当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「資本市場を通じて社会に貢献します」という経営理念のもと、変化をチャンスととらえ時代と共に成長する企業や時代の変化に左右されず本質的に成長し続ける優れた企業を発掘し、これらの企業へ「ひふみ」を通じて投資を行っています。そして、日本人の「投資=悪」というイメージを払拭するため、たくさんの方々に「ひふみ」を保有いただき、「投資は素敵な経済活動」であるということをお伝えするとともに、現在の状況や今後のライフプランによって異なる一人一人の資産形成のニーズにお応えして、お客様が夢や希望をもってあゆんでいく力になりたいと考えております。
(2)経営戦略等
当社グループは、経営理念の実現のため、ファイナンシャル・インクルージョン(※)を通じて、金融サービスの恩恵をすべての人々が享受できる世の中を目指しております。より多くの人々を「次のゆたかさの、まんなかへ」という思いを込めて、「お金を学び、ひふみでつみたて、共助で支える」取り組みを推進し、投資文化の普及に注力してまいります。なお、当該取り組みを加速させるために、戦略的M&Aや事業投資を実施してまいります。
(※)あらゆる人々が金融サービスへアクセスすることができ、金融サービスの恩恵を享受できるようにすることを意味し、金融包摂と訳されます。
① お金を学ぶ
日本銀行の資金循環統計(速報)によると、2024年3月末の日本の家計金融資産残高2,185兆円のうち、投資信託の残高は119兆円(5.4%)にとどまっています。一方、現金・預金の残高は1,118兆円で、全体の50.9%を占めており、その比率は過去10年以上ほぼ変わらず推移しています。老後2,000万円問題を端緒として資産形成の重要さは認識され始めたものの、「何から始めたらよいのか分からない」というのが大多数の意見ではないかと考えております。
当社グループでは、創業以来、資産形成にアクティブなお客様にエクイティ商品を主に提供してきましたが、これだけでは日本人の大多数である、資産形成にパッシブな方々の将来不安を解消することは難しく、このままでは、資産形成に対する意識によって金融資産の構成が二極化し、金融格差が広がるのでは、と懸念しております。
これらの金融格差を是正するためにも、投資の魅力やお金についての知識を様々なメディアを通して幅広い方々にお届けするとともに、誰もが簡単に、安心して資産形成を始めることができる仕組みを開発・提供し、これまで以上に幅広い層へ資産形成を浸透~資産形成を大衆化~させ、金融・投資に関するリテラシーの向上に寄与してまいります。この一環として、オンライン上での金融・経済・投資教育事業を展開する子会社であるフィナップ株式会社を2024年11月に設立し、事業の加速を目指しております。
② ひふみでつみたて
当社グループは、資産形成の基本・スタンダードは「つみたて投資」であると考えております。安く買って、高く売る、それを確実に続けるのは、プロであっても困難であり、時間を味方につけて、コツコツとつみたてていくことが相場の変動に左右されず、健全な資産形成につながると考えているからです。
この「つみたて投資」を、「ひふみ」ブランドを冠した当社グループの運用する投資信託で行っていただくため、「ひふみ」を長期の資産形成に資する商品となるよう日々ブラッシュアップするとともに、当社グループの目指す世界を広く発信することで、全国のお客様に金融商品のスタンダードとして「ひふみ」を捉えていただき、日本中に「ひふみ」によるつみたて投資を普及させ、日本一のつみたて口座数~日本のみんながひふみでつみたて~を目指していきたいと考えております。
③ 共助で支える
当社グループは、預貯金として金融資産を保有する方々に投資を促すだけではなく、多額の金融資産は保有していないものの、働く世代として、定期的な収入を得ている方々に、「つみたて投資」による資産形成を始める一歩を後押しして、金融サービスの恩恵を享受していただくことが大切であると考えております。しかし、諸事情で働くことができず、「つみたて投資」が実施できない方々に金融サービスの恩恵を享受いただくことも、ファイナンシャル・インクルージョンの観点から重要です。
「自助」により自立して生きていくこと、公的な支援による「公助」も大切ですが、長期の資産形成により富を築いた方々からの「共助」こそが、真の意味でのファイナンシャル・インクルージョンの達成につながると考えております。
「共助」の文化の浸透を図るため、寄付プラットフォームの運営を手掛ける子会社である株式会社Kiffyを2025年3月に設立し、寄付ポートフォリオサービスを他社から譲り受け、運営しております。資産形成で得た含み益の一部を寄付に回す仕組みを追加する等、「共助」の厚みを増していくためのプラットフォーム強化についてさらに検討を進めてまいります。
(3)経営環境
① 投資信託委託業務
当社グループの事業領域である投資信託委託業務に関して、一般社団法人 投資信託協会が公表している統計データによると、2025年3月末時点の公募証券投信の純資産総額は236兆3,101億円であり、このうち、ETFを除く公募株式投信の純資産総額は135兆6,425億円となっており、2020年3月末から2025年3月末までの直近5年のCAGR(年平均成長率)で約19.2%となっております。
(出所:一般社団法人 投資信託協会「公募投資信託 資産増減状況」を基に当社作成 データは各四半期末時点)
ETFを除く公募株式投信の純資産総額は増加したものの、日本の家計における投資信託の存在感は大きくありません。日本銀行が発表している資金循環統計によれば、日本の家計金融資産における投資信託の比率は、2024年3月末時点で5.4%にとどまり、2024年3月末における米国の12.8%、欧州の10.6%と比べて低い水準にあり、日本の家計金融資産の過半は現金・預金が占めている状況が続いています。
(出所:日本銀行「資金循環の日欧米の比較」を基に当社作成)
このような状況について、金融庁は、2021年8月に公表した「2021事務年度 金融行政方針」の中で「我が国においては、家計の金融資産の過半を現預金が占めている状況が続いており、資産の伸びも低い水準に留まっている。」と問題視しており、家計の安定的な資産形成を税制面で後押しするために、引き続きNISAの普及に取り組んでいくとしています。
2014年1月に導入されたNISA(少額投資非課税制度)とは、一定の投資枠内で投資によって得た利益が非課税になる制度で、2018年1月には、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度としてつみたてNISAがスタートしました。2024年1月には、非課税期間が無期限になる等「NISA」制度が改善され、日本の家計金融資産が貯蓄から投資に大きくシフトしております。金融庁が公表する「NISA口座の利用状況調査」によれば、NISA口座開設数は2025年3月末時点で約2,646万口座と堅調に推移しており、着実に普及が進んでいます。
(出所:金融庁「NISA口座の利用状況調査」を基に当社作成 データは各四半期末時点)
また、老後資金の確保を目的として、家計の資産形成を支援する年金制度として確定拠出年金制度があります。確定拠出年金制度は、企業や加入者が毎月一定額の掛金を拠出し、加入者自身が運用する年金制度であり、特にiDeCo(個人型確定拠出年金)については、2017年1月から加入範囲が拡大され、加入者数が増加傾向にあります。「確定拠出年金統計資料(運営管理機関連絡協議会提供)」によれば2017年3月時点のiDeCoの加入者数は45万人でしたが、2024年3月時点では329万人と増加を続け、企業型と合わせると確定拠出年金制度の加入者は1,150万人を超えています。
(出所:「確定拠出年金統計資料(運営管理機関連絡協議会提供)」を基に当社作成 データは各年度末)
② 投資顧問業務(投資一任契約に係る業務)
当社グループの事業領域である投資顧問業務に関して、一般社団法人 日本投資顧問業協会の投資運用会員の契約金額は、2024年3月末時点で、635兆7,529億円となっており、このうち、投資一任業による契約金額は、532兆631億円となっています。投資一任業による契約金額の成長率は2014年3月末から2024年3月末までの直近10年のCAGRで約12.5%となっています。
また、国内株式特化の投資一任契約の契約金額は、2024年3月末時点で119兆2,604億円となっており、2014年3月末から2024年3月末までの直近10年のCAGRで約13.1%となっております。
(出所:日本投資顧問業協会「統計資料」を基に当社作成 データは各年度末)
