当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は「生徒第一主義」を掲げ、質の高い授業と面倒見を、未来を担う子供たちに提供し、「生徒の成績を上げる指導を通じて社会に貢献します。」という経営理念を実現するために日々サービスの改良改善を続けております。
小中高校の生徒数は、団塊ジュニア世代の山である1985年度の2,226万人をピークに減少を続け、2024年度には過去最少となる1,198万人にまで減少しております。近年の減少率は加速傾向にあり、2024年は2014年比で11%の減少となっております。今後も小中高校の生徒数は減少が予想され、中長期的に当社のターゲット総数は減少していくことが予想されます(文部科学省「学校基本調査」2024年12月18日公表)。
一方、公立高校無償化や入試制度の多様化といった制度改革に加え、オンライン指導や映像授業をはじめとするICT技術を活用した教育コンテンツが急速に普及するなど、教育業界をとりまく環境は大きく変化しております。
このような状況の中、直近3年間において、学習塾の受講生徒数は減少に転じつつも、売上高は右肩上がりの成長となっていることから、子供に対する教育投資は今後も増加していくことが予想されます(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」2025年3月19日公表データ)。市場は当面拡大していくことが想定される反面、多様化するニーズへ迅速に対応することが求められております。
日本の未来を担う次世代の子供たちを育てる教育はその重要性を益々高めていくものと考えております。当社は、成績を上げ志望校に合格させることを通じ生徒の可能性を無限に広げるべく、開校以来「最も生徒の面倒見がよく成績の上がる塾」を目指し邁進してまいりました。経営環境は少子化やオンライン化、学習内容の改革など、今後も刻々と変わっていくものと思われますが、当社はこれまでの経営戦略の方向性を大きく転換するのではなく、今まで築いてきた当社の事業の特徴を今後より深化させ環境の変化に合わせて充実させていくことが、社会のニーズに適合し子供たちの教育に貢献できるものと考えております。
1 基本経営戦略
高い集客力が当社の収益の源泉であり、その集客力は「教師力」「特徴的な提供サービス(学習環境)」「教材品質」が生み出しているものと考えております。そして高い集客力があるからこそ、「大型の郊外型校舎」が実現できるのであり、その結果、収益性の安定に繋がっていくものと考えております。よって、以下の通り、これら全ての当社の特徴を日々改善に取り組み高めていくことが当社の経営戦略の基本となります。
① 集客力の向上
ⅰ 教師力向上の為の体制充実
優秀な教師による高品質な指導こそが事業の根幹であります。当社では、高品質な指導とは、生徒の成績を上げることが先行するのではなく、面倒見が良く生徒と接することで生徒ひとりひとりのやる気を引き出し生徒自らが夢を叶える為に取り組んでいけるように導くことであると考えております。現在ゼミ部門では、厳選採用・入社時及び入社後の研修・実際の授業の本部での品質チェックや指導などを実施しておりますが、今後も日々研鑽を続ける教師のサポート体制の充実に、全社で取り組んでいきたいと考えております。
ⅱ 提供サービス(学習環境)の改善
当社では、季節に応じたイベントやパフォーマンスを実施しており、チラシや塾生の紹介を通じて外部のお子様も招待するケースがございます。それらの機会を通じて、当社の提供するサービスや学習環境に触れて頂き入塾に繋がるケースもございます。現在の当社の提供サービスには、「学力別に細分化したクラス編成」「無料の補習提供」「担任制や保護者会などによる面倒見の良さ」などがございますが、更なるサービスの改善に取り組んでいきたいと考えております。
ⅲ 品質の高い教材の開発
当社では、効率よく成績をあげることに注力した教材が良い教材であると考えております。よって、教材にはあらゆる項目が網羅的に含まれている教材よりも、むしろ厳選された内容で重要な内容が盛り込まれている教材の方が適切である場合がございます。当社での多くのオリジナル教材は原則薄い仕様を意識し、「一冊やり終えた達成感」を生徒が味わえるように工夫しております。当社は今後も、生徒の学習意欲を刺激し理解が深まる教材の開発に努めてまいります。
② 大型の郊外型校舎の開設
当社は、ゼミ部門では1校舎当たり150~200坪規模の大型の自社もしくは賃貸のビルでの出店が主体となっております。また、正社員教師は車通勤であることが多いため、社員が通勤しやすい駅前での出店に拘る必要はなく、対象となる生徒がより多く居住する郊外エリアに出店できることから物件費を割安に抑えることが可能となります。当社は今後の事業拡大にあたって、進出を予定しているエリアにおいて適切な大型物件の確保を確実に行っていけるよう、社内体制を強化してまいります。
2 中期戦略
当社は、基本経営戦略の進捗を確認しながら、中期的にはまずは埼玉県を中心に出店により事業拡大を図っていきたいと考えております。また、小学生低学年の指導や新たな講座の開発、部門間のシナジー効果の実現など、会社の事業価値向上のために努めていきたいと考えております。
