当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、株主共同の利益のため、過去から続く当社グループの経営資源を合理的に活用し、また、上場会社として適切なコーポレート・ガバナンス体制を確立し、2024年10月29日付の中期経営計画(AI革命1.0)に記載のとおり、様々なセクターの企業群の構造変革をもたらす可能性のある「第四次産業革命」と目されるAIを軸に、「自己投資事業」「ファンド事業」「PIPEs事業」「投資銀行事業」の4つの事業ドメインをコア領域と定め、シナジー効果を発揮しながら、それぞれが独立した事業として当社グループの利益成長をドライブすることを目指しております。そして、当社グループが投資目的で保有する有価証券との価値連動性が低いオルタナティブ金融資産としての特性を有し、当社グループが事業の軸に据えるAIと密接な関係を有することから新たに開始した暗号資産事業とあわせ、これらの戦略的投資・金融活動により日本の成長を支えるキャピタルグループを目指し、中長期的な企業価値、並びに、株主価値向上に邁進してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営指標につきましては、戦略的投資・金融活動により日本の成長を支えるキャピタルグループを目指し、2028年3月期には時価総額1,000億円を目標として掲げております。当該目標は単なる数値目標ではなく、当社グループの長期的なビジョンである「日本の成長を支えるキャピタルグループ」としての地位を確立するための、進捗を測る上で重要なマイルストーンと位置付けております。
「積極的な投資活動」「投資先やグループ会社となった企業とのシナジー効果の追求」および「内部成長」により利益成長を実現することで、目標達成を目指してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
① 「積極的な投資活動の実行」と「投資先やグループ会社となった企業とのシナジー効果の追求」
当社グループは、自己投資事業における株式会社ショーケース等の連結子会社化やPIPEs事業におけるウェルディッシュへの投資など、単独或いは他の投資家・企業とともに自己資金で投資活動を実行しております。競合となる国内外の投資会社や事業会社は多数存在しておりますが、今後も当社グループが強いパイプを有する地域の金融機関や地方自治体のほか、パートナー企業、投資先企業のネットワーク等をフル活用し引き続き積極的に投資活動を実行し、その後の「顧客の相互紹介」「ファンド事業で投資する『AIソリューション提供企業群』による、自己投資事業で投資する『AIを活用した事業モデル変革を図る企業』へのAIソリューションの提供」「各投資先の強みを活かした新規サービスや商品の開発」など、投資先やグループ会社となった企業とのシナジー効果を追求するなど、当社グループが自己投資事業、ファンド事業、PIPEs事業、投資銀行事業を行い、それにより各事業の取引先・投資先が相互に連携・協業する環境を構築できる強みを活かし、当社グループの業績を最大化させ、株主価値の最大化を目指してまいります。
② 投資ファンドの規模と投資領域の拡大
ファンド事業においては、投資家の皆さまからお預かりした資金を原資とした投資により財務的及び事業戦略的成果を上げ、その成果から生まれる信頼によって次の投資の器となるファンドにおいて資金をお預かりするというプロセスを繰り返す中でその規模を拡大していくことが1つの成長モデルであります。投資ファンドは、1本あたりのファンド規模が少額であると、そこから分散投資をすることになり、投資実行金額が自ずと少額になります。その結果、投資先社数ばかりが先行して増えてしまい、当社グループが無限責任組合員として運用するファンド総額が十分に追いつかず、当社グループとして維持できるファンド投資担当者の人員規模と投資先社数の整合がとれなくなる課題があります。従って、リスクマネー提供機能を維持しつつ、今後新規設立する1本あたりの投資ファンドの規模を増大させるとともに、投資領域の拡大に努めてまいります。
③ 暗号資産への投資の拡大
