第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針及び経営戦略

 当社は、代表取締役社長である大谷光徳が、2008年4月、名古屋市中区に創業したことが始まりであります。2009年12月に当社を設立し、現在、愛知県名古屋市を本拠地とし、立呑み店をメインに運営しております。

 企業理念等は下記のとおりです。

 

(企業理念)

ひとつでも多くの笑顔と笑い声に出会いたい

(スローガン)

10坪のイノベーションを起こす!!

(キーワード)

LTVを最大化する。

お客様一人一人の人生に色を加える、名脇役に徹する。

(ビジョン)

永続・300店舗・上場企業

企業として存続し続けること・全国で300店舗を達成し、最もパブリックな企業を目指します。

(ミッション)

giving a little happiness

日常的な幸せを数多く提供し、サポーター数ダントツNo.1を目指します。

(提供価値)

「公民感」

公民館のような人々の身近な存在、生活の一部になりうるような空間を提供する。

「安心感」

衛生面で「安全」「清潔」であること。そして「どこで何を食べてもおいしい」を提供する。

「お得感」

「料理」「パフォーマンス」「雰囲気」で感動を与え、付加価値を最大化させる。

「特別感」

すべての人々が、我々の「応援者代表」を感じられるような距離感を提供する。

 

 当社は、10坪という「小箱」を上手く活用した席数を限定しない立呑みスタイルにて、不況にも強く気軽に入れる低単価により、テーマパークや記念日のお祝いのような非日常的なサービスではなく「365日いつでも気軽に立ち寄れる」場を提供することをコンセプトに事業を運営しております。このため、ターゲットは30代~50代の単身のサラリーマンの方々をメインとしております。

 また、当社では、1坪当たりの収益を最大化させ、リスクを最小化させるというモデルを実現し展開しております。具体的には、30坪で月商1,000万円を出店し続けることは、坪数が大きくなれば大きくなるほど家賃は上昇するため、固定費が高まり、損益分岐点が上昇し、一定の客数が見込めない場合には相応のリスクとなりますが、10坪で月商350万円であれば3店舗(合計1,050万円)を出店し続けることは、坪数が小さくなればなるほど家賃は下降し、固定費が下がるため、損益分岐点が下降し、単店として利益化しやすくなります。そしてその店舗で一定の利益が見込むことができれば、増店の判断がしやすくなり、リスクの低減となります。こうした中、当社では、4坪からの出店が可能であり、他社が狙えない物件の空間利用ができます。坪数が小さくなれば、家賃比率も低くなります。また、今後、ブランド価値を高め空中階の座りパターン、主要ではない駅周辺での10坪の座りカウンターのみのパターン等も出店可能になれば、出店候補地はさらに増加していくことが想定されます。

 メインである商材の「串焼き(焼きとん)」については、流行り廃りがなく、創作にも適しており、時代の変化に左右されません。グランドメニューについても、比較的調理が簡単な構成になっており、厨房面積を減らすことができるため、これにより客席を更に広く取ることができ、また、スピード提供が可能となっております。価格の面でも、1本99円(税込)からと低価格での提供を実現しており、来店ハードルの低さに繋がっております。また、メイン業態では「焼きとん大黒」に加え、コンセプトはすべて同じで「海鮮、天ぷら」に商材を変えただけの業態である「立呑み魚椿」も同時に展開しており、BSEのような大きな食材リスクに対する回避策として、業態間の切り替えができる体制であります。

一方、新型コロナウイルス感染症の流行によってアルコール業態が打撃を受けたことを踏まえ、小箱で得た厨房図面のノウハウ、食材ルートや目利きを活かし、さらにDX化させることで今までとは異なる全く新しいサービスモデル「焼肉デラックス」の事業確立を目指し、育成しております。将来的には、アルコール業態では狙えなかった、新しいターゲット層と新しい物件でのビジネス展開が可能となります。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社では、既存店の成長、新規出店拡大により売上効率の最大化を図り、安定的かつ持続的な成長を目指しております。また、これらを実現するための主要なKPI(Key Performance Indicator)として「既存店成長(常連客数(年間に60回以上来店してくださる常連客))」、「既存店成長(既存店売上高前年対比)」、「新店出店(直営店店舗数)」を重要な経営指標としております。

 

