第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

 当社は、「私たちアズパートナーズは、『世代を超えた暮らし提案型企業』として、あらゆる世代の方々の幸せを追求し、私たちに関わる全ての人々が幸せになることを目指します。」を企業理念として、超高齢社会や著しい介護人材不足等の社会課題に挑み、あらゆる世代が希望と幸せに溢れる持続可能な社会づくりに貢献してまいります。

 介護サービス事業においては、「お客様(高齢者)第一主義の精神」を軸として、「精神的なサポート」、「安心・安全な暮らし」、「快適な住空間の提供」、「(お客様の)ご自分らしい生活」をサービス理念として掲げ、お客様が自身の暮らしに希望や想いを持ち、豊かな暮らしを実現することを目指しております。

 従業員行動規範は、「思いやり」、「謙虚かつ誠実」、「人の笑顔をつくる」、「自ら考え行動する」、「成長を楽しむ」、「信頼される」、「人を幸せにする」からなり、これらの実践を通して、従業員がやりがい持ち、成長を実感しながら、「お客様が望む暮らしを一緒に共創」してまいります。

 上記、企業理念、サービス理念、従業員行動規範に基づき事業を展開し、事業計画を堅実・着実に推進することにより、経営基盤が強化・成長するとともに、財務体質の安定に努め、社会に貢献いたします。

 

(2) 経営戦略

当社は、「世代を超えた暮らし提案型企業」を使命として、超高齢社会、生産年齢人口の減少などの社会環境の中で、あらゆる方々の「暮らし」の課題解決、幸せの追求に取り組んでまいります。

中核となるシニア事業の介護付きホーム事業は、超高齢社会の到来を迎え、「施設ではなく住まいでありたい」の想いで高齢者の「住まい」を提案してまいりました。そこで暮らすご入居者の良きパートナーとして支え続けるためには、スタッフの笑顔が基礎となるとの考えから、「EGAO link」を導入し、業務効率化と生産性向上を実現しています。この「EGAO link」を事業の核として、さらに生産性向上やデータに基づく根拠のある介護(科学的介護)を磨き、介護DXを推進してまいります。こうした強みを活かし、介護付きホームの大規模化による収益性向上を進めております。デイサービス事業は、他社と差別化した、在宅でお暮しの「ひとり」を感じている方の居場所としてのサービスを広げてまいります。高齢者の幸せを追求し、質の高いサービスを提供することにより、地域に評価され、稼働率向上につながるものと考えております。

シニア事業を支える人材は、「EGAO link」による働きやすさと働きがいを訴求し、当社の理念に共感する新卒採用の実績を積み重ねております。今後は、いわば「介護DX人材」として、当社の中核人材、さらには介護業界を変える人材として育成してまいります。

不動産事業では、安心・安全な街づくりに貢献すべく、老朽化した共同住宅を価値ある不動産に再生する提案を継続してまいります。さらにシニア事業運営の強みを活かし、介護付きホーム等の超高齢社会に求められる価値ある不動産開発(シニア開発)も広げてまいります。

これらの事業について、今後は業界全体を変えていく強い想いで、「EGAO link」の紹介、「介護DX人材」による他法人に対する介護DXコンサルティングや当社のノウハウをシステム・アプリ化する成長戦略・成長機会を描いております。またシニア開発事業も、当社が運営する形態(自社運営)、他社の事業をサポートする形態(他社事業サポート)の両面を広げてまいります。

このように、当社は、人口構造と社会環境の変化の中で、介護DXによりサステナブルな介護業界に変革する提案を続け、事業の継続性の観点から営業利益を重視して、持続的な成長を図ってまいります。

 

(3) 経営環境

① 都市部における要介護高齢者の急速な増加に伴う介護サービスの需要拡大

当社のシニア事業の対象者である要介護高齢者の市場については、今後も拡大することが見込まれています。認知症高齢者の増加、世帯主が65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していくこと、さらに都市部では75歳以上人口が急速に増加することが見込まれており、厚生労働省は、更なる介護サービスの基盤の整備が必要であると分析しています。(注1)

特に、当社の介護付きホームの入居者の中心となる85歳以上人口については、2035年頃まで急速な増加が見込まれています。(注2)

(注1)厚生労働省社会保障審議会介護保険部会(第92回)(令和4年3月24日)資料1「介護保険制度をめぐる最近の動向について」17ページ

(注2)厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会(第217回)(令和5年5月24日)資料1「介護分野の最近の動向」11ページ

 

② 介護付きホームの「総量規制」と他の高齢者向け住まいの増加

当社のシニア事業の中心となる介護付きホーム(特定施設入居者生活介護)については、2000年4月の介護保険制度において制度化されました。2006年4月より、地方自治体の介護保険事業(支援)計画に基づく「総量規制」が設けられ、多くの地方自治体では「公募制度」により新たな介護付きホームの選定を行っています。

一方、介護付きホーム(特定施設入居者生活介護)の指定を受けていない住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅については、総量規制の影響も受けないことから、引き続き事業所数が増加しております。(注)

(注)厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会(第221回)(令和5年8月7日)資料4「特定施設入居者生活介護」10~13ページ

 

③ 生産年齢人口の急減に伴う介護労働市場の課題

一方、人口構造の推移を見ると、今後生産年齢人口は急減することが想定されており(注1)、他の産業を含めた人材不足が予測されております。都道府県が推計した介護職員の必要数を集計すると、2040年度には約280万人(2019年度と比較して69万人の増加)(注2)となっており、ますます介護人材の確保は困難になると見込まれています。

(注1)厚生労働省社会保障審議会介護保険部会(第92回)(令和4年3月24日)資料4「介護保険制度をめぐる最近の動向について」資料1 20ページ

(注2)同資料 22ページ

 

④ 科学的介護と生産性の向上の取組み

厚生労働省においては、「介護職員のやりがい・定着・キャリアアップにもつながる職場環境の改善に向けた先進的な取組を推進していくこと」、「具体的には、介護ロボットや ICT 等のテクノロジーやいわゆる介護助手の活用」などにより、「サービスの質の向上と業務負担の軽減を図ることが重要である」とされています。また、「介護現場において科学的介護の取組が進むよう2021年度介護報酬改定より開始されたLIFE(科学的介護情報システム)を活用した質の高い介護を進めていくことが必要である」(注)とされています。

(注)令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(令和5年12月19日)

こうした中で、当社は、2017年にIoT/ICTプラットフォーム「EGAO link」を開発、導入開始し、2020年にはすべての介護付きホームに導入を完了しております。また、当社では「EGAO link」に蓄積されたデータを活用した根拠のある介護(科学的介護)を推進しています。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等

① 事業展開エリア及び提供するサービス類型

都市部における高齢者人口や高齢者の単独世帯や夫婦のみ世帯の急速な増加を踏まえ、認知症ケアや身体介護を必要とする要介護高齢者が増加することが想定されます。これに伴い、高齢者の「暮らし」を支援する住まいや高齢者の自宅生活を支援する介護サービスの需要は大きく拡大しております。

このような状況の中、当社は首都圏を中心に、介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス(通所介護)等を展開し、地域の介護ニーズに対応しております。

 

 

主なサービスの特徴

a.介護付きホーム(介護付有料老人ホーム) アズハイム

当社の介護付きホームは、要介護認定を受けた高齢者が入所する老人福祉施設等に見られるいわゆる「施設的」なイメージを払しょくし、不動産事業の強みを活かし、「施設ではなく、家(ホーム)でありたい」をコンセプトに開発・運営してまいりました。

地方自治体の介護保険事業(支援)計画に基づく「総量規制」により自由な展開が望めませんが、当社は包括的な介護で「終の棲家」を目指す介護付きホームにこだわって事業を展開しております。介護サービスが別契約となるサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームは、これまでの人生や最期までの暮らしに寄り添ってほしいというニーズに合致しないと考えており、参入しておりません。

介護付きホームは、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームとは異なり、介護報酬が固定額であるため、事業者側からも安定的な収益が見込みやすい事業です。

介護付きホームの総量規制は参入障壁となっており、新たな事業所展開に当たっては地方自治体の「公募制度」に応募し、運営実績等の評価を受けて選定されることが必要であります。当社の不動産事業の強みを活かして地方自治体のニーズに合った介護付きホームの開設を提案しております。

 

(参考)一般社団法人全国介護付きホーム協会作成パンフレット「介護付きホームとは?」

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b.デイサービス(通所介護) アズハイムデイサービスセンター

当社では、地方自治体の介護保険事業(支援)計画にかかわらず展開できるデイサービスも展開しております。当社のデイサービスでは「想いが叶うデイサービス」をコンセプトに、軽度者に対して一日(7時間以上)、食事・入浴のサービスを含めた個別のニーズに合ったサービスを提供しております。他の大手事業者を含む多くのデイサービスでは重度者や認知症のある方をターゲットにしており、一方、軽度者をターゲットにした機能訓練デイサービスの事業所数が増えている中、当社のデイサービスは上記のサービスと差別化する戦略をとり、高い稼働率を保っています。

デイサービスの競争は激化していることから、当社がターゲットとしている比較的お元気な利用者1人ひとりの個別性に着眼してサービスを提供し続けることによりリピート率・稼動率を高める必要があります。また、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに当社のデイサービスのサービスの質を理解していただき新たな利用者を紹介していただくことにより、高い稼働率を維持する必要があります。

