当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
これまでの「あたりまえ」を変えることで、より良い方向へ未来を変えていくことができる。
この想いのもと、当社「株式会社タスキホールディングス」は2024年に「株式会社タスキ」と「株式会社新日本建物」が経営統合を行い設立されました。当社は、その存在意義(MISSION)を「人を起点に。空間をデジタルに。未来を変える仕組みをつくる。」と定め、「価値をつなげば、未来はもっと良くなる。」という展望(VISION)のもと、組織全体で共有すべき以下6つの価値観(VALUES)を掲げ、不動産業界の「あたりまえ」をアップデートし、暮らしや社会の変革に役立てていくことを目指しております。
VALUES
・TECHNOLOGY 最先端のテクノロジーを人のために。
・ADVANCE 未来を見据える先見力を研ぎ澄ます。
・SUSTAINABLE サステナブルな世界をめざす。
・USER FIRST お客様のために、あらゆる活動をする。
・KEEN 少数精鋭で挑み続ける。
・INNOVATION ベンチャーマインドを持って変革する。
常識にとらわれることなく、人財が持つ豊富な知見と先端テクノロジーの掛け算によって、すべてのステークホルダーに満足いただける企業活動を推進することにより、持続的な成長と企業価値の向上を図り、より豊かな未来の創造に貢献してまいります。
(2)中長期的な経営戦略
当社グループは現在、中核となるLife Platform事業のほか、Finance Consulting事業とSaaS事業(非連結)を展開し、新築投資用IoTレジデンスの企画・販売や不動産業界のデジタル化を実現するDXプロダクトの開発・販売などを行っております。当社グループが中長期的に競争力を高めるためには、これらの既存事業の安定的な成長と、M&Aによる事業規模及び事業領域の拡大並びに事業間のシナジーの確立が重要であると考えております。
当社が2024年に公表した当社グループの長期ビジョン・中期経営計画では、経営統合によるグループシナジーを源泉に、2033年9月期(長期ビジョン)の連結売上高を2,000億円、SaaS事業導入企業数を1,500社に設定しております。
中長期的な競争優位性の確立に向け、経営資源の効果的な活用やシナジーの発揮を実現する経営体制の強化を計画推進の基礎として、SaaS事業のARR増大と既存ビジネスの拡大を重点施策として掲げております。これら重点施策の推進に関しては、既存の経営資源の活用に加え、新たな経営資源の獲得や新規事業への参入を迅速に実現するという観点から、M&Aによるインオーガニックな成長を中長期的な戦略の柱とし、グループ内でのシナジーを有意義に創出することで、グループ全体の事業成長を加速させ、事業領域を拡大してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは中期経営計画の達成に向けた主要KPIとして、Life Platform事業の棚卸資産残高、SaaS事業のプロダクト導入企業数、EBITDA成長率の3つを採用しております。Life Platform事業の棚卸資産残高については、既存ビジネスにおける翌期以降の売上の積み上げ状況を判断する指標として採用しており、SaaS事業のプロダクト導入企業数については、ARR増大の基盤となるユーザー数の拡大状況を判断する指標として採用しております。また、EBITDA成長率についてはキャッシュ・フローの創出力の成長状況を判断する指標として採用しております。これらの事業成長を判断する指標とともに、財務指標として1株当たり当期純利益(EPS)、自己資本利益率(ROE)、自己資本比率を重視しております。
(4)経営環境
当社グループがLife Platform事業を展開する不動産市場においては、当連結会計年度において不動産価格は全体として高値圏で推移しており、東京圏においては、賃貸マンション・アパートの賃料上昇に伴い投資用一棟マンションの価格が依然として上昇傾向にあります。建築資材価格や人件費の動向、金利上昇などの不動産市場への影響については注視が必要であるものの、東京都の人口の増加や、円安基調の為替相場からみた国内不動産の割安感の継続などにより、国内外投資家の首都圏不動産への投資意欲は依然として堅調に推移しており、当社グループにとって良好な事業環境が継続しております。当社グループではこのような環境下において、事業機会を確実に獲得するべく、事業規模と事業領域の拡大が重要であると考えております。
SaaS事業に関しては、企業による省力化やDXを目的としたソフトウェア投資が活発であり、現在サービスを提供している不動産テック領域の市場規模も今後ますます拡大することが期待されるため、迅速に事業領域を拡大することにより先行者利益の獲得が可能であると考えております。
当社グループでは、このような各事業領域の経営環境を最大限に活かすため、M&Aによる事業規模や事業領域の迅速な拡大が有効であると考えております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの対処すべき課題は以下のとおりであります。
①経営体制強化
当社グループの企業価値向上のためにはコーポレート部門の強化、グループ内のシナジー発揮及びインオーガニック戦略が重要であると考えております。当社グループは当社にコーポレート部門を集約しており、グループ経営に資するプロフェッショナル人財の採用や経営の効率化などを推進するとともに、事業における連携などグループ内のシナジー発揮に取り組んでまいります。またインオーガニック戦略として、既存事業領域の拡大や新規事業領域への進出を目的としたM&Aのほか、不動産テック領域におけるプロダクト連携やパートナーの獲得によるエコシステムの構築を目的とした投資を実施してまいります。
②SaaS事業のARR増大
SaaS事業のARRの増大には、新規ユーザーの獲得と顧客単価の引き上げが重要であると考えております。機能拡張や競合サービスからのリプレイスユーザーの増加により拡大したターゲット市場に対する広告宣伝活動や、営業体制を強化するセールス&マーケティング投資の積極的な実施を通じて、新規ユーザーを獲得してまいります。またさらなる機能拡張や精度の向上のほか、投資を通じたエコシステムの拡大により顧客単価の引き上げに取り組んでまいります。
③既存ビジネスの拡大
当社グループの持続的成長には既存事業の拡大が必要不可欠であり、この実現のために以下3点の取り組みが重要であると考えております。
1.組織の拡大及び人財の採用と育成
当社グループの成長の源泉となる優秀かつ高い意欲をもった人財の確保と育成を最重要課題と考えております。即戦力人財を中心とした積極的な採用活動を進めるとともに、最大限に能力を発揮できる環境を整備し、全従業員のワークライフマネジメントを後押しする制度の構築や組織風土を醸成してまいります。
