第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)経営成績の状況

 当社グループは「協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する」という企業理念のもと、先進的なテクノロジーに基づくSaaS(注1)などの提供を通じ、大企業の生産性向上を支援しております。

 当社グループが属する国内のIT業界は、受託開発を中心としたビジネスモデルやIT人材の不足・偏在といった課題を抱えており、大企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する際の大きな障害となっております。DXを加速するためには、ERPをはじめとする基幹システムの刷新や、業務プロセス全般のデジタル化が不可欠です。しかし、多くの企業はITベンダーへの依存度が高く、社内のIT人材不足が深刻化しております。

 このような環境のもと、当社グループは「デジタルの民主化」というコンセプトを掲げ、ノーコード開発(注2)ツール「SmartDB®」を成長ドライバーとして事業を推進しております。「SmartDB®」はITの専門知識を持たない現場部門の人材が業務アプリケーションを開発する「市民開発」(注3)のための環境を提供します。そのため、受託開発に比べコストを抑え、迅速な業務デジタル化を実現できます。さらに、他社SaaSとの連携や高度なセキュリティ機能を備えた多彩なオプションを用意しており、ERPフロントシステム(注4)などの高度な領域での導入が進んでおります。これらの対応により、顧客の多様なニーズに応え、アップセル(注5)の強化を図っております。

 また、当社グループは、社内ポータル(注6)構築ツール「Insuite®」及びチェーンストア特化型情報共有ツール「Shopらん®」を提供しております。「SmartDB®」との連携強化を図ることで、クロスセル(注7)を促進し、顧客への提供価値のさらなる向上を目指しております。

 当中間連結会計期間におきましては、大企業における業務デジタル化の旺盛なニーズを背景に、「SmartDB®」を擁するクラウド事業が成長を牽引いたしました。自社イベントを中心とした広告・販促活動により新規商談を創出するとともに、既存顧客への利活用支援を通じたアップセルの獲得に注力いたしました。また、パフォーマンス向上やオプション機能の充実を目的としたプロダクトへの継続的な開発投資を実施しております。さらに、オンプレミス(注8)環境で利用中の顧客に対しては、クラウド環境への移行提案を積極的に推進し、将来的なクラウド事業の拡大に向けた案件創出に取り組みました。オンプレミス事業においては、パッケージソフトウェアの大型受注が業績に貢献し、プロフェッショナルサービス事業においても、プロジェクトが想定を上回るペースで順調に進捗いたしました。

 コスト面におきましては、インフラを含む全般的なコスト抑制に取り組んだ結果、売上原価率の大幅な改善を達成いたしました。また、営業・販促体制の拡充に伴う人材採用、広告販促活動の強化、オフィスの拡張など、今後の成長に必要な投資を実施いたしましたが、販管費率は前年並みの水準を維持しております。第3四半期以降も積極的な広告販促活動を展開する予定であり、引き続き適切なコストコントロールに努めてまいります。

 以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高2,808,972千円(前年同期比16.3%増)、営業利益608,423千円(前年同期比68.2%増)、経常利益703,285千円(前年同期比96.7%増)となりました。また、親会社株主に帰属する中間純利益は、478,546千円(前年同期比91.3%増)となりました。

 

<クラウド事業>

1.ホリゾンタルSaaS(注9)

 当社グループは、業界業種を問わないホリゾンタルSaaSとして「SmartDB®」及び「Insuite®」を提供しております。

 多様化する働き方や労働生産性向上の取り組みを背景に、大企業の業務デジタル化ニーズが高まる一方で、IT人材不足が深刻化しております。こうした状況を踏まえ、当社グループでは、ノーコード開発ツール「SmartDB®」を軸とした積極的なマーケティング活動を展開し、「デジタルの民主化」及び「市民開発」というコンセプトの浸透に努めております。

 

 当中間連結会計期間におきましては、各種イベントの主催や展示会への出展を通じて、「SmartDB®」の販促活動を強化いたしました。開発面では、複雑な業務プロセスのデジタル化を支援する新機能の開発に加えて、AI機能の実装に向け積極的な投資を行いました。また、社内ポータル構築ツール「Insuite®」については、ビジョンやパーパスの浸透、組織エンゲージメント(注10)の強化、企業カルチャーの刷新といった経営課題を重視する顧客にフォーカスし、提案活動を展開してまいりました。

