第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、ミッションとして「私たちは、最適なセキュリティサービスをより多くのお客様へ提供し、事業の成長を支える環境づくりに貢献いたします。」を掲げ、具体的な行動は次のとおりとして事業を推進しております。

 

a.最適なセキュリティサービス

当社は、その時々の脅威トレンドを反映し、日本のお客様のニーズに応える“最適なセキュリティサービス”を提供し続けることで、事業を拡大し続けていきます。

 

b.より多くのお客様へ提供

昨今のセキュリティ被害の状況を鑑みると、セキュリティ課題は大手企業だけではなく、多くの企業・団体が共通してもつ課題と言えます。当社は、1社でも多くのお客様へセキュリティサービスを提供することが社会貢献につながると捉え、事業の拡大を目指していきます。

 

c.事業の成長を支える環境づくりに貢献

当社は、セキュリティサービス提供の目的を『お客様の事業を支える環境づくり』と定義し、セキュリティだけの視点にとどまらず、お客様の事業環境、経営視点でセキュリティサービスを提供し続けることができるように日々精進していきます。

 

(2)経営環境

当社を取り巻く経営環境として、国内のネットワークセキュリティビジネス市場の市場規模は、2021年度の5,779億円から2027年度には8,667億円と拡大し、同期間における市場全体のCAGR(年平均成長率)は7.0%と堅調に推移する予測となっております(出典:株式会社富士キメラ総研「2022 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧<市場編>」)。

また、直近では、大企業へのサイバー攻撃のみならず中堅・中小企業や医療機関、インフラ施設等へもランサムウェア被害が拡大し、サプライチェーンに影響が及ぶサイバー攻撃が発生している状況において、経済産業省より「サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer3.0」(2023年3月改定)が改定されるなど企業や団体の経営者の意識が変化し、サイバーセキュリティに関するリテラシーが高まりつつあります。このような環境のなか、新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワークによる就業やクラウドサービスの利用が推進されたことにより、企業内の限られたネットワーク環境だけを保護するセキュリティ対策から、企業・団体の従業員が利用する端末を含めたあらゆる環境に対応できるセキュリティ対策が求められている状況にある等の要因もあり、需要は堅調に推移し続けております。

 

(3)経営戦略

当社は、セキュリティサービスとしてコンサルティングサービスとSOCサービスを提供しており、クラウド製品への対応を進めていくことに加え、コンサルティングとSOCサービスを連動させたコミュニケーション型SOCによるリテラシーの高いお客様のニーズをとらえていき、更なる成長を計画しております。セキュリティ対策が脆弱な企業・団体へのサイバー攻撃が増加傾向にありますが、自社内では対応できていないことも多い状況にあり、システムインテグレーターやベンダーとしてもそれぞれの会社ごとの環境や状況に合わせた対応が可能ではない事例も見られ、市場の要望と供給側とのあいだでギャップが生じております。

当社といたしましては、このようなギャップを埋めるべく、日本国内にて開発したシステムを使用し、「やりすぎず、不足しない、変化に合わせた最適なサービス」を提供していくことを目指し、お客様ごとの環境や状況にあわせた必要なサービスを提供しております。また、セキュリティ被害に合ったお客様への一時的対応を迅速に行うことで事業継続のお手伝いをするとともに、そのようなお客様へ継続的なアドバイスによる優先順位をつけた効果的なセキュリティ態勢の構築を支援するコンサルティングサービスと、特定の機器に限定されないお客様環境にあわせたSOCサービスを両輪としてセキュリティサービスを提供することにより、サービスの深掘及びストック型売上の拡大に努めてまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、継続的なサービスの提供によるストック型売上の積上げであるARR(注1)を成長性の重要な経営指標としております。これは当社のコンサルティングサービス及びSOCサービスが継続的な取引を基盤としており、成長を継続する上での重要な要因であると認識しているためであります。また、売上高営業利益率を収益性の重要な指標としており、売上の拡大に見合う経費の増加とすることで収益性を確保しているためであります。

