当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「最新テクノロジーを使用して、誰でもお金のことを楽しく学べるプラットフォームを拡大」というミッションを掲げ、その実現に向けて、SNS「PostPrime」等のサービスを運営しております。
ミッション実現のために、自らクリエイターのようにアイデアを発想し、共有するという「コミュニケーション」、独創的な考えを尊重するという「創造性」、状況に関わらず相互にサポートしあうという「チームワーク」、及び常に当事者意識を持つという「責任感」というコアバリューを設けています。
当社グループは、SNS「PostPrime」等のサービスを通して、ユーザーに対して新しい価値を提供し続けることで、社会的責任を果たしながら、継続的な企業価値向上に向け努力してまいります。
(2)経営戦略
当社グループでは、以下の点を経営戦略として重点的に行ってまいります。
①サービス健全性の継続的な改善を推進する仕組みの構築、運用、強化
SNSを展開するうえで、ユーザーに安心して利用していただくには、プラットフォームそのものだけでなく、提供されるコンテンツの健全性を継続的に確保することが不可欠であると考えております。そこで、SNS「PostPrime」では、投資・経済に関連するコンテンツが多いことから、投資助言業に関連する金融商品取引法に抵触しないようにするとともに、著作権等の知的財産権の侵害が行われないこと、誹謗中傷や公序良俗に反する行為が行われないことをモニタリングする体制の構築、運用に取り組んでおります。そのために、AIや担当チームメンバーによるモニタリング体制の強化に加え、投資助言業に関する金融商品取引法に関連するガイダンスや違反投稿に対する個別対応等の啓蒙活動を継続的に強化していくことで、質が高く健全なプラットフォームを目指してまいります。
②サービス拡充による、新規ユーザー獲得、顧客単価増大による収益拡大
従来展開しているグリーン・メンバーシップ、シルバー・メンバーシップ、ゴールド・メンバーシップ、プラチナ・メンバーシップ及びAIアニメキャラクター導入がもたらす訴求効果により、新規ユーザーの獲得、顧客単価の増大を図ります。加えて、ライブ配信の機能改善や、リアルイベントの継続的な開催を通じて、ユーザー同士の交流を一層促進させ、口コミによる新規ユーザーの獲得、プライムパートナーズによるプライムクリエイターの収益拡大、ソーシャルメディアや各種メディアへのマーケティングによる収益拡大に取り組んでまいります。
③新事業領域の展開
SNS「PostPrime」のユーザーのうち、潜在的な転職希望者の人材プールと求人企業とのマッチングを図る人材紹介、及びSNS「PostPrime」においてクリエイターの投資・経済を初めとした知見を活かした教育コンテンツを提供する「コース」という、新事業領域の展開を進めております。また、中長期的には、海外展開、M&A、取引プラットフォーム構築による事業拡大に取り組んでまいります。
(3)経営環境
当社が提供するPostPrimeが属する市場は、SNS市場とニュースアプリ市場に大別されます。両者の規模が拡大すればするほど、当社の収益機会が比例的に大きくなるものと考えられます。
SNS市場において、日本における国内の利用者(アクティブユーザ)は年々増加しており、2024年末の国内ネットユーザーは10,704万人と推定されますが、SNS利用者はそのうち79.0%にあたる、8,452万人でした。2025年の年間純増者数は61万人となる見込みで、利用者は1ヶ月平均で約5.1万人の増加を続けています。
日本国内の総人口は年々減少を続けていますが、スマートフォンの格安料金プランの登場など若年層だけでなく高齢者層においてもスマートフォンの普及が進んでおり、SNSの登録者数・利用者数は増加傾向で、2026年末には利用者数は8,550万人、ネットユーザー全体に占める利用率は80.1%に達する見通しとなっています。
(日本におけるSNS利用者数)
(出典(グラフを含む) ICT総研:https://ictr.co.jp/report/20250122.html/)
モバイルニュースアプリ市場において、日本国内におけるモバイルニュースアプリの利用者数(アクティブユーザー数)は2017年度末に4,683万人でしたが、2018年度末には5,152万人、2019年度末に5,422万人と増加が続いており、2020年度末(2021年3月末)には5,671万人に拡大しました。今後は伸び率こそ落ち着くものの順調に増加を続け、2021年度末5,874万人、2022年度末6,035万人、そして2023年度末には6,183万人がモバイルニュースアプリを中心としてニュースコンテンツを利用するものと予測されています。
近年のモバイル端末の普及と、ニュースアプリコンテンツの充実によりモバイルニュースの利用者数は年々一定の割合で増加を続けています。また、インターネットブラウザ上のニュースサイトでニュースを閲覧するユーザーも3,000万人以上の規模で安定して推移すると見込まれています。
(モバイルニュースアプリ/ニュースサイト利用者数)
(出典(グラフを含む) ICT総研:https://ictr.co.jp/report/20211220.html/ )
また、SNS「PostPrime」は、投資・金融に関するコンテンツが多いSNSであることから、金融市場への注目が大きくなればSNS「PostPrime」の閲覧数は増えるものと考えられます。2020年頃の新型コロナウイルス感染拡大以降、政府による金融緩和政策や一時給付金で投資、資産運用のニーズが高まり、日本証券業協会によると、インターネット取引口座数が2023年9月末4,207万口座から、2024年3月末までの間に約4,546万口座と、339万口座増加しています。また、NISAの総口座数は2023年12月末(新NISA開始前)における口座数約2,125万口座と比較し、2025年3月末の時点で約522万口座増加しました。金融資本市場の高いボラティリティが今後も継続するかを予測することは難しいですが、NISA/つみたてNISA、iDeCoなどによる資産形成ニーズは継続し、引き続き金融市場への注目は継続するものと考えています。
(出典(グラフを含む) 日本証券業協会:https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/files/nisajoukyou/new_nisaall.pdf )
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは持続的な成長を通じた企業価値の向上を目指しており、売上高と営業利益を重要な経営指標と位置づけ、企業価値の向上を図ってまいります。またこれらの経営指標をより具体的に可視化するための指標(KPI)として、SNS「PostPrime」について以下を設定しております。
