文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、「ハンモックでくつろげるような快適なシステムを組織で働くすべての人々に提供したい」という考えのもと、「組織を強くするIT環境をすべての人へ」をミッションに顧客の課題、ニーズ、困りごとをITで解決するため、今まで世の中になかった機能をスピーディーに開発し、必要な機能を高品質で、適切な価格で提供することを目指しております。
様々な業務領域において、それまでになかった機能を備えたシステム分野において高付加価値のIT製品を提供することで業務の生産性・信頼性を向上させ、顧客の企業価値の向上を図ることにより、時代の変化とともに、新たなITソリューションを提供することで、社会になくてはならないリーディングカンパニーを目指しております。
当社の製品及びサービスは業種業態を問わず必要とされるもので、かつ、中堅中小企業でも導入可能とすることで、企業規模を問わず導入できるものを目指しております。
当社は創業以来、政策的に広告宣伝費等に投資した第27期(2021年3月期)を除き、安定的に利益を計上しております。今後も事業を成長させるとともに、安定した利益を計上していくことを目指しております。主にリカーリング型のビジネスモデルを展開していることから、継続的に売上を成長させていくことが重要となり、重要な経営指標として以下のものを掲げております。
・売上高成長率
・営業利益
当事業年度を含む、直近2事業年度の指標の推移は以下のとおりであります。
我が国は課題先進国と称されるように、諸外国に先んじて人口減少、少子高齢化がすすんでおり、労働人口の減少に直面しております。内閣府が作成した「令和4年高齢化白書」では、2065年には約2.6人に1人が65歳以上という高齢化社会の未来が到来することを示しており、今後の日本社会では、労働人口が減少する前提のもとで生産性を向上していくことが重要視されています。また、「テレワーク」に代表されるオフィスにとらわれない働き方が広まっており、東京都が2022年10月に実施した「テレワーク実施率調査」によると、東京都内企業(従業員30人以上)においては、54.1%の企業がテレワークを実施している現状があります。企業のIT投資動向に目を向けてみると、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会が発表した「企業IT動向調査報告書 2023」によれば、2023年度のIT予算の増加理由は「事業変革に向けたデジタル化対応」が最も伸び率が高く、2023年度が36.2%となっており、2022年度の27.7%から8.5%増加しています。
労働人口の減少に伴いDXによる生産性向上のニーズが高まっております。また、テレワークの拡大により企業のセキュリティ対策やクラウド化が進んでおります。これに伴い、企業の生産性向上及び信頼性向上に寄与する製品及びサービスを提供する当社を取り巻く市場は、拡大していくことが期待されます。
[ネットワークソリューション]
テレワークに代表される新たな働き方や、令和2年に施行された改正個人情報保護法などの動向と、外部からのサイバー攻撃や組織内部者の不正による情報漏えい事件が多発していることから情報セキュリティ対策の必要性が高まっております。株式会社富士キメラ総研による市場調査「2023 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧」によると、ネットワークセキュリティビジネス市場は、2022年度は6,551億円でしたが、2023年度は7,224億円と見込まれております。
新型コロナウイルス感染症の拡大以降、テレワークでの営業活動は一般的なものになりました。非対面を前提とした顧客接点や営業プロセスのデジタル化・非属人化への取り組みが中長期的に継続すると想定されます。当ソリューションが属するCX/デジタルマーケティング(CRM(営業)、メールマーケティング、マーケティングオートメーション)の市場規模は、2022年度は1,046億円まで拡大しています(株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2023年版」(2023年7月)より)。「ホットプロファイル」及び「ホットアプローチ」は名刺管理やMA、新規開拓領域まで広範囲の機能を有しており、顧客ニーズに応じてサービス領域を拡大してきたことから、当該市場に留まらず幅広い市場の開拓余地があるものと考えております。
少子高齢化、労働契約法改正、働き方改革推進などを背景として組織内の従業者だけでは従来業務に対応できない人手不足の状況が生まれてきています。紙のデータを活用するために人間がシステムに転記する「入力業務」は業界業種を問わず発生しており、業務改善の余地が大きく効率化がより一層必要とされます。このような環境下において、人による作業を大幅に削減できる当社の、AIデータエントリーソリューションのビジネス需要も更に拡大することが見込まれます。
デロイトトーマツミック経済研究所株式会社「OCRソリューション市場動向 2023年度版」(URL:https://mic-r.co.jp/mr/02710/)によると、OCRソリューション全体の市場規模は、2022年度の見込が532億円であり、2021年度実績の500億円に比べて拡大しております。
当社においては、安定した成長率と利益を継続して確保してまいりました。今後は、成長をさらに加速させ、利益率の向上を図っていく方針でございます。
当初は、オンプレミス型の製品の販売が主流でしたが、ネットワークソリューションの製品のクラウド化や、クラウド製品であるセールスDXソリューションの成長に伴い、当社事業のビジネスはリカーリング型のビジネスモデルに移行しております。
売上は、新規顧客獲得と既存顧客の契約継続等に大別されます。リカーリング型のビジネスモデルへの移行に伴い既存顧客の契約の継続による売上の比率が拡大してまいります。成長性を向上させるためには、新規顧客の獲得とともに既存顧客の契約の継続率の向上が重要となります。
市場ニーズを的確に捉え、自社開発にて製品化し、提案していくというサイクルを高速で回すことにより常にニーズを捉えた製品をスピーディーに顧客に提供していくことが可能となり、新機能、新製品を開発提供することで事業領域を拡大し、新規顧客の獲得、既存顧客の契約の継続率の向上、契約単価のアップを図り成長を加速させてまいります。
既存顧客の契約の継続率の向上、すなわち、顧客に当社の製品を利用し続けて頂くためには、顧客において当社製品を、より効果的に利用して頂くことが重要となります。そのために、導入支援や運用支援等のオンボーディング支援を行い顧客の満足度の向上を図っております。
このようなカスタマーサクセスの強化を図り、既存顧客の契約の継続率を高めてまいります。