(3) 経営環境

外食産業を取り巻く環境は、生活費節約意識の高まりによる外食機会の減少、食の安全性に対する消費者意識の高まりや低価格競争の激化等により、今後も厳しい状況が継続するものと想定されます。特に近年では、若年層を中心にアルコール離れが進んでいるとされ、居酒屋業界の市場環境における先行きの厳しさに拍車をかけています。

そんな中、新型コロナウイルス感染症の第8波による感染再拡大の影響を受けておりましたが、2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが新型インフルエンザ等感染症から季節性インフルエンザと同等の5類感染症に引き下げられたことにより、経済活動は徐々に回復に向かっております。

外食産業におきましては、人出の回復が見られるものの、国際情勢悪化等に伴う原材料やエネルギー等の価格高騰等が継続しており未だ厳しい状況が続いております。

このような状況の中、当社は各店舗考案によるイベント等を実施し、より多くのお客様に楽しんで頂けるよう取り組んでおります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 人財採用・教育

当社が成長を続けていくためには、今後、優秀な人財の確保が必要不可欠と考えております。当社の企業理念を理解し、賛同した人財の採用を最重要課題とし、中途採用だけでなくスカウト採用にも積極的に取り組んでまいります。また、一人ひとりの適材適所を見極め、労力に対する成果を最大化させるとともに、外食産業に限らない経験豊富な人財の招聘等により、変化する経営環境に対し柔軟に対応できる組織を目指します。

人財教育に関しては、理念の浸透が一番だと考え、特に重要な位置づけとなる店長及び現場スタッフに対しては教育プログラムを強化し、店舗運営力の更なる向上に取り組んでまいります。

 

② 新規出店の推進

現在、名古屋市内、関東地域、広島市内、仙台市内(FC店)での事業展開を行っており、ドミナント戦略の観点からは、既存エリアにおいても出店の余地はあるものの、今後は、更に新たな地域への出店も視野に入れて、継続的な成長を目指してまいります。

近年、時代の変化とともに、面積の広い物件よりも小さな物件に対する注目度が集まっており、物件の獲得段階における競争が高まっているため、最適な物件の獲得が最重要課題となっております。

 

③ 既存店売上の維持向上

外食産業は、参入が比較的に容易であることから、企業間競争が激しい事に加え、個人消費の動向に影響を受けやすく、市場が中食へ傾いているのが現状です。

その中で当社は、「LTV(Life Time Value)を最大化する」をコンセプトに事業展開を進め、地元のお客様に長く愛され、記憶に残る時間、空間を提供し続けていくことが、繁盛店維持の鍵であると考えております。

親しみのある串焼き、刺身、天ぷらというコンテンツと、通いやすい、入店しやすい金額設定の業態モデル、そこに顔なじみの店員をプラスすることで、他社との差別化及び「代わりの利かない店」を目指し、収益の確保に望んでまいります。今後も、味は勿論のこと、通いがいのある空間をお客様に提供できるよう社員教育を徹底し、お客様満足度を高めていくことにより、既存店売上高の継続的な維持向上を実現できるようなマネジメントに取り組んでまいります。

 

④ 衛生・品質管理の強化、徹底

当社では、セントラルキッチンにおいて、お客様に提供する食材の仕入及び加工を行っており、食の安全に関して重い社会的責任が課されているものと認識しております。外食産業においては、食中毒事故や異物混入事故の発生、偽装表示の問題等により、食品の安全性担保に対する社会的な要請が強まっております。

セントラルキッチン及び店舗では衛生管理マニュアルに基づく衛生・品質管理を徹底するとともに、セントラルキッチン及び店舗に対して、内部監査担当者による定期的なチェックを実施し、現行法令の遵守並びに最新の法令改正等のキャッチアップを行い、衛生・品質管理体制のさらなる強化に取り組んでまいります。

 

⑤ 新型コロナウイルス感染症対策

新型コロナウイルス感染症の感染の拡大に備え、引き続き、従業員に関しては手洗い、体調管理等を徹底し、感染症拡大の防止に努めております。

これまで手掛けてきた事業に対して、より一層の注力をすることが重要と考えております。

また、今般の情勢より、外食に対する一定の需要が中食に傾斜することを視野に入れておく必要があり、そのための課題として、更なる店舗展開を進めていくこと、店舗ブランド価値をより更に高めていくことが重要と考えております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