 この結果、当中間連結会計期間におけるホリゾンタルSaaSの売上高は、1,680,730千円(前年同期比22.3%増)となりました。また、当中間連結会計期間末時点の MRR(月額利用料)は286,625千円、契約企業数は173社となりました。

 

2.バーティカルSaaS(注11)

 

 当社グループは、チェーンストア業界に特化したバーティカルSaaSとして「Shopらん®」を提供しております。(販売パートナー企業である(株)ネクスウェイは、「Shopらん®」と同一のサービスを「店舗matic®」(テンポ・マティック)という別ブランドで販売しております。)

 チェーンストアを展開する物販・飲食業界は、人手不足による供給制約の問題を抱えており、業務オペレーションの品質向上がこれまで以上に求められています。当社グループが提供する「Shopらん®」は、チェーンストアに特有の課題を解決するために設計されており、本部からの情報伝達、店舗における業務指示の徹底、タイムリーな現場情報の収集、店舗間における成功事例の共有をサポートします。

 当中間連結会計期間におきましては、ユーザーインターフェイスの改善やパフォーマンス向上を目的とした基盤強化を推進いたしました。また、大型展示会への出展を通じて、プロダクトの認知向上にも取り組みました。小規模チェーンの解約により契約社数は減少いたしましたが、売上高は前年同水準を維持しております。

 この結果、当中間連結会計期間におけるバーティカルSaaSの売上高は、390,734千円(前年同期比0.3%増)となりました。また、当中間連結会計期間末時点のMRR(月額利用料)は65,280千円、契約企業数は164社となりました。

 

3.DCR(DX Custom Resolution)

 当社グループは、特定顧客の個別要件に基づくシステムを開発し、クラウド基盤上での運用を行いながら継続的な機能拡張を行う開発運用型のサービス「DCR」を提供しております。

 当中間連結会計期間におきましては、提供システムのセキュリティ向上と安定運用に注力してまいりました。

 この結果、当中間連結会計期間におけるDCRの売上高は、90,510千円(前年同期比1.2%増)となりました。また、当中間連結会計期間末時点のMRR(月額利用料)は15,016千円、契約企業数は3社となっております。

 

 以上の結果、当中間連結会計期間におけるクラウド事業のセグメント売上高は2,161,975千円(前年同期比16.7%増)、セグメント利益は912,528千円(前年同期比30.3%増)となりました。

 

<オンプレミス(注8)事業>

 当社グループは、ノーコード開発ツール「SmartDB®」及び社内ポータル構築ツール「Insuite®」のパッケージ・ソフトウェア(注12)ライセンス及びソフトウェアメンテナンスを提供しております。

 パッケージ・ソフトウェアはオンプレミス環境での利用を前提としておりますが、現在新規の利用はSaaSに限定しております。そのため、当該事業の売上は、SaaS提供開始以前の既存顧客にのみ基づいております。

 当中間連結会計期間におきましては、クラウド環境への移行などに伴いソフトウェアメンテナンスの解約が進んだ一方、追加ライセンスの大型受注があり業績を押し上げました。

 

 以上の結果、当中間連結会計期間におけるオンプレミス事業のセグメント売上高は301,372千円(前年同期比1.7%増)、セグメント利益は150,430千円(前年同期比18.8%増)となりました。

 

 

<プロフェッショナルサービス事業>

 当社グループは、SaaSプロダクト及びDCR(DX Custom Resolution)サービス、並びにパッケージライセンスの活用促進を図るため、導入・利活用コンサルティングや、プラグインソフトウェア(注13)開発などのプロフェッショナルサービスを提供しております。

 当中間連結会計期間においては、オンプレミス顧客のクラウド移行支援プロジェクトや「SmartDB®」と「InsuiteX®」を組み合わせた大型案件の導入支援プロジェクトが順調に推移しました。また、DCRの機能拡張開発や、既存顧客向けプラグインソフトウェアの改修などの案件も受注しております。

 以上の結果、当中間連結会計期間におけるプロフェッショナルサービス事業のセグメント売上高は345,625千円(前年同期比29.9%増)、セグメント利益は77,731千円(前年同期は10,114千円の損失)となりました。

 

 

(注1)SaaS(Software as a Service)

