当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態の状況
(資産)
当中間会計期間末における流動資産は、前事業年度末に比べて226,172千円増加し、1,945,899千円となりました。この主な要因は、新規案件の受注が順調に推移したことにより現金及び預金が160,803千円、売掛金及び契約資産が105,603千円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は、前事業年度末に比べて30,242千円減少し、684,123千円となりました。この主な要因は、当中間会計期間において重要な設備投資はなかった一方、学習用サーバ等の減価償却費を計上したことにより有形固定資産が42,815千円減少したこと等によるものであります。この結果、資産合計は、前事業年度末に比べて195,930千円増加し、2,630,022千円となりました。
(負債)
当中間会計期間末における流動負債は、前事業年度末に比べて62,622千円増加し、1,065,645千円となりました。この主な要因は、契約社数の増加に伴い契約負債が59,503千円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べて96千円増加し、39,253千円となりました。この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて62,719千円増加し、1,104,898千円となりました。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産合計は、前事業年度末に比べて133,210千円増加し、1,525,123千円となりました。この主な要因は、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ22,342千円増加したこと、及び中間純利益76,798千円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと等によるものであります。なお、当中間会計期間末における自己資本比率は57.0%となり、前事業年度末に比べて0.1ポイント減少しております。
(2)経営成績の状況
当社は、「AI(注1)と最先端技術を活用して、顧客と取引先にシームレスで効率的な商取引を提供し、生産性の向上と社会の発展を支援する。」をミッションとしており、会計分野に特化したAIソリューション事業(経理AI事業)を提供しております。
当中間会計期間におけるわが国経済は、国内景気の緩やかな回復傾向がみられる一方、米国の関税政策に起因する海外景気の下振れや資源・エネルギー価格の上昇に起因する物価の高騰をはじめ、依然として景気下振れリスクが存在し、不透明な状況が続いております。
当社が提供する会計分野に特化したAIソリューションサービスは、経理DX(注2)関連の市場に属していると考えられます。経理DXのみを対象とした市場統計はありませんが、新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、経理業務に関してもDXが進展しており、その市場規模は今後も拡大していくものと考えられます。また、日本におけるデジタルインボイスの標準規格としてPeppolが採用され、会計帳票の電子化が進む一方、依然として紙媒体の会計帳票も相当数流通すると想定されることから、今後は紙媒体、電子データの会計帳票が混在し、経理業務がより煩雑化すると考えられ、経理DXへのニーズはより一層高まるものと考えられます。特に生成AIを活用することで経理業務に実用的なサービスを開発することが肝要であり、当社としても生成AIの研究開発を継続し、その研究成果をより付加価値の高い新サービス提供に繋げていくことが出来るかが、今後の課題と認識しております。
このような状況の中、従来のAPIソリューションサービスである『Robota』シリーズに加え、会計帳票の入力業務及び確認作業を効率的に実施できるクラウド型AIプラットフォームである『Remota』が引き続き好調に推移しております。経理DXを推進するエンタープライズを中心に、経費精算や会計帳票の入力業務及び突合業務に加え、メールで受け取った請求書を正確かつ効率的に処理し、また、郵送で受け取った請求書と二重支払いにならないようなチェック機能も搭載することで、ユーザーにとって投資効果が得られる提案を行いました。また、会計ソフトウエアベンダが提供する会計システムへの機能追加や、生成AIを活用した経理業務の判断支援サービスを開始しました。この結果、導入社数が前事業年度末の140件に対して154件と順調に推移しております。
以上の結果、当中間会計期間における売上高は1,116,402千円(前年同期比42.1%増)、営業利益は113,689千円(前年同期比14.1%増)、経常利益は113,691千円(前年同期比12.0%増)、中間純利益は76,798千円(前年同期比9.7%減)となりました。
なお、当社はAIソリューション事業(経理AI事業)の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注)1.AI(Artificial Intelligence、人工知能)とは、コンピュータを用いて「認識、言語の理解、課題解決」などの知能行動を実行する技術です。
2.DX(Digital transformation、デジタル変革)とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ160,803千円増加し、1,764,053千円となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、159,654千円(前年同期は236,951千円の獲得)であります。この主な要因は、売上債権及び契約資産の増加額105,603千円があった一方、税引前中間純利益113,691千円、減価償却費72,398千円及び契約負債の増加額59,503千円があったこと等によるものであります。契約負債が増加した理由は、契約社数が増加したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、43,656千円(前年同期は204,018千円の使用)であります。この主な要因は、無形固定資産の取得による支出31,325千円があったこと等によるものであります。無形固定資産の取得による支出の主な内容は、当社サービスの機能拡充に係る開発、及び自社利用のソフトウエア開発によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、44,805千円(前年同期は1,529千円の使用)であります。この主な要因は、配当金の支払額13,044千円があった一方、新株予約権の行使による株式の発行による収入44,578千円、及び新株予約権の発行による収入13,347千円があったこと等によるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当社は、領収書や請求書などの会計帳票に特化したAI-OCR技術の向上及び日常の経理業務の効率化を実現するため、生成AIやLLM(Large Language Model)をはじめとする最新技術の研究開発に取り組んでおります。社内の体制としては、FA Researchという研究チームを創設し、コンピュータサイエンスおよび関連分野の博士号を持つAIの研究者で構成されております。いずれのメンバーも、大手企業での研究開発職や大学での専門的なディープラーニングの研究など、高い専門性を有しております。研究チームの発足により、技術的に競争力の高い国際学会での論文採択を目指し、技術を洗練させ、その研究成果を製品開発に活かしております。
当中間会計期間の研究開発活動の内容は、経理業務に向けた簿記や財務会計に強いLLMの構築を推進しております。また、既存の領収書や請求書の読取精度向上に向けた追加開発、明細読取などの付帯サービスの拡充、外国語帳票を含む証憑の読取範囲拡大に向けたアルゴリズム開発などにも取り組んでおります。
当中間会計期間における当社の研究開発活動の金額は、59,141千円であります。なお、当社の事業はAIソリューション事業(経理AI事業)の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。