文中の将来に関する記載事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の方針
当社は「医療イノベーションを実現し、医療分野での社会貢献を果たします」を経営理念として掲げており、「再生医療および創薬の研究開発を踏まえ、一刻も早く、患者様に有効な医薬品を提供すること」を経営の方針として、神経疾患を主な対象領域として、iPS細胞を活用したiPS創薬事業と再生医療事業を展開しております。世界中でこれまでの医療では未だ有効な治療法のない病気に対して有効な治療法を見出すことに挑戦し続けることにより、社会の課題を解決して持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
(2)会社の経営環境
当社は、中枢神経疾患領域に対して、iPS細胞を活用したiPS創薬と脊髄損傷等の神経損傷部位に移植する再生医療等製品の開発を主たる事業としており、iPS創薬の市場規模は、Arthur D Littleが2021年に公表した疾患特異的iPS細胞バンク事業の利活用に関する最終報告書(注1)によると、世界の精神・神経系のiPS創薬貢献市場規模は、2040年に6.1兆円と予測されております。
また、再生医療の市場規模は、経済産業省が2020年に公表した再生医療等製品市場規模(注2)によると、2050年には日本国内市場2.5兆円、世界市場38兆円と予測されております。
このように当社の事業環境は成長基調にあり、長年の最先端の基礎研究で蓄積された成果を基盤としていること、豊富な経験や知識を有する研究人員体制、慶應義塾大学等との産学連携のネットワーク、iPS細胞から神経細胞に分化誘導する技術および最適な化合物スクリーニングを行う表現型の確立等の当社の強みを活かすことで、事業の成長が見込まれると考えております。
(注)1.Arthur D Little 2021年3月
「令和2年度 疾患特異的iPS細胞バンク事業の利活用に関する調査 最終報告書」
https://www.amed.go.jp/content/000079225.pdf
2.経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課 2020年3月2日
「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた 基盤技術開発事業 複数課題プログラムの概要」
https://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000R01/200302_regenerative_medicin
e_1st/regenerative_medicine_1st_05.pdf
(3)会社の経営戦略
当社は、2007年に京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて作製したヒトiPS細胞を活用して、病気の患者様の細胞から作製したiPS細胞を用いて分化誘導した神経細胞に対して既存の医薬品や化合物による表現型スクリーニングを行うことで有効な医薬品を見出すiPS創薬事業と、人体の損傷部分に直接細胞を移植することにより治療を行う再生医療事業をハイブリッドで展開することによって、事業リスクを分散するとともに、事業間の技術やノウハウ等の共有により各事業の活性化を図ってまいります。また、慶應義塾大学医学部で長年培った最先端の基礎研究の成果を直接的に事業活動に活用する「From Basic to Clinical」戦略と同時に、難治性の希少疾患の研究開発から患者様の数の多い一般的な病気の研究開発に結び付ける「From Rare to Common」戦略を推進してまいります。
また、ビジネスモデルとしては、提出日現在におきましては、慶應義塾大学医学部等の大学機関や医療機関が保有する基礎研究の成果や特許等の知的財産権の独占的な実施許諾権等に基づいた開発パイプライン、又は、当社自らが基礎研究を進めた成果に基づいた開発パイプラインについて、製薬会社等のパートナーと、基礎/探索研究から企業治験の各段階において、共同研究開発や将来の製造販売等の権利の一部又は全部を譲渡するライセンス契約を締結するものでありますが、特に再生医療事業(国内)におきまして、中長期的には、自社で製造販売を行うための取り組みを推進してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、医薬品と再生医療等製品の研究開発を推進するバイオベンチャー企業であり、現時点においては、継続的に売上を計上する段階には至っておりません。従いまして、iPS創薬事業及び再生医療事業の各パイプラインの研究開発の進捗状況を経営上の目標の達成状況を判断するための指標として事業活動を推進してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、主に難治性の神経疾患に対して、iPS細胞を活用したiPS細胞事業と再生医療事業をハイブリッドで事業展開しており、一刻も早く患者様の元に有効な治療法を届けるために研究開発を推進しております。
このような事業環境の中、当社は以下を対処すべき課題として取り組んでおります。
①研究開発の推進
iPS創薬事業におきましては、まず、難治性の神経疾患であるALSに対してロピニロールの第Ⅲ相試験(多数の患者様に対する安全性及び有効性の検証を行う試験)を適切に実施することにより、患者様に対して安全で有効な治療薬を届けるための事業活動を推進するとともに、他の複数の難治性の神経疾患のパイプラインへの研究開発を加速することで、他の製薬会社等との共同研究開発や事業提携等を推進してまいります。また、再生医療事業におきましては、提出日現在におきまして、亜急性期の脊髄損傷の医師主導の臨床研究が行われており、当該研究の完了後に当社が企業治験を行う予定にしていることから、最適なiPS細胞の選定や分化誘導法の確立、各連携企業との適切なバリューチェーンの確立等により臨床に向けた事業の推進を行ってまいります。
②優秀な人財の確保
当社は、最先端の基礎研究を元にした研究開発を推進することが事業活動の基盤であると考えており、優秀な研究員の継続的な獲得が必要不可欠なものであると認識しております。また、今後、さらに国内外の製薬会社やバイオ企業との競争が激化することが予想される中で、より一層の研究開発の加速と人財の差別化が必要であることから、人財採用の強化を図ってまいります。
③法令遵守の推進
当社が属する医薬品及び再生医療等製品に係る業界は、グローバルに法令や監督官庁による規制の遵守や知的財産権の管理が重要であり、また、社会的な信用や責任が強く要請されております。そのような状況において、当社は、法令遵守や社会的責任を果たすべく、社内管理体制の強化やリスクやコンプライアンスの管理体制の強化を継続して図ってまいります。また、会社法や金融商品取引法等が求める内部統制の一層の強化を推進してまいります。
④多様な資金調達手段の確保