①プライム登録件数
SNS「PostPrime」におけるプライム登録件数
②メンバーシップ加入件数
グリーンメンバーシップ、シルバーメンバーシップ、ゴールドメンバーシップ及びプラチナメンバーシップの総加入件数
③平均課金単価
毎月のプライム登録及びメンバーシップの売上合計を各月末残高件数で除した値に関する対象期間の平均値
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは下記の事項を優先的に対処すべき課題と認識して、取り組みを進めております。
①既存事業の収益機会の拡大及び創出
当社グループは、主力事業であるSNS「PostPrime」を運営することで、主に「プライム登録売上」、「アフィリエイト売上」及び「メンバーシップ売上」という3種類の収益を得ております。また、「TakaTrade」においては商品CFD取引プラットフォームの運営に取り組んでまいります。SNS「PostPrime」及び商品CFD取引プラットフォーム「TakaTrade」への新たな機能やコンテンツの追加や各種マーケティング活動を通して、競合企業との差別化、新規ユーザーの獲得、及び既存ユーザーの満足度向上に向けた機能改善・サービス運営等を推進することで収益機会の拡大を図ってまいります。
②サービス健全性の維持・改善推進
当社グループは、主力事業であるSNS「PostPrime」において、不特定多数のユーザーによるオンライン上のコミュニケーションの場としてのSNS「PostPrime」が活用されていることの重要性とリスクを十分理解したうえで、クリエイター、ユーザーが共に安心してコミュニケーションを楽しめるよう、プラットフォームの健全性維持・改善を常に最重要視しております。具体的には、クリエイター、ユーザーに対する啓蒙活動推進、投資助言とみなされる行為、著作権違反、第三者の名誉、プライバシーその他の権利を侵害しうる行為が生じないための取り組み、社内外のモニタリング体制の強化等の施策を行っております。また、商品CFD取引プラットフォーム「TakaTrade」においては、関係法令を遵守した運営を図ることにより、ユーザーが安心して利用できるプラットフォームとなることを目指しております。当社グループでは、今後もサービスの健全性維持・改善を推進するための体制強化を継続してまいります。
③システムの安定性確保
当社グループの主要事業におきましては、インターネット上にてサービス提供を行っている関係上、安定した事業運営を行うために、新規・既存サービスの成長等に伴うアクセス数の増加を考慮したシステムの安定性確保に取り組んでまいります。
④事業推進体制の強化
今後の事業拡大及び収益基盤の強化を図るにあたり、専門性の高い優秀な人材の確保及び在籍する人員の育成に注力し、有効かつ効率的な事業運営を意識しつつ、事業規模に応じた組織、推進体制の整備を進めてまいります。
開発部門においては、複数のプラットフォーム・機能別チームがそれぞれ裁量をもってサービスの企画・開発に取り組むことで開発効率を高いレベルに保ちながら、それぞれの責任を明確化することで開発品質を担保し、各種ツールを活用した情報の可視化などにより定量的なデータに基づいて迅速な分析・意思決定を行う体制を推進してまいります。
また、マーケティング・カスタマーサポート部門においては、ユーザー数の増加に対して効率的に対応していく体制の強化が重要となります。具体的には、データ分析や各種ツールを活用しながら、新規ユーザー層獲得のための適切なマーケティングの実施、及び既存ユーザー層の満足度を継続的に向上すべく、コミュニティの快適性、安全性を低下させる問題となりうる投稿・ユーザーの発見、及び対応を早期化し、サービスの健全性を維持できる体制を強化してまいります。
⑤内部管理体制の強化
当社グループは、現在も成長途上にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。
そのため、コーポレート業務のさらなる整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、コンプライアンス・リスク管理委員会を中心として、業務運営上のリスクを適時適切に把握したうえでリスク管理を行い、定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を図ってまいります。
⑥情報管理体制の強化
当社グループは、SNS「PostPrime」及び商品CFD取引プラットフォーム「TakaTrade」のサービス運営を通して、個人情報を含む多くの機密情報をユーザーよりお預かりし、保有しております。特にSNS「PostPrime」におけるプライムクリエイターに対してロイヤリティーを支払う際、及び商品CFD取引プラットフォーム「TakaTrade」における口座開設の際に本人確認のための個人情報の提供を義務付けていることからも、これら情報管理の重要性については十分に認識しております。
個人情報等の機密情報管理につきましては、ISMS認証の取得・維持、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、セキュリティシステムの整備等により、今後も引き続き、情報管理体制の強化を推進してまいります。
⑦当社グループブランドの知名度向上
当社グループは、これまで新聞・テレビ・雑誌等のマスメディア向け広告には大きく注力しておらず、SNS「PostPrime」のユーザーによるクチコミとソーシャルメディアの有効活用により、新規ユーザーの獲得、及び既存ユーザーの離脱防止を図ってまいりました。
しかしながら、当社グループの掲げるミッションの達成、既存事業の更なる拡大、新規事業の開発と育成、及び競合企業との差別化を図るにあたり、当社グループの主なサービスであるSNS「PostPrime」及び商品CFD取引プラットフォーム「TakaTrade」のブランド構築及び強化が重要であると認識しており、費用対効果を慎重に検討のうえ、適切な広告宣伝及びプロモーション活動を通して、当社グループのブランド、知名度向上を推進してまいります。
⑧事業拡大を支える財務基盤の構築
当社グループは、これまで金融機関からの借入実績はなく、資金需要は自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした手許資金にて対応してまいりましたが、今後の事業拡大及び上記事業上の課題に対する対処等により、より大きな資金需要が生じる可能性があります。
そのため、十分な手許資金の確保を可能とすると同時に、資金調達方法を多様化させる観点から、今後は、金融機関との良好な関係を構築し借入等による資金調達の可能性を検討してまいります。
