当社グループにおける経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項については、本書提出日現在において判断したものであります。
当社の企業理念は以下のとおりであります。
当社は1994年6月の創業以来、「人を大切にするココロのこもったサービスを提供すること」、「最先端技術による創造的なソリューションサービスを提供すること」、「事業の安定化に向けた基盤構築を提供すること」の3つを基本方針とし、「情報と通信と人材」を合理的かつ効果的にマネジメントし、取引先企業に新しい価値を提供することで信頼されるビジネスパートナーとなることを信条に事業を行っております。
すべての従業員の行動指針となる心構えを「社心」と呼び、社心は「信頼はすべての礎なり」としております。高度情報化が進むグローバル社会で求められる多様な課題に対して、一人ひとりの個性を尊重し絆を作り上げ、より大きなパフォーマンスを発揮することで築いていく強い信頼こそが、課題解決に必要な心構えであると考えます。まさに、多種多様な特性を持つ自然の石を組み上げることで揺るぎのない石垣を築き上げる「礎」が信頼の原点であり、当社の信念であります。
当社グループの経営戦略は下記のとおりであります。
各事業のシナジーを生み出し、選択と集中により、既存事業の量・質ともに向上させてまいります。ITを用いた多様なサービスを展開している当社グループの強みを活かし、シナジーの産出、ワンストップのサービス提供、よりニーズのある領域へのシフト、クロスセル展開を目指しております。
新たな領域における新サービスを生み出し、主力事業に育ててまいります。既存の技術を用いた新たなソリューションを考案するとともに、AI等の先端技術を用いた創造的なソリューションを開発してまいります。そのための論文調査、研究機関や大学との共同研究、新アーキテクチャの考案、目的にあったAIの実現性の確認、検証等の研究開発に注力しております。
事業成長のみならず、人の育成にも力を入れ、更なる強みを目指します。継続的な成長の原資である人材は、当社グループにとって、最も重要な経営資源と認識しております。人材の育成のため、入社時研修、入社2年目・3年目研修、スキルに合わせたオンザジョブトレーニング、専門的な知識やマネジメントスキルの習得を目指す外部トレーニングの活用等を行っております。
企業価値を継続的に拡大することが重要であると考え、売上高及び営業利益を重要な経営指標としております。高収益事業の開発及びビジネスモデルの確立により、これらの指標の向上を図ってまいります。
直近3連結会計年度の、当社グループの各種指標の推移は以下のとおりであります。
日本は「失われた30年」といわれる長期デフレを経験することで、雇用形態もそれまでの終身雇用から派遣や契約社員の雇用へシフトし、IT人材についても長期的な社内での育成よりもアウトソーシングに依存する割合が多くなりました。長期的な伸びが期待できない中、積極的な設備投資に踏み切れない企業にとってアウトソーシングは非常に好都合であり、先行きの経済環境に劇的な変化が起こらない限り、今後もアウトソーシングの需要は高止まることが予測されます。加えて、昨今の労働力不足・人材不足を背景とした働き方改革やDX(デジタル技術による業務変革)の推進により、企業は自社内リソースの再構築を加速させており、ノンコア業務をアウトソースする機運も高まっております。
システム開発関連業界においては、既存システムの刷新や運用支援などの需要は引き続き底堅いと見込まれます。
一方、少子高齢化による労働人口の減少、「2025年の崖」問題等から人材不足が恒常化しております。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によりますと、労働生産性の年0.7%上昇を前提に、2025年に36万人、2030年には45万人のIT人員の不足が予測されており、今後、IT人材の確保が困難になっていくことが予想されます。
当社グループにおいて、人材は最も重要な経営資源の1つであり、今後の事業拡大には優秀な人材の確保及び育成が重要な課題であると認識しております。
当社グループの属するITアウトソーシング業界、中でも、IT人材系ビジネスにおいては、基盤となる情報通信分野において様々な国家戦略や政策が掲げられておりますが、IT人材の恒常的な人員不足が続いております。このような状況の中、当社グループは、優秀な人材を獲得すべく、新卒採用向けのインターンシップの機会を設けるほか、キャリア採用にも力を入れております。加えて、育児休暇やリモートワークの推奨、有給休暇の取得推奨など、働きやすい環境づくりに力を入れて取り組んでおります。今後は、これらの取り組みに加え、採用活動の更なる強化、従業員教育のための研修制度の一層の充実、社員の成長を支援するための人事評価制度や資格取得推進制度の運用、社員満足度向上を目的とした福利厚生の充実など、より強固な人的基盤の構築を目指してまいります。
当社グループでは、多様なサービスを扱うことから、顧客に対してワンストップでITサービスを提供することが可能であります。当社グループでは、顧客に対して幅広いサポートを行うため、営業部員の事業部出向の機会を与えることで、事業部を横断した複数のサービスの提案が可能な体制を整備しております。加えて、パートナー企業との連携を進め、顧客の状況に応じて、パートナー企業と相互に顧客を紹介し合う関係性を構築しております。当社グループでは、これらの取り組みを継続して進めることで、新規顧客の獲得だけではなく、営業力の強化、更には既存顧客に対するクロスセル機会の創出につなげてまいります。