一般的に、医薬品の研究開発には一定の研究開発のための時間がかかり先行的に研究のための費用が計上されることから、継続的に営業赤字およびキャッシュ・フローのマイナスが計上される状況にあります。このような状況の中、当社はiPS創薬事業及び再生医療事業の各パイプラインの研究開発をさらに推進していくために資金調達を確実に推進していく必要があります。そのため、当社は、資金調達手段の確保・拡充に向けて、株式市場を含む投資家からの必要な資金の獲得や行政等からの補助金を通じて、必要な資金調達手段の多様化を図ってまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社において、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りとなります。影響度や発生可能性が高いとはいえないものについても、投資判断の上で、又は当社の事業活動を十分に理解する上で、重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点から、リスク要因として挙げております。ただし、これらは、当社に係るリスクを全て網羅したものではありません。
当社は医薬品及び再生医療等製品の研究開発を行っておりますが、一般に医薬品等の開発には、前臨床の研究から臨床研究、上市に至るまで、長い期間と多額の研究開発費用を要することが多く、また、全てのパイプラインが上市するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有するバイオベンチャー企業については、事業やパイプラインの研究開発の段階によっては、一般の投資家の投資対象としては相対的に投資リスクが高いと考えられており、当社株式への投資はこれに該当いたします。
当社は、リスク・コンプライアンス委員会における検討及び取締役会での議論により、これらのリスクの発生の可能性や影響度合い、頻度を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
①医薬品パイプラインの開発及びそれに伴う収益獲得の不確実性に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)
医薬品及び再生医療等製品の研究開発には多額の研究開発費用と長い年月を要しますが、臨床試験での患者様の募集の遅れや有用な効果を確認できないこと等により、研究開発が予定どおりに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法等の法的規制の適用を受けており、新薬等の製造及び販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市できずに延期になる、又は上市を断念する可能性があります。これは、当社のパイプラインを他社に導出した場合も同様であり、当社といたしましては、iPS創薬事業及び再生医療事業のそれぞれで複数のパイプラインの研究開発を推進し、適切な費用配分による管理を実施し、また、外部の研究機関や大学等との連携により新規の経営資源の獲得を継続的に行っておりますが、当社が研究開発を行った医薬品もしくは再生医療等製品の候補、又は他社に導出した医薬品もしくは再生医療等製品の候補の上市が延期又は中止された場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②技術革新に関するリスク(影響度:小、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)
当社が携わる研究開発領域は、技術の革新及び進歩が著しく速いバイオテクノロジー分野に属しております。そのため、当社は、大学、公的研究機関及び大手製薬会社等との連携を通じ、最先端の研究成果・情報を速やかに導入できる体制を構築するとともに、最先端の研究開発を持続的に推進するために国内外から優秀な人材を確保し、イノベーションを醸成する社内文化の確立に尽力してまいります。しかしながら、急激な技術の革新・進歩等により、当社が行っている研究開発の内容が陳腐化することや、当社が対象とする医薬品及び再生医療等製品の研究開発において導入することが有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合、当社の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の研究開発に必要な研究成果等を導入し続けるためには、長期に亘り、多額の費用を要することから、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③副作用発現に関するリスク(影響度:大、発生可能性:小、発生可能性のある時期:長期)
医薬品及び再生医療等製品には、臨床試験段階からさらには上市以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があり、当社に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。当社といたしましては、将来的に患者様への迅速な情報提供体制や各関係医療機関とのネットワークを構築し、また、患者様/医療関係者への迅速な情報提供体制を構築する、さらに、添付文書の記載等も含め製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入する等により対応を推進してまいりますが、これらの予期せぬ副作用が発現した場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ヒト由来の原材料の使用に関するリスク(影響度:大、発生可能性:小、発生可能性のある時期:長期)
当社が研究開発を行っている再生医療等製品は、ヒト由来の原材料であるヒト細胞・組織を利用したものであり、利用するヒト細胞・組織に起因する感染の危険性を完全に排除し得ないことなどから安全性に関するリスクが存在するとされています。当社といたしましては、前臨床及び臨床研究の段階で安全性の基準に従った評価・確認を徹底し、外部の専門家との円滑な連携体制を構築することで、製造、流通、販売等の各サプライチェーンにおける安全性を確保してまいります。また、将来的に製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入してまいります。しかしながら、当社の再生医療等製品を患者様の体内に移植することにより、安全性に関するリスクが顕在化した場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤医薬品に関する法令その他の規制に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)