 

(1) サステナビリティに関する考え方

当社は、「ひとつでも多くの笑顔と笑い声に出会いたい」という企業理念の下、企業の役割として中長期的な経済価値の創出のみならず、社会的貢献・責任を果たしながら、持続的な成長と企業価値を向上させることが求められているものと認識しております。主要事業である飲食事業において所謂「フードロス」の削減を目指し、また人的資本への投資の重要性であるものと認識しており、人財採用・育成に関する取組を更に強化することも中長期的な企業価値の向上に寄与するものと考えております。そしてこれらを可能にするために必要なものはパートナーシップであると考えており、サステナビリティの実現には、他の組織や利害関係者との協力が欠かせません。当社は、業界や地域のパートナーと連携し、共通の目標に向かって共同作業を行っていきたいと考えております。

 

(2) サステナビリティへの取り組み

①ガバナンス

当社は、持続可能な経営を推進、強固なガバナンス体制を構築する為に、サステナビリティに関連するリスクを正確に捉え、適切な対策を講じるため、原則として月に1回開催される経営会議で審議して、急速に変化し続ける事業活動に対応できる体制を構築していこうと考えております。特に人的資本関連の方針及び計画策定は、重要課題であると認識しております。

 

②戦略

当社は優れた人財を採用し、育成することを重要な戦略と位置付けています。適切な人財を採用するために、採用プロセスを透明かつ公正に行い、多様な人財を活かす取り組みを推進しています。また、従業員のキャリア開発やスキルアップのための教育プログラムを提供し、成長と組織の持続的な発展を支援しています。従業員のトレーニングとスキル開発を重視し、持続的な組織成長をサポートし、定期的な研修プログラムやキャリアコーチングを通じて、従業員が自己成長を実現し、組織のビジョンに貢献できるよう支援しています。

また、様々な人財が社内で活躍できるよう、育児・介護休業等に関する規程や従業員が働きやすい環境整備などを定めており、やりがいをもって働ける組織の構築を推進しております。

 

③リスク管理

当社はサステナビリティに関連するリスクを経営上の重要な課題と認識しており、事業活動に重大な影響を及ぼすリスクについては、速やかに取締役会(監査等委員会を含む。)に報告するとともに、取締役会及び経営会議で審議し、その優先度を考慮し、迅速な意思決定を目指して取り組んでまいります。

 

④指標及び目標

当社は、求人採用教育のフローを重要視しており、優秀な人財の確保と生産性の向上、かつ精度の高い教育プログラムの構築を目的として、従業員が高いモチベーションを持てるとともにeNPS(Employee Net Promoter Score)が高まる環境の整備に努めております。人財の育成及び社内環境整備に関する方針の指標については従業員離職率の低減、新規採用の定着率の向上等を掲げておりますが、これについては、2025年度までに離職率を現行の50%までに低減、新規採用者の定着率を10%向上するといった目標を掲げております。

 

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 市場環境及び競合について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

外食産業を取り巻く環境は、人口減や高齢化に伴う需要の減少、消費者ニーズの多様化、食に対する安全意識の高まり、価格競争の激化等により、今後も厳しい状況が継続するものと想定されます。このような状況の下で、当社は店舗の独自のコンセプトを展開することで、競合他社との差別化を図っておりますが、今後、市場環境がさらに悪化した場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(2) 新規出店計画について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は新規出店計画に基づいて新規出店、事業の拡大を行っております。新規出店にあたっては立地条件や賃料等を勘案して総合的に検討を行っておりますが、必ずしも計画通りのスケジュールで最適な物件を確保できるとは限らないため、実際の新規出店の進捗と、新規出店計画の間に乖離が生じた場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 出店後の環境の変化について

(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は新規出店の際は、店舗周辺の環境を十分に調査した上で出店しておりますが、競合店舗の出店や店舗周辺の往来人口の減少など、環境が変化することにより、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) イベントに関するリスクについて

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

当社では、お客様の満足頂ける魅力あるイベントを企画し、全店共通、各店独自にて開催しております。当該イベントはお客様から好評を得ており、来店動機の向上に繋がっております。当社としては、今後ともお客様に満足して頂ける、より魅力あるイベントを企画・開催していく方針であります。しかしながら、その成果が意図したものに至らない場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 材料価格の高騰について