当社グループでは、暗号資産は、オルタナティブ金融資産としての特性に加えて、当社グループが事業の軸に据えるAIと並びデジタル社会の二大テクノロジーの双璧であるブロックチェーン技術としての優位性を有していると考えております。暗号資産のブロックチェーン技術を利用したサービスの提供は今後も中長期で拡大が予想され、それに伴い暗号資産の存在感も更に向上すると考えております。また、AIと暗号資産は相互補完をしてきた関係にあり、今後も、さまざまな領域において補完しあうことで革新的な変化を引き起こす可能性を有しており、切り離すことのできない密接な関係となっております。当社グループは、リスクはあるものの、オルタナティブ金融資産+テクノロジーとしての中長期での暗号資産の優位性を見据え、また、当社グループが軸として掲げるAIと暗号資産との密接な関係を鑑み、市場環境を見ながら中長期的な視点で暗号資産を継続的に蓄積し、株主価値の最大化に向けた取り組みを進めてまいります。また、将来的には、暗号資産への投資のみならず、当社グループがファンド事業を通じて培ってきたノウハウを活かして、令和6年LPS法(投資事業有限責任組合契約に関する法律)の改正でLPSが実施可能な事業として追加された暗号資産を投資対象としたファンドの組成も視野に入れるほか、当社グループの連結子会社となったショーケースのIT分野での技術力を活かした同社との協業により暗号資産関連のサービス提供も視野に入れるなど、当社グループがコア領域と定める4つの事業ドメインとの親和性も高く、シナジー効果を活かしながら当事業の拡大を考えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが対処すべき主な課題は、以下のとおりであります。
① 投資案件の情報源の充実
当社グループは、自己資金による自己投資事業、PIPEs事業、当社グループおよび投資家の資金によるファンド事業において今後も引き続き積極的に投資活動を実行してまいりますが、競合となる国内外の投資会社や事業会社も多数存在しており、良質な投資案件の実行のためには、投資案件の情報源の充実が欠くことの出来ない重要な要素となります。当社グループでは、強いパイプを有する地域の金融機関や地方自治体のほか、パートナー企業、投資先企業のネットワーク等をフル活用し、情報源を充実させるとともに、当社グループが自己投資事業、ファンド事業、PIPEs事業、投資銀行事業を行っていることによる投資手段の柔軟性の強みを活かし、積極的な投資を行ってまいります。
② 投資先やグループ会社となった企業とのシナジー効果の追求
投資先やグループ会社となった企業の企業価値向上のためには、シナジー効果の追求が重要な鍵となります。当社グループでは自己投資事業、ファンド事業、PIPEs事業、投資銀行事業において様々な上場企業・非上場企業・ベンチャー企業のネットワークを構築している強みを活かし、「顧客の相互紹介」から始まり、「新規商品・サービスの開発・提供」まで、シナジー効果の追求が可能となるよう、グループ内や投資先企業との「情報共有」や「シナジー追求のための協議のインフラ作り」を充実してまいります。
③ 新規ファンドの設立
多数のファンドが設立される中、「AIを自社開発している企業群 (競合との差別化が図れるコア技術を有する企業群)」「SaaS/パッケージなどAIソリューションサービスを提供可能な企業群」「半導体やセンサーをはじめAI関連のハードウェアを開発している企業群」「AIの拡大に伴う通信容量・エネルギー供給等不足の解消が可能な企業群」等への投資を想定したAIソリューションを提供する企業群に特化したファンドなど、他にはない特色のあるファンドの組成への取り組みを充実させてまいります。
④ 暗号資産のリスク管理と株主への説明の充実
暗号資産投資事業において、暗号資産は、中長期ではオルタナティブ金融資産+テクノロジーとしての優位性を有していると考える一方で、価格のボラティリティが高く、短期的には投資した資産の価値が急激に上がったり、下がったりするリスクがあると当社グループでは考えています。また、暗号資産の銘柄によってはセキュリティリスクを有していることからハッキングや不正アクセス等による暗号資産の盗難リスクがあり、また、技術的リスク・規制リスクなども潜在的に存在していると考えております。これらの短期的な価格ボラティリティを含む潜在的リスクを正しく管理し、また株主への説明を充実させてまいります。また、将来的に、暗号資産分野での当社グループの事業活動を投資のみならず、ファンドの組成やその他暗号資産関連サービスの提供にまで拡大していけるよう、ノウハウの蓄積を進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みについては、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものとなります。
(1)ガバナンス
当社グループは経営の効率性及び透明性を高め、株主をはじめとしたステークホルダーの利益を追求し、企業価値を向上させるために、コーポレート・ガバナンスの構築が経営課題の一つであると考えております。