当社グループの属するITアウトソーシング業界においては、競合企業も多く競争が激化しつつある状況です。このような状況の中、当社グループのサービスを顧客に浸透させるためには、他社との差別化が必要であると認識しております。
当社グループでは、顔認証サービスにおいて、顔認証技術の最新の動向をキャッチアップすることに加え、AI技術の推進を進めるなど、技術面の向上に取り組んでおります。加えて、当社グループにおける人材の教育に力を入れることで、更なるサービス面の向上も目指しております。当社グループでは、このような継続的な技術力、サービス力の向上を行うことで、顧客の継続的な信頼獲得につなげてまいります。
当社グループの広告宣伝・販売促進活動は新型コロナウイルス感染症と働き方改革によるB to B市場の変化に伴い、オンライン重視で展開しております。訴求表現では、動画CM、バナー広告から当社Webサイトまで「DX推進はロココ」を統一メッセージに、企業認知とブランドイメージ向上、営業リードの獲得を目的に継続的に実施してまいります。
当社グループは、財務報告の信頼性を確保するため、内部統制システムの適切な運用が重要な課題であり、今後の更なる事業拡大には、効率的かつ適正な業務運営体制の構築が重要であると認識しております。当社グループでは、コーポレート・ガバナンスを有効に機能させることによって、内部管理体制の更なる強化に取り組むと同時に、企業価値の最大化に努めてまいります。
当社グループは、継続的かつ安定的な事業の拡大を図るためには、手許資金の流動性の確保や、金融機関との良好な取引関係の継続が重要であると認識しております。当社グループは、有利子負債も活用した上で十分な事業資金を確保し、新たな事業価値創出のために機動的な資金調達を実行できるよう、内部留保の確保と株主還元の適切なバランスを模索していくことを、財務上の課題として認識しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、自社のサステナビリティ活動を経営の重要項目と位置付けております。当社グループが企業価値を高めながら持続的に成長し続けるためには、経営理念にある「人(人材)を大切にする」経営を維持することが重要であり、人材を資本・投資と考え人の価値を最大限に引き上げていく必要があると考えております。また、高度情報化が進むグローバル社会で求められる多様な課題に対して、一人ひとりの個性を尊重し絆を作り上げ、より大きなパフォーマンスを発揮することで築いていく強い信頼こそが、課題解決に必要な心構えであると考えます。当社では、すべての従業員の行動指針となる心構えを「社心」と呼び、「信頼はすべての礎なり」としております。当社はこの社心のもと、人を大切にするココロのこもったサービスで、最先端のソリューションを提供しております。今後も継続して、“社心”「信頼は全ての礎なり」を持って社会に貢献していくとともに、長年にわたって培った「ココロのこもったIT アウトソーシング」と「最先端技術」によるDX 推進支援により、取引先企業でのI T における中心的立場にあり続けることを目標としております。
当社グループは、企業価値を継続的に向上させるためには、法令の遵守に基づく企業倫理の確立や、迅速な経営判断と経営チェック機能の充実が重要であると認識しております。このため、公正かつ正確な情報開示に努めるとともに、経営の透明性を高め、現在の株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人など、法律上の機能制度を一層強化・改善・整備しながら、コーポレート・ガバナンスを充実させていきたいと考えております。
当社グループは、事業を行う上で、人材が最も重要な財産の1つであると位置づけております。経営理念である「人(人材)を大切にする」を念頭に置き、お客様へのココロのこもったサービスを常に提供していく一方で、ロココで働くすべての社員が成長し続け、ロココで働いていることの満足感を高め続けるべく、「採用」「教育」「環境」に区分して以下の事業戦略上の取り組みを行っております。
当社グループは、性別・国籍・職歴等の属性に関わらず、当社で活躍できる社員を幅広くフラットに採用することを基本方針としております。具体的な目標数値は定めておりませんが、専門的な人員の確保、育成を意識した環境整備を行い、多様な人材の確保、能力のある人材の管理職への登用は性別や国籍に関係なく行っております。結果として、企業グループ全体の従業員のうち女性の割合は38%程度、外国人の割合は15%程度、中途採用者の割合は75%程度となっており、十分に多様性の確保が行われていると判断しております。また、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用はそれぞれ20名、5名、112名と複数の実績があります。
当社グループの具体的な人材育成の施策としては、以下が挙げられます。
・スキル・経験・特性等、職能別人材要件の定義
・女性幹部職、外国人登用等の採用計画策定
・経営幹部、管理職、エンジニアなど職能・階層別の体系的な研修制度の充実
・国籍、性別、年齢、宗教に関わらないダイバーシティへの対応
上記を踏まえ、スキル・特性等のコンピテンシー調査の実施、人材育成・研修の実施を行います。その後、社内面談やMBO(目標管理制度)による調整、女性幹部職、外国人登用状況の把握、方針とのすり合わせを行った上で、採用や研修計画へ気付きを反映し、人材教育をより良いものにできるよう取り組んでおります。
なお、当社はこれまで中途採用による即戦力を比較的重視しておりましたが、現在は新卒採用にも力を入れて取り組んでおり、毎年50名の採用を目標としております。これに伴い、中途採用者だけでなく新卒採用者向けの教育研修も重点的に取り組んでおります。