(発生可能性:中、発生する時期:数年以内、影響度:中)

当社は原材料の調達については、厳正な品質チェックのほか、適正な価格交渉を行うこと等により原材料価格の低減に努めておりますが、当社が購入している原材料価格が市場動向の変化等の要因により高騰した場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 衛生管理の強化、徹底について

(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、「食品衛生法」に基づき、各自治体から飲食店営業許可を取得し、すべての店舗に食品衛生責任者を配置しております。また、セントラルキッチン及び各店舗では、衛生管理マニュアルに基づき衛生や品質に対する管理を徹底するとともに、外部業者及び担当エリアマネージャーによる衛生チェックを実施し、衛生管理には万全を期しております。しかしながら、食中毒など衛生面に起因する事故が発生した場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(7) 個人情報の管理について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は従業員及びお客様の個人情報を保有しております。これらの個人情報については、「個人情報の保護に関する法律」に基づく「個人情報取扱事業者」として厳正な管理に努めておりますが、万一、漏えいや不正使用等の事態が生じた場合には、社会的信用の失墜、損害賠償請求の提起等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 商標の模倣について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は、当社ブランドの商標権を取得し管理することで、ブランドの保護を図る方針です。しかしながら、第三者が類似した商号等を使用する等により当社の知的財産権が侵害され、ブランドの価値が毀損された場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(9) 商品表示について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

外食産業においては、食材の産地偽装や賞味期限の改ざん等の問題が生じたことにより、食材の安全性の確保に対する社会的な要請が強くなっております。当社は、適正な商品表示のための社内体制の整備、強化に取り組んでおりますが、万一、表示内容に重大な誤りが発生した場合には、社会的信用の失墜等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(10) 店舗における酒類提供について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の店舗は、「未成年者飲酒禁止法」「道路交通法」等による規制を受けており、アルコールの注文をされたお客様に対し、自動車等でのご来店の事実がないこと、また、未成年のおそれがあると判断した場合には未成年ではないことの確認を行うことを徹底しております。しかしながら、万一、未成年者の飲酒やお客様の飲酒運転等により、当社及び従業員に法令違反等が生じた場合には、社会的信用の失墜等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(11) 短期時間労働者の労働条件に係る法令等について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:小)

当社の店舗においては、短時間労働者が多数勤務しており、法令に基づく加入対象者については社会保険へ加入することを徹底しております。これに関連し、今後、短時間労働者の社会保険加入義務化の適用が拡大された場合、保険料の増額、アルバイトの就業形態の変化、アルバイト就業希望者の減少等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(12) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の店舗のうち深夜0時以降も営業する店舗については、新規出店時において、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の規制に基づいて所轄警察署への届出を行うこととし、法令遵守に取り組んでおります。しかしながら、万一、法令違反等が発生した場合、一定期間の営業停止等が命じられる等、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(13) システム障害について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、店舗の業績管理、食材の受発注業務、勤怠管理及び給与計算、その他財務関連業務等について、ITシステムに依存しております。その適切な整備及び運用については万全を期しておりますが、万一、第三者による意図的な攻撃や自然災害、ネットワークの障害等不測の事態が発生した場合、これらITシステムが正常に機能しないことにより、業務活動に著しい影響が生じ、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(14) フランチャイズ加盟店について

(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は直営店のほか、加盟店との間にフランチャイズ契約を締結し店舗展開を行っております。フランチャイズ契約に基づいて、フランチャイジー様への店舗の運営指導等を行っておりますが、加盟店において当社ブランドに悪影響を及ぼすような事態が生じた場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 自然災害について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は全国の繁華街をターゲットに店舗を展開しておりますが、特定の地域において大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合には、売上の低迷や店舗の修繕費等の発生により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 差入保証金・敷金について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

直営店及び業務委託店における店舗については、賃借による出店が中心であり、賃貸借契約を締結する際に賃貸人に対して敷金及び差入保証金の差し入れを行っております。賃貸人の財政状況が悪化した場合には、敷金及び差入保証金の回収が困難となり、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 有利子負債依存度について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、店舗設備及び差入保証金等の出店に係る資金を主に金融機関からの借入により調達しております。この結果、総資産に占める有利子負債(借入金)の割合が、2023年11月30日現在で55.9%と高い水準となっております。今後は自己資本の充実に注力する方針でありますが、変動金利による金利上昇リスクに晒されており、有利子負債依存度が高い状態のまま金利が上昇した場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 減損会計の適用について

