当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「Will=未来形・意思」×「Smart=高性能・賢明な・最新流行の」を経営理念に掲げ、成長を実現する強い意志をもち、テクノロジーの可能性を追求して社会の発展に貢献する未来志向のチームでありつづけることをビジョンとしております。
(2)経営環境
新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークなどの新しい働き方や非接触システムなどが広まり、デジタル化・DX化への関心が高まる中、IT人材の不足は深刻な状況となっております。また、老朽化・複雑化・ブラックボックス化したレガシーシステムに資金・人材が割かれ、戦略的なIT投資に予算が回らないことで、変化する市場・業界に対応できず経済損失リスクも懸念されております。
このような中、コロナ禍を契機としてDX化の遅れが認識され、DX化への様々な課題を解決するニーズは高まっております。DX市場の国内における規模は、2022年度の2兆7,277億円から2030年には6兆5,195億円まで拡大するとの予測もあり、国内におけるDX化は加速化すると考えられております。(出展元:富士キメラ総研、2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望)
また、当社の主な顧客であるモビリティ業界のDX化では、危険運転や交通事故の防止、安全な輸送サービスの実現に向けた投資や、AIなどの先端技術の活用により、ユーザーの利便性を高める投資が増えていくと共に、国・地方自治体は地方交通の再編及び地域課題を解決するための新たな施策に取り組むと考えており、営業活動に注力しております。
その他、モビリティ業界では、脱炭素社会などESGの取組みの中で、ガソリン車から電気自動車(EV)への転換、クリーンな再生可能エネルギーの利用やシェアリングサービスなどが注目されております。ESGとDXは異なるトピックとしてとらえられることが多いですが、ESGの取組みを行いながら持続的な成長を行うには、システムの導入だけでなく、業務フローの改善が必要になってきます。そこで有効なのがITによる業務のDX化であり、特に気候変動の目標を達成するためにはDXやITの活用がかかせないものと当社は認識しております。
当社は、これまでモビリティ業界の顧客と直接関係を構築し取引することで最新の業界知見を得ることができ、顧客事業の高い理解と課題解決提案の精度向上を実現してまいりました。これにより独自のポジショニングを築きつつ、競争優位性を高めております。
当社は、「第1 企業の概況 3事業の内容 (3)ソリューションごとの特長」に記載のソリューションによりESGとDXを同時に実現できる、知見・技術を有しております。
このような環境のもと、当社は社会の課題解決することを通じて、事業規模の拡大及び企業価値の向上を目指し、以下を経営戦略としております。
(3)経営戦略等
当社は、モビリティ業界を中心として以下の方針及び4つの経営戦略を考えております。なお、インポートビジネスについては、事業を撤退する方針を決定しております。
・方針
当社は新技術を活用し、都市や地域の抱える労働力人口の減少や地方公共交通の再編などの地域課題とそれらから派生するDXニーズの高まりなど、深刻化する社会課題の解決のためのソリューション提供を推進してまいります。これらの課題解決のためには、顧客企業のみならず、国や地方自治体などの行政においても、データに基づいた施策立案や公共交通の再編と運営維持、安全対策等における省人化や環境に優しい交通手段の構築が必要と考えており、各クライアントのDX支援、EV関連サービスの開発及びデータ分析支援を行っております。
当社は引き続き、モビリティ業界での業容拡大実現のために、これまでの知見を活かし、交通モビリティ、観光地域活性化、都市計画整備、防災、環境エネルギー、セキュリティ等の幅広いフィールドにおいて新たなソリューションの構築と顧客基盤の拡充に取り組んでいく方針であります。
・経営戦略
①事業基盤の強化
当社は、顧客企業との直接取引を通じ、実績を増やすとともに、業界理解の深化と業界特有の技術やノウハウの蓄積を行ってまいりました。業界理解が進むことで、新たな種類の課題解決施策や事業展開の提案が可能となり、その後の継続的な受注にも繋がってまいります。
今後も、営業人員を増やし顧客との直接的な関係構築を行う機会を増やすことで、技術とノウハウの蓄積を拡大するとともに、マーケティング施策による潜在的な顧客層の発掘を行ってまいります。また、開発体制においても、従業員の能力及び技術の向上やプロダクトマネージャーの採用強化を実施するとともに、小規模なシステム開発会社の買収なども視野に入れ、営業・開発の双方において、事業基盤の強化を図ってまいります。
②事業領域の拡大
当社はこれまで、カーシェアリング、鉄道、バスターミナルなど、モビリティ業界の各企業との取引や業務提携を通じ、独自のノウハウを培ってまいりました。昨今、地域交通の再編に伴い、ライドシェアのような新しい政策的な取組の必要性が高まる中、従来の顧客企業のみならず、国や地方自治体との直接的な取組や連携を積極的に図っていくことで、地域交通におけるMaaSを実現するための新たなビジネス形態へ事業領域を拡大してまいります。
③プラットフォームの機能拡大
当社のプラットフォームは、これまで開発したソリューションの知見を活用し、各々の機能パッケージを一般化して強化を図り、汎用展開を可能としてまいりました。今後も当社の収益基盤の一つとして、ライドシェアやEV充電などの業務領域における機能パッケージの追加を重ね、独自プラットフォームの機能拡大を図ってまいります。
④販売パートナーによる販売拡大
当社の受託開発案件は、主に顧客と直接取引を行うことを強みとしておりますが、他方で、当社サービスの一部をパッケージ化することにより、販売パートナーによる汎用的な販売展開も可能としております。今後は、当社従業員の営業のみならず、販売パートナーを通じたサービス提供の体制を強化することで、販売パートナーの営業力と販売ネットワークにより、パッケージ商材の販売拡大を図ってまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標
当社は、社会の課題解決のため、ソフトウエアの開発やハードウエアの提供などを継続的に行うには、経営の安定性と成長性のバランスが重要になってくると認識しております。このため、ハードウエアの提供及びソフトウエア開発案件の受注により計上される売上であるショット売上と毎月の保守・運用・システム利用料から得られるストック売上を重要指標としております。しかしながら、当社は成長途中であることから、現時点ではショット売上の増加を目標とすることでアカウントが増加し、ストック売上も増加すると考えております。