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 人的資本経営の強化
当社グループの持続的成長を実現するためには、優秀な人材を確保し、その人材が持つポテンシャルを引き出すことが不可欠です。投資運用業を筆頭に、お客様に価値を提供するためには、専門的知識を有するとともに、知見や経験を継続的に蓄積できる人材を適切に処遇していくことが重要です。そうしたなか、生産年齢人口の減少等を受け、各業界で人材獲得競争が激化しております。
これを受け、十分な経験を積んだ専門性の高い人材を確保すること、未経験であっても有望な若手を採用し、社内において教育を行って育成していくこと、採用した人材が、その持つ価値を発揮できるよう働きやすい環境や制度を整備していくことが重要な課題であると認識しております。
② 特定の事業領域からの収益依存の脱却
現在、当社グループの収益構造は、子会社であるレオス・キャピタルワークス株式会社の投資信託委託業務からの収益、特に国内外の株式に投資する投資信託からの収益が大部分を占めております。当社グループの理念に合致し、投資家の方々にとって魅力的な商品は容易に開発できるものではありませんが、運用する投資信託の特性が偏ってしまうことは、特定のマーケットの変動が当社グループの収益基盤に大きな影響を与えることもあり、事業リスクの面から見て当社グループの課題であると考えています。したがって、投資文化の浸透をより進めるにあたっても、新商品の開発の可能性を常に考えながら事業・業務に取り組んでいきます。
また、投資信託委託業務だけでなく、経営理念の実現のため、既存の各子会社の事業拡大の促進及び他の事業領域への拡大を模索するほか、バランスシートを活用したM&Aの推進も視野に入れ、収益基盤の安定化を図り、特定の事業領域からの収益に過度に依存しない健全な事業ポートフォリオの構築を目指します。
③ 当社グループ子会社の事業拡大の追求
当社グループは複数の子会社を有しており、当社グループの理念であるファイナンシャル・インクルージョンの実現という方向性で一致しつつ、各社が独自性ある事業領域で活動しています。また、当社グループは他社への少額出資やファンド出資も行っており、出資先から情報を得たり、出資先が持つネットワークを活用したりできる状況にあります。こうしたなか、当社グループ全体の成長に向け、子会社間の相互シナジーを一層発揮していくことが課題だと考えております。
今後、グループ子会社間における情報共有のあり方の改善やグループ子会社間での人的交流の更なる強化等を通じ、子会社各社が有する顧客基盤や取引先ネットワーク、出資先に関連した情報等をより活用できるようにすることで、子会社間の相互シナジーの実現をさらに図ってまいります。
④ 当社グループの内部管理体制の強化
当社グループは2024年4月以降、持株会社体制へと移行し、それに伴い子会社や合弁会社の数が増加しております。この組織構造の変化に対応し、グループ全体の管理体制を構築・強化することが重要な課題であると認識しております。一部の子会社には、金融商品取引業者としての法令遵守の徹底、リスク管理のための内部管理体制の強化が特に求められます。
今後は、子会社の事業に応じた適切な内部管理体制のあり方を模索しつつ、必要な人材の確保や社内教育の充実を図り、継続的な成長を支える効率的かつ安定的な経営を行ってまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、主として、投信・投資顧問事業を行っており、営業収益は投資信託の運用から得られる委託者報酬と投資一任契約等による投資顧問報酬の2種類の収入によって構成されています。委託者報酬及び投資顧問報酬は、運用資産の残高に一定率を掛け合わせることで算定されます。投資顧問業務の一部では、運用成績に応じて発生する成功報酬がありますが、成功報酬が発生する運用資産残高は、当社グループの運用資産残高のごく一部です。
したがって、当社グループにとって最も重要な経営指標は、収益の源泉である運用資産残高となります。
当社グループは、すべての方が金融サービスの恩恵を受けられる社会、すなわちフィナンシャル・インクルージョンの実現を目指しています。
中核企業であるレオス・キャピタルワークス株式会社では、お客様の長期的な資産形成を重視し、企業との継続的な対話を通じて価値を見極め、未来を共創する姿勢のもとで投資信託の運用・販売を行っています。また、フィナップ株式会社では金融経済教育を通じた金融リテラシーの向上に取り組むとともに、株式会社Kiffyでは寄付プラットフォーム事業を通じて、資本市場が十分に行き届かない領域へお金の流れをつくることを目指しています。
これらの事業を推進する上で、社会やステークホルダー、さらには当社自身がサステナブルであることは不可欠と考えており、人材戦略や非財務経営をはじめとするあらゆる面でサステナビリティの視点を取り入れることで、企業としての持続的な成長と社会的意義の両立を追求してまいります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、全社的なサステナビリティ経営を戦略的かつ体系的に推進するため、「サステナビリティ経営デザイン室」を設置しています。
同室は、グループ全体を俯瞰する視座に立ち、サステナビリティにかかわる社会・環境・ガバナンス等の多様なテーマについて、調査・分析を行うとともに、当社グループにとって最適と考えられる方針、施策の立案及び提言を担い、また既存施策の見直しやブラッシュアップも進め、実効性の高い運営を目指しています。必要に応じて、外部有識者やステークホルダーとの対話を積極的に行い、そこから得られたアドバイスやフィードバックを施策の検討・改善に反映することで、社会的期待に即した柔軟かつ開かれたガバナンスを志向してまいります。
これらの検討結果は社外取締役を含めた取締役会に報告され、同会において方針決定、実行判断がなされる体制を構築しています。単なる助言機能にとどまらず、経営との連携・一体運営を前提に、サステナビリティ課題を経営課題と真正面から捉え、迅速かつ柔軟な対応が図られています。
当社グループはこの体制のもと、事業活動とサステナビリティ対応を不可分一体のものとして位置づけ、企業としての持続可能性を高めるとともに、中長期的な企業価値の向上を実現することを目指し、弛まぬ取り組みを推進し続けてまいります。
(2)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティに関するリスクと機会を適切に把握・管理するため、グループ横断的な視点から課題を抽出・整理する機能として「サステナビリティ経営デザイン室」を設置しています。同室は、社会環境や経営状況の変化に応じて必要なタイミングで柔軟に議論を行う方針としており、形式にとらわれず、実質的な課題解決と提言を重視した体制を構築しています。
サステナビリティ経営デザイン室では、以下のような事項について、全社的な視点から確認・分析・助言・提案を行うことが可能です。
① サステナビリティに配慮した企業経営・運営方針に関する事項
② 運用プロセスにおけるESGインテグレーションに関する事項
③ 組織運営におけるサステナビリティの組み込みに関する事項
④ 前号に掲げる事項のほか、当社グループがサステナビリティに配慮した業務運営を行う上で必要と判断される事項
また、こうした全社的議論を行うにあたっては、以下の当社グループ経営会議の構成員により多様な専門性と実務性を担保した上で、横断的な知見の集約と提言を行える体制を構築しています。
① サステナビリティ経営デザイン室長
② 各取締役(当社)
③ 運用本部長(レオス・キャピタルワークス株式会社)
④ 営業本部長(レオス・キャピタルワークス株式会社)
⑤ 管理本部長(当社)
⑥ コンプライアンス本部長(当社)
⑦ 総合企画本部長(当社)
⑧ サステナビリティに関する知識又は実務経験を有する社外有識者(必要に応じて室長が指名)
また、運用プロセスにおけるESG(環境・社会・ガバナンス)の取り扱いについては、当社グループの子会社であるレオス・キャピタルワークス株式会社において財務諸表の定量情報のみならず、ESGのような定性情報もあわせて企業分析、投資運用を行います。同社では、様々な定性情報を投資判断する際には意識しており、長期的な企業価値の向上と投資判断の質的向上を図っています。また、現時点で定性面に課題を抱える企業であっても、対話・エンゲージメントを通じて、改善の可能性等を鑑みて企業成長を後押しする投資姿勢もとっています。
このように当社グループでは、ルールや形式にとらわれるのではなく、企業のサステナビリティにかかわる経営課題を考え、中長期的な企業価値向上と、それによる持続可能な社会の実現の両立を目指しています。