当社は、質の高い授業と面倒見の良さを子供たちに提供し、生徒の成績を上げる指導を通じて社会に貢献していくことを経営理念に掲げ、日々企業価値の増大を目指しております。現状の当社を取り巻く事業環境を踏まえ、以下を課題と認識し対応に取り組んでおります。
(教師の指導の品質向上)
当社は全国から優秀な人材を正社員として採用し、長年現場で教師職として活躍してきた経験者を中心とした人材開発部において、最低でも2か月、長い場合には1年近くに及ぶ十分な研修を実施しており人材の育成を強化しております。また新人、ベテラン関係なく全教師に対して、生徒からのアンケート評価や本部による講義収録映像を通じた品質チェックを定期的に実施し、その結果を踏まえて改善指導を行っております。現在は新卒採用を強化し、長期的な視点で将来の幹部候補の育成を進めております。当社は最も重要な経営資源を「社員」であると考え、高品質な指導を生徒に提供していくため、今後も教師の品質向上に取り組んでまいります。
(生徒への面倒見の更なる充実)
当社が掲げる生徒第一主義とは、当社に通塾している生徒が満足するサービスを提供していくことにありますが、その中でも「生徒の成績を上げる」ことが重要であると考えております。当社は面倒見の良さを自負しており、生徒の苦手分野について無料補習や定期テスト対策を実施し、数学・英語の授業ではアシスタント教師も加わり宿題や小テストの採点を行うなど、生徒一人一人への個別指導を提供しております。また、クラス毎に担任教師を置き、定期的な電話フォロー及び三者面談の実施など、生徒・保護者との信頼関係構築に努めております。当社は一人でも多くの生徒の成績が上がり当社に満足いただけるよう、サービス品質の向上に取り組んでまいります。
(高い成長性の実現)
当社は埼玉エリアを中心とした大型校舎の出店により事業拡大を進めておりますが、出店にあたっては優良な物件と教師の確保が鍵となります。物件開発力の更なる向上を目的とした開発課の新設や、インターンシップ及び内定者研修等の充実による採用力強化など、本部機能の拡充を進めてまいります。また、育成した社員が自律的にスキル向上に努め長く当社で活躍できるよう、働きやすい職場環境の提供による人材の安定化にも取り組んでまいります。
(企業ブランドの向上)
当社は、競合他社とは差別化した独自のサービスレベルの確立を目指し、企業ブランドの確立に取り組んでおります。生徒への対応をより深化させ成績向上や合格実績を積み重ねていくことのほか、集団と個別部門間のノウハウ共有による相乗効果の拡大やICTを活用したオンライン授業の展開など、新たな事業モデルの開拓も目指してまいります。また、インターネット広告を活用した認知度向上にも取り組んでおります。
外部環境の変化に対してサービス品質の向上に取り組むとともに、コーポレートガバナンスの強化やコンプライアンスの徹底により継続的な事業運営が可能となるよう、引き続き経営体制の強化に努めてまいります。
当社は、企業価値を継続的に拡大することが重要であると考え、売上高と営業利益を経営上の重要な指標としております。また、事業運営におきましては、収益の基盤であり、当社のサービスに対する顧客からの評価結果の表れと考えている生徒数の動向を注視しております。
収益性の観点におきましては、売上高営業利益率を有効な指標であると考えております。営業活動が効率的に行われたかどうかを見るために有効な指標であることが当該指標を重視している理由であり、当社では、18.0%の水準を経営目標の目安としております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
サステナビリティ関連のリスク及び機会の監視、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続については、当社の主要事業である学習塾事業が環境に与える負荷が小さく、また気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響は少ないものの、「
短期、中期及び長期にわたり当社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組のうち、重要なものについて該当事項はありません。
人的資本につきまして、当社は行動規範である「生徒第一主義」を実践し、生徒に対し質の高い授業と面倒見を提供できる人材の確保と教育に努めております。わかりやすい授業は勿論のこと、どのような生徒であっても勉強に対するやる気を引き出し、成績の向上や志望校の合格等を通じ、生徒の夢を実現させることが出来るのが当社の理想とする優秀な「教師」であり、そのような教師像を体現できる人材への投資は経営上の最重要課題であると考えております。その実現のため、当社では「社員第二主義」を掲げ、好待遇での社員の入社や、長期間の研修をはじめとした入社後の手厚いフォロー等、社員が生徒を全力でサポートする教師として働きやすい職場環境の整備に注力しております。また、今後は障がい者や女性等多様な人材の雇用や活用推進にも取り組んでまいります。