また、収益性を測るための経営指標として売上高営業利益率も重要と考えております。
当社では、ショット売上、ストック売上および売上高営業利益率に着目することで、高い成長と安定した経営を目指してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、新型コロナウイルス感染症拡大やウクライナ情勢の影響及び円安による物価上昇等により顧客の事業環境が悪化し設備投資が控えられたことから、当社への発注が減少した結果、2023年3月期において売上高が減少し、重要な営業損失及び当期純損失を計上しております。
これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当社は、当該事象等を解消するために、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (1)事業上のリスク⑨継続企業の前提について」に記載した対応策の実施により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
また、当社が安定的な収益基盤のもと継続して成長できるように以下の重要課題に取り組んでおります。
①人材の獲得と育成
当社は、事業の安定的・継続的成長のためには、当社の企業文化及び企業理念に合致した志向性を持ち、当社事業を今まで以上に拡大できる高い専門性を有する優秀な人材の確保が不可欠であると認識しております。そのため、優秀な人材の採用及び若手人材の能力及び技術の向上が重要な課題と考えております。
優秀な人材の確保と能力の底上げのため、今後もインセンティブプランの拡充や長期的なキャリアパスを見据えた研修制度の充実、教育体制の整備を進めていく方針であります。
②システムの強化
当社の展開する事業は、提供サービスの基盤をインターネット通信網に依存しているため、システムの安定稼働及びセキュリティ管理体制の構築が重要であると認識しております。当社事業の成長スピードや市場環境の変化に対応し安定した事業運営を行うためには、サーバー設備の強化、既存システムのバージョンアップ等による外部環境対応が必要となります。今後も、中長期的視野に立った設備投資を行い、システムの安定稼働及びセキュリティ管理体制の維持構築に取り組んでいく方針であります。
③組織体制の整備
当社が今後さらなる業容を拡大するためには、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、今後も業務運営上のリスクを把握してリスク管理を適切に行える体制整備に努め、財務報告に係る内部統制システムの整備をはじめとして、定期的な内部監査及び監査役監査の実施等により、コンプライアンス体制の維持強化やコーポレート・ガバナンス機能の充実等を図っていく方針であります。
④財務基盤の強化
当社は、継続的にサービスを提供していくとともに、既存サービスの機能改善や新規サービスの開発に取り組むために、手許資金の流動性の確保が重要であると認識しております。このため、金融機関との良好な取引関係の構築や一定の内部留保の確保を継続的に行い、財務基盤の強化を図ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社は、「ステークホルダーとの共創を通じ『デジタル社会基盤』の構築と発展に努め、社会生活の充実を実現する」を存在意義として掲げており、自らのアイデアとテクノロジーを活用し社会課題を解決する事業を展開しております。
継続的なサービス提供及び持続的な成長を通じ、社会生活の充実を実現するために、サステナビリティへの取り組みは重要な経営課題として捉えております。
(2) ガバナンス
当社では、代表取締役社長をサステナビリティ推進責任者とし、サステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有する立場になります。
現在「サステナビリティ」に関する組織は設定しておりませんが、今後サステナビリティ委員会等の設置並びに体制強化の検討を進めて参ります。
(3) 戦略
(4) リスク管理
当社において、全社的なリスク管理は、コンプライアンス・リスク管理委員会において行っております。サステナビリティに関するリスクの識別、評価、優先的に対応すべきリスクの絞り込み等はサステナビリティ規程に基づきリスク管理を行っております。
(5) 指標及び目標
当社では、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する指標について、具体的な取り組みを行っているものの、本書提出日現在においては、目標を設定しておりません。
今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、その進捗に合わせて目標の設定及び開示項目を検討してまいります。
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、下記のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。
当社はこれらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。なお、当社は適切なリスク管理を実施することで、以下のリスクの発生可能性を一定程度の低水準まで抑制できると考えており、これらのリスクが顕在化する可能性や時期、顕在化した場合に当社の経営成績等に与える定量的な影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため具体的には記載しておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業上のリスク
①経済動向について(顕在化可能性:低/影響度:大)
当社の提供するサービスは、BtoBサービスであるため顧客の投資予算に左右されます。このため景気低迷期においては、顧客業績の悪化に伴う投資予算削減の結果、受注案件数が減少する可能性があります。このような状況においては、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
特に、当社ショット売上高はハードウエア提供及びソフトウエア開発案件の受注ビジネスであり、当初想定した受注案件数よりも実際の受注案件数が下回る場合(想定以上の失注が生じる等)には、当社経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社では、当社を取り巻く事業環境等の動向に注視すること、ストック売上高の増加による安定的な収益の確保及び顧客層の拡大施策を実施することで、景気低迷期における財政状態及び経営成績に与える影響の抑制に努めております。