(注1)ARR:Annual Recurring Revenue(年間経常収益)の略称で、年度末時点における継続的な契約による繰り返し得られる収益のこと(一時収益は含まない)

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①優秀な人材の確保

 当社が事業を拡大していくためには、高度なサイバーセキュリティ技術を有する優秀な人材の確保が重要な課題であると認識しております。このような人材の確保のため、採用活動の強化、社内における教育制度の充実等を進める方針であります。

 

②営業力の強化

 サイバーセキュリティを重要な経営課題とする企業の増加に伴い、サイバーセキュリティ対策に対するニーズは高まってきております。このようなニーズに適切に対応するため、営業力の強化が重要であると考えており、事業に精通した営業人員を増強してまいります。

 

③既存サービスの収益拡大、安定化

 現状において当社収益の約74%(2025年3月期)を占めるSOCサービスは、お客様に継続的にサービスを提供するもので、当社収益の安定的な基盤となるものであります。また、当該サービスを提供しているお客様から有事対応サービス提供依頼の受注など、同一顧客へのサービス深掘りにもつながっていくものであります。そのため、当該サービスに関する新規顧客先の開拓・増加のための営業活動を強化してまいります。

 

④新規サービスの拡充

 KeepEye®(当社が開発したEDR製品で、お客様のご利用PCの挙動ログを抽出しマルウェア等によるサイバー攻撃を検知し隔離する機能があり、有事の際は当社SOCによる調査、分析によるサービス提供を行うもの)、AD監視サービス(当社が開発したAD Agentを利用してファイルサーバにおける重大な脅威を検知し、いち早く攻撃への対処を実施するもの)などの新規サービスを拡充し、お客様からの様々なニーズに対応できるようにすることにより、当社事業基盤の強化を図ってまいります。

 

⑤システムの安定稼働

 当社のサービスは、コンピュータシステムと通信ネットワーク(インターネットデータセンターを含む)を活用して行う場合が多いため、セキュリティレベルの高いシステム及びネットワーク環境の安定稼動、緊急時回復時間の短縮などの体制強化に努めてまいります。

 

⑥知名度の向上、ブランドの確立

 当社の事業成長のためには、当社及び当社サービスの知名度を向上させ、サイバーセキュリティ業界における当社サービスをブランドとして確立させていくことが不可欠であると認識しております。セミナーや講演会の開催等を通じて知名度の向上を計るとともに、技術力を高めていくことによりブランドの確立を推進してまいります。

 

⑦内部管理体制の強化

 事業環境の変化に対応して事業を拡大していくためには、内部管理体制の充実も重要な課題であると考えております。そのために、事業展開に応じた適切な人員配置、組織体制の整備を進めてまいります。

 

⑧財務体質の強化

 当社は、金融機関からの借入がなく十分な手許流動性は確保されており、本書提出日現在において対処すべき財務上の課題はありません。ただし、今後の事業拡大にあわせて売上や業容の拡大による資金需要の増加に備えて、さらなる内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により、引き続き財務体質の強化を図ってまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものになります。

 

(1)ガバナンス

当社においては、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様になります。当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

短期、中期及び長期にわたり当社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組のうち、重要なものについては、該当事項はございませんので記載を省略しております。

 

(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社は、エンジニアを中心とした人材の採用を積極的に進めていく方針であり、通常の採用活動に加え、リファラル採用を取り入れております。加えて、資格取得等にかかる費用を負担する資格取得・維持費支援制度やオンライン学習環境の導入により自己研鑽を促進し、継続的な人材育成に努めております。

また、テレワーク勤務を基本とする就業形態や時間単位有休制度などのワークライフバランスに配慮した働き方を推進することに加え、企業型確定拠出年金制度やGLTD保険(Group Long Term Disability:団体長期障害所得補償保険)の加入などの福利厚生制度等により、働きやすい環境を整備しております。

 