リカーリング型のビジネスモデルへの移行に伴い、既存顧客の継続利用が高まることで、長期的に安定的な収益の確保が可能となり、開発費用等の固定費の売上全体に対する比率を低減させ、利益率の向上を図ってまいります。また、売上を意識した営業費用、広告宣伝費等の顧客獲得費用のコストコントロールを実施することで、利益率の向上を図ってまいります。
安定した利益を継続して確保しているネットワークソリューションを主軸に、セールスDXソリューションの成長を加速させ、AIデータエントリーソリューションの新技術となるダブルAI OCR(注)の売上拡大を目指してまいります。
世の中のクラウド化の流れの中、当社においても全ソリューションでクラウド化対応しており、オンプレミス型で提供している製品においても、クラウド型製品を開発し、提供形態の拡大を図ってまいります。これにより、導入可能な企業等の業種、規模などを、さらに拡大してまいります。
(注) ダブルAI OCRとは、異なった機械学習方法により特性の異なる2つのAI OCRを搭載したものです。
IT資産管理市場では、リモートワークの拡大・定着に伴い、社外に持ち出されるPC等の数が増えており、これらのIT資産を管理する必要性が高まっています。社内のネットワーク環境の外にあるIT資産の管理にはクラウド環境が適しているため、IT資産管理ツールをクラウドサービスとして採用・運用する顧客が増加しています。
ネットワークセキュリティビジネス市場の中で、当社が最も注力している市場は、IT資産管理ツールのクラウドの市場になります。株式会社富士キメラ総研「2023 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧」によると、端末管理・セキュリティ管理ツール市場(IT資産管理ツールと同義になります)は2022年度に321億円の市場規模であり、2023年度には348億円の見込みとなっています。また、同市場のうちクラウドの市場は2022年度に68億円の市場規模であり、2023年度には95億円の見込みとなっています。
当社のクラウドサービスも、2018年のサービス提供開始以来、毎年顧客数が増えており、ネットワークソリューションの売上に占めるクラウド売上の割合も、2022年3月期の15.2%に対して、2023年3月期は24.9%と拡大しています。
「AssetView」はオンプレミス型とクラウド型を提供しておりますが、クラウド型を検討・導入する顧客が増加しており、市場動向においてもクラウド型の伸び率がオンプレミス型の伸び率より高くなっています。このような市場動向や顧客のニーズを踏まえ、クラウド型の継続的な提案及び新ブランドである「AssetView Cloud+」の投入や、ネットワークセキュリティ市場における事業領域の拡大等により売上拡大を図ることを基本方針としております。
地方公共団体に関しては、2020年12月に総務省が公表した「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に準拠したクラウド型資産管理ツールの提供を行ってまいります。また、2021年5月に文部科学省が公表した「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」にて提示された教育委員会におけるクラウド型の活用に合わせて、IT資産管理のクラウド型への提案を促進してまいります。
また、民間企業に関しては、「AssetView」の特徴と、コンサルティングサービスや運用支援サービスを生かして新規顧客獲得を行うと共に、オンプレミス型を利用している既存顧客のクラウド型への移行を促進してまいります。
これにより、リカーリング型のビジネスモデルへの移行を促進してまいります。
当ソリューションはリカーリング型のビジネスモデルが主であり、安定的かつ継続的な収益獲得が可能な収益モデルとなっております。また、法人営業の営業活動を支える3つの領域「名刺管理」「SFA/CRM」「MA」を統合し、一つの製品で実現できる競合優位を有しております。
さらなる事業成長のため、以下に取り組んでまいります。
顧客のニーズを捉え、その課題を解決することにより名刺管理やSFA、新規顧客開拓ツールなどの新製品を提供し営業支援の領域で事業を拡大してまいりました。
今後は、さらに営業職を深く掘り下げ業種特有のニーズや営業手法(新規開拓営業やルート営業等)ごとのニーズなど、専門性の高い製品を提供することで更なる事業領域の拡大を図ってまいります。
新規顧客獲得のため、新たな販売チャネルを開拓し、販路拡大を図ってまいります。業種や事業規模などの顧客特性に応じて最適な販売代理店や仲介パートナーと協業し顧客との接点を増やしてまいります。また、OEM提供など販売代理店の販売施策に合わせた製品提供を実現することで、様々な販売チャネルとの連携を図り、売上拡大を図ってまいります。
※OEM:OEMとは、Original Equipment Manufacturingまたは Original Equipment Manufacturerの略語で、委託者のブランドで製品を生産すること、または生産するメーカーのことです。
顧客の個別ニーズに合わせてカスタマイズしたサポートを提供するために、専任担当者が顧客のビジネス状況を理解し、中長期的な伴走支援を行います。これにより顧客満足度を向上させ、顧客の成功を最大化し、継続利用率の向上を図ります。
官民問わず様々な分野で政府主導によるDXが推進されており、その対応の第一歩として情報を「紙で管理する」のではなく、「デジタルで管理する」ことが求められており、紙のデータ化に貢献するOCRの市場は拡大していくと考えております。
情報管理の問題や処理スピードの観点からオンプレミス製品においても、引き続きニーズは多く、「AnyForm OCR」においては、安定した売上の獲得を目指してまいります。
また、2021年に製品リリースした高いクラウド化のニーズに対応した「WOZE」は、OCR結果の人手による確認を顧客ではなく、当社が行うという新しいサービス形態によりOCR製品市場からBPO(注)事業者をターゲットとしたデータエントリー市場全体へ事業領域の拡大が可能となり、これにより売上成長を目指してまいります。
(注) Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略であり、企業活動における業務プロセスの一部を一括して専門業者に外部委託すること意味します。
当社が対処すべき主な課題は以下の通りと認識しております。
当社においては、最も重要な資産は人材であるとの考えのもと、当社の継続的な成長のためには、営業、開発、カスタマーサクセス、管理の各部門において優秀な人材を確保することが重要と考えております。そのためには、当社のミッションに共感し、高い意欲をもった人材を採用するとともに教育体制の強化、従業員へのミッションの浸透、資格取得支援などにより人材の定着率の向上に努めてまいります。