②個人情報の管理体制について(顕在化可能性:低/影響度:大)
当社が提供するサービスの中には顧客がサービスを通じて個人情報を取得するものがあり、そのシステムを管理する当社社員も個人情報を扱う場面があると認識しております。万が一、システムで保有する個人情報の漏洩が生じた場合には、当社ビジネスの根幹への信頼性が揺らぐため、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社では、収集したデータの社内での機密性確保並びに、漏洩防止施策として、情報に対する暗号化やアクセス制限等を行うとともに、個人情報保護規程等の整備、従業員に対する研修等を通じて情報漏洩リスクの回避に努めております。
③システムトラブルの発生リスクについて(顕在化可能性:低/影響度:大)
当社の事業は、提供サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。何らかの障害により大規模なシステムトラブルが顕在化し、復旧遅延が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社では、コンピュータウィルスへの感染、ネットワークへの不正侵入、サイバー攻撃等の妨害行為によるシステムダウン、大地震や火災等の自然災害発生によるシステム障害等、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステムトラブルを回避すべく、外部業者によるシステムサーバーの管理・監視体制の構築や、バックアップ等により未然防止策を実施しております。
④外注先の確保について(顕在化可能性:中/影響度:中)
当社は、システム開発の内製化を促進することで、外注の割合は年々減少しているものの、案件の集中状況に応じて、システムの設計、構築等について国内外のパートナーに外注を行うケースが存在しております。
現状では、有力なパートナーと長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、パートナーにおいて必要な技術力及び、技術者数が確保できない場合や外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供や積極的な受注活動が阻害される可能性があります。また、一部外注先については外注人員の先行確保を実施していますが、当社の受注が減少する局面においては外注人員の削減調整に一定期間を要することが想定され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、安定的な事業運営のため特定の外注先に依存せず、様々な外注先と取引関係にあることに加え、内製化の促進により、外注比率を下げることでリスク回避に努めております。
⑤特定業界への特化について(顕在化可能性:中/影響度:大)
当社は、主にモビリティ業界に所属する顧客向けに事業を行っており、当該業界へ特化することを強みとしておりますが、コロナ禍の様な人流抑制の風潮が蔓延すると公共交通系などにおいては、業績悪化に伴う投資抑制圧力がかかることが想定され、当社の財政状態及び経営成績に対して影響を及ぼす可能性があります。
当社では、ストック売上高の増加による安定的な収益の確保及び顧客層の拡大施策を実施することで財政状態及び経営成績に与える影響の抑制に努めております。
⑥特定の取引先への依存度について(顕在化可能性:低/影響度:中)
当社の売上高は、ENEOS株式会社への依存度が一定程度あり、2023年3月期における売上高の24.2%を占めております。今後何らかの理由で予想以上に減少した場合には、当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社では、継続的に取引を行うべく関係強化のため、資本業務提携を行うことでリスク回避に努めております。また、同社への依存度を下げるべく、他の取引先への販売強化を実施した結果、2024年3月期第3四半期においては売上高の9.0%まで減少しております。
⑦業績の季節変動について(顕在化可能性:中/影響度:大)
当社が提供するソリューションは、顧客のシステム投資予算並びに新製品開発予算の対象となる他、顧客企業の予算執行のタイミング、開発するシステムの工期や受託契約案件の外注費検収のタイミングとの兼ね合いから、第4四半期会計期間に売上計上や営業利益が偏重する傾向があります。
当社は開発標準を作成のうえ、タスク管理を可視化することで納期管理を徹底しておりますが、契約締結時期の遅れによる作業開始時期の遅延や、顧客都合による検収時期の遅延により、計画通りに売上計上ができない可能性があります。特に期末月の3月に予定されていた検収が翌期以降に遅れる場合には、当該期間の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
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第11期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
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売上高(千円) |
91,635 |
152,397 |
202,543 |
366,540 |
813,117 |
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営業利益又は営業損失(△)(千円) |
△124,389 |
△74,181 |
△63,699 |
82,353 |
△179,916 |
⑧競合他社の進出について(顕在化可能性:中/影響度:中)
当社では、デジタル技術やデータを活用することで、安定的な運用に加え、顧客の業務効率化や新規事業開発など新たな価値創出を支援しております。創業当時よりモビリティ業界に対してサービス提供を行ってきた経験を基に、顧客の課題解決・構想の実行を行うことでサービス価値の拡大に努めるとともに、業界での地位確立に努めております。当社が提供するソリューションは、IoT技術とWEBシステム構築技術を有していることに加え、業界特有の課題や特徴に対する業務知見を反映したソリューションを構築することで他社との差別化を図っておりますが、資金力、ブランド力を有する大手競合企業の参入等により、価格競争が一層激化し、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑨継続企業の前提について(顕在化可能性:低/影響度:大)