当社グループは「最新テクノロジーを使用して、だれでもお金のことを楽しく学べるプラットフォームを拡大」というミッションの下、持続的な成長及び長期的な企業価値の向上に取り組んでおります。SNS「PostPrime」等のサービスを通して、金融・経済リテラシーの高い人々だけではなく、より多くの方々が金融・経済に関して幅広い情報が得られるように当社グループは楽しく利用できるプラットフォーム、コンテンツを社会に提供していくことを目指していきます。
これらの考え方のもとで、当社グループにとってのサステナビリティとは、事業を通して社会課題の解決に寄与することであり、当社グループの持続的な成長が、社会の持続的な発展に貢献できるような世界を目指すことです。その実現に向けて、長期的な視点で持続的に社会価値と経済価値を創出できるよう、様々なサステナビリティに関する取り組みを推進していきます。
特に、当社グループにとっての重要なサステナビリティ課題は、金融・経済情報プラットフォーム事業のSNS「PostPrime」におけるサービス健全性の確保であると考えております。
(1)ガバナンス
当社は、取締役会において、上記のサステナビリティの観点を含む経営の重要な意思決定及び業務執行の監督を行うとともに、監査役会設置会社として、取締役会から独立した監査役及び監査役会により、職務執行状況等の監査を実施しております。そして、会社の意思決定機関である取締役会の機能充実、監査役及び監査役会による取締役の職務執行に対する監視機能の充実、職務遂行上の不正を防止する内部統制機能の充実を図ることに注力しています。
また、当社グループのコンプライアンス及びリスク管理の状況を把握し、必要な情報の共有化を図るとともに、適切なリスク管理を実施しています。その一環として、グループ全体にコンプライアンス及びリスク管理を推進するため、当社は代表取締役を委員長としたコンプライアンス・リスク管理委員会を設置しております。当委員会は、コンプライアンス及びリスク管理の推進・遵守状況、コンプライアンス違反事項及びリスク発生事項を取締役会に報告し、取り組みを啓発・推進しております。特に当社グループのプラットフォームのサービス健全性の維持・改善にとって、当委員会の役割は重要であり、加えて、取締役会等においてかかる課題について議論を行っております。
当社グループは、継続して経営の透明性や公正性を高めるために、法定開示書類の提示を適切に行うとともに、当社ホームページ等を利用したIR活動を積極的に実施する方針であります。
(2)戦略
①サステナビリティに関する戦略
当社が提供するSNS「PostPrime」では、金融・経済に関するコンテンツが多く投稿されていることから、投資助言業に関連する金融商品取引法に抵触しないようするなどコンテンツが各種法令に違反しないようにすること、またサービス内でユーザー同士がコミュニケーションをとることが可能であるため、ユーザーが安心してSNS「PostPrime」のサービスを利用できることが重要であり、ひいてはこれらのサービス健全性の確保が当社の持続的な成長に寄与すると考えております。当社は、SNS「PostPrime」の健全性を確保するために、様々な仕組みの構築に取り組んでいます。具体的には、ユーザーに対し、利用規約やガイドラインにおいて、投資助言業に関連する金融商品取引法に抵触する行為、誹謗中傷行為を目的とする行為、他人の権利侵害に該当する行為、公序良俗に反する行為等の社会的問題へと発展する可能性のある不適切な行為や違法な行為等の禁止を明示しているほか、投稿内容やユーザー間のコミュニケーションのモニタリングを随時行い、規約やガイドラインに違反したユーザーに対しては、改善の要請や退会等の措置を講じ、サービス内における注意喚起を行うなどの対応を行っております。
今後も適切なサービス利用を促進させるためにサービスを利用する上でのマナーや注意事項等をより一層明確に表示し、モニタリング体制の増強など、システム面、人員面双方において監視体制を強化し、健全性維持の取り組みを継続していきたいと考えております。
②人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループでは、サステナビリティ戦略を実現するため、人材の多様性確保、人材育成及び従業員が働きやすい社内環境整備に向けて、外国籍社員の積極的な採用、女性役員の登用、e-learningによる研修の充実、リモートワークの奨励及びフレックスタイム制による出勤制度の導入を図っております。
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ課題を含む事業へのリスクについて、リスクマネジメントプロセスの一環として、四半期に一度以上開催するコンプライアンス・リスク管理委員会で検討・モニタリングを実施し、適切な管理に努めております。具体的には、当社の代表取締役を委員長とし、リスクの抽出やその対応方針・今後の課題等について、選別・評価し、迅速な意思決定を図っております。また特定したリスクについては、必要に応じて、取締役会にてリスクのコントロールについて検討しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略 ②人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」に記載のとおり、人材の多様性確保に向けた指標として「外国籍社員比率」を設定し、中長期的に維持・向上を図ってまいります。
当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。
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指標 |
中長期目標 |
2025年5月期実績 |
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現状水準の維持または向上を目指す |
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当社グループでは、事業等のリスクについて、リスクマネジメントプロセスの一環として、四半期に一度以上開催するコンプライアンス・リスク管理委員会で検討・モニタリングを実施し、適切な管理に努めております。具体的には、代表取締役を委員長とし、リスクの抽出やその対応方針・今後の課題等について、選別・評価し、迅速な意思決定を図っております。また特定したリスクについては、必要に応じて、取締役会にてリスクのコントロールについて検討しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
