当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の項目と認識しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。
当社は、「モノづくりのあり方を変え、世界を変えていく」ことを企業理念とし、当社に関わってくださる全ての皆様に大きな喜び(付加価値)を提供することを目指しています。
上述の企業理念に基づき、「国際競争の激化」や「人手不足」等の大きな課題に直面している日本の製造業に向けて、外観検査等の製造工程の自動化・省力化を可能にするプロダクトの開発・販売及び、DX推進のためのコンサルティングを展開しています。当社は、製造業界におけるDX推進の一翼を担い、製造業の競争力を強化し、日本のモノづくりの発展に貢献していきます。
当社は、製造業界に向けてAIシステムとDXコンサルティングを提供できる当社の強みを活かして、製造業のDX化を支援し、事業成長をしてきました。現時点では1工場の特定の分野の自動化・省力化を行った企業が多いため、今後AIシステムでは導入する製造ラインの拡大を推進し、DXコンサルティングでは異なる生産工程の自動化を支援することで、同一顧客に複数回にわたってサービスを提供し、顧客の自動化を支援してまいります。さらにAIシステムを導入した企業に、生産計画の自動化等のDXコンサルティングを提供することで、取引の重層化を図っていきます。
中期では、同一顧客の別工場への拡大や新規ソリューションの導入と取引を発展させていき、顧客の生産工程自動化を様々な形で支援する体制を築いていきます。また、1顧客の取引の拡大に加えて、幅広い業界での導入実績を積み上げ、様々な顧客課題に対応できる企業となることで、製造業におけるDX化を支援する企業としての地位を築き、安定的かつ成長性のあるビジネスモデルの確立を目指します。
[成長戦略(企業単位)]

DXコンサルティングでは、新規ソリューションの発掘をしていきます。DXコンサルティングを通じて顧客の課題を発掘し、業界横断で汎用的に課題解決が可能な領域を見定め、新規プロダクトの開発を行ってまいります。PDCAサイクルを循環させることで顧客課題に適したサービスを提供し、ソリューション領域の拡大を図っていきます。

国内において製造業の事業者数は11万社(※1)あり、当社の取引社数シェアは約0.1%と今後の取引拡大の余地は大きいと当社は考えております。
よって、長期では、国内展開・技術面の拡充を目指し、国内支社の展開を進めると共に、海外工場への本格的なサービス展開を検討していきます。技術面においてはAIを中心にソリューション領域の拡大を継続し、幅広い課題に対応できる企業を目指していきます。
[成長戦略(業界単位)]

※1 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査 従業員10名以上の事業所数」より引用
※2 波形解析は開発段階のサービスとなります。
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するために成長性と収益性を重視しており、自社の成長及び競合他社との比較検証を行うことを目的に「売上高」「売上高成長率」「売上総利益」「売上総利益率」「営業利益」「営業利益率」を客観的な指標としております。さらに今後、高いレベルの成長性と収益性を実現するために「受注残高」「累計取引社数」「継続顧客売上高」についてもモニタリングをしております。なお、これらKPIを用いた推移については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
当社は、今後のさらなる成長を実現する上で、以下の事項を経営課題として重視しております。
当社が対面する製造業界は、内閣府が公表する「国民経済計算(GDP統計)」によれば、我が国の国内総生産(名目)の19.2%を占める107兆円という巨大な市場規模です(内閣府「2022年度(令和4年度)国民経済計算年次推計」、2023年12月)。
一方で、内閣府が公表する「令和5年版高齢社会白書(全体版)」によれば、今後の国内における生産年齢人口の推移は、2020年の7,509万人から2070年には4,535万人と、2,974万人ほど減少することが見込まれており、当社では製造業界においても、人手不足が課題となると想定しています。
また、JILPT(独立行政法人労働政策研究・研修機構)が公表する「ものづくり産業のデジタル技術活用と人材確保・育成に関する調査」(2022年5月)によれば、デジタル技術を活用していく上での課題をデジタル技術活用企業、未活用企業に分けて調査されたところ、共にデジタル技術の導入や育成のためのノウハウ不足、人材の不足といった回答が大部分を占めています。
国内におけるDX市場は、2030年度予測には2021年度から2.8倍となる6兆5,195億円の市場規模と予測されており、製造業をみますと2030年度には2021年度から3.1倍となる8,130億円の市場規模と予測されています(出典:㈱富士キメラ総研「2023デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望<市場編>」)。

※1 内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)」をもとに当社作成