その中で当社グループは経営環境の変化に対応した競争優位性の高い戦略を実施し、迅速な意思決定を行うために、定時取締役会を毎月開催しており、必要に応じて臨時取締役会を機動的に開催することで、サステナビリティを意識した経営を行っております。また、意思決定にあたっては、社外取締役(監査等委員)を含めた場で重要事項の意見交換等を適宜行っており、適切な経営監視を行っていただくことでガバナンスの維持・向上に努めております。
(2)戦略
当社グループは各オフィス拠点の光熱費や出張に伴う交通手段の活用をのぞき、事業の遂行上特段には温暖化ガスを排出しない状況にありますが、投資という事業を通じて投資先企業がもたらす影響についても積極的に関与していくことで、サステナブルな社会への貢献に努めます。また業務のデジタル化をはじめとするDXを推進しており、これを通じて顧客企業の事業成長を支援し、継続的な発展に貢献することで持続可能な社会の実現に寄与するものと考えております。
■サステナビリティに関する戦略
主としてベンチャーキャピタル事業含む金融ソリューション事業を営む当社グループは、ファンドとして投資機会を見出すために、技術革新につき常に情報収集しており、サステナビリティ領域もその例外ではありません。当社グループのベンチャーキャピタル事業ではこれまで40社近くに上る環境関連ベンチャーにファンドを通じて投資実行をしております。また、あすか製薬株式会社と、フェムテック(女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する製品・サービス等)を重要テーマに含むCVCファンドを組成するなど、事業会社のオープンイノベーションを通じ、革新的な技術やサービスの社会実装を後押ししております。また、当社グループの強みである地方創生ファンド(地方創生ファンド実績累計36本※GP譲渡ファンド除く。内、社会的インパクトをテーマに掲げるファンド8本)の更なる拡大により、地域における創業率の向上、地域内経済の活性化、雇用の創出に貢献する等、地方創生の本格的な推進の手段として地域経済の活性化および社会課題解決を投資先事業を通じて間接的に進めてまいります。
■人材多様性に関する戦略
当社グループは、主要事業としてベンチャーキャピタル事業を含む金融ソリューション事業を通じて、環境関連や(フェムテック等の)インクルージョンに従事するスタートアップの育成に携わっており、その事業の特性上、ベンチャーキャピタリストをはじめとする「個人の力」に大きく依存します。そのため、いかにして優秀な「個人」を採用し、育てていくかが、事業上大きな課題となります。これまでも継続している様々な経験・スキル・ポテンシャルを有する人材を継続的に採用し、多様なバックグラウンドをもつ人材を要することが重要であり積極的な人材採用を進めてまいります。人材多様性につきましては、女性の投資チームメンバー(キャピタリスト)を積極的に採用募集しております。また、性別(ジェンダーレス含む、以下同じ)や人種に関係なく平等に活躍の機会を広げるために、公正な評価を受けることができる評価制度を新たに導入しております。また社内環境においては、フレックス勤務等社員が働きやすい勤務形態や環境を継続的に実施しており、引き続き当社グループは一般的な投資会社とは明確に差別化されたサステナビリティ企業としてのアイデンティティを確立することを目指します。
(3)リスク管理
当社グループは、経営活動に潜在するリスクを特定し、平常時より、リスクの低減、危機の未然防止に努めるとともに、当社グループの経営活動に重大な影響を及ぼすおそれのある危機発生時の体制を定め、迅速かつ的確な対応をとり、事態の拡大防止及び速やかな収拾・正常化を図ることを目的として、リスクマネジメント規程を定め、運用しております。
(4)指標及び目標
上述のとおり、当社グループは以下の目標に向け取り組んでまいります。
①サステナビリティに関する目標
地方創生ファンドを含めたファンド運用総額を2027年3月期までに300億円まで増大させることにより、地域経済の活性化および社会課題解決を投資先事業を通じて間接的に実現していく所存でございます。
②人材多様性に関する目標
当社では人材の多様性を尊重し、社員や経営人材の多様性がビジネスに与えるプラスの影響について深く理解しております。しかしながら、目標指標の設定が特定の性別や人種に偏見をもたらす可能性があることを考慮し、慎重な進め方を模索しております。本件に関しては、引き続き慎重に検討を重ね、適切な方針を見極める所存でございます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中に将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)リスク管理体制