また、顕在化可能性又は影響度が「小」と記載されたリスクについても、現に当該リスクが発生し又は当社グループの事業、業績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性を否定するものではなく、発生時期の記載と異なる時期に当該リスクが発生する可能性を否定するものではありません。
当社グループは、これらのリスク発生可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
(1)事業環境に関するリスク
①金融市場の動向について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社グループは、個人投資家や金融機関等を対象に主に金融・経済情報に関するプラットフォーム事業を展開しているため、景気の減速や急激な市況変動等の事態が発生した際には、個人投資家の投資意欲や金融機関の広告出稿等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、長期プライム登録及び長期メンバーシップの導入により収益安定化を図っておりますが、個人投資家による新規ユーザー登録や課金サービスの利用等の減少を完全に防止することは困難であり、景気の減速や急激な市況変動等の事態により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②競合について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社グループが展開しているSNS「PostPrime」は、動画・音声・写真・テキストのいずれのメディアに関わらず投稿が可能であること、バッジシステムを採用していること、投稿内容としては投資・経済分野が最も多くなっている点において、他のSNSと異なるユニークさを有していると考えています。ただし、資本力、マーケティング力や知名度、新規サービスの開発力等を有するSNS運営企業等が、SNS「PostPrime」がターゲットとするユーザーを獲得するためにサービスの開発や改変を行った場合には、競争の激化やその対策のためのコスト負担等が予想されます。さらに、その結果当社グループが提供するサービスからユーザーが離れる場合には、アクティブユーザー数が減少し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループとしては、競合可能性のある他企業に対する調査や、ユーザー嗜好、利用傾向等に関する市場調査等を通して、本リスクの顕在化を早期に発見し、対処することに努めておりますが、本リスクの顕在化の時期や程度を防止予測することは困難であります。
③インターネット環境、モバイルネットワーク環境について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社グループが提供するサービスは、ウェブブラウザ及びスマートフォンにおけるオペレーティングシステム上で作動するものであり、またインターネット及びスマートフォンによる動作・通信環境が安定して稼働していることが事業運営の前提であるため、通信に対する法規制の導入、通信費の増加、通信障害の発生、携帯電話やインターネットの通信事業者との関係の悪化、スマートフォンや各種オペレーティングシステムの仕様変更等による当社グループのサービス継続提供に対する支障発生等が、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクは、インターネットサービスを中心に事業展開する当社グループの事業構造が継続される限りは、恒常的に潜在するリスクと認識しておりますが、外的要因・予測不可能な要因によるものも多く、顕在化する可能性、時期及びその程度を予測することは困難であります。
④技術革新について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:長期)
当社グループが事業を展開するインターネット業界においては、技術革新のスピードが速いため、優秀な技術者を確保するとともに先端技術の研究やシステムへの採用等、必要な対応を行っております。しかしながら、何らかの当社グループが予期せぬ技術的な要因により、変化に対する適時適切な対応ができない場合には、業界における当社グループの競争力が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、これらのリスクは、インターネットサービスを中心に事業展開する当社グループの事業構造が継続される限りは、恒常的に潜在するリスクと認識しておりますが、外的要因・予測不可能な要因によるものも多く、顕在化する可能性、程度及び時期を具体的に予測することは困難であります。
(2)事業に関するリスク
①特定サービスへの収益依存について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社グループは、主力事業であるSNS「PostPrime」に経営資源を集中させており、従来の収益の多くは当該事業によるものです。今後、新たな柱となる事業として2025年8月よりサービスを開始した取引プラットフォーム事業を育成し、収益構造の多様化を図って参りますが、事業環境の変化等により、当該事業が停滞又は縮小した場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
②売上にかかる第三者への依存について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:短期)
当社グループが提供するスマートフォン用アプリは、Apple Inc.及びGoogle Inc.といったプラットフォーム運営事業者を介して一般ユーザーに提供されており、代金回収やシステム利用、ユーザー獲得等において、かかるプラットフォーム運営事業者に相当程度依存しております。
当社グループは、これらの事業者との良好な関係の構築のため、かかるプラットフォーム事業者より課される条件・ルール等の対応及びその運用に努めております。また、当社グループの金融・経済情報プラットフォーム事業は、スマートフォン用アプリだけでなく、ウェブブラウザ用アプリによる利用が可能となっており、かつ、スマートフォン用アプリの売上高よりもウェブブラウザ用アプリの売上高の方が大きいなど、売上高におけるプラットフォーム事業者への依存リスクの分散を図っております。当社グループ全体の売上高のうち、スマートフォン用アプリの売上高の割合は、2025年5月期において約2割であります。
