第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針・経営戦略等

当社グループは「真にユーザーサイドに立った新しいフィナンシャルサービスを作る」というビジョンのもと、「テクノロジーと分析の力でユーザーにパワーを」という事業のミッションに基づき、ビジネスを展開しております。

また、当社グループでは「Enjoy」「Big Try」「Professional」という3つの行動指針を共通の価値観として大切にしながら、オンラインテクノロジーを活用し、ユーザーにとって最適な住宅ローンサービス、最適な不動産投資用サービスの開発・提供に取り組んでおります。

こうした経営方針の下、当社グループの主要なサービスである一般顧客向けサービスである「モゲチェック」「INVASE」の普及と、関連するサービスの提供により、ユーザーにとって最適な住宅ローン選び、投資用不動産物件の選択の実現や付帯サービス提供による利便性の向上に貢献してまいります。

具体的なマーケティング戦略としましては、ユーザーに対して当社サービスの認知を獲得するため、オンラインを中心とした広告展開を強化しております。また、当該広告展開のみならず、ユーザーの住宅ローンサービスに関連する各銀行との関係強化を図り、当社サービスの利便性強化を実施してまいります。また、モゲチェック事業については住宅ローンを取り扱うことのある不動産会社や保険会社等との提携により、当該不動産会社や保険会社等からユーザーに対してモゲチェックを紹介いただくことで更なる認知獲得に努めています。

以上のような施策により、顧客の認知度向上及びサービスの満足度を向上させ、高い成長性の確保と継続的な収益の確保を実現していく方針であります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として売上高及び営業利益を特に重視するとともに、適正な人員規模・人材配置による事業運営に努めております。

当社グループの主要なサービスである「モゲチェック」は、住宅ローン審査申込に応じて銀行から手数料を受領するフロービジネスのモデルであるため、当該フローの源泉となりますオンラインマーケティング等による集客数(サービスサイトへのアクセス数)やサービス登録者数を重視しております。また、当該フローに関連して住宅ローン審査申込数及び成長率に加えて、1審査申込当たりの手数料及び審査申込当たり顧客獲得コストを重視しております。

同様に「INVASE」においてもフロービジネスとなりますため、集客数(サービスサイトへのアクセス数)やサービス登録者数に加えて、当該フローに関連するバウチャーサービスの集客数及び申込数、借り換え本審査承認数、投資用物件の契約数を重視しております。

 

 

(3)経営環境

「モゲチェック」サービスは住宅ローンの提案サービスであることから、住宅ローン市場の市場拡大が業績に影響を与えるものと考えております。以下のグラフのとおり、2018年から2021年にかけて、国内における住宅ローンの新規貸出額は、19.4兆円から20.7兆円と約6.9%増加しております。当該住宅ローン貸出残高が上昇基調にある要因として、低金利環境の長期化、住宅ローン減税による購入需要の喚起や、マンション価格の上昇の3点が挙げられると判断しています。

 


(新規貸出額推移、単位:億円)

(出所:国土交通省 令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書より当社作成)

 

日本の低金利環境の証左として日本国債10年物の推移を見ると、2007年のリーマンショック以降低下の傾向及び2016年から現在に至るまで0.0%近辺で推移しています。加えて、民間金融機関の住宅ローンは、固定金利、変動金利ともに、1996年から現在に至るまでほぼ横ばいの水準で推移しており、先述の低金利環境は2008年の金融危機及びその後の金融緩和以降も長きにわたり継続していることから、今後の住宅ローン含む低金利環境が継続する可能性は高いものと想定しております。また、2023年4月に新しく日本銀行総裁に就任した植田総裁からも「金融緩和を継続し、経済をしっかり支える必要がある」とコメントがあり、2024年3月時点においても当該低金利環境は継続しているものと認識しております。

 


●日本国債10年物の推移

(出所:財務省等の公表データより当社作成)

 

また、住宅ローン減税については、2022年度の税制改正により2025年末までの延長が決定(2025年中の住宅購入者まで適用)されており、また、当該減税措置の適用期間は10年から13年に延長されていることから、最大2038年までの住宅ローン減税による長期的な需要喚起が見込まれております。

マンション価格については、日銀のマイナス金利政策や政府の住宅取得支援制度などを背景に、2022年においても首都圏中古マンション成約平米単価は10年連続の上昇を続けており、中古マンション需要が引き続き高い状態が続いております。2020年3月以降は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が緩和され、首都圏中古マンション成約件数は2020年4月を起点として緩やかな上昇傾向が続いており、2022年においても改善の兆しをみせております。(公益財団法人 東日本不動産流通機構 統計情報)

こうした環境を踏まえると、当社グループの主要なサービスであるモゲチェック事業は底堅い住宅ローン市場に伴い強固なビジネス環境に立脚していると認識しており、今後の更なる認知度向上に伴い、当社グループのサービスへの需要も更に拡大していくものと考えております。