当社は、事業等のリスクを管理するため、管理本部及び経営企画室を担当部門とし、「第4 提出会社の状況 4コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項<リスク管理体制の整備状況>」に記載のとおりリスクマネジメント委員会を設置して、リスクの特定、分析し、適切な対応策を策定しております。
(2)主要なリスク
当社グループの事業活動におけるリスクで経営成績又は財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は次のとおりであります。
<知名度および信用度リスク>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)
当社の投資業務において、知名度と社会的信用は事業の根幹を成す要素です。役職員や関係者による法令・社会規範に反する行為は、顧客保護、市場の健全性、公正な競争、公共の利益、そしてステークホルダーに深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、経営上の重大な知名度・信用度リスクを特定・評価し、コントロール策によるリスク低減・制御に努めています。また、行動指針を重視した人事評価制度を通じて、上場投資会社に求められる行動規範と健全なリスクカルチャーの浸透・醸成を図っています。しかし、これらの取り組みにも関わらず、役職員等の不適切な行為が原因で市場や公共の利益に悪影響を与えた場合、取引先や金融業界からの信用失墜により、当社の経営成績と財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクが顕在化する可能性は、金融市場の複雑化や規制強化が進む中で、決して低いものではありません。特に、コンプライアンス意識の低い従業員が一定数存在する状況や、内部統制システムが十分に機能していない場合には、リスクが顕在化する可能性が高まります。具体的な時期を予測することは困難ですが、不祥事が発覚した場合、瞬時に信用が失墜し、株価の急落や取引停止などの事態に発展する可能性があります。信用失墜は、新規投資の機会損失、既存投資家からの資金引き上げ、そして優秀な人材の獲得困難など、多岐にわたる悪影響を及ぼし、長期的な経営に深刻なダメージを与えることが予想されます。
このような事態を回避するため、当社は以下の対応策を講じます。まず、倫理規定の策定と周知を徹底し、役職員だけでなく関係者も含めた行動規範を明確にします。次に、内部通報制度を強化し、匿名での通報を可能にすることで、早期の問題発見と解決を図ります。また、不祥事発生時の適切な情報開示と企業イメージ回復のための広報体制を強化します。さらに、法務、広報、危機管理などの外部専門家と連携し、リスク発生時の対応体制を構築します。定期的なコンプライアンス監査を実施し、法令遵守状況を常にチェックすることで、リスクの未然防止に努めます。これらの対策を講じることで、リスクを最小限に抑え、信用を維持し、企業価値を守ります。
<人材確保、育成>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の成長力の源泉は、投資担当者の能力に大きく依存しており、管理部門も少人数体制のため、個別人材への依存度が高い状況です。そのため、過度な離職を防止し、能力ある人材を確保できない場合、当社の成長、業績、財政状態に悪影響を及ぼすとともに、業務運営に支障をきたす可能性があります。
人材の流動性が高まる現代において、このリスクが顕在化する可能性は決して低くありません。特に、競合他社による引き抜きや、従業員のキャリア志向の変化などにより、予期せぬ時期に人材が流出する可能性があります。人材が流出した場合、投資担当者の場合は投資判断の遅延や質の低下、管理部門の場合は業務の停滞やミスの増加など、業務遂行に支障をきたすことが考えられます。これらの影響は、業績悪化や企業価値の低下に繋がる可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社は採用戦略の見直し、人材育成制度の充実、従業員満足度向上策の実施、キャリアパスの明確化など、多角的な対策を講じます。採用ターゲット層の拡大や採用チャネルの多様化により、優秀な人材を確保する機会を増やします。階層別研修や専門スキル研修など、多様な育成プログラムを提供することで、従業員の能力向上を支援します。給与水準の見直しや福利厚生の充実など、従業員満足度を高めることで、離職率の低下を目指します。また、多様なキャリアパスを提示することで、従業員のモチベーション向上を図ります。これらの対策により、人材リスクを最小限に抑え、持続的な成長を実現します。