当社において、サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別、評価、及び全社的な管理をリスク・コンプライアンス管理委員会で行っております。優先的に対応すべきリスクの洗い出しについては、当社に与える財務的影響、当社の活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえ行われます。今後の状況に応じて、サステナビリティに係るリスク管理の強化を検討してまいります。
また、アルバイトを含めた従業員が、自ら通報できる内部通報窓口を設置し、規程および法令に違反する行為について通報を受け付ける体制を構築しております。
サステナビリティ関連のリスク及び機会に関して、会社の実績を長期的に評価し、管理し、及び監視するために用いられる情報のうち重要なものについて、該当事項はありません。
また、人的資本に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関しましては、現段階では目標や指標を定めておりませんが、今後多様性ある人材の登用の観点から、女性の活躍を推進していきたいと考えております。2025年3月31日時点において6名であった女性教師は、最新年度より新たに2名入社しており、女性管理職については、今年度より1名登用しております。当社では、人事制度においては男女間での評価格差は一切なく、また育児・介護休業制度や時短制度を整えるなど、女性が長く活躍できる環境整備に努めてまいりたいと考えております。
本書に記載した当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク事項には以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。なお文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、当社に関する全てのリスクを網羅したものではありません。
当社は、日本国内において教育サービスの提供を行っており、その売上収益は日本国内における景気・物価の変動・業界の動向等に影響を受けます。特に少子化問題及び教育制度の大きな改革については、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
一方、保護者の学習塾に対する選別の意識は高まっております。当社は、質の高い授業と徹底した面倒見の良さにより、保護者や生徒の求めるニーズに対応しております。
当社は、質の高い教育サービスを提供するため、人材の採用・育成を重要な課題と認識しております。そのため、授業を行う正社員である教師及びアルバイトについても、当社の求める水準の人材の確保や育成が計画通りに行えない場合には、サービスの質の低下を招き、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
上記リスクに対しては、新卒採用活動を強化し長期的な人材育成を進めると同時に、中途採用等も積極的に実施しています。又、教育研修制度の拡充や働き甲斐のある人事評価制度の構築など、安定的な人材の確保に取り組んでおります。
当社は、生徒・保護者等の個人情報を保有しております。何らかの事情により個人情報が外部に漏洩した場合は、当社が損害賠償責任等を負う可能性や当社の社会的信用の失墜により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
上記リスクに対しては、個人情報保護規程等を制定し、個人情報の取扱いに関する業務フローを定めて適切な運用に努めております。個人情報の不正利用防止の観点では、権限管理により業務上不必要な社員の基幹システムにおける個人情報へのアクセスを制限するとともに、システム内のログ記録やカメラ映像により監視する体制を設けております。また、従業員に対して個人情報保護に係る継続的な研修を行うことで、個人情報の不正利用・漏洩防止を含むコンプライアンス意識の啓発を図り、個人情報保護に取り組んでおります。
当社は、教室設備や土地・建物等の有形固定資産を保有しております。これらの資産については減損会計を適用し、毎年、減損の兆候について精査し、減損処理が必要と判断される場合は適切に処理することとしております。そのため、事業の収益性が大きく低下した場合や不動産の市場価格が著しく下落した場合等には、減損損失が発生する可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は拠点別の損益管理を厳格に行うことで収益性確保に努めております。
当社は、展開する校舎の一部については、賃貸物件を利用しております。しかしながら、賃貸人の全ての状況を適時に把握することは困難であるため、賃貸人の状況によっては、敷金及び保証金の保全又は回収ができない可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策として、新規で賃貸借契約を締結する際には、可能な限り賃貸人の経営状況等の確認を行うとともに、契約条件に関しても近隣相場や採算性を十分考慮して決定しております。