今後の住宅ローン市場については金利動向及び住宅に係る需給バランスによるところがありますが、以下の持ち家比率の推移にあるとおり、金利動向、経済動向に関わらず住宅購入に係る需要は常に60%程度と一定以上の水準で推移していることから、今後も一定の住宅需要が存在すると想定されます。

 

 


出所:総務省統計局「住宅・土地統計調査」より当社作成

 

このような最近の業界動向及び事業環境の変化を踏まえ、当社では、本書「事業の内容」についてプロダクトの開発を進めてまいりました。利便性の向上等によりモゲチェックサービス会員数、INVASEサービス会員数が増加したものと考えております。

 

当社は、引き続きモゲチェックサービスの開発及び不動産会社や保険会社等との提携と、INVASEサービスにおける営業体制の強化を重点課題と位置付け、持続的な成長を維持できるよう推進してまいります。

 

また、主力サービスであるモゲチェックサービスの優位性、差別化の特徴は4点あります。以下の図は概要となります。

 


 

①業態

モゲチェックは貸金業に基づいたオンラインにおける住宅ローン提案サービスを提供しており、他の住宅ローン比較サイトが広告業を成り立ちとしている点でサービスの内容が異なります。

 

②信用力分析

モゲチェックはユーザーの信用力の分析に基づいた住宅ローンの提案サービスを軸としており、表面金利の高低による金利ランキングが中心となる住宅ローン比較サイトと異なり、ユーザー個人に対してのオーダーメード型のサービスとなっています。当該信用力分析は取得済みの特許(特許番号7366355号)「融資承認確率算出装置、融資承認確率算出方法、及びプログラム」を活用しております。住宅購入に際しての顧客の主な課題として、「自分が住宅ローンをいくら借りられるのか」「どの銀行であればローンが通るのか」が考えられます。銀行ごとに顧客が申込を全て実施すればそれぞれの銀行において審査を受けることは可能ですが、手間あるいは購入予定物件の申込期限等に鑑みて現実的とは言い難いと考えられます。モゲチェックを通じてのみ、「自分がいくら借りられるのか」「どの銀行であればローンが通るのか」がわかるのであれば、その利便性をもってモゲチェックを使う理由になり、他社との差別化の特徴であると考えております。

 

③クイック申込

モゲチェックは申込方法の利便性を追求している一方で、他のサービスにおいては審査申込は個別銀行ごとにユーザーが対応する必要が発生します。

 

④チャットサポート

モゲチェックは住宅ローンの提案から決済まで人とAIによるサポートを実施していますが、住宅ローン比較サイトはビジネスが広告業をベースとしているため、サポートができません(貸金業法第11条第2項)。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

①既存サービスの強化を目的とした認知度向上

当社グループのサービスはオンラインサービスであることから、住宅ローン利用予定者や投資用不動産購入予定者など、潜在的なユーザーによるサービスのオンライン検索において、当社グループのサービスの第一想起が重要であると認識しています。モゲチェック事業及びINVASE事業ともに、オンライン広告やセミナーの開催等による認知度の向上に加えて、サービスサイトの導線改善等により、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果の向上が見られていることから、今後もオンライン広告を中心に、提携不動産会社の顧客網の活用等も加えて、認知度向上が可能と考えております。

 

②提携不動産会社とのリレーション強化

モゲチェック事業は、2022年7月より提携不動産会社によるモゲチェックサービスの利用を開始しました。当該提携は、住宅ローン利用予定者との接点の拡大を企図したものであり、結果的に提携不動産会社等からの住宅ローン審査申込数は増加傾向にあり、今後も提携不動産会社を増やすことで売上の向上に繋がるものと想定しております。

 

③継続的な新サービスの提供

当社グループが今後も成長を持続していくためには他社との差別化が急務であり、サービスの優位性を高めるための機能強化・追加が必要不可欠であると認識しております。当社グループは、特定分野・技術に固執せずに、新しい技術分野にも取り組みながら、幅広い技術分野を網羅し、最適なものを組み合わせてサービスを提供することを重視しております。AIやクラウドだけでなく、将来的にはWeb、モバイル、ビッグデータ解析等の技術や、Webサービス、モバイルアプリ双方において優れたユーザー体験を実現するUI/UX(注)のノウハウを用いることで、ユーザーニーズに柔軟に対応できることが当社グループの事業展開上の強みとなっていると認識しております。今後も当社の付加価値を上げるサービスを展開してまいります。

 

(注) UI/UXとは、User Interface/User Experienceの略称で、UIとはユーザーがパソコンやスマートフォン等のデバイスを通じてデザイン、フォントや外観など視覚に触れる情報のことであり、UXとはユーザーがUIを実装したサービスを通じて得られる体験を指します。

 

④優秀な人材の継続的な採用と育成

当社グループは、成長戦略を着実に実行していくことで売上高の高成長を実現するとともに、営業利益率の向上を図ることが課題だと認識しております。そのためには、採用力強化により技術者人材やオペレーション関連人材を増員すると同時に、対応技術分野やカスタマーサポートの充実等により、付加価値の高いサービスを提供しサービス利用率の向上に努めることで、売上高の向上を図ってまいります。

 