2023年3月期において、当社は重要な営業損失及び当期純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。また、第12期第3四半期累計期間においても、引き続き営業損失及び四半期純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。しかしながら、当社の取引金融機関と締結している当座貸越契約及び親会社である株式会社ゼンリンと設定している当座貸越枠により、必要な運転資金の確保に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しておりますが、当社としては、今後、十分な黒字の達成、市場からの資金調達額の確保及び金融機関との借入枠等により、株式会社ゼンリンとの当座貸越枠は不要となるものと考えております。ただし、こういった状況に至らず、かつ当該当座貸越枠が更新されなかった場合には、当社の財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、株式会社ゼンリンとの当該当座貸越枠については設定から当第3四半期会計期間末までにおいて利用実績はございません。
当社では、金融機関との関係強化により資金調達の安定化を図るとともに、営業体制の強化による既存取引先の維持拡大と新規取引先の獲得及び、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略等」に記載の各戦略に取り組むことで、経営の安定化に努めてまいります。
(2)法的規制等のリスク
①訴訟について(顕在化可能性:低/影響度:大)
当社は、本書提出日現在において業績に影響を及ぼす訴訟や係争は生じておりません。また、コンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図ることを目的に、リスク管理・コンプライアンス規程を整備し従業員へ周知することで、法令違反などの発生リスクの低減に努めております。
しかしながら、当社の提供するサービスの不備、当社が保有する個人情報及び顧客企業の内部情報などの機密情報の漏洩、第三者の不正アクセスによる情報流出等に関する訴訟を顧客から提起される可能性があります。これらの訴訟により、ブランドイメージを毀損し、事業活動や経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
②知的財産権管理について(顕在化可能性:低/影響度:中)
当社は第三者の特許権、商標権、意匠権等(以下、「知的財産権」という。)に抵触することを回避するため、事前の調査、検討及び評価等を随時実施しております。また、関係部署に所属する役員及び従業員に対して定期的な研修を実施する等、内部管理体制の強化に努めております。
これまで、著作権を含めた知的財産権に関しては、他社の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差止めの請求を受けたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないものと認識しております。しかしながら、当社の事業領域において第三者が保有する知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社が認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合には当社に対する損害賠償や使用差止め等が行われることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)組織体制等に関するリスク
①事業規模の拡大について(顕在化可能性:中/影響度:大)
当社の従業員は50名(2024年1月末現在)に留まっており、小規模会社であると認識しております。現状は本規模に合わせた社内管理体制を敷いておりますが、今後の成長に伴う事業規模の拡大によっては、以下のようなリスクがあるものと認識しております。
(a) 人材確保・維持について
当社事業の拡大に伴い、エンジニアの追加採用、サービスの販売を行う営業員の増強、管理部機能強化のための経営管理に特化した人材採用等が必要となる可能性があります。一方で、インターネット関連ビジネスにおいては人材の流動性が高いため、このような人材が機動的に確保できない場合や既存人員が退職してしまう可能性があると認識しております。計画どおりの人員が確保・維持できない場合は当社事業拡大の制約要件となり、当社の成長戦略ひいては財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社では、人材育成プログラムの確立や、十分なインセンティブプランの設定等により、人材の確保・維持に努めてまいります。
(b) 情報システムの拡充について
今後顧客の増加や提供サービスの拡充に伴って、サーバーへの追加投資等により当社のシステムインフラを増強する可能性があります。一般的に追加システム投資を行う場合や、新たなシステムへの切り替えを行う場合、バグや不具合の発生等により一時的に十分なサービス提供ができなくなることがあります。万が一当該システム拡充に際して提供サービスに不具合が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、十分な要件設計やテストの実施並びに必要に応じた並行稼働による対応等によって、そのような事象が生じないよう努めてまいります。
(c) 内部管理体制の充実について
当社は、当社の企業価値を最大化するためには、コーポレート・ガバナンスの充実を経営上の重要課題の一つであると位置づけております。今後、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じた場合には、適切な業務運営が困難となり当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社では、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、コンプライアンス研修の継続的な実施及び管理部門の人員補強を行うことによって、これらに係る内部統制が有効に機能する体制の拡充に努めてまいります。
②特定人物への依存について(顕在化可能性:低/影響度:大)
当社代表取締役社長である石井康弘は、当社の経営方針や事業戦略の立案及び決定における中核として重要な役割を果たし、新たな事業モデルの創出においても中心的な役割を担っております。当社は権限委譲等を行うことで同氏に依存しない経営体制の整備に努めておりますが、現状、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)親会社に関するリスク