大規模な災害の発生により、当社の保有する校舎や施設等への物理的な損害、役職員への人的被害又は顧客への被害があった場合や、災害に起因する社会的要請等があった場合には、事業所等の一時閉鎖又は営業継続が難しい状況に陥る可能性があります。
当社としましては、社内防災体制を構築し人的被害の最小化を図り、事業の継続に向け迅速かつ円滑に対処ができる体制を強化してまいります。しかしながら、これらの想定を超える災害発生により、校舎の損傷等による営業日数もしくは営業時間の減少が発生した場合、当社の業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
学習塾業界におきましては、通常の授業に加え春期・夏期・冬期の講習会を実施しております。そのため講習会を実施する月の売上高は増大します。また講習会を実施する時期に重点的に生徒募集を継続していくため、新年度をスタートしてから受験期を迎えるまでに生徒数は増大し、1月にピークを迎えます。一方、教室運営費用(人件費・家賃等)は通期で継続して発生します。このため、第1四半期の収益性が低くなる傾向にあります。
当社が属する教育業界は、当社と同様に教育事業を展開する大小の集団塾や個別指導塾が競合しております。当社の現在の出店地及び今後の出店候補地には、当社と顧客対象を同じくする他社の店舗が多数存在する地域もあります。
当社は、生徒第一主義を基本方針として、生徒一人ひとりの目標を捉えたきめ細やかな指導を行っております。特に、ゼミ部門については教師が正社員中心であるため、駅前に拘らず生徒が多い住宅地に出店することができることによって、競合先との差別化を図っておりますが、更なる競争激化によって当社の市場占有率が停滞した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では校舎新設にあたり綿密なマーケットリサーチを行い、校舎の新規開設を進めておりますが、地価の高騰等により好立地に物件を確保できない場合や、ターゲットとしている地域における環境の著しい変化等により、開設事業計画に大幅な乖離が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社はターゲットとしている地域の経済状況や人口動態等の市場分析を適時行い、変化に対して迅速かつ柔軟に対応できる体制を整えるとともに、様々なルートから当社のニーズにあった物件情報を入手するなど、校舎の新規開設計画の着実な遂行を行う体制を整えております。
学習塾の安全管理について、例えば校舎内での怪我や不審者の侵入など、何らかの事情により管理責任を問われる事態が発生し当社の評価の低下につながり、これに関する費用が増大した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は定期的な施設の点検を実施し設備の更新を行うなど、安全な学習環境、サービス環境の提供に努めております。また、塾生専用のICカードにて施設への入退室を管理し生徒の入退室の時刻を保護者に通知するサービスを行うなど、生徒の家庭との連携体制を敷き、生徒の安全管理に努めております。さらに、生徒の登下校時には、当社社員が送迎する保護者の車の誘導を行い、通塾する生徒の出迎え・見送りを実施するなど、生徒の安全管理に努めております。
入試制度の変更や学習指導要領の改訂等、行政による教育制度の変更が度々行われております。万一、これらの制度変更に早期に対応できなかった場合、予期せぬ大きな制度変更が生じ対応に時間を要した場合、生徒数の減少を招き、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は常に教育制度の変更等を注視し、より顧客ニーズに合致した新しい教育サービスの開発・提供に努めるなど、制度変更の影響に柔軟に対応する組織を構築しております。
当社は、在籍確認、授業料請求及び授業の映像配信等をシステムに依存しているものがあります。大規模なシステム障害が発生し、修復にとりわけ長い時間を要した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、このようなシステム障害等に備え、定期的バックアップ、稼働状況の常時監視、不正アクセス防止のためのセキュリティ強化等のリスク対応策を講じております。
当社の事業に関連する主な法令は、著作権法、不当景品類及び不当表示防止法、下請法、労働基準法等があります。関連する法令等に基づいて損害賠償請求等に係る訴訟が提起された場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、著作権法に関しては、例えば教材・プリント類を作成する場合の許諾を本社で一括取得するとともに、マニュアルを整備し作成基準の周知徹底を行っております。不当景品類及び不当表示防止法に関しては、本社で全ての広報物の事前チェックを行うことで一元管理を行っております。また、経営者及び従業員に法令等の遵守の重要性及び必要性について周知徹底に努め、法令遵守のための体制強化に努めております。