デイサービスの競争激化を踏まえ、以下の2点をさらに対処すべき課題と捉えています。

まずは、業務効率の向上です。少子高齢社会の進展により、人材の確保と育成を進めながら、高稼働を維持し、適正運営の継続が必要です。そのために、適切なシステム及び福祉機器の導入を進めます。これにより、業務効率が向上するだけでなく、介護度が重い利用者にも対応できることで、より長い期間ご利用いただくことができます。その結果、介護報酬増加による収益改善を図ります。

次に、サービスの磨き込みです。変化する顧客ニーズを捉え的確に対応することでお客様に選ばれるデイサービスとして進化が必要です。当社は、新たに「共創型サービス」として、単にケアサービスを提供するだけでなく、利用者が望む役割を担っていただくことで、利用者にやりがいと自己肯定感を引き出し、当社のサービス理念である「豊かな暮らしを最期まで、自分らしく自分の力で」を推進します。

これらの取組みにより、「想いが叶うデイサービス」のさらなる進化により、より多くの方々に、長くサービスを提供できることを通じて収益の拡大につながると考えています。

(図表)当社のデイサービスセンターの位置づけ

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② 介護人材の確保戦略

a.IoT/ICTプラットフォーム「EGAO link」による働きやすさ・働きがい

前述したとおり、介護労働市場は極めて深刻な状態にあります。当社においては、まず従業員の働きやすさと働きがいを実現するため、IoT/ICTプラットフォーム「EGAO link」をベンダーと共に共同開発しました。これにより、従来は紙で処理をしていた介護記録をスマートフォンで簡単に記録入力ができ、スマートフォンでご入居者のベッド上での状態を把握できることから夜間定期巡回業務をカットすることができるようになりました。さらに、スマートフォンで目覚め・起き上がり・離床がわかることによりナースコールが鳴る前に訪室が可能となり、これらの結果として残業時間の削減や専門職の業務効率化、生産性向上にもつながりました。

「EGAO link」の導入によって創出された時間を活かして、ご入居者の生活の質の向上に寄与するオペレーションを開発し、ご入居者の個別ニーズに対するサービス提供により従業員のニーズ「働きがい・心理的報酬」にもつなげております。

 

(図表)「EGAO link」の仕組み

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b.新卒採用への重点化

また、当社は、「EGAO link」による業務効率化とサービスにおける戦略を梃にして、人材採用においても四大卒を中心とした新卒採用に重点化しております。就職活動を行っている学生に対して介護に対する価値観・認識を変えることに注力した差別化戦略を構築し、採用数を伸ばしてまいりました。新卒採用を中心にすることで、当社の理念や運営方針に賛同する従業員を確保することができ、人材定着率とサービスの質の向上の好循環が生まれております。

今後、さらなる生産年齢人口の減少に伴い、労働市場はますます厳しくなることから、従業員の働きがいの向上とそのアピールに力を入れてまいりたいと考えております。

 

c.介護付きホームの大型化による効率的な運営

「EGAO link」を活用した介護の業務効率化・生産性の向上等により、介護付きホームの大型化が実現しております。従来は当社の介護付きホームの定員は60~70名程度でしたが、現在又は今後開設していく介護付きホームでは定員を90名~100名、あるいは100名以上の大型の事業所の開設を中心としていく予定です。

介護付きホームの主なコストは人件費になります。定員60~70名から定員90~100名あるいは100名以上の大型化によっても、「EGAO link」や後述の介護データをダッシュボードで確認できるBIツール等を活用することにより、ホーム長、ケアチーフ等の人数は変更なく、売上に占める人件費の比率が減少していきます。結果として、大型化に伴い利益率が高くなると考えております。

 

③ 介護DXの高度化

a.当社の取組み

当社の介護DXは、2017年に「スマホ1台で記録入力、コール、見守りの全てが可能」となる、IoT/ICTプラットフォーム「EGAO link」リリースにより、ケアスタッフの業務効率化とケアの質向上が大きく進展しました。

「EGAO link」の活用によりスタッフの業務時間が削減され、それにより捻出した時間をサービス向上につなげることで稼働率が向上しています。また、「EGAO link」による介護業務の負担軽減(働きやすさ)と「EGAO link」により創出された個別サービスの時間の充実(働きがい)の両面が就職活動中の学生に響き、2022年4月、2023年4月と170名を超える新卒スタッフの入社が実現しています。介護の現場にIoT/ICTを取り入れ、介護の業務を大きく変革し、従業員とご利用者を笑顔につながる介護DXを実現しています。

当社は「EGAO link」を介護付きホーム全27棟に導入すると共に、ご入居者を対象に「夢を叶えるプロジェクト」を企画して、業務負担軽減により創出された時間で多職種連携を通じてご入居者の「夢を叶える」ことを実現してきました。医療連携に関しては、EGAO linkの各種データをポリファーマシー(注)改善に活用しています。リハビリに関しては、理学療法士等がご入居者の日常生活動作(ADL)等を評価し、策定する個別機能訓練計画の下、ケアスタッフ等による生活リハビリ等を通じて、ご入居者の日常生活動作(ADL)を改善し、その成果(アウトカム)を測定、記録しています。このように、「EGAO link」等のデータに基づき、厚生労働省等が推進する科学的介護(Evidence Based Care:EBC)を実践しています。

(注)ポリファーマシーとは、多くの薬を服用しているために、副作用を起こしたり、薬を飲めなくなったりしている状態のことを言います。単に服用する薬の数が多いことではないとされています。

2023年9月からは、「自立支援介護」のケアメソッドを、データに基づいた独自の科学的介護のケアメソッド(再現性のあるケア)に取り入れることで、より一層、総合的に進化させています。先進的なケアメソッドを、民間企業のみならず、社会福祉法人や医療法人の関係者にも紹介していきます。

また、当社で開発した生成系AIを用いたケアプラン自動作成ツールを活用することによりケアマネジャーのケアプラン作成業務を抜本的に削減することができるようになりました。ケアプランとは、ご入居者の望む暮らしを実現するために、課題を整理し、短期・長期の目標や、日々のケア内容と期間、スタッフの役割などをまとめたものです。このケアプランの前提となる心身の状態や本人・ご家族の希望などを入力することで、ケアプランの原案を自動作成できる仕組みを実現しています。2023年10月に、この仕組みについて特許を出願しております。

2023年12月には、介護データをダッシュボードで確認できるBIツールを開発しました。当社が開発したBIツールは、介護データのリアルタイムでの可視化を可能にし、これまで当社が「EGAO link」システムで蓄積してきた介護データをさらに有効活用します。このツールは、個人レベル、事業所レベル、法人レベルの3つの層から構成されており、各層でのデータ可視化により、直感的な現状把握、迅速な問題解決とプロセスの継続的な見直しが可能になります。このツールにより、ご入居者に必要なサービスの提供判断、事業所メンバー間のスキルや知識の即時共有、将来の人材配置など、様々なシーンでの情報収集と意思決定をリアルタイムでサポートすることができます。

 

b.業界全体への取組み

介護業界では、介護ICTが部分的な導入に留まっている事業所、未導入の事業所が散見されます。今後の生産年齢人口縮小を踏まえると、より一層の担い手不足問題が顕在化します。私たちはパラマウントベッド株式会社を含む4社と協働して「EGAO link」を広めていく活動を推進しています。当社が運営する介護付きホームを見学いただくと、導入後の具体的なイメージを把握いただくことができると考えており、当社として積極的に当社の介護付きホーム見学をご案内しています。(その結果、見学いただいた介護事業者が「EGAO link」機器の全部又は一部の機器の導入に至った場合には、「EGAO link」ベンダー4社から手数料をいただくこととしております。)さらに、「EGAO link」を導入する介護事業者に対し、導入方法の指導、スタッフ向け研修等の支援も実施しております。今後、当社が開始した生成系AI活用のケアプラン自動作成ツールや介護データをダッシュボードで確認できるBIツールも用いて、介護業界でのDXコンサルティングの事業化を進めております。

このように、当社として介護事業者のDX化を支援することにより、要介護高齢者の増加と担い手不足の介護業界の課題解決を担っていきたいと考えております。

また、介護業界全体に介護DXを波及させていくためには、「介護DX人材」を持続的に輩出していく必要があります。

当社における「介護DX人材」の定義は、「データ+アセスメントで、要介護高齢者の課題を抽出することができ、EGAO link等のIoT活用に加え、科学的介護(Evidence Based Care:EBC)、自立支援介護メソッドを活用して、効率的・効果的なケアを展開できる人材」としています。当社の介護付きホームはIoT/ICT機器が標準装備され、「介護DX人材」を輩出する環境は整備されています。当社は「介護DX人材輩出企業」として、介護業界をリードする人材を輩出できるよう、育成していきます。

また、今後、2023年10月に出願した特許を介護業界で展開していくには、特許を活用したシステム、アプリ等の開発が必要になると考えております。介護業界他社の介護DXを実現していくためのシステム、アプリ等を開発するため、他社との資本提携の選択肢等、共創的な協業関係の構築等を検討していく予定です。