①親会社が株主総会の決議事項に関する支配権または重大な影響力を有することについて
(顕在化可能性:中/影響度:中)
本書提出日現在において、当社議決権のうち67.92%は株式会社ゼンリンが保有しており、当社の上場後も過半数は下回るものの引き続き当社の株式を所有する方針であると伺っております。その結果、当社取締役の選任・解任、合併その他組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の配当等の基本的事項決定権または拒否権に関して、他株主の意向にかかわらず株式会社ゼンリンが影響を与える可能性があります。なお、当社が株式会社ゼンリンに対し事前承認を必要とする事項はなく、当社は独自に経営の意思決定を行っております。
②取引関係について(顕在化可能性:低/影響度:小)
当社は、株式会社ゼンリン及びその子会社と一部サービスの提供等の取引がありますが、一般取引先と同様の条件となっております。当社の独立性の観点を踏まえ、関連当事者との取引については、当該取引の事業上の必要性と取引条件の妥当性等取引内容について審議し、社内規程に定められた承認を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を築いております。
なお、2023年3月期の関連当事者取引のうち、親会社グループに関連する取引は以下のとおりであります。
2023年3月31日現在
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会社名 |
所在地 |
取引の内容 |
取引金額 (千円) |
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(親会社) 株式会社ゼンリン |
福岡県北九州市 小倉北区(注2) |
当社総合情報配信サービスの提供 |
5,667 |
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(兄弟会社) 株式会社ゼンリンデータコム |
東京都港区 |
当社総合情報配信サービスの提供 |
3,786 |
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地図コンテンツの利用 |
5,685 |
(注)1.上記のほか、2023年4月21日付で当座貸越枠800,000千円を株式会社ゼンリンと設定しております。
2.住所は登記上の本店所在地を記載しており、本社機能住所地とは異なっております。
③競合について(顕在化可能性:低/影響度:小)
当社は、顧客の課題解決を行うためのシステム開発を提供しておりますが、親会社グループは住宅地図帳などの各種地図、地図データベース、コンテンツを提供しており、サービスが異なっております。また、主な顧客業界が異なっており、株式会社ゼンリン及びその子会社が行っている事業と現時点において競合していることはありません。
しかしながら、将来において親会社グループの事業戦略に変更が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
①自然災害等について(顕在化可能性:低/影響度:中)
地震、台風、洪水、津波等の自然災害等により、当社の事業活動に必要な設備等の損壊が生じた場合、当社が提供するサービスの継続に支障をきたす場合があります。事業環境の変化に応じてバックアップサーバーの整備等により柔軟な対応を図っていく方針ですが、これらの事象が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
②調達資金の使途について(顕在化可能性:低/影響度:中)
当社は、2024年4月の公募増資による調達資金の使途については新規人材の採用費及び人件費、ソフトウエア開発に充当する予定であります。
しかしながら、当社の属する業界の環境変化や、これに伴う今後の事業計画の見直し等により、投資による期待どおりの効果が上げられなくなる可能性や、場合によっては充当先の変更が生ずる可能性があります。調達資金の使途が変更になった場合には、速やかに開示する方針でありますが、このような場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③配当政策について(顕在化可能性:低/影響度:小)
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しており、剰余金の配当は、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、業績や財政状態等を総合的に勘案し、適切な配当を実施していくことを基本方針としております。しかしながら、当社は成長過程にあることから、内部留保の充実を図り、さらなる成長に向けた事業の拡充や組織体制、システム環境の整備に対する投資等の財源として有効活用することが利益還元に繋がると考えているため、今後の配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
④ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について(顕在化可能性:高/影響度:小)
当社では、役員及び従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、既存の株主が有する保有株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は270,200株であり、発行済株式総数の20.1%に相当しております。
⑤税務上の繰越欠損金について(顕在化可能性:中/影響度:中)
当社は、2023年3月期末時点において、税務上の繰越欠損金を有しております。今後、当社の業績が事業計画に比して順調に推移し、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥無形固定資産の減損リスク(顕在化可能性:中/影響度:大)
当社は、ソフトウエア、のれん等の無形固定資産を保有しており、これらの資産の取得にあたっては事前に必要性や収益性を十分に検証した上で決定しております。しかしながら、経営環境や事業の状況の著しい変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失の計上により、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦収益認識に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中)