当社においては、顧客の事業に貢献できる優れた製品を継続的に提供することが、事業成長において重要と考えております。顧客ニーズを的確に掴むマーケティング力の強化、そのニーズを高品質かつスピーディーに開発する開発体制の強化をすることにより、ニーズを捉えた新機能の開発及び機能の向上を行い製品力の強化を図ってまいります。
継続的な事業成長のためには、新規顧客の獲得が重要と考えております。そのために、セミナーの実施や各種プレスリリースの公表、展示会への出展等でリード(見込み客)を獲得し、案件の創出から成約までの商談ステージの管理を行う等、営業戦略及び体制の強化を図ってまいります。
当社の製品は「オンプレミス型」と「クラウド型」が混在しておりますが、収益構造としては、リカーリング型のビジネスモデルが主軸となっております。そのため、カスタマーサクセスを強化することにより、新規顧客に対する製品の導入サポート、既存顧客に対する運用サポートを充実させ、製品の利用率の向上を図り、より有効に当社製品を活用して頂くことで、取引を継続して頂くことが重要と考えております。その指標となるチャーンレートを一定以下にすることを目指しております。
当社は、個人情報など重要な情報を取り扱っております。これらの情報資産の管理の徹底が製品の信頼性を担保するためには必須であります。そのために、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及びPマークの取得、これらに対する社員への継続的な研修や試験を実施することで、情報セキュリティ体制の強化を図っております。
当社の企業理念を実現し、継続的な事業成長を行っていくために、コーポレート・ガバナンスの強化を図り、リスクマネジメントによる守りと同時に攻めを強固にし、同時に迅速な意思決定ができるように、経営基盤を強化してまいります。監査役並びに内部監査による監査を適切に行うことや社外取締役を2名体制にすることにより、経営陣や業務執行に対する適切な監督体制を整備し、コーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。
当社においては、安定的に利益を計上してきたこと、また、売上金について前受で受取ることが基本となることから、有利子負債はなく、手許資金も十分確保しているため、財務基盤は安定していると考えております。クラウド型製品の提供、顧客のサーバーにおいて稼働するオンプレミス型製品の保守サービスにおいて、製品及びサービスの提供ができなくなる可能性は非常に低いですが、災害等の想定外の事態が発生し、製品及びサービスの提供ができない場合に備え、流動比率の確保に注力してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社では、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化し、代表取締役社長若山大典がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。
また、取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。経営会議、リスク・コンプライアンス委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社のサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等について審議・監督を行っております。
当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
当社において、最も重要となる資産は人材と考えております。継続的な事業成長のためには、営業、開発、カスタマーサクセス、事業戦略、管理のいずれの業務領域においても優秀な人材を採用し、育成することが重要となる認識のもと、人材育成を行っております。具体的には、獲得した人材が必要なスキルを身に着け、能力を常に高める自律的なキャリア構築を組織として支援するため、半年ごとの個人目標設定時にチャレンジシートとして、今後のキャリアプランを記載し、能力開発目標を設定して、上司と合意することで組織としてキャリアプランの実現を支援する体制を構築しております。その能力開発目標に対する結果は人事考課の能力開発項目に反映し、その成果に応じ、昇給・昇進や報酬等の処遇に反映できるよう人事制度を構築しております。
また、組織に不足するスキル・専門性の獲得を社員に促すに当たって、資格合格報奨金制度を構築し、その成果に応じ、報奨金を支給することにより、スキル・専門性知識の獲得を支援しております。また、組織力の向上を目指し、社内管理職研修を実施し、マネジメントスキルおよび部下育成の統一化を図ると共に管理職の育成に努めております。
継続的な事業成長のためには優秀な人材の能力を最大限発揮できることが重要であります。そのため、専門性や、経験、感性、スキルを活かし、性別や年齢などに関係なく様々な人材が能力を発揮するための環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲をもって活躍する活力ある組織の構築を推進していくとともに、優秀な人材を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として期待できる中途採用及び業界未経験の第二新卒採用も積極的に行っております。具体的には以下の環境を整備しております。
継続的な事業成長のため、女性活躍を促すことに加え、多様な知識・経験を持ったキャリア採用を行い、事業成長に必要とするための登用すべき地位・役職のレベルについても、その能力がもっとも発揮される人員計画の基で採用を実施しております。
また、従業員エンゲージメント、ウェルビーイング、従業員の定着率を向上させるため、ワークライフバランスを整えながら、従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる環境の整備に努めてまいります。具体的には以下の環境を整備しております。
ワークライフバランス向上のために、フレックスタイム制を活用できる環境を整備し、運用しております。
コロナ禍を契機に、組織と個人の生産性を維持・向上させるべく、コミュニケーションツールのデジタル化、社内決裁のデジタル化を実施し、エンジニアを中心にリモートワークに対応しております。
当社において、全般的なリスク管理は、取締役会において行っておりますが、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、リスク・コンプライアンス委員会の中でより詳細な検討を行い、共有しております。優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社に与える財務的影響、当社の活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえ行われます。重要なリスクは、経営会議の協議を経て戦略、計画に反映され、取締役会へ報告・監督されます。