当社グループでは、社員それぞれのワーク・ライフ・バランスに合った働き方ができる環境を整備し、社員が安心・安定して働ける職場の提供に努めております。 従業員のエンゲージメントの強化に向けた取り組みとして、従業員の意識実態、満足度の把握、従業員のアセスメント(資格、スキル、特性など)、従業員のモチベーション向上、表彰制度による評価、承認、健康促進への取組み等が挙げられます。
具体的には、意識実態項目、把握方法、実施周期、集計、フィードバック方法を決定し、満足度調査による実態把握(満足度、アセスメント)を実施し、エンゲージメント向上につなげております。また、調査結果を受け、スキルマップ作成、表彰、健康指導、人事ローテーションなど必要なアクションも行っております。
当社グループは、企業活動に関するリスクについて、経営戦略上のリスクや業務運営上のリスクを把握・評価し、必要な予防対策や活動を推進するべく、リスク管理委員会を設置しており、四半期に一度開催することとしております。委員長は代表取締役社長が担当し、委員は常勤取締役、管理本部長及び法務責任者が担当しております。
当社グループは、上記「(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
(注)1.実績について、連結子会社が外国法人であるため提出会社のみ記載しております。
当社グループの事業においてリスクの要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
当社グループが提供するサービスには、ITO&BPO事業が行うITやビジネスプロセスのアウトソーシング及びクラウドソリューション事業が行うシステム開発・保守・導入支援があります。
BPO業界においては、市場の拡大と需要の高まりを受け、異業種からの参入企業が増加している状況であります。また、インフラコスト削減の必要性が高まっていることや、DX推進のため、効率的・効果的なクラウド運用を行いたい企業が増加していることなどから、クラウド内で行う設計・構築・運用等のアウトソーシングは、順調な市場の成長が見込まれます。市場の成長に伴い、新たなサービスをラインアップする事業者や新規参入する事業者も増加しております。
当社グループは、顧客のニーズに対応した様々なサービスを提供し、顧客企業のオペレーションの一部を担い、顧客と直に長期の信頼関係を構築することで、ノウハウを蓄え付加価値の高い提案を行えることを強みにしております。
他社との差別化を図る上で、ワンストップのサービス、セキュリティやガバナンス、マルチベンダ対応、柔軟性や連携性、先端テクノロジーへの対応力等が鍵になると考えられますが、日々、技術革新が進み、市場のニーズは変化していくものであり、今後、当社グループがこれらの流れについて行けず、明確な競争優位戦略を確立できなかった場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、市場の動向について十分に情報の収集を行って対応策を検討している他、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しました、優秀な人材の確保及び育成、営業力の強化、クロスセル機会の創出、技術力・サービス力の向上、認知度の向上、ブランドの確立に努め、継続的に事業の強化・成長を目指しております。
当社グループが展開するサービスを取り巻く環境は、労働人口の減少、企業のグローバル化、IoT・AIをはじめとしたデジタル技術の進展などを背景に、業務の効率化やコスト競争力の強化、売上拡大などに繋がるアウトソーシングサービスの需要拡大が見込め、今後も成長が続くと考えられます。また、社会的なDXの推進によりServiceNow事業を始めとしたクラウド関連事業の需要拡大が見込め、今後も成長が続くと考えられます。
しかしながら、景気の変動による受託業務の業務量の変更、顧客企業の業績状況や個人情報保護などの観点からアウトソーシングからインソーシングへ転換する動きなどが生じた場合及びDX推進ニーズを的確にとらえることができない場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、市場の動向について十分に情報の収集を行い、分析した上で対応策を検討しております。また、多様な事業を展開する当社グループの強みを活かし、より成長性のある分野へのシフトを継続的に模索しております。
当社グループは、M&Aを利用して事業規模の拡大を実現しており、今後も既存事業の規模の拡大及び新たな技術の獲得を目的として、M&Aを実施する可能性があります。
しかしながら、何らかの理由により当初想定した事業シナジーが発揮できない場合、統合にあたり適切なコントロールができない場合、事業展開・事業拡大が計画どおりに進まない場合等、M&Aに伴う何らかの問題が顕在化する可能性があります。これらの問題が発生した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループは、M&Aを行う際には、デューデリジェンス等により法務、財務及び労務に関する問題を十分に調査し、既存事業とのシナジーなどについて十分な検討を行っております。その上で、取締役会における承認等の社内手続を経て意思決定を行うこととするなど、リスクを十分に検討するための体制の整備を行っております。