当社の属する医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の医薬品及び再生医療等製品に関する法規制、薬事行政指導、医療保険制度並びにその他関係法令等により、様々な規制を受けております。医薬品及び再生医療等製品は基礎研究から製造販売承認を取得するまでに、多大な開発コストと長い年月が必要となります。研究開発期間中に規制等の改定が生じ、計画時に見込んでいなかった事由により、規制当局から、追加的な試験が求められる場合や、承認の時期が遅れる場合、医薬品及び再生医療等製品としての承認を取得できない場合には、上市が困難になる可能性があります。これは開発品を他社に導出する場合も同様であり、当初計画した条件での導出が行えない可能性、導出そのものが困難になる可能性、導出した場合にその契約内容が変更になる可能性又は導出契約が解消される可能性があります。また、当社開発品への承認を取得できた際にも、健康保険の対象として保険収載されない可能性や、計画どおりの保険価格が付されない可能性があります。当社といたしましては、日本及び海外の医療行政や薬事規制の動向を社内外の各専門家から迅速に把握するとともに、各開発パイプラインの進捗に応じて適切に規制当局等の行政機関との連携を推進してまいりますが、このような事象が生じた場合、また、将来各国の医薬品及び再生医療等製品関連法令等の諸規制に大きな変化が生じた場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥医薬品行政に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)
医療用医薬品の価格は各国の医療行政における薬価規制の影響を受けており、世界的な医療費抑制の動向の中、薬価改定を含めた医療制度改革の施策が行われております。かかる動向を受けて、今後上市を目指す当社の医薬品及び再生医療等製品の薬価が想定を下回る可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦知的財産権に関するリスク(影響度:大、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)
当社では研究開発をはじめとする事業展開において知的財産を使用する場合があり、必要に応じて使用許諾を当該知的財産権の保有者から取得する方針ですが、必要な使用許諾を取得できない可能性があります。また、当社が保有又は実施許諾を受けている現在出願中の特許が全て成立する保証はありません。さらに、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える優れた他社の研究開発により、当社の特許技術が淘汰される可能性は常に存在しております。当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が他社により開発された場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす場合があります。加えて、当社では他社の特許権の侵害を未然に防止するため、当社として必要と考える特許の調査を実施しており、これまでに、当社の開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で紛争が発生した事実はありません。当社といたしましては、外部の知財事務所等の専門家と連携して特許権の確保を推進するとともに、前臨床段階において特許侵害に関する予防調査等により特許権の確保に関する事前確認を行ってまいります。しかしながら、当社のような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧慶應義塾大学との関係に関するリスク(影響度:大、発生可能性:小、発生可能性のある時期:中期)
当社は、自社での研究活動のほか、慶應義塾大学医学部生理学教室及び整形外科学教室と共同研究を実施しており、慶應義塾大学が保有する特許権の独占的実施許諾を受ける等しております。また、同大学の組成する慶應イノベーション・イニシアティブ2号投資事業有限責任組合は当社の株式を保有しております。さらに、当社は同大学との間で、共同研究を行う際に共同研究費を負担するほか、特許権の独占的実施許諾に関し、契約一時金及びかかる特許権を第三者に実施許諾したことによる収入(マイルストン収入、ロイヤリティ収入)の一定料率に相当する金額を同大学に支払うこと等を定めた契約を締結しており、当該契約に基づき、第三者から上記に該当する収入を受け取った場合には、一定率の金額を同大学に支払うことになります。なお、同大学との契約については、経営上重要な契約として、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載しております。
同大学との取引については、良好な関係を維持しつつも当社又は株主の利益を害することのないよう、法規制を遵守するとともに、当社として利益相反管理方針を定めて当該方針に則り適切に利益相反の運営管理を行い、利益相反管理方針に従って、研究開発や治験を進めております。また、同大学との取引決定に当たっては特別利害関係人への該当/非該当の判断を顧問弁護士も含め慎重に判断を行ったうえで原則取締役会での事前承認を行うとともに、監査役会での監査を通じて、共同研究契約等の契約関係について適切に管理しております。また、同大学と致しましても、利益相反マネジメント・ポリシーにおいて同大学における透明性のある産学連携を推進するための基本方針を定めるとともに、利益相反マネジメント内規において各部門(各学部・大学院各研究科等)での利益相反マネジメントを行う体制を定めており、当社の取締役でもあり、慶應義塾大学医学部生理学教室の教授を務めております岡野栄之、同教室の准教授を務めております福島弘明、及び同大学医学部整形外科学教室の教授を務めております中村雅也につきましても適切に遵守しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益供与を疑われる等の事態が発生した場合や同大学との取引が継続できない事態が発生した場合は、当社の利益及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨経営上の重要な契約に関するリスク(影響度:大、発生可能性:小、発生可能性のある時期:中期)
経営上重要と思われる契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。当社といたしましては、各契約先との円滑なコミュニケーション体制を構築するとともに、弁護士等の外部専門家との情報共有も緊密に行っており、現時点において、経営上の重要な契約の相手先との間で、当該契約の遂行及び継続に支障をきたすような事象は発生しておりませんが、将来、当該契約の期間満了、相手先の経営状態の悪化や経営方針の変更による契約解除その他の理由による終了、又は当社にとって不利な契約内容の変更が行われた場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩パートナー企業との提携に関するリスク(影響度:大、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)