以上のことから、当社では、デジタル技術を用いてサービスや業務に変革を起こすDXという概念が浸透していき、製造業の業界においても、生産性向上・将来の人口減少による労働人口の減少へ対応するためにDX投資が積極的に推進されていくものと考えております。
当社は、AI及びIoT等の新しい技術を用いたAIシステムの販売及びDXコンサルティングにより、製造業の顧客課題を解決するために、製造業の知見を有した当社が顧客の製造現場に合わせたハードウェアとソフトウェアの組み合わせを提供することでDX化を支援していきます。さらには、幅広い業界の企業へのサービス展開を目指すべく、営業体制の強化を図ってまいります。

※1 内閣府「2022年度(令和4年度)国民経済計算年次推計」(2023年12月)
② 営業体制の強化
当社が持続的な成長をするにあたり、優秀な営業人材を採用し、育成していくことが重要です。
人材の採用については、様々なバックグラウンドを持つ方々のうち、製造業に必要な専門知識を有する人材、優れた営業力を有する人材を発掘し、当社の考えに共感する方を採用することとしており、今後もその方針に沿って採用活動を継続してまいります。
人材の教育については、入社時の研修に加え、継続的な勉強会を開催し、また、日々の営業活動の中での気づきを役職員間で共有することで、業界知見を高めていき、営業人材の強化を図ってまいります。
当社の事業領域においては、顧客の要求水準が高く、それに応えるための高い技術力及び顧客の要求水準を満たす製品を開発することが求められます。これらの実現のために、優秀な技術者の確保及び最新技術をキャッチアップする体制の構築を図ってまいります。
当社は、さらなる事業拡大を推進し、企業価値を向上させるためには、効率的なオペレーション体制を基盤としながら、内部管理体制を強化していくことが重要な課題であると認識しており、社内研修の実施等コンプライアンス体制及び内部統制の充実・強化を図ってまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で、行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。
当社では、客観的、継続的に、市場と競合他社、自社の分析を実施し、市場変化の兆候は迅速に経営戦略に反映させております。また、AIビジネス市場の中でも、2つのソリューションの提供を行うことで単一のサービスの場合より市場変化の影響を緩和し、リスク低減を図っております。
しかしながら、当社がビジネスドメインとするAIビジネス市場は今後さらなる成長が見込まれている領域でありますが、市場の成長ペースが大きく鈍化した場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が事業を展開するIT業界は、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新機能の導入等が行なわれております。当社は、オープン技術(機械学習技術/深層学習技術・自然言語処理技術等)と当社技術を組み合わせることにより、また、常に市場動向を注視し技術革新への対応を講じることにより、今後も競争力のあるサービスを提供できるように取り組んでおります。
しかしながら、予想以上の急速な技術革新や代替技術・汎用的な競合商品の出現等により、当社のサービスが十分な競争力や付加価値を確保できない場合には、新規受注の減少や契約継続率の低下により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、先行して事業を推進していくことで、さらに実績を積み上げて市場内での地位を早期に確立するとともに、当社の強みである製造業の豊富な知見を活かした企画から導入までのワンストップ対応によって、競争優位性を築いてまいります。また、今後の資金調達等を活かし、当社の資金力・ブランド力の強化を図ってまいります。
しかしながら、当社の事業については、競合他社が存在しているほか、新規参入事業者も見受けられます。資金力・ブランド力を有する大手企業の参入等、当社の競争優位性を上回る競合他社が出現した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社が対面する製造業界は、内閣府が公表する「国民経済計算(GDP統計)」によれば、我が国の国内総生産(名目)の19.2%を占める107兆円という巨大な市場規模です(内閣府「2022年度(令和4年度)国民経済計算年次推計」、2023年12月)。一方で、少子高齢化の影響によって労働人口が減少していることから、当社では現状の市場規模を維持するには、人手不足が課題となると想定しています。外部統計データによれば、生産性向上・コスト効率化に繋がるデジタル投資は高い水準が見込まれています(工場デジタル化市場規模2023年度(予測):1兆7,620億円→2027年度(予測):1兆9,820億円。出典:㈱矢野経済研究所「工場デジタル化市場に関する調査(2023年)」(2023年4月26日発表)より引用)。当社は、AI及びIoT等の新しい技術を用いたプロダクトの販売及びDXコンサルティングにより、製造業の特定の分野における自動化・省力化に向けたDXを推進しております(詳細は、「3 [事業の内容] (1)事業の概要 ■DXコンサルティング」をご参照願います)。
