第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態の状況

(資産)

当中間会計期間末における流動資産は905,918千円となり、前事業年度末に比べ329,740千円減少いたしました。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産が243,359千円減少、現金及び預金が77,763千円減少したことによるものであります。

固定資産は106,579千円となり、前事業年度末に比べ580千円減少いたしました。

この結果、総資産は1,012,498千円となり、前事業年度末に比べ330,320千円減少いたしました。

 

(負債)

当中間会計期間末における流動負債は188,066千円となり、前事業年度末に比べ62,862千円減少いたしました。これは主に買掛金が70,785千円減少したことによるものであります。

固定負債は448,988千円となり、前事業年度末に比べ9,554千円減少いたしました。これは主に長期借入金が9,630千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は637,055千円となり、前事業年度末に比べ72,416千円減少いたしました。

 

(純資産)

当中間会計期間末における純資産合計は375,442千円となり、前事業年度末に比べ275,904千円減少いたしました。これは中間純損失の計上に伴い利益剰余金が257,904千円減少したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は37.1%(前事業年度末は47.2%)となりました。

 

(2)経営成績の状況

 当社は、複数の自律移動ロボット(ドローンやAGV(※1)などを指す)を遠隔で制御し、統合管理するた めのソフトウェアプラットフォーム(※2)である Blue Earth Platform®(BEP)を基軸に、人が実施していた設備の点検などの業務を、ドローンやAGVで代替して実施することにより効率化や安全化、省力化を図ることを目的としたソリューションの提供を行っております。

 BEPとは、センサモジュールとソフトウェア(アプリ、クラウド)で構成された当社開発の統合的なシステ ム上のプラットフォームのサービス総称です。顧客の課題に対応して、ドローンの機体とセンサ、並びにソフト ウェア開発の適切な組み合わせを、BEPの環境下で開発した上でソリューションとして提供していることか ら、各ソリューション名に「BEP」の名称を冠しております。BEPの環境下で、顧客の要望に合わせて、ド ローン等の自律移動ロボットの移動・遠隔制御・デバイスとの連携等の「動かす」こと、ドローン等の取得した 情報の保存・連携・監視等の「集める」こと、ドローン等の運行管理・挙動の解析等の「管理する」ことを実現 しております。

 現在の当社は、点検、ポート、教育、ネクスト(新規ソリューション創造)の4つのソリューションを提供し ております。特に足元では、社会課題として、インフラ高経年化による点検需要の増加に加え、近年多発、激甚化する自然災害を背景に、防災および災害対応の重要性が一層高まっております。こうした社会的ニーズの拡大を受け、当社としても、ドローン等による点検および災害対応のソリューションを主要事業かつ成長事業として位置づけ、取り組みを強化、社会実装を進めております。点検業界においては、人件費高騰に伴う点検コストの増加、一方で危険作業におけるノウハウの属人化や労働力不足が発生していますが、当社はドローン等導入のソリューションを提供することで、業務の安全化、効率化、低コスト化の実現という価値を提供しております。また、防災分野においても、津波避難広報等に活用可能なポートソリューションを展開しており、地方自治体への導入を通じて、災害対応力の向上と地域防災インフラの強靭化に寄与しております。

 短中期的には、運用サービスを中心としたフロー型ビジネスの拡大を通じて売上成長を図り、並行してストック型ビジネス(ドローン等のハードウェアのリースやBEPを軸としたソフトウェア、保守メンテナンス、運用サービスの継続利用等)の比率を高め、収益の安定性向上を目指しております。また、販管費の効率的な運営を継続することで、営業利益ベースでの黒字化を2027年度までに実現する方針です。

 長期的には、特にポートソリューションにおいて、災害対応や公共インフラ分野での利活用拡大を見据えた展開を進めております。ドローンポートの普及と、将来的な運航自動化技術の進展により、サービス提供の省人化とオペレーションコストの低減が期待され、結果として事業の拡大と収益性の向上が見込まれます。

 このような状況の中、当中間会計期間の経営成績は、売上高522,728千円(前年同期比10.6%増)、営業損失259,456千円(前年同期は営業損失262,662千円)、経常損失256,554千円(前年同期は経常損失260,864千円)、中間純損失257,904千円(前年同期は中間純損失262,214千円)となりました。

 なお、当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。当社の販売実績を4つのソリューション別「点検、ポート、教育、ネクスト」に区分した売上高の状況は次のとおりであります。

(単位:千円)

 

ソリューション区分

前中間会計期間

(自 2024年1月1日

至 2024年6月30日)

当中間会計期間

(自 2025年1月1日

至 2025年6月30日)

点     検

199,669

241,560

ポ  ー  ト

105,465

165,869

教     育

150,802

104,385

ネ ク ス ト

16,516

10,913

合  計

472,455

522,728

※当中間会計期間より物流ソリューションをポートソリューションに名称変更しております。当該変更は名称変更のみであり、その内容に与える影響はありません。

 

・点検ソリューション

 プラント点検(BEPインスペクション)を中心とする点検サービスの増加、下水道等の点検需要増加に伴い屋内点検用球体ドローンの販売が増加したこと、送電線点検(BEPライン)、巡回点検(BEPサーベイランス)において、電力、鉄道業界を中心に検証案件等が増加したことにより、当中間会計期間の売上高は241,560千円(前年同中間期比21.0%増)と前年同中間期と比べ41,890千円の上振れとなりました。