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④ 老朽化不動産の再生に向けた取組み

a.市場規模の把握

東京都の推計によると、東京都内の昭和55年以前(旧耐震基準)のアパート、マンション等の共同住宅は、80万戸を超えております。(2020年3月末時点)(注)この中には、当社の取組み対象外の公営住宅、区分所有建物や、遠隔地エリアの戸数も含まれていますが、まだまだ都内には、多くの耐震性能に課題がある共同住宅が残されていると推測されます。旧耐震建物は、新築からすでに約40年が経過しており、仮に今後20年以内に半数が建替えられるとすると、年間2万戸の市場規模があると想定されます。当社の実績が、50~100戸程度の戸数であり、まだまだ成長の余地はあると考えられます。

(注)東京都耐震改修促進計画(2023年3月東京都)31ページ 表9住宅の耐震化の現状「新耐震基準」

 

b.参入障壁による差別化

 老朽化不動産の再生においては、既存入居者の移転交渉に伴うリスクを懸念し、大手不動産業者は、参入に消極的です。当社は、シニア事業を47事業所(2024年1月31日現在)運営しているという社会的な安心感、経営の安定に裏付けされた資金力(低金利で銀行融資が受けられる財務基盤)による差別化を図ることができていると考えております。また、各種土地の開発、販売に強い不動産事業者と組むことで物件購入者を事前に確保し、より優位な条件で不動産を調達し、販売在庫リスクも軽減する強みも有しております。

 

⑤ 不動産事業における財務上の課題

当社における不動産事業は、シニア開発に伴う土地取得・建築、販売用不動産の仕入及び収益不動産の取得に伴う資金として、主として金融機関からの借入等に依存しております。そのため、金利動向の変動による金利負担の増加や、在庫の長期化、固定資産の増加により自己資本比率が減少する可能性があります。

よって、これらの財務上の課題に対処する観点から、シニア開発物件は開発後の売却を前提とし、販売用不動産においても在庫の早期回転を重視し、収益不動産の取得においても高値で売却可能な利回り水準の高い物件を取得することにより、適正な在庫・固定資産の水準と財務バランスの安定性を鑑みながら堅実かつ安定的な成長を達成することを意識してまいります。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社は、事業を展開する各地域において、介護サービスを必要としている多くの方々にお客様それぞれのニーズに合わせて介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス及びショートステイをご利用いただくという点から、また、売上・収益に直結する指標でもあることから、稼働率を重要指標としております。

なお、介護付きホームの稼働率は稼働室数÷総居室数、デイサービスの稼働率はのべ利用者数÷(定員数×稼働日数)、ショートステイの稼働率はのべ稼働室数÷(総居室数×日数)であります。

また、全社的にはシニア事業及び不動産事業を両輪として安定的に堅実に成長していくことが重要であると考えていることから、全社的な経営指標としては、営業利益としております。

稼働率及び営業利益については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析について」に記載のとおりです。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(当社のサステナビリティ経営の基本方針)

 当社は「私たちアズパートナーズは、『世代を超えた暮らし提案型企業』として、あらゆる世代の方々の幸せを追求し、私たちに関わる全ての人々が幸せになることを目指します。」を私たちの使命(MISSION)としております。

 この使命の遂行にあたり、サステナビリティを巡る諸課題への適切な対応が重要な経営課題であると認識し、多くのステークホルダーの皆さまとの協働を通じて、持続可能な社会の実現に貢献すると共に中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

(1)サステナビリティ全般に関する考え方

①ガバナンス

 当社は、サステナビリティ経営推進のための重要事項を決定するため、サステナビリティ委員会を設置しております。

 サステナビリティ委員会の構成は以下のとおりであります。

 (構成員の氏名)

 委員長 代表取締役社長         植村健志

     取締役             伊藤啓敏、松尾篤人、山本皇自

     執行役員            中元亮介

     経営管理部部長・経営企画室室長 長田洋

 サステナビリティ委員会は、月に1回開催しております。

 

②リスク管理

・当社はサステナビリティ経営推進に関わる対応を経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築すると共に、取締役会による監督を行っております。

 

(2)人的資本・多様性に関する考え方

①戦略

 当社の使命(MISSION)は、「世代を超えた暮らし提案型企業」を目指すことであり、ステークホルダーから選ばれ続けるためには、人材育成の方針を「提案人材(自分事として捉え、提案・実行・解決できる人材)」として設定しています。

 当社では、「提案人材」を育成するために、「私たちの行動規範」を基盤に、以下の5つの柱を中心に人材開発戦略を展開しています。5つの柱は「人材確保と採用戦略の強化」「従業員育成とキャリアチャレンジ制度」「健康管理と福利厚生の充実化」「ダイバーシティの推進」「エンゲージメントの向上」であり、従業員の満足度と成長が当社の成長に直結するよう、効果的な人的資本の投資に注力しています。

 これら5つの柱に基づく施策により、シニア事業の強みである「個別アクティビティ(1対1サービス)」増加を通じて個別性・自立支援に向けたケアが充実し、不動産事業では、垂直統合されたバリューチェーン(仕入-権利調整-販売)において、一気通貫で「ソリューション営業」の実現に繋がっています。

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②人材確保と採用戦略の強化

 当社は、新卒採用を重視しています。新卒者は、新たな視点とエネルギーをもたらし、当社の成長と革新に対する重要な推進力になっており、持続的な競争力を維持し、企業価値を向上させることが可能となっています。

 そのため、新卒採用は、当社の長期的な人材開発戦略の中心的な要素であり、2020年以降、毎年100名以上の新卒採用を実施しています。

 新卒採用では非福祉系専攻の学生が90%以上であり、異なる学問分野、地域、文化から来る多様な視点を持ち込むことで、創造性と革新性を高めています。特に、ベンダーと共同開発したICT・IoTプラットフォーム「EGAO link」等により最先端の取組みを継続・発展していくには、新卒者の柔軟な思考や発想が不可欠です。新卒者は、当社のビジョンとミッションに対して共感して入社しており、自身のキャリアを積極的に形成し、当社の成長に貢献することを期待しています。

指標

2021年3月期実績

(2020年4月入社)

2022年3月期実績

(2021年4月入社)

2023年3月期実績

(2022年4月入社)

2024年3月期実績(2023年4月入社)

新卒採用人数

108人

113人

174人

178人

 

③従業員育成とキャリアチャレンジ制度

 従業員の専門的な知識やスキルを持続的に向上させるために、研修プログラムの充実やキャリアチャレンジ制度の機会提供を行っています。

・研修プログラム

 新卒者を対象に入社後5年後まで行われるフォローアップ研修に加えて、毎月開催されるハイスタンダード研修では、法定項目内容に加えて、当社が強みとしている個別アクティビティの提案に役立てるための能力開発を行っています。

・キャリアチャレンジ制度とキャリア相談窓口の設置

 キャリアチャレンジ制度の目的は、従業員に成長とキャリア発展の機会を提供し、スキルや能力を向上させることです。社内の人材を適切な役割や責任に配置することで、従業員のモチベーションが高まり、組織全体のパフォーマンスが向上することを期待しています。

 また、キャリア相談窓口を設置し、従業員が自身のキャリア目標や成長を相談し、適切なアドバイスやガイダンスを受ける機会を提供しています。従業員は自身のキャリアパスを考え、組織がそれを支援することで、従業員の成長や満足度の向上につなげています。

 これに加え、年1回、キャリア意向調査を実施し、従業員の希望を踏まえた人事異動に役立てています。

 

④健康管理と福利厚生の充実化

 従業員の健康管理とメンタルヘルスケアを重視しています。定期的な健康チェックやインフルエンザワクチン接種の機会の提供に加えて、チャット型で医療相談ができる福利厚生制度も整備しています。

 特に健康診断は各事業所へ健診カーや健診従事者を手配し、従業員が健康診断を受けやすい環境を提供し、従業員の健康の維持をサポートすることで、離職率の低下と生産性の向上を図っています。

 

⑤ダイバーシティの推進

 当社では、社会的な不平等を解消し、機会均等を実現すべく、ダイバーシティを推進しています。

・女性管理職割合と男女の賃金格差

 当社のケアチーフ以上の女性管理職割合は40.0%(係長相当職:18.7%)、会社全体の男女の賃金格差は78.4%(75.7%)(「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出)です。当社は、性別に関係なく、個人の能力とポテンシャルを評価し、適正な報酬とキャリアパスを提供することを大切にしています。また、同じ役割であれば、男女で賃金の差はなく、男女の賃金格差は、主に勤続年数の長い社員に男性比率が高いこと、管理職に男性比率が高いことが要因です。

・男性の育児休業取得率

 男性の育児休業取得割合28.6%(17.1%)です。当社は、男性従業員が育児休業を取得することで、家庭と仕事の両立を実現し、より充実した人生を送ることができると考え、取得を奨励しています。

 ※( )内は「出典:令和4年度雇用均等基本調査(厚生労働省)」

指標

2023年3月期実績

2023年

12月末実績

2025年3月期目標

女性管理職比率 ※

40.0%

38.8%

40.0%以上

男女間賃金格差

78.4%

79.1%

78.4%以上

男性育児休業取得

28.6%

50.0%

33.0%以上

  ※ 主任相当職以上

 