<ファンド残高の減少>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ファンドの運用成績不振、出資者対応の不備、顧客ニーズを捉えた商品設計の欠如は、ファンドの信用低下と投資家からの信頼喪失を招き、新規ファンドの設立・募集を困難にします。これにより、管理報酬の減少や収益悪化を招き、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
市場変動や経済状況の変化により、ファンド運用成績が短期的に悪化する可能性は常に存在します。また、投資家の期待に応えられない場合や、コミュニケーション不足による誤解が生じた場合、信頼を損なう可能性があります。これらの要因は、ファンドの解約増加や新規投資の減少に繋がり、収益基盤を揺るがす事態を招く可能性があります。
このようなリスクに対し、当社は投資戦略の見直し、投資プロセスの改善、顧客コミュニケーションの強化、商品開発力の強化など、多角的な対策を講じます。市場環境や顧客ニーズの変化に合わせた投資戦略の見直し、投資案件の選定からモニタリングまでの投資プロセスの質向上、定期的なレポート提供や説明会開催による顧客との密なコミュニケーション、顧客ニーズや市場動向を捉えた魅力的な商品開発を通じて、ファンドの運用成績向上と顧客満足度向上を目指します。これらの対策により、ファンド残高減少リスクを最小限に抑え、安定的な収益確保と持続的な成長を目指します。
<M&Aに対するリスクについて>(発生可能性:中、発生時期:M&A実行後、影響度:中)
当社グループは、事業拡大と安定収益確保のため、積極的に地域企業等のM&Aを検討しています。M&Aでは、対象企業の財務内容や主要事業に関するデューデリジェンスを実施し、事前にリスク把握に努めていますが、事業環境の急変、簿外債務・偶発債務の発生、想定シナジー効果の未達成、対象企業の事業不振によるのれん減損処理などが発生した場合、当社グループの業績と今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
経済情勢の変動や業界再編の加速など、M&Aを取り巻く環境は常に変化しており、予期せぬリスクが顕在化する可能性は常に存在します。特に、買収後の統合プロセス(PMI)が円滑に進まない場合や、対象企業の事業計画が達成されない場合には、M&Aの目的を達成できず、損失を被る可能性があります。これらのリスクは、M&Aの実行後、数ヶ月から数年後に顕在化する可能性があり、業績悪化や企業価値の低下に繋がる可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループはデューデリジェンスの強化、PMI計画の策定と実行、契約条項の見直し、専門家チームの組成など、多角的な対策を講じます。財務、法務、税務、人事など多角的な視点からのデューデリジェンス、シナジー効果最大化と企業文化融合を目的としたPMI計画の策定と実行、リスクを適切に配分する契約条項の検討、M&A経験豊富な専門家チームの組成により、M&Aリスクを最小限に抑え、事業拡大と安定収益の確保を目指します。
<法的規制>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社はファンド管理運営、プライベート・エクイティ投資を行う上で、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、犯罪収益移転防止法など、様々な法的規制を受けます。これらの規制により活動が制限されたり、関連費用が増加したりすることで、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
金融市場は常に変化しており、新たな規制が導入されたり、既存の規制が強化されたりする可能性は常に存在します。また、規制当局の解釈変更や、予期せぬ法令違反が発生した場合、事業活動の制限や罰金、訴訟などのリスクに繋がる可能性があります。これらのリスクは、規制変更のタイミングや違反の程度によって、時期や影響の大きさが大きく変動します。
このようなリスクに対応するため、当社は法務部門の強化、コンプライアンス体制の構築、外部専門家との連携など、多角的な対策を講じます。法令改正への迅速な対応、契約書の適切なレビュー、訴訟対応などを担う法務部門を強化し、法令遵守のための内部規程を整備し、従業員への研修を実施することで、コンプライアンス体制を構築します。また、法規制に関する最新情報を入手し、適切な対応策を検討するために、外部専門家との連携を強化します。これらの対策により、法的規制リスクを最小限に抑え、事業の継続性と安定性を確保します。
<投資能力の劣化>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