当社は、開発品の導入や導出のほか、研究開発から臨床、上市までの各段階において、製造、流通、販売等について、パートナー企業との広範な提携関係を構築し、適切なバリューチェーンの確立を図っております。これら提携関係のうち、特に重要と考えられる契約は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。当社といたしましては、各契約先との円滑なコミュニケーション体制を構築しており、今後も事業基盤の強化、効率的な経営の実現に向けて、広範な提携関係の構築を推進してまいりますが、当社の計画どおりに提携関係が構築できない場合、または、提携関係に想定し得ない変化が生じた場合や提携の効果が当初の計画を下回る場合、さらに、提携関係が当社の意図に反して解消された場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪情報漏洩に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)
当社は、事業の過程において技術、営業に関する機密情報を保持しております。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、記録・情報の取扱い及びITセキュリティに関する社内ルールを制定するとともに、セキュリティシステムの継続的な改善を図り、情報の取り扱いに関する社員教育や、情報へのアクセス管理等、内部管理体制の強化を推進しております。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は存在し、このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜を招き、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫社歴に関するリスク(影響度:小、発生可能性:小、発生可能性のある時期:長期)
当社は、医薬品等業界又はその他専門分野での知識・経験を有する人財を登用することに努めておりますが、企業体としての経験はいまだ浅く、今後予測できない事業上の問題等が発生し、かかる問題に対処しうる人財を確保できない場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬小規模組織に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)
当社は、医薬品等を取り扱う企業としては小規模な組織であるために、役職員一人一人が担当する業務及び責任の範囲は相対的に広範となっており、退職や休職等に対応する人員の補充が十分でない環境にあります。今後の事業拡大に伴い、中長期的に医薬品業界を中心にした優秀な経験者人材の確保を推進すること等により必要な人員増加を図るとともに、社内外のセミナーや勉強会等への参加により社員の教育やノウハウの共有により人材育成の強化を図ってまいりますが、当社が必要な人材の確保が進まず、また、多くの人材流出等があった場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭特定の人物への依存に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)
当社は、慶應義塾大学医学部生理学教室の教授を務めております岡野栄之、及び同大学医学部整形外科学教室の教授を務めております中村雅也が再生医療等製品及び医薬品の研究・開発・製造・販売を目的に設立した企業であり、当社の創業者兼取締役として岡野栄之及び中村雅也の長年の基礎研究の成果を中心として事業の全般を推進してまいりました。このように、当社は、岡野栄之及び中村雅也の研究成果の事業化を目的として設立され、また、現在の当社と慶應義塾大学医学部生理学教室及び整形外科学教室との共同研究においても両名が中心的な役割を担っていることから、当社の研究開発活動及び事業の推進において両名への依存度は高いと考えられます。また、岡野栄之及び中村雅也は、当社の大株主であり、当社の経営基盤の安定のためにも、重要な位置づけを有しております。当社といたしましては、国内外の優秀な人材の確保を行うことにより社内の研究開発体制の強化を推進するとともに、複数の研究開発パイプラインの拡充を推進してまいりますが、当社は、今後も岡野栄之及び中村雅也の当社への関与が重要であると考えており、何らかの理由により岡野栄之及び中村雅也の関与が困難となった場合等には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑮収益計上に関するリスク(影響度:大、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)
当社は、大手製薬企業等との共同開発及び販売権ライセンスアウトによる収益モデルを基本とした事業を遂行しています。しかしながら、このような収益モデルは、相手先企業の経営方針の変更や経営環境の極端な悪化等の、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性があり、そのような事態が生じた場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、製品上市前の収益モデルとして、所定の成果達成に基づくマイルストン収入を見込む場合がありますが、この発生時期は開発の進捗に依存した不確定なものであり、開発の進捗状況次第で、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、上市後についても、当社の想定より販売が伸長しない等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社では今後、この収益モデルによる不確実性を低減させるため、複数のパイプラインをライセンスアウトしていく方針であり、また、特に再生医療事業においては自社において製造販売を行う取り組みを推進してまいりますが、それらの収益化についても、開発の進捗状況に依存した不確実なものであり、これらの開発に遅延や中止が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑯業績及び資金繰りに関するリスク(影響度:大、発生可能性:中、発生可能性のある時期:中期)
当社が行っている医薬品及び再生医療等製品の研究・開発・製造・販売に関する事業は、一般的に多額の研究開発費用と長い研究開発期間を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。
この傾向は、当社においても同様であり、2022年12月期迄継続的に営業損失を計上し、営業キャッシュ・フローもマイナスであったことを考慮すると、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
このような事象又は状況を改善するために契約一時金及びマイルストン収入の獲得を進め、更に十分な運転資金の確保ができたことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