(3)戦略
当社グループでは、社会課題の解決と企業価値向上の両立を実現するため、サステナビリティ上の重要テーマを13項目のマテリアリティとして特定し、マテリアリティマップを策定しています。なかでも、特にステークホルダーと当社自身の関心が高い6項目を「最重要課題」として定め、重点的な取り組みを推進しています。
① ESG投資・エンゲージメント
② 運用の説明責任(顔が見える運用)
③ 投資啓蒙活動の強化
④ 投資を促す機能改善・サービス開発
⑤ 販売パートナーとの協業深化
⑥ コンプライアンスの遵守
その中核に位置づけられるのが投資啓発活動の強化~「金融経済教育」です。2022年4月より高校家庭科において金融教育が義務化されたことを契機に、全国的にその必要性と実践的なニーズが急速に高まっており、2024年度においても当社グループにとって最重要の戦略テーマの一つとなっています。
このような社会的背景を受けて、当社では新たに立ち上げた金融教育事業とは別に、未来世代に特化した教育活動を担う「ひふみ金融経済教育ラボ」を企画・運営しております。本ラボは、子どもたちや若年層が金融や経済に主体的に触れ、自ら考え・選択する力を養う「場」の提供を通じて、当社の中核理念であるファイナンシャル・インクルージョンの実現を支える基盤となっています。また、金融や投資、経済をわかりやすく学ぶYouTubeチャネル「おかねのまなびば!」を展開し、金融リテラシー向上と金融包摂の推進に取り組んでおり、そのチャネル登録者数は約70万人と着実に成果をあげております。
こうした取り組みの一環として、本ラボでは、知識の提供にとどまらず、「はたらくことの意味」や「社会との接点としての投資」等を考えるワークショップを通じて、参加者が段階的に投資・経済との距離を縮め、将来的に当社の投資家や顧客として接点を持つ“ステップアップのサイクル”を描いています。このサイクルは、当社が描く「価値の循環モデル」を体現するものであり、ひいては投資家層の裾野の拡大と、当社にとっての新たなビジネスチャンスの創出にもつながっています。
2024年度には、本ラボ主導で以下のような取り組みを実施しました:
・ 年間28件の教育イベントを実施(うち多数が販売パートナー、地方自治体、教育機関との共催・協業)
・ 小中学生向け「投資家体験ワークショップ」出展(例:名古屋証券取引所、鹿島アントラーズ戦内ブース等)
・ 大学・高校での金融×キャリア教育プログラム(例:京葉銀行×千葉大学、大阪府立富田林中学校・高等学校等)
・ 教育委員会や学校法人からの要請による出張授業・講演(例:沼津市教育委員会、東京都立青山高校(東京都金融リテラシー向上のための講師派遣事業))
・ 保護者・地域金融教育の展開(例:英語学童への出前授業、地域連携型の社会科見学イベント等)
これらの活動は従業員の理念体現と組織エンゲージメント向上にも貢献しております。当社は今後も、グループの多様な事業領域を活かし、教育・投資・寄付といった社会的機能を統合的に発展させることで、持続可能な社会の実現とともに、企業としての中長期的な価値創造を一層進めてまいります。
(4)人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループは、持続的な企業価値創造には人的資本が不可欠であるとの考えのもとCHRO(Chief Human Resource Officer)を設置し、サステナビリティ経営の観点から人事ガバナンスの強化を進めています。グループ全体の人的資本施策の整合性を図りながら、全社戦略と連動した人材ポートフォリオを構築と、多様な人材が能力を発揮できる環境整備に取り組んでいます。
また、当社グループは、持続可能な経営の根幹を「バリュー」と「カルチャー」にあると位置づけ以下の3つのバリューを定めています、これらは社員の行動や意思決定の指針であるとともに、採用や人事評価の基準にも反映されています。
・ オーナーシップ(自分ごととして考える)
・ 一流的視座(いつも最上を意識する)
・ 一日一笑(柔らかなコミュニケーションを心がける)
これらの価値観を日々の業務や組織運営に浸透させることで、社員の意識と行動を統一し、持続的な組織文化の形成を目指しています。さらに、経営理念とバリューの共有を推進する役職としてCVO(Chief Value Officer)を新設し、組織全体の一体感を醸成する取り組みを強化しています。
当社グループは社員一人ひとりの成長と心身の健康を組織の活力の源であると捉えています。多様化する市場環境のなかで事業を拡大し、お客様の資産形成を支える社会的責任を果たすためにも、多様性の尊重と高いコンプライアンス意識の醸成を重要視し、以下の4つの領域を重点施策としています。
1.キャリア自律の推進と若手管理職の登用
社員のキャリア形成と能力発揮を支援するため、全社横断の「人材開発会議」を設置し、部門を超えた人材戦略の策定と育成・配置を進めています。さらに、職種や部門を超えた挑戦機会を提供する「キャリアトライアル制度」、「人事異動希望制度」や副業の容認等を通じ、社員が主体的に挑戦できる仕組みを整備しています。
これらの取り組みは、タレントマネジメントシステムにより可視化されており、社員の成長と組織の戦略的人材配置を連動させることで、人的資本経営の推進に貢献しています。
また、次世代リーダーの育成として、若手社員の早期登用を進めており、登用後は、プロジェクトや実務を通じた経験の提供、上司や関係者からの継続的なフィードバックにより早期戦力化を図っています。
2.エンゲージメント向上及び健康経営
社員の働きがいと心身の健康を経営の重要課題と位置づけ、エンゲージメントサーベイの定期実施を通じて、数値の変動や異常値をモニタリングしています。心身の健康については、健康診断やストレスチェックの実施や分析、産業医との定期面談体制や社内の相談窓口の整備を行ない、社員が安心して働ける職場づくりを推進しています。これらの取り組みを通じて、組織課題や個々の健康状態の可視化を図っています。
3.多様性と包摂性の促進
性別、年齢、専門性、価値観等の多様なバックグラウンドを尊重し、各社員がその強みを最大限に活かせる環境づくりを進めています。ライフステージに応じた柔軟な働き方(フレックスタイム制度、時間単位有休、遠隔地勤務制度等)の整備に加え、誰もが尊重され、安心して能力を発揮できる包摂的な組織文化の醸成にも注力しています。
採用においても当社グループのバリューを共有できることを選考基準の一つとしており、多様な個性や考え方を持つ人材が、共通の価値観のもとで一丸となって取り組むことで、協働しやすく力を発揮しやすい環境づくりを目指しています。個性の違いを尊重しながらも一体感のある組織を重視しています。
さらに、バリューの共有を目的とした部門単位での集まりや部活動支援、感謝や称賛の気持ちを伝えるピアボーナス制度等を導入し、コミュニケーションを促進する仕組みも導入しています。これらの取り組みにより全社員に平等な機会を提供し、多様性を競争力として転換することを目指しています。
4.コンプライアンスの意識の向上と倫理的風土の醸成
法令や社内規程の順守にとどまらず、高い倫理観に基づいた行動を全社員に求め、原則として毎月コンプライアンス研修を実施しています。業務上の判断や行動における基準を明確にし、健全な企業風土の維持に努めています。
さらに、ハラスメント防止や情報管理を含むリスク管理体制を整備し、公益通報制度やハラスメント相談窓口を設けることで、透明性と公正性の高い職場づくりを推進しています。
今後も、経営戦略と連動した人的資本経営を進化させ、社員の成長と企業の持続的成長の両立を目指してまいります。
(5)指標及び目標
当社グループは、人的資本に関する取り組みの成果を定量・定性の両面から可視化し、継続的な改善と戦略的な人材活用につなげることを重視しています。現在は、重点領域ごとに以下の実績の推移をモニタリングし、指標体系の整備を進めています。
1.キャリア自律の推進と若手管理職の登用
当社グループは社員一人ひとりのキャリア自律の促進と若手管理職の登用が持続的な企業価値創造につながると考えております。
キャリア自律の推進の状況については、エンゲージメントサーベイ(wevox)の項目の1つである「自己成長」スコア(仕事を通じた達成感や成長機会の実感)を主要なモニタリング指標と位置付けています。当該スコアは総合スコアと比較して相対的に低い状況であるため、今後も継続的に取り組みを強化してまいります。
また、若手管理職の登用に関しては、管理職に占める40歳未満の割合をモニタリング指標とし、今後も若手の早期管理職登用と実践的育成を通じて、戦略的人材の早期戦力化と組織全体の底上げを図っていきます。