当社の受託開発案件は、財務諸表「注記事項(重要な会計方針)4.収益及び費用の計上基準(2)役務提供(受託契約等)」に記載のとおり、見積総原価を用いたインプット法を適用しています。当社は、見積総原価の見積精度及び開発進捗管理の精度を高めるよう取り組んでおります。しかしながら、契約ごとに個別性が高く、顧客と合意した要求仕様に対応する工数・外注費等に基づき算定しているため、仕様の追加または変更等により、見積総原価の見直しが必要となった場合、あるいは開発遅延等が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第11期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は606,599千円となり前事業年度末に比べ444,462千円減少しております。これは、主にファニテック株式会社を買収した際ののれんが82,237千円及びインポートセグメントにかかる棚卸資産が12,163千円増加した一方、業績悪化に伴う売掛金及び契約資産が390,763千円、現金及び預金が72,159千円、減損損失の計上によりソフトウエアが60,316千円減少したことによります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は321,987千円となり前事業年度末に比べ66,130千円減少しております。これは、主にインポートセグメントにかかる前受金が42,434千円増加した一方、業績悪化に伴い外注先への買掛金が102,505千円減少したことによります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は284,612千円となり前事業年度末に比べ378,331千円減少しております。これは、主に当期純損失を287,331千円計上したことによります。この結果、自己資本比率は46.9%となり、前事業年度末に比べ16.2ポイント減少しております。
第12期第3四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における資産合計は561,706千円となり、前事業年度末に比べ44,892千円減少しております。これは、現金及び預金が28,747千円、有形固定資産が5,857千円増加した一方で、営業債権の回収により売掛金及び契約資産が20,534千円、その他流動資産が19,590千円、減価償却により無形固定資産が31,992千円減少したことによります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債合計は405,340千円となり、前事業年度末に比べ83,353千円の増加しております。これは、前事業年度の企業結合における未払対価の決済等によりその他流動負債が83,673千円減少した一方で、新規借入により短期借入金が183,100千円増加したことによります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は156,366千円となり、前事業年度末に比べ128,245千円の減少となりました。これは、四半期純損失の計上により利益剰余金が128,245千円減少したことによります。
② 経営成績の状況
第11期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されるなど景気回復の兆しが見られたものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、原材料価格の高騰や為替相場の変動もあり、依然として景気は不透明な状況が続いております。このような経済状況のもとで、当社の顧客であるモビリティ業界の投資意欲も再燃すると考え、開発体制の強化による生産性向上やサービス品質の向上を目的とし、ファニテック株式会社を吸収合併し、開発能力の強化を行いました。しかしながら、経済状況が不透明な中、既存顧客の投資意欲は想定を下回り、当社に対する発注量が減少し、当事業年度は前年度より厳しい状況となりました。
また、開発能力強化のために実施したファニテック株式会社の買収により、人件費等の固定費が増加し前年同期に比べ利益額は減少いたしました。
翌事業年度は、業績改善を図るべく営業体制の再編・強化を行うことで業績回復に努めてまいります。
この結果、当事業年度の業績は、売上高813,117千円(前年同期比26.3%減)、営業損失179,916千円(前年同期は21,043千円の営業損失)、経常損失179,339千円(前年同期は20,011千円の経常損失)、当期純損失287,331千円(前年同期は33,100千円の当期純損失)となりました。
各セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、セグメント利益は全社費用の控除前で記載しております。
(モビリティセグメント)
モビリティセグメントは、当社がシステムを提供している「バスターミナル東京八重洲」がオープンし、知名度向上に繋がった結果、バスターミナル案件が増加し、業績に寄与いたしました。また、EVに関連する顧客からの受注も増加し、今後のGX化に向けたサービスラインナップが拡充することができました。さらに、当社カーシェアリングシステムの稼働台数も順調に増加し、毎月の安定収益も増加しております。
一方で、主要顧客であるENEOS株式会社と引き続き良好な関係は維持しておりますが、当該顧客からの受注量が減少した他、新たな顧客開拓を見込んで開発した新AIサービスの受注が想定を下回るなど厳しい状況となりました。
この結果、売上高744,929千円(前年同期比16.9%減)、セグメント利益41,871千円(前年同期比75.6%減)となりました。
(インポートセグメント)
インポートセグメントは、為替市場の変動を受け仕入単価が高騰した結果、国内製品に対して販売競争力が低下いたしました。
為替市場が安定することで当事業年度の下期は受注も回復してきましたが、上期の不調を上回ることができませんでした。
この結果、売上高68,187千円(前年同期比67.0%減)、セグメント損失4,508千円(前年同期は125千円のセグメント利益)となりました。
第12期第3四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、原材料価格やガソリンなどエネルギーコストの高止まり、円安の影響等により、物価が上昇し個人消費は停滞しております。一方で、海外経済の下振れリスクが後退し、企業の設備投資意欲も強い状況となっております。また、インバウンド需要とともに、人の移動は活性化しており、日本経済は回復傾向となっております。