⑥エンゲージメントの向上

 当社は従業員のエンゲージメントと満足度を向上させることにも注力しています。

 これまで説明した4つの柱に加えて、定期的に従業員のコンディションやエンゲージメントを確認するほか、従業員同士の関係性を深める施策を実施しています。

・従業員コンディション調査と1on1面談

 従業員コンディション調査では、従業員一人ひとりの仕事満足度・健康状態・人間関係の3つの項目について、従業員のコンディションの確認をするのと共に、従業員が部署内に相談できないことを直接、人事担当者へ相談できる仕組みを整えています。

 また、私たちは、従業員一人ひとりとの定期的な面談(1on1面談)を大切にしています。面談では、従業員の仕事満足度等に対する声を傾聴すると共に、従業員の目標達成のために、面談者がフォローする役割も担っています。従業員は自身の成長や仕事満足度等について話し合うことができ、個別のニーズに対応するための具体的なアクションを共有することも可能です。これにより、従業員は自身の価値を認められ、自己成長の意欲や組織への貢献意識が高まることに貢献しています。

 全社や部署・事業所ごとの状態を把握するため、定期的なウェルビーイング調査や年1回のES(従業員満足度)調査も実施しております。

・全社総会やサークル活動

 組織の結束力を高める場として、社員全員が一堂に会し、共通の目標や価値観を共有します。総会では、優れた業績や貢献を称える機会となっており、成果についてお互いを讃え合う組織文化が醸成され、社員の結束力や忠誠心が高まることを期待しています。

 また、従業員同士の多様な交流を深めるため、サークル活動の実施を推進しています。

 

(3)SDGsへの取組み

 当社は、介護DXや科学的介護の推進に積極的に取り組み、お客様の望む暮らしの実現を目指しております。また、若手介護人材の育成にも力を入れており、少子高齢社会における持続的な介護サービスを提案しております。「あらゆる方々の良きパートナーとして…」という想いのもと、地域や社会全体の幸せのための社会課題にも向き合い、持続可能な開発目標(SDGs)の達成のために取り込んでまいります。

 

目指す姿

取組みの内容

SDGsのテーマ

少子高齢社会の

持続可能性を提案

①介護DX、EGAO linkと科学的介護

②若者に介護の魅力付け

・EGAO linkと科学的介護で新しい介護サービスを提案

・新卒社員を中心とした若手介護人材の育成により、少子高齢社会における持続可能な介護サービスの提供に寄与

 

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多様な人の幸せを提案

(DE&I)

①私たちのDE&Iとウェルビーイング

②お客様お一人おひとりの望む暮らし、想い、夢を叶えます

・社員が楽しく、ウェルビーイングな働きがいのある職場環境づくり

・介護サービスを通して、お客様お一人おひとりの望む暮らしの実現、最期までその人らしい暮らしをサポート

 

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サステナブルな

街づくりを提案

①新耐震基準施行前の老朽化不動産再生

②環境改善と気候変動へ備え

・新耐震基準施行前の老朽化不動産再生(ソリューション事業)によって安全な街づくりに貢献

・屋上庭園付きの介護付きホームでお客様の居場所づくりと共に、環境改善へ取り組む

・LED化を進めることで、エネルギー効率の向上

 

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・EGAO linkと科学的介護で新しい介護サービスを提案

 

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・屋上庭園

左:アズハイム品川(2023年6月開設) 右:アズハイム大田中央(同7月開設)

 

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3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社は、「リスク管理規程」に基づくリスクマネジメント・コンプライアンス委員会の機能で、リスク管理の全社推進とリスク管理に必要な情報の共有化を図っております。体制・枠組みに関しては「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要 ト リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」をご参照ください。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

  (1)シニア事業について

① 介護保険制度による影響

当社のシニア事業の介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)事業、デイサービス事業及びショートステイ事業は、介護保険法に基づき、指定居宅サービス事業者等の指定を受けて運営を行っており、同法に基づく介護報酬が売上高の大部分を占めます。こうしたことから、当社のシニア事業は、介護保険法の影響を強く受けることにより、次のようなリスクがあります。

a.介護保険事業者に対する指導・指定取消し等の処分(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の事業の中心となる介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)事業は、介護保険法に定める居宅サービスのうち「特定施設入居者生活介護」に関して、都道府県知事等より「指定居宅サービス事業者」の指定を受け、介護報酬の給付を受けております。「指定居宅サービス事業者」の指定を受けるには、「指定居宅サービス等の事業の人員、設置及び運営に関する基準」(介護保険法に基づく厚生労働省令)を満たしている必要があり、その基準に達しないことで、監督官庁より行政処分を受けた場合には、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、デイサービス事業及びショートステイ事業においても、介護保険法に定める居宅サービスのうち「通所介護」及び「短期入所生活介護」において、都道府県知事等により「指定居宅サービス事業者」の指定を受けることが必要であり、各指定基準に達しないことで監督官庁より行政処分を受けた場合には、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

特に、介護保険法に基づき介護保険事業所の指定が取り消された場合に、その原因となった不正行為に法人の組織的関与が確認された場合には、「連座制」が適用され、当該事業者は当該サービス類型の事業所の新規指定や指定更新を受けることができなくなることとされています。

当社の介護付きホーム事業、デイサービス事業及びショートステイ事業は現在それらの基準をすべて満たしており、シニア事業部本社部門により人員、設備及び運営に関する基準や介護報酬のルールの遵守が徹底されています。さらに、内部監査室による内部監査により、それらの遵守状況を監査しております。

しかし、今後万が一、上記基準が満たせなくなった場合には、定められた介護報酬よりも減額される又は指定の一部効力を停止される等の可能性があります。そうした期間が長期間にわたる場合には、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。さらに「連座制」が適用された場合には、当該サービス類型の事業所の新規指定及び指定更新を受けることができず、収益計画に甚大な影響を及ぼす可能性があります。

当社のシニア事業の各事業所が受けている指定は以下のとおりです。

許認可等の名称

所轄官庁等

許認可等の内容

有効期限

主な許認可取消事由

有料老人ホームの届出

厚生労働省

老人福祉法第29条第1項に基づく届出

なし

老人福祉法第29条第16項(事業の制限・停止命令)

特定施設入居者生活介護事業者の指定

厚生労働省

介護保険法第70条第1項に基づく居宅サービス事業者としての指定

6年間

(以後6年毎の更新)

介護保険法第77条第1項(指定取消等)

地域密着型特定施設入居者生活介護事業者の指定

厚生労働省

介護保険法第78条の2第1項に基づく地域密着型サービス事業者としての指定

6年間

(以後6年毎の更新)

介護保険法第78条の10第1項(指定取消等)

 

 

許認可等の名称

所轄官庁等

許認可等の内容

有効期限

主な許認可取消事由

通所介護事業者の指定

厚生労働省

介護保険法第70条第1項に基づく居宅サービス事業者としての指定

6年間

(以後6年毎の更新)

介護保険法第77条第1項(指定取消等)

短期入所生活介護事業者の指定

厚生労働省

介護保険法第70条第1項に基づく居宅サービス事業者としての指定

6年間

(以後6年毎の更新)

介護保険法第77条第1項(指定取消等)

※主な許認可取消事由の具体的事例

① 介護保険法令に基づく人員基準を満たすことができなくなったとき。

② 介護保険法令に基づく設備及び運営に関する基準に従って適正な事業運営をすることができなくなったとき。

③ 要介護者の人格尊重義務、法令遵守義務及び忠実職務遂行義務に違反したと認められるとき。

④ 介護保険費用の請求に関し不正があったとき。

⑤ 報告又は帳簿書類の提出若しくは提示命令に対する違反、又は虚偽報告をしたとき。

 

b.介護保険制度の改正について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

2000年4月1日に施行された介護保険法は、3年毎に各都道府県・各市町村において介護保険事業計画の見直しが行われるほか、近年は3年毎に介護保険制度全般に関して検討が加えられ、その結果に基づき必要な介護保険法の改正等が行われています。

各サービスの給付単価を決定する介護報酬についても、3年毎に居宅サービスに要する平均的な費用の額を勘案して検証され改定が行われるほか、消費税財源等に基づく介護職員の処遇改善のための臨時改定が行われています。

また、昨今の人件費や物価の高騰等の状況に対し、介護報酬は価格転嫁が難しい公定価格であることから利益を圧迫する要因となり得ます。

当社は、介護保険制度改正・介護報酬改定の動きに対し、一般社団法人全国介護付きホーム協会の活動を通じて事業者の実情や意見を厚生労働省等に伝え、不利な改正がなされないよう働きかけるほか、最新情報を入手して早めの対策を講じることで利益計画に対する影響を軽減しております。

なお、2024年4月の介護報酬改定では、人件費の高騰等を踏まえ、介護職員の処遇改善分+0.98%、その他の改定率+0.61%の合計+1.59%の改定が実現しております。

また、介護付きホームは介護報酬以外の家賃、管理費等の利用料を徴収することができる、介護報酬の依存度が低いサービスです。当社は、実際に家賃、管理費等の値上げも実施し、収益を維持しております。

しかしながら、今後、介護保険制度の改正により介護保険の給付範囲が制限されたり、介護報酬改定により給付単価が引下げられる等、介護事業者に不利な改正がなされた場合や想定以上の人件費や物価の高騰等が生じた場合には、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