⑤内部管理体制の強化

当社グループは、今後もより一層の事業拡大及び成長を見込んでおります。そのため、事業拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性・透明性を確保すべく、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。

 

⑥財務基盤の強化

当社グループは、事業拡大に関する開発人員及び営業人員の採用や認知促進活動といった先行投資により、2023年6月期まで連続して当期純損失を計上しております。一方で、先行投資に関しては今後の資金繰りに支障が無いように資金調達をし、当該先行投資の結果として売上も伸長しており、収益力も高まっております。

また、優秀な人材の採用及び育成、事業開発及びシステム開発活動など、今後の事業拡大に向けた投資資金需要に対応すべく、事業資金を安定的に確保することが必要不可欠であると考えております。今後の資金調達手段としては、主に金融機関からの借入、エクイティファイナンスを検討しております。

加えて、売上高の成長を通じて当期純損益の黒字化を図っていくことが重要な課題と認識しております。

 

⑦情報管理体制の強化

当社グループは、事業の特性上、信用情報等の重要な個人情報を含む機密情報を保持しており、このような情報の流出や不適切な取り扱いを防止すべきであると認識しております。当社グループは個人情報を取り扱う業務フローの整備、社内教育等を実施しておりますが、情報セキュリティの強化等により情報管理体制の強化を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

当社は、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティにおける各種対応について、経営の重要課題として認識しております。当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社では、コーポレート・ガバナンスを経営統治機能と位置付けており、企業価値を継続的に高めていくための不可欠な機能であると考えております。当社は取締役会の過半数を社外取締役とし、社外からの客観的意見を重視し意思決定を行う体制としております。更に、執行権限及び執行責任の明確化のため、執行役員制度も導入しており、監督と執行の分離による実効的なコーポレート・ガバナンスを推進し、持続的成長を実現、企業価値を継続的に高めていきたいと考えております。

詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2) 戦略

当社は、持続的な成長や企業価値の向上を実現していく上で、人材は重要な経営資源であると考えており、人材の育成に関する基本方針及び社内環境整備に関する方針は以下となります。

社内の多様性を確保するために、女性の管理職への登用等の方針策定と目標設定を行いました。また、採用を強化し、中長期的な配置転換、プロモーションを通じて組織全体の活性化を図るとともに、経営者育成プログラムにより経営幹部への育成を推進しております。その他、UI/UXデザイナー、デジタルマーケター、データアナリスト、エンジニア等DX人材の積極的な採用及び社内教育など育成を行っております。DX人材に限らず、継続的に社内の多様性の確保を推進するとともに、社員育成のための投資を行い、持続的成長を目指してまいります。

人事評価制度については、当社グループにおいて共通かつ公平な人事評価制度の構築を推進してまいりました。今後も人事の基本方針及び人材育成方針の見直し、検討、策定を踏まえ、人材を計画的に採用し、育成を行う社内環境の整備を推進してまいります。

また、当社の従業員の安全及び健康を確保するために、従業員の残業時間について方針策定と目標設定を行いました。原則10時間以内とする方針であります。更に管理職についても過度な就業時間を禁じており、当社従業員が心身ともに安全かつ健康的な生活を過ごすことができる環境整備を行っております。

 

(3) リスク管理

当社は、リスク管理を経営上の重要な活動と認識しており、各種のリスクに対応すべく、個々のリスクを認識し、その把握と管理責任者を決定し、管理体制を構築しております。詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記において記載した人材の育成に関する基本方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標における目標及び実績は、下記のとおりです。

 

 

目標

実績(当事業年度)

女性の管理職比率

2025年6月末までに25%

18.1%

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券届出書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしてまいります。また、当社グループとして必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極開示の観点から記載しております。当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境について

①経営環境の変化について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)

当社グループの主要な事業領域である住宅ローン市場は、日本銀行の継続的な低金利政策や日本国政府による減税措置の継続等の追い風により、長期的な市場拡大が見込まれておりますが、日本銀行の金融政策の大きな転換や日本国政府による税制改定や政府方針の転換などの影響により、市場の成長鈍化や縮小した場合、若しくは当社グループの成長予測を下回った場合には、住宅ローン審査申込件数の減少や、投資用不動産仲介件数の減少等によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては事業計画をモニタリングし、経営環境の中長期的な動向変化の兆候の把握と収益源の多角化等によってリスクの低減に向けた対応を行っております。

 

②技術革新への対応について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

当社グループは、住宅ローン提案サービス「モゲチェック」を活用することで、住宅購入予定者に対して、最適な住宅ローンの提供を可能としており、今後もサービスの改善に加えて不動産会社や保険会社等の提携会社の増加等の様々な可能性を検討しておりますが、「モゲチェック」がサービスを展開しているインターネット環境は、技術進捗が速く、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③競合について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期時なし 影響度:小)