しかしながら、製造業界自体の景況や、DX推進の度合いに応じては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業領域において、高い成長率及び高い利益率を実現するためには、営業・戦略・技術・コーポレートの各面において、多くの優秀な人材を獲得することが必要であると考えております。採用市場の競争が激化するなか、当社では一定数の退職者が生じていることを踏まえ、社員の定着率を高めるべく労働環境の整備に取り組み、継続的に優秀な人材を確保し、事業を一層発展させていくため、採用力及び社内教育体制の強化を図っております。また、社内の優秀な人材の流出を防ぐため、利益獲得に注力できる経営組織の構築にも努めております。
しかしながら、今後の人材採用・確保の状況に応じては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業領域においては、顧客の要求水準が高く、それに応えるための高い技術力を維持し、顧客の要求水準を満たす製品を開発することが求められます。当社はこれらの実現のために、優秀な技術者の採用、育成に注力し、常に最新技術をキャッチアップする体制の構築を図ってまいります。また、取締役 DX事業開発部部長 荻本成基及び取締役 技術開発部部長 山田郁生は、新規プロダクトの開発における専門的な知識や技術を有し、重要な役割を果たしていると共に、社員への教育・ノウハウの共有を進めてまいります。
しかしながら、顧客の要求水準を満たす技術レベルに達しない又は荻本成基及び山田郁生に何らかの理由により業務遂行が困難となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、今後の事業領域拡大のために、新製品や新ソリューションの研究開発に取り組んでおります。
しかしながら、これらの活動は不確定要素が多く、事業計画を達成できなかった場合は、それまでの投資負担が、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、DXコンサルティングサービスにおいて、株式会社アイシン及びアイシン高丘株式会社との取引を有し、株式会社アイシングループへの依存度が大きくなっております。2023年2月期において、同グループが売上高に占める割合は27.5%となっております。また、当社は、顧客との契約を遵守し、友好的な関係を維持するよう努めるとともに、特定の顧客に過度に依存しないよう、新規顧客の開拓により安定した顧客基盤を増強する等ポートフォリオのバランスを考慮した経営を心掛けております。
しかしながら、顧客の事業環境や戦略の変化によって、取引の停止・縮小等の要因により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、AIシステムの販売だけでなく、企画からカメラやセンサー等の撮像機器及び検査装置の製作等の提案、設置、稼働までをワンストップで提供しております。検査装置の製作においては、受注時に仕様を確認し差異が発生しないように取り組んでおります。
しかしながら、顧客の要望により仕様が変更される場合又は納品を予定していた日に生産を優先されAIシステムや検査装置の設置が延期になる場合があり、納期が変動する可能性があります。その場合には、売上を計上する時期が変動し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、原材料や部品等を国内の商社を通じて調達しております。多様なネットワークを構築し、安定的な供給を得られるよう努めております。
しかしながら、今後、円安や新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)により原材料や部品等の仕入価格の高騰及び調達期間が長期化することがあります。原材料や部品等の価格が予想以上の急騰や長期にわたって高騰が続くことにより、原材料価格の高騰分をコスト削減等で吸収できず売価に転嫁できない、または、製品の納品遅延や販売機会の逸失等が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、本書提出日現在において、業績に影響を及ぼす訴訟や係争は生じておりません。また、当社は取引の契約締結に際して、法務担当による事前の契約条文の審査を行い、トラブル等の未然防止に取組んでおります。
しかしながら、当社が事業活動を行う中で、顧客等から当社が提供するサービスの不備等により、訴訟や係争が生じた場合には、当社の社会的信用が毀損され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業に関する開発を進める中で発生した知的財産については、必要に応じて知的財産権の登録等を行い、当社の財産の保全を行うとともに、第三者の知的財産権を侵害しないように努めております。
しかしながら、今後、当社の事業領域において第三者の権利が成立した場合又は認識していない権利がすでに成立している場合は、第三者より損害賠償等の訴えを提起される可能性並びに権利に対して使用料等が発生する可能性があります。その場合は、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、事業を展開する上で、顧客企業の技術、製品に関しての機密情報を取り扱っております。これらの情報の外部流出を防止するため、規程の整備、社員等への研修及びセキュリティシステムの継続的な改善等、管理体制の構築に努めております。
