当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の項目と認識しております。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。
当社は、「モノづくりのあり方を変え、世界を変えていく」ことを企業理念とし、当社に関わってくださる全ての皆様に大きな喜び(付加価値)を提供することを目指しています。
上述の企業理念に基づき、「国際競争の激化」や「人手不足」等の大きな課題に直面している日本の製造業に向けて、外観検査等の製造工程の自動化・省力化を可能にするプロダクトの開発・販売及び、DX推進のためのコンサルティングを展開しています。当社は、製造業界におけるDX推進の一翼を担い、製造業の競争力を強化し、日本のモノづくりの発展に貢献していきます。
また当社は、2026年度から2028年度における中期経営方針を以下のとおり定め、成長戦略に基づき実現に向けて取り組んでまいります。

当社は、製造業界に向けてAIシステムとDXコンサルティングを提供できる強みを活かして、製造業のDX化を支援し、事業成長をしてきました。現時点では1工場の1ラインの自動化・省力化を行った企業が多いため、今後AIシステムでは導入する製造ラインの拡大を推進し、DXコンサルティングでは異なる生産工程の自動化を支援することで、同一顧客に複数回にわたってサービスを提供し、顧客の自動化を支援してまいります。さらにAIシステムを導入した企業に、生産計画の自動化等のDXコンサルティングを提供することで、取引の重層化を図っていきます。
中期では、同一顧客の別工場への拡大や新規ソリューションの導入と取引を発展させていき、顧客の生産工程自動化を様々な形で支援する体制を築いていきます。
[成長戦略(企業単位)]

新規ソリューションの開発は、DXコンサルティングを通じて顧客の課題を発掘し、業界横断で汎用的に課題解決が可能な領域を見定め、開発を行ってまいります。PDCAサイクルを循環させることで顧客課題に適したサービスを提供し、ソリューション領域の拡大を図っていきます。

国内において製造業の事業者数は11万社(※1)あり、当社の取引社数シェアは約0.2%と今後の取引拡大の余地は大きいと考えております。今後は幅広い業界での導入実績を積み上げ、様々な顧客課題に対応できる企業となることで、製造業におけるDX支援企業としての地位を築き、安定的かつ成長性のあるビジネスモデルを目指します。
そのため、国内展開・技術面の拡充を目指し、国内支社の展開を進めると共に、海外工場への本格的なサービス展開を検討していきます。技術面においてはAIを中心にソリューション領域の拡大を継続し、幅広い課題に対応できる企業を目指していきます。
[成長戦略(業界単位)]

※1 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査 従業員10名以上の事業所数」より引用
※2 波形解析は開発段階のサービスとなります。
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するために成長性と収益性を重視しており、自社の成長及び競合他社との比較検証を行うことを目的に「売上高」「売上高成長率」「売上総利益」「売上総利益率」「営業利益」「営業利益率」を客観的な指標としております。さらに今後、高いレベルの成長性と収益性を実現するために「受注残高」「累計取引社数」「継続顧客売上高」についてもモニタリングをしていきます。なお、これらKPIを用いた推移については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
当社は、今後のさらなる成長を実現する上で、以下の事項を経営課題として重視しております。
当社が対面する製造業界は、内閣府が公表する「国民経済計算(GDP統計)」によれば、市場規模121兆円と我が国の国内総生産の20.6%を占める巨大な市場規模です(内閣府「2023年度(令和5年度)国民経済計算年次推計」、2024年12月)。内閣府が公表する「令和5年版高齢社会白書(全体版)」によれば、今後の国内における生産年齢人口の推移は、2020年の7,509万人から2070年には4,535万人と、2,974万人ほど減少することが見込まれており、当社では製造業界においても、人手不足が課題となると想定しています。外部統計データによれば、生産性向上・コスト効率化に繋がるデジタル投資は高い水準が見込まれています(工場デジタル化市場規模2023年度(予測):1兆7,620億円→2027年度(予測):1兆9,820億円。出典:㈱矢野経済研究所「工場デジタル化市場に関する調査(2023年)」(2023年4月26日発表)より引用)。
一方で、JILPT(独立行政法人労働政策研究・研修機構)が公表する「ものづくり産業のデジタル技術活用と人材確保・育成に関する調査」(2023年5月)によれば、デジタル技術を活用していく上での課題をデジタル技術活用企業、未活用企業に分けて調査されたところ、共にデジタル技術の導入や育成のためのノウハウ不足、人材の不足といった回答が大部分を占めています。

※1 内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)」をもとに当社作成
以上のことから、当社では、製造業における生産性向上や労働人口減少への対応としてDX投資が進むと考えつつ、社内にデジタル化のノウハウを持つ人材が不足しているため、DX化が想定以上に進まない可能性もあると認識しております。
当社は、AIシステムの販売及びDXコンサルティングを通じて、製造現場ごとのニーズに即したハードウェアとソフトウェアを提供し、製造業の課題解決とDXの推進を図ることで、製造業の競争力強化に貢献してまいります。

※1 内閣府「2023年度(令和5年度)国民経済計算年次推計」(2024年12月)