当社グループのイベントサービス事業は、コンサート、舞台等イベントに関するチケッティングサービスをトータルに提供していることから、イベント規模及び開催回数によりその収益が大きな影響を受けており、また当事業の利益率が高いことも特徴であります。未知のウイルス感染症等の蔓延によるイベントの自粛や、イベント会場手配や開催に伴う不測の事態等によりイベント取扱件数の大幅な減少が発生した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の既存取引先である株式会社SMILE-UP.(旧:株式会社ジャニーズ事務所)の所属タレントによるイベント開催時のチケッティングサービス業務は、そのグループ会社である株式会社ヤング・コミュニケーションから当社グループが委託を受けて行っていること、同社は当事業における主要取引先であることから、所属タレントの離脱等によりファンが減少した場合には、開催するイベント規模の縮小及び回数の減少が起こる可能性があり、その結果当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、株式会社SMILE-UP.は補償に特化し、株式会社STARTO ENTERTAINMENTがエージェント会社となりタレントと個別にエージェント契約を結ぶことになりますが、同社の経営体制の変更等によりイベント運営会社である株式会社ヤング・コミュニケーションへのイベント運営業務委託自体が行われなくなった場合には、同社から当社グループへの依頼が減少し、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、コンサート、舞台等イベントに関するチケッティングサービスをトータルに提供してきた実績、ノウハウを生かして、新規取引先の獲得を図っております。また、イベントサービス事業以外の事業の強化により当社グループ全体での安定的な収益確保を図っております。さらに、2020年から2021年にかけて新型コロナウイルス感染症が蔓延し、その影響でイベントの中止や規模の縮小となりイベントサービス事業の売上が大きく減少した際には、同事業に携わる人員を他の事業部門へ異動させ、エンジニアや運用支援の売上を獲得してきた実績がありますので、上記のような事象が発生した場合には同様の対応を行うことで、損失の発生を避け、グループ全体の売上及び利益に対する影響を最小限に留めることにより、リスクの低減が可能であると考えております。
当社グループでは、顧客の要件を把握した上でソフトウエア開発を行っております。ソフトウエア開発においては、要件定義が不十分であり顧客の要求水準を満たさない場合や想定外の問題が発生した場合など、ユーザー要件を満たすための開発工数が見積工数を大幅に超過した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、開発を行う際に、一定の規模以上の案件について受注時において見積審査会を開催することに加え、すべての案件について、要件定義のレビューや責任者による確認を行い、契約内容・形態及び見積金額の妥当性について受注前に十分な検討を行っております。また、開発終了後には必要に応じて当初の原価見積もりと原価実績の比較分析を行うことで、精緻な見積もりを行うための体制の整備を行っております。
当社グループは、受託業務や常駐サービス等において、当社グループのエンジニアの他、協力会社のエンジニアを利用しております。協力会社のエンジニア利用には、協力会社の確保及び協力会社との良好な関係構築が重要であり、当社グループでは、協力会社との良好な関係を維持しておりますが、今後、何らかの理由により、協力会社との関係が悪化し、連携を取ることが困難となった場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループは、月に1度の月次報告を行うなど、定期的にコミュニケーションを取っており、協力会社との良好な関係の維持のための対策を図っております。また、協力会社の新規開拓を行うことなどにより、複数の協力会社を活用し、特定の協力会社に依存しないような体制整備を行っております。
当社グループが提供する製品及びサービスについて、サービス提供開始後に、当該製品に不具合が生じた場合、又は、導入後の技術サポート等において当社グループに責任のある原因で支障が生じた場合、契約解除に伴う売上の減少や、損害賠償責任の発生や顧客の当社グループに対する信頼喪失により、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、十分な検証やテストを実施した上でサービス提供を行っております。また、定期的なアップデートやモニタリングの実施により、安定的なサービスの提供を行うことが可能であり、不具合が発生した場合でも迅速な対応をとることができる体制の整備を行っております。
当社グループは、ITアウトソーシングのサービスを提供しておりますが、競合の増加によるサービス価格の下落やエンジニア不足による人件費の高騰、競合他社による新たなビジネスモデルの出現、もしくは当社グループの予期しない技術革新等により、当社グループのサービスが陳腐化した場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、採用しているビジネスモデルや技術について、最新の動向を分析するとともに、新たなビジネスモデルや、新規サービスの提供による事業展開を検討しております。また、採用の強化や人材の育成によるサービス価値の向上を図っており、より付加価値の高いサービスの提供を可能にするための体制の整備を図っております。
当社グループの経営上の重要な契約は、「第2事業の状況 5経営上の重要な契約等」に記載のとおり、Cotofure株式会社と顔認証アプリケーション・プログラムの使用許諾契約を締結しております。当該契約が解除やその他の理由に基づき終了した場合、もしくは当社グループにとって不利な改定が行われた場合、又は契約の相手方の経営状態が悪化すること等により当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、当社グループ従業員の技術力及び営業力の向上による契約締結先への影響力の向上を図っており、契約締結先との定期的な情報交換等を通じて良好な関係を構築し、安定的な関係の継続を図っております。