当社グループの主要事業であるモゲチェック事業が属する住宅ローン業界においては、テクノロジーを活用した住宅ローン提案サービスを提供する競合は少ないものの、今後、同様のビジネスモデルを有する他社の参入などにより十分な差別化ができなくなり、競争が激化した場合には、広告出稿価格の増加や住宅ローン審査申込数の減少等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては、特許の取得による参入障壁の構築、継続的なサービス改善、収益源の多角化等によってリスクの低減に向けた対応を行っております。

 

(2)事業及びサービス展開について

①銀行との関係について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

当社グループは、モゲチェック及びINVASEの顧客の送客を銀行に行っております。銀行にいかに顧客を送客できるかが、銀行との関係性において重要となっております。そのため、銀行と定期的に送客の状況に応じて、手数料の交渉等を行っております。銀行との関係は良好でありますが、今後、何らかの理由により取引の継続が困難となった場合、手数料の単価変更の要請を受ける可能性含め当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては、融資承認確率のスコアリングモデルの改善による住宅ローンの審査申込みに繋がる質の高い顧客の送客、Webマーケティングの強化による送客数の増加等を通じて、銀行との良好な関係の構築に努めており、リスクの低減に向けた対応を行っております。

 

②検索エンジンからの集客について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

当社グループは、GoogleやYahoo! JAPAN等の検索サイトからの集客が重要であります。検索サイトにおける検索アルゴリズムの大幅な変更が行われ、これまでの検索エンジン最適化対策が有効に機能しなかった場合、当社の広告の表示回数の減少や当社サービスサイトの表示回数の減少等によって、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては、検索アルゴリズム変更に関する情報の取得、検索キーワードにおける順位変動のモニタリング、サイトのアクセス解析、検索結果の上位サイト分析をもとに検索アルゴリズムの変更に応じたSEO対策を継続することにより、リスクの低減に向けた対応を行っております。加えて、検索エンジンからの集客からの広告宣伝効果が減少した際には、不動産会社経由、保険代理店経由等のオフラインでのユーザー獲得を代替施策として、リスク低減に向けた対応を行っております。

 

③提携不動産会社との関係について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

当社グループは、モゲチェックパートナーである提携不動産会社等を通じてモゲチェックをユーザーにご紹介いただいております。モゲチェックの認知拡大においてはモゲチェックパートナーである提携不動産会社との良好な関係の構築及び維持・強化が重要であると認識しており、モゲチェックに関する勉強会や支払手数料の適正化等を通じて良好な関係の構築に努めております。

しかしながら、提携不動産会社との契約内容・取引条件に大きな変動が生じる等の何らかの事情により、各社との関係に大きな変化が生じた場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④組織規模について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

当社グループの従業員数は64名(2024年4月30日現在)であり、小規模な組織であると認識しております。現時点においては、当社グループの規模に対して適切な人員体制が構築できているものと考えておりますが、今後の事業拡大に応じて、人員増強、内部管理体制の充実を図っていく必要があると考えております。

しかしながら、事業の拡大に応じた人員増強が順調に進まなかった場合や内部管理体制の充実がなされなかった場合、プロダクト開発に係る人員あるいは営業に係る人員の短期的かつ大量の離職等が発生する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、本書提出日現在までに人員面については一定程度の基盤を整えたことから、2024年6月期においては、当社グループでは若干名の採用を予定しております。

 

⑤創業者への依存について(顕在化可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの代表取締役である中山田明は、創業者であり、創業以来継続的に代表取締役を務めております。中山田明は、当社グループの強みである事業モデルの創出や経営方針及び経営戦略の策定において中心的な役割を果たしております。当社グループでは取締役会や定例の経営会議において、役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、中山田明に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により中山田明が当社グループの業務を行うことが困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥人材の確保や育成について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

当社グループが継続して事業拡大を進めていくためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が不可欠であると認識しております。そのため、継続的な人材採用や育成に加え、定着率向上に向けた各種施策を行っております。

しかしながら、優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合等には、経常的な業務運営及び事業拡大等に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ソフトウエアの減損について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

当社グループは、将来の収益獲得あるいは費用削減が確実であると認められた開発費用についてはソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)に計上しております。このソフトウエアについて将来の使用状況の変更やサービスの陳腐化等により収益獲得、費用削減効果が大幅に損なわれた場合、ソフトウエアの償却や減損が必要になり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧システムトラブルについて(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

当社グループが顧客に提供しているサービスはオンライン上に立脚しており、当該アプリケーションはクラウドという特性上、インターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。当社グループはシステムトラブルを最大限回避すべく、クラウドプラットフォームとして信頼されているAmazon社が提供するクラウドプラットフォーム上にアプリケーションを構築しております。

しかしながら、自然災害や事故、プログラム不良、不正アクセス、その他何らかの要因により予期しえないトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨情報管理体制について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)

当社グループは、提供するサービスに関連して多数の個人情報を取り扱っております。これらの情報資産の保護や漏洩リスクを回避するため、情報セキュリティ基本方針を定め、関連規程を整備・運用しております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産の漏洩、消失、不正利用等が発生した場合、当社グループの信用失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩法的規制、許認可について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)