しかしながら、当社グループはその収益の一定割合についてスマートフォン用アプリを通した課金等の売上高に依存しているため、かかるプラットフォーム事業者より課されるアプリ内課金における条件・ルール・手数料等の変更もしくは事業方針の変更、それらの運用にかかる当社グループのコスト増、又は当社グループが予測困難な変更等により従来通り当社のスマートフォン用アプリの提供ができなくなり、これらの事業者との契約継続が困難となった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、本リスクの顕在化を防止するために、かかるプラットフォーム運営事業者との良好な関係構築や適時な情報収集及び対応に努めておりますが、本リスクが顕在化することを完全に防止することは困難であります。
③サービスの健全性の維持について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:短期)
当社グループの提供するサービスは、不特定多数のユーザーが、それぞれの立場からオンラインコミュニケーションを行うプラットフォームを提供することとなります。このため、当社グループでは、プラットフォーム及びその中に存在する多数のコミュニティの健全性確保のため、ユーザー同士のトラブルの回避や違法行為及び公序良俗に反する行為等を防止する観点から、ユーザーに対し、利用規約等において、投資助言勧誘行為、著作権侵害行為、名誉毀損・誹謗中傷等他人の権利を侵害しうる行為等を禁止しております。さらには、ユーザーによる違反行為の報告制度の整備・運用、機能面では、特定のユーザーや単語をブロックする機能等の提供をしております。
ユーザーに対しては、サービスの利用における注意事項や各種ポリシーを周知し、違反行為が発見された場合は程度に応じて注意警告を行い、場合によってはユーザーアカウントの利用不可とするなど、違反行為の改善を促しております。また、投稿内容のモニタリング体制を構築及び運用をしており、社内でのカスタマーサポート、アドミニストレーション部門の人員の確保・教育、及び外部専門チームを活用し、監視体制の強化を図っております。
しかしながら、投稿内容やユーザー間のコミュニケーションや行為を完全かつ網羅的にモニタリングし把握すること、及び不適切な行為または違法行為等の発生時期を予測することは困難であることから、当社グループのサービスにおいて、投資助言勧誘、著作権侵害等の法令違反行為のほか、第三者の名誉、プライバシーその他の権利を侵害する行為等が行われた場合や、プラットフォームの安全性及び健全性が確保できない場合には、当社グループ及び当社グループが提供するサービスに対する信頼性が低下し、ユーザー離れにつながる可能性があります。更に、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループもプラットフォームを提供する者としての責任を問われた場合、当社グループの企業イメージ、提供するサービスのブランドイメージ、信頼性の毀損、ひいては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④システムについて(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社グループの事業は、そのサービス特性からサービス及びシステムについて高い安全性及び安定性が求められております。当社グループのサービスは、インターネットを介してサービスを提供する形態であり、自然災害、外部委託事業者における障害発生により、通信トラブルが生じた場合、継続したサービス提供等に支障が生じる可能性があります。
また、当社グループのシステムにおいて、ソフトウェア又はシステム機器等の瑕疵・欠陥等によるトラブルが発生した場合、コンピュータウィルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合、急激なアクセス増加や予測不可能な様々な要因によってコンピューターシステムがダウンした場合にも、同様のリスクがあります。
当社グループにおいては、ユーザーへのサービス提供が妨げられるようなシステム障害を回避すべく、定期的なバックアップ、システムの多重化等により未然防止策を実施しております。しかしながら、当該対応にも拘らず、何らかのトラブル等に起因して大規模なシステムトラブルが発生し復旧遅延が生じた場合、サービス継続に支障が生じた場合には、当社グループのシステム及びサービスに対する信頼性の低下やクレーム発生その他の要因により、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)会社組織に関するリスク
①代表取締役への依存について(顕在化可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社グループの代表取締役である高橋ダニエル圭は、当社グループの創業者であり、創業以来代表取締役を務めております。同人は、ニューヨークのウォール街における投資銀行業務等の経験に基づく、グローバルの金融や経済に関する深い知見を有し、2020年に始めたグローバルの金融や経済を解説するYouTubeチャンネルの登録数は約50万人となっております。同人は、当社グループの創業以来当社グループの経営を牽引しており、当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。また、SNS「PostPrime」及び「YouTube」の当社チャンネルにおいては、コンテンツ内容の立案、マーケットデータ等の情報収集、動画編集、コンテンツ内容のチェックは当社グループの社員が行っている一方で、同人が出演者として重要な役割を果たしています。何らかの理由により同人が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社グループ全体の収益のうち、同人によるSNS「PostPrime」及び「YouTube」の当社チャンネルがもたらす収益の割合は、2025年5月期において約3割であり、今後さらなる低減を図っていきたいと考えております。なお、同人が出演しているSNS「PostPrime」におけるチャンネルは、当社グループとして運営しているチャンネルであるため、同人に対してロイヤリティの支払いは行っておりません。
このようなリスクを踏まえ、当社グループは、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同人に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