・ポートソリューション

 長期戦略の観点で受託した複数の国プロ案件(SBIR※3等)、仙台市に津波避難広報ドローンシステム(BEPポート)で使用する3台目のドローンを導入したこと、千葉県一宮町における津波避難広報ドローンシステム(BEPポート)の運用開始等により、当中間会計期間の売上高は165,869千円(前年同中間期比57.3%増)と前年同中間期と比べ60,403千円の上振れとなりました。

・教育ソリューション

 基礎教育(BEPベーシック)において利益率の低い一部の受託業務を戦略的に終了したこと等により、当中間会計期間の売上高は104,385千円(前年同中間期比30.8%減)と前年同中間期と比べ46,417千円の下振れとなりました。なお、利益率の低い案件を戦略的に終了したことにより原価構成は改善され、売上総利益率は改善しております。

・ネクストソリューション

 機械・化学メーカー等に向けた新規ソリューションの検証案件を一部受託する一方、点検及びポートソリューションへ優先的にリソースを投下するため、新規受注は控えた結果、当中間会計期間の売上高は10,913千円(前年同中間期比33.9%減)となりました。

 

 当社は、安定した売上成長の観点では累計取引企業数及びストック型売上(ドローン等のハードウェアのリー スやBEPを軸としたソフトウェア、保守メンテナンス、運用サービスの継続利用等)の比率を高めることが重 要であると考えております。

 当中間会計期間末における累計取引企業数は、点検ソリューションを中心に下水道、電力業界等における取引が拡大したことに伴い、660社(前期末比88社増)となりました。

 当中間会計期間におけるストック型売上は、122,551千円(前年同中間期比33.8%減)、ストック型の売上比率は23.4%(前年同中間期は39.2%)となりました。これは、基礎教育(BEPベーシック)において利益率の低い一部の継続受託業務を戦略的に終了したこと等によります。ストック型売上は減少したものの、これは利益率の改善を優先し、戦略的に一部のストック契約を整理したことによるものであり、2026年には再成長を見込む計画となっております。今後も収益基盤の健全化に取り組んでまいります。

 

 今年度上期においては、当社事業の中核である点検ソリューションにおいて、プラント点検(BEPインスペクション)を中心とした点検サービス提供が拡大し、また屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」の販売も好調に推移しました。下水道等のインフラ点検領域では、株式会社フソウ、株式会社NTT e-Drone Technologyとの連携を強化し、社会実装を見据えた取り組みを着実に進めております。ポートソリューションでは、千葉県一宮町において全国2例目となる津波避難広報ドローンシステム(BEPポート)の運用を開始し、国が主導するSBIRプロジェクトにおける国産ドローンポートの共同開発も進展しております。7月末のカムチャツカ地震の際には、同システムが実際の災害対応として稼働するなど、社会的有用性が実証される結果となりました。教育ソリューションでは、屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」を対象とする機種別ライセンス講習プログラムの提供をリリースし、ドローンパイロット教育の拡充に向けた基盤を整備しております。

 下期においては、点検ソリューションにおいて、国策との連動が進む下水道など公共インフラ領域におけるドローン導入の機会拡大を見込み、点検サービスと点検用ドローンの普及と社会実装の加速が期待されます。ポートソリューションでは、津波避難広報に加え、ダムの巡視・監視、森林火災の監視、港湾における定期点検など、新たな活用分野における導入可能性を、国や地方自治体等と連携しながら実証を進めてまいります。教育ソリューションでは、「ELIOS 3」に続く他機種への機種別ライセンス講習の拡充を予定しており、今後の点検需要の増加に対応可能な人材育成体制を構築してまいります。

 

 当社は今後も、BEPを軸としたソリューションの深化と社会課題の解決を通じて、持続可能な成長を目指してまいります。

 

(※1)Automated Guided Vehicle の略称。産業用途で多く使用される自動運転車の一種で人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる搬送車。

(※2)自律移動ロボットを使ったソリューションや製品を開発する際に、使用できる基盤となる技術要素の組 み合わせのことを意味する。ソリューションや商品の開発者が、自社ソリューションの提供価値を、自律移動ロボットを使って効率よく提供するために必要な一連の技術要素をパッケージ化したもの。

(※3)Small Business Innovation Researchの略称。SBIR制度は、スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果を円滑に社会実装し、それによって我が国のイノベーション創出を促進するための制度。今回のプロジェクトは、経済産業省が管理、執行するSBIR事業。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前事業年度末と比べ77,763千円減少し、590,741千円となりました。

当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は42,237千円(前年同期は83,473千円の使用)となりました。これは主に税引前中間純損失256,554千円、売上債権の減少額243,359千円、仕入債務の減少額70,785千円などによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は25,896千円(前年同期は19,121千円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出25,896千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は9,630千円(前年同期は8,790千円の使用)となりました。これは長期借入金の返済による支出9,630千円によるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

当中間会計期間における研究開発活動の金額は61,814千円であります。

なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(8)経営成績に重要な影響を与える要因

 当中間会計期間において、当社の経営成績に重要な影響を与える要因はありません。

 

(9)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社における主な資金需要は、継続的なサービス提供及び新規サービス開発のための販売・研究開発に関する費用や人件費、人員獲得のための採用費、当社の認知度向上及び潜在顧客獲得のためのPRマーケティング費などであります。これらの資金需要に対しては、自己資金、エクイティファイナンス、及び金融機関からの借入などで調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等については特段方針などはなく、資金需要の額や使途に応じて柔軟に検討を行う予定であります。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。