第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において当社が判断した内容を記しております。

 

(1) 経営成績の状況

当中間会計期間(2025年1月1日~2025年6月30日)における世界経済は、底堅い成長を見せながらも、米国政府が打ち出した関税措置により先行き不透明感が広がりました。わが国においては、賃金引き上げや旺盛なインバウンド需要による盛り上がりが見られたものの、生活必需品をはじめ諸物価の上昇が続き、景況感にはやや陰りが見られました。

 

当社のプラットフォーム事業(mRNA標的低分子創薬事業)においては、創薬プラットフォームibVIS®を活用し、東レ株式会社、塩野義製薬株式会社(以下「塩野義製薬」と表記)、ラクオリア創薬株式会社(以下「ラクオリア創薬」と表記)、並びに武田薬品工業株式会社(以下これらの製薬会社を「パートナー」と表記)との共同創薬研究を進めており、さらなる提携先の契約に向け、mRNA標的低分子創薬に関心を持つ国内外の製薬会社等に当社のプラットフォーム技術紹介等のアプローチを進め、当中間会計期間中には新たに、三菱瓦斯化学株式会社と共同研究契約の締結に至りました。

 

これと並行して、将来の事業多角化に向け、自社独自でmRNAを標的とする新たな医薬品の創出(パイプライン創出)の取組みを進めました。そのうち核酸医薬の開発において当社は、既にp53遺伝子のmRNAの量を低下させ、タンパク質の発現を抑制する作用がある核酸医薬の一種、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を同定、日本国内での特許取得とともに、さらに効率よく活性の高いASOを取得するための独自研究を進めております。当中間会計期間中には、心臓血管手術後に惹起される虚血性の急性腎不全を創薬研究の対象疾患と定め、当社として最初のパイプラインとして取り組む方針といたしました。

 

プラットフォーム事業(mRNA標的低分子創薬事業)においては、各パートナーと実施している共同創薬研究が各々順調に進捗し、塩野義製薬との共同創薬研究では、リード化合物獲得につながる化合物の取得に成功しマイルストーン達成に至りました。またラクオリア創薬とのがん治療薬創出を目標とした共同研究では、共同研究で取り扱う標的遺伝子の研究範囲を拡大するとともに、双方のノウハウを活かして複数遺伝子に対して複数のスクリーニングを実施、それぞれ創薬研究の起点となり得る低分子化合物を複数取得する等の成果がありました。

収益面では、共同創薬研究契約に基づき定期的に受け取る研究支援金や、スポット的に発生するマイルストーン収入等により事業収益は43,420千円(前年同期比62.6%減)を計上しました。事業費用には研究開発費94,123千円を含む229,679千円が発生し、営業損失は186,259千円(前年同期は66,731千円の営業損失)となりました。

営業外損益においては、定期預金による受取利息3,149千円など営業外収益3,404千円が発生し、経常損失は182,854千円(前年同期は88,729千円の経常損失)、中間純損失は184,448千円(前年同期は90,154千円の中間純損失)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当中間会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べて178,023千円(7.9%)減少し、2,070,935千円となりました。流動資産は主に現金及び預金の減少149,399千円、売掛金の減少21,019千円により174,503千円(7.8%)減少し、2,057,569千円となりました。固定資産は、主に減価償却による有形固定資産の減少4,696千円、新たな特許権等による無形固定資産の増加1,310千円等により3,519千円(20.9%)減少し、13,365千円となりました。

 

(負債)

当中間会計期間末の負債は、前事業年度末に比べて6,425千円(16.3%)増加し、45,835千円となりました。これは流動負債にて前受金の増加13,750千円、未払金の減少9,309千円等があったことによるものです。

 

(純資産)

当中間会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べて184,448千円(8.4%)減少し、2,025,099千円となりました。これは中間純損失による利益剰余金の減少184,448千円があったことによるものです。

これらの結果、自己資本比率は、前事業年度末の98.2%から0.4ポイント低下し、97.8%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」と表記)の残高は、前事業年度末より350,600千円増加し523,959千円となりました。当中間会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間の営業活動により支出した資金は147,187千円となりました。これは主に税引前中間純損失182,854千円、売上債権の減少21,019千円、前受金の増加13,750千円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間の投資活動により獲得した資金は497,788千円となりました。これは主として定期預金の払戻し500,000千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間の財務活動による資金の増減はありません。

 

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5) 経営方針・経営戦略等

当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

当中間会計期間における研究開発費の金額は94,123千円であります。

なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動に重要な変更はありません。

 

(8) 経営成績に重要な影響を与える要因

当中間会計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。

 

(9) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

  当中間会計期間において、資本の財源及び資金の流動性に関する分析について重要な変更はありません。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間会計期間において、新たに以下の契約を締結いたしました。

製薬会社との共同創薬研究等

相手先の名称

相手先の所在地

契約の名称

契約締結日

契約内容

三菱瓦斯化学

株式会社

日本

共同研究契約

2025年6月30

長鎖RNAを標的とする核酸医薬ASOの創薬共同研究であり、QbDに基づく開発候補ASO化合物の取得と製造方法の確立を目指す。

共同研究により得られた成果物は主に当社が権利を保有、三菱瓦斯化学株式会社は一部を保有

<研究期間>2025年6月30日から3年間