第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は有価証券届出書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社は、前第3四半期累計期間については四半期財務諸表を作成していないため、前年同四半期累計期間との比較分析は行っておりません。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当社は、これまでにない新しい抗がん薬を、一日でも早く患者様のもとに届けることで、『Tomorrow is Another day~明日に希望を感じる社会~』を実現することを目指しています。

 当社はアンメットメディカルニーズの高いがん領域に特化した創薬研究を進めており、これまでにない新しい作用機序を有する低分子の画期的医薬品(ファーストインクラス)の研究開発を行っています。ファーストインクラスの医薬品は、既存治療薬と異なる有用性を示すことが期待され、これまでの治療法を大きく変えることができる医薬品に成長する可能性があります。特に既存治療薬では十分な効果が認められず、現在のがんの進行に不安を感じている多くの患者様に対して、がんの進行をコントロールできるという希望を届けることを目標に事業の推進を行って参りました。

 

 当第3四半期累計期間においては、CLK阻害薬CTX-712を中心としたパイプラインの研究開発は順調に進捗しております。

 CLK阻害薬CTX-712については、新型コロナウイルス感染症への対応が継続している中においても、治験実施医療機関の協力のもとで患者登録を継続したことで、日本における第1相臨床試験の症例登録(固形がん46例、血液がん14例、合計60例)を完了させることが出来ました。日本における第1相臨床試験の結果として、2024年4月に開催された米国がん学会において2023年11月時点までの第1相臨床試験の安全性、有効性、ゲノム情報、薬物動態に関して、46例の固形がん、及び14例の血液がんの結果を報告しました。観察されたDLT(Dose-Limiting Toxicity:用量制限毒性)は、脱水、血小板数減少、低カリウム血症、及び肺炎であり、週2回の投与におけるMTD(Maximum Tolerated Dose:最大耐用量)は140mgと決定されました。CTX-712に関連する有害事象として吐き気、嘔吐、下痢等が挙げられましたが、許容される安全性プロファイルと考えられました。有効性に関しては、固形がんにおいて4例のPR(partial response:部分奏効)を認め、それらはすべて卵巣がん(4/14例、28.6%)でした。Myc amplificationを有する卵巣がんに着目すると、3例中2例(66.7%)でPRが得られました。AML、MDS計14例において、4例のCR(complete remission:完全寛解)、1例のCRi(complete remission with incomplete hematologic recovery:好中球未回復の完全寛解)、1例のMLFS(morphologic leukemia-free state:形態学的無白血病状態)を認め、Overall Response Rateは42.9%でした。また、そのうちSplicing Factor mutationのある4例に着目すると3例(75%)の奏効が認められました。奏効を得た症例のうち3例は投与期間が300日以上と長期間の奏効を認め、そのうち1例は974日でありました。さらにPK(pharmacokinetics:薬物動態)解析では、用量依存的な全身曝露量の増加が観察され、PD(pharmacodynamics:薬力学的)マーカーとして設定したRNAのスプライシング変化が用量依存的に増加したことから、CTX-712による薬力学的反応が確認されました。以上より、卵巣がん、血液がんにおいてCTX-712が有効であることを示すことができました。

 また、米国における血液がんでの第1/2相臨床試験についても順調に推移しており、2024年5月末時点においては16例への投与を実施しており、更なる試験の進捗に向けた活動を行っているところです。

 MALT1阻害薬CTX-177については、2020年12月に小野薬品工業株式会社と締結したライセンス契約に基づき、小野薬品工業株式会社が米国において再発または難治性の非ホジキンリンパ腫もしくは慢性リンパ性白血病の患者を対象に第1相臨床試験を実施頂いています。また対外発表としては、2024年6月での米国臨床腫瘍学会においては、第1相臨床試験の概要を小野薬品工業株式会社から発表されました。

 現在非臨床段階にあるCDK12阻害薬CTX-439については、臨床試験開始に向けての安全性試験や治験原薬の製造を終え、現在次のフェーズの準備を進めているところです。

 特許については、CTX-712の物質特許では、1カ国で追加されて、現在50カ国で登録済み、MALT1の物質特許では、3カ国で追加登録されて、現在9カ国で登録済み、CTX-439の物質特許では、1カ国で追加されて、現在4カ国で登録済み、GCN2の物質特許では、現在6カ国で登録済みとなっています。また、CTX-712に関しては、固形がんにおけるバイオマーカー特許(WO2023/190967)が公開されたことに加え、2024年1月に新たな特許出願を行っています。

 

 以上の結果、当第3四半期累計期間の事業収益は該当ありませんでした。事業費用につきましては、研究開発費が984百万円、その他の販売費及び一般管理費が196百万円となりました。

 この結果、営業損失は1,180百万円、経常損失は1,175百万円、四半期純損失は1,177百万円となりました。

 なお、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績を記載しておりません。

 

 また、当社の財政状態は次のとおりであります。

(資産)

  当第3四半期会計期間末における資産合計は3,462百万円となり、前事業年度末と比較して1,447百万円減少しました。このうち、流動資産の残高は3,432百万円となり、前事業年度末と比較して1,459百万円減少しました。これは主として、研究開発業務の委託先に対しての支払により、現金及び預金が1,541百万円減少したことによるものであります。また、固定資産の残高は29百万円となり、前事業年度末と比較して12百万円増加しました。

 

(負債)

  当第3四半期会計期間末における負債合計は138百万円となり、前事業年度末と比較して269百万円減少しました。このうち、流動負債の残高は138百万円となり、前事業年度末と比較して269百万円減少しました。これは主として、研究開発業務の委託先に対しての支払により、未払金が167百万円減少したことによるものであります。また、固定負債は該当ありません。

 

(純資産)

  当第3四半期会計期間末における純資産合計は3,323百万円となり、前事業年度末と比較して1,177百万円減少しました。これは、四半期純損失の計上により利益剰余金が1,177百万円減少したことによるものであります。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 有価証券届出書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当社の研究開発活動における当第3四半期累計期間の研究開発費は984百万円となりました。また、当第3四半期累計期間においては、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」を参照ください。

 

(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は増資により資金調達しております。

 

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。