サステナビリティに関するリスクへの対応状況は、リスク・コンプライアンス委員会においてモニタリングされ、その内容は取締役会に報告されます。
サステナビリティ関連の機会の識別、評価や優先順位付けは、リスク・コンプライアンス委員会において行われ、重要と認識された機会については、経営会議の協議を経て、戦略、計画に反映され、取締役会へ報告・監督されます。
なお、人材の確保に関するリスクの内容については「
当社では、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断上重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しています。当社はこれらのリスクの可能性を十分認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針です。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。当社はこれらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制概要及び当該体制を採用する理由」に記載のとおり、リスク・コンプライアンス委員会にて各リスクの予防策及び発生した場合の対応策を検討しております。
DX化が進み、システム環境のクラウド化が進む中、当社の製品に対する市場ニーズは今後も大きく拡大すると考えておりますが、IT業界は変化が激しく、技術革新や企業のビジネスモデルの変化などにより市場ニーズの方向性が大きく変化する可能性があります。その変化によっては、当社製品への市場ニーズが減少し、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、カスタマーサクセス及び営業の強化を行い、適時に顧客のニーズを捉えるとともに、マーケティングにも注力することにより、市場のニーズ及び業界の動向を敏感に察知し、早期に対応してまいります。
当社において、最も重要となる資産は人材と考えております。継続的な事業成長のためには、営業、開発、カスタマーサクセス、管理のいずれの業務領域においても優秀な人材を採用し、育成することが重要となります。予算策定、中期経営計画策定においても、人員計画は重要な要素であり、採用が計画通り進まない場合や想定以上の退職者が発生するなどにより計画通り人材が確保できない場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
近年、日本においては、エンジニアの人材が不足し、採用が大変難しくなっております。そのため、自社製品を企画、開発し、顧客に届けるという当社の魅力を伝えるとともに、エンジニアのロードマップを描くことでキャリアビジョンを明確にし、また、リモートワークの導入など多様な働き方を提供することで、採用を強化してまいります。それと同時に「組織を強くするIT環境をすべての人へ」というミッションを社内において継続的に浸透させモチベーションを高め、研修の充実、資格取得支援などを図ることで従業員定着率を高めてまいります。
当社の事業においては、いずれのソリューションにおいても、競合他社が存在しております。当社においては、他社にない製品機能や品質、またスピーディーな機能追加やクラウド化対応、導入しやすい価格設定などにより競合他社との差別化を図り優位性を有していると考えております。しかしながら、特出した機能的優位性をもった製品の新規参入や極端に安価な価格設定により競争が激化した場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
他社の状況をモニタリングするとともに、市場に必要とされる製品を継続的に開発していくことで、当社の優位性を確保してまいります。そのために、カスタマーサクセス及び営業を強化し、常に顧客ニーズを掴むことで市場ニーズへ適切に対応してまいります。
当社製品の多くは、クラウド環境で提供しております。そのため、クラウドサービス及びネットワークの安定稼働が当社製品の利用においては、必須となります。そのため、不測の事態や災害等でクラウドサービスやネットワークに長期の障害が発生した場合には、当社製品の利用に支障が出る可能性があり、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
クラウドサービスの保証レベルは高く、バックアップ体制もあることから障害によりサービス停止になる可能性は低いと考えておりますが、当社ではシステムの稼働状況の監視体制の整備、外部からの攻撃に対するセキュリティ体制の整備を行うことで、障害発生の防止及び発生時の影響の最小化に努めております。
当社製品の開発においては、開発体制を整備し、品質管理の部署を独立させ十分なテストを実施するなど、製品の品質管理を徹底しておりますが、想定外の障害、不具合等が発生し、大規模なシステム障害となった場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、不具合等によるシステム障害に備え、障害対応やサポート体制の整備を行っております。
当社が属するIT業界においては、技術革新のスピードが速く、想定以上の技術革新により新技術等が開発され、当社がそれらに対応できなかった場合には、顧客を失うなど当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においても、研究開発を行う部署を設置し、モニタリングを行うなどリスクの低減に努めております。
当社では、製品開発において、一定の割合で、オフショア開発となる海外のシステム開発会社への業務委託を行う方針をとっております。現在、委託先は多くないため、特定の委託先への依存度が高くなっております。そのため、何らかの理由による委託先との取引中止や委託先の倒産等などにより委託できなくなった場合、計画通りに製品が開発できず、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、継続的に委託先の拡大を検討し、リスクの低減に努めてまいります。
当社製品は、名刺情報等の個人情報等を取り扱っております。そのため、万一、情報漏洩が発生した場合には、当社に対する信用力の低下による収益の減少、損害賠償請求等が発生する可能性があります。この場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及びPマークを取得し、内部管理体制を整備することで、情報漏洩防止の対策をとっております。また、当社の製品の機能としても個人情報漏洩対策機能を装備しております。