当社が属するDX市場やモビリティサービス市場においても、企業の投資意欲は堅調であり需要は増加傾向にあります。引き続き、物流業界の2024年問題や脱炭素社会への関心から投資意欲は堅調に推移すると考えております。
当社におきましても、これまで社会課題の解決に適したサービス開発を行ってきた経験及び信頼から、新たな投資開発案件が増加傾向にあります。
当社では、これまでの既存サービスの拡大化をしつつ、新規サービスを上乗せることに注力しております。また、保守・利用料の売上高も着実に積み上げており、事業地盤の安定化を図っております。その他、前事業年度に買収したファニテック株式会社の買収効果により、開発体制の強化および内製化施策が堅調に進み、外注費が減少することでコスト削減効果が得られております。
この結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高は662,615千円、営業損失は126,810千円、経常損失は127,226千円、四半期純損失は128,245千円となりました。
各セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、セグメント利益は全社費用の控除前で記載しております。
(モビリティセグメント)
モビリティセグメントは、当期以前に納品した案件の2次開発、3次開発や大型の開発案件を獲得したことにより堅調に推移しております。また、当社のカーシェアリングシステムに対する問い合わせ数も増加しております。足元では、EV関連業務の開発案件が進捗しており、当期の売上高に寄与することが考えられますが、システム開発案件は年度末に偏る傾向にあり、第4四半期会計期間に売上高が集中いたします。
その他、車載器やSTBの台数も増加しており、保守・利用料の安定化に繋がっております。
この結果、モビリティセグメントにおける当第3四半期累計期間の売上高は550,023千円、セグメント利益は45,905千円となりました。
(インポートセグメント)
インポートセグメントは、円安の影響により商品の仕入単価が上昇傾向にありますが、販売先を順調に確保しており、堅調に推移しております。
この結果、インポートセグメントにおける当第3四半期累計期間の売上高は112,592千円、セグメント損失は4,612千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第11期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ72,159千円減少し、64,229千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は、134,875千円となりました。これは、主な減少要因として税引前当期純損失の計上273,924千円及び業績悪化に伴う仕入債務の減少額102,505千円があった一方で、主な増加要因として、営業債権の回収による売上債権の減少額404,226千円、減損損失の計上94,585千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は、80,186千円となりました。これは、主にモビリティセグメントの自社利用のソフトウエアにおける無形固定資産の取得による支出86,509千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は、126,847千円となりました。これは、主に自己株式の取得による支出91,000千円及び、短期借入金の純減少額33,600千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が行う事業では、提供サービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社が行う事業では、提供サービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度及び第12期第3四半期累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
第12期第3四半期累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) |
|
|
売上高(千円) |
前期比(%) |
売上高(千円) |
|
|
モビリティ |
744,929 |
83.1 |
550,023 |
|
インポート |
68,187 |
33.0 |
112,592 |
|
合計 |
813,117 |
73.7 |
662,615 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
第12期第3四半期累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) |
|||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
ENEOS株式会社 |
380,772 |
34.5 |
196,993 |
24.2 |
- |
- |
|
株式会社FOMM |
- |
- |
101,581 |
12.5 |
- |
- |
|
株式会社池商 |
205,582 |
18.6 |
- |
- |
111,893 |
16.9 |
|
株式会社エネクスライフサービス |
130,109 |
11.8 |
- |
- |
- |
- |
|
富士急行株式会社 |
121,810 |
11.0 |
- |
- |
- |
- |
(注)総販売実績に対する割合が10%未満の場合、該当する最近2事業年度及び第12期第3四半期累計期間の実績値の記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針等につきましては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第11期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(売上高・売上原価・売上総利益)
当事業年度の売上高は813,117千円(前事業年度1,103,122千円)となり、前事業年度に比べ290,005千円減少いたしました。主な変動要因については、本書「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当事業年度の売上原価は572,512千円(前事業年度748,863千円)となり、前事業年度に比べ176,351千円減少いたしました。この主な要因は、売上高の減少に伴い業務委託費が126,608千円減少したことによるものであります。