今後のさらなる高齢化に伴い介護サービスへのニーズの高まりが推測され、同業他社の事業拡大や異業種からの新規参入のスピードが加速されるものと考えられ、競合激化により、当社介護付きホームの入居率の低下につながることも懸念されます。

また、2006年4月1日の介護保険法改正より続いている介護付きホーム(特定施設入居者生活介護)の総量規制が緩和された場合、当社においては介護付きホームの新規開設が進めやすくなる利点がある反面、競合が激化し当社介護付きホームの入居率の低下につながることも懸念されます。

当社は、地域の介護付きホームの需給や地方自治体の介護保険事業計画を見据えながら出店するほか、「EGAO link」により創出された時間を活かした個別ケア等のサービスの充実や機動的な営業戦略により高い稼働率を維持しております。

しかしながら、当社が事業展開している地域において当社の想定以上に介護付きホームの新規開設が増加した場合には、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 特定事業への依存に関するリスク(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の事業領域は介護業界のなかでも、介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)及びデイサービス(通所介護)に集中しております。介護業界は高齢化に伴う市場ニーズの増大により、今後もさらなる需要拡大が見込まれておりますが、国の財政及び介護保険財政を踏まえた介護保険法改正等の様々な外部の影響を受けることとなります。

当社は、介護付きホーム及びデイサービスは運営の自由度が高く、制度改正等の外部影響があっても、対応策を講じやすい制度であると考えております。

しかしながら、介護保険法の改正や介護報酬改定等によって、当社の想定以上の事業戦略からの転換を強いられた場合には、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 従業員の確保について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)や「通所介護」の指定を受けたデイサービスには、人員に関する基準(配置基準・資格要件)が定められております。また、少子高齢化の進展による生産年齢人口の減少により、労働力不足が懸念されています。

当社では、事業規模の拡大に伴い、人材の確保・育成に向けて、業務負担軽減のためのIT機器の積極的導入、新卒採用の重点化とともに、キャリアパスの明確化や活躍に見合う処遇改善などの人事制度の見直し、教育研修制度の充実などの取組みを行っております。

しかしながら、このような施策の効果が充分に得られず、従業員の採用、定着や配置が進まない場合、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 新規介護付きホームの開設について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は事業拡大にあたり、今後も計画的な介護付きホームの新規開設を進めていく所存ですが、2006年4月1日の介護保険法改正に伴って施設開設に対する総量規制が行われていることから、介護付きホームの新規開設に当たっては、各都道府県・各市町村の事業計画に従った公募に対して、応募し選定を受ける必要があります。

当社は各都道府県・各市町村の動向やニーズを適宜把握しておりますが、計画のとおりに選定を受けることができなかった場合、当社の事業計画遂行に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 有料老人ホームにおける土地・建物に関する契約について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社が運営する介護付きホームは、土地及び建物の賃貸借契約において20年以上の契約期間を定めております。

原則としてその期間は解約ができないことから、当社にとっては安定かつ継続的に土地及び建物を賃借し運営でき、地域社会との信頼関係を築き稼働率の維持を図ることにより、当初の事業計画を進捗させることができます。

しかしながら、想定以上の競合の参入等により入居率の低下等に伴い入居者との利用料金の見直しが必要になった場合、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす場合があります。

 

⑦ 差入保証金について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は介護付きホームの新規開設における賃借時に保証金を差し入れております。差入保証金の残高は2023年3月31日現在721,483千円となっており、総資産に占める比率は4.9%であります。

当社は、新規開設の際の与信管理を徹底していますが、賃借先のその後の財政状態の悪化等によって、差入保証金の全部又は一部が回収できなくなった場合には、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ リース会計基準の改正について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の介護付きホーム等のシニア事業所の多くは、土地及び建物を賃借して運営しております。それらの賃貸借契約の内容について、オペレーティング・リース取引として判断していることから、貸借対照表上、オフバランスとして処理をしております。

しかしながら、リース会計基準等の変更によりオペレーティング・リース取引の対象資産・負債を貸借対照表上、オンバランス処理することが検討されており、本基準の変更により、対象資産・負債が貸借対照表に計上されるとともに、当社の自己資本比率が現状より低下する可能性があります。

なお、2023年3月31日現在の該当の賃貸借契約に係る未経過リース料の総額は26,452,751千円であります。

 

⑨ 自然災害について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、本書提出日現在、首都圏において事業を展開しておりますが、これらの地域において予測不能な地震、風水害等の自然災害が発生し、介護付きホームやデイサービスセンターに影響が生じ業務を停止せざるを得ない状況や、建物や設備が損傷しその修復に多大な費用が必要となった場合、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、事業所ごとに「BCP指針(事業継続計画)」を策定し、災害発生時にはお客様及びスタッフの生命や生活を保護及び維持するための業務を優先して、その他の業務は縮小又は休止し、継続的にサービス提供できる体制を構築すること等を定めております。また、当該指針に基づき各事業所ごとに、定期的な教育・訓練を行っております。

 

⑩ シニア事業における事故対策・安全衛生管理について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の事業は高齢者を対象としているため、ご入居者が介護付きホームで生活をし、ご利用者がデイサービスセンターを利用する中で、転倒事故、入浴中の事故、誤薬事故等の危険性があると考えております。また、感染症の拡大や食中毒が発生する可能性もあります。

当社は、本社及び事業所が一体となって実践的な教育研修を行うほか、事故発生時の再発防止策を徹底することにより介助中の事故を防止する対策を講じています。また、手洗い、消毒剤等での手指消毒の徹底やご入居者の健康状態の悪化の随時把握による感染症の拡大の予防、食事提供の外注先である厨房委託業者への衛生管理の徹底など、安全・健康管理に取り組んでおります。

しかしながら、万が一介助中の重大な事故や感染症の拡大、食中毒等が発生した場合には、当社の信用が低下するとともに、訴訟等で損害賠償請求を受けるおそれがあり、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 虐待防止への取組みとリスク(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

高齢者虐待防止法では養介護施設従事者等による身体的虐待介護・世話の放棄・放任等の高齢者虐待の防止に関する取組みを求められており当社は役職員を対象とした研修やマニュアルの整備等によりいかなる虐待も防止するように努めております

しかしながら虐待や不適切な身体拘束が発生した場合には法令による処罰、訴訟の提起、社会的信頼の失墜等により当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

⑫ 個人情報の保護について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の事業を運営するにあたり、ご入居者、ご利用者、そのご家族等の重要な個人情報を取り扱っております。システム上の情報管理については、漏洩防止のため、ファイアーウォールによる外部ネットワークからのアクセス遮断、ウィルス対策ソフトによる保護を実施しております。また、パソコンの端末には、起動時のパスワード管理を実施しており、第三者が容易に起動させることができない設定となっております。またスマートフォン等についても、モバイルデバイスマネジメントによる統合管理を行っています。紛失等があった際もシステム管理者が遠隔にて機器の操作を行えるよう対応しています。また、書類の管理については鍵付きのキャビネットでの保管を徹底しております。

以上の対策を厳重に講じておりますが、万が一システム等から情報が流出し、当社の信用が低下した場合、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 風評等の影響について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の事業は、ご入居者、ご利用者やそのご家族のみならず、地域住民や居宅介護支援事業所等の取引先など様々な方々からの信頼のもとに成り立っています。従業員には経営理念やコンプライアンスを浸透させ、安定的かつ質の高いサービスを提供するよう指導、教育を行っております。

しかしながら、ご入居者・ご利用者の尊厳を損なう事件や従業員の不祥事等により、社内、社外を問わず当社に対して不利益な情報や風評が流れた場合、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 新型コロナウイルス感染症について(発生可能性:高、発生時期:現在、影響度:中)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、営業活動の自粛や利用控え等により稼働が低調に推移した場合、想定どおりの収益が確保できず、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社ではスタッフの感染症予防に加え、ご入居者、ご利用者、ご家族等に対しましても、ワクチン接種、検温等の健康管理や事業所来訪時の手洗い、手指消毒等の徹底により、ご入居者・ご利用者の健康維持、事業所内での集団感染の予防に努めています。

しかし、万が一事業所内で集団感染が発生した場合には、当社の信用が低下するとともに、介護付きホームの新規入居受入れの停止やデイサービスセンターの営業停止等により稼働率が低下し、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (2)不動産事業について

① 経済状況等の影響について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社が属する不動産業界は、景気動向、金利動向、地価動向、建設価格動向及び税制等の経済状況の影響を受けやすく、また土地相場の下落や金融機関の融資動向の変化により、需要動向が悪化した場合、購入者が住宅用地の購入を控えることにより、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社としては、定期的に景気動向・不動産市況等の状況について各種経済指標等の動向を確認するとともに、金融機関や同業他社等から情報を収集することで、エリア・規模・物件特性等に応じたマーケット観を醸成し、臨機応変な計画の修正等の対応を行い、リスクの低減に努めております。物件取得に関しては、立地や価格に関して、売却想定価格等の出口を意識しつつ、より厳選した物件の取得を図ることでリスク低減に努めております。

 