当社の製品においては、OCR技術、オンライン名刺交換、暗号化技術などにおいて特許権を取得し、当社の技術を保護しておりますが、それらの特許権を侵害されるリスクがあり当社の技術が流用されるリスクがあります。また、当社が製品開発時等に、第三者の特許権を侵害するリスクがあります。これらが発生した場合は、収益の低下や損害賠償請求される可能性があり、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、特許権が侵害されるリスク、侵害するリスクを排除するために、特許権についてのモニタリングや調査を実施し、必要に応じて弁理士等に相談を行っております。これによりリスクの低減に努めております。
当社は、開発した製品を一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に則り、製品開発計画、開発工数、資産グループでの獲得見込みのキャッシュ・フロー等を勘案し資産としてソフトウェア計上しております。そのため、開発内容や開発工数によって、資産化額が増減し当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、「固定資産の減損に係る会計基準」に規定される固定資産の資産グループのキャッシュ・フローの状況によっては、ソフトウェアに対して、固定資産の減損リスクが発生する可能性があります。減損の測定の結果、減損損失が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ソフトウェアとしての資産計上額及び固定資産の資産グループの業績を、月次で把握し、固定資産の減損の兆候を見逃さないように管理してまいります。また、減損の兆候がある場合には、予算修正等の対応を適切に行ってまいります。また、ソフトウェアとしての資産計上についても、月次で把握し、予算との乖離等の把握、分析を行っていくことで対応してまいります。
当社の代表取締役社長であり、かつ大株主である若山大典は、長年にわたり当社の経営に関わり、当社の経営方針の決定、事業戦略の決定において大きな役割を担っております。何らかの理由により若山大典が当社の業務を遂行することが困難になった場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、経営会議や取締役会の適切な運営により組織的な経営の実効性を高めるとともに、役員の役割分担の明確化、マネジメント層の育成による権限移譲を図ることにより上記リスクを低減しております。
当社の今後の継続的な事業成長、企業価値の向上のためには、内部管理体制を強化し、コーポレート・ガバナンスを構築する必要があります。事業拡大に内部管理体制の整備が追いつかない場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では職務権限の明確化、稟議等の承認体制の徹底、規程等の整備及び社員への周知、内部監査体制の構築などを行うことにより内部管理体制の強化に努めております。
当社においては、様々の顧客との取引や契約におけるリスクヘッジ、法令や契約を遵守した高品質な製品の開発、社内の倫理規則の徹底などのために、コンプライアンス体制を構築することが重要であると考えております。コンプライアンス上の問題が発生した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社ではリスク・コンプライアンス委員会を設置し、リスクのモニタリングを行うとともに、リスクが発生した場合には適時に対応できる体制の整備に努めてまいります。
また、コンプライアンス研修を実施することにより役社員の意識向上を図っております。
当社は、「個人情報の保護に関する法律」「下請代金支払遅延防止法」「電気通信事業法」「特許法」などの法令の規制を受けております。また、準委任契約を締結している委託先があり、当該契約形態については偽装請負と誤認されるリスクがあるため、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に抵触する可能性もあります。適用法令が多くないことから、法令に抵触する可能性は低いと考えておりますが、法令等の変更などにより法令に抵触するような事態が発生した場合には、当社の信用力の低下に繋がるとともに、損害賠償請求等のリスクも発生し、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社において、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及びPマークを取得し、社内管理体制の徹底、社員への教育を実施することで、個人情報保護に努め、「下請代金支払遅延防止法」については、対象企業の一覧を作成・管理し、法令の遵守を徹底しております。「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」について、運用ルールの確立、ルール実施に対するモニタリングを実施しております。
また、法令の改定等については、顧問弁護士との連携により適時に把握するように努めております。
当社は、当社の健全な経営と社会的信頼の向上を図ることを目的として、従業員及び役員に対して業績向上、事業成長に対する意欲及び士気向上のために新株予約権を発行しております。本書提出日現在、発行済株式総数4,310,000株に対する割合は2.9%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式の価値が希薄化する可能性があります。
大規模な自然災害が発生した場合には、事務所等の倒壊、サーバー等の破損等を被る可能性があります。
そのため、事務所の耐震性の確認、食品の備蓄、従業員の安否確認サービスの導入、事務所以外の業務場所の確保のためのリモートワーク対応、地方事務所の設置による分散BCPの作成などの対応をしております。しかしながら、想定以上の災害、予期せぬ事態が発生した場合には、十分な対応ができず、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、現在、業績に影響を及ぼすような訴訟等はありません。しかしながら、今後、何らかの事情により訴訟、係争が発生した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、コンプライアンス研修等の実施により、社員の法令に対する認識を徹底し、まずは、訴訟、係争が発生するリスクを軽減するとともに、顧問弁護士及びセカンドオピニオンを可能にするべく顧問弁護士以外の弁護士とも連携をとることにより、迅速な対応がとれる体制を構築しております。