しかしながら、当社はまだ安定的な収益基盤や資金基盤が確立されているわけではないことから、売上高、当期純利益(又は純損失)は不安定に推移し、適切なタイミングおよび条件で資金調達できる保証はないことから、複数のパイプラインのライセンスアウトを推進するとともに、直接金融及び間接金融による幅広い資金調達手段の確保等の推進を図ってまいりますが、それらの収益化や資金確保について遅延や中止が生じた場合、当社の業績および財政状態に重大な影響を及ぼし、資金調達並びに研究開発の継続や事業の継続・拡大に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑰剰余金の分配に関するリスク(影響度:小、発生可能性:小、発生可能性のある時期:長期)
当社は、株主への利益還元を重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討することを目指しておりますが、提出日現在において利益剰余金はマイナスであり剰余金の分配を実行するためにはこれを解消する必要がございます。また、当面は、多額の先行投資を伴う研究開発活動の継続的かつ計画的な実施に備えた資金の確保を優先するため、配当等の株主還元は行わない方針としております。収益計上額の大幅な変動又は収益計上の時期の変更等により、将来的な剰余金の分配が遅れる可能性があります。
⑱上場後の増資等に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)
当社は中長期的な研究開発の中で多額の研究開発資金が必要であることから、株式公開後におきましても、当社に資金需要が発生した場合、市場において増資を含む資金調達を検討する可能性があり、当社の発行済株式総数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化するとともに、当社株式の価値が低下する可能性がございます。また、当社において、機動的な資金調達が困難となった場合や当社の事業活動や研究開発に遅れ等が生じた場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑲新株予約権に関するリスク(影響度:小、発生可能性:小、発生可能性のある時期:長期)
当社は、当社取締役、従業員及び社外協力者の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人財を確保する観点から、ストックオプション制度を採用しております。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、当社取締役、従業員、及び社外協力者に対して新株予約権の発行と付与を行っております。提出日現在における当社の発行済株式総数は9,879,000株であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は11.94%となっております。これら新株予約権の権利がすべて行使された場合は、新たに1,180,000株の新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人財の確保等のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があり、今後付与される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
⑳海外市場に関するリスク(影響度:小、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)
当社は、事業拡大戦略の一環として、海外展開を目指しております。当社といたしましては、現地への進出にあたっては、金融機関や各種専門機関等との連携により、現地の市場動向や関連法令の有無・内容等に関する調査を行い、慎重な判断を行う予定でおりますが、今後、予期しない法規制の変更、政情不安等による社会的混乱等のリスクが顕在化し、当初の計画どおりに海外展開が進展しなかった場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
㉑感染症の拡大に関するリスク(影響度:中、発生可能性:中、発生可能性のある時期:長期)
今般発生している新型コロナウィルス感染症の流行によって、当社の様々な事業活動が制約を受け、結果として当社の医薬品及び再生医療等製品の研究開発と、その後の製造・物流・販売体制の構築に遅延が生じる可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
㉒ベンチャーキャピタル等による当社株式売却に関するリスク(影響度:中、発生可能性:大、発生可能性のある時期:中期)
本書提出日現在における当社の発行済株式総数のうち、ベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合(以下「ベンチャーキャピタル等」)が保有している当社株式の割合は49.4%であります。
当社の株式公開後に、当社の株式を保有しておりますベンチャーキャピタル等が市場において当該株式を売却することが想定されますが、当該株式の売却によって、当社株式に関する市場の需給バランスが崩れることにより、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。
㉓当社株式の流動性に関するリスク(影響度:小、発生可能性:小、発生可能性のある時期:中期)
当社は東京証券取引所グロース市場に上場を予定しており、上場に際しては、公募増資及び株式売出しによって当社株式の流動性の確保に努めて参りますが、東京証券取引所の定める流通株式比率は上場時において、56.7%の見込みでございます。
上場後も、研究開発費等の確保のための資金調達としての公募増資、ベンチャーキャピタル等の売出し、ストック・オプションの行使等による流通株式数の増加により、流動性の確保に努めて参りますが、上場時より流動性が低下して市場における当社株式の売買が滞った場合、当社株式に関する市場の需給バランスが崩れることにより、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。
㉔調達資金の使途に関するリスク(影響度:中、発生可能性:小、発生可能性のある時期:中期)
当社が東京証券取引所グロース市場に上場する際に公募増資により調達した資金につきましては、主に研究開発費、人件費等に充当する予定であります。
しかしながら、当社を取り巻く医薬品業界の動向や、当社における研究開発や事業開発の状況等により、上記計画以外の使途に充当する可能性があります。また、計画通りに調達した資金を使用した場合であっても、想定通りの効果を上げられない可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
第6期事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,370,928千円となり、前事業年度末と比較して1,166,239千円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が新株発行等により1,148,065千円増加、前払費用も16,383千円増加したことによるものであります。