2.不動産DXの強化
生産性の向上にはDXの推進が重要であり、グループDX戦略研究部によるグループ横断的なDXの推進とともに、SaaS事業との情報共有・知見共有を通してプロダクトの開発・改善も併せて推進してまいります。
3.事業ポートフォリオの多角化と収益構造の多層化
事業の拡大と安定化のため、当社グループ内でのシナジーの発揮による新たな事業機会の創出や新規事業領域をターゲットとしたM&Aを通じて事業ポートフォリオの多角化と収益構造の多層化に取り組んでまいります。
④システムの安定性確保
当社グループの事業はコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故などにより通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでいく方針であります。
⑤内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
継続的な企業価値の向上のためには、経営の健全性と透明性を高めるコーポレート・ガバナンスの確立が重要であると考えております。当社に集約したコーポレート部門によるグループ全体での内部管理体制の構築や研修の実施に取り組む方針であります。また経営環境の変化に迅速かつ適切に対応した意思決定、公正で透明性があり、かつ効率的な業務執行体制を構築していく方針であります。
⑥サステナビリティへの取り組み
当社グループはESG経営の推進が中長期的な企業価値の最大化につながると考えており、サステナビリティ委員会を設置し、事業活動を通じたカーボンニュートラルの推進、環境負荷の軽減、継続的に住み続けられる安全でレジリエントなまちづくりの推進に取り組むほか、多様性や人権の尊重など社会課題の解決、並びにコーポレート・ガバナンスの強化に取り組み、持続可能な社会の実現に向けたESG経営の高度化を図っていく方針であります。
当社グループは、事業活動を通じた、脱炭素化の推進、環境負荷軽減、安全でレジリエントかつ持続可能な住み続けられるまちづくりの推進に取り組むほか、アナログな手法や業務が多い不動産業界の不動産デベロップメント領域において各業務に分散している様々なシステムやプロセスを統合管理し、全体最適を実現するサービスを提供することで、新たな価値の創出と持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティをグループの重要な経営課題の一つとして位置付け、サステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長とし、取締役(常勤)を含む各部管掌役員で構成され、全社横断的で迅速な意思決定が可能となる組織体制を構築しております。
また、グループ人事総務部がサステナビリティ委員会の事務局を担当するとともに、サステナビリティに係る企画、立案及び管理を行い、各部門及びグループ会社と連携し全社的なサステナビリティ推進を行っております。
サステナビリティ委員会では、サステナビリティ活動の基本方針や中長期的な企業価値向上に影響を及ぼすマテリアリティについて審議を行い、マテリアリティに関する活動計画及び実施状況をモニタリングしております。また、サステナビリティ委員会の審議内容は取締役会へ報告・付議され、取締役会はサステナビリティ関連の対応方針を決定しております。
また、取締役会は原則半期ごとにサステナビリティ委員会から進捗状況などの報告を受け、サステナビリティ関連の取組を監督しております。
(2)戦略
当社グループが優先して取り組むべき4つのマテリアリティは次のとおりです。マテリアリティへの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現、当社グループの持続的な成長及び企業価値の向上に取り組んでまいります。
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ESG 区分 |
マテリアリティ |
SDGs項目 |
リスク・機会 |
取組概要 |
||||||||||
|
E |
環境負荷の低減 |
|
リスク |
・当社グループ商品が環境負荷低減・脱炭素ニーズ対応において、競合に遅れを取ることによる販売の困難化 |
・CO2排出量削減 ・廃棄物削減 ・環境配慮サービスの提供 |
|||||||||
|
機会 |
・省エネルギー性能が高い建築物ニーズの拡大に対し、当社グループが培った省エネルギー建築物のノウハウにより差別化された商品を市場に投入し、売上・収益を拡大 |
|||||||||||||
|
S |
DX推進によるサステナビリティの実現 |
|
リスク |
・業務のデジタル化について競合に遅れを取ることによる競争力の低下、アナログで不効率な業務による人手不足の慢性化 |
・クライアントへのサービス提供を通じた、不動産価値の見える化及び業務効率の向上 |
|||||||||
|
機会 |
・不動産DXを促進する当社グループのサービスの社内利用・社外提供により業務効率の向上、売上・収益を拡大 |
|||||||||||||
|
人的資本 (「人財」) 関連多様な人財の活躍支援 |
|
リスク |
・優秀な人財の採用や確保が困難になること、モチベーションの低下による、当社グループの経営成績のダウン |
・健康経営の促進 ・人権の尊重・ダイバーシティ&インクルージョン ・将来を担う人財の育成促進 |
||||||||||
|
機会 |
・多様な人財が働きやすい職場環境を整備することで確保された優秀な人財による、イノベーション創出と生産性の向上 |
|||||||||||||
|
ESG 区分 |
マテリアリティ |
SDGs項目 |
リスク・機会 |
取組概要 |
||||||||||
|
G |
健全な経営基盤の確立 |
|
リスク |
・脆弱なガバナンス体制に起因する法令違反等の企業不祥事発生により、営業活動の停止、ステークホルダーからの企業評価のダウン |
・コーポレート・ガバナンスの強化 ・コンプライアンスの徹底 |
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|
機会 |
・強固なガバナンス体制の企業として、人財の定着率向上、ステークホルダーからの信頼による事業継続性の向上 |
|||||||||||||