(4)リスク管理

サステナビリティ課題を含む事業へのリスクについての詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

また、リスク管理規程にてリスクの定義付けを行っており、各リスクについて、管理部及び各部門にて評価を実施しております。必要があると認められる場合には、代表取締役社長を本部長とし、役員及び関係部門の責任者で構成する「リスク対策本部」を開催し、リスク事例の共有や、リスク対策課題の策定とその対応策について議論し、取締役会に報告する体制をとっております。

 

(5)指標及び目標

「(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」に記載のとおり、人材の育成等に関する課題への具体的な取組みを進めており、非財務指標として当社の経営計画等に織り込まれております。具体的には、人材の維持の指標として離職率の低減を掲げており、業界平均である10%程度からゼロに近づけることを目標としております。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、事業、業績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社では様々なリスクについて「顕在化の可能性/顕在化の時期/影響度」による重要性を認識したうえで、『事業内容について』、『事業体制について』、『その他の関係会社との関係について』、『その他のリスクについて』に分類しております。当社は、これらのリスクの発生可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。そのためのリスク管理体制としては、リスク管理規程を定め、リスクの調査、網羅的認識及び分析、各種リスクに関する管理方針の協議及び決定を経営会議において実施しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業内容について

①サービス内容について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:大)

当社が属するサイバーセキュリティ事業分野は、日々発生する新たな脅威や技術革新等による環境変化に伴い、顧客ニーズが変化しやすい特徴があります。このような中、当社や代表取締役社長の三輪信雄その他の役員・従業員が新技術の開発や研究の結果あるいは知見・経験などを情報発信すること、あるいは政府官公庁との会議やその他の講演・セミナーなどで情報発信するなどの取組みにより、当社サービスの競争力の維持・向上に努めております。

しかし、当社が環境変化等に対応できず、当社の技術やサービスの陳腐化又は競合他社の企業努力などの要因により、当社が他社サービスに対して技術的・価格的に優位性を維持できない場合、当社事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②代理店との関係について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社は株式会社マクニカ他、複数のSIerと販売代理店契約を締結し、当社サービスにおける顧客拡大・収益基盤強化を図っております。このため、これらの代理店が十分に機能しない場合には、当社業績に影響を与える可能性があります。これに対して当社では、これらの代理店との良好で安定的な取引関係の構築に努めるとともに、販売支援やマーケティングの強化や新たな代理店の拡充などに注力しております。

 

③派遣契約元との関係について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

当社は、開発・運用業務の一部を派遣社員により実施しています。当該派遣元との関係が継続できないような場合には、他の派遣元探索の必要が生じるなど、業務の安定的な継続に影響を与える可能性があります。これに対して当社は、安定的な取引関係の構築に努めるとともに、複数の派遣元と取引関係を構築するなどの基盤の強化に努めております。

 

④業務委託先との関係について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

当社は、納入した機器の保守業務等の一部を契約先に業務委託しています。当該委託先との関係が継続できなくなるような場合には、他の委託先探索の必要が生じるなど、委託範囲の業務の安定的な継続に影響を与える可能性があります。これに対して当社は、複数の業務委託先と取引関係を構築するとともに、従業員による業務の内製化に注力しております。

 

⑤新規サービス、新規事業について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

新規サービスを拡充し、お客様からの様々なニーズに対応できるようにすることにより、当社事業基盤の強化を図ってまいります。しかしながら、これらのサービスがお客様のニーズに合わず、あるいは他社同種サービスとの競合になるなどした場合には、当社事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥当社製品の導入ユーザにおけるセキュリティ事故について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:不特定、影響度:大)

当社の顧客において、当社製品又はサービスの効果の及ぶ範囲内でサイバー攻撃等による情報流出や改竄・詐取等をされた場合、当社の技術力への信頼喪失の恐れがあります。

このような事態が発生した場合、信頼回復に時間が掛かり、当社製品及びサービスの販売が停滞することが考えられ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。これに対し当社は、セキュリティ事故に対する知見や経験をもとに継続的に製品やサービスの改良を行うことにより、導入ユーザにおけるセキュリティ事故の発生を防ぐ取組みに努めております。