2.エンゲージメント向上及び健康経営
当社グループは、社員の「働きがい」と「心身の健康」を経営の重要課題と捉え、これらの取り組み状況のモニタリングにはエンゲージメントサーベイ(wevox)の項目の1つである「健康」スコア(仕事量、ストレス反応)及び正社員の離職率を活用しています。
「健康」スコアについては、一定の水準を維持していることを確認しています。一方、離職率については、一部で上昇傾向が見られており、特に若手・中堅層の定着が、今後の人材ポートフォリオ形成において重要な課題となっています。
こうした状況を踏まえ、引き続きモニタリングを継続するとともに、キャリア支援やマネジメント支援のさらなる強化を通じて、定着率の向上と組織の持続的活性化を図ってまいります。

3.多様性と包摂性の促進
当社グループでは、性別、年齢、専門性、価値観といった多様なバックグラウンドを尊重し、各社員が持つ強みを最大限に活かせる環境づくりを進めていますが、多様性と包摂性に関しては、指標設定による評価ではなく、実績値(障害者雇用率、新規採用に関する指標)の推移をモニタリングすることで取り組みの実効性を可視化しています。
今後も、組織の実態を反映した多様性の把握と、風土定着に向けた取組を進めてまいります。また、エンゲージメントサーベイ(wevox)の項目の1つである「人間関係」スコア(仕事仲間及び上司との関係)はバリューを社員の共通認識として浸透された結果、人間関係の良好さにつながるものと考え、指標の一つとしています。


4.コンプライアンスの意識の向上と倫理的風土の醸成
当社グループでは、コンプライアンスの意識向上を重視し、コンプライアンス研修やハラスメント研修を実施しており、事務過誤や公益通報・ハラスメント窓口への相談件数の推移をモニタリングしています。
以下において、当社グループの事業展開その他に関連するリスク要因となる可能性があると考えられる主な項目を記載しております。また、必ずしも事業上のリスク要因とは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループのリスク管理体制の整備の状況については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対処に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)事業内容の特性に係るリスク
① 経済やマーケットの動向に係るリスクについて
当社グループの事業領域は、金融教育事業や寄付プラットフォーム事業を開始したものの、投資運用事業の単一セグメントであり、また当面は単一セグメントの状態が続くものと考えられます。投資運用事業における営業収益は委託者報酬と投資顧問報酬の2種類の収入によって構成されていますが、これは主として、ファンドの運用資産の残高に一定率を掛け合わせることで算定されること、また、ファンドの運用資産残高は純流入額(設定額から解約額を控除した金額)に加え、ファンドの投資対象資産の時価が変動することにより増減するため、当社グループの営業収益は、日本経済のみならず世界経済や世界的なマーケットの動向に影響を受けます。このような状況に左右されないためにも、当社グループでは、お客様につみたて投資を推奨しており、つみたて投資を継続することで、お客様にとっては相場環境を気にせずに投資を継続することが容易になり、また、当社グループにとっても安定的な運用残高の積み上げが期待できます。しかし、経済情勢の不確実性等によって証券市況が悪化する可能性は低いとは言えず、仮にこのような状況となった場合、当社グループの運用資産残高が減少し、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
② ひふみ投信マザーファンドの評価に係るリスク
当社グループは、ひふみ投信マザーファンドに投資をする「ひふみ投信」を始めとした複数の投資信託を運用しており、当該マザーファンドの当社グループの運用資産残高に占める割合は、2025年3月末時点で64.59%となっております。近年は、日本を除く世界各国の株式等を主要な投資対象とし、成長性が高いと判断される銘柄を中心に選別して投資する、「ひふみワールド」、「ひふみワールド+(プラス)」、「ひふみワールド年金」や、国内外の株式及び債券を投資対象としたバランスファンド型の公募投資信託「まるごとひふみ」シリーズ、「ひふみらいと」等の新商品の運用を開始して、上記割合の減少に努めておりますが、ひふみ投信マザーファンドに対する評価の変化や顧客の資産運用の趣向の変化等の要因で解約が広がり当社グループの運用資産残高が減少した場合、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
③ マーケットの流動性に係るリスクについて
当社グループの主力商品である投資信託は、その商品の特性上、顧客はいつでも解約可能であること、顧客に契約の終了又は資金の引出しを禁じるロックアップ期間もないことから、顧客の解約によりファンド規模が縮小する可能性があります。当社グループは、つみたて投資の推進や投資信託を長期に保有するほど信託報酬が低減する仕組みである「資産形成応援団(信託報酬一部還元方式)」を導入する等長期投資を奨励する施策を実施しておりますが、一時に多額の解約があった場合、返還のための資金を手当するため、保有資産を大量に売却しなければならないことがあります。当社グループは、このような解約に適切に対応するためにも、定期的に運用リスク管理委員会を開催して、信託財産の市場リスクや信用リスクに係る状況のモニタリングを実施し、運用リスクについて適切な管理を行っておりますが、投資信託が保有する銘柄を低い価格で売却せざるをえなくなったり、また、保有数量の一部を売却することで当該銘柄の株価が下がり、残りの保有分の評価額が下がったりすること等により、当該投資信託の基準価額が低下し、その結果として当社グループの運用資産残高が減少した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 顧客の動向に係るリスクについて
当社グループは、独立系の投資運用会社として主に国内に顧客ネットワークを独自に構築しておりますが、競合他社が顧客に対して対面販売も行う事のできる金融機関の系列に属することで強力な販売チャネルを活用できるのに比べると、当社グループの顧客基盤は必ずしも十分ではありません。投資信託委託業務においては、直接販売によるお客様の獲得に加え、間接販売ではネット証券や地方銀行等の販売会社とのネットワークを築いて参りましたが、投資顧問業務については、密接な関係を築けている少数の顧客に依存している状況となっています。さらに、間接販売顧客に対しては、主に販売会社を介しての間接的な販売となることから、直接販売のお客様と比べ、長期投資を奨励する当社グループの方針が浸透しない可能性があります。
今後も国内外ともに販売力の拡大に努めて参りますが、販売会社の販売方針の変更による当社グループの運用資産残高の減少や委託者報酬及び投資顧問報酬の条件変更等の結果次第では、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 未上場株式等への投資に係るリスクについて
当社グループは、一部ベンチャーキャピタル業務において、未上場株式等への投資も行っております。未上場企業は、一般に収益基盤や財務基盤が不安定で、売上がない又は僅少である場合が多く、景気や市場動向、競争状況等の影響を受けやすいため、事業の不確実性が高いといった特徴があります。当社グループにおいて、未上場株式等へ投資を実施する際は、投資委員会を開催し、社内で慎重に検討をした上で投資を実行しておりますが、投資先企業の事業が当初の計画どおりに進捗せず、財務状況が悪化した場合、投資資金が全く回収できないリスクがあります。さらに、投資先企業の株式上場やM&A等による出口が保証されているものではなく、株式上場やM&A等があった場合であっても、その株式等を、投資コストを上回って売却できないリスクがあります。加えて、未上場株式等は、上場株式等に比べ、発行体情報の正確性が保証されておらず、流動性が著しく劣る等の性質があるため、未上場段階で売却を行う場合には、その価格が想定を大きく下回るリスクがあります。未上場株式等への投資について、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業環境に係るリスク(経営環境)
① 他社との競合に係るリスクについて