② 法的規制について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の不動産事業は、宅地建物取引業法、建築基準法、都市計画法、借地借家法等、各種法令のほか各自治体が制定した条例等による規制を受けております。これらの法的規制や条例等が新たに制定又は改定された場合には、新たな負担が発生し、当社の業績や事業展開に影響を与える必要があります。

当社では、各種業界団体への加盟等により、必要な情報を的確に収集するとともに、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会を通じて、各種法令遵守体制の整備などを行っております。

 

③ 収益計上基準及び業績変動について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、物件をエンドユーザーや不動産会社に引渡しをした時点にて収益を認識しております。そのため、事業年度及び四半期ごとに業績を認識した場合、物件の引渡し時期に伴い、期ずれなどの業績偏重が生じる可能性があります。また、各物件のプロジェクトの進捗状況、販売計画の変更、その他不測の事態の発生による引渡し遅延があった場合には、計画していた時期に収益が認識できず、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、取締役会等において各プロジェクトの進捗を確認することにより、期ずれなど業績に影響が及ぼさないよう確認しております。仮に不測の事態が発生する場合には、代替物件の販売計画を前倒す等の対応策を講じます。

 

④ 在庫リスクについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、開発用地の仕入及び自社開発による介護付きホーム等の企画・販売を中長期的な経済展望に基づき実施し、物件の早期売却を図っております。しかしながら、急激な景気の悪化、金利の上昇及び不動産関連税制の影響により、販売が計画どおりに進まなかった場合には、介護付きホーム等の開発の遅延や土地在庫の滞留が発生し、資金収支の悪化を招く可能性があります。また、当社は「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2006年7月5日)を適用しておりますが、時価が取得原価を下回った販売用不動産、仕掛販売用不動産の評価損が計上された場合、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)その他のリスクについて

① 法令遵守・コンプライアンス体制、内部管理体制に関するリスク(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社の法令遵守・コンプライアンス体制については、事業に直接関係する法令のみならず近年SNSによるトラブルが問題になるなど企業が求められる企業倫理は多岐にわたりますそのため社会的責任のある企業として遵守すべき法令全般につき当社の全役職員が法令等・倫理に基づいた行動をとるようコンプライアンス研修の継続的な取組みを実施しており日常的にコンプライアンス意識と行動の徹底を図っておりますまた内部通報制度を整備運用して内部の不正を抑止するよう努めておりますしかしながらコンプライアンス上の問題に直面した場合には法令による処罰・訴訟の提起・社会的信頼の失墜等により当社の業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 また当社の内部管理体制については、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しておりますその認識のもと内部管理体制の一層の充実を図るべく内部通報制度の運用や内部監査の実施情報セキュリティ体制の構築等によりコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおりますが急速な事業拡大等により十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には適切な業務運営が困難となり当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 

② 資金調達について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、物件の取得及び建築工事等の事業資金を自己資金だけでなく、金融機関からの借入金によって調達しております。このため、市場金利が上昇する局面や、介護業界若しくは不動産業界又は当社のリスクプレミアムが上昇した場合には、支払利息等が増加し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、事業資金を調達する際には、特定の金融機関に依存することなく、個別の物件毎に金融機関に融資を打診しており、現時点では安定的に調達ができております。しかしながら、当社の財政状態が著しく悪化する等により当社の信用力が低下し、安定的な融資が受けられないなど、資金調達に制約を受けた場合は、物件の取得や建築工事等の発注に支障をきたし、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 資金使途について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は東京証券取引所スタンダード市場への上場に伴う公募増資資金に関しまして、新規事業所の開発を含む設備投資、運転資金及び借入金の返済に充当する予定でおります。しかしながら、新規事業の発足や経営環境の変化により、投資効果が期待のとおりの成果を上げられない場合や、より投資効果が見込める使途等が生じた場合には、現時点の資金使途計画以外の使途に充当する可能性があり、そうした場合は当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 利益還元について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的に業績の成長に見合った成果を配当することを基本方針としております。今後も、事業計画に沿った利益を計上することを前提として財務体質の強化を図り、財政状態及び経営成績を勘案しながら、配当を実施してまいります。しかしながら、当社の業績が計画どおり進展しない場合等、当社の業績が悪化した場合には、継続的に配当を実施できない可能性があります。

 

⑤ 特定個人の大株主との関係について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社の代表取締役社長 兼 CEOである植村健志は、当社の大株主であり、資産管理会社である株式会社ブレスの所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の59.1%の議決権を所有しております。同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。また、当社と致しましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により、大株主である同氏の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は取締役会、経営会議等による役員や幹部社員間の情報共有のみならず、これまでの経営方針・事業戦略の実績の蓄積、業務の標準化・マニュアル化等、当社の代表取締役社長 兼 CEOである植村健志に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかし、当社の代表取締役社長 兼 CEOである植村健志は、当社の創業者として経営方針や事業戦略を牽引する重要な役割を担っており、当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の業績や将来の成長性に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は、当社の役員、従業員に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションによる新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が一定程度希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のために同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性がありますが、優秀な人材確保は企業価値、株主価値の向上に寄与するものと見込まれ、本インセンティブプランの実施による希薄化の影響以上に株主の利益にも資するものと判断しており、また、希薄化規模は合理的であると考えております。さらに、新株予約権の行使により取得した株式が市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在これらの新株予約権による潜在株式数は74,500株であり、発行済株式総数3,030,000株の2.5%に相当しております。

 

⑦ 固定資産の減損に係るリスク(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は固定資産の減損に係る会計基準及び固定資産の減損に係る会計基準の適用指針を適用しております介護事業所等の新規開設時や不動産事業の収益事業における固定資産の取得時において社内の開設基準に基づいた評価プロセスを経て意思決定を行うとともに開設後においてもその実績が計画どおりであるかをモニタリングし減損に関するリスクの低減に努めておりますしかし今後資産の利用状況及び資産から得られるキャッシュ・フローの状況等の悪化が継続し減損処理が必要となった場合当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

⑧ 有利子負債への依存度について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は介護付きホームの新設に伴う設備投資資金及び不動産事業に係る投資資金を主として金融機関からの借入により調達しております。総資産に対する有利子負債残高の割合(有利子負債依存度)は次表のとおりであります。

 

このような状況の中、金融情勢の変化などにより計画どおりに資金調達ができず、計画的な介護付きホームの開設及び不動産事業に係る新規投資が困難となる場合や市場金利の上昇により資金調達コストが増加した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

第3四半期

有利子負債残高(千円)

5,131,946

6,487,016

6,461,195

総資産残高(千円)

11,814,216

14,744,742

16,211,812

有利子負債依存度(%)

43.4

44.0

39.9

(注)1.有利子負債残高は借入金、社債及びリース債務の合計であります。

   2.有利子負債依存度は、有利子負債残高を総資産残高で除した数値を記載しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

第19期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

(資産)

 流動資産は9,657,299千円となり、前事業年度末に比べて2,166,311千円の増加となりました。これは主に、当期純利益の留保による現金及び預金の増加160,711千円、2022年5月に介護付きホーム「アズハイム三鷹(93室)」を、2023年3月に介護付きホーム「アズハイム城東公園(99室)」を新たに開設したことに伴う売掛金の増加199,484千円、ソリューション事業で新たに10物件を仕入れたことによる販売用不動産及び仕掛販売用不動産の増加1,688,203千円によるものであります。

固定資産は5,087,442千円となり、前事業年度末に比べて764,214千円の増加となりました。これは主に、不動産事業部における新規ホーム開設等のための土地取得及び建物建設等に伴う有形固定資産の増加650,094千円によるものであります。

この結果、当事業年度末における資産合計は14,744,742千円となり、前事業年度末と比べ2,930,526千円の増加となりました。

(負債)

 流動負債合計は8,497,297千円となり、前事業年度末に比べて1,620,279千円の増加となりました。これは主に、販売用不動産の取得に充てるための短期借入金の増加181,940千円、会計方針の変更(収益認識に関する会計基準の適用)による契約負債の増加1,398,697千円によるものであります。

固定負債合計は4,382,506千円となり、前事業年度末に比べて1,129,014千円の増加となりました。これは主に、販売用不動産の取得に充てるための長期借入金の増加1,127,648千円によるものであります。

この結果、当事業年度末の負債合計は、12,879,803千円となり、前事業年度末と比べ2,749,294千円の増加となりました。

(純資産)

 当事業年度末の純資産合計は、1,864,938千円となり、前事業年度末と比べ181,232千円の増加となりました。これは、当期純利益の計上による利益剰余金の増加229,712千円の一方で、期末配当金の支払いによる利益剰余金の減少48,480千円によるものであります。

 この結果、自己資本比率は12.6%(前事業年度は14.3%)となりました。

 

第20期第3四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)

(資産)

 流動資産は、9,870,443千円となり、前事業年度末に比べて213,143千円の増加となりました。これは主に、6件の土地建物を販売したことにより、販売用不動産及び仕掛販売用不動産の減少1,193,810千円と現金及び預金の増加1,199,797千円によるものであります。

 固定資産は、6,341,369千円となり、前事業年度末に比べて1,253,926千円の増加となりました。これは主に、「アズハイム品川」、「アズハイム大田中央」、「アズハイム神宮の杜」の新規3拠点開設等に伴う初期の設備投資による有形固定資産の増加1,068,098千円によるものです。また、シニア開発事業において2023年6月30日に介護付きホーム「アズハイム三鷹」について土地建物を信託受益権化したことに伴い信託建物1,059,907千円、信託土地634,796千円を計上しております。