しかしながら、不測の事態により情報が流出した場合には、当社の社会的信用の失墜や訴訟費用及び損害賠償の発生等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業拡大に伴い役職員数が増加していることから、役職員等の内部関係者による贈収賄・横領・インサイダー取引等の不正行為が発生しないよう、コンプライアンス関連規程を制定するとともに、当社の役職員等が遵守すべき法令・ルールについて、全員に周知し、啓蒙活動を継続的に行っております。
しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生するといった事態が生じた場合や、事業の急速な拡大により内部管理体制の構築が追い付かないという事態が生じる場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社の事業を制限する直接的かつ特有の法的規制は、本書提出日時点において存在しないと考えております。
しかしながら、今後、当社の事業を制限する法的規制が制定され、既存の法的規制の運用が変更された場合には、当社の事業展開は制約を受ける可能性があります。当社としては引き続き法令を遵守した事業運営を行っていくべく、今後も法令遵守体制の強化や社内教育等を行っていく方針ですが、今後当社の事業が新たな法的規制の対象となった場合には、当該規制に対応するための費用が発生し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社代表取締役社長である南塲勇佑は、当社の創業者、かつ、創業以来の最高経営責任者であり、当社の事業運営における事業戦略の策定や業界における人脈の活用等に関して、重要な役割を果たしております。当社は、南塲勇佑への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成、採用を図っておりますが、現時点において南塲勇佑に対する依存度は高い状況にあると考えております。
今後において、何らかの理由により南塲勇佑の当社における業務遂行の継続が困難となった場合、当社の事業運営等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2020年3月に設立された社歴の浅い会社であることに加えて、急速な成長過程にあることから過年度の財務情報は期間業績比較を行うには不十分な可能性があります。また、新規事業の開拓も継続的に行っていく見込みであることから、過年度の財務情報のみでは、今後の業績を判断する情報としては、不十分な可能性があります。
当社は、2023年12月末現在において従業員45名と小規模な組織であり、役職員一人一人への依存度が高い傾向にあります。今後、事業拡大に伴い、優秀な人材の確保や経営管理体制の強化を進めるとともに、継続的に利益獲得を見込める組織体制を整備してまいります。
しかしながら、当社が求める人材の確保ができない場合には、人員の増強や組織の拡充が制限され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、獲得した資金で事業基盤の確立や製品の開発への投資を行い、一層の事業拡大を目指すことにより、利益獲得や実行力のある体制を整備するため、内部留保の充実を図っております。そのため、創業以来配当を実施しておりません。株主に対する利益還元については経営の最重要課題の一つとして位置付けておりますが、事業拡大を目指し投資を行うことが、将来の安定的かつ継続的な利益還元につながるものと考えていることから、現時点では配当実施の可能性及びその実施時期等は未定であります。
当社では、従業員安否確認手段の整備等、有事に備えて危機管理体制の整備に努めております。
しかしながら、大規模な地震、台風等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社又は当社の取引先の事業活動が制限され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、新型コロナウイルス感染症への対応として、マスク着用や定期的なオフィスの消毒等の感染防止活動を実施しております。
しかしながら、今後の感染状況によっては、市場の低迷、顧客の業績悪化による債権回収の停滞、従業員の感染等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、長期的な企業価値向上のため、役員及び従業員に対して、インセンティブとして新株予約権(以下、「ストックオプション」という)を付与しております。今後におきましても、優秀な役員及び従業員を確保するために、インセンティブとしてストックオプションを付与する可能性があります。これらストックオプションが行使された場合、発行済株式総数が増加し、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は198,000株であり、発行済株式総数9,900,000株の2.0%に相当しております。
当社は、株式会社東京証券取引所グロース市場への上場に際しては、本公募及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率(流通株式比率=(流通株式数)/(上場株式数)×100(%))について、新規上場時において26.61%にとどまる見込みです。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストックオプションの行使による流通株式数の増加、既存株主からの売出等の施策を組み合わせることで、流動性の向上を図っていく方針ではあります。