当社グループが行う事業につきましては、以下の法令及び貸金業法等による規制を受けております。しかしながら、今後、これらの法令等の解釈の変更及び改正が行われた場合、また、当社グループが行う事業を規制する法令等が新たに制定された場合には、事業内容の変更や新たなコスト発生等により、当社グループの業績及び今後の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが取得している以下の許認可(登録)及び貸金業法にかかる貸金業登録につき、これらの許認可を受けるための諸条件及び関連法令の遵守に努めており、本書提出日現在において、事業主として欠格事由及びこれらの許認可(登録)の取消事由に該当する事実はないことを認識しておりますが、今後、欠格事由又は取消事由に該当する事実が発生し、許認可(登録)取消等の事態が発生した場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたすとともに、事業遂行に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(許認可等の状況)

許認可等の名称

有効期限

許認可等
の番号

規制法令

所轄官庁等

取消事由等

宅地建物取引業免許

2022年2月5日~

2027年2月4日

第107360号

宅建建物取引業法

国土交通省

同法第66条、第67条

貸金業登録

2021年6月29日~2024年6月29日

第31690号

貸金業法

東京都

同法第24条

 

 

 

⑪訴訟等について(顕在化可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。適宜、顧問弁護士と情報共有を図り、訴訟リスクの低減に努めておりますが、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、このような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑫知的財産権の侵害について(顕在化可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループでは、「モゲチェック」、「INVASE」等のサービス名についての商標登録を行っており、今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定です。しかしながら、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、社会的信用性が他の業界にも増して重要な要素となり、解決までに多くの時間及び費用が掛かる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域において第三者が保有する知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求、使用差止請求や当社グループの社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)その他

①配当政策について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

当社グループは、株主への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しておりますが、当社グループは現在、成長過程にあると考えており、事業の効率化と事業拡大のための投資等に内部留保資金を充当し、なお一層の業容拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。

そのため、今後の事業展開及び財務基盤強化のために必要な内部留保の確保を優先し、当面は無配を予定しておりますが、今後の経営成績及び財政状態を勘案しながら、利益配当についても検討してまいります。なお、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。

 

②過年度の経営成績について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

当社グループの主要なサービスは、継続的に当社グループサービスを利用する顧客を増加させることで収益を積み上げ、投資回収を図る形態となっております。当社グループは、継続的な成長のため、サービス開発力の強化や優秀な人材の確保・育成、認知度の向上等に努めてまいりました。近年、これらの取り組みを積極的に進めていることもあり、第10期から第14期事業年度において、経常損失及び当期純損失を計上しております。また、第13期及び第14期連結会計年度において、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。今後も引き続き、サービス開発力の強化や優秀な人材の確保・育成、認知度の向上等に努めてまいりますが、一方で、経常利益や当期純利益を定常的に計上するべく、各種経営指標を注視しながら事業運営を行ってまいります。しかしながら、想定どおりに効果が得られない場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③繰越欠損金の解消による影響について(顕在化可能性:高、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当連結会計年度末において当社グループに税務上の繰越欠損金が存在しております。当社グループの業績が順調に推移し繰越欠損金が解消した場合や繰越欠損金の期限が切れた場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

④新株予約権の行使による株式の希薄化について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

当社では、当社グループの役員及び従業員等に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は9.90%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

⑤ベンチャーキャピタル等の当社株式保有割合について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

本書提出日現在における当社の発行済株式総数は6,372,600株であり、そのうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合等(以下、「VC等」という。)が保有する株式数は3,286,200株、当社株式の公募増資前の発行済株式総数に対する割合は51.57%であります。

一般的に、VC等が未上場会社の株式を取得する場合、上場後に保有株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的の一つであり、VC等は当社の株式上場後に、それまで保有していた株式の一部又は全部を売却することが想定されます。当該株式の売却によっては、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥資金使途について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

今回、当社グループが計画している公募増資による調達資金につきましては、主としてサービスの認知度向上のための広告宣伝費、採用費及び人件費として充当する予定であります。しかしながら、急激な経営環境の変化が生じ、その変化に柔軟に対応していくため、調達資金の使途を現時点での計画以外の使途へ変更する可能性があります。計画以外の使途へ変更が発生した場合は、速やかに開示いたします。

また、計画どおりに使用された場合でも、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

① 財政状態及び経営成績の状況
(a)財政状態

第14期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

(資産)

当連結会計年度末における流動資産合計は、前連結会計年度末に比べ984,454千円増加し、1,860,926千円となり、固定資産合計は36,160千円増加し、80,372千円となり、繰延資産合計は2,240千円減少し、3,023千円となりました。これは主に、第三者割当てによる増資によって現金及び預金が1,081,974千円増加したこと、売上高増加に伴って売掛金が117,671千円増加したこと、システム開発によって無形固定資産が38,944千円増加したことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債合計は、前連結会計年度末に比べ164,141千円増加し、439,161千円となり、固定負債合計は、前連結会計年度末に比べ134,330千円増加し、316,330千円となりました。これは主に、金融機関からの借入によって長期借入金が284,330千円増加したことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ719,903千円増加し、1,188,830千円となりました。これは主に、第三者割当増資及びその後の減資により資本剰余金が869,599千円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が149,694千円減少したことによるものです。

