当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
当中間会計期間(2024年7月1日から2024年12月31日まで)における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や、中東での紛争を始めとする地政学リスク、インフレリスクや金融資本市場の変動影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
航空業界では、旅客需要が新型コロナウイルス感染症前の水準を超えるとともに、更に拡大することが見込まれており、エアラインにおいては、機体発注拡大などの動きが見られるとともに、航空機メーカーにおいては、中小型航空機を中心とした受注機数残高が高水準で推移しております。そのため、当社の主力製品であるチタンアルミ製の低圧タービンブレードを搭載したLEAPエンジンを採用する、中小型航空機の仏Airbus社製A320neoファミリー、米Boeing社製737MAXは、高水準の受注機数残高に対応するため、生産体制の増強を目指しております。また、2023年に初の商業飛行を中国国内で実施し、同じくLEAPエンジンを採用する中COMAC社製C919も、受注を拡大させております。
<LEAPエンジンが搭載される航空機の受注機数残高及び引渡機数(単位:機)>
(出所:一般財団法人日本航空機開発協会)
そうした中、当社は中長期的な事業拡大が期待できるLEAPエンジン向けチタンアルミブレード市場における安定的な事業基盤を構築するため、仏SAFRAN社と締結しているチタンアルミブレードの供給契約を更新しました。これにより、供給期間は2027年から2034年まで7年間の延長、マーケットシェアは35%から40%に拡大いたしました。
一方で、仏Airbus社においては、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢を発端としたサプライチェーンの毀損や人手不足の影響の顕在化により、生産拡大にやや遅延が見られております。米Boeing社においては、サプライチェーンの毀損や人手不足の影響に加え、品質問題により生産量が低迷しており、また、2024年9月に発生したストライキにより一時的な生産停止を余儀なくされました。
そうした環境下ではありましたが、当中間会計期間の当社の販売したチタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数(チタンアルミブレード販売枚数÷LEAPエンジン1基当たりのチタンアルミブレード搭載枚数)は310基と、前年同期から16.1%増加いたしました。A320neoファミリー、737MAX、及びC919ともに、受注機数残高は高水準を維持しており、航空業界でのサプライチェーンの毀損や人手不足の解消等が進めば、チタンアルミブレードの販売は更に拡大していくと考えられることから、当社は、引き続き、生産性・収益性の向上に取り組んでおります。
新規量産案件への取り組みに関しては、現在、2024年6月に竣工した新工場で生産予定の航空機エンジン部品の量産体制構築を推進しておりますが、新たにグローバル大手航空機関連メーカーと部品供給に関する長期契約を締結いたしました。研究開発への取り組みに関しては、材料供給元1社依存からの脱却に向けた新材料の開発について、顧客から一定の評価を獲得できたことから、開発体制を更に強化いたしました。これらの新規量産案件並びに開発案件を実現するために、人員採用、設備投資を含めた先行投資を積極化した結果、各種費用が増加いたしました。
以上の結果、当中間会計期間の経営成績は、売上高1,694,739千円(前年同期比16.4%増)、営業利益277,393千円(前年同期比50.4%増)となりました。経常利益に関しては、営業外費用としてシンジケートローン組成に関わる手数料等が発生しましたが、238,462千円(前年同期比38.0%増)となり、中間純利益は、201,594千円(前年同期比33.7%増)となりました。
なお、当社は、単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。
(資産)
当中間会計期間末における資産の残高は、7,780,426千円であり、前事業年度末に比べ543,445千円増加いたしました。この主な要因は、現金及び預金の増加226,724千円、有形固定資産の増加425,622千円があったことによるものであります。
現金及び預金が増加した主な要因は、シンジケートローンによるリファイナンスを実施したことによるものであり、有形固定資産が増加した主な理由は、チタンアルミブレード以外の航空機エンジン部品の量産のための設備投資によるものであります。
(負債)
当中間会計期間末における負債の残高は、4,437,248千円であり、前事業年度末に比べ294,349千円増加いたしました。この主な要因は、未払金の減少159,243千円、未払法人税等の減少118,832千円があった一方で、シンジケートローンによるリファイナンスを実施したことで、長期借入金(1年内返済予定分含む)の増加681,753千円があったことによるものであります。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産の残高は、3,343,177千円であり、前事業年度末に比べ249,096千円増加いたしました。この主な要因は、中間純利益の計上201,594千円があったことによるものであります。
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末から226,724千円増加し、2,040,375千円となりました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における営業活動による資金の増加は、490,747千円(前年同期は646,076千円の増加)となりました。これは主に、税引前中間純利益237,416千円、減価償却費188,605千円及び長期未払金の増加154,327千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における投資活動による資金の減少は、833,890千円(前年同期は595,055千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出832,298千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における財務活動による資金の増加は、570,192千円(前年同期は519,208千円の増加)となりました。これは主に、シンジケートローンによるリファイナンスに伴う長期借入金の返済による支出1,818,247千円及び長期借入れによる収入2,477,930千円によるものであります。
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間会計期間において、当社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当中間会計期間における研究開発活動の金額は、98,021千円であります。当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間会計期間において、締結した経営上の重要な契約等は以下のとおりであります。
(受注契約)
(注) 当該契約は、Safran Aircraft Engines社と2013年11月27日に締結(2021年7月9日に更新)した供給契約の更新契約となります。
(注) 守秘義務契約に基づき相手先の名称、所在地は非開示といたします。(当社の間に開示すべき資本関係、人的関係はございません。また、関連当事者間取引にも該当いたしません)
(資金の借入契約)
当社は、中長期的な財務基盤の安定化や、借入金利の低減等のため、既存のシンジケートローン等を早期返済し、新規案件の量産化に向けて2024年6月に竣工した新工場や設備への投資、並びに運転資金のための資金調達を目的として、新たなシンジケートローンによる資金の借入契約を2024年8月30日に締結し、同年9月17日に実行いたしました。