当社グループにおいて、人材は最も重要な経営資源の1つであり、今後の事業拡大には優秀な人材の確保及び育成が重要な課題であると認識しております。
しかしながら、当社グループの計画どおりに人材の採用、教育が進まない場合及び退職等により当社グループの事業戦略に重大な支障をきたした場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループは、優秀な人材を獲得すべく、新卒採用向けのインターンシップの機会を設けるほか、キャリア採用にも力を入れております。加えて、適切な育成計画に基づく人材の育成、育児休暇やリモートワークの推奨、有給休暇の取得推奨など働きやすい環境づくりに力を入れて取り組んでおります。
当社グループは、中国及びフィリピンに子会社を有しており、業務の一部を委託しております。海外における事業展開には、様々な潜在的リスクが伴い、当該国の政治・経済・社会情勢などの要因により、事業の継続が困難となる等のカントリーリスクを有しております。このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、各国・地域の法律や規制に係る動向には常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。また、現地の顧問弁護士や会計事務所等と情報共有することにより、適時に必要な情報を収集するための体制の整備を行っております。
当社の代表取締役社長である長谷川一彦は、当社の創業者であり、創業以来、経営者として経営方針や経営戦略を決定するとともに、新規事業の事業化や、当社グループ全体の経営判断に至るまでの重要な役割を担っております。今後、予期し得ない理由により同氏の業務執行が困難になった場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、役職員による情報共有や権限の委譲による経営組織の強化を図るなど、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
当社グループの事業拠点の周辺地域において大規模な自然災害等が発生し、当社グループの設備の破損や、インフラ供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループのサービスのうち、24時間365日対応可能なコールセンターやヘルプデスクは、大阪・東京にそれぞれ拠点を構えることでリスク分散をさせております。また、その他のサービスは、リモートワークを積極的に活用することにより、リモートでの事業運営体制を確立することで、地震、台風、津波等の自然災害や、火災、停電等が発生した際に備えております。
当社グループは、個人情報保護法、労働基準法、労働者派遣法及び下請法等の様々な法的規制を受けております。当社グループでは法令遵守に努めておりますが、何らかの法令違反により当社グループの社会的な信用力が低下した場合及び当社グループにとって不利な法的規制の改正が行われ当社グループの事業戦略に影響を及ぼした場合は、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、社内教育等により法令遵守に努めているほか、コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンス推進体制の強化を実施しております。また、定期的に社労士や顧問弁護士とコミュニケーションを取り必要に応じて相談を行い、適時に情報を入手する体制の整備を図っております。更に、リスク管理委員会及び内部監査等において、法令遵守状況のモニタリングを行っております。
現在、第三者より知的財産権に関する侵害訴訟等を提起されることや、そのような通知は受け取っておりませんが、当社グループが認識していない知的財産権の侵害により訴訟等を受けた場合は、当社グループの社会的な信用力の低下や損害賠償請求等の発生により、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループが有する知的財産権の侵害について顧問弁護士及び弁理士といった外部専門家に定期的な相談を行うことにより、知的財産権に関する管理を行う体制の整備を行っております。また、新規サービス開始時には、外部専門家に調査を依頼するなど、他社の知的財産権を侵害しないための体制の整備を行っております。
当社グループでは、事業の特性上、顧客の個人情報や、取引先企業の機密情報を取り扱う場合があります。
情報管理に係る各種施策にもかかわらず、コンピューターウイルスの侵入やサイバー攻撃、その他想定外の事態の発生により情報の流出が発生した場合は、当社グループの社会的な信用力の低下や、損害賠償請求による費用が発生し、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、情報セキュリティの国際規格(ISO27001)、国内規格(Pマーク)の取得及び個人情報保護法に基づく、情報管理に係る規程類の整備により、情報の適正な取り扱いと厳格な管理を行うための体制の整備を行っております。また、各種研修等の実施により全役職員及び外注先等に対して個人情報等の取扱いについて周知徹底を図っております。