「環境負荷の低減」への取り込みとして、連結子会社である株式会社新日本建物において、2024年11月に当社グループ初となる「ZEH-M Oriented」仕様の新築投資用IoTレジデンスが竣工いたしました。「ZEH-M Oriented」とは、断熱性能の向上及び高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しながら大幅な省エネルギーを実現し、共用部を含むマンション全体での一次エネルギー消費量を20%以上削減することを目指したマンションのことです。本物件以外にも、同社が企画・開発した木造マンションにおいて「ZEH-M Oriented」の認証を取得しており、省エネルギー性能の高い物件開発を推進することで、当社グループの持続的な成長及び企業価値の向上に努めております。
「DX推進によるサステナビリティの実現」への取り組みについて、当社は2025年2月に経済産業省が定める「DX認定事業者」としての認定を取得しました。当社は「人を起点に。空間をデジタルに。未来を変える仕組みをつくる。」をミッションに、不動産テック・DX領域において、業務効率化・コスト削減・事業推進に寄与する実務有用性の高い不動産価値流通プラットフォームを自社開発のSaaS型サービスとして外部へ提供しております。2025年6月には従来の機能に加えて、営業AIエージェントの開発及び提供を開始する等、DX推進を通じて持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しております。
また、「人的資本(「人財」)関連多様な人財の活躍支援」について、当社グループにおける、人的資本(「人財」)の多様性を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
①人財育成方針
当社グループは、設計、建築、不動産、不動産金融及びIT等の専門人財で構成されております。一人ひとりの自律したプロフェッショナル人財への成長を支え、グループ及び部署間の交流を促進し、相互の専門性やノウハウ・ナレッジの共有により新たな価値創造を組織にもたらす人財育成に取り組んでおります。また、年齢、国籍、性別等を問わず意欲・能力・実績に応じた平等な人事評価に基づき管理職登用を行っております。
②社内環境整備方針
当社グループは、多様な人財が最大限の能力を発揮できる職場環境整備に努め、全ての従業員のワークライフマネジメントを後押しする制度構築及び組織風土の醸成に取り組んでおります。2025年8月には、当社及び株式会社タスキ、株式会社新日本建物が、健康保険組合連合会東京連合会が実施する健康優良企業「銀の認定」を取得し、株式会社タスキプロスが、全国健康保険協会東京支部が実施する健康優良企業「銀の認定」を取得しました。今後は、日本健康会議が認定する「健康経営優良法人(中小規模法人)」の認定に向け、様々な活動を通じて健康経営を促進して参ります。
その他、出産・育児・介護と仕事の両立支援として、時短勤務、年次有給休暇の時間取得等の制度の利用促進を図るため、管理職研修を実施しております。
(3)リスク管理
当社グループにおいて、全社的なリスク管理はグループコンプライアンス・リスク管理委員会で行っておりますが、サステナビリティに係るリスク及び機会の識別、優先して対応すべきリスク及び機会の絞り込み並びにその対応策については、サステナビリティ委員会において詳細な検討を行っております。サステナビリティ委員会での議論は取締役会に報告・付議され、それを受けて取締役会が最終的な対応方針を決定し、推進・進捗状況のモニタリングを行うサステナビリティ委員会を監督しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、「人的資本(「人財」)関連多様な人財の活躍支援」について次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。その他のマテリアリティ「環境負荷の低減」、「DX推進によるサステナビリティの実現」及び「健全な経営基盤の確立」を長期的に評価・管理するために用いる具体的な指標は引き続き検討中であります。
①
目標:
|
会社名 |
実績 |
目標差異 |
|
当社グループ (提出会社及び連結子会社) |
|
+10.4 |
|
株式会社タスキホールディングス (提出会社) |
31.1 |
+21.1 |
|
株式会社タスキ (連結子会社) |
18.2 |
+8.2 |
|
株式会社新日本建物 (連結子会社) |
22.3 |
+12.3 |
|
株式会社オーラ (連結子会社) |
13.3 |
+3.3 |
|
株式会社タスキプロス (連結子会社) |
20.8 |
+10.8 |
(注)1.2024年10月から2025年9月を対象期間としております。
2.出向者の実績は出向先企業において算定し、同企業の実績としております。
②
目標:
|
会社名 |
実績 |
目標差異 |
|
当社グループ (提出会社及び連結子会社) |
|
△5.5 |
|
株式会社タスキホールディングス (提出会社) |
71.3 |
△5.5 |
|
株式会社タスキ (連結子会社) |
78.6 |
+1.8 |
|
株式会社新日本建物 (連結子会社) |
63.4 |
△13.4 |
|
株式会社オーラ (連結子会社) |
79.7 |
+2.9 |
|
株式会社タスキプロス (連結子会社) |
64.0 |
△12.8 |
(注)1.2024年10月から2025年9月を対象期間としております。
2.当出向者の実績は出向先企業において算定し、同企業の実績としております。
3.期初(10月1日)付与対象者より算出しております。
当社グループの経営成績、財務状況等に関するリスクについて、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び万が一発生した場合の適切な対応により、事業活動に支障をきたさないよう努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業に関するリスク
①経済状況等の影響について(発生可能性:中 発生時期:中長期 影響度:大)
当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向、地価動向、建設価格動向及び税制等の経済状況の影響を受けやすい傾向にあります。賃貸相場の下落及び入居率の悪化に伴う賃貸収入の減少、人材不足や資材価格の高騰に伴う建築費の上昇、金融機関の融資動向の変化、需給バランスの悪化や価格競争の激化に伴う購入マインドへの悪影響等により、IoTレジデンス等の開発、販売に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、連結子会社の株式会社タスキプロスが行う不動産担保ローンのビジネスモデルは、不動産市況が悪化した場合、担保不動産の価格下落を受け新規の貸付が減少するリスクが高まることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②競合について(発生可能性:低 発生時期:中長期 影響度:大)