 

第15期第3四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)

(資産)

第3四半期連結会計期間末における資産合計は、1,683,491千円となりました。主な内訳は、現金及び預金1,153,549千円、売掛金362,441千円、無形固定資産101,893千円等です。

 

(負債)

第3四半期連結会計期間末における負債合計は、555,488千円となりました。主な内訳は、未払金150,180千円、長期借入金300,000千円等です。

 

(純資産)

第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、1,128,002千円となりました。主な内訳は、資本金100,000千円、資本剰余金2,435,479千円、利益剰余金△1,407,476千円等です。

 

(b)経営成績

第14期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の制限緩和を背景に、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られるものの、ウクライナ情勢の長期化による資源・原材料・エネルギー価格の高騰、円安による物価上昇に加え、世界的なインフレに伴う政策金利の引き上げなどによる海外経済減速の影響も懸念され、景気の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。

このような事業環境の中、当社グループは、売上収益の成長路線を描きつつ、過年度から主力事業であるモゲチェック事業及びINVASE事業の双方でシステム開発等の先行投資を続けてきた結果、収益及びコストが改善いたしました。

当連結会計年度における当社グループの連結経営成績は、主にモゲチェック及びINVASEのユーザー数獲得のための広告宣伝及び人材への投資等により、申込件数等が増加した結果、売上高1,607,947千円(前年同期比90.6%増)、営業損失139,543千円(前年同期は営業損失547,285千円)、経常損失147,111千円(前年同期は経常損失552,070千円)、親会社株主に帰属する当期純損失149,694千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失555,521千円)となりました。

なお、売上高についてはINVASE事業における収益構造の変化を踏まえて比較することが適切と考えております。2023年6月期以前の不動産仲介においては、当社が売り手から不動産物件の仕入れを行った上で、当該物件を在庫として抱え、それを買い手へ販売する事業モデルとしていました。そのため、当社グループの売上高及び売上原価には物件価格に相当する販売高が含まれています。具体的な物件販売高は、2022年6月期第4四半期122,914千円、2023年6月期第1四半期30,813千円、第3四半期116,909千円、第4四半期59,134千円、原価が2022年6月期第4四半期126,528千円、2023年6月期第1四半期28,761千円、第3四半期113,577千円、第4四半期57,323千円となっています。なお、2024年6月期において、当社グループは物件価格を除いた仲介手数料のみを収受し、売上高に計上する事業モデルへ転換しているため、今後は、当該販売高は計上されず、手数料相当分のみが計上される見込みです。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

(モゲチェック事業)

当セグメントにおきましては、2021年10月に当社が構築したAIロジックでユーザーに最適な住宅ローンを提案できる「モゲレコ」サービスをリリースしたことにより、当連結会計年度の集客数とユーザー登録数が前期に比べて増加しております。また、当連結会計年度においては、インフルエンサー等の外部流入とメディア露出による集客拡大等マーケティング施策により、モゲチェックサービスの集客数が前期比で約87万件増加(前年同期比25%増)、ユーザー登録数が前期比で約3万件増加(前年同期比86%増)となりました。更に、2022年7月よりモゲチェックパートナー制度を開始し、既存の住宅ローン事業者、保険代理店、不動産業者などとの事業提携を通じて、それらの顧客に対してモゲチェックの利用を推進してきました。これにより潜在顧客層からの集客が加わったことで、売上収益の拡大に貢献しております。

 

モゲチェックサービスの集客数及びユーザー登録数推移

 

前々連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

前連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

集客数(件)

1,515,006

3,497,900

4,364,810

ユーザー登録数(件)

14,447

34,695

64,530

 

この結果、当連結会計年度における売上高、売上総利益、セグメント利益も前期比で成長しております。モゲチェック事業の業績は、売上高は1,000,373千円(前年同期比130.5%増)、セグメント利益は128,862千円(前年同期はセグメント損失251,334千円)となっております。

 

(INVASE事業)

当セグメントにおきましては、金融機関及び不動産業者との提携先を増やし、また、インフルエンサー等の外部流入強化、セミナー開催等マーケティング施策を行いました。この結果、当連結会計年度のバウチャー集客数が前期比で約14万件増加、バウチャー申込数が前期比で約3,500件増加、バウチャー送客売上高が232,627千円(前年同期比17.7%増)となりました。

INVASEサービスの集客数及び申込数の推移

 

前々連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

前連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

バウチャー集客数(件)

509,919

370,334

517,340

バウチャー申込数(件)

3,551

4,941

8,478

 

 

 

また、2022年1月にコンドミニアム・アセットマネジメント株式会社を子会社化することで、従来のバウチャーサービス及び借換サービスに加えて、不動産売買及び不動産仲介サービスの提供を開始しております。そのため、当連結会計年度の不動産売買の仲介手数料の収益が増加しております。この結果、INVASE事業の業績は、売上高は607,574千円(前年同期比48.3%増)、セグメント損失は82,013千円(前年同期はセグメント利益56,356千円)となっております。