当社は、企業価値を継続的に拡大し株主の皆様へ利益還元を行うことを重視しております。株主の皆様への安定的な利益還元と当社グループの持続的な成長を実現するため、配当金については、業績、財政状態及び将来の事業展開等を総合的に勘案し適宜見直しを行っていく方針としております。
上記方針に基づき、当事業年度の配当につきましては、1株当たり20円としておりますが、今後、事業環境の急激な変化などにより事業が計画通りに進展しない場合には、安定的な配当を実施できない可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、事業計画の達成に努め、企業価値を継続的に高めていくことにより、株主へ適切な利益還元を行う方針であります。
当社は、役職員等の業績向上に対する意欲や士気を高めるため、ストック・オプション制度を採用しております。本書提出日の前月末現在、ストック・オプションによる潜在株式総数は215,900株であり、発行済株式の5.8%に相当しております。これらのストック・オプションが行使された場合、新株式が発行され、株式価値が希薄化する可能性があります。
(主要な対応策)
ストック・オプション制度の採用にあたり、1株当たりの株式価値に希薄化が発生する可能性がありますが、役職員等の業績向上に対する意欲や士気の高まりを通じて、株価変動に係る利害を株主と共有することで、企業価値向上への貢献につなげられるよう努めてまいります。
株式上場時の公募増資による調達資金の使途につきましては、人材雇用・研修教育費、海外進出のための現地市場調査費、借入金返済等に充当する予定であります。
しかしながら、経営環境等の変化に対応するため、調達資金を計画以外の使途に充当する可能性があります。また、当初の計画どおりに資金を充当した場合においても、想定どおりの成果をあげられない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループでは、経営環境等の変化に対応するための突発的な資金需要が発生した場合に備え、内部留保を行うとともに、金融機関等からの柔軟な資金調達を行える体制の整備を行うなど、計画どおりの成果をあげられるよう努めております。
当社グループが事業活動を行う中で、取引先、従業員その他第三者との予期せぬトラブルが発生し、訴訟等が発生する可能性があります。訴訟の内容及び結果によっては、訴訟に係る対応費用の発生や、当社グループの社会的な信用力の低下により、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な対応策)
当社グループは、取引先との契約内容の遵守及び顧問弁護士への相談を行うことに加え、社内教育やコンプライアンス活動の推進により、法令違反等を防止することで訴訟に発展するリスクを排除するよう努めております。また、内部通報窓口及びハラスメント相談窓口を設置し、従業員とのトラブルを未然に防ぐ取り組みを行っており、取引先との定期的な情報交換により安定的な関係の構築・維持を図っております。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(経営成績の状況)
経済活動の正常化が進み、企業収益や設備投資の改善、インバウンド需要の増加などから、景気は緩やかな持ち直しを見せました。一方、世界的なエネルギー・食料価格の高騰、欧米各国の金融引き締め、ウクライナや中東情勢の緊迫化等、国内外において景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
情報サービス業界においては、引き続き、働き方改革の進展により、生産性の向上及び業務効率化に対する情報システムの需要が継続的に高まっています。企業はより利便性の高い情報システムを求めており、リモートワークを前提とした新しい働き方への移行から、クラウドサービスの浸透が一層進んできております。このような市場環境の中、エンジニア常駐によるIT運用支援やソフトウエア開発、ServiceNowを中心としたDX推進支援サービスの売上は堅調に推移した一方、コールセンター業務の大口契約が2022年11月に契約終了となったことが影響し、カスタマーコミュニケーション事業については売上・利益とも前年同期を下回る結果となりました。
売上高は7,175,217千円(前年同期比3.6%増)となりました。主な増減理由については、セグメント別の業績に記載しております。
売上高増加に伴い、売上原価は4,503,276千円(前年同期比5.4%増)となりました。
利益率の高いイベントサービス事業の売上が減少したこと等から、売上高に比べて利益はあまり増加せず、売上総利益は2,671,940千円(前年同期比0.6%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、2,191,420千円(前年同期比11.6%増)となりました。
上記の結果、営業利益は480,520千円(前年同期比30.5%減)となりました。
営業外収益16,892千円(前年同期比41.3%減)及び営業外費用46,588千円(前年同期比115.2%増)を計上した結果、経常利益は450,824千円(前年同期比35.5%減)となりました。
特別利益の計上はなく、特別損失2,699千円(前年同期比83.8%減)を計上しました。課税所得の減少及び当社が当事業年度より外形標準課税の対象法人となったことから、法人税、住民税及び事業税は147,688千円(前年同期比35.0%減)となりました。法人税等調整額は、10,979千円(前年同期比457.2%増)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は289,456千円(前年同期比36.1%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