 この結果、当第3四半期会計期間末における資産合計は、16,211,812千円となり、前事業年度末に比べて1,467,070千円の増加となりました。

(負債)

 流動負債は、9,901,256千円となり、前事業年度末に比べて1,403,959千円の増加となりました。これは主に、有形固定資産の取得等に伴う1年内返済予定の長期借入金の増加589,182千円及び「アズハイム品川」、「アズハイム大田中央」、「アズハイム神宮の杜」の新規3拠点開設等に伴う契約負債の増加575,715千円によるものであります。

 固定負債は、4,045,813千円となり、前事業年度末に比べて336,692千円の減少となりました。これは主に、販売用不動産及び仕掛販売用不動産の売却等に伴う長期借入金の減少348,952千円によるものであります。

 この結果、当第3四半期会計期間末における負債合計は、13,947,070千円となり、前事業年度末に比べて1,067,266千円の増加となりました。

 

(純資産)

 純資産合計は、2,264,742千円となり、前事業年度末に比べて399,803千円の増加となりました。これは、前事業年度に係る期末配当金の支払い48,480千円と四半期純利益の計上448,283千円によるものであります。

 この結果、自己資本比率は14.0%となりました。

 

②経営成績の状況

第19期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 当事業年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は続いたものの、行動制限緩和などにより経済活動は正常化へと近づきました。一方で急激な為替相場の変動や世界的な原材料価格及びエネルギー価格の高騰などもあり、依然として先行き不透明な状況にあります。

介護業界におきましては、高齢化の進行に伴い高齢の単独世帯も増加していく中、介護サービスに対する需要が拡大することが見込まれています。一方で、同業他社の事業拡大や異業種からの新規参入により競争が激しさを増しています。加えて、介護業界全体として、少子高齢化の進展による生産年齢人口の減少により、人材を確保していくことが引き続き課題となっているなど、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。

不動産業界におきましては、顧客ニーズの多様化、低金利環境等の下支えにより、分譲住宅は堅調な販売動向となりました。また、賃貸オフィスについても、集約や縮小の動きによる空室率上昇傾向に歯止めがかかりつつある状況です。

このような状況のもと、当社におけるシニア事業においては、介護付きホームとデイサービス・ショートステイを通じて、お客様の「望む暮らし」の実現に取り組みました。介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)ではICTの活用促進によるエビデンス・ベースド・ケアの理解を深め、アウトカム評価(定量的評価)の視点を念頭におき事業を進めてまいりました。介護職員等による「生活リハビリ」の提供によりADL(日常生活動作)の改善人数の増加もみられています。デイサービス・ショートステイにおきましても、「想いが叶うデイサービス・想いが叶うショートステイ」をコンセプトに、個別のニーズに合ったサービスを展開していくことで高い稼働率を保っています。

 不動産事業においては、収益不動産の賃料による安定収入を確保する動きとともに、老朽化不動産の再生を目的とした土地・建物の売買事業を中心に販売の収入がございました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

a.シニア事業の売上高・売上原価

 当事業年度は、2022年5月に介護付きホーム「アズハイム三鷹(93室)」を、2023年3月に介護付きホーム「アズハイム城東公園(99室)」を新たに開設いたしました。

当事業年度末における介護付きホームの事業所数は、東京都9事業所(練馬区大泉町、練馬区谷原、練馬区田柄、文京区白山、杉並区井草、町田市根岸町、江戸川区西一之江、三鷹市野崎、江東区東砂)、埼玉県6事業所(さいたま市桜区西堀、さいたま市緑区東浦和、さいたま市南区文蔵、川越市今福、川越市清水町、三郷市)、神奈川県6事業所(横浜市鶴見区東寺尾、横浜市南区別所、横浜市泉区和泉中央南、横浜市戸塚区汲沢、川崎市高津区野川、横浜市鶴見区駒岡)、千葉県3事業所(千葉市花見川区幕張、市川市須和田2事業所)の合計24事業所、居室数は1,613室となっております。

当事業年度末におけるデイサービスセンターの事業所数は、東京都7事業所(練馬区土支田、町田市、板橋区成増、板橋区赤塚、府中市、狛江市、三鷹市)、神奈川県3事業所(横浜市鶴見区東寺尾、横浜市泉区和泉中央南、相模原市中央区横山)、埼玉県4事業所(さいたま市桜区、川越市、越谷市、さいたま市南区)、千葉県1事業所(松戸市)、茨城県1事業所(水戸市)の合計16事業所、定員の合計は782名であり、ショートステイの事業所数は、東京都2事業所(練馬区土支田、板橋区成増)、神奈川県1事業所(相模原市中央区横山)、埼玉県1事業所(さいたま市南区)の合計4事業所、定員の合計は87名となっております。

 また、介護付きホームにおける当事業年度の期中平均稼働率につきましては、開設2年超の既存22事業所では94.3%となり、全体24事業所90.3%となりました。デイサービスの期中平均稼働率は76.1%、ショートステイの期中平均稼働率は99.5%となっております。その結果、当事業年度のシニア事業売上高は10,797,064千円(前期比9.9%増)となりました。

その一方、新たに開設した介護付きホーム「アズハイム三鷹(93室)」「アズハイム城東公園(99室)」の開設経費、開設以降のランニングコストである人件費、地代家賃が増加したことにより、当事業年度のシニア事業売上原価は9,130,302千円(前期比8.8%増)、セグメント利益1,248,697千円(前期比20.8%増)となりました(セグメント間の内部取引を含む)。

 

b.不動産事業の売上高・売上原価

 シニア開発事業及びソリューション事業においては、土地建物販売7件(三鷹PJ、本所PJ、西片PJ、白山PJ、千石4丁目PJ、中村橋PJ、喜多見PJ)、その他合計売上高1,742,688千円となっております。

 また、収益不動産事業につきましては王子・三橋・東尾久・水戸(2物件)、木場、上池袋、東日本橋、AH三鷹(内部取引)にて、受取賃貸料369,133千円を計上しております。

 以上の結果、当事業年度の不動産事業売上高は2,111,822千円(前期比24.3%増)、売上原価(各売却物件の原価等)1,626,458千円(前期比28.8%増)セグメント利益391,812千円(前期比12.2%増)となりました(セグメント間の内部取引を含む)。

 

c.販売費及び一般管理費

本社管理部門の人件費、控除対象外消費税を含む公租公課、新卒採用に係る人材募集費、入居者の紹介に係る紹介手数料や集客強化のための広告宣伝費等の増加により販売費及び一般管理費は1,951,033千円(前期比19.6%増)となりました。

 

d.営業外損益

営業外収益は、新型コロナウイルス感染症対応に対する補助金、介護職員処遇改善支援補助金、物価高騰支援金等の収入があり、109,442千円(前期比4.5%減)となりました。

営業外費用は借入に係る支払利息等により66,069千円(前期比15.3%増)となりました。

 

e. 特別損益

収益不動産事業の固定資産として保有していた上池袋PJの固定資産の売却により、固定資産売却益97,830千円が発生しております。

 

  以上の結果、当事業年度の当社全体の業績は売上高12,782,486千円(前期比11.0%増)、営業利益201,092千円

(前期比16.4%減)、経常利益244,465千円(前期比17.9%減)、当期純利益229,712千円(前期比52.6%減)となりました。

 

第20期第3四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)

当第3四半期累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の社会経済活動への影響が薄まり、景気は緩やかな回復基調が維持されたものの、国際情勢は不安さを増し、エネルギー価格や原材料価格の高止まりや為替の円安基調等の影響による消費者物価の高騰もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

介護業界におきましては、高齢化の進行、特に高齢者単独世帯や認知症高齢者の増加に伴い、引き続き都市部を中心に介護サービスのニーズは拡大する一方、業界における雇用情勢については、2023年9月の有効求人倍率は3.96倍(全国平均・常用(パート含む))と全職種平均の1.18倍を倍以上に上回り、介護職員の確保は引き続き課題となっております。(出典元:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年9月分)について」令和5年10月31日公表)

不動産業界におきましては、顧客ニーズの多様化、低金利環境等の下支えにより、分譲住宅は堅調な販売動向となりました。また、賃貸オフィスについても、集約や縮小の動きによる空室率上昇傾向に歯止めがかかりつつある状況です。

このような状況のなか、当社は、「『世代を超えた暮らし提案型企業』として、あらゆる世代の方々の幸せを追求し、私たちに関わる全ての人々が幸せになることを目指します。」という企業理念を掲げ、顧客の「望む暮らし」の実現に向けて取り組んでまいりました。

介護付きホーム事業では、当社とベンダーで共同開発したIoT/ICTプラットフォームである「EGAO link®」の活用促進により、業務の効率化を図るとともに、創出された時間でご入居者お一人おひとりの個別ケアを追求してまいりました。また、エビデンス・ベースド・ケアの理解を深め、アウトカム評価(定量的評価)の視点を念頭におき事業を進めてまいりました。