投資機会の減少による投資担当者の能力低下、または担当者の離職による投資先との信頼関係の劣化は、ファンド運用パフォーマンスの悪化を招き、当社の業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、運用パフォーマンスの悪化は新規ファンドの設立・募集を困難にし、管理報酬の減少や収益悪化を招く可能性があります。
市場環境の変化や経済状況の悪化により、投資機会が減少する可能性は常に存在します。また、投資担当者のスキルアップが停滞したり、優秀な人材が競合他社に流出したりする可能性も否定できません。これらの要因は、ファンドの運用成績の低下や、投資家からの信頼喪失に繋がり、当社の収益基盤を揺るがす事態を招く可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社は投資担当者への継続的な研修、投資担当者間の情報共有と連携、外部専門家との連携、投資プロセスの標準化など、多角的な対策を講じます。投資スキル、市場分析能力、業界知識などを向上させるための研修、投資案件に関する情報共有や意見交換の活発化、投資戦略や市場動向に関する外部専門家からのアドバイス、投資判断の質を維持するための投資プロセスの標準化を通じて、投資担当者の能力向上と運用パフォーマンスの維持・向上を目指します。これらの対策により、投資能力の劣化リスクを最小限に抑え、安定的な収益確保と持続的な成長を目指します。
<コンプライアンス>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)
当社のコンプライアンス体制は、業務合理化を図りつつも少人数体制のため、牽制機能が弱まり、不祥事発生時に信頼を損なうリスクがあります。不祥事の内容によっては、業績や財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
近年、企業に対する社会の目が厳しくなり、コンプライアンス違反が発覚した場合のレピュテーションリスクは増大しています。特に、内部告発やSNSによる情報拡散により、不祥事が瞬時に社会に広まる可能性があり、その影響は計り知れません。不祥事が発生した場合、取引先や投資家からの信頼を失い、契約解除や投資引き上げに繋がる可能性があります。また、訴訟や行政処分により、多額の損失が発生する可能性もあります。
このようなリスクに対応するため、当社は内部監査体制の強化、コンプライアンス・ホットラインの設置、従業員へのコンプライアンス研修など、多角的な対策を講じます。定期的な内部監査により、法令遵守状況をチェックし、問題点を早期に発見・是正します。従業員が匿名で相談や通報できる窓口を設置することで、内部からの情報収集を強化します。また、定期的な研修やeラーニングにより、従業員のコンプライアンス意識を高めます。これらの対策により、不祥事の発生を未然に防ぎ、万が一発生した場合でも、被害を最小限に抑えることで、信頼を維持し、企業価値を守ります。
<投資資金の回収>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ファンド運営成績は、投資資金の早期回収と投資金額を上回る回収額に大きく影響されます。投資対象は成長性の高い未上場企業ですが、投資先企業の経営破綻、上場延期、上場後の売却金額低迷などにより、売却損失や回収期間長期化が発生し、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
経済状況の悪化や市場の変動、投資先企業の経営状況の変化などにより、投資資金の回収が困難になる可能性は常に存在します。特に、未上場企業への投資は、上場という出口戦略が不確実なため、リスクが顕在化する時期を予測することは困難です。回収が遅延した場合、資金繰りの悪化や新たな投資機会の逸失に繋がり、収益性の低下や成長の鈍化を招く可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社は投資先のモニタリング強化、出口戦略の多様化、投資先の経営支援、投資ポートフォリオの分散など、多角的な対策を講じます。投資先の経営状況や財務状況を定期的にモニタリングし、リスクを早期に把握します。IPOだけでなく、M&Aや第三者への売却など、多様な出口戦略を検討します。投資先の経営課題を解決するための支援を行います。投資対象の業種や地域を分散し、リスクを軽減します。
これらの対策により、投資資金の回収リスクを最小限に抑え、安定的な収益確保と持続的な成長を目指します。
<株式相場の下落と新規上場市場の低迷>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