固定資産は3,638千円となり、前事業年度末と比較して2,559千円増加いたしました。これは保証金が2,559千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は1,374,566千円となり、前事業年度末と比較して1,168,798千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は33,683千円となり、前事業年度末と比較して10,311千円増加いたしました。
主な要因は、預り金が2,192千円減少したものの、買掛金が7,468千円増加、未払費用が3,715千円増加および未払法人税等が1,320千円増加したことによるものであります。
固定負債は4,619千円であり、前事業年度末と比較して1,115千円増加いたしました。これは資産除去債務が1,115千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は38,302千円となり、前事業年度末と比較して11,426千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,336,263千円となり、前事業年度末と比較して1,157,372千円増加いたしました。主な要因は、当期純損失を392,427千円計上したことにより利益剰余金が減少したものの、新株発行等により資本剰余金が1,549,800千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は97.2%(前事業年度末は86.9%)となりました。
第7期第2四半期累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年6月30日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産は2,221,992千円となり、前事業年度末と比較して851,064千円増加いたしました。主な要因は、契約一時金等が入金したことに伴い現金及び預金が838,656千円増加したことによるものであります。
固定資産は3,638千円であり、前事業年度末から増減がありませんでした。
この結果、総資産は、2,225,630千円となり、前事業年度末と比較して851,064千円増加いたしました。
(負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債は343,941千円となり、前事業年度末と比較して310,257千円増加いたしました。主な要因は、契約一時金等の計上に伴い、再実施許諾金の発生等による買掛金99,005千円増加、消費税等の預り増加による未払消費税等が77,840千円増加し、未払法人税等が121,883千円増加および未払費用が9,914千円増加したことによるものであります。
固定負債は30,653千円であり、前事業年度末と比較して26,033千円増加いたしました。これは資産除去債務が26,033千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は374,594千円となり、前事業年度末と比較して336,291千円増加いたしました。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は1,851,036千円となり、前事業年度末と比較して514,772千円増加いたしました。これは、四半期純利益を514,772千円計上したことにより利益剰余金が514,772千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は83.2%(前事業年度末は97.2%)となりました。
② 経営成績の状況
第6期事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症の影響の収束は見せないながらも、経済活動の制限緩和、正常化に伴い、個人消費が持ち直しの動きを見せる等、緩やかな回復基調で推移しております。
一方、中国の新型コロナウィルス感染症再拡大による景気減速、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、エネルギーコストの上昇、為替、金利環境が大きく変動する等、わが国経済を下振れさせるリスクが存在しており、先行きについては極めて不透明な状況が続いております。
iPS創薬分野では、慶應義塾大学による医師主導治験「ALS患者を対象とするロピニロール塩酸塩徐放錠投与による安全性・忍容性、及び有効性を探索する第Ⅰ/Ⅱa相試験」の結果を受け、当事業年度におきましては、第Ⅲ相試験の実施に向けて、複数の製薬会社との提携協議を継続的に進めてまいりました。
また、慶應義塾大学との共同研究において、ロピニロール塩酸塩が新規メカニズムに基づいてALS治療効果を示す新規薬剤であることを明確にする取組みを行っております。
次に、前頭側頭型認知症プロジェクトでは、化合物のスクリーニングを完了し、詳細な解析を実施しております。一定の作用メカニズムが確認できた段階で、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)に対する事前面談を行い、その後の開発を実施してまいります。
さらに、ハンチントン病プロジェクトにおいてもスクリーニングを実施しており、より高次の評価系を用いて化合物の選定を進めております。
ハンチントン病プロジェクトも最終化合物を選定し、一定の作用メカニズムが確認できた段階でPMDA事前相談を行う予定であります。
上記以外にも神経フェリチン症プロジェクト、アルツハイマー病の一種である那須・ハコラ病プロジェクトについても研究を進めており、引き続き、iPS創薬事業における各研究開発パイプラインの研究開発を推進してまいります。
iPS細胞を活用した亜急性期脊髄損傷の再生医療では、2021年6月、慶應義塾大学による医師主導臨床研究が開始され、同12月、第1例目の移植が実施されました。
当社におきましては、当該臨床研究(最大4例対象)の後、治験を進める計画にしております。
また、当社におきましては、移植用神経前駆細胞への新たな分化誘導法を確立し、2022年10月に特許申請いたしました。
現在、国内外サプライヤーを含めて検討を進めております臨床用iPS細胞にこの特許内容に従った分化誘導を行った場合、マウス脊髄損傷モデルで治療効果が示されており、今後、細胞の継代や分化における安定性及び最終製品の安全性等を実験室レベルで確認し、臨床に向けたiPS細胞を選定してまいります。
なお、臨床用iPS細胞の製品製造における医薬品受託製造事業会社(CDMO)の選定も並行しており、臨床用iPS細胞の選定後、遅滞なく製造に移行できるよう準備を進めております。
2022年7月に使用に関する契約を締結した慶應義塾大学医学部信濃町キャンパス内総合医科学研究棟の「ケイファーマ・慶應 脊髄再生ラボ」は、当社と慶應義塾大学との連携をより円滑かつ強化することで、密な情報・ノウハウの共有を可能とするものであり、当社が今後進める移植用細胞の拡大培養、QC(Quality Control:品質管理)項目の確認等の亜急性期脊髄損傷の治験に向けた準備がより万全なものとなるよう進めてまいります。