当社グループの事業では、IoTレジデンスを主に東京23区で創出しており、物件取得の規模・立地に加え、企画の差別化を志向しておりますが、大小様々な不動産関連事業者が多数存在し、競合等が発生しております。プロジェクト実績を積み上げることにより、IoTレジデンスの創出にかかるノウハウ等を蓄積するほか、当社グループの認知度及び信用力の向上を推進しており、今後も競合事業者との差別化を図っていく方針であります。しかしながら、今後、競合事業者の業容拡大や新たな事業者参入等により競争が激化した場合には、取引機会が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③資金調達について(発生可能性:中 発生時期:中長期 影響度:大)
当社グループは、物件の取得、建築工事、貸付等の事業資金を自己資金だけでなく、金融機関からの借入金によって調達しており、有利子負債依存度が高い傾向にあります。そのため、市場金利が上昇する局面や、不動産業界又は当社グループのリスクプレミアムが上昇した場合には、支払利息等が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、事業資金を調達する際には、特定の金融機関に依存することなく、個別の物件毎に金融機関に融資を打診しており、現時点では安定的に調達ができております。しかしながら、当社グループの財政状態が著しく悪化する等により当社グループの信用力が低下し、安定的な融資が受けられないなど、資金調達に制約を受けた場合は、物件の取得や建築工事等の発注に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④事業用地の取得について(発生可能性:低 発生時期:中長期 影響度:大)
当社グループは、東京23区を中心として事業用地を取得し、不動産の企画、開発、販売を行っております。東京23区は、交通の便や良好な住環境などから安定した賃貸ニーズが見込まれる地域と判断しており、主に同地域における優良な事業用地の取得に注力してきた結果、事業展開が同地域に集中しております。このような状況において、事業用地の仕入情報の取得先である不動産仲介業者等との間で良好な関係を構築しているものの、同地域の地価が急激に上昇した場合や、競合他社との用地取得競争が激化した場合、同地域において優良な用地を計画通りに取得できず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、同業他社との競合が予想される優良な事業用地を早期に確保する観点から、事業用地の取得のために売買契約を締結し、一定期間を設けた後に代金の支払い及び事業用地の引渡しを受けることがあります。物件の特性や需給環境等を見極めながら、事業計画を慎重に検討した上で、売買契約の締結を行っておりますが、仕入代金の支払いを行うまでの間に、経済状況、事業環境等に急激な変動が生じた場合には、当該事業用地に係る事業採算性や当社グループの財務状態等を考慮の上、当初の事業計画を変更、または売買契約を解除し、当該事業用地の取得を中止する場合があります。このような場合、当初の事業計画において想定した収益を得られないほか、支払った手付金の没収や違約金の支払いが生じる場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤近隣住民とのトラブルリスクについて(発生可能性:高 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社グループはIoTレジデンス等の建設にあたり、関係する法令、各自治体の条例等を十分検討したうえ、周辺環境と調和した不動産開発を行うために、近隣住民に対する事前説明会を実施しており、近隣住民との関係を重視して開発を行っております。しかしながら、建設中の騒音や日照問題、プライバシーへの配慮等を理由に近隣住民とのトラブルが発生する可能性があり、問題解決のために工事遅延や追加工事が発生する場合、計画の中止や変更が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥外注委託について(発生可能性:高 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社グループの設計施工業務等については、設計・施工等の能力、工期、コスト及び品質等を勘案し、外部の事業者に委託しております。特定の会社に偏向しないよう十分な外注先の確保や外注先に委託した案件の進捗管理に努めているものの、当社グループの選定基準に合致する外部委託先を十分に確保できない場合や、外部委託先の経営不振、繁忙期における対応の遅れによる工期遅延、資材価格の急激な高騰による外注価格の上昇等が生じた場合には、事業推進に影響が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、施工完了後、外部委託した建設会社に倒産等の事態が発生した場合は、工事請負契約に基づき本来建設会社が負うべき瑕疵の補修責任等が履行されず、当社グループに補修等の義務が発生するため、想定外の費用が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦収益計上基準及び業績変動について(発生可能性:中 発生時期:短期 影響度:中)
当社グループは、物件を不動産オーナーや企業に引渡しをした時点にて収益を認識しております。そのため、事業年度及び四半期ごとに業績を認識した場合、物件の引渡し時期に伴い、期ずれなどの業績偏重が生じる可能性があります。また、各物件のプロジェクトの進捗状況、販売計画、竣工時期の変更、天災やその他予想しえない事態の発生による施工遅延、不測の事態の発生による引渡し遅延があった場合には、計画していた時期に収益が認識できず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧保有する資産について(発生可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