今後、国内外の大手金融機関が投資運用事業に積極的に経営資源を投入した場合や、業界内プレーヤーの統廃合等により、競合他社の規模が拡大した場合は、競争環境が変化する可能性があります。また、当社グループの事業である投資運用事業は金融業界の他業種と比較すると参入障壁が比較的低く、常に新規参入者と競合する可能性があります。このような競争環境の変化に当社グループが柔軟に対応できなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、このような競争環境の変化が、委託者報酬及び投資顧問報酬の過当引下競争をもたらしたり、新規参入者又は既存の競合他社によるファンドマネージャーやその他の従業員の引き抜き競争をもたらしたりする可能性があります。そのような事態が発生した場合には、運用成績や運用資産残高の減少等の悪影響を及ぼす可能性があり、その結果として当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制及び企業会計基準の変更等に係るリスクについて
当社グループは、投資運用業、投資助言・代理業及び第二種金融商品取引業の登録を以下のとおり行っていることから、「金融商品取引法」、「投資信託及び投資法人に関する法律」を中心として、当社グループ事業に関連する各種法令に基づく規制を受けており、これらは主要な事業活動の前提に該当しております。
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取得年月日 |
2007年9月30日 |
2007年9月30日 |
2007年9月30日 |
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許認可等の名称 |
第二種金融商品取引業 (関東財務局長(金商)第1151号) |
投資運用業 (関東財務局長(金商)第1151号) |
投資助言・代理業 (関東財務局長(金商)第1151号) |
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所管官庁等 |
金融庁 |
金融庁 |
金融庁 |
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許認可等の内容 |
委託者指図型投資信託の受益権に係る受益証券の募集又は私募等 |
投資信託委託業、投資一任契約に係る業務 |
投資助言業務を行うこと |
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有効期限 |
- |
- |
- |
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法令違反の要件 及び主な許認可等の取消事由 |
金融商品取引法 第52条、第54条 |
金融商品取引法 第52条、第54条 |
金融商品取引法 第52条、第54条 |
また、自主規制としては、一般社団法人投資信託協会及び一般社団法人日本投資顧問業協会の規則等の規制を受けております。
当社グループは、コンプライアンス部門を充実させる等、これらの法令や諸規制を遵守するための対策を講じており、また、法令や諸規則への違反が発覚した場合には、法令等にしたがって、遅滞なく当局等への届出等を行い、その改善策をすみやかに講じていることから、主要な事業活動の前提となる事項について、その継続に支障を来す要因は発生しておりません。
しかしながら、仮にこれらの法令や諸規制への抵触を完全に防ぐことができず、法令違反等が発生した場合には、罰金、一部の業務の停止、社内管理態勢の改善等に係る命令、又は営業登録の取消し等の処分を受ける可能性があります。また、これらの法令や諸規則の改正又はその解釈や運用の変更が行われる場合において、通常業務への制限、コストの増加等の悪影響が考えられ、その結果として当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、法解釈等の違いにより、監督当局からの行政指導・処分を受ける等した場合には、運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの業績や財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、国内外投資有価証券に投資を行っているため、売買益に関する税率が変更される等の税制の変更や解釈の変更による影響が生じた場合には、顧客の投資マインドへの悪影響を生じ、解約又は新規流入の減少により運用資産残高の減少をもたらす等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、今後、新たな会計基準の適用や従来の会計基準の変更が行われた場合、当社グループの業績や財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替相場の変動に係るリスクについて
当社グループの財務諸表は円建てで表示されているため、外国為替相場の変動は、外貨建て資産及び負債の円換算額に影響を及ぼします。当社グループの営業収益の大部分は円建てですが、一部の投資一任契約の報酬額算定において外貨建てを採用しており、外国為替相場の変動により、これらを円換算する際に、為替差損が生じる可能性があります。また、今後、海外顧客との契約の増加等で外貨建て取引が増加した場合、為替相場の変動に係るリスクが増大する可能性があります。
(3)当社グループの事業体制に係るリスク(内部環境)
① 人材の確保に係るリスクについて
当社グループは、ファンドマネージャーやアナリストをはじめとする高い専門性と豊富な経験を有する人材により成り立っており、今後の事業展開においても優秀な人材を採用・育成し、成長への基盤を確固たるものとする方針であります。しかし、人材採用・育成が計画どおりに実現できなかった場合や、優秀な人材が社外に流出した場合には、当社グループの業績及び事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
人材採用・育成が順調に行われた場合でも、採用・育成関連費用や人件費等が増加することが考えられ、当該コスト増に見合う収益の増加がない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 小規模体制に係るリスクについて
当社グループは小規模組織であり、ガバナンス体制や内部管理体制は当社グループの現在の規模に応じたものとなっています。今後の事業拡大に向けた人材採用・育成や組織体制の強化を図る所存でありますが、計画どおりに進まない場合には、当社グループの業績及び事業展開へ悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 役職員による過誤及び不祥事並びに情報漏えいに係るリスクについて
当社グループは、アクセス権限の適切な設計や情報管理状況に関する自主点検等の社内業務手続の確立を通して役職員による過誤の未然防止策を講じております。また、社内規程やコンプライアンス研修の実施により役職員が徹底して法令を遵守するよう指導に努めております。しかしながら、人為的なミスを完全に排除することはできず、また、役職員個人が詐欺、機密情報の濫用、その他の不祥事に関与し、法令に違反する可能性を否定することはできません。内部者又は不正なアクセスにより外部者が、顧客又は当社グループの機密情報を漏えいしたり悪用したりするリスクも完全に排除することはできません。
このような役職員等による過誤や不祥事等、又は情報の漏えいや悪用が発生した場合、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報管理に係るリスクについて
当社グループでは、事業活動を通じて取得した個人情報及び当社グループの役職員に関する個人情報を保有しております。当社グループでは、個人情報の取扱いについては「個人情報保護規程」、「特定個人情報等保護取扱規程」を策定の上、自主点検による運用状況の確認や全社員向けに定期的に研修を実施して、細心の注意を払っております。しかしながら、万一、当社グループの保有する個人情報が外部に漏えいした場合又は不正使用された場合には、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 訴訟等の可能性に係るリスクについて
当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟等は本書提出日現在存在せず、重大な影響を及ぼすような訴訟に発展する可能性のある紛争も本書提出日現在存在しません。
