千円となり、前事業年度末に比べ191,666千円減少致しました。これは主に減価償却等に伴う「工具、器具及び備品」63,453千円減少、「建物」50,707千円減少、「機械及び装置」48,880千円減少、「リース資産」7,780千円減少、及び評価損計上等に伴う「関係会社株式」11,699千円減少によるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債は1,150,848千円となり、前事業年度末に比べ215,129千円減少致しました。

流動負債は692,228千円となり、前事業年度末に比べ92,621千円増加致しました。これは主に「未払法人税等」119,896千円増加、「未払費用」13,544千円増加、「賞与引当金」12,841千円増加、並びに返済に伴う「1年内返済予定の長期借入金」75,041千円減少によるものであります。固定負債は458,619千円となり、前事業年度末に比べ307,750千円減少致しました。これは主に割賦購入分の一括返済に伴う「長期未払金」166,454千円減少、「長期借入金」80,053千円減少、及び「社債」60,000千円減少によるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は2,246,944千円となり、前事業年度末に比べ328,197千円増加致しました。

これは主に「当期純利益」327,464千円の計上によるものであります。

 

第31期第3四半期累計期間(自 2022年7月1日 至 2023年3月31日)

(資産)

当第3四半期会計期間末における総資産は3,304,374千円となり、前事業年度末に比べ93,418千円減少致しました。

流動資産は2,193,449千円となり、前事業年度末に比べ24,228千円減少致しました。これは主に「現金及び預金」135,335千円減少、「売掛金」87,293千円増加、保険料の一括支払への変更に伴う「前払費用」9,474千円増加、「仕掛品」5,596千円増加及び「原材料及び貯蔵品」5,323千円増加によるものであります。固定資産は1,110,925千円となり、前事業年度末に比べ69,190千円減少致しました。これは主に減価償却等に伴う「有形固定資産」63,493千円減少によるものであります。

 

(負債)

当第3四半期会計期間末における負債は903,568千円となり、前事業年度末に比べ247,279千円減少致しました。

流動負債は593,049千円となり、前事業年度末に比べ99,179千円減少致しました。これは主に納付等に伴う「未払法人税等」132,827千円減少、繰上償還に伴う「1年内償還予定の社債」60,000千円減少、「1年内返済予定の長期借入金」50,053千円減少及び「短期借入金」120,000千円増加によるものであります。固定負債は310,519千円となり、前事業年度末に比べ148,099千円減少致しました。これは主に繰上償還に伴う「社債」60,000千円減少、「1年内返済予定の長期借入金」への振替に伴う「長期借入金」49,184千円減少及び支給等に伴う「役員退職慰労引当金」37,056千円減少によるものであります。

 

(純資産)

当第3四半期会計期間末における純資産は2,400,805千円となり、前事業年度末に比べ153,861千円増加致しました。

これは主に「四半期純利益」230,823千円の計上及び剰余金の配当77,700千円によるものであります。

 

 

②経営成績の状況

第30期事業年度(自 2021年7月1日 至 2022年6月30日)

当事業年度におけるわが国経済は、依然として新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、ワクチン接種の普及等による感染防止策が進み、感染者数が減少したことで経済活動回復の兆しが徐々に見られました。一方、国際情勢ではロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰などにより国際的な経済活動の停滞感が強まるなど、先行きが不透明な状況が続いております。

このような経営環境の中、当事業年度の経営成績につきましては、主力市場である自動車業界では半導体の供給不足が続き、依然として減産を余儀無くされておりますが、前事業年度と比較して生産、販売ともに回復基調が見られ、当社の主要事業である信頼性評価試験の需要も回復してきております。

これらの結果、当事業年度の業績は、売上高3,155,813千円、営業利益348,204千円、経常利益339,675千円、当期純利益327,464千円となりました。

尚、当社は決算期(事業年度の末日)を12月15日から6月30日に変更致しました。これに伴い、決算期変更の経過期間である前事業年度は、2020年12月16日から2021年6月30日までを対象期間とした変則的な決算となりました。この為、前年同期比については記載しておりません。

 

セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。

(信頼性評価事業)