(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、減損会計の枠組みにおける固定資産のグルーピングについて、キャッシュ・フローを生み出す最小単位を、主に各店舗としております。そのため、店舗における業績の悪化が継続し、収益性の低下が認められた場合には、固定資産について減損損失を計上することとなり、当社の財政状態及び経営成績の状況に影響を与える可能性があります。

 

(19) 特定人物への依存について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の代表取締役社長大谷光徳は、創業者として店舗運営、商品開発、店舗開発等に精通しており、当社の事業運営において重要な役割を果たしております。当社は、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、組織の体系化、人財の育成及び強化並びに権限の委譲等組織的な事業運営に注力しておりますが、同氏が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(20) 人財の確保・育成及び人件費の高騰について

(発生可能性:中、発生する時期:数年以内、影響度:大)

現在国内において、少子化による労働人口の減少等により、人手不足や賃金の上昇が社会問題化しております。当社が出店を継続し、事業の拡大を続けていくためには優秀な人財の確保と育成が不可欠ですが、それらの人財が確保・育成できない場合、また、人件費の高騰が長期化した場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21) インターネット等による風評被害について

(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)

ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上の書き込みや、それに起因するマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散した場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(22) 新型コロナウイルス等感染症の拡大について

(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:大)

新型コロナウイルス感染症や新型インフルエンザ等の感染症の罹災が大規模に拡大した場合には、外出人口が減少し、政府より外出自粛等の要請がなされることにより、来客数の減少、サプライチェーンの混乱、店舗の営業時間短縮や休業につながり、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ106,178千円減少し、1,764,590千円となりました。これは、流動資産が111,677千円減少し998,139千円となったこと及び固定資産が5,498千円増加し766,451千円となったことによるものであります。

流動資産の主な減少は、売掛金が25,453千円増加したものの、未収入金が61,865千円減少、現金及び預金が72,805千円減少したことによるものであります。

固定資産の主な増加は、有形固定資産が32,106千円減少及び長期前払費用6,499千円減少したものの、繰延税金資産が33,914千円増加及び差入保証金が10,772千円増加したことによるものであります。

負債については、前事業年度末に比べ307,219千円減少し、1,400,702千円となりました。これは、流動負債が8,344千円増加し、521,226千円となったこと及び固定負債が315,563千円減少し、879,476千円となったことによるものであります。

流動負債の主な増加は、1年内返済予定の長期借入金が39,983千円減少したものの、未払法人税等が31,893千円増加及び未払費用が15,457千円増加したことによるものであります。

固定負債の主な減少は、新規出店に伴う資産除去債務が2,975千円増加したものの、長期借入金の約定及び繰上げ返済により317,933千円減少したことによるものであります。

純資産については、当期純利益201,040千円の計上により繰越利益剰余金が201,040千円増加したこと等により、363,887千円となりました。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の第8波による感染再拡大の影響や、ロシア、ウクライナによる国際情勢悪化の長期化等により、景気は依然として不透明な状況が続いておりましたが、2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが新型インフルエンザ等感染症から季節性インフルエンザと同等の5類感染症に引き下げられたことにより、新型コロナウイルス感染症対策の各種規制の撤廃等がなされ、行動制限のない様々なイベントが各地で約3年ぶりに開催可能となり、人出が増え始めたことで、経済活動は徐々に回復に向かっている一方、国際情勢悪化、原材料やエネルギーの価格高騰等、経済活動に大きく影響を与える現象が長期化しており、先行き不透明な状況が続いております。

外食産業におきましても、人出の回復が見られるものの、国際情勢悪化や円安等に起因する原材料やエネルギーの価格高騰等が継続しており未だ不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社は、各店舗考案によるイベント、限定メニューの提供等の施策を実施、QSC(Quality Service Cleanliness)の向上にも取り組み、より多くのお客様に楽しんで頂けるよう取り組んでおります。