ただし、関連法規や各種契約等に違反し、顧客に損失が発生した場合又は取引先や提携先、その他第三者との間で予期せぬトラブル等が発生した場合等には訴訟を提起される可能性があります。このような訴訟が提訴された場合、訴訟の内容及び結果によっては当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 資金繰りに係るリスクについて
当社グループは、直接販売している投資信託の買付代金の預かり分について、当社グループが廃業等した場合に顧客に返還しなければならない額に相当する金銭を顧客分別金信託として信託会社等に信託することが法令で義務付けられております。顧客分別金信託として拠出すべき金額には、集金代行業者に滞留している投資信託の買付代金相当額も含まれているとされていること等から、係る金銭を当社グループが一時的に拠出する必要があることが、当社グループの資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、顧客分別金信託として拠出すべき金銭が急増する等して当社グループから一時的に拠出ができなくなった場合には、法令に違反することとなり、監督当局からの行政指導・処分を受け、また、顧客やマーケットの信頼を失い、運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)システムに係るリスク
① システムへの依存に係るリスクについて
当社グループは、投資運用事業に係る顧客管理及び運用業務等の業務を特定の会社が提供するコンピューターシステムの安定運用に依拠して管理・運用しております。現在、当該システムの利用の継続が困難となるような事情は発生しておりませんが、当該システムの利用に支障が生じた場合には、当社グループの業務に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは一部のコンピューターシステムについて内製化しておりますが、当該システムの移行に伴い当該システムの利用に支障が生じた場合には、当社グループの業務に悪影響を及ぼす可能性があります。
② システム障害に係るリスクについて
当社グループでは、「情報セキュリティ管理規程」を定め、情報セキュリティ管理体制に関する方針や情報セキュリティの管理方針、情報セキュリティリスクの統制に係る方針を定め、重要な情報資産をさまざまな脅威から保護し、情報資産に係る各種リスクをコントロールするよう努めております。また、想定しえないシステム障害に備え、基幹システムの堅牢化や二重化、各種機器の稼働状況監視、追跡可能なログ管理、データバック等の対応を行っております。しかし、事故・災害等の自然災害や外部からのサイバー攻撃、その他の不正アクセスにより想定以上のシステム障害が発生した場合には、当社グループの業務に悪影響を及ぼす可能性があります。
このようなシステム障害が発生した場合、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
① 親会社等との関係について
当社グループの親会社であるSBIホールディングス株式会社及びそのグループ会社は、証券・銀行・保険分野のグループ会社で構成される「金融サービス事業」、資産運用に関連するサービスを提供する「資産運用事業」、ベンチャーキャピタル、レバレッジド・バイアウト、事業承継等の各種ファンドの運営を行う「投資事業」、暗号資産マーケットメイカーや、暗号資産(仮想通貨)の交換・取引サービス、システムを提供する「暗号資産事業」、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業や半導体事業、Web3関連事業を行う「次世代事業」の5事業セグメント体制で事業を展開しています。
当社グループの主要業務である投資運用事業は、親会社グループの一部の企業と事業領域が類似しておりますが、投資スタイルや主たる販売先等は異なっております。ただし、親会社グループが当社グループと同様の事業領域の企業を新たに買収する可能性があります。
当社グループとSBIグループ各社との取引関係は以下のとおりとなっております。
(ア)取引関係
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種類 |
会社等の名称又は氏名 |
第1期連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
具体的な取引条件及びその決定方法 |
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取引の内容 |
取引金額 (単位:千円) |
科目 |
期末残高 (単位:千円) |
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同一の親会社を持つ会社 |
株式会社SBI証券 |
代行手数料 |
782,332 |
未払費用 |
361,138 |
商品性等を勘案し総合的に決定しております。 |
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同一の親会社を持つ会社 |
株式会社SBIネオトレード証券 |
代行手数料 |
8,724 |
未払費用 |
2,720 |
商品性等を勘案し総合的に決定しております。 |
(イ)人的関係
SBIホールディングス株式会社 取締役副社長 朝倉 智也氏が当社取締役に就任しております。
(ウ)資本関係
本書提出日現在において、SBIホールディングス株式会社がそのグループ会社を通じて当社の議決権の49.68%を保有しており、株主総会の承認を必要とする事項に関し、同社が影響を及ぼしうる可能性があります。ただし、当社の役員には、株式会社東京証券取引所の定めに基づく独立役員として指定する社外取締役3名及び社外監査役3名が就任しており、取締役会における審議に当たっては、より多様な意見が反映され得る状況にあり、当社の親会社グループからの独立性について確保されていると認識しております。なお、事前承認事項等はありません。
親会社であるSBIホールディングス株式会社及びそのグループ会社を含めた関連当事者との取引については、一般株主との間に利益相反リスクが存在しますが、当社グループでは、関連当事者との取引は原則行わないこととし、取引を行うこと自体に合理性(事業上の必要性)があること、及び取引条件の妥当性(他の取引先と同等の条件であり、個別にその条件の妥当性が確認できる)があることが担保される場合に限り、取締役会決議により取引の開始・変更の決定を行っており、一般株主の利益に十分配慮した対応を実施しております。
② 既存株主の株式売却の可能性について
当社グループの既存株主は、当社株式について長期保有を目的として取得しておりますが、当社グループの業容の変化や市場環境による影響等により当社株式売却等を行った場合には、当社グループの資本構成等に影響を及ぼす可能性があります。
③ ストック・オプション制度に係る希薄化について
当社グループは、取締役及び従業員がオーナーシップ意識を持って業務を遂行するインセンティブとなるよう、ストック・オプション制度を採用しており、当社グループの取締役及び従業員に新株予約権を付与しております。本書提出日の前月末現在、発行された新株予約権の目的となる株式の数は5,916,800株であり、本書提出日現在の発行済株式総数103,473,600株に対して、5.72%に相当しています。新株予約権のすべてが即時に行使され、即時に当社株式価値が希薄化する予定はありませんが、将来的に新株予約権が行使されて当社が新株を発行した場合には、1株当たり利益が希薄化することになります。新株予約権の詳細は、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。
④ 当社株式の流動性について
株式会社東京証券取引所の定める当社株式の流通株式比率は2025年3月31日現在で35.91%となっております。今後は、大株主からの売出し協力、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等、これらを組みあわせて、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定人物への依存に係るリスクについて
レオス・キャピタルワークス株式会社の創業者であり、当社代表取締役会長兼社長である藤野英人は、グループCEOとして当社グループの経営方針の決定において重要な役割を果たしていることに加え、ファンドマネージャーとして投資運用事業において重要な役割を果たしております。また、レオス・キャピタルワークス株式会社の創業者であり、当社代表取締役副社長である湯浅光裕は、レオス・キャピタルワークス株式会社の最高投資責任者及びファンドマネージャーとして投資運用事業において重要な役割を果たしています。
