第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

また、文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

なお、当社の前事業年度および当中間会計期間における営業キャッシュ・フローは、それぞれ983,719千円のマイナス、431,490千円のマイナスであり、継続的に営業キャッシュ・フローがマイナスとなっていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しているものと認識しております。

このような事象または状況を踏まえ、当社は、営業キャッシュ・フローのマイナスが継続したとしても、当面の研究活動や事業開発活動に影響が生じないよう、複数の開発パイプラインのライセンスアウトによる収益化を推進するとともに、直接金融および間接金融による幅広い資金調達手段により必要資金を手元流動性の高い現預金で確保することとしており、当中間会計期間の末日現在において、現金及び預金を1,836,443千円保有し、必要な資金を十分確保していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態の状況

(資産)

当中間会計期間末における流動資産は1,939,949千円となり、前事業年度末と比較して408,190千円減少いたしました。主な要因は、前払費用が43,809千円増加したものの、現金及び預金が431,754千円減少、その他が20,874千円減少したことによるものであります。

固定資産は4,934千円であり、前事業年度末から増減がありませんでした。

この結果、総資産は1,944,883千円となり、前事業年度末と比較して408,190千円減少いたしました。

 

(負債)

当中間会計期間末における流動負債は99,962千円となり、前事業年度末と比較して36,501千円増加いたしました。主な要因は、未払費用が29,984千円増加、未払金が6,698千円増加したことによるものであります。

固定負債は31,301千円であり、前事業年度末と比較して1千円増加いたしました。これは、資産除去債務が1千円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は131,263千円となり、前事業年度末と比較して36,502千円増加いたしました。

 

(純資産)

当中間会計期間末における純資産合計は1,813,619千円となり、前事業年度末と比較して444,693千円減少いたしました。これは、中間純損失を444,693千円計上したことによります。

なお、5月31日付で無償減資および欠損填補を行ったことにより、資本金が90,000千円減少、資本剰余金が756,455千円減少した一方で、利益剰余金が846,455千円増加しておりますが、純資産内での振り替えである為、純資産合計に対する影響はございません。

この結果、自己資本比率は93.3%(前事業年度末は96.0%)となりました。

 

(2)経営成績の状況

当中間会計期間におけるわが国経済は、給与水準引き上げ等による雇用・所得環境の改善やインバウンドの増加等により緩やかな回復が見られるものの、物価高騰による消費の伸び悩み、米国の関税政策や不安定な国際情勢等、依然として先行きの不透明な状況が続いております。

当社は慶應義塾大学医学部発ベンチャー企業として、iPS細胞を活用した創薬事業(以下「iPS創薬事業」という。)、iPS細胞を活用した再生医療事業(以下「再生医療事業」という。)の研究・開発とその収益化を短期的な視点だけではなく、中長期的な視点も意識して推進しております。

iPS創薬事業では、6つの開発パイプラインの研究を行っており、その内のALS(※1)に関する開発パイプラインにおいては、一刻も早く患者様に治療薬を届けるために、アルフレッサ ファーマ株式会社と共に検証的治験(第Ⅲ相試験)に向けて準備を進めております。

ALS以外の開発パイプラインについても、難聴疾患に関する学校法人北里研究所との共同研究契約を2026年3月まで延長し、企業治験の実施に向けた、より具体的なデータを取得し、円滑な治験開始に向けて準備を進めているだけでなく、2025年6月11日から14日に開催されたInternational Society for Stem Cell Research (ISSCR)(※2) 2025 annual meetingにおいて、FTD(前頭側頭型認知症)について研究成果の発表を行う等、研究計画に沿って進めております。

再生医療事業では、5つの開発パイプラインの研究を行っており、その内の亜急性期脊髄損傷に関する開発パイプラインにおいて、2025年3月21日に当社の共同研究先である慶應義塾大学医学部等により発表された“「亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療」の臨床研究について(経過観察の終了)”によると、目標通り4症例への移植を実施し、細胞移植後1年間の経過観察を完遂し、4症例すべてが安全性および有効性評価に含められた旨が報告されたことを受け、2025年4月4日に学校法人慶應義塾とこれまでの共同研究成果を引き継いだ共同研究契約等を新たに締結しております。

また、前述のInternational Society for Stem Cell Research (ISSCR) 2025 annual meetingにおいては、当社取締役から「脊髄損傷に対する細胞移植と神経調節のコンビネーションに関する機会と課題」や「iPS由来神経幹細胞を用いた脊髄損傷に対する再生医療」等の研究成果発表も行われており、当社はこれらの成果を一刻も早く事業化できるよう進めております。

このような状況の中、当中間会計期間におきましては、研究開発費を188,257千円(前年同期は236,790千円)計上した結果、営業損失は437,357千円(前年同期は423,489千円の営業損失)、経常損失は437,049千円(前年同期は422,670千円の経常損失)、中間純損失は444,693千円(前年同期は426,505千円の中間純損失)となりました。

なお、当社は医薬品等の研究・開発・製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

※1 ALS:筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis)

日本国内では1974年に特定疾患に認定された指定難病であり、重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患で、運動ニューロン病の一種であり、極めて進行が速く、半数ほどが発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡し、治癒のための有効な治療法は現在確立されておりません。

※2 International Society for Stem Cell Research (ISSCR)

国際的な幹細胞研究振興、研究者育成、幹細胞の基礎および応用に関する情報や幹細胞研究・臨床応用に関するガイドライン等の発信を行う米国に本拠を置く非営利独立組織である国際幹細胞学会。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の減少431,490千円、投資活動による資金の減少264千円により、前事業年度末と比較して431,754千円減少し、1,836,443千円となりました。

当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間における営業活動による資金の減少は、431,490千円(前中間会計期間は562,445千円の減少)となりました。主な要因は、その他の流動負債の増加額32,598千円による資金の増加要因があったものの、税引前中間純損失443,402千円、その他の流動資産の増加額22,934千円による資金の減少要因があった為になります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間における投資活動による資金の減少は、264千円(前中間会計期間は9,306千円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出264千円があった為になります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間における財務活動による資金の増減はありませんでした(前中間会計期間も増減なし)。これは、当中間会計期間内に資金増加要因として短期借入れによる収入200,000千円があったものの、その全額の返済を行ったことにより、資金の減少要因である短期借入金の返済による支出200,000千円があった為になります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間会計期間における研究開発活動の金額は、188,257千円であります。

なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

研究機関との共同研究契約

相手先の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

学校法人慶應義塾

医学部整形外科学教室

日本

共同研究契約

2025年

4月4日

2025年4月1日から

2027年3月31日まで

亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療の治験に向けた共同研究

学校法人北里研究所

日本

共同研究契約

2023年

6月30日

2023年6月30日から

2026年3月31日まで

難聴疾患に対するiPS細胞由来聴覚系組織を用いた治療薬の臨床治験に向けた共同研究

 

(注)学校法人北里研究所との契約は、2025年3月において契約の終期を2025年3月31日から2026年3月31日に延長しております。