 

⑦当社想定を上回る解約が生じるリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社の事業は、監視・運用サービスを中心に年間契約のストック型収益にて構成されており、お客様に継続して利用いただくために顧客満足度を高め、解約率を低く維持するためにサービス等の改善や施策を行っております。しかしながら、お客様のセキュリティ環境の変更などの理由により、毎年一定の解約が発生しております。予算及び経営計画には、将来の解約を見込んでおりますが、当社の想定を超える解約が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧システムリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:不特定、影響度:中)

当社の事業及びサービス提供は、コンピュータシステムと通信ネットワーク(インターネットデータセンターを含む)を活用して行う場合が多く、セキュリティレベルの高いシステム及びネットワーク環境の構築・維持に努めております。

しかし、自然災害等の予期せぬ事態の発生により、システムの停止や通信ネットワークが使用できないようになった場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨競合との関係について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社と競合するサービスを提供している他社が、顧客のニーズにいち早く対応した最先端の技術を駆使して当社の提供している製品やサービスより高品質で価格競争力のあるサービスを開発あるいは提供する可能性があります。このような場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。これに対して当社は、新規サービスを拡充し、お客様からの様々なニーズに対応できるようにすることにより、当社事業基盤の強化を図ってまいります。

 

⑩法的規制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:中)

当社が行う事業においては、現在、法令等の規制はございませんが、将来において法令等の改正や規制が加わった場合などには、当社の製品又はサービスに関して制限等が強くなり、その対応に費用が掛かる可能性があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪知的財産について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:不特定、影響度:小)

当社は、第三者の知的財産権を侵害しない体制として、社内教育の実施や顧問弁護士による調査・チェックを実施しておりますが、万一、当社が事業を推進する中で第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴訟を提起される可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫経済環境・事業環境に関するリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:不特定、影響度:大)

当社は、政府機関や大・中企業(その系列会社・サプライチェーンを含む)において高まる情報セキュリティ施策の検討・構築・実施のためのニーズ増大を予測し、これまで培ってきたサイバーセキュリティ事業での経験と実績を持つ情報セキュリティのプロ集団として、

1)「防御・検知・対処」や「技術・体制」のバランスを重視した製品やサービスの提供、

2) 政府機関や大企業におけるセキュリティアドバイザーやインシデントレスポンスの豊富な経験を活かしたコンサルティングサービスの提供等、

を行うことにより、わが国及び産業の安全と発展への寄与を継続・拡大していく所存です。

しかしながら、これら政府機関や企業のニーズが増大しない場合や、当社がこれらニーズに対応できない場合には、当社事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬大規模な自然災害・感染症について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:不特定、影響度:小)

当社は、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害及び新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等の感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行した場合、当社又は当社の取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭単一事業であることについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)

当社事業はサイバーセキュリティ事業の単一事業であることから、市場の変化の影響を受けやすい性質があります。当社は、市場の変化に対応して臨機応変に対応する方針でありますが、市場全体が縮小を続ける等、当社の対応に限度がある場合、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対して当社は、サイバーセキュリティの重要性や必要性を営業活動や講演・セミナーなどで情報発信することで市場の拡大に寄与する取組みに努めております。

⑮当社が提供する製品のバグや欠陥の発生について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:不特定、影響度:大)

当社が提供するSOCサービスの一部において利用するセキュリティ製品には、自社開発製品が含まれております。あらかじめ十分な検証やテストを実施した後にサービス提供を行っておりますが、サービス提供開始後に、当該製品に重大なバグや欠陥が発生したことが原因で顧客に著しい損害を与えた場合、契約解除に伴う売上の減少等により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対して当社は、検証やテストを十分に実施することに加え、継続的に製品改良を行うことにより、重大なバグや欠陥を防止する取組みに努めております。

 

⑯競争の激化について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:不特定、影響度:中)