しかしながら、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
㉔ 大株主について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社の代表取締役社長である南塲勇佑(自身の保有する資産管理会社の持分を含む)の所有株式数は、本書提出日現在で発行済株式総数の77.3%となっており、引き続き大株主となる見込みです。南塲勇佑は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
また、当社は、支配株主との取引は、原則として行わない方針ですが、当社と支配株主が取引を行う場合は、少数株主保護の観点から、取締役会において当該取引の合理性及び必要性並びに取引条件の妥当性について十分検討する予定です。
なお、当社の業容の変化や市場環境による影響等によって当該株式が売却され、短期的な需給のバランスの悪化が生じる可能性があり、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。
当社の公募増資による資金調達の使途については、今後の事業拡大に向けた人材採用費等の運転資金及び新商品開発費用や既存商品の機能強化等の研究開発費と大阪支社の設置に充当する計画であります。
しかしながら、経営環境等の変化に対応するため、調達資金を計画以外の使途に充当する可能性があります。また、当初の計画どおりに資金が使用された場合でも、想定どおりの成果をあげられない可能性があります。
なお、資金使途を変更する場合には、適時適切に開示等を行ってまいります。また、投資効果については継続的に投資効果を測定、改善を行い、想定どおりの成果をあげられるように取り組んでまいります。
当社は、現在において投資を行っている事実はありません。しかしながら、今後の事業拡大のために、国内外を問わず出資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。また、投資判断においては、投資先候補企業の事業内容を吟味し、当社との事業シナジーが得られること、投資先候補企業の事業計画、当社の財務状況や投資先候補企業への影響力等を考慮し、投資先候補企業の評価額が適切な水準であることを慎重に確認し、投資判断を行う予定です。ただし、投資先企業の事業が計画通りに進捗しない場合や投融資額を回収できなかった場合、減損の対象となる事象が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況1 財務諸表等注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
当事業年度におけるわが国の経済は、前事業年度より引き続き、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、厳しい状況が続いております。感染拡大の防止策として、ワクチン接種の促進や各種の経済施策等により経済水準の持ち直しの動きがあるものの、足下では国内外での新型コロナウイルス感染症が再拡大しており、国内外における経済的な見通しは不透明な状況が続いております。
当社がサービスを提供する製造業界においては、世界的な半導体不足や、ロシアのウクライナ侵攻等により、短期的には不透明感はあるものの、生産性効率、熟練技術者の技能継承といった課題への取り組みにおいては、課題解決の手段として生産工程におけるデジタル技術の活用への投資は拡大基調を強めております。
このような経営環境の中、当社は、製造業の品質検査における労働集約的作業や従来製品に代わる手段として、AIを活用したAI外観検査システム「Phoenix Vision/Eye」を提供してまいりました。また、製造業の生産工程におけるAI技術の導入等を検討するためのDXコンサルティングサービスを提供してまいりました。当社設立から3期目となる当事業年度は、これまで積み重ねてきた実績が信頼に繋がり、毎月新規ユーザー及びリピート需要の獲得が進み、51社との取引が行われ、当社設立時からの累計取引社数は103社となりました。
この結果、当事業年度における売上高は、617,397千円と前年同期と比べ272,931千円(179.2%)の増収、営業利益は、64,319千円と前年同期と比べ60,958千円(1,913.7%)の増益、経常利益は、63,399千円と前年同期と比べ48,846千円(435.6%)の増益、当期純利益は、49,930千円と前年同期と比べ38,737千円(446.1%)の増益となりました。
なお、当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)
当第3四半期累計期間(2023年3月1日~2023年11月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症となり、経済活動の正常化が進みつつありますが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料価格の高騰や世界的な物価上昇、円安の進行等、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社がサービスを提供する製造業界においては、少子高齢化や人口減少を背景とした将来の労働生産性の確保に向けて既存システムの刷新やDXの推進によるIT投資の動きが見られます。