当社では、クラウド型製品において、Amazon Web Services等のクラウドサービスを利用しております。また、一部開発を海外の企業に委託しております。クラウド利用料は原則として米ドル建てで計算されるため、為替相場の変動により当社の費用が変動する可能性があります。また、海外の開発委託先においては、基本的には円建て支払いではあるものの、円安となった場合には、値上げとなる可能性があります。そのため、為替相場が円安となった場合には費用が増加する可能性があります。
そのため、円安が長期に拡大した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、一定の米ドル金額に対して、為替予約を実施しております。これにより、支払いレートの固定化をし、費用額の変動を抑えております。また、為替相場を継続的にモニタリングし、状況に応じて、為替予約の追加や、クラウドサービス自体の取引条件の見直しを行うことにより費用の変動を抑えてまいります。
当社では、事業成長のための製品開発や新たな事業領域への投資のために、内部留保資金の充実を図るとともに、株主に対する利益還元を実施することも重要と考えております。当社においては、安定的に利益を計上してきたことから、継続的に一定の配当を実施しております。
今後においても、一定の配当性向を確保し、配当を実施していく方針であります。しかしながら、業績の変動によっては、一定の配当を確保できない可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
第29期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べ809,577千円減少し、2,773,333千円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少1,106,129千円、予定納付法人税の一部が還付となったことによる未収法人税の増加140,987千円であります。
固定資産は、前事業年度末に比べ649,130千円増加し、1,809,961千円となりました。主な要因は、新製品の開発等に伴うソフトウェアの増加389,228千円、社債購入に伴う投資有価証券の増加387,215千円であります。
この結果、総資産は4,583,294千円となり、前事業年度末に比べ160,448千円減少いたしました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ468,566千円減少し、1,957,875千円となりました。主な要因は、主に納付による未払法人税等の減少519,464千円、新規受注が増加したことに伴う契約負債の増加107,022千円であります。
固定負債は、前事業年度末に比べ24,979千円増加し、1,119,600千円となりました。主な要因は、各従業員の勤務年数経過に伴う退職給付引当金の増加11,456千円、各役員の在任期間経過による役員退職慰労引当金の増加11,920千円であります。
この結果、負債合計は3,077,476千円となり、前事業年度末に比べ443,587千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ283,138千円増加し、1,505,818千円となりました。主な要因は、当期純利益の計上417,136千円、配当金の支払144,550千円であります。
第30期第3四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べ360,004千円増加し、3,133,337千円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加416,153千円、1年以内償還予定社債の振替による有価証券の増加92,642千円、還付に伴う未収還付法人税等の減少140,987千円であります。
固定資産は、前事業年度末に比べ133,550千円増加し、1,943,511千円となりました。主な要因は、新製品の開発等に伴うソフトウェアの増加172,561千円であります。
この結果、総資産は5,076,849千円となり、前事業年度末に比べ493,555千円増加いたしました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ148,315千円増加し、2,106,190千円となりました。主な要因は、未払法人税等の増加92,574千円、新規受注が増加したことに伴う契約負債の増加92,064千円であります。
固定負債は、前事業年度末に比べ19,218千円増加し、1,138,818千円となりました。主な要因は、各従業員の勤務年数経過に伴う退職給付引当金の増加31,420千円であります。
この結果、負債合計は3,245,008千円となり、前事業年度末に比べ167,532千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産は、前事業年度末に比べ326,022千円増加し、1,831,840千円となりました。主な要因は、四半期純利益の計上358,837千円、配当金の支払いによる減少74,808千円、その他有価証券評価差額金の増加41,993千円であります。
第29期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、原材料やエネルギー価格の高騰、世界的なインフレの進行抑制に対する欧米諸国での政策金利の引き上げに伴う大幅な為替変動等があり、先行き不透明な状況が続いております。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響によりテレワークが拡大し、デジタルトランスフォーメーション(DX)への機運の高まりによる営業DX化が中堅・中小企業においても徐々に浸透してきており、また、生産年齢人口の減少に伴うIT人材不足への懸念が増している状況において働き方も大きく変わり、出社する勤務形態が減少し、商談も対面からオンラインに移行し、新たなビジネス形態へと移り変わっております。それにより、一層の業務の効率化や様々なセキュリティ対策、業務の見える化、クラウド化などが求められ、DX推進という流れはさらに加速し、当社の提供サービスへの需要は、より一層高まっているものと認識しております。
このような経済環境の中、「組織を強くするIT環境をすべての人へ」を企業のミッションとして、IT資産管理やセキュリティ対策等に対するソリューションを提供する「ネットワークソリューション」、SFA/CRM、MA等の営業支援に対するソリューションを提供する「セールスDXソリューション」、OCR等によるデータエントリーに対するソリューションを提供する「AIデータエントリーソリューション」の3つのソリューションを軸に、開発及び販売を進めてまいりました。