当社は、サイバーセキュリティ事業においてコンサルティングサービス及びSOCサービスを提供しております。現在において、コンサルティングサービス及びSOCサービスを連動させて提供する競合は少ないと考えており、当社は独自のサービスを提供することができています。これは、コンサルティングサービスにて事業を開始し、SOCサービスへ事業領域を拡大した経緯により、実現させてきたことによると考えておりますが、同様のサービスを提供する競合が増加し、競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対して当社は、SOCサービスにおけるコンサルティング機能の付加などのコンサルティングサービスとSOCサービスを融合し、顧客満足度の高いサービスを提供することに努めております。

 

⑰新規契約の獲得及び既存契約の更新について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)

当社のサービスは、原則として年間契約に基づき提供しているストック売上が売上全体の85.7%(2025年3月期実績)を占めており、契約の獲得・更新によりストック売上が積上げられ、単月のストック売上は期初から期末にかけて逓増していくビジネスモデルとなっております。そのため、上期に比べて、ストック売上が増加している下期に売上が偏重することとなり、何らかの要因により契約の獲得ができず、解約が多く発生し解約率が増加するなどのストック売上が計画通りに積上げられない場合には、下期の売上が計画を下回ることになり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対して当社は、積極的な営業によるストック売上の獲得、顧客満足度を高めることによる解約率の低減等によるストック売上を積上げる取組みに努めております。

 

⑱受注案件の採算性について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:小)

当社は、契約の受注時においては一定の採算性を確保しておりますが、予期せぬ事象の発生や想定以上に工数が超過した場合には採算が悪化します。不採算案件が増加し、長期間継続すると売上原価率の悪化につながり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対して当社は、受注案件をモニタリングしており、採算性が悪化したプロジェクトを発見、対処できる仕組みを導入しています。しかしながら、これらの取組みによってもすべての不採算案件を防止できない可能性があります。

 

(2)事業体制について

①経営者への依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:不特定、影響度:中)

当社の代表取締役社長である三輪信雄は、当社の株主であるとともに、当社の技術面を含む経営及び事業運営の全般にわたり大きく関与しております。このため、当社では、取締役会その他の重要会議等における役職員間の意思疎通等を通じて、事業体制に関するリスク軽減に努めております。

しかしながら、三輪が当社における職務を遂行できなくなるような事態が生じた場合には、当社の事業に大きな影響を与える可能性があります。

 

②小規模組織及び人材確保・育成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社が事業を拡大及び継続するために、開発力の強化・技術ノウハウの蓄積・営業力の増大、そのための高度なサイバーセキュリティ技術や知識を有する優秀な人材の確保が重要な課題となります。当社は、当該人材の確保の施策としてテレワークでの就業や福利厚生制度の充実及び社内教育の強化に努めておりますが、十分な人員が確保できない場合あるいは従業員教育が進展しない場合には、当社の成長が鈍化する可能性があります。また、技術や営業の担当者が退職するなどして、当社のノウハウが他社に流失した、あるいは当社に蓄積されないといった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③情報管理体制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:不特定、影響度:大)

当社は、2015年7月以降、情報セキュリティサービスの提供に関し、「ISO27001(ISMS)」の認証を受けており、サービス提供の適切な遂行に必要となる顧客の重要情報や当社の顧客・役員及び従業員の個人情報を含めた社内の情報管理等には十分な注意を払っております。

しかしながら、このような対策を行っても個人情報を含む重要情報にかかる社外漏洩を防止できず、当該情報漏洩に起因して第三者に何らかの損害が発生した場合には、当社が損害賠償請求を受ける可能性があります。また、そのような場合には、当社の信用が失われ、事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

④内部管理体制の強化について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社は、企業価値の継続的増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠と認識しております。また、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のために内部統制システムの適切な運用が必要と認識し、そのための内部管理体制整備に注力しております。

しかし、事業の拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない等の状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤訴訟等について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:小)

当社の事業運営にあたって、予期せぬトラブルや問題が生じた場合、当社の瑕疵にかかわらずこれらに起因する損害賠償の請求や、訴訟の提起を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合には、起訴内容や損害賠償額の状況及びその結果によっては当社の社会的信用が低下することに加え、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対して当社は、内部統制の充実や役職員に対するコンプライアンス研修の実施などのコンプライアンス体制の構築等により、トラブルを未然に防止する取組みに努めております。