信頼性評価事業では、顧客のニーズにワンストップで応えるパワー半導体などに関する試験機及び測定器の自社開発能力を備えていることで顧客の開発案件を強力にサポートできる体制があり、研究開発部門を擁することでより高度な信頼性評価、新たな解析技術の開発、高度なソリューションが提供できるといった当社の強みにより、分析・故障解析の分野では半導体不足による市場流通品の解析(真贋判定)の需要が増加しました。また、加熱反り解析、超音波顕微鏡分析等の受注も堅調に増加し、環境試験においてはパワー半導体の高温バイアス系試験が急増、電子機器・パワーエレクトロニクスの評価及び信頼性評価試験ではパワー半導体のパワーサイクル試験が増加しました。

これらの結果、当事業年度の業績は、売上高2,688,830千円、営業利益772,828千円となりました。

 

(微細加工事業)

微細加工事業では、レーザ加工において20年以上の歴史を持ち、ビッグロットの量産から小ロット多品種の試作、材料評価まで幅広い対応能力を有しております。また24時間体制で受付、稼働しており、かつ特殊な材料の加工、工法が可能といった強みにより、自動運転に関連したカメラモジュールやレーダーといった製品、CTスキャナー、超音波プローブなどの医療機器は安定した生産となったものの、通信、一般製品では、スマートフォン向け電子基板、モジュール基板において新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の減衰や深刻な半導体不足などにより、生産が減少するという状況になりました。

これらの結果、当事業年度の業績は、売上高327,952千円、営業利益74,084千円となりました。

 

(その他事業)

その他事業では、ペットの遺伝子検査等のバイオ事業、各種コンサルティングのゼロイノベーション事業、及び表面処理技術事業を行っております。いずれの事業においても、主要顧客からの受注が堅調に推移した結果、当事業年度の業績は、売上高139,029千円、営業利益23,639千円となりました。

 

第31期第3四半期累計期間(自 2022年7月1日 至 2023年3月31日)

当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための各種制限が緩和されたことから、ウィズコロナの生活スタイルが浸透し、同感染症による経済活動への影響は低減したものと考えられます。一方でウクライナ情勢の長期化、世界的な資源価格の高騰等による経済への影響は未だ収束の動きが見られず、先行きが不透明な状況が続いております。

このような状況下で、当第3四半期累計期間の業績は、売上高2,546,191千円、営業利益318,687千円、経常利益318,006千円、四半期純利益230,823千円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。

(信頼性評価事業)

信頼性評価事業では、一部の評価試験において、第30期事業年度で特需であった試験の受注はほぼ収束しましたが、高難度の分析試験の受注が引き続き好調に推移しました。この結果、売上高2,229,970千円、営業利益670,022千円となりました。

 

 

(微細加工事業)

微細加工事業では、量産品加工においては引き続き顧客の業界において発生した減産、在庫調整等の影響を受けましたが、試作品加工においては比較的大口な案件の受注がありました。この結果、売上高192,211千円、営業利益25,228千円となりました。

 

(その他事業)

その他事業では、遺伝子検査において季節要因と考えられる受注の減少が2023年の1月頃から見られましたが、表面処理加工において主要顧客からの受注が堅調に推移したことに加え、機器用備品、消耗品の販売も売上に寄与し、売上高124,009千円、営業利益33,596千円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により686,086千円増加、投資活動により25,085千円減少、財務活動により463,193千円減少の結果、前事業年度末に比べ197,807千円増加し1,247,765千円となりました。

尚、当社は決算期(事業年度の末日)を12月15日から6月30日に変更致しました。これに伴い、決算期変更の経過期間である前事業年度は、2020年12月16日から2021年6月30日までを対象期間とした変則的な決算となりました。この為、前期比増減については記載しておりません。

 

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は686,086千円となりました。これは主に「税引前当期純利益」438,988千円、「減価償却費」360,743千円等の増加と、「売上債権の増加額」121,820千円等の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は25,085千円となりました。これは主に「保険積立金の解約による収入」148,392千円等の増加と、「有形固定資産の取得による支出」168,429千円等の減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は463,193千円となりました。これは主に「割賦債務の返済による支出」217,584千円及び「長期借入金の返済による支出」155,094千円等の減少によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

当社が提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから、記載を省略しております。

 