また、新たに2箇所目となるセントラルキッチンを愛知県津島市に設置し、2022年11月から本格稼働しております。これにより、これまでの約4倍の生産が見込めるようになり、今後の新規出店にも対応し得る生産体制となりました。さらに、セントラルキッチンが2拠点となることで、災害の発生などの不測の事態においても、製造供給を止めることなく対応し得る体制を構築できているものと考えております。

なお、当事業年度において新規直営店2店舗及び新規フランチャイズ店1店舗出店、直営店から業務委託店への切替を1店舗、直営店1店舗退店を実施いたしました。当事業年度末日における店舗数は54店舗(内フランチャイズ店15店舗)となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は2,225,111千円(前年同期比32.1%増)、売上総利益は1,608,819千円(同32.4%増)となりました。販売費及び一般管理費は1,346,402千円(同15.5%増)となり、営業利益は262,417千円(同431.2%増)、経常利益は255,065千円(同91.5%増)、当期純利益は201,040千円(同219.7%増)となりました。

当社は飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前事業年度末に比べ72,808千円減少し、604,228千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の営業活動により増加した資金は373,047千円(前事業年度は389,028千円の増加)であります。これは、税引前当期純利益241,311千円の計上、減価償却費89,239千円、減損損失12,672千円、のれん償却額833千円及び補助金の受取額60,000千円等による資金の増加が、法人税等の支払額42,292千円、利息の支払額6,477千円及び未払金の減少額6,473千円等の資金の減少を上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の投資活動により減少した資金は83,334千円(前事業年度は327,342千円の減少)であります。これは、有形固定資産の取得による支出69,872千円及び差入保証金の差入による支出13,272千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の財務活動により減少した資金は362,521千円(前事業年度は55,817千円の減少)であります。これは、長期借入れによる収入154,000千円の資金の増加が、長期借入金の返済による支出511,916千円の資金の減少を下回ったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当事業年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年12月1日

至 2023年11月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

飲食事業

184,235

136.0

合計

184,235

136.0

(注) 1.当社の事業区分は「飲食事業」の単一セグメントであります。

2.上記はセントラルキッチンにおける生産実績であり、金額は製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当社は、一般消費者へ直接販売する飲食事業を行っておりますので、記載しておりません。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績を製品及びサービス別に示すと、次のとおりであります。

製品及びサービスの名称

当事業年度

(自 2022年12月1日

至 2023年11月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

直営店売上

2,085,001

134.6

業務委託店売上

94,401

89.6

FC売上

23,405

148.6

その他

22,302

160.5

合計

2,225,111

132.1

(注) 1.当社の事業区分は「飲食事業」の単一セグメントであります。

2.金額は販売価格によっております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析 前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

b.経営成績の分析 前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

c.キャッシュ・フローの分析 前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当の他、販売費、一般管理費及び食材費の営業費用であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入でバランスよく調達していくことを基本方針としております。

 

④ 経営成績に重要な要因を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に 記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社は常連客数、既存店売上高前年対比、直営店店舗数を重要な経営指標としております。

当事業年度については、常連客数315人、既存店売上高前年比125.1%、直営店店舗数31店舗となり、増加に向けた企業運営に努めております。

なお、各指標の推移は以下のとおりであります。

重要な経営指標

前事業年度

当事業年度

常連客数

193人

315人

既存店売上高前年対比

176.4%

125.1%

直営店店舗数

31店舗

31店舗

 

 

5【経営上の重要な契約等】

フランチャイズ加盟契約

 当社は、フランチャイズチェーン加盟店との間で、以下のような加盟店契約を締結しております。

(1)契約の内容

 当社は、当社が開発した店舗運営ノウハウと「焼きとん大黒」等の商標を使用して店舗を営業する資格ないし権利を加盟店に付与し、マニュアル等の書面、担当スーパーバイザーによる指導等を通じて加盟店の経営、店舗の営業を支援する。加盟店は、契約に定める事項、与えられたマニュアル並びに当社の指示を厳守して営業に従事する。加盟店は、契約に定める加盟金及び指導料並びにロイヤリティを支払う。

(2)契約期間

 契約締結日を開始日とし、満5年を経過した日を終了日とする。

(3)契約更新

 契約満了の3ヵ月前までに書面による契約終了の意思表示がないときは、5年間自動更新される。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。