② 営業体制の強化
当社の持続的成長には、優秀な営業人材の採用と育成が欠かせません。採用においては、製造業に必要な専門知識又は優れた営業力を有し、当社の理念に共感する人材を発掘し、今後もその方針に基づいた採用活動を継続してまいります。教育面では、入社時の研修に加え、定期的な勉強会や営業活動を通じた気づきの共有を行い、業界知見を高め、営業力の強化を図ってまいります。
当社の事業領域においては、顧客の要求水準が高く、それに応えるための高い技術力及び製品を開発することが求められます。これらの実現のために、優秀な技術者の確保及び最新技術をキャッチアップする体制の構築を図ってまいります。
当社は、さらなる事業拡大を推進し、企業価値を向上させるためには、効率的なオペレーション体制を基盤としながら、内部管理体制を強化していくことが重要な課題であると認識しており、社内研修の実施等コンプライアンス体制及び内部統制の充実・強化を図ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、持続的な成長及び長期的な企業価値の向上を目指し、ステークホルダーからの信頼を得るため、経営の監視機能及び内部統制機能の充実、コーポレート・ガバナンスの強化を重要な課題として認識し、その充実に取り組むことをコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方とし、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する評価、管理及び監視に伴う統制及び手続等の体制は、コーポレート・ガバナンスの体制に準拠しております。
詳細は、「
当社は、「モノづくりのあり方を変え、世界を変えていく」ことをミッションに、製造業の現場で人が行っている作業に対して、AI等の技術を活用したソリューション提案により、現場の自動化を推進しております。製造業における現場の自動化による業務の効率化や食品等の部材ロスの削減を行うことは、持続可能な社会を実現するために必要であると捉えており、当社の事業拡大がサステナビリティへの貢献に資するものと認識しております。
事業の推進には性別や年齢にとらわれない多様な人材が必要不可欠であり競争力の源泉であると考えているため、個々の能力に応じた適切な登用と育成により、組織の強化を図っております。さらに、半期ごとの評価制度を通じて、スキル向上とキャリアパス支援を行い、一人ひとりが自己実現を果たせるよう取り組んでおります。また、このような人材が最大限のパフォーマンスを発揮し、社員間で円滑なコミュニケーションが行えるようなオフィス環境を整えております。
(3) リスク管理
当社では、取締役会やリスク・コンプライアンス委員会等の重要会議を通じてリスク情報を共有しつつ、潜在リスクの早期発見及び未然防止、さらにはリスクが顕在化した場合の損失の最小化に努めております。また、必要に応じて弁護士、公認会計士、社会保険労務士等の外部専門家からアドバイスを受けられる良好な関係を構築するとともに、監査役監査及び内部監査を通じて、潜在的なリスクの早期発見及び未然防止によるリスク軽減に努めております。
当社は、小規模な組織体制であるため、重要性も加味した上で、年齢、国籍、性別等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値等は定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示については、今後の課題として継続して検討してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で、行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。
当社では、客観的、継続的に、市場と競合他社、自社の分析を実施し、市場変化の兆候は迅速に経営戦略に反映させております。また、AIビジネス市場の中でも、2つのソリューションの提供を行うことで単一のサービスの場合より市場変化の影響を緩和し、リスク低減を図っております。
当社がビジネスドメインとするAIビジネス市場は今後さらなる成長が見込まれている領域でありますが、市場の成長ペースが大きく鈍化した場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が事業を展開するIT業界は、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新機能の導入等が行なわれております。当社は、オープン技術(機械学習技術/深層学習技術・自然言語処理技術等)と当社技術を組み合わせることにより、また、常に市場動向を注視し、技術革新への対応を講じることにより、今後も競争力のあるサービスを提供できるように取り組んでおります。
しかしながら、予想以上の急速な技術革新や代替技術・汎用的な競合商品の出現等により、当社のサービスが十分な競争力や付加価値を確保できない場合には、新規受注の減少や契約継続率の低下により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、先行して事業を推進していくことで、さらに実績を積み上げて市場内での地位を早期に確立するとともに、当社の強みである製造業の豊富な知見を活かした企画から導入までのワンストップ対応によって、競争優位性を築いてまいります。また、今後の資金調達等を活かし、当社の資金力・ブランド力の強化を図ってまいります。