当社グループが保有する棚卸資産、有形固定資産、有価証券及びその他の資産について、時価の下落等に伴う減損または評価損の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に販売用不動産については、開発用地の仕入及びIoTレジデンス等の企画・販売を中長期的な経済展望に基づき実施し、物件の早期売却を図っておりますが、急激な景気の悪化、金利の上昇や不動産関連税制の影響等により、販売が計画どおりに進まなかった場合には、開発の遅延や完成在庫の滞留が発生し、資金収支の悪化を招く可能性があります。当社グループは「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用しておりますが、時価が取得原価を下回った販売用不動産、仕掛販売用不動産の評価損が計上された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨契約不適合責任について(発生可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社グループは、民法及び宅地建物取引業法のもと、販売した物件について契約不適合責任を負っておりますが、万が一、販売した物件が契約の内容に適合しないとされた場合には、補修や補修工事費用の負担、損害の賠償等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは個人・法人・地方公共団体等より事業用地を取得しており、仕入れに際しては土壌汚染や地中埋設物等について可能な限り事前に調査を行い、万が一品質に関して契約の内容に適合しないものが発見された場合の売主の契約不適合責任については売買契約書上に明記しておりますが、取得後において土壌汚染等による契約不適合が発覚した場合には、建築工事の工事延長や契約内容及び売主の責任能力の有無によっては対策費用が追加発生するなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩貸付債権の質について(発生可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
不動産市況が悪化して地価が下落した場合には、担保不動産の価値の目減りによって、貸付債権の質が低下する可能性があります。当社グループは、貸付実行時における厳格な与信判断、及び不動産市況が悪化した場合の与信事後管理における担保不動産の再評価に注力し、健全な債権内容の維持に努めております。しかしながら、今後不動産市況が悪化した場合、担保不動産の価格下落による担保不足の貸付債権の増加リスク、顧客の返済能力の低下による支払遅延リスクや貸倒リスクが高まることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪法的規制等について(発生可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
当社グループが行う事業につきましては、以下の法令等による規制のほか、各地方自治体単位の条例等の規制を受けております。しかしながら、今後、これらの法令等の解釈の変更及び改正が行われた場合、また、当社グループが行う事業を規制する法令等が新たに制定された場合には、事業内容の変更や新たなコスト発生等により、当社グループの業績及び今後の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが取得している以下の許認可(登録)等につき、本書提出日現在において、事業主として欠格事由及びこれらの許認可(登録)の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後、欠格事由又は取消事由に該当する事実が発生し、許認可(登録)取消や更新ができない等の事態が発生した場合には、当社グループの事業に支障をきたすと共に財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループが取得している許認可、免許及び登録等の状況は以下のとおりであります。
(株式会社タスキ)
|
許認可等の名称 |
許認可登録番号 |
有効期限 |
関連法令 |
許認可等の取消事由 |
|
宅地建物取引業者 |
国土交通大臣(2) 第9357号 |
2028年5月22日以後5年毎に更新 |
宅地建物取引業法 |
宅地建物取引業法第66条 |
|
金融商品取引業登録(第二種金融商品取引業) |
関東財務局長(金商)第3323号 |
期間の定め無し |
金融商品取引法 |
金融商品取引法第52条、第54条 |
|
不動産特定共同事業者許可 |
金融庁長官・国土交通大臣第99号 |
期間の定め無し |
不動産特定共同事業法 |
不動産特定共同事業法第36条 |
(株式会社新日本建物)
|
許認可等の名称 |
許認可登録番号 |
有効期限 |
関連法令 |
許認可等の取消事由 |
|
宅地建物取引業者 |
国土交通大臣(7) 第5335号 |
2028年4月18日以後5年毎に更新 |
宅地建物取引業法 |
宅地建物取引業法第66条 |
|
不動産特定共同事業者許可 |
東京都知事第125号 |
期間の定め無し |
不動産特定共同事業法 |
不動産特定共同事業法第36条 |
(株式会社オーラ)
|
許認可等の名称 |
許認可登録番号 |
有効期限 |
関連法令 |
許認可等の取消事由 |
|
宅地建物取引業者 |
東京都知事(1) 第108369号 |
2027年9月22日以後5年毎に更新 |
宅地建物取引業法 |
宅地建物取引業法第66条 |
(株式会社タスキプロス)
|
許認可等の名称 |
許認可登録番号 |
有効期限 |
関連法令 |
許認可等の取消事由 |
|
貸金業登録 |
東京都知事(2) 第31878号 |
2028年1月28日以後3年ごとに更新 |
貸金業法 |
貸金業法第24条 |
⑫災害の発生について(発生可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
地震、暴風雨、洪水等の自然災害、戦争、暴動、テロ、火災等の人災が発生した場合、当社グループが販売する不動産の価値が著しく下落する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの主要なプロジェクトエリアは東京23区であり、当該地域において地震その他の災害が発生した場合や、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス等の感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬新規事業及び「SaaS事業」への投資について(発生可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)