このような経営環境の中、当社は、製造業の品質検査における労働集約的作業や従来の製品に代わる手段として、AIシステムを活用した画像検査システム「Phoenix Vision/Eye」の提供及び製造業の生産工程におけるAI技術の導入等を検討するためのDXコンサルティングサービスを提供しておりますが、当第3四半期累計期間においては、1件あたりの受注金額が2千万円以上となる複数の大型案件の獲得に至っております。より多くのユーザーに対応ができるように、既存製品(Phoenix Vision/Eye)の汎用性を高めると共に、次世代機(Phoenix Edge)の開発を進めております。
この結果、当第3四半期累計期間においては、売上高1,052,794千円、営業利益384,061千円、経常利益383,408千円、四半期純利益253,457千円となりました。当第3四半期会計期間末の受注残高は、316,860千円となります。
なお、当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は前事業年度末より98,830千円増加し、341,115千円となりました。これは主に売掛金が127,432千円増加、敷金が17,665千円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は前事業年度末より44,552千円増加し、251,904千円となりました。これは、主に運転資金としての新規借り入れにより、借入金が16,804千円増加、未払消費税等が24,002千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は前事業年度末より54,277千円増加し、89,211千円となりました。これは、繰越利益剰余金が54,277千円増加したことによるものであります。
第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における総資産につきましては、前事業年度末に比べ393,032千円増加し、734,148千円となりました。これは主に、現金及び預金が118,980千円増加、売掛金及び契約資産が244,307千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債合計につきましては、前事業年度末に比べ139,574千円増加し、391,478千円となりました。これは主に、未払金が44,451千円増加、未払法人税等が107,526千円増加、長期借入金が38,223千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計につきましては、前事業年度末に比べ253,457千円増加し、342,669千円となりました。これは主に、四半期純利益を253,457千円計上したことによるものであります。
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前事業年度末に比べ63,816千円減少した結果、18,086千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動によるキャッシュ・フローは40,931千円の支出(前年同期は13,289千円の収入)となりました。これは主に、契約負債の減少33,066千円や棚卸資産の増加20,876千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動によるキャッシュ・フローは39,689千円の支出(前年同期は75,369千円の支出)となりました。これは主に、本社移転等に伴う有形固定資産の取得による支出47,061千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動によるキャッシュ・フローは16,804千円の収入(前年同期は93,671千円の収入)となりました。これは主に、借入金の借入による収入16,804千円によるものであります。
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績
当事業年度における受注実績は次のとおりであります。
(注) 当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
c 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1.当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。サービス別に記載をしております。
2.第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)前期比は、当第3四半期累計期間販売高を第3期販売高で除して求めております。
3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