しかしながら、当社の事業については、競合他社が存在している他、新規参入事業者も見受けられます。資金力・ブランド力を有する大手企業の参入等、当社の競争優位性を上回る競合他社が出現した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社が対面する製造業界は、内閣府が公表する「国民経済計算(GDP統計)」によれば、市場規模121兆円と我が国の国内総生産の20.6%を占める巨大な市場規模です(内閣府「2023年度(令和5年度)国民経済計算年次推計」、2024年12月)。一方で、少子高齢化の影響によって労働人口が減少していることから、現状の市場規模を維持するには、人手不足が課題になると想定しています。外部統計データによれば、生産性向上・コスト効率化に繋がるデジタル投資は高い水準が見込まれています(工場デジタル化市場規模2023年度(予測):1兆7,620億円→2027年度(予測):1兆9,820億円。出典:㈱矢野経済研究所「工場デジタル化市場に関する調査(2023年)」(2023年4月26日発表)より引用)。当社は、AI及びIoT等の新しい技術を用いたプロダクトの販売及びDXコンサルティングにより、製造業の特定の分野における自動化・省力化に向けたDXを推進しております(詳細は、「3 事業の内容 (1)事業の概要 ②DXコンサルティング」をご参照願います)。
しかしながら、製造業界自体の景況や、DX推進の度合いに応じては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業領域において、高い成長率及び高い利益率を実現するためには、営業・戦略・技術・コーポレートの各面において、多くの優秀な人材を獲得することが必要であると考えております。採用市場の競争が激化するなか、当社では一定数の退職者が生じていることを踏まえ、社員の定着率を高めるべく労働環境の整備に取り組むとともに、継続的に優秀な人材を確保し、事業を一層発展させていくための採用及び社内教育体制の強化を図っております。また、社内の優秀な人材の流出を防ぐため、利益獲得に注力できる経営組織の構築にも努めております。
しかしながら、今後の人材採用・確保の状況によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業領域においては、顧客の要求水準が高く、それに応えるための高い技術力及び製品を開発することが求められます。これらの実現のために、優秀な技術者の確保及び最新技術をキャッチアップする体制の構築を図ってまいります。また、取締役 DX事業開発部部長 荻本成基及び取締役 技術開発部部長 山田郁生は、新規プロダクトの開発における専門的な知識や技術を有し、重要な役割を果たしていることから社員への教育・ノウハウの共有を進めることでリスク分散を図ってまいります。
しかしながら、顧客の要求水準を満たす技術レベルに達しない又は荻本成基及び山田郁生が何らかの理由により業務遂行が困難となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、今後の事業領域拡大のために、新製品や新ソリューションの研究開発に取り組んでおります。
しかしながら、これらの活動は不確定要素が多く、事業計画を達成できなかった場合は、それまでの投資負担が、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、AIシステムにおいて東海漬物株式会社との取引を有し、同社への依存度が大きくなっております。2025年2月期において同社が売上高に占める割合は11.6%となっております。当社は、顧客との契約を遵守し、友好的な関係を維持するよう努めるとともに、特定の顧客に過度に依存しないよう、新規顧客の開拓を進める等ポートフォリオのバランスを考慮した経営を心掛けております。
しかしながら、顧客の事業環境や戦略の変化によって、取引の停止・縮小等の要因により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、AIシステムの販売だけでなく、カメラやセンサー等の撮像機器及び検査装置の製作等の提案、設置、稼働までをワンストップで提供しております。検査装置の製作においては、受注時に仕様を確認し差異が発生しないように取り組んでおります。
しかしながら、顧客の要望により仕様が変更となる場合又は納品を予定していた日に生産が優先され、AIシステムの設置が延期になる場合があり、納期が変動する可能性があります。その場合には、売上を計上する時期が変動し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、原材料や部品等を国内の商社を通じて調達しております。多様なネットワークを構築し、安定的な供給を得られるよう努めております。
しかしながら、今後、円安や新型コロナウイルス等の感染症拡大により原材料や部品等の仕入価格の高騰及び調達期間が長期化することがあります。原材料や部品等の価格が予想以上に急騰し、かつ、長期にわたって高値が続く場合、原材料価格の上昇分をコスト削減等で吸収できず、売価に転嫁できない、または、製品の納品遅延や販売機会の逸失等が発生し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、本書提出日現在において、業績に影響を及ぼす訴訟や係争は生じておりません。また、当社は取引の契約締結に際して、法務担当による事前の契約条文の審査を行い、トラブル等の未然防止に取り組んでおります。
しかしながら、当社が事業活動を行う中で、顧客等から当社が提供するサービスの不備等により、訴訟や係争が生じた場合には、当社の社会的信用が毀損され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業に関する開発を進める中で発生した知的財産については、必要に応じて知的財産権の登録等を行い、当社の財産の保全を行うとともに、第三者の知的財産権を侵害しないように努めております。