デイサービス事業及びショートステイ事業では、「想いが叶うデイサービス」「想いが叶うショートステイ」のサービスコンセプトの元に、地域の居宅支援事業所に対して当社のサービスの説明を重ねることにより、独自の競争優位性を築き、稼働を高めてまいりました。

また、より良い人材の確保及び定着に向けて、国が新たに設けた介護職員処遇改善支援補助金を活用して、処遇改善を行うとともに、効果的かつ合理的な賃金制度を整備いたしました。

不動産事業につきましては、当第3四半期累計期間において、収益不動産の賃料による安定収入に加え、3つのプロジェクトの土地建物販売による収入がありました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

a.シニア事業の売上高・売上原価

当第3四半期累計期間における、介護付きホームの運営状況につきましては、2023年6月に「アズハイム品川(99室)」、7月に「アズハイム大田中央(71室)」、12月に「アズハイム神宮の杜(72室)」の新規開設があり、運営する介護付きホームの事業所数の合計は27事業所、居室数は1,855室となりました。介護付きホームの期中平均稼働率につきましては、開設2期目を経過した当社既存介護付きホームにおいて94.4%となっております。デイサービスは16事業所、定員は合計782名であり、ショートステイは4事業所、定員は合計87名であります。デイサービスの期中平均稼働率につきましては、82.9%、ショートステイの期中平均稼働率につきましては、105.5%となっております。

その結果、シニア事業の当第3四半期累計期間の売上高は8,937,537千円となりました。

その一方、新たに開設した介護付きホーム「アズハイム品川」、「アズハイム大田中央」、「アズハイム神宮の杜」の開設経費、開設以降のランニングコストである人件費、都心の地価による地代家賃の増加により、当第3四半期累計期間のシニア事業売上原価は7,631,353千円、セグメント利益は899,745千円となりました(セグメント間の内部取引を含む)。

 

b.不動産事業の売上高・売上原価

当第3四半期累計期間における、シニア開発事業及びソリューション事業においては、土地建物販売6件(西蒲田PJ、上鷺宮PJ、高田馬場PJ、浮間PJ、赤羽西PJ、清水PJ)合計売上高3,701,370千円を計上しております。また、収益不動産事業につきましては、受取賃貸料283,872千円を計上しております。

以上の結果、当第3四半期累計期間における不動産事業の売上高は3,985,242千円、売上原価(各売却物件の原価等)は2,918,397千円、セグメント利益は987,599千円となりました(セグメント間の内部取引を含む)。

 

c.販売費及び一般管理費

本社管理部門の人件費、控除対象外消費税を含む公租公課、新卒採用に係る人材募集費、入居者の紹介に係る紹介手数料や集客強化のための広告宣伝費等により販売費及び一般管理費は1,727,224千円となりました。

 

d.営業外損益

営業外収益は第3四半期累計期間までに新型コロナウイルス感染症対応に対する補助金、物価高騰支援金等の収入があり、95,302千円となりました。

営業外費用は借入に係る支払利息等により43,680千円となりました。

 

e. 特別損益

特別損益に計上する内容はございません。

 

この結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高12,819,730千円、営業利益645,804千円、経常利益697,425千円、四半期純利益448,283千円となりました。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

第19期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ146,231千円減少し、1,779,884千円となりました。

 

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、745,177千円の支出(前事業年度は338,974千円の支出)となりました。これは主に、介護付きホームの新規拠点開設に伴う入居一時金に係る契約負債が1,398,697千円増加(前事業年度は236,458千円の増加)しましたが、税引前当期純利益が340,211千円と前期比506,117千円の減少となったこと及び販売用不動産及び仕掛販売用不動産の取得増加による棚卸資産の増加額が1,687,408千円(前事業年度は473,871千円)となったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、707,644千円の支出(前事業年度は928,445千円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が、前事業年度は1,589,757千円ありましたが、当事業年度は収益不動産事業で固定資産として保有していた上池袋PJの固定資産を売却したことによる427,667千円のみであったこと、及び、シニア事業における新規ホーム開設等のための土地取得及び建物建設等に伴う有形固定資産の取得による支出が前事業年度の695,082千円に対して、当事業年度は1,106,936千円であったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,306,590千円の収入(前事業年度は369,061千円の支出)となりました。これは主に、ソリューション事業で新たに物件を仕入る際の金融機関からの借入れに伴う長期借入れによる収入が、前事業年度は568,000千円でありましたが、当事業年度は1,842,795千円であったこと、ソリューション事業における物件売却等に伴う長期借入金の返済が、前事業年度は1,434,927千円でありましたが、当事業年度は616,632千円であったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.販売実績

第19期事業年度及び第20期第3四半期累計期間の販売実績は以下のとおりです。

セグメントの名称

第19期事業年度

(自 2022年4月1日

   至 2023年3月31日)

 

第20期第3四半期累計期間

(自 2023年4月1日

  至 2023年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

金額(千円)

シニア事業

10,797,064

109.9

8,937,537

不動産事業

1,985,422

117.2

3,882,192

合計

12,782,486

111.0

12,819,730

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2事業年度及び第20期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

第18期事業年度

(自 2021年4月1日

   至 2022年3月31日)

 

金額(千円)

割合(%)

東京都国民健康保険団体連合会

1,553,154

13.5

埼玉県国民健康保険団体連合会

1,210,900

10.5

 

相手先

第19期事業年度

(自 2022年4月1日

   至 2023年3月31日)

 

金額(千円)

割合(%)

東京都国民健康保険団体連合会

1,793,946

14.0

神奈川県国民健康保険団体連合会

1,283,185

10.0

 

相手先

第20期

第3四半期累計期間

(自 2023年4月1日

   至 2023年12月31日)

 

金額(千円)

割合(%)

東京都国民健康保険団体連合会

1,601,886

12.5

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、当事業年度末における資産・負債及び当事業年度における収益・費用の報告数値並びに開示に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。

 

 当該見積り及び仮定の設定に際しては、過去の実績や状況に応じて、合理的と思われる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

 詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績の分析

第19期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

当事業年度の経営成績につきましては、売上高12,782,486千円(前年度比11.0%増)、営業利益201,092千円(前期比16.4%減)、経常利益244,465千円(前期比17.9%減)、当期純利益229,712千円(前期比52.6%減)となりました。

セグメントごとの経営成績等に関する分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載しております。

 

第20期第3四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)

当第3四半期累計期間の経営成績につきましては、売上高12,819,730千円、営業利益645,804千円、経常利益697,425千円、四半期純利益448,283千円となりました。

セグメントごとの経営成績等に関する分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載しております。

 

 b.財政状態の分析

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載しております。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社における資金需要の主なものは、介護施設等の新規開設に伴う設備投資資金及び運転資金であります。運転資金としては、介護施設等の運転資金や納税資金等であります。資金需要につきましては、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フロー、また金融機関からの借入金も併せて対応してまいります。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に含めて記載しております。

 

⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析について

 当社は、事業を展開する各地域において、介護サービスを必要としている多くの方々にお客様それぞれのニーズに合わせて介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス及びショートステイをご利用いただくという点から、また、売上・収益に直結する指標でもあることから、稼働率を重要指標としております。

 なお、介護付きホームの稼働率は稼働室数÷総居室数、デイサービスの稼働率はのべ利用者数÷(定員数×稼働日数)、ショートステイの稼働率はのべ稼働室数÷(総居室数×日数)であります。

第18期事業年度、第19期事業年度及び第20期第3四半期累計期間における稼働率の推移は次のとおりであります。

また、新規開設直後の介護付きホームの稼働率は低く、1年半から2年程度かけて稼働率95%達成を目指すことから、全事業所と開設2年以上の事業所とを分けて稼働率を算出しております。なお、デイサービス及びショートステイについては対象期間内に開設2年に満たない事業所が存在しないことから、開設2年以上の区分は省略しております。

介護付きホームについて、開設2年以上の事業所の稼働率は安定して稼働率94%を超えております。エリア別に見ると、競合との競争が激化している練馬区・杉並区等において稼働率の低下が見られ、第19期事業年度においては開設2年以上の事業所においても稼働率が90%を下回る事業所もあります。

 

介護付きホーム

 

第18期事業年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

第19期事業年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

第20期

第3四半期累計期間

(自2023年4月1日

至2023年12月31日)

期末総居室数(室)

1,421

1,613

1,855

期中平均稼働率(%)

89.2

90.3

85.5

開設2年以上の事業所の期末総居室数(室)

1,248

1,421

1,421

開設2年以上の事業所の期中平均稼働率(%)

94.7

94.3

94.4

 

デイサービス

 

第18期事業年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

第19期事業年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

第20期

第3四半期累計期間

(自2023年4月1日

至2023年12月31日)

定員数(人)

782

782

782

期中平均稼働率(%)

70.3

76.1

82.9

 

ショートステイ

 

第18期事業年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

第19期事業年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

第20期

第3四半期累計期間

(自2023年4月1日

至2023年12月31日)

定員数(人)

87

87

87

期中平均稼働率(%)

94.6

99.5

105.5

 

 また、全社的にはシニア事業と不動産事業を両輪として安定的に堅実に成長していくことが重要であると考えていることから、全社的な経営指標としては、営業利益としており、第19期事業年度における営業利益は201,092千円となりました。

 

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。