ロ.受注実績

当社が提供する主要なサービスは、受注から売上計上までの期間が短期間であり、受注実績と販売実績に大きな乖離が生じないため、記載を省略しております。

 

ハ.販売実績

第30期事業年度及び第31期第3四半期累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

第30期事業年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

第31期第3四半期累計期間

(自 2022年7月1日

至 2023年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

販売高(千円)

信頼性評価事業

2,688,830

2,229,970

微細加工事業

327,952

192,211

その他

139,029

124,009

合計

3,155,813

2,546,191

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当社は決算期(事業年度の末日)を12月15日から6月30日に変更致しました。これに伴い、決算期変更の経過期間である前事業年度は、2020年12月16日から2021年6月30日までを対象期間とした変則的な決算となりました。この為、前年同期比については記載しておりません。

3.最近2事業年度及び第31期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

第29期事業年度

(自  2020年12月16日

至  2021年6月30日)

第30期事業年度

(自  2021年7月1日

至  2022年6月30日)

第31期

第3四半期累計期間

(自  2022年7月1日

至  2023年3月31日)

金額

(千円)

割合(%)

金額

(千円)

割合(%)

金額

(千円)

割合(%)

株式会社デンソー

305,677

20.7

649,801

20.6

530,454

20.8

富士電機株式会社

161,128

10.9

398,062

12.6

(注)第31期第3四半期累計期間における富士電機株式会社に対する販売実績については、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。尚、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

第30期事業年度(自 2021年7月1日 至 2022年6月30日)

当事業年度の国内外の経済は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の悪化による影響等により、先行きの不透明感が一層増す状況となりました。

このような状況下で、当社は主力市場である自動車業界において、緩やかな景気回復基調が見られたことを背景に当事業年度の売上高は3,155,813千円となりました。営業利益は主に労務費の計上により売上原価2,279,211千円を計上、給料手当、研究開発費を中心とした販売費及び一般管理費を528,396千円計上した結果、348,204千円となりました。また、営業外収益は主に補助金収入の計上により4,571千円を計上、営業外費用は主に支払利息の計上により13,101千円を計上した結果、経常利益は339,675千円となりました。この結果、法人税等控除後の当期純利益は327,464千円となりました。

 

第31期第3四半期累計期間(自 2022年7月1日 至 2023年3月31日)

当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大も収束がみられ、同感染症の感染症法上の位置づけを2類相当から5類に移行する方針が決定されるなど、ウィズコロナの生活スタイルへ移る動きに併せて経済活動も回復してきております。一方、世界情勢ではウクライナでの紛争が緊迫の度を深め、資源価格の高騰を始めとした混迷は世界経済に影響を与え、未だ先行きが不透明な状況となっております。

このような状況下で、当第3四半期累計期間の売上高は2,546,191千円となりました。営業利益は主に労務費の計上により売上原価1,811,936千円を計上、給料手当、研究開発費を中心とした販売費及び一般管理費を415,567千円計上した結果、318,687千円となりました。また、営業外収益は主に補助金収入の計上により1,777千円を計上、営業外費用は主に支払利息の計上により2,458千円を計上した結果、経常利益は318,006千円となりました。この結果、法人税等控除後の四半期純利益は230,823千円となりました。

 

②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り、売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、各種経営課題に取組んでおります。

当社の信頼性評価事業のビジネスモデルの特徴として、固定比率の高いコスト構造となっており、売上高増が営業利益増に直結する傾向にあります。

尚、当期の売上高は信頼性評価事業の受注が好調に推移したことにより3,155,813千円となり、売上高の伸長により売上高営業利益率は11.0%となりました。また、第31期第3四半期累計期間における売上高は信頼性評価事業において高難度の分析試験の受注が好調であったことが業績を牽引したことにより2,546,191千円となり、売上高営業利益率は12.5%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。

当社の資金需要の主なものは、設備投資資金として、主要事業である信頼性評価事業に係る信頼性評価試験及び分析・故障解析に関する新しい分野を開拓するための試験設備の購入であり、運転資金として、事業を拡大するための消耗部材の購入、サービスや技術向上を目的とする人員を確保するための人件費や外注費であります。

資本の財源及び資金の流動性について、設備投資資金及び運転資金は主として自己資金で充当し、必要に応じて借入または社債の発行等による資金調達を実施することを基本方針としています。