しかしながら、今後、当社の事業領域において第三者の権利が成立した場合又は認識していない権利がすでに成立している場合は、第三者より損害賠償等の訴えを提起される可能性並びに権利に対して使用料等が発生する可能性があります。その場合は、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、事業を展開する上で、顧客企業の技術、製品に関しての機密情報を取り扱っております。これらの情報の外部流出を防止するため、規程の整備、社員等への研修及びセキュリティシステムの継続的な改善等、管理体制の構築に努めております。
しかしながら、不測の事態により情報が流出した場合には、当社の社会的信用の失墜や訴訟費用及び損害賠償の発生等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業拡大に伴い役職員数が増加していることから、役職員等の内部関係者による贈収賄・横領・インサイダー取引等の不正行為が発生しないよう、コンプライアンス関連規程を制定するとともに、当社の役職員等が遵守すべき法令・ルールについて、全員に周知し、啓蒙活動を継続的に行っております。
しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生するといった事態が生じた場合や、事業の急速な拡大により内部管理体制の構築が追い付かないという事態が生じる場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社の事業を制限する直接的かつ特有の法的規制は、本書提出日時点において存在しないと考えております。
しかしながら、今後、当社の事業を制限する法的規制が制定され、既存の法的規制の運用が変更された場合には、当社の事業展開は制約を受ける可能性があります。当社としては引き続き法令を遵守した事業運営を行っていくべく、今後も法令遵守体制の強化や社内教育等を行っていく方針ですが、当社の事業が新たな法的規制の対象となった場合には、当該規制に対応するための費用が発生し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社代表取締役社長である南塲勇佑は、当社の創業者、かつ、創業以来の最高経営責任者であり、当社の事業運営における事業戦略の策定や業界における人脈の活用等に関して、重要な役割を果たしております。当社は、南塲勇佑への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成、採用を図っておりますが、現時点において南塲勇佑に対する依存度は高い状況にあると考えております。
今後において、何らかの理由により南塲勇佑の当社における業務遂行の継続が困難となった場合、当社の事業運営等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2020年3月に設立された社歴の浅い会社であることに加えて、急速な成長過程にあることから過年度の財務情報は期間業績比較を行うには不十分な可能性があります。また、新規事業の開拓も継続的に行っていく見込みであることから、過年度の財務情報のみでは、今後の業績を判断する情報としては、不十分な可能性があります。
当社は、当事業年度末現在において従業員97名と小規模な組織であり、役職員一人一人への依存度が高い傾向にあります。今後、事業拡大に伴い、優秀な人材の確保や経営管理体制の強化を進めるとともに、継続的に利益獲得を見込める組織体制を整備してまいります。
しかしながら、当社が求める人材の確保ができない場合には、人員の増強や組織の拡充が制限され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を経営の重要課題として認識しております。しかしながら、当社は、成長過程にあると考えており、内部留保の充実及び事業拡大のための投資等に充当することが、株主に対する利益還元につながると考えております。将来的には、事業環境及び財政状態等を勘案しながら、株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点では配当実施の可能性及びその実施時期等は未定であります。
当社では、従業員安否確認手段の整備等、有事に備えて危機管理体制の整備に努めております。
しかしながら、大規模な地震、台風等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社又は当社の取引先の事業活動が制限され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、新型コロナウイルス感染症への対応として、マスク着用や定期的なオフィスの消毒等の感染防止活動を実施しております。
しかしながら、今後の感染状況によっては、市場の低迷、顧客の業績悪化による債権回収の停滞、従業員の感染等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、長期的な企業価値向上のため、役員及び従業員に対し、インセンティブとして新株予約権(以下、「ストックオプション」という)を付与しております。今後におきましても、優秀な役員及び従業員を確保するために、インセンティブとしてストックオプションを付与する可能性があります。これらストックオプションが行使された場合、発行済株式総数が増加し、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は198,000株であり、発行済株式総数10,110,000株の2.0%に相当しております。
当社は、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準は25%であるところ、流通株式比率(流通株式比率=(流通株式数)/(上場株式数)×100(%))は当事業年度末現在において29.1%となっております。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストックオプションの行使による流通株式数の増加、既存株主からの売出等の施策を組み合わせることで、流動性の向上を図っていく方針であります。