当社は、群馬県・栃木県・埼玉県・東京都の関東4都県に事業展開しております。第33期事業年度における全社売上高に占める各県別の売上割合は、群馬県36%・栃木県20%・埼玉県38%となっており、これら3県での売上依存度が高くなっております。これらの地域で経済情勢が悪化した場合、地震・台風その他の災害が発生した場合や、他社参入により当該地域における当社の優位性が低下した場合には、新規入塾生の減少や通塾生の減少等により、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、中長期ではエリア拡大を図ることで、当該地域への集中リスクを最小化することを検討してまいります。
当社の代表取締役会長である吉原俊夫並びに同氏の資産管理会社である株式会社YMMは、当事業年度末現在で発行済株式総数(自己株式を除く。)の62%以上を保有しております。同氏は当社の創業者かつ代表取締役会長であり、今後も大株主として引き続き一定の議決権を保有する見込みであるため、株主総会や取締役会等を通じ、役員の選解任を含む当社の意思決定に重要な影響を及ぼしうる立場にあります。
ただし同氏は、その議決権行使に当たっては少数株主の利益にも配慮しつつ株主共通の利益を追求する方針です。当社としても安定株主であると認識している一方、将来的に何らかの事情により同氏保有の当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
企業としての独立性の観点を踏まえ、関連当事者との取引は、本来不要な取引を強要されたり取引条件が歪められたりする懸念があり、株主の本来利益の流出などの観点から当社としては注意する必要が高い取引であることから、当該取引の事業上の必要性と取引条件の妥当性等、取引内容については取締役会で審議し承認を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を築いております。しかしながら、万が一、取引内容を審議する機会が得られず、取引すべきでない取引を行った場合又は不当な条件の下で取引が行われた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社の不動産賃借取引において、代表取締役会長の吉原俊夫より債務保証を受けていた取引がありましたが、当社は当該債務保証に係る保証料を支払っておらず、また当該債務保証契約は上場日をもって解除されました。当社は、今後原則として新たな関連当事者取引を開始しない方針であります。
当社の創業者であり、大株主でもあります代表取締役会長の吉原俊夫は、企業文化の創造、経営方針、戦略の決定等に重要な役割を果たしてまいりました。何らかの理由により同氏に不測の事態が生じた場合には、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
なお、当社は経営に関する重要事項の意思決定・判断は取締役会が行っているため、当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えており、顕在化した場合の影響度も低減されていると考えております。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果、インバウンド需要の伸長もあり、景気の緩やかな回復が見られました。一方、アメリカの新政権の動向、不安定な国際情勢、エネルギー価格や原材料費の高騰など、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
学習塾業界におきましては、高校授業料無償化や入試制度の多様化、ICT技術の発展による教育のデジタル化などによって新たなビジネスチャンスが広がっており、経営環境の変化への迅速な対応が求められております。一方、少子化が進む中で、異業種からの新規参入やM&Aによる事業拡大など企業間競争は一層厳しさを増しており、他社と差別化された質の高いサービスへのニーズが高まっております。
このような外部環境におきまして、当社は創業以来、「生徒の成績を上げる指導を通じて社会に貢献します。」を経営理念として掲げ、成績を上げ志望校に合格させることを通じ、日本の未来を担う次世代の子供たちの可能性を無限に広げるべく、「最も生徒の面倒見がよく成績の上がる塾」を目指し邁進してまいりました。その結果、群馬県・栃木県・埼玉県及び東京都内に拠点を展開し、生徒数は2025年1月末時点で2万1,000名を超えるまでに成長いたしました。拠点数は、ゼミ部門で5月に坂戸鶴ヶ島校(埼玉県鶴ヶ島市)、東松山校(埼玉県東松山市)の2校舎を開校した結果、62拠点となりました。
当社では、対面での授業をメインとし、無料の補習や定期テスト対策、担任制による学習・進路指導を実施しているほか、欠席者にはオンライン授業を配信してフォローするなど、きめ細やかなサポートを実施しております。また、トップ校向けの対策講座を新たに開講するなど、ニーズに応じた様々なサービスを展開しております。当事業年度における期中平均生徒数は、新規拠点の開設により19,289名と、堅調に推移いたしました。
当事業年度における売上高は6,986百万円(前事業年度比8.1%増)、営業利益は1,492百万円(前事業年度比2.8%増)、経常利益は1,508百万円(前事業年度比5.0%増)、当期純利益は1,038百万円(前事業年度比3.2%減)となっております。