当社グループは特定人物へ過度に依存することなく、より組織的な経営体制を目指し、人材採用・育成に力を入れ、経営リスクの軽減を図る所存でありますが、何らかの事情により藤野英人が当社グループの代表者として通常の職務を遂行できなくなる場合や、何らかの事情により藤野英人・湯浅光裕が最高投資責任者やファンドマネージャーとして通常の職務を遂行できなくなる場合には、当社グループの業績及び事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 新規事業について
当社グループは主として投資運用事業を行いつつ、本書提出日現在において、金融教育事業の「フィナップ株式会社」や寄付プラットフォーム事業「株式会社Kiffy」を設立しております。引き続き、広範囲なシナジーと将来の成長を目的として、投資運用事業における新商品の提供のほか、他の事業領域への事業ポートフォリオ拡大を進める可能性があります。
しかしながら、拡大先の事業領域において、必要な情報、経営資源、顧客関係、事業の専門知識、ブランド認知度が常に適時に確保できるとは限りません。拡大先の事業領域における事業発展には、従前とは異なった経験や知見を有する人材やリソースの確保が必要であり、事業展開に想定以上の時間を要したり、初期投資の負担が収益性を毀損したりする可能性があります。その他、これらの事業領域では、個々の案件を推進した当社グループが第三者に生じた損害に対して賠償責任が生じ得る等の独自のリスクもあり、係るリスクは可能な限り保険又は契約等により回避を図るものの、リスク回避の手法、法的規制に対する十分な理解や内部管理体制の構築、そのための人材の充実が求められます。また万一、監督当局から行政処分を受ける等した場合には、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、当社は、2024年4月1日に単独株式移転により、レオス・キャピタルワークス株式会社の完全親会社として設立されたため、前連結会計年度及び前年同期比較は行っておりません。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。また、当社グループは、投信投資顧問事業(2024年4月1日よりセグメント名を投資運用事業に変更しております。以下同じ。)の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は10,739百万円となりました。その主な内訳は、現金及び預金2,502百万円、未収委託者報酬4,295百万円等流動資産が9,442百万円、有形固定資産558百万円等固定資産が1,297百万円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は3,731百万円となりました。その主な内訳は、未払費用1,770百万円、預り金520百万円等流動負債が3,374百万円、資産除去債務219百万円等固定負債が357百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は7,008百万円となりました。その主な内訳は、利益剰余金6,842百万円、自己株式△1,193百万円等株主資本が6,614百万円、非支配株主持分が391百万円であります。自己資本比率は61.6%となりました。
② 経営成績の状況
当期の日経平均株価は過度の円安への警戒や個別企業の弱気な業績見通しを背景に上値の重い展開で始まりました。一方、利下げサイクル入りへの期待やAI分野の成長期待から過去最高値を更新していた米国株は引き続き堅調に推移する環境下、日経平均株価も7月に入ると出遅れていた反動もあってか大きく上昇し、42,000円超えと過去最高値を更新しました。しかし、7月半ばからは売り優勢にシフトします。米国ではCPI(消費者物価指数)が予想から大きく下振れたことで利下げ期待が高まり長期金利が大きく低下したことで、株式市場では出遅れていた銘柄群に資金が向かった一方、これまで強い動きを続けてきた半導体関連を中心にメガテック株から資金が流出しました。また、日銀の利上げ懸念から為替が円高に反転し、米国テック株の崩れと円高が日本株には重石となりました。7月末の日銀会合では利上げが決定された一方、FOMCでFRB議長がハト派メッセージを送ったことで、円高と日本株売りが加速し、同タイミングで米国の弱いマクロ指標を背景にした景気減速懸念も加わり8月5日の日経平均株価は△12.4%と1987年のブラックマンデー以来の下落率を記録し、32,000円割れまで急落しました。それでも景気減速懸念と株売りは行き過ぎとの見方からすぐにリスクアセット全般で反発に転じました。実際、米国の雇用データは底堅い数字が続き、一時見られていた弱いデータも天候等一時的要因の影響と楽観的な見方が広がり、米国株は再度最高値を更新していきました。ただし、日銀の利上げ警戒が続く中で日本株の上昇は短命に終わり、日経平均株価は4万円の大台で頭打ちとなります。トランプ新政権による米国ファースト政策、欧州では防衛、インフラ強化期待等を背景に欧米株は強い動きが続きましたが、日本株は蚊帳の外で10月から2月まで横ばいが続きました。2月に入るとDeepSeekといった中国発の低コストでのAI開発企業の台頭を受けてAI分野の投資コストが低減するとの懸念からAI関連株が売られ始め、米国株が冴えない動きとなりました。また、当初は交渉手段の一つと楽観的な見方が強かったトランプ政権による関税政策ですが、強気姿勢が目立ち始めたことでグローバルの景気減速懸念を徐々に高めていき、当期の終盤は日米共にやや株売りが優勢となり、日経平均株価は前期比△11.8%の35,617.56円で期末を迎えました。
※日経平均株価に関する著作権、知的財産権その他一切の権利は株式会社日本経済新聞社に帰属します。
一方、一般社団法人投資信託協会が公表する「投資信託概況」によると、2025年3月末の株式投信(除ETF)の純資産総額は、2024年3月末から11.7%増の135兆6,425億円となりました。
このような環境下、当社グループの中核を担うレオス・キャピタルワークス株式会社においては、2024年1月から開始した新NISA制度による投資への関心の高まりも相まって、当社はオンライン・対面を問わず、様々なセミナーを開催し、多くのお客様とのリレーションを深めてまいりました。さらに、幅広い層に向けて「ひふみ」ブランドの認知度向上を図るため、チャンネル登録者数約60万人を擁するYouTubeチャンネル『お金のまなびば!』においてお金や投資について幅広く発信するとともに、広告投資を拡大し、運用資産残高の拡大を目指しました。
第2四半期以降は、2024年9月に運用を開始した「ひふみクロスオーバーpro」について、間接販売を中心に残高拡大に向けた積極的な広告投資を行ない、「ひふみクロスオーバーpro」の運用資産残高は250億円を突破しました。一方で、直接販売における広告宣伝投資については、新規口座開設数の獲得よりも既存顧客の長期保有につながる施策に注力したことから、直接販売する投資信託のいずれかを保有する顧客数は61,298名(前年度比1,119名減)となりました。
また、当社グループの経営理念と運用哲学に共感していただける販売パートナーの開拓を継続し、間接販売における「ひふみ」シリーズの取扱い社数は、2025年3月末時点で延べ301社となりました。
さらに、2024年12月には日本の金融リテラシーのアップデートを目指してオンラインでの金融・経済・投資教育事業を展開するフィナップ株式会社を、2025年3月には「共助で支える」仕組みを具体化する子会社として、寄付プラットフォームを運営する株式会社Kiffyを設立しました。
以上の結果、当連結会計年度末における運用資産残高については、「ひふみproシリーズ」の運用資産残高が増加しましたが、当連結会計年度の投資信託の純流出額(解約額から設定額を控除した金額)は10億円となり、基準価額の下落も伴い、2024年3月末から6.8%減の1兆2,753億円となったことで、当連結会計年度の連結業績は、営業収益11,424百万円、広告宣伝費等の増加により営業費用及び一般管理費が9,354百万円となって営業利益2,070百万円、為替差損等の営業外費用の計上により経常利益2,069百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,485百万円となりました。なお、当社グループは、投資運用事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、期首残高に比べ1,064百万円減少し、2,504百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果増加した資金は953百万円となりました。