しかしながら、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
㉔ 大株主について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社の代表取締役社長である南塲勇佑(自身の保有する資産管理会社の持分を含む)の所有株式数は、当事業年度末現在において発行済株式総数の67.1%となっており、引き続き大株主となる見込みです。南塲勇佑は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針であります。
また、当社は、支配株主との取引は、原則として行わない方針ですが、当社と支配株主が取引を行う場合は、少数株主保護の観点から、取締役会において当該取引の合理性及び必要性並びに取引条件の妥当性について十分検討する予定です。
なお、当社の業容の変化や市場環境による影響等によって当該株式が売却され、短期的な需給のバランスの悪化が生じる可能性があり、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。
当社の公募増資による資金調達の使途については、今後の事業拡大に向けた人材採用費等の運転資金及び新商品開発費用や既存商品の機能強化等の研究開発費と営業所の設置に充当する計画であります。
しかしながら、経営環境等の変化に対応するため、調達資金を計画以外の使途に充当する可能性があります。また、当初の計画どおりに資金が使用された場合でも、想定どおりの成果をあげられない可能性があります。
なお、資金使途を変更する場合には、適時適切に開示等を行ってまいります。また、投資効果については継続的に投資効果を測定、改善を行い、想定どおりの成果をあげられるように取り組んでまいります。
当社は、現在において投資を行っている事実はありません。しかしながら、今後の事業拡大のために、国内外を問わず出資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。また、投資判断においては、投資先候補企業の事業内容を吟味し、当社との事業シナジーが得られること、投資先候補企業の事業計画、当社の財務状況や投資先候補企業への影響力等を考慮し、投資先候補企業の評価額が適切な水準であることを慎重に確認し、投資判断を行う予定です。ただし、投資先企業の事業が計画通りに進捗しない場合や投融資額を回収できなかった場合、減損の対象となる事象が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当社は、「モノづくりのあり方を変え、世界を変えていく」ことをミッションに掲げ、製造業界向けに、AI技術及びIoT技術等の新しい技術を活用したサービスを提供しております。
当事業年度におけるわが国経済は、雇用情勢の改善に伴い、緩やかに回復の動きが見られました。しかしながら、海外景気の下振れがわが国景気を下押しするリスクや不安定な世界情勢の長期化等、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社がサービスを提供する製造業界においては、急激な為替変動等により景況感の停滞が見られる一方で、依然として企業の設備投資意欲は底堅く、少子高齢化や人口減少を背景とした将来の労働生産性の向上を目的とした既存システムの刷新やDXの推進によるIT投資の動きが見られます。
このような経営環境の中、当社は、製造業の品質検査における労働集約型の作業に代わる手段として、AIを活用した画像検査システム「Phoenix Vision/Eye」を提供するとともに、生産工程における自動化を推進するDXコンサルティングサービスを提供しております。
当事業年度では、導入実績のある業界の同業他社からの受注に加え、既存顧客による複数ラインの一括導入が進む等、事業は順調に拡大しております。また、将来の成長に向けた基盤作りとして、営業所の新設を含む営業体制の強化を進めるとともに、積極的な採用活動を展開しております。
この結果、累計取引社数が233社となり、当事業年度においては、売上高2,144,641千円(前期比52.0%増)、営業利益594,987千円(前期比17.1%増)、経常利益595,437千円(前期比20.1%増)、当期純利益425,072千円(前期比28.7%増)となりました。当事業年度末の受注残高は、389,893千円となります。
なお、当社は製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
(資産)
当事業年度末における資産合計につきましては、前事業年度末に比べ423,605千円増加し、1,873,506千円となりました。現金及び預金が473,217千円減少した一方で、売掛金及び契約資産が545,717千円増加、敷金が152,299千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計につきましては、前事業年度末に比べ1,467千円減少し、451,393千円となりました。これは主に、期末にかけて大型案件の受注が集中した影響で、機械装置の外注費等に係る未払金が70,167千円増加した一方で、未払法人税等が70,012千円、一年内返済予定の長期借入金が41,551千円減少したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計につきましては、前事業年度末に比べ425,072千円増加し、1,422,113千円となりました。