株式上場した投資先企業の株式売却収益は、株式市場の動向に大きく左右されます。相場下落や上場市場の低迷は、保有株式の評価損を発生させ、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ロックアップ契約による売却制限期間中の株価変動リスクも同様です。
株式市場は常に変動し、予測が困難なため、リスクが顕在化する時期や程度を特定することは難しいです。しかし、世界的な金融不安や景気後退などが起これば、短期間で株価が急落し、多額の損失が発生する可能性があります。また、ロックアップ期間中の急激な株価下落は、売却機会を逃し、損失を確定させることになります。これらのリスクは、業績悪化、資金繰りの悪化、投資戦略の見直しなど、多岐にわたる悪影響を及ぼします。
このようなリスクに対応するため、当社はポートフォリオの分散、ヘッジ戦略の導入、長期投資の視点など、多角的な対策を講じます。上場株式だけでなく、未上場株式、債券、暗号資産など、多様な資産に分散投資することで、リスクを軽減します。短期的な株価変動に左右されず、長期的な視点で投資を行うことで、安定的な収益を目指します。これらの対策により、株式相場の下落リスクを最小限に抑え、安定的な収益確保と持続的な成長を目指します。
<株式の希薄化>(発生可能性:中、発生時期:株式発行時、影響度:小)
当社は、資金調達や連携先との関係強化のため、新株式や新株予約権等の発行を検討しており、これにより株式価値の希薄化が生じる可能性があります。
株式の希薄化は、市場の状況や発行条件によって、株価に与える影響が大きく変動します。特に、資金調達の目的や使途が不明確な場合や、市場が希薄化をネガティブに捉えた場合、株価が急落する可能性があります。希薄化による影響は、株主構成の変化や1株当たり利益の減少など、長期的な企業価値にも影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社は資金調達計画の慎重な検討と株主への説明責任の徹底を重視します。資金調達の必要性、調達額、調達方法などを慎重に検討し、株主価値の希薄化を最小限に抑えるように努めます。また、株式希薄化の影響について、株主に対して丁寧に説明し、理解を得るように努めます。これらの対策により、株式希薄化リスクを管理し、株主価値の維持と向上を目指します。
<投資先の減損処理の実施>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループの投資先は未上場企業が多く、成長が想定どおりに進まない場合、業績悪化や破綻のリスクがあります。これにより、減損処理が必要となり、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
未上場企業は事業環境の変化に弱く、市場の変動や競合激化により、業績が急激に悪化する可能性があります。特に、技術革新が激しい分野や、規制変更の影響を受けやすい分野では、リスクが顕在化する可能性が高まります。これらのリスクは、投資先の事業計画の進捗状況や、資金繰りの状況などによって、時期や影響の大きさが変動します。
このようなリスクに対応するため、当社グループは投資先の財務状況の定期的な確認、減損処理の適切な実施など、多角的な対策を講じます。投資先の財務状況を定期的に確認し、リスクを早期に把握します。投資先の状況に応じて、減損の兆候が見られる場合には、適切な減損処理を実施します。これらの対策により、減損処理による業績への影響を適切に把握することで、財務の安定性を確保します。
<資金の調達>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の投資原資は手元資金ですが、事業拡大や新規事業構築に伴い、金融機関からの借入や資本市場からの資金調達を行う可能性があります。その際、金融市場の変動などが借入条件に影響を与え、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
金融市場は常に変動しており、金利上昇や信用収縮など、資金調達環境が悪化する可能性は常に存在します。また、当社の信用力が低下した場合や、事業計画の実現可能性が低いと判断された場合、資金調達が困難になったり、不利な条件での調達を余儀なくされたりする可能性があります。これらのリスクは、経済状況の変化や金融市場の動向、当社の業績などによって、時期や影響の大きさが変動します。
このようなリスクに対応するため、当社は資金調達先の多様化、財務体質の強化、資金繰り計画の策定など、多角的な対策を講じます。金融機関からの借入だけでなく、社債発行や株式発行など、多様な資金調達手段を検討します。自己資本比率の向上やキャッシュフローの改善など、財務体質を強化します。将来の資金繰りを予測し、資金ショートのリスクを回避するための資金繰り計画を策定します。これらの対策により、資金調達リスクを最小限に抑え、安定的な資金調達と持続的な成長を目指します。