非連結子会社を含む当社グループは継続的な成長と収益の多様化を図るために、内部資金や外部からの調達資金により新規事業及び「SaaS事業」への投資を進めていく方針ですが、事業が安定して収益を生み出し当社グループの業績に貢献するまでには一定の時間を要することが予想されます。新規事業及び「SaaS事業」に対し、先行してシステムへの投資や人件費等、追加的な支出が発生することによって、当社グループの全体の利益率が低下する可能性があります。また、将来の経営環境の変化等により新規事業及び「SaaS事業」の拡大・成長が当初の想定どおりに進まない場合や投下した資金の回収ができない場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭M&Aについて(発生可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
当社グループは、積極的なM&Aによるインオーガニックでの成長を継続することで、企業価値の向上を目指しております。M&Aにあたっては、買収前に十分な調査を行い、価値評価を慎重に検討したうえで実施しておりますが、買収後における想定外の事態の発生や、市場動向の大きな変動等が原因で、買収事業が所期の目標通りに推移せず、場合によってはのれん等の減損処理等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)組織体制に関するリスク
①人員確保について(発生可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
当社グループは、人財採用及び人財育成を重要な経営課題と位置づけており、不動産業界、IT・FinTech業界における優位性を確保すべく、人財採用と人財育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、想定している以上の退職者があった場合や、事業展開に見合う人財確保、育成が困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②個人情報管理について(発生可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
当社グループは、各事業運営を通じて取得した個人情報を保有しており、これらの個人情報の管理について、「個人情報の保護に関する法律」の規定に則って作成されたプライバシーポリシーを有し、その遵守に努めております。しかし、コンピューターシステムの瑕疵、コンピューターウイルス、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入、役職員・パートナー事業者の過誤、自然災害、急激なネットワークアクセスの集中等により、個人情報が漏洩した場合や個人情報の収集過程で問題が生じた場合、当社グループへの損害賠償請求や当社グループの信用の下落等の損害が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績並びに今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他のリスク
①疾病の蔓延について(発生可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
当社グループは、インフルエンザや新型コロナウイルス等の疾病の蔓延が発生した場合であっても、時差出勤や在宅勤務等により柔軟に事業を継続できる体制の整備に努めておりますが、今後、新たな感染症が発生、流行した場合には、商談機会の減少による新規取引案件の減少、出勤や客先訪問が困難になることによるサービスレベルの一時的・部分的な低下、設備・資材等のサプライチェーンの停滞に伴う調達の遅延等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績並びに今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
②訴訟等について(発生可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
当社グループは、法令及び契約等の遵守のため「コンプライアンス管理規程」を定めて社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めております。しかしながら、事業活動を行うなかで、顧客、取引先又はその他第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。かかる訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や当社グループの社会的信用の毀損によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③配当政策について(発生可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けており、業績と経営環境を勘案の上、企業体質の強化や将来の事業展開に備えるための内部留保を確保しつつ、累進配当を基本に、非資金取引(M&Aに伴うのれん償却額等)を除く1株当たり当期純利益の35%以上を目標として、安定的な配当を継続することを基本方針としております。事業基盤を支えるシステム開発投資や景気変動の影響を受けにくい企業体質の確立に向けた関連事業投資を進め、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。内部留保資金の使途につきましては、既存事業の拡大発展のほか、今後の新規事業の展開への備えとしていくこととしております。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ238億33百万円増加の832億48百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末と比べ224億4百万円増加の755億77百万円、固定資産は前連結会計年度末と比べ14億32百万円増加の76億56百万円となりました。
流動資産の主な増加要因は、現金及び預金が前連結会計年度末と比べ117億72百万円、仕掛販売用不動産が前連結会計年度末と比べ97億24百万円増加したことによります。
固定資産の主な増加要因は、有形固定資産が前連結会計年度末と比べ13億50百万円増加したことによります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ127億56百万円増加し、502億43百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末と比べ36億5百万円増加の197億45百万円、固定負債は前連結会計年度末と比べ91億51百万円増加の304億98百万円となりました。
流動負債の主な増加要因は、未払金が前連結会計年度末と比べ6億99百万円減少した一方で、短期借入金が前連結会計年度末と比べ46億75百万円増加したことによります。