②人材に関するリスク(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社グループは、2025年5月31日現在において、取締役5名、監査役3名、従業員数28名と小規模組織であり、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社グループが今後とも企業規模を拡大し、提供サービスの質の向上を図っていくためには、ウェブブラウザ用アプリ及びスマートフォン用アプリのアプリ開発、設計等に関する技術的な専門性を有する開発部門の人材をはじめ、管理部門やサービス運用部門においても、当社グループの理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠であります。
当社グループは、これらに必要な優秀な人材の確保のため、人材育成制度の整備による既存人材の能力の底上げ及び人材の定着を図る一方で、今後も採用活動を行っていくことで内部管理体制の一層の充実を図っていく計画であり、また並行して外注の人材を活用していく方針ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により計画通りの採用が進まない、人材育成が進まない、人材の流出が進む等、当社グループが必要な人材の確保が困難となる場合には、当社グループの競争力の低下や、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③内部管理体制について(顕在化可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社グループは、継続的に成長し続けるためには、企業規模の拡大に応じた内部管理体制の強化が必要不可欠な課題であると認識しております。そのため、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムを整備し、運用しております。今後においても、内部統制システムの運用及び継続的な改善を行い、事業運営上のリスクの把握と管理を適切に行える体制構築及び強化に邁進してまいります。
しかしながら、事業規模の急速な拡大等により、それに応じた内部管理体制の構築に遅れが生じる場合には、適切な事業運営が困難となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④情報管理体制について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社グループは、収益機能を利用している一部のユーザーから個人情報を取得しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されており、また一部のユーザーからはマイナンバーの提供も受けており、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」が適用されております。
当社グループは、個人情報の外部漏えいの防止、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)適合性評価制度」の認証を取得しています。情報管理に係る具体的な施策としては、プライバシーポリシーを社内外に公表するとともに、個人情報保護管理規程、情報セキュリティ管理規程等の諸規程を定め、定期的な研修により役職員に対する継続的啓蒙を図っております。しかし、これらの施策にもかかわらず、個人情報等の機密情報が万一漏洩した場合には、損害賠償責任を負うばかりでなく社会的信用を失うこととなり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤社歴が浅いことについて(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社は2020年9月に設立されており、設立後の経過期間は5年程度と社歴の浅い会社であります。したがって、当社グループの過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。
(4)法的規制等について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:長期)
当社グループの事業は、「電気通信事業法」、「金融商品取引法」、「著作権法」、「資金決済に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「特定商取引に関する法律」等の各種法令や、監督官庁の指針、ガイドライン等による規制を受けております。なかでも、SNS「PostPrime」では、投資・経済に関連するコンテンツが多いことから、投資助言業に関連する金融商品取引法に抵触しないように特に注意を払うとともに各種法令等の遵守に努めております。
しかしながら、このような法令の制定や改正、監督官庁による許認可の取消又は処分、新たなガイドラインや自主的ルールの策定又は改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受け、又は既存の規制が強化された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、連結子会社 TakaTrade株式会社では、農林水産大臣ならびに経済産業大臣より「商品先物取引法」における商品先物取引業者として許可を受けております。商品先物取引業者としての登録を維持するためには、純資産額規制比率が120%を下回ることのないようにしなければならないことが法令上求められており、これを継続して満たす必要があります。純資産額規制比率は、企業のリスク耐性や財務の健全性を示す重要な指標であり、基準を下回った場合には、業務改善命令や登録取消等の行政処分の対象となる可能性があります。また、営業活動においては、顧客の知識・経験・財産の状況等に応じた適正な勧誘(適合性原則)の徹底、不招請勧誘の禁止、重要事項の十分な説明など、投資者保護を目的とした規制を遵守しております。さらに、顧客から預託を受けた金銭は、当社固有の資産と明確に分離保管し、信託保全等の措置を講じております。これらの法令に違反した場合にも、行政指導や業務停止・登録取消等の行政処分を受ける可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他
①配当政策について(顕在化可能性:小、影響度:小、顕在化の時期:未定)
当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。現在は、当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考え、会社設立以降、配当は実施しておりません。今後の株主への配当につきましては、各事業年度の業績推移及び財政状況並びに今後の投資計画等を総合的に勘案しながら、配当政策を決定する方針であります。