当社はソリューション提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりませんが、各ソリューションにおける状況は以下のとおりです。
[ネットワークソリューション]
IT資産管理、PC更新管理、情報漏洩、セキュリティ対策などの機能を有する「AssetView」において、大手企業の導入が増加し、また、クラウド化のニーズが高まる中「AssetView CLOUD」の販売が好調なことから、新規売上は堅調に推移いたしました。また、導入後の支援を行うオンボーディングサポートや、継続的な運用支援を行うプレミアムサポート体制の整備等、サポート体制の強化により、既存顧客の保守契約の更新売上も堅調に推移いたしました。その結果、当ソリューションの売上は2,552,719千円(前年同期比108.2%)となりました。
[セールスDXソリューション]
営業の活動状況を可視化し、企業の売上・生産性向上を可能とするSFAの利用など、営業のDX化が中堅・中小企業においてもニーズが拡大している中、OEM提供製品の堅調な伸びなどからSFAの新規売上が好調に推移致しました。また、継続的なカスタマーサクセスの体制強化等により既存顧客の契約更新が順調に進み既存顧客売上も堅調に推移致しました。その結果、当ソリューションの売上は964,453千円(前年同期比113.7%)となりました。
[AIデータエントリーソリューション]
マークシート入力製品、OCR製品「RightFax」のリプレイスや新規導入による売上が堅調に推移いたしました。また、当事業年度において、データエントリー業務をクラウドサービスとして提供する「WOZE」のダブルAI OCRバージョンをリリースしております。その結果、当ソリューションの売上は476,606千円(前年同期比108.6%)となりました。
以上の結果、当事業年度における当社全体の売上高は3,993,779千円(前年同期比109.5%)となり、製品開発に係る外注費は増加したものの、クラウド利用料などの見直しによるコスト削減効果もあり、営業利益は508,053千円(前年同期比131.7%)となりました。また、為替差損32,748千円を営業外費用に計上し、経常利益は504,002千円(前年同期比123.2%)、当期純利益は417,136千円(前年同期比44.8%)となりました。
第30期第3四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
当第3四半期累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動規制の緩和と社会経済活動の正常化が進んだこと等により景気は緩やかに回復しているものの、資源・原材料価格の高騰と物価上昇、急激な為替変動などによる経済活動への影響が懸念され、先行き不透明な状況が続いております。
一方で新型コロナウイルス感染症の影響によりテレワークが拡大し、デジタルトランスフォーメーション(DX)への機運の高まりによる営業DX化が中堅・中小企業においても徐々に浸透してきており、また生産労働人口の減少に伴うIT人材不足への懸念が増している状況において、働き方も大きく変わり、出社する勤務形態が減少し、商談も対面からオンラインに移行し、新たなビジネス形態へと移り変わっております。それにより、一層の業務の効率化や様々なセキュリティ対策、業務の見える化、クラウド化などが求められ、DX推進という流れはさらに加速し、当社の提供サービスへの需要は、より一層高まっているものと認識しております。
このような経済環境の中、「組織を強くするIT環境をすべての人へ」を企業のミッションとして、IT資産管理やセキュリティ対策等に対するソリューションを提供する「ネットワークソリューション」、SFA/CRM、MA等の営業支援に対するソリューションを提供する「セールスDXソリューション」、OCR等によるデータエントリーに対するソリューションを提供する「AIデータエントリーソリューション」の3つのソリューションを軸に、開発及び販売を進めてまいりました。
当社はソリューション提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりませんが、各ソリューションにおける状況は以下のとおりです。
[ネットワークソリューション]
民間企業において、テレワークが多様な働き方の一つの形として定着しつつあり、社外にパソコン等のIT資産が存在する状態が定常化しています。これら社外のIT資産の管理の為に、IT資産管理ツールをクラウド環境で導入する企業が継続して増加しており、当ソリューションにおいてクラウドビジネスが拡大しました。
また、オンプレミス環境で導入頂いている既存顧客の保守も、継続的な運用支援を行うプレミアムサポート等により高い更新率を維持し堅調に推移いたしました。その結果、当ソリューションの売上は1,935,477千円となりました。
[セールスDXソリューション]
新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和などにより、企業同士の対面の機会が増加し、それに伴い、名刺交換機会も増加傾向となっております。これにより、名刺データ化の需要が増加し、アップセルに寄与しております。また、営業の活動状況を可視化し、企業の売上・生産性向上を可能とするSFAの利用など、営業のDX化が中堅・中小企業においてもニーズが拡大している中、SFAの新規売上、SFAへのプラン変更によるアップセルが堅調に推移致しました。さらに、既存顧客の契約更新も順調に推移致しました。その結果、当ソリューションの売上は874,975千円となりました。
[AIデータエントリーソリューション]
既存製品である「AnyForm」において、注文書等のOCR処理のニーズは継続的にある一方、マークシート入力製品、OCR製品「RightFax」のリプレイスや新規売上が伸びませんでした。その結果、当ソリューションの売上は298,192千円となりました。
以上の結果、当第3四半期累計期間の業績は、売上高3,108,645千円、営業利益451,256千円、経常利益514,578千円、四半期純利益358,837千円となります。