 「Software as a Service」の略称。クラウド上に構築されたソフトウェア・アプリケーションをインターネット経由で利用するサービス。従来のようにパッケージ・ソフトウェアを購入し、ハードウェアにインストールするなどの必要はなく、インターネットでアクセスするだけで利用できる仕組み。

(注2)ノーコード開発

 アプリケーション開発に必須であったプログラミング言語によるソースコードをパーツとしてビジュアル化し、欲しいパーツを直感的に配置していくことで開発することができるツールを利用した開発のこと。

(注3)市民開発

 プログラミングなしにアプリケーションを開発することができるツールの導入を前提とし、ITの専門知識がない現場部門の従業員が主導して業務デジタル化を推進する開発スタイルのこと。当該スタイルで開発する従業員を市民開発者(シチズンディベロッパー)という。

(注4)ERPフロントシステム

 ERPなどの基幹系システムのフロントに位置し、基幹系システムと密接なデータ連携を必要とする経理・財務・人事・給与・法務などの周辺システムのこと。主に現場社員が利用し、ERPパッケージの標準機能だけではカバーしきれない周辺業務、例えば見積作成、経費精算、各種申請業務などを担う。

(注5)アップセル

 現在利用中のプロダクト(またはサービス)において、より多くの人数・業務で利用してもらう、もしくはより高いグレードのプロダクト(またはサービスへ)への移行を促す営業手法のこと。

(注6)社内ポータル

 自社内に散在する情報を集約し、アクセスを容易にするための入口として構築されたWebサイトのこと。情報共有によるコミュニケーションの活性化を図るほか、社内で使われている各種アプリケーションを統合する機能を持ち、業務効率化を促進するためにも使われる。

(注7)クロスセル

 現在利用中のプロダクト(またはサービス)に関連させて他のプロダクトの導入を促す営業手法のこと。

(注8)オンプレミス(on-premises)

 プレミス(premise)は「構内」「店内」などの意味。サーバーやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設内に設置して運用すること。

(注9)ホリゾンタルSaaS(Horizontal SaaS)

 業界を問わず特定の部門や機能に特化したSaaSのこと。企業組織に共通する業務課題を解決するために利用される。

(注10)組織エンゲージメント

 会社組織と従業員の間で互いに信頼関係があり、きずなを感じている状態またはその指標。企業理念が従業員に浸透しており、事業計画などの目標や方向性に共感していることが重要となる。

(注11)バーティカルSaaS(Vertical SaaS)

 特定の業界に特化したSaaSのこと。業界特有の業務課題を解決するために利用される。

(注12)パッケージ・ソフトウェア

 既製品として販売されているソフトウェア製品。または、物理的な記憶媒体に記録され、箱などに梱包されて販売されるソフトウェア製品。

(注13)プラグインソフトウェア(plug-in software)

 あるアプリケーションソフトウェアの機能を拡張するソフトウェアを指す。 個別に追加してバージョンアップが可能で、不要になればアプリケーションに影響を与えることなく削除できる。

 

 

(2)財政状態の状況
(資産)
 当中間連結会計期間末における資産合計は5,653,369千円となり、前連結会計年度末に比べ、923,767千円増加しました。これは主に現金及び預金の増加904,073千円によるものです。


(負債)
 当中間連結会計期間末における負債合計は3,032,014千円となり、前連結会計年度末に比べ、610,893千円増加しました。これは主に、契約負債の増加902,599千円及び、社債の償還による減少300,000千円によるものです。


(純資産)
 当中間連結会計期間末における純資産は2,621,355千円となり、前連結会計年度末に比べ、312,873千円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益478,546千円の計上及び剰余金の配当154,856千円の計上に伴う利益剰余金の増加323,690千円によるものです。


(キャッシュ・フローの状況)
 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて904,073千円増加し、4,455,263千円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,286,773千円(前中間連結会計期間は1,160,973千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益703,285千円の計上、契約負債の増加額902,599千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は、84,556千円(前中間連結会計期間は98,764千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出8,760千円、無形固定資産の取得による支出112,296千円、保険積立金の解約による収入250,893千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、455,023千円(前中間連結会計期間は77,259千円の支出)となりました。これは主に、社債の償還による支出300,000千円、配当金の支払154,856千円があったことによるものであります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間において、該当事項はありません。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。