 

(3)その他の関係会社との関係について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

株式会社マクニカ及び同社の親会社であるマクニカホールディングス株式会社(東京証券取引所プライム市場に上場)は、その他の関係会社であります。

当社とマクニカホールディングス株式会社グループとの関係は以下のとおりであります。

①資本関係について

マクニカホールディングス株式会社は、本書提出日現在において当社の議決権の37.68%(2025年3月31日現在の総株主の議決権の数を基準に算出)を間接保有しており、当社に対する大株主としての一定の権利を有しております。このことから、マクニカホールディングス株式会社は議決権行使等により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあり、同社の利益は他の株主の利益と一致しない可能性があります。また、株式市場での売却ではなく、特定の相手先への譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社に対する方針によっては、当社の事業戦略等に影響を与える可能性があります。

 

②人的関係について

本書提出日現在、当社の取締役である星野喬は、マクニカホールディングス株式会社の連結子会社である株式会社マクニカに所属しております。これは、同社における経験や知見を得ることを目的としております。なお、当社の経営方針及び事業展開については、マクニカホールディングス株式会社グループの事前承認を要するものはなく、独自の意思決定によって進めております。

 

③取引関係について

株式会社マクニカとの取引については、売上高は代理店契約を締結している複数の代理店のひとつとしての代理店販売534,223千円(2025年3月期 売上高の27.5%)、その他一部製品の仕入れ等の取引が発生しておりますが、取引条件については、独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っております。

なお、マクニカホールディングス株式会社グループとの間で取引を行う場合は、一般株主との間に利益相反関係が発生するリスクが存在することを踏まえ、取引条件の適切性を確保するため、当社の関連当事者取引管理規程に基づき、取引の合理性、必要性及び取引条件の妥当性等について、取締役会にて審議・検討した上で決議するものとしております。

 

④その他の関係会社からの独立性の確保について

当社の経営判断及び事業展開にあたっては、マクニカホールディングス株式会社グループの指示や事前承認に基づいてこれを行うのではなく、マクニカホールディングス株式会社グループから独立した立場で一般株主の利益保護に配慮しつつ、当社の企業価値向上に貢献できるかという観点から選任された独立役員である取締役監査等委員3名を含む取締役会を中心とした当社経営陣の判断のもと、独自に意思決定を実行しており、マクニカホールディングス株式会社グループからの独立性は確保されていると認識しております。

 

(4)その他のリスクについて

①配当政策について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:小)

当社は、設立以来、当期純利益を計上した場合であっても、財務基盤を強固にすることが重要であると考え、配当を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題の一つであると認識しており、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、利益及び剰余金の配当を検討する所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

②新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:中期、影響度:小)

当社では、役員及び従業員に対するインセンティブを目的とした第3回新株予約権を2023年3月24日付で発行しております。今後もインセンティブを目的とする役員あるいは従業員への新株予約権発行を行うかどうかについては未定でありますが、現在付与している新株予約権に加え、今後新株予約権が付与され、それらの行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日の前月末現在(2025年5月31日)における新株予約権による潜在株式数は432,900株であり、潜在株式数を含む発行済株式総数6,060,100株の7.1%に相当しております。

 

③資金使途について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社株式の上場時における公募増資による調達資金の使途につきましては、人材採用費、ブランディング等の広告宣伝費、本社設備の移転を含む業務設備の充実等に充当する計画です。

しかしながら、情報セキュリティ関連市場は変化が激しく、その変化に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途に充当する可能性もあります。また、計画どおりに資金を使用したとしても、期待どおりの成果が挙げられない可能性があります。

また、市場環境の変化により、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性が発生した場合は、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。

 

④コンプライアンスリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:不特定、影響度:中)