当セグメントにおきましては、ITサービスマネジメント事業におけるIT運用支援業務が既存案件の拡大や契約更改による単価上昇などにより堅調に推移しました。カスタマーコミュニケーション事業ではコールセンター業務の新規契約を獲得したものの、2022年度第1四半期における特需案件として新型コロナウイルスワクチンのコールセンター業務を受注していたことや、2022年11月に契約終了となった大口案件の影響により、売上・利益とも前年同期を下回る結果となっております。イベントサービス事業においては、2022年度は新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により、通常よりコンサート等の規模・回数ともに大幅に拡大しましたが、当連結会計年度は通常の規模・回数に戻りました。
その結果、売上高は4,516,946千円(前年同期比4.6%減)、営業利益は329,637千円(同37.4%減)となりました。
当セグメントにおきましては、企業におけるDX推進の流れにより、ServiceNow事業において新規契約を獲得し好調に推移しております。ソリューション事業では非接触需要の増加に伴う施設向けのソリューション導入案件の新規契約を獲得したほか、イベント関連での顔認証ソリューション売上が好調でした。システムソリューション事業では受託開発案件や、Microsoft社との協業による開発案件の受注が前年同期を上回りました。HRソリューション事業では、医師の働き方改革による勤怠管理システムの需要が増加しており、医療機関との新規契約を獲得しております。
その結果、売上高は2,524,522千円(前年同期比20.6%増)、営業利益は147,869千円(同10.3%増)となりました。
海外事業におきましては、外部顧客への売上高が好調に推移した一方、人件費の高騰等の影響でコストが大幅に増えました。
その結果、売上高は391,113千円(前年同期比8.0%増)、営業利益は1,543千円(同94.2%減)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べ1,072,631千円増加し、3,518,645千円となりました。主な要因は、現金及び預金が上場に伴う新株発行等により858,041千円、売掛金及び契約資産が売上増加等により232,578千円増加したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末と比べ46,957千円増加し、859,750千円となりました。主な要因は、事業譲受によりのれんが40,166千円増加し、のれんに係る繰延税金資産を計上したこと等で繰延税金資産が12,255千円増加し、有形固定資産が減価償却等により14,996千円減少したことによります。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ53,631千円減少し、1,328,248千円となりました。主な要因は、償還により1年内償還予定の社債が50,000千円、未払法人税等が納付等により74,954千円、それぞれ減少したこと、買掛金が29,036千円、未払費用が27,037千円、それぞれ増加したことによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ67,254千円減少し、738,121千円となりました。主な要因は、償還により社債が40,000千円、返済により長期借入金が23,312千円、それぞれ減少したことによります。
純資産は、前連結会計年度末と比べ1,239,029千円増加し、2,313,020千円となりました。主な要因は、上場に伴う新株発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ469,530千円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益289,456千円が計上されたことによる増加になります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は1,847,713千円となり、前連結会計年度末と比べ822,936千円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果獲得した資金は185,313千円(前連結会計年度は443,086千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益448,125千円が生じたこと及び法人税等を285,872千円納付したことによります。
投資活動の結果使用した資金は146,954千円(前連結会計年度は54,017千円の使用)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出47,105千円、事業譲受による支出67,000千円及び保険積立金の払込による支出15,829千円が生じたことによります。
財務活動の結果獲得した資金は775,574千円(前連結会計年度は287,553千円の使用)となりました。これは、上場に伴う新株発行による収入934,791千円、長期借入による収入400,000千円、長期借入金の返済による支出409,270千円、社債の償還による支出90,000千円、リース債務の返済による支出25,965千円、割賦債務の返済による支出27,834千円が生じたことによります。