これは主に、当期純利益を425,072千円計上したことによるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前事業年度末に比べ473,217千円減少した結果、488,886千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動によるキャッシュ・フローは161,235千円の支出(前年同期は435,922千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益595,437千円の計上、売上債権及び契約資産の増加による支出545,717千円、法人税等の支払額252,935千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動によるキャッシュ・フローは242,096千円の支出(前年同期は18,609千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出77,500千円及び敷金の差入による支出162,467千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動によるキャッシュ・フローは69,885千円の支出(前年同期は526,704千円の収入)となりました。これは長期借入金の返済による支出63,491千円によるものであります。
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績
当事業年度における受注実績は次のとおりであります。
(注) 当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
c 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1.当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。サービス別に記載をしております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(注)前事業年度における東海漬物株式会社及び当事業年度における株式会社アイシンに対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、高いレベルの成長性、収益性を実現するための参考指標として、「受注残高」、「累計取引社数」、「継続顧客売上高」についても、モニタリングをしております。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社は、「モノづくりのあり方を変え、世界を変えていく」ことをミッションに掲げて、製造業界向けにAI技術及びIoT技術等の新しい技術を活用したサービスを提供しております。顧客が抱える課題を解決するサービスを提供することでサービスの付加価値は高められ、付加価値を最大化することこそ、多くの顧客の需要に応えることができ、顧客基盤の拡充に繋がるものと考えております。付加価値の最大化に向けて継続的にモニタリングするKPIは、以下のとおりです。
(注) 売上高成長率は、前年同期比の増減率となります。
「売上高」及び「売上高成長率」は、自社の成長性及び市場への浸透度をモニタリングするため、重要な経営指標と位置付けております。
「売上総利益」「売上総利益率」「営業利益」「営業利益率」は、自社の収益性及び付加価値の1つのバロメーターとしてモニタリングしております。
「受注残高」及び「累計取引社数」並びに「継続顧客売上高」は、新規顧客の開拓と既存顧客の深掘り、それら新規及び既存顧客からの受注残高を自社の成長性及び収益性としてモニタリングしております。
これまでの導入実績を前面に打ち出すことで新たな顧客を発掘して累計取引社数を増やすと共にリピーターとなる継続顧客からの案件も獲得しております。当社が提供するサービスの付加価値を高めるべく、AIシステムでは、より多くの顧客需要を満たせるように既存製品(Phoenix Vision/Eye)の汎用性を高めた他、次世代機(Phoenix Edge)の開発に着手いたしました。また、DXコンサルティングでは、継続顧客からの課題を深く多岐にわたり解決いたしました。その結果、当事業年度においては、売上高2,144百万円、売上高成長率51.9%、売上総利益1,682百万円、売上総利益率78.5%、営業利益594百万円、営業利益率27.7%、受注残高389百万円、累計取引社数233社、継続顧客売上高852百万円となっております。
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当の他、販売費及び一般管理費の営業費用であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入等でバランスよく調達していくことを基本方針としております。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。
当該見積りにつきましては、過去の実績や現状等を勘案して合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。なお、当社が財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社の研究開発活動は、顧客に信頼される「製品」を開発するべく研究を日々積み重ねております。また、今後もIT市場における関連機器等に設備投資の増加が期待できることから、引き続きこれらの分野におきましては、新製品を開発すべく鋭意努力をしてまいります。
なお、当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
当事業年度においては、既存製品(Phoenix Vision/Eye)のAI処理高速化等の次世代機となる小型ハードウェアの新製品(Phoenix Edge)の開発を行いました。当事業年度における研究開発費の総額は、