部門別の経営成績は、次のとおりであります。
<ゼミ部門>
ゼミ部門では、主に小学生、中学生を対象とした教育事業を展開しており、当事業年度における期中平均生徒数は15,694名(前事業年度比5.4%増)、売上高は5,295百万円(前事業年度比9.2%増)となりました。
<ハイ部門>
ハイ部門では、主に高校生を対象とした教育事業を展開しており、当事業年度における期中平均生徒数は2,723名(前事業年度比5.6%増)、売上高は1,138百万円(前事業年度比3.1%増)となりました。
<ファースト個別部門>
ファースト個別部門では、主に個別指導を対象とした教育事業を展開しており、当事業年度における期中平均生徒数は873名(前事業年度比13.4%増)、売上高は552百万円(前事業年度比8.2%増)となりました。
(資産)
流動資産は、前事業年度末比709百万円減少の4,419百万円となりました。これは、その他の流動資産97百万円の増加と、現金及び預金824百万円の減少が主な要因であります。
固定資産は、前事業年度末比1,049百万円増加の4,895百万円となりました。うち、有形固定資産は前事業年度末比507百万円増加の4,067百万円、無形固定資産は、前事業年度末比22百万円減少の48百万円、投資その他の資産は、前事業年度末比564百万円増加の778百万円となりました。
この結果、当事業年度末の資産総額は、前事業年度末比339百万円増加し、9,314百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末比143百万円増加の1,409百万円となりました。これは、未払法人税等168百万円の増加と、預り金23百万円の減少が主な要因であります。
固定負債は、前事業年度末比5百万円減少の890百万円となりました。これは、長期未払金712百万円の増加、役員退職慰労引当金718百万円の減少が主な要因であります。
この結果、当事業年度末の負債総額は、前事業年度末比137百万円増加し、2,300百万円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産額は、前事業年度末比201百万円増加の7,014百万円となりました。これは、繰越利益剰余金263百万円の増加、利益準備金33百万円の増加、自己株式の取得92百万円の減少が主な要因であります。
以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末の75.9%から75.3%となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより3,769百万円(前年同期は4,493百万円)となり、前事業年度末に比べ、724百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益1,508百万円(前年同期は税引前当期純利益1,428百万円)、減価償却費162百万円(前年同期は減価償却費154百万円)が収入要因となり、他方、棚卸資産の増加額3百万円(前年同期は棚卸資産の増加額8百万円)、法人税等の支払額307百万円(前年同期は法人税等の支払額427百万円)等が支出要因となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,259百万円の収入(前年同期は1,017百万円の収入)となり、前事業年度末と比べ241百万円収入が増加いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻100百万円が収入要因となり、他方、有形固定資産の取得による支出689百万円(前年同期は有形固定資産の取得による支出585百万円)、投資有価証券の取得による支出508百万円(前年同期は無)、敷金及び保証金の差入による支出38百万円(前年同期は敷金及び保証金の差入による支出7百万円)等が支出要因となりました。
この結果、投資活動によるキャッシュ・フローは、1,140百万円の支出(前年同期は602百万円の支出)となり、前事業年度末と比べ538百万円支出が増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出102百万円(前年同期は無)、配当金の支払額741百万円(前年同期は配当金の支払額251百万円)が支出要因となりました。
この結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、843百万円の支出(前年同期は117百万円の支出)となり、前事業年度末と比べ725百万円支出が増加しました。
当社は、生徒に対して授業を行うことを業務としていますので、該当事項はありません。
当社は、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当事業年度の販売実績は次の通りであります。なお当社は学習塾事業の単一セグメントでありますが、事業部門ごとに記載をしております。