当事業年度において、設備投資資金及び運転資金は自己資金を充当し、現金及び現金同等物の残高は1,247,765千円となっております。

当社は、引き続き強固な財務基盤を構築するため、有利子負債の削減に努め、健全な財務状態、安定的なフリーキャッシュ・フローの創出を図り、成長を維持するために将来必要な設備投資資金及び運転資金を調達する予定であります。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。

 

イ.繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

ロ.固定資産の減損処理

固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

⑥経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

第30期事業年度(自 2021年7月1日 至 2022年6月30日)

当社は、事業の柱となる信頼性評価事業、微細加工事業を支えるべく、研究開発活動を推進しており、当事業年度における研究開発費は89,861千円となりました。研究開発活動の主な成果は次の通りであります。

尚、研究開発活動は事業セグメントを横断する内容となっているため、全社として研究開発活動の概要を開示しておりおます。

 

<受託研究>

マイグレーション現象や、電池の不具合解析に関連した領域において、当社の得意とする電気化学系の技術・知見を活かした受託研究案件を、研究開発部の人的リソースを使って対応致しました。

 

<信頼性・分析関連>

・電子部品の実装時に発生するはんだ中のボイドについて、実装技術研究室と人工知能研究室の協力により、研磨断面画像やX線透過画像からボイド率を計測するアプリケーションを開発致しました。このアプリケーションは社内の計測案件に活用するとともに外部販売をすることで、顧客の実装基板等の実装状態評価、信頼性評価における有益な技術情報を提供しております。

・固体電池に必要な固体電解質の電気特性のひとつであるインピーダンスを、周波数/温度を可変しながら計測できる治具を開発致しました。並行して、低周波用測定器、高周波用測定器と組合せる事で広い周波数帯域、広い温度範囲で測定結果を抽出できるアプリケーションも開発致しました。この治具、アプリケーションを顧客が使用することにより、固体電解質のインピーダンスを効率的に測定することが可能となり、顧客の固体電解質開発の効率化を図っております。

 

<製造技術関連>

・研磨センターの業務効率改善と技術の伝承を目的とした、研磨支援装置の開発を開始致しました。導入済みのアーム型ロボットに改良を加えて、研磨の基本的な作業である「頭削り(※)」に対応できるように調整中であります。

 

※頭削りとは、研磨対象物を樹脂に埋め込む際に発生する出っ張りを取り除く処理で、この工程により手に持ちやすい形状となります。

 

第31期第3四半期累計期間(自 2022年7月1日 至 2023年3月31日)

当社は、事業の柱となる信頼性評価事業、微細加工事業を支えるべく、研究開発活動を推進しており、当第3四半期累計期間における研究開発費は61,196千円であり、研究開発活動の主な成果は次の通りであります。

尚、研究開発活動は事業セグメントを横断する内容となっているため、全社として研究開発活動の概要を開示しておりおます。

 

<受託研究>

・受託研究案件を対応する過程で、トータルソリューションの提供、実験工程設計などにおいて、事業部の業績に貢献してきました。最近では、エレクトロマイグレーションやはんだ実装評価に関する受託研究案件を事業部横断案件の形で受注できています。

・受託研究の幅を拡げる研究活動として、熱的マイグレーションのメカニズム解析(2023年4月開催2023 International Conference on Electronics Packagingで発表)やガラス素材へのめっき技術の開発(2023年3月特許出願)などの活動に取組んでおります。

 

<信頼性・分析関連>

・第30期事業年度に開発したAI技術を取り入れたボイド解析アプリに関して、解析性能の向上やユーザーごとのカスタマイズを行い、当第3四半期累計期間において8社の顧客が利用を開始致しました。

・固体電界質のインピーダンス測定治具の開発に加えて、実体電池のインピーダンス測定手法の確立に向けた研究開発活動を行いました。また、滋賀ラボにおいてはインピーダンス測定に関わる内容について、研究開発活動の一環として、標準規格化に向けた取組みを日本規格協会(JSA)の協力のもと開始致しました。

 

<製造技術関連>

第30期事業年度に引き続き研磨支援装置の開発を行いました。頭削り器はデモ機レベルとしては完成しており、最終仕様に向けた開発を進めております。