この結果、売上総利益は240,605千円(前事業年度354,259千円)となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は420,521千円(前事業年度375,303千円)となり、前事業年度に比べ45,218千円増加いたしました。この主な要因は、企業結合によるのれん償却額12,651千円の増加並びに人員増による給料及び手当23,389千円の増加があったことによるものであります。
この結果、営業損失は179,916千円(前事業年度は21,043千円の営業損失)となりました。
(営業外損益・経常利益)
当事業年度の営業外収益は1,601千円(前事業年度1,228千円)となり、前事業年度に比べ372千円の増加となりました。この主な要因は、助成金収入が608千円増加したことによるものであります。営業外費用は1,023千円(前事業年度195千円)となり、前事業年度に比べ827千円の増加となりました。この主な要因は、支払利息が385千円、為替差損が358千円増加したことによるものであります。
この結果、経常損失は179,339千円(前事業年度は20,011千円の経常損失)となりました。
(特別損益・法人税等・当期純利益)
当事業年度において、特別利益は計上しておりません。特別損失は94,585千円(前事業年度926千円)となり、前事業年度に比べ93,658千円の増加となりました。この主な要因は、減損損失を計上したことによるものであります。税引前当期純損失は273,924千円(前事業年度は20,937千円の税引前当期純損失)、法人税等は13,406千円(前事業年度12,162千円)となりました。
この結果、当期純損失は287,331千円(前事業年度は33,100千円の当期純損失)となりました。
第12期第3四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
(売上高・売上原価・売上総利益)
当第3四半期累計期間の売上高は662,615千円となりました。これは主に、本書「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当第3四半期累計期間の売上原価は465,048千円となりました。主な内訳は、開発人員にかかる人件費及び業務委託費であります。
この結果、売上総利益は197,567千円となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は324,377千円となりました。主な内訳は、人件費、支払報酬、のれん償却額であります。
この結果、営業損失は126,810千円となりました。
(営業外損益・経常利益)
当第3四半期累計期間の営業外収益は2,188千円となりました。主な内訳は、保険配当金、為替差益であります。営業外費用は2,604千円となりました。主な内訳は、上場関連費用、支払利息であります。
この結果、経常損失は127,226千円となりました。
(特別損益・法人税等・当期純利益)
当第3四半期累計期間において、特別利益は計上しておりません。特別損失は17千円となりました。これは、固定資産除却損によるものであります。税引前四半期純損失は127,244千円、法人税等は1,001千円となりました。
この結果、四半期純損失は128,245千円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、事業運営上必要な流動性と資本の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社の資金需要のうち主なものは、事業拡大に伴う人件費であります。事業拡大のための資金についてはこれまで自己資金及び金融機関からの短期借入金により対応してまいりましたが、今後はエクイティファイナンス等による資金調達も検討してまいります。なお、これらの資金調達方法の優先順位は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、ストック売上高、ショット売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標として位置付けております。最近2事業年度及び第12期第3四半期累計期間の推移は以下のとおりであります。
最近2事業年度は営業損失を計上しておりますが、今後も引き続き販売力の強化やサービスの品質向上に取り組むことによって、各売上高の増加及び売上高営業利益率の上昇を目指してまいります。なお、当社は、第4四半期会計期間に売上計上や営業利益が偏重する傾向があるため、第3四半期累計期間においては営業損失を計上する傾向にあります。
|
経営指標 |
第10期事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
第11期事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
第12期第3四半期累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) |
|
ストック売上高(千円) |
169,557 |
228,120 |
169,281 |
|
ショット売上高(千円) |
933,565 |
584,996 |
493,334 |
|
売上高営業利益率 |
- |
- |
- |
(注)第10期事業年度、第11期事業年度及び第12期第3四半期累計期間の売上高営業利益率は営業損失であるため、記載しておりません。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。当社は経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減するため、常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、人材の確保及び育成等に努めてまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社は、2022年6月17日の取締役会決議において、ファニテック株式会社を吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結し、2022年8月6日を効力発生日として同社を吸収合併いたしました。
なお、詳細については「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載しております。
該当事項はありません。