4.アイシン精機株式会社は、2021年に経営統合により株式会社アイシンに名称を変更しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、高いレベルの成長性、収益性を実現するための参考指標として、「受注残高」、「累計取引社数」、「継続顧客売上高」についても、モニタリングをしております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社は、「モノづくりのあり方を変え、世界を変えていく」をミッションに掲げて、製造業界向けにAI技術及びIoT技術等の新しい技術を活用したサービスを提供しております。顧客が抱える課題を解決するサービスを提供することでサービスの付加価値は高められ、付加価値を最大化することこそ、多くの顧客の需要に応えることができ、顧客基盤の拡充に繋がるものと考えております。付加価値の最大化に向けて継続的にモニタリングするKPIは、以下のとおりです。
(注) 第4期の各数値は、第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)の実績であり、第4期の売上高成長率は、当第3四半期累計期間売上高を第3期売上高で除して求めております。
「売上高」及び「売上高成長率」は、自社の成長性及び市場への浸透度をモニタリングするため、重要な経営指標と位置付けております。
「売上総利益」「売上総利益率」「営業利益」「営業利益率」は、自社の収益性及び付加価値の1つのバロメーターとしてモニタリングしております。
「受注残高」及び「累計取引社数」並びに「継続顧客売上高」は、新規顧客の開拓と既存顧客の深掘り、それら新規及び既存顧客からの受注残高を自社の成長性及び収益性としてモニタリングしております。
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
これまでの導入実績を前面に打ち出すことで新たな顧客を発掘して累計取引社数を増やすと共にリピーターとなる継続顧客からの案件も獲得しております。当社が提供するサービスの付加価値を高めるべく、AIシステムでは、より多くの顧客需要を満たせるように既存製品(Phoenix Vision/Eye)の汎用性を高めたほか、次世代機(Phoenix Edge)の開発に着手いたしました。また、DXコンサルティングでは、継続顧客からの課題を深く多岐にわたり解決いたしました。その結果、当事業年度においては、売上高617百万円、売上高成長率179.4%、売上総利益547百万円、売上総利益率88.7%、営業利益64百万円、営業利益率10.4%、受注残高213百万円、累計取引社数103社、継続顧客売上高303百万円となっております。
第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)
更に導入実績を積みましたことでAIシステムでは新たな顧客からの受注に繋がると共に1件あたりの受注金額が2千万円以上となる複数の大型案件の獲得に至りました。製造ラインの一画を担うことになる大型案件は、外観検査で不良品として判定したものを除去する装置等の開発が必要となり、それら製造コストが増えたことで売上原価が増加いたしました。DXコンサルティングでは新たな顧客の獲得に繋がりました。一方で、販売費及び一般管理費はコスト削減を徹底いたしました。その結果、当第3四半期累計期間においては、売上高1,052百万円、売上高成長率170.5%、売上総利益831百万円、売上総利益率79.0%、営業利益384百万円、営業利益率36.5%、受注残高316百万円、累計取引社数156社、継続顧客売上高451百万円となっております。
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当の他、販売費及び一般管理費の営業費用であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入等でバランスよく調達していくことを基本方針としております。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。
当該見積りにつきましては、過去の実績や現状等を勘案して合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。なお、当社が財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社の研究開発活動は、顧客に信頼される「製品」を開発するべく研究を日々積み重ねております。また、今後もIT市場における関連機器等に設備投資の増加が期待できることから、引き続きこれらの分野におきましては、新製品を開発すべく鋭意努力をしてまいります。
なお、当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
当事業年度においては、既存製品(Phoenix Vision/Eye)のAI処理高速化等の次世代機となる小型ハードウェアの新製品(Phoenix Edge)の開発を行いました。当事業年度における研究開発費の総額は、
第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)
当第3四半期累計期間においては、引き続き次世代機(Phoenix Edge)や既存製品(Phoenix Vision/Eye)の機能開発を実施しておりますが、大型案件の需要が高まり既存製品の汎用性を高めることを目的に当初の計画よりも1.3倍程度の工数を掛けて研究開発を実施しております。当第3四半期累計期間における研究開発費の総額は、