固定負債の主な増加要因は、長期借入金が前連結会計年度末と比べ91億74百万円増加したことによります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ110億76百万円増加の330億5百万円となりました。その主な増加要因は、剰余金の配当により8億24百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益49億33百万円を計上したことにより、利益剰余金が前連結会計年度末と比べ41億9百万円増加したほか、株式発行により資本金及び資本準備金が前連結会計年度末と比べ合計で64億35百万円増加、非支配株主持分が前連結会計年度末と比べ4億51百万円増加したことによります。
②経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、米国トランプ政権による関税政策の影響で物価高が長期化しているものの、人手不足を背景とした雇用・所得環境の改善や、省力化やDXを目的とした堅調なソフトウェア投資に下支えされ、個人消費、企業の設備投資ともに持ち直し傾向にあります。一方で、米国向け輸出の減速や訪日外国人の増加一服により外需は横ばいとなりましたが、景気全体としては回復基調を維持しております。
先行きについては、新たに発足した高市内閣への期待が高まるなか、政策の効果や実質賃金の改善状況、物価や消費者マインドの動向については引き続き注視していく必要があります。また、米国の関税政策の世界経済への影響や日銀による政策金利の引上げ時期などについても、実体経済への影響を注意深く見守っていく必要があります。
このような市場環境のなか、当社グループの主たる事業領域である不動産市場においては、不動産価格は全体として高値圏で推移しており、東京圏においては、賃貸マンション・アパートの賃料上昇に伴い投資用一棟マンションの価格が依然として上昇傾向にあります。建築資材価格や人件費の動向、金利上昇などの不動産市場への影響については注視が必要であるものの、東京都の人口の増加や、円安基調の為替相場からみた国内不動産の割安感の継続などにより、国内外投資家の首都圏不動産への投資意欲は依然として堅調に推移しており、当社グループにとって良好な事業環境が継続しております。
Life Platform事業においては、アクイジションスタッフの順調な獲得により、主力となるIoTレジデンス事業を着実に拡大しており、リファイニング事業においても、不動産投資型クラウドファンディングによるオンバランスファンド(「タスキ キャピタル重視型 第14号ファンド#1」等)9本を組成したほか、オフバランススキームで当社グループ初の取り組みとなる開発型ファンドを組成するなど、事業の多角化とバランスシートのスリム化を推進しております。
コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)「TASUKI VENTURES」においては、最先端技術を有するベンチャー企業やスタートアップ企業への出資・事業提携を着実に推進しており、今後も不動産業界のDX化や新規ビジネスの創出に向けてエコシステムを拡大し、オープンイノベーションに取り組んでまいります。
このような状況のもと、2024年11月に発表した長期ビジョン・中期経営計画の初年度となる当連結会計年度は順調な滑り出しとなりました。当連結会計年度における経営成績は、売上高が前連結会計年度と比べ269億56百万円増加の744億12百万円、EBITDAが前連結会計年度と比べ36億24百万円増加の91億2百万円、営業利益が前連結会計年度と比べ47億50百万円増加の88億15百万円、経常利益が前連結会計年度と比べ42億48百万円増加の78億8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度と比べ27億16百万円増加の49億33百万円となりました。
なお、当社はM&Aの積極的な検討を継続し、インオーガニック戦略を推進するためキャッシュ・フロー重視の経営にシフトする観点から、当社のキャッシュ・フロー創出力とオーガニック成長の実態を表す指標としてEBITDAを開示しており、EBITDAは、営業利益+減価償却費+のれん償却額+株式報酬費用+PPA(棚卸資産の評価替え)取崩額として算出しております。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
なお、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。
(Life Platform事業)
売上高は前連結会計年度と比べ269億57百万円増加の742億11百万円、営業利益は前連結会計年度と比べ45億83百万円増加の86億67百万円となりました。
(Finance Consulting事業)
売上高は前連結会計年度と比べ7百万円減少の2億15百万円、営業利益は前連結会計年度と比べ6百万円増加の1億8百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末と比べ117億70百万円増加し、262億1百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、全体で57億70百万円の資金の減少(前連結会計年度は13億48百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、棚卸資産の増加額97億29百万円、法人税等の支払額26億35百万円であります。また、主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益78億17百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、全体で17億18百万円の資金の減少(前連結会計年度は26億24百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、有形固定資産の取得による支出14億21百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、全体で192億60百万円の資金の増加(前連結会計年度は68億44百万円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、長期借入れによる収入377億49百万円、新株予約権の行使による株式発行による収入62億74百万円、短期借入金の純増額53億25百万円であります。また、主な資金の減少要因は、長期借入金の返済による支出291億85百万円、配当金の支払額8億23百万円であります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年10月1日 至 2025年9月30日) |