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当事業年度の売上高は、6,986百万円となり、前事業年度と比較して523百万円(8.1%)の増収となりました。
ゼミ部門では、年度内に新たに坂戸鶴ヶ島校(埼玉県鶴ヶ島市)、東松山校(埼玉県東松山市)の2拠点を開校したことで売上高が87百万円増加しました。また前事業年度に開校した上尾校(埼玉県上尾市)と岩槻校(埼玉県さいたま市岩槻区)、北越谷校(埼玉県越谷市)においても生徒数が順調に増加し売上高が281百万円増加しました。その他の既存拠点においては、本科授業料の価格改定もあり堅調に推移しました。以上により、当事業年度の売上高は5,295百万円となり、447百万円増収(前事業年度比9.2%増)となりました。
ハイ部門では、春期講習無料キャンペーン等の減収要因はありましたが、生徒数が順調に増加し、当事業年度の売上高は1,138百万円となり、34百万円増収(前事業年度比3.1%増)となりました。
ファースト個別部門では、北関東エリアの拠点では前事業年度に開校した越谷レイクタウン教室(埼玉県越谷市)において生徒数が順調に増加したことにより、売上高は148百万円となり、30百万円の増収(前事業年度比25.7%増)となりました。東京エリアの拠点では生徒への手厚い指導が支持を得たことなどによる生徒数の増加から売上高は404百万円となり、11百万円の増収(前事業年度比2.9%増)となりました。以上により、当事業年度の売上高は552百万円で、41百万円の増収(前事業年度比8.2%増)となりました。
当事業年度の売上原価は、新規開校に伴う備品購入や人員確保等の費用拡大のほか、水道光熱費の高騰など費用増加要因もあり、4,137百万円(前事業年度比8.1%増)となりました。この結果、当事業年度の売上総利益は2,849百万円(前事業年度比8.2%増)となりました。
当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度において役員報酬の改定に伴う役員退職慰労引当金繰入額の減額があった反動により、1,356百万円(前事業年度比14.8%増)と前事業年度より増加いたしました。この結果、当事業年度の営業利益は1,492百万円(前事業年度比2.8%増)となりました。
当事業年度では、有価証券利息の計上等により営業外収益が18百万円となり、営業外費用は賃貸物件に係る固定資産税や地代の計上等により2百万円となりました。この結果、当事業年度の経常利益は1,508百万円(前事業年度比5.0%増)となりました。
当事業年度では、法人税、住民税及び事業税を491百万円計上した結果、当事業年度の当期純利益は1,038百万円(前事業年度比3.2%減)となりました。
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析②財政状態の状況」に記載したとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析③キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
当社の主な資金需要は、労務費や地代家賃、広告宣伝費等の営業費用の他、新拠点設立に伴う設備投資資金であります。これらの資金需要は自己資金でまかなえる状況でありますが、今後必要に応じて銀行借入も検討してまいります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社の財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社の経営陣は財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的に判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、当該見積り及び当該仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績に生じる影響など、その記載内容を補足する情報は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社は売上高、営業利益、売上高営業利益率を重要視するとともに、事業運営上の重要指標として生徒数の動向を注視しております。
当事業年度については、売上高6,986百万円(前事業年度比8.1%増)、営業利益1,492百万円(前事業年度比2.8%増)、期中平均生徒数19,289名(前事業年度比1,057名増)となりました。また、売上高営業利益率は21.4%(目標水準18.0%)となりました。
当事業年度は、ゼミ部門にて新たに開校した校舎において生徒数が順調に推移したこと、既存拠点において本科授業料の価格改定が大きな要因となり、売上高においても好調に推移しました。また、当事業年度は世界的な原料価格の高騰に伴う水道光熱費の高騰や人員増加に伴う人件費の増加等、費用の増加要因がありましたが、一方で、広告宣伝費などの一部経費が減少した結果、営業利益は前事業年度から増加いたしました。
該当事項はありません。
該当事項はありません。