当社では、コンプライアンスに関する諸規程を制定し、役員及び従業員による遵守を徹底すること、顧問弁護士との連携を図ることで、法令違反や顧客とのトラブルの発生リスクの低減に努めております。

しかしながら、法令違反や、顧客・取引先・第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、当社側に法令違反や契約違反等の問題があった場合には、訴訟への発展や損害賠償の必要、あるいは当社サービスへの信頼性毀損等が生じる可能性があります。そのような事態に立ち至った場合には、当社事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤流通株式比率について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:不特定、影響度:小)

当社株式は2023年12月15日に株式会社東京証券取引所グロース市場に上場されました。株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率の上場維持基準は25%であるところ、新規上場時において29.12%の見込みでしたが、2025年3月31日現在の流通株式比率は27.71%となっております。今後はストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における資産合計は2,705,704千円となり、前事業年度末に比べ244,460千円増加しました。

流動資産は2,242,543千円となり、前事業年度末に比べ103,218千円減少しました。これは主に業務システムの導入等により前払費用が30,935千円、自己株式の買付資金の預託により流動資産のその他に含まれる預け金が14,030千円増加したものの、現金及び預金が121,934千円、当事業年度の第4四半期におけるスポット売上が前事業年度と比較して減少したため売掛金が15,788千円、前渡金が6,978千円減少したことによるものであります。

固定資産は463,161千円となり、前事業年度末に比べ347,679千円増加いたしました。これは主に事務所移転等に伴い、建物附属設備が194,185千円、工具、器具及び備品が162,571千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は701,837千円となり、前事業年度末に比べ1,238千円減少いたしました。

これは主に買掛金が6,050千円、未払法人税等が29,826千円、契約負債が8,143千円増加したものの、未払消費税等が28,168千円、未払金が8,451千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は2,003,866千円となり、前事業年度末に比べ245,699千円増加しました。これは主に自己株式の取得により自己株式が60,181千円増加したものの、当期純利益の計上等により利益剰余金が305,880千円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は74.1%(前事業年度末は71.4%)となりました。

 

②経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、堅調な企業収益やインバウンド需要により、緩やかな回復傾向が見られたものの、不安定な世界情勢の長期化に加え、円安や資源高に起因する物価上昇の継続、アメリカの通商政策動向による影響などにより、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。

当社の属する情報セキュリティ業界を取り巻く環境としては、大手企業においてサイバー攻撃による被害が多数報告されるなど、業界や業種にかかわらず頻発しております。このような状況により、情報セキュリティ対策の必要性や重要性が強く認識されていることなどから、情報セキュリティ関連のIT投資は企業規模や業種・業界を問わず増加傾向にあり、需要は比較的堅調に推移しております。

このような経営環境のもと、当事業年度の業績につきましては、監視サービス等の新規案件を着実に獲得したことに加え、不審メール訓練の支援やセキュリティインシデントへの対応等を実施いたしました。

この結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,942,927千円(前年同期比20.6%増)、営業利益420,504千円(同20.5%増)、経常利益423,377千円(同32.6%増)、当期純利益309,111千円(同41.4%増)となりました。

なお、当社はサイバーセキュリティ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。サービス区分別の状況は、次のとおりであります。

 

(1)SOCサービス

既存顧客への監視・運用サービスを継続して提供したことに加え、新規顧客に対するKeepEye等の新規案件の獲得により、SOCサービスの売上高は1,441,966千円(前年同期比21.7%増)となりました。

 

(2)コンサルティングサービス

不審メール訓練案件の獲得やセキュリティインシデントへの対応により、コンサルティングサービスの売上高は500,960千円(前年同期比17.7%増)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ121,934千円減少し、1,997,944千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は344,056千円(前事業年度は66,550千円の獲得)となりました。主な減少要因は、未払金の減少額8,451千円、未払消費税等の減少額28,168千円、法人税等の支払額82,203千円であり、主な増加要因は、税引前当期純利益423,377千円、減価償却費59,608千円、売上債権の減少額15,788千円、仕入債務の増加額6,050千円、前渡金の減少額6,978千円、契約負債の増加額8,143千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は402,579千円(前事業年度は76,274千円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出416,365千円、敷金及び保証金の回収による収入13,786千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は63,411千円(前事業年度は775,868千円の獲得)となりました。これは自己株式の取得による支出65,251千円、自己株式の処分による収入1,840千円によるものであります。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績は次のとおりであります。なお、当社は、サイバーセキュリティ事業の単一セグメントであるため、主なサービス区分別に記載しております。