このような状況の中、当事業年度におきましては、研究開発費を163,971千円計上した結果、営業損失は353,772千円(前年同期は219,491千円の営業損失)、経常損失は359,233千円(前年同期は220,892千円の経常損失)、当期純損失392,427千円(前年同期は228,718千円の当期純損失)となりました。
なお、当社は、医薬品等の研究・開発・製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第7期第2四半期累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年6月30日)
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症による社会経済活動の制約が大幅に緩和され、正常化が進んだ一方、長期化しているロシアのウクライナ侵攻の影響や欧米ならびに中国の景気後退懸念、中東あるいは東アジアの地政学的リスク等からわが国経済を下振れさせるリスクが多数存在しており、先行きについては極めて不透明な状況が続いております。
iPS細胞を活用した創薬事業では、2023年3月1日にアルフレッサ ファーマ株式会社との間で、「ロピニロール塩酸塩を活用したALS治療薬の開発権・製造販売権許諾契約」を締結しており、一刻も早く患者様に治療薬を届けるために、アルフレッサ ファーマ株式会社と共に第Ⅲ相試験に向けて準備を進めてまいります。
なお、ロピニロール塩酸塩がALSの病態に有効であることをiPS細胞を用いる方法により見出しておりますが、これはiPS細胞創薬によって、既存薬以上の臨床的疾患進行抑制効果をもたらしうる薬剤の同定に世界で初めて成功した事例であり、iPS細胞等幹細胞を用いた研究に関する著明な国際科学雑誌である「Cell Stem Cell 誌(Cell Press)」に、2023年6月2日(日本時間)に掲載されております。
また、慶應義塾大学との共同研究において、ロピニロール塩酸塩が新規メカニズムに基づいてALS治療効果を示す新規薬剤であることを明確にする取組みを行っております。
当社はALS以外の疾患においても患者様由来のiPS細胞を活用し、5つの開発プロジェクトの研究を行っており、治療薬の開発を進めております。
iPS細胞を活用した再生医療事業でも5つの開発プロジェクトの研究を行っておりますが、亜急性期脊髄損傷の再生医療では、2023年2月に慶應義塾大学信濃町キャンパス内総合医科学研究棟に「ケイファーマ・慶應 脊髄再生ラボ」を開室しており、引き続き慶應義塾大学と一体となって準備を進めてまいります。
このような状況の中、当第2四半期累計期間におきましては、開発権・製造販売権許諾契約を締結したことに伴い、契約一時金及びマイルストン収入を獲得したことにより、売上高1,000,000千円、売上総利益910,000千円を計上したものの、研究開発費を106,710千円計上したこと等により、営業利益は651,109千円、経常利益は651,026千円、四半期純利益は514,772千円となりました。
なお、当社は医薬品等の研究・開発・製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は行っておりません。
第6期事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による資金の減少363,482千円、投資活動による資金の減少32,737千円、財務活動による資金の増加1,544,285千円により前事業年度末と比較して、1,148,065千円増加し、1,336,847千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の減少は、363,482千円(前事業年度は196,320千円の減少)となりました。
主な要因は、減損損失31,293千円(前事業年度は8,226千円)の非資金費用による増加要因があったものの、税引前当期純損失390,526千円(前事業年度は229,119千円)による資金減少要因があった為になります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は、32,737千円(前事業年度は250千円の減少)となりました。
主な要因は、前事業年度にはなかった有形固定資産の取得による支出29,958千円、敷金及び保証金の差入による支出2,559千円による資金の減少要因があった為になります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の増加は、1,544,285千円(前事業年度は368,201千円の増加)となりました。
主な要因は、株式の発行による収入1,544,375千円(前事業年度は398,201千円)による資金の増加要因があった為になります。
第7期第2四半期累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年6月30日)
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による資金の増加848,528千円、投資活動による資金の減少9,781千円、財務活動による資金の減少90千円により前事業年度末と比較して、838,656千円増加し、2,175,504千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における営業活動による資金の増加は、848,528千円となりました。
主な要因は、税引前四半期純利益614,528千円、仕入債務の増加額99,005千円、その他の流動負債の増加額112,713千円及び減損損失36,497千円の非資金費用による資金の増加要因に対して、その他の流動資産の増加額13,658千円による資金の減少要因があった為になります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における投資活動による資金の減少は、9,781千円となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出9,781千円による資金の減少要因があった為になります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における財務活動による資金の減少は、90千円となりました。
これは、新株予約権の発行による支出90千円による資金の減少要因があった為になります。
第6期事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当社は生産活動を行っておりませんので、記載を省略しております。
当社は受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
該当事項はありません。
第7期第2四半期累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年6月30日)