なお、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
②感染症、自然災害等の影響について(顕在化可能性:中、影響度:小、顕在化の時期:中期)
当社グループでは、テレワーク(在宅勤務)の活用、ウェブ会議や社内チャットツールの積極的な利用により、新型コロナウィルス感染症拡大のようなパンデミックや自然災害等が発生した際に、柔軟に事業を継続できる体制の整備に努めており、当社グループのビジネスへの影響は軽微であると認識しております。しかしながら、同様の感染症の流行等や台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:中期)
本書提出日現在において、当社の発行済株式総数は10,252,060株であり、当社は当社グループの役員及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権(以下「ストック・オプション」)1,201,940株(株式総数比率で10.49%)付与しております。また、今後におきましても、役員及び従業員へのモチベーション向上と優秀な人材の確保を目的としてストック・オプションの付与を検討しております。これらのストック・オプションの権利行使が行われた場合、当社株式が新たに発行され、当社の1株当たりの株式価値が希薄化するとともに、株式売買の需給バランスへの影響が発生し、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性は、本書提出日以降においても相応にあるものと認識しております。当社グループにおいては、ストック・オプションの行使による株式価値の希薄化を解消できるよう、今後の業績向上に努めてまいります。
④当社株式の流動性について(顕在化可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:中期)
当社の流通株式時価総額及び流通株式比率は、東京証券取引所が定める上場維持基準に近接しております。当社は経営方針・経営戦略に従って、売上高及び利益の成長を通じて企業価値を継続的に向上させることで流通株式時価総額の拡大に努める方針であります。また、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加、当社大株主への一部売出し要請等の施策を組み合わせることで、流動性の向上を図っていく方針であります。しかしながら、何らかの事情により上場時よりも流通株式時価総額及び流通株式比率が低下する場合には、上場維持基準に抵触し、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、2024年4-6月期に名目GDPが年率換算で600兆円を初めて超え、設備投資も33年ぶりに過去最高を更新するなど明るい兆しがみられました。特に賃金と物価が共に上昇し、春季労使交渉では33年ぶりの高水準の賃上げが実現したことが個人消費を下支えしましたが、賃金の伸びが物価上昇を安定的に上回るには至っておらず、個人消費は力強さを欠いております。このため経済はデフレ回帰か成長型経済への移行かの分岐点にあり、50か月以上続く景気回復局面も今後のショック次第で失速する可能性がある等、引き続き先行きが不透明な状況が継続しております。
このような状況の下、当社グループでは、中長期的な企業価値の向上と持続的成長の実現に向け、当社グループが主力事業として運営するSNS「PostPrime」を中心として、より多くのユーザーに利用していただけるようにするため、ユーザーにとって魅力的かつ有益な新機能や新サービスの開発に継続的に取り組んでおります。
このような取り組みの結果、当連結会計年度における売上高は897,378千円、営業利益は183,175千円、経常利益は175,797千円、親会社株主に帰属する当期純利益は87,339千円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の単一セグメントから「金融・経済情報プラットフォーム事業」及び「取引プラットフォーム事業」の2区分に変更しております。
a.金融・経済情報プラットフォーム事業
当連結会計年度においては、プライムPlus、IZANAVIをリリースいたしました。プライムPlusでは、各クリエイターが複数のプライム登録価格を設定し、それぞれのプライム登録者に対し異なるコンテンツを提供することを可能とします。また、IZANAVIでは、AIが機械学習した過去のマーケットデータに基づくチャートパターン等の情報をユーザーに提供する機能です。これらにより、SNS「PostPrime」の有用性・利便性を一層高め、当社グループのサービスをより幅広く活用いただくことを目指してまいります。
この結果、売上高は897,378千円、営業利益は281,057千円となりました。
b.取引プラットフォーム事業
取引プラットフォーム事業は当連結会計年度より開始した新規事業であり、2024年10月にTakaTrade株式会社(旧 PostPrime Trading株式会社)を設立し、取引プラットフォームの調査及び運営に向けた開発を開始いたしました。
この結果、営業損失は118,940千円となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1,252,878千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金912,870千円、有価証券205,670千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は255,334千円となりました。その主な内訳は、契約負債139,462千円、未払金78,382千円、買掛金23,634千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は997,544千円となりました。その主な内訳は、利益剰余金951,578千円、資本金21,898千円、資本剰余金20,898千円であります。