第29期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ1,106,129千円減少し、2,034,877千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は252,417千円(前年同期は1,064,101千円の資金の獲得)となりました。これは、主に増加要因として税引前当期純利益614,592千円(前年同期比739,769千円減少)、契約負債の増加額107,021千円(前年同期比144,461千円減少)等があった一方で、減少要因として保険返戻金99,743千円(前年同期比842,663千円減少)、法人税等の支払額804,239千円(前年同期比811,733千円増加)等があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は731,427千円(前年同期は750,712千円の資金の獲得)となりました。これは、主に増加要因として保険積立金の解約による収入131,735千円(前年同期比973,892千円減少)等があった一方で、減少要因として投資有価証券の取得による支出494,785千円(前年同期比494,785千円増加)、無形固定資産の取得による支出408,107千円(前年同期比94,475千円増加)等があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は127,368千円(前年同期は73,986千円の資金の獲得)となりました。これは、主に増加要因として自己株式の処分による収入17,181千円(前年同期比28,547千円減少)等があった一方で、減少要因として配当金の支払額による支出144,550千円(前年同期比139,839千円増加)等があったことによります。
当社はソリューション提供事業の単一セグメントであり、セグメント別の記載は行っておりませんので、ソリューション別に記載を行っております。
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当するものがないため記載を省略しております。
第29期事業年度及び第30期第3四半期累計期間における受注実績は次のとおりであります。
第29期事業年度及び第30期第3四半期累計期間における販売実績は次のとおりであります。
(注) 主要な販売先の記載については、総販売実績に対する販売先別の販売実績割合が100分の10未満のため記載を
省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表を作成するにあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
第29期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(売上高)
売上高の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は2,214,287千円(前年同期比112.0%)となりました。これは主に、事業規模拡大に伴う人件費及び外注費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,779,492千円(前年同期比106.6%)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は1,271,438千円(前年同期比99.0%)と前年度と同程度の水準となりました。この結果、営業利益は508,053千円(前年同期比131.7%)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は、受取利息などにより30,570千円(前年同期比117.3%)となりました。営業外費用は、為替差損などにより34,621千円(前年同期比1,286.5%)となりました。この結果、経常利益は504,002千円(前年同期比123.2%)となりました。
(特別損益、当期純利益)
保険返戻金99,743千円等の計上があり、税引前当期純利益は614,592千円(前年同期比45.4%)となりました。また、法人税等合計197,455千円を計上しました。この結果、当期純利益は417,136千円(前年同期比44.8%)となりました。
第30期第3四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
(売上高)
売上高の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は1,688,315千円となりました。主な内容は人件費、外注費及び経費になります。この結果、売上総利益は1,420,329千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は969,073千円となりました。主な内容は人件費、広告宣伝費になります。この結果、営業利益は451,256千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は65,679千円となりました。主な内容は受取利息、為替差益になります。営業外費用は上場関連費用、支払利息の計上により2,358千円となりました。この結果、経常利益は514,578千円となりました。
(特別損益、四半期純利益)
投資有価証券償還差益17,599千円の計上があり、税引前四半期純利益は532,177千円となりました。また、法人税等合計173,339千円を計上しました。この結果、四半期純利益は358,837千円となりました。
財政状態の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりです。
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社の資金需要として主なものは、事業の拡大に伴う人件費及び外注費、顧客獲得や認知度向上のための広告宣伝費等です。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。また、流動性確保のため、250,000千円の当座貸越契約を締結しております。
当社の事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
該当事項はありません。
第29期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
研究開発の主体は、当社の総合技術支援室になり、将来を見据えた研究開発や新製品の開発が重要な課題であると考え、中長期の競争力確保につながる研究開発及びノウハウの蓄積を継続的に行っております。当事業年度における研究開発費の総額は、
なお、当社はソリューション提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第30期第3四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
研究開発の主体は、当社の総合技術支援室になり、将来を見据えた研究開発や新製品の開発が重要な課題であると考え、中長期の競争力確保につながる研究開発及びノウハウの蓄積を継続的に行っております。当第3四半期累計期間の研究開発費の総額は、
なお、当社はソリューション提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。