当社は生産活動を行っておりませんので、記載を省略しております。
当社は受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
第7期第2四半期累計期間の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は、医薬品等の研究・開発・製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注)1.第7期第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。経営者は、これらの見積を行うにあたり、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表を作成するにあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第6期事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、353,772千円(前年同期は219,491千円)となりました。
主な要因は、研究開発強化による研究開発費163,971千円(前年同期134,519千円)等の計上によるものであります。この結果、営業損失は、353,772千円(前年同期219,491千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損失)
当事業年度において、営業外収益は52千円、営業外費用は5,514千円発生しました。
主な要因は、第三者割当増資による株式発行に伴う株式交付費5,424千円が発生したことによるものです。この結果、経常損失は、359,233千円(前年同期は220,892千円)となりました。
(特別損失、当期純損失)
当事業年度において、減損損失による特別損失が31,293千円発生しました。法人税、住民税及び事業税を1,900千円計上した結果、当期純損失は392,427千円(前年同期は228,718千円)となりました。
なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
第7期第2四半期累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年6月30日)
(売上高、売上原価、売上総利益)
当第2四半期累計期間は、開発権・製造販売権許諾契約を締結したことに伴い、契約一時金及びマイルストン収入を獲得したことにより、売上高は1,000,000千円となりました。
また、売上原価は90,000千円となりました。これは、契約一時金及びマイルストン収入獲得に伴う特許権に対する再実施許諾金90,000千円になります。
この結果、売上総利益は910,000千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第2四半期累計期間は、研究開発強化により研究開発費106,710千円を計上したこと等により、販売費及び一般管理費は258,890千円となり、この結果、営業利益は651,109千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当第2四半期累計期間は、受取利息7千円を営業外収益に計上した一方、社債発行費等90千円を営業外費用に計上したことにより、経常利益は651,026千円となりました。
(特別損失、四半期純利益)
当第2四半期累計期間において、減損損失による特別損失が36,497千円発生しました。法人税、住民税及び事業税を99,755千円計上した結果、四半期純利益は514,772千円となりました。
なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資金需要の主なものは、研究開発費及び事業運営費等であり、研究開発費には、継続的な候補物質の探索や候補物質の製品化に向けた開発費用、研究人員にかかる人件費、研究設備費用、共同研究費用及び外部委託費用等が含まれます。これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については主に内部資金を活用することにより確保しておりますが、株式市場からの必要な資金の獲得や、補助金等を通して、安定的に開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。
また、資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社はiPS創薬に基づく神経難病の治療薬の開発及び脊髄損傷等に対するiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療の実用化を目的として研究開発を行っております。
第6期事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当事業年度における研究開発費の総額は
研究開発費の主な内容は、研究開発者の人件費、研究に必要な試薬等の購入費用及び研究施設の賃借料であります。
各分野に関する研究開発活動は以下のとおりであります。
(a)iPS創薬分野
慶應義塾大学による医師主導治験「ALS患者を対象とするロピニロール塩酸塩徐放錠投与による安全性・忍容性、及び有効性を探索する第1/2a相試験」の結果を受け、当事業年度におきましては、第Ⅲ相試験の実施に向けて、複数の製薬会社との提携協議を継続的に進めてまいりました。
また、慶應義塾大学との共同研究において、ロピニロール塩酸塩が新規メカニズムに基づいてALS治療効果を示す新規薬剤であることを明確にする取組みを行っております。
当社はALS以外の疾患においても患者様由来のiPS細胞を活用し、5つの開発プロジェクトの研究を行っており、治療薬の開発を進めております。
(b)再生医療
iPS細胞を活用した亜急性期脊髄損傷の再生医療では、2021年6月、慶應義塾大学による医師主導臨床研究が開始され、同12月、第1例目の移植が実施されましたが、当社は当該臨床研究(最大4例対象)の後、治験を進める計画になっており、その準備を進めております。
また、上記と並行し、移植用神経前駆細胞への新たな分化誘導法を確立し、2022年10月に特許申請を行っておりますが、この特許内容に従った分化誘導を行った場合、マウス脊髄損傷モデルで治療効果が示されていることから、引き続き、細胞の継代や分化における安定性及び最終製品の安全性等を実験室レベルで確認し、臨床に向けたiPS細胞の選定を進めてまいります。
なお、臨床用iPS細胞の製品製造における医薬品受託製造事業会社(CDMO)の検討も進めており、臨床用iPS細胞の選定後、遅滞なく製造に移行できるよう準備を進めております。
第7期第2四半期累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年6月30日)
当第2四半期累計期間における研究開発活動の金額は、
尚、当第2四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。