サービス区分の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比(%)

受注残高

(千円)

前年同期比(%)

SOCサービス

1,480,027

112.6

1,002,338

104.0

コンサルティングサービス

486,653

106.8

148,992

91.2

合計

1,966,680

111.1

1,151,331

102.1

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は、サイバーセキュリティ事業の単一セグメントであるため、主なサービス区分別に記載しております。

サービス区分の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

SOCサービス

1,441,966

121.7

コンサルティングサービス

500,960

117.7

合計

1,942,927

120.6

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社マクニカ

495,600

30.8

534,223

27.5

日興システムソリューションズ株式会社

231,286

14.4

285,403

14.7

株式会社ソフトクリエイト

225,463

14.0

263,306

13.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

 財政状態の記載は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載しております。

 

b.経営成績

(売上高)

当事業年度における売上高は1,942,927千円(前年同期比20.6%増)となりました。これは主に、監視サービス等の新規案件を着実に獲得したことに加え、セキュリティ評価案件やセキュリティインシデントへの対応及びセキュリティ訓練の支援等が堅調に推移したことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は996,900千円(前年同期比20.2%増)となりました。これは主に、売上高の増加に伴い採用活動を進めたことによる人件費の増加に加え、業務システムの導入による費用の増加や、事務所移転に伴う賃料および減価償却費の増加等によるものであります。

この結果、売上総利益は946,026千円(同21.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は525,522千円(前年同期比21.4%増)となりました。これは主に、事務所の移転に伴う一時的な費用の発生や地代家賃および減価償却費の増加、支払手数料が増加したこと等によるものであります。

この結果、営業利益は420,504千円(同20.5%増)となりました。

 

(経常利益)

当事業年度における経常利益は423,377千円(前年同期比32.6%増)となりました。これは主に、前事業年度に発生した株式上場に伴う上場関連費用等が発生しなかったことによるものです。

 

(当期純利益)

当事業年度における法人税等は経常利益が増加したものの、賃上げ促進税制の適用による税額控除が増加したこと等により114,266千円(前年同期比13.4%増)となりました。

この結果、当期純利益は309,111千円(同41.4%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資金需要

 当社の運転資金需要のうち主なものは、サービスの提供のための外注費及びセキュリティ機器の仕入のほか、人件費、家賃等の営業経費であります。

 

c.財務政策

 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社では、運転資金及び設備資金については、主に内部留保により調達を行っております。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,997,944千円となっております。

 

③経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、継続的なサービスの提供によるストック型売上の積上げであるARRを成長性の重要な経営指標としております。

 当事業年度末のARRは1,802,961千円(前年同期比19.9%増)となりました。これは、セキュリティアドバイザーやSOCサービスにおける新規獲得が好調であったことに加え、年間契約を基本とした顧客との長期的な関係性を構築したことから、高い継続率を維持できたことによります。

 また、収益性の重要な指標としている売上高営業利益率については、当事業年度では21.6%となりました。前事業年度の21.7%からわずかに低下しておりますが、高い水準を維持しており、新事務所への移転等による経費の増加があったものの、売上拡大に見合う増加としたためであります。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

重要な契約等は以下のとおりであります。

相手方の名称

国名

契約品目

契約締結日

契約内容

契約期間

マクニカネットワークス株式会社

日本

代理店契約書

2017年7月3日

当社製品・保守・サービスの販売代理店契約

2017年7月3日から

2018年7月2日まで

その後、1年ごと自動更新

(注)マクニカネットワークス株式会社は2021年10月1日付で株式会社マクニカに吸収合併されております。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。