その主なものは、税金等調整前当期純利益が2,069百万円、減価償却費が442百万円となった一方、顧客分別金信託の増加による支出が300百万円、未収委託者報酬の増加による支出が161百万円、預り金の減少による支出が531百万円、法人税等の支払額が617百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は391百万円となりました。
その主なものは、有形固定資産の取得による支出が250百万円、無形固定資産の取得による支出が110百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は1,626百万円となりました。
その主なものは、自己株式の取得による支出が1,203百万円、配当金の支払額が583百万円、非支配株主からの払込みによる収入が139百万円等であります。
④ 営業の実績
(ア)営業収益の実績
当社グループは投資運用事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の営業収益の実績は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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投資運用事業 |
11,424,106 |
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(イ)運用資産残高の実績
当社グループは、主として、投信投資顧問事業を行っており、営業収益は、投資信託の運用から得られる委託者報酬と投資一任契約等による投資顧問報酬の2種類の収入によって構成されています。委託者報酬及び投資顧問報酬は、運用資産の残高に一定率を掛け合わせることで算定されます。投資顧問業務の一部では、運用成績に応じて発生する成功報酬がありますが、成功報酬が発生する運用資産残高は、当社グループの運用資産残高のごく一部です。
したがって、当社グループにとって最も重要な経営指標は、収益の源泉である運用資産残高となります。当社グループの2020年3月末以降の投資信託委託業務及び投資顧問業務における運用資産残高実績は次のとおりであります。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。
(単位:億円)
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2020年 3月末 |
2021年 3月末 |
2022年 3月末 |
2023年 3月末 |
2024年 3月末 |
2025年 3月末 |
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公募投資信託 (直接販売) |
1,193 |
1,763 |
1,864 |
1,885 |
2,409 |
2,239 |
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公募投資信託 (間接販売) |
5,371 |
6,699 |
8,169 |
8,414 |
9,822 |
9,183 |
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私募投資信託 |
51 |
66 |
52 |
15 |
21 |
13 |
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投資信託合計 |
6,616 |
8,529 |
10,086 |
10,315 |
12,253 |
11,436 |
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投資顧問合計 |
855 |
1,079 |
993 |
1,127 |
1,435 |
1,317 |
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全社合計 |
7,471 |
9,608 |
11,079 |
11,443 |
13,688 |
12,753 |
(注)当該数値は、東陽監査法人による監査を受けておりません。
2025年3月末における運用資産残高については、「ひふみproシリーズ」の運用資産残高が増加しましたが、2025年3月期の投資信託の純流出額(解約額から設定額を控除した金額)は10億円となり、基準価額の下落も伴い、2024年3月末から6.8%減の1兆2,753億円となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであり、翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響は、翌連結会計年度以降においても同様に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の分析
(営業収益)
2025年3月末における運用資産残高は2024年3月末から6.8%減の1兆2,753億円となり、営業収益は11,424百万円となりました。
(営業費用及び一般管理費、営業利益)
営業費用及び一般管理費は9,354百万円となりました。主な内訳は、間接販売による販売パートナーへの支払手数料4,490百万円、役員報酬や給与手当等の人件費1,693百万円等となります。この結果、営業利益は2,070百万円となりました。
(営業外損益、経常利益)
為替差損や支払手数料等の営業外費用の計上により経常利益は2,069百万円となりました。
(特別損益、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益の計上はなく、親会社株主に帰属する当期純利益は1,485百万円となりました。
③ 財政状態の分析及びキャッシュ・フローの状況の分析
財政状態の分析及びキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要① 財政状態の状況及び③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの主な資金需要は、事業活動の維持拡大に必要な事業資金及び設備投資資金、顧客分別金信託の追加設定に必要な資金であります。主な設備投資については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりです。必要な資金については、原則自己資金を基本方針としておりますが、顧客分別金信託の追加設定に必要な資金が生じた場合には金融機関からの短期借入で賄います。
⑤ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析について
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、「(1)経営成績等の状況の概要 ④ 営業の実績 (イ)運用資産残高の実績」に記載のとおり、運用資産残高であります。運用資産残高の概要・分析については、当該項目をご参照ください。
(1)単独株式移転による設立
当社は、2024年4月1日を効力発生日として、レオス・キャピタルワークス株式会社の2023年10月18日開催の取締役会決議並びに同年11月21日開催の同社の臨時株主総会の承認によって、単独株式移転の方法により、同社の持株会社(完全親会社)として2024年4月1日に設立されました。
(2)経営管理契約の締結と関連する資産の譲渡
当社は子会社であるレオス・キャピタルワークス株式会社、レオス・キャピタルパートナーズ株式会社、フィナップ株式会社及び株式会社Kiffyと経営管理業務契約を締結しています。また、レオス・キャピタルワークス株式会社が保有する資産のうち、持株会社としてグループ管理に必要な資産を当社に対して譲渡するため固定資産譲渡契約を締結しております。
(3)レオス・キャピタルパートナーズ株式会社株式の現物配当
当社は、2024年4月1日開催のレオス・キャピタルワークス株式会社の臨時株主総会の決議により、同社が保有するレオス・キャピタルパートナーズ株式会社の全株式を現物配当として譲受いたしました。
該当事項はありません。