 

第15期第3四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)

第3四半期連結累計期間における国内経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う制限が緩和されてから相当の期間が経過したことで、経済活動の正常化に伴う景気の持ち直しの動きが見られました。しかしながら、原材料価格の高騰や円安の進行により物価が上昇しており、またウクライナ情勢も長期化の様相を呈するなど、先行きの不透明な状況が続いております。

また、当社グループが属する住宅ローン市場におきましては、2024年3月の日本銀行による金融政策決定会合で、2016年1月から続けてきたマイナス金利政策の解除が発表されましたが、依然として民間金融機関における住宅ローンの金利には大きな変化が見られませんでした。一方で建築コストの高騰やインフレ期待に起因して不動産価格は緩やかに上昇しており、首都圏中古マンションの成約平米単価及び成約件数は上昇傾向が続いております(公益財団法人 東日本不動産流通機構 統計情報)。

このような事業環境の中、当社グループは、事業環境の変化に対応し売上収益の成長を確実なものとするため、新たな人材の採用に重点を置きました。また、モゲチェック事業とINVASE事業の双方でアプリ開発として先行投資を行い、並行して各種マーケティング施策により新たな顧客層の獲得を推進したことで、市場シェア拡大を実現しました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高1,420,202千円となり、利益面では、営業損失47,428千円となりました。経常損失は58,892千円となり、税金等調整前四半期純損失は58,892千円となり、親会社株主に帰属する四半期純損失は60,827千円となりました。

セグメント別の業績は、次のとおりです。

 

(モゲチェック事業)

第3四半期連結累計期間におきましては、既存の住宅ローン事業者、保険代理店、不動産業者などとの事業提携を通じて、それらの顧客に対してモゲチェックの利用を引き続き推進してきました。また、2023年10月よりモゲチェックアプリのリリースに伴い、潜在顧客層からの集客が加わったことで、売上収益の拡大に貢献しております。

この結果、当第3四半期連結累計期間の集客件数が約100万件増加(前年同期比約30.7%増)、ユーザー登録数が約1万件増加(前年同期比約22.3%増)となり、前年同期比で成長しております。

モゲチェック事業の当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は1,087,392千円、セグメント利益は203,224千円となっております。

モゲチェックサービスの集客数及びユーザー登録数推移

 

第3四半期連結累計期間

(自 2022年7月1日

至 2023年3月31日)

第3四半期連結累計期間

(自 2023年7月1日

至 2024年3月31日)

集客数(件)

3,308,958

4,323,554

ユーザー登録数(件)

47,163

57,671

 

 

(INVASE事業)

当セグメントにおきましては、引き続き金融機関及び不動産業者とのパートナーシップを強化し、新たな顧客層への送客を促進しました。更に、2023年10月にINVASE Proをリリースすることで、ユーザーに対して、より利便性の高いサービスを提供することができました。また、マーケティングの面では、セミナー開催などの施策を継続的に実施し、潜在顧客への認知度向上を図りました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の会員登録数累計は約1.2万人増加(前年同期比42.9%増)、物件の契約件数は82件増加(前年同期比96.5%増)となり、前年同期比で成長しております。なお、子会社であるコンドミニアム・アセットマネジメント株式会社は、当第3四半期連結累計期間においては自社物件販売戦略を停止しており、これに伴って不動産販売による売上高はありません。一方で、三為スキーム(「第三者のためにする契約」)を活用し、買主と売主の双方から仲介手数料を受け取ることで、当第3四半期の収益増に貢献をしております。

INVASE事業の当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は332,809千円、セグメント損失は76,961千円となっております。

 

INVASEサービスの会員登録数累計及び物件の契約数推移

 

第3四半期連結累計期間

(自 2022年7月1日

至 2023年3月31日)

第3四半期連結累計期間

(自 2023年7月1日

至 2024年3月31日)

会員登録数累計(人)

27,822

39,768

物件の契約件数(件)

85

167

 

 

② キャッシュ・フローの状況

第14期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,477,601千円(前年同期比198.1%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は62,188千円(前年同期は824,880千円の資金の支出)となりました。これは主に増加要因として販売用不動産の減少額200,174千円(前年同期は販売用不動産の増加額200,174千円)、未払金の増加額50,617千円(前年同期は未払金の減少額25,391千円)、未払消費税等の増加額40,336千円(前年同期は該当なし)等があった一方で、減少要因として、税金等調整前当期純損失147,111千円(前年同期は税金等調整前当期純損失554,426千円)、売上債権の増加額117,670千円(前年同期は売上債権の増加額52,492千円)
等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は130,718千円(前年同期は102,497千円の資金の獲得)となりました。これは主に減少要因として、定期預金の預入による支出100,000千円(前年同期は該当なし)、無形固定資産の取得による支出28,872千円(前年同期は該当なし)等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は1,050,503千円(前年同期は200,000千円の資金の獲得)となりました。これは主に増加要因として長期借入れによる収入350,000千円(前年同期は長期借入れによる収入50,000千円)、株式の発行による収入868,503千円(前年同期は該当なし)等があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