当社グループが行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループでは、概ね受注から売上までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績(外部顧客への売上高)をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当連結会計年度については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はないため、記載をしておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績等の状況」をご参照ください。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは中期経営計画の中で具体的な経営指標等の目標値を定めております。2023年12月期の目標と実績は下記のとおりであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの資金需要の主なものは、今後の事業規模拡大・維持のための人的資本への投資、M&A資金や運転資金等であります。これらの資金需要は、営業活動により生じる自己資金、金融機関からの借入及び社債発行で賄うことを基本としております。
当社グループは、事業活動に必要な流動性を安定的に確保するため、銀行との間で6億円のコミットメントライン枠を設定しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成のための重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について、繰延税金資産を計上することとしております。将来の課税所得の見積りのベースとなる事業計画は、近い将来の経営環境に大きな変化がないと仮定して策定しており、将来の受注数量、販売単価及び労務費等の主要な仮定が含まれております。将来の課税所得の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、実際の金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。進捗度の見積りにあたってはインプット法を採用し、見積り総原価に対する発生原価の割合で算出しております。
収益は、見積り総原価に対する発生原価の割合に契約金額を乗じて算出しており、契約金額については、契約書又は注文書により定めており、発生原価の主な構成要素である人件費は、等級別の単価に実際工数を乗じて算出しております。
上記の見積り総原価は、案件ごとに要する作業時間(以下、工数という。)を要員別の等級の単価に乗じることで合理的に見積もっております。なお、主要な仮定としては、受託開発、コンサート運用業務の作業に伴い発生が見込まれる工数が挙げられます。
ソフトウエア受託開発の工数は、受託開発案件それぞれが開発の特性や顧客の求める品質等により異なるため、個別に判断を行う必要があり、類似する案件の過去の実績等を考慮して工数を見積っておりますが、仕様変更や開発体制の変更等の当初予見し得なかった事象により、実際の原価と見積り総原価に差異が生じる可能性があります。
コンサート運用業務の工数は、コンサート等の規模や抽選条件の難易度等、各公演ごとに個別に判断を行う必要があり、過去の実績から算出された標準工数をベースに条件に照らし合わせ、工数を見積っておりますが、条件の追加・変更やコンサートの中止・延期等、当初予見し得なかった事象により、実際の原価と見積り総原価に差異が生じる可能性があります。
当連結会計年度末の仕掛中案件について、見積り総原価に大幅な見直しを要する状況が発生した場合には、翌連結会計年度の損益に重要な影響を与える可能性があります。
(受注損失引当金の算定)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、連結会計年度末時点で将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについては、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を引当計上しております。当該損失額は、過去の経験等も用いて、将来起こりうる事象を総合的に勘案して算定しておりますが、予想し得ない工数の増加等が生じた場合、実際の損失発生額が受注損失引当金の計上金額と相違する可能性があります。
当社グループの研究開発活動は、「人を理解するAIによる社会課題の解決」を方針とし、新製品開発本部新製品開発部が主体となり、研究開発及び製品化を行っております。
研究開発では論文調査、研究機関や大学との共同研究、新アーキテクチャの考案、目的にあったAIの実現性の確認、検証を行っております。製品化においては、研究開発で性能の見込がたったAIをもとに、顧客が使用するにあたって必要なアプリ開発やデータの管理のための基盤開発、製品サポート環境の開発を行っております。
当連結会計年度の研究成果といたしまして、自社開発の顔認証エンジン「RFA」のSDK(ソフトウェア開発キット)の開発に成功し、アルコール検知器メーカーに採用されております。
また、「RFA」は、これまでスマートフォンやタブレットの利用を想定した設計となっておりましたが、他のシステムに組み込んで利用できるようにしたことも、研究成果の一つです。これにより、AIカメラメーカーと協業し、セキュリティーの分野まで利用シーンを広げられるようになりました。
今後は人に関連する様々な社会問題を解決するために、これまでの画像分析に加え、動態分析、感情分析を研究し製品化することを目的としております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は