なお、自己資本比率は79.4%であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,119,007千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により使用した資金は、43,856千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益175,797千円、為替差損18,117千円があった一方で、法人税等の支払額166,477千円、契約負債の減少額33,870千円、未払消費税等の減少額24,523千円、コイン引当金の減少額15,662千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、2,892千円となりました。これは、差入保証金の差入による支出1,730千円、有形固定資産の取得による支出1,162千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、41,796千円となりました。これは、株式の発行による収入41,796千円があったことよるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年6月1日 至 2025年5月31日) |
|
|
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
金融・経済情報プラットフォーム事業 |
897,378 |
- |
|
取引プラットフォーム事業 |
- |
- |
|
合計 |
897,378 |
- |
(注)当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
当連結会計年度 (自 2024年6月1日 至 2025年5月31日) |
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|
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
Performance Horizon Group株式会社 |
117,515 |
13.1 |
|
Apple Inc. |
111,041 |
12.4 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は897,378千円となりました。
当社グループでは、中長期的な企業価値の向上と持続的成長の実現に向け、当社グループが主力事業として運営するSNS「PostPrime」を中心として、より多くのユーザーに利用していただけるようにするため、ユーザーにとって魅力的かつ有益な新機能や新サービスの開発に継続的に取り組んでおります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は110,364千円となりました。
主な内容は、プライムクリエイターに対する支払ロイヤリティであります。この結果、当連結会計年度における売上総利益は787,013千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は603,838千円となりました。
主な内容は、システム利用料、人件費であります。この結果、当連結会計年度における営業利益は183,175千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は10,740千円、営業外費用は18,118千円となりました。
主な内容は、有価証券利息及び為替差損であります。この結果、当連結会計年度における経常利益は175,797千円となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において特別損益の計上はなく、法人税等合計は88,458千円となりました。この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は87,339千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの事業活動における主な資金需要は、プライムクリエイターへのロイヤリティの支払のほか、事業の継続及び持続的な成長にかかる資金(主に人件費、システム利用料、外注費、支払報酬料、広告宣伝費等)であります。これらの事業活動に必要な資金について、これまでは営業活動によるキャッシュ・フローで十分にまかなえてきましたが、必要に応じて長期資金需要に対しては株式市場、短期資金需要に対しては金融機関からの調達を実施する可能性があります。
なお、当社グループの事業は、販売に先行する支払となるような仕入等はなく、提供サービスに対する対価をお客様から受領するビジネスモデルであります。現時点で、短期的な資本の財源及び資金の流動性に問題はありませんが、今後も資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を常にモニタリングしつつ、資本の財源及び資金の流動性の確保・向上に努めてまいります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,119,007千円であり、当社グループの事業を推進していく上で十分な流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものはありません。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載したとおり、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向や業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、売上高と営業利益を重要な経営指標と位置づけ企業価値の向上を図ってまいります。また、これらの経営指標をより具体的に可視化するための指標(KPI)として以下を設定しております。当該指標については、当連結会計年度において継続的に増加しており、順調に推移しているものと認識しております。
a.プライム登録件数
SNS「PostPrime」におけるプライム登録件数
b.メンバーシップ加入件数
グリーンメンバーシップ、シルバーメンバーシップ、ゴールドメンバーシップ及びプラチナメンバーシップの総加入件数
c.平均課金単価
毎月のプライム登録及びメンバーシップの売上合計を各月末残高件数で除した値に関する対象期間の平均値
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KPI |
前事業年度 |
当連結会計年度 |
|
プライム登録件数(件) |
27,074 |
17,107 |
|
メンバーシップ加入件数(件) |
9,362 |
5,151 |
|
平均課金単価(円) |
1,893 |
2,257 |
(注)1.プライム登録件数は、事業年度末又は連結会計年度末時点の残高件数を記載しております。
2.メンバーシップ加入件数は、事業年度末又は連結会計年度末時点の残高件数を記載しております。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。