当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態の状況
(資産)
当中間会計期間末における資産合計は2,214,336千円となり、前事業年度末に比べ190,279千円増加いたしました。これは、主に現金及び預金の増加143,306千円等によるものであります。
(負債)
当中間会計期間末における負債合計は745,175千円となり、前事業年度末に比べ36,655千円増加いたしました。これは、主に契約負債の増加52,948千円、未払法人税等の減少8,650千円等によるものであります。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産合計は1,469,160千円となり、前事業年度末に比べ153,623千円増加いたしました。これは、主に中間純利益の計上により利益剰余金が145,626千円増加したことによるものであります。
(2)経営成績の状況
当社は「情報インフラを共創し、世界をより良くする」というミッションのもと、先端技術を活用した実用的なサービスを創り続け、犯罪のビッグデータをアルゴリズムと掛け合わせた法人向けクラウド型不正アクセス検知サービス「Fraud Alert」(フロードアラート)を提供しております。情報セキュリティ及びマネー・ローンダリング対策の観点で、個社で解決するには時間もコストもかかるという課題を、顧客及び業界横断でデータを流通させ日本全体の犯罪データをプラットフォーム化することで解決し、国民の生命・財産を守るべく、金融機関をはじめに導入拡大の実現に取り組んでおります。
当中間会計期間におけるわが国経済は、政策金利を引き上げるなど緩やかな回復基調を維持しているものの、1月に就任したトランプ米国大統領が高関税政策を導入し、大幅な政策転換により世界貿易の不確実性が高まりました。引き続きウクライナをはじめ地政学リスクは高い状況下にあり、為替相場の変動は円高に振れ、世界経済は依然として先行きは不透明な状況となっております。
国内の情報セキュリティ市場においては、電子商取引の規模拡大に伴い決済のキャッシュレス化が進み、キャッシュレス決済が拡大することでクレジットカード等の不正利用が増加し、その被害抑制対策強化の流れが加速すると見込まれます。なお、2023年の消費者向け電子商取引は前年比9.2%増の24兆8,435億円(注1)となり、2024年の国内のキャッシュレス決済比率は42.8%(注2)まで到達するなど、いずれも順調に推移しております。
マネー・ローンダリング市場においては、2021年8月30日にFATF(金融活動作業部会)(注3)による第4次対日相互審査報告書が公表され、わが国は、審査対象である有効性と法令遵守状況の双方で、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策における合格基準を下回り、「重点フォローアップ」に分類されました。我が国でも生成AIを悪用した高度な技術を悪用した事案も発生し、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺及びフィッシングに伴う犯罪等の被害額が2024年には約1,989.5億円(注4)と増加の一途を辿っております。さらには、2025年1月中旬以降、不正ログインによる証券口座乗っ取り被害が多発し、その被害額は2025年1月からのわずか6か月間で総額約5,710億円(注5)と急増しております。これらの結果を受け、対面大手5社の証券会社は被害顧客に対して全面補償することを、ネット大手も不正売買で発生した損失の一定額を金銭補償することを決定するなど、これらを背景に不正アクセス検知に関し取引モニタリングの利用シーン拡大の必要性が認識され商談となりました。今後は法改正等の動きが見込まれると同時に、より一層マネー・ローンダリング対策市場の拡大が進むと考えられます。
このような状況のもと当中間会計期間においては、主力サービスである「Fraud Alert」は2行解約があったもののストック売上であるトラフィックの増加(アップセル)に伴う売上の増加で吸収し、大手金融機関に対し法人口座へのモニタリングの導入(クロスセル)が進展しました。加えてこれまでの商談が進展し、第3四半期以降の売上に貢献する新規顧客獲得に取り組んでまいりました。開発においては、サーバー費用の削減を実現すべくインフラ再構築による開発が1月に完了し、その削減効果が想定どおりにではじめました。
金融機関向け電力契約情報を活用したサービスに関する取り組みにおいては、2024年に経済産業省のホームページで一般送配電事業者の保有する契約者情報を当社が提供するサービスに活用することが適法であると公表され、この事業化に向けて一般送配電事業者等とサービス展開における契約やシステム仕様の最終調整を進めてまいりました。一方で、人材投資の側面においては、退職者の発生に加えて採用遅延などが影響し、当初計画比で一部費用の未消化が見込まれております。
なお、当中間会計期間末時点のMRR(注6)は110,224千円(前年同期比10.9%増)、ARR(注7)は1,322,689千円(同10.9%増)、契約社数は47社(同9.3%増)(注8)、ARPU(注9)は2,345千円(同1.4%増)、契約残高(注10)は874,098千円(同30.8%増)、直近12ヶ月の平均月次契約解約率(グロスレベニューチャーンレート)は0.7%(同0.1Pt減)(注11)となりました。
この結果、当中間会計期間における経営成績は、売上高670,559千円(前年同期比14.8%増)、営業利益223,168千円(同13.9%増)、経常利益222,569千円(同30.8%増)、中間純利益145,626千円(同37.0%増)となりました。
なお、当社はマネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注1)経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2024年9月)
(注2)経済産業省「2024年度のキャッシュレス決済比率」(2025年3月)
(注3)FATF(金融活動作業部会):マネー・ローンダリング・テロ資金供与対策の国際基準(FATF勧告)を策定し、その履行状況について相互審査を行う多国間の枠組み。1989年のアルシュ・サミット経済宣言を受けて設立された。現在、G7を含む38カ国・2地域機関が加盟しており、その他9つのFATF型地域体を加えると、FATF勧告は、世界200以上の国・地域に適用されている。
(注4)警察庁サイバー警察局「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2025年3月)
(注5)金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引による被害が急増しています」(2025年7月)
(注6)MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。MRRは対象月末時点における継続課金となる契約に基づく当月分の料金の合計額。
(注7)ARR:Annual Recurring Revenueの略称。該当月のMRRを12倍して算出。
(注8)契約社数は、前期末から変動はありません。その内訳は新規顧客2社、解約顧客2社となっております。
(注9)ARPU:Average Recurring Revenue per Userの略称。該当月のMRRを契約社数で除して算出。
(注10)契約残高は、前期獲得した契約金額のうち翌期に売上高を繰り越した金額に当期獲得した契約金額を加算し、当期に売上高として計上したものを控除した残額。
(注11)月中に解約及びダウンセルとなったサブスクリプション額÷前月末時点でのMRRの対象期間12か月の平均。推移は下記の通りとなります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,876,410千円となり、前事業年度末に比べ143,306千円増加いたしました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において営業活動により得られた資金は、138,478千円(前年同期は64,164千円の収入)となりました。
これは主に、税引前中間純利益の計上222,569千円、契約負債の増加額52,948千円、法人税等の支払額98,135千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において投資活動により使用した資金は、3,128千円(前年同期は収入、支出はありません)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出2,764千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において財務活動により得られた資金は、7,956千円(前年同期は501,441千円の収入)となりました。
これは、株式の発行による収入7,956千円によるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当中間会計期間における研究開発活動の金額は、15,694千円であります。
なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8)経営成績に重要な影響を与える要因
当中間会計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。
(9)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当中間会計期間において、当社の資本の財源及び資金の流動性についての分析に重要な変更はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。