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|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
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Life Platform事業 |
74,211,636 |
57.1 |
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Finance Consulting事業 |
193,979 |
△ 4.2 |
|
その他 |
6,550 |
480.6 |
|
合計 |
74,412,166 |
56.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
(販売用不動産及び仕掛販売用不動産)
当社グループは、販売用不動産及び仕掛販売用不動産について、正味売却額が帳簿価額を下回る場合、棚卸資産の簿価切下げに伴う評価損を計上しております。正味売却価額の算定にあたっては慎重に検討しておりますが、販売計画や市場価格の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、評価損の計上が必要となる可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
主に東京都23区内において、仲介業者との関係強化を推進しつつ、積極的かつ効率的に販売活動を展開しました。国内外の投資家・富裕層に向けた販売は好調に推移しております。売上高は、前連結会計年度と比べ269億56百万円増加(56.8%増)の744億12百万円となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、前連結会計年度と比べ201億37百万円増加(51.0%増)の596億20百万円となりました。売上総利益は、前連結会計年度と比べ68億19百万円増加(85.5%増)の147億92百万円(利益率は16.8%から19.9%と3.1ポイント上昇)となりました。なお、当社グループでは不動産販売の売上総利益率の目標値を18%と設定しております。当連結会計年度は、主力となるIoTレジデンス事業を着実に拡大し、全体として目標値を上回っております。また、前連結会計年度は、企業結合に伴う新日本建物の棚卸資産の評価替えによって売上原価が11億77百万円増加したことにより売上総利益率は目標値の18%を下回りました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、人員増に伴う給料及び手当(前連結会計年度比7億11百万円 111.0%増)、租税公課(前連結会計年度比3億93百万円 67.2%増)、販売手数料(前連結会計年度比3億52百万円 56.9%増)、のれん償却額(前連結会計年度比1億84百万円 111.6%増)等により前連結会計年度と比べ20億69百万円増加(53.0%増)の59億76百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度と比べ47億50百万円増加(116.8%増)の88億15百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は、受取利息(前連結会計年度比24百万円 884.7%増)の増加、持分法投資利益22百万円の計上等により前連結会計年度と比べ67百万円増加(225.8%増)の97百万円となりました。営業外費用は、借入に伴う支払利息(前連結会計年度比3億87百万円 101.4%増)、支払手数料(前連結会計年度比96百万円 126.7%増)等の増加により、前連結会計年度と比べ5億69百万円増加(106.4%増)の11億3百万円となりました。経常利益は前連結会計年度と比べ42億48百万円増加(119.3%増)の78億8百万円となりました。
(特別利益、特別損失、税金等調整前当期純利益)
特別利益にゴルフ会員権売却益8百万円を計上し、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度と比べ42億55百万円増加(119.5%増)の78億17百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
税金等調整前当期純利益の増加に伴い、法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額が合計で前連結会計年度と比べ12億31百万円増加(102.5%増)の24億31百万円となり、非支配株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ3億8百万円増加(214.8%増)の4億51百万円となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ27億16百万円増加(122.5%増)の49億33百万円となりました。
なお、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、販売用不動産の取得費及び開発費、不動産融資資金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入や社債の発行による調達を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及び社債を含む有利子負債の残高は前連結会計年度と比べ137億85百万円増加の470億5百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度と比べ117億70百万円増加の262億1百万円となっております。
④経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人財の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
1.提出会社と株主間のガバナンスに関する合意
該当事項はありません。
2.提出会社と株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意
該当事項はありません。
3.財務上の特約が付された金銭消費貸借契約又は社債
該当事項はありません。
4.その他の重要な契約等
該当事項はありません。
該当事項はありません。