(b)受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

第15期第3四半期連結累計期間

(自 2023年7月1日

至 2024年3月31日)

金額(円)

前期比(%)

金額(円)

モゲチェック事業

1,000,373

230.5

1,087,332

INVASE事業

607,574

148.3

332,809

合計(千円)

1,607,947

190.6

1,420,202

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、主にモゲチェック事業におきまして、認知度が拡大し、集客数及びユーザー登録数が増加したことによるものであります。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

 

主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

第15期第3四半期連結累計期間

(自 2023年7月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社サイバーエージェント

195,590

23.2

481,778

30.0

465,550

32.8

株式会社ADWAYS DEEE

237,735

16.7

バリューコマース株式会社

183,862

12.9

 

(注)総販売実績に対する割合が10%未満の場合、該当する最近2連結会計年度及び第15期第3四半期連結累計期間の実績値の記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項は不確実性を重視しており、実際の結果と異なる可能性もありますのでご留意ください。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。一般に公正妥当と認められる財務諸表の作成においては、期末日における資産及び負債の報告額や、報告対象期間中の収益及び費用の報告額に影響する判断及び見積りを行うことが求められております。当社の連結財務諸表作成においては、過去の実績等を勘案し合理的に判断及び見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりであります。

 

固定資産の減損損失

当社グループは、事業投資の結果生じた有形固定資産やのれん等の無形固定資産のうち、減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の認識及び測定に当たっては、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や経営環境等の前提条件の変化により、減損処理が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態

財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (a) 財政状態」をご参照ください。

 

(b)経営成績

第14期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

(売上高及び売上総利益)

売上高は、「モゲチェック」及び「INVASE(インベース)」の認知度向上によってユーザー数が増加したことなどにより、1,607,947千円(前年同期比90.6%増)となり、売上総利益は1,189,325千円(前年同期比112.8%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費及び営業損失)

販売費及び一般管理費は事業規模の拡大に伴い、主に人件費及び広告宣伝費の増加により、1,328,868千円(前年同期比20.1%増)となりました。

この結果、営業損失は139,543千円(前年同期は営業損失547,285千円)となりました。

 

(営業外損益及び経常損失)

営業外収益は主に物件保有に伴う受取賃貸料の増加により6,606千円(前年同期比82.4%増)であったのに対して、営業外費用は主に支払利息の増加により14,174千円(前年同期比68.6%増)となりました。この結果、経常損失は147,111千円(前年同期は経常損失552,070千円)となりました。

 

(特別損益、法人税等及び親会社株主に帰属する当期純損失)

特別利益及び特別損失は当連結会計年度において生じませんでした。また、法人税等は、主に従業員数の増加に伴う法人住民税の増加により、2,582千円(前年同期比135.8%増)となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は149,694千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失555,521千円)となりました。

 

第15期第3四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)

(売上高及び売上総利益)

売上高は、「モゲチェック」及び「INVASE(インベース)」の認知度向上によってユーザー数が増加したことなどにより、1,420,202千円となり、売上総利益は1,164,788千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費及び営業損失)

販売費及び一般管理費は事業規模の拡大に伴い、主に人件費及び広告宣伝費の増加により、1,212,217千円となりました。この結果、営業損失は47,428千円となりました。

 

(営業外損益及び経常損失)

営業外収益は主にクレジットカードの利用に伴うキャッシュバックにより721千円であったのに対して、営業外費用は主に支払利息及び社債利息により12,185千円となりました。この結果、経常損失は58,892千円となりました。

 

(特別損益、法人税等及び親会社株主に帰属する四半期純損失)

特別利益及び特別損失は当四半期連結累計期間において生じませんでした。また、法人税等は、主に法人住民税の均等割により、1,935千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は60,827千円となりました。

 

(c)キャッシュ・フローの状況

第14期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの主な資金需要は販売費及び一般管理費の広告宣伝費及び人件費、ソフトウエアの開発投資及びM&A等であります。これらの資金需要に対しては、営業活動から獲得する自己資金及び金融機関からの借入や社債による調達を基本としており、経済・金融環境の変化に備えた十分な手許流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努めております。また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、取引銀行と当座貸越契約を有しております。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりですが、当社グループにおいては、モゲチェック事業における審査申込数を特に重視しております。

過去5ヵ年においても売上高は順調に拡大しており、直近期においても、低金利環境の継続や当社サービスの認知度の拡大等により堅調に拡大しておりますが、サービス開発力の強化や優秀な人材の確保・育成、認知度の向上等の先行投資により営業利益を確保するには至っておりません。なお、集客状況や金融機関の商品改定等を踏まえ、審査申込あたり手数料は一律ではなく、今後、審査申込数の増加割合に対して、売上の増加割合が小さくなる場合もございます。

当連結会計年度においては、審査申込数が増加し、その結果売上高は増加しております。

 

重視する指標の推移

期間

前連結会計年度

当連結会計年度

審査申込数

17,527件

34,901件

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。