<システムリスク>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、会計システムや情報管理システムで経理情報や投資先企業情報を管理しており、ウイルス感染や不正アクセス防止、データ保全のためのバックアップ対策を実施しています。しかし、ウイルス感染や天変地異によるシステムダウン、不正アクセスによるデータ改ざんや情報漏洩などのリスクがあり、業務遂行の支障、損害賠償請求、社会的信用低下などにより、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
近年、サイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、システムダウンや情報漏洩のリスクは常に存在します。また、自然災害の発生頻度も増加しており、システムに影響を与える可能性も高まっています。これらのリスクは、予期せぬ時期に発生する可能性があり、その影響は甚大です。システム障害が発生した場合、業務が停止し、顧客へのサービス提供が遅延する可能性があります。また、情報漏洩が発生した場合、顧客からの信頼を失い、損害賠償請求や社会的信用の低下に繋がる可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社はセキュリティ対策の強化、バックアップ体制の強化、システム障害時の対応計画策定など、多角的な対策を講じます。ファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入、不正アクセス検知システムなど、多層防御対策を実施します。定期的なバックアップやバックアップデータの保管場所の分散などを行います。システム障害発生時の対応手順や復旧手順などを定めた計画を策定します。これらの対策により、システムリスクを最小限に抑え、事業継続性を確保し、顧客からの信頼を維持します。
<情報管理>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は取引先情報や個人情報の管理に規程を設け周知徹底を図っていますが、情報漏洩は損害賠償や信用失墜を招き、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
サイバー攻撃の高度化や内部不正のリスクは常に存在し、情報漏洩は予期せぬ時期に発生する可能性があります。漏洩した場合、顧客や取引先からの信頼を失い、事業継続が困難になることも考えられます。また、法的な責任を問われ、多額の賠償金を支払う可能性もあります。
このようなリスクに対し、当社は情報セキュリティポリシーの策定と周知徹底、アクセス権限の適切な管理、従業員へのセキュリティ教育など、多角的な対策を講じます。情報セキュリティに関する方針、規則、手順を定め、従業員に周知徹底します。情報へのアクセス権限を必要最小限に制限します。定期的なセキュリティ教育を実施し、従業員のセキュリティ意識を高めます。これらの対策により、情報漏洩リスクを最小限に抑え、顧客や取引先からの信頼を維持し、事業の継続性を確保します。
<為替レートの変動>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
連結財務諸表の作成時、当社グループの海外における外貨建ての資産・負債を円換算いたしますが、換算時の為替レートによりましては、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
<暗号資産価値の変動>(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループが投資した暗号資産の価値が下落することにより、保有暗号資産の評価損を発生させ、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
暗号資産市場は常に変動し、予測が困難なため、リスクが顕在化する時期や程度を特定することは難しいです。しかし、世界的な金融不安や景気後退などが起これば、短期間で暗号資産価値が急落し、多額の損失が発生する可能性があります。これらのリスクは、業績悪化、資金繰りの悪化、投資戦略の見直しなど、多岐にわたる悪影響を及ぼします。
このようなリスクに対応するため、当社はポートフォリオの分散、ヘッジ戦略の導入、長期投資の視点など、多角的な対策を講じます。暗号資産だけでなく、株式、債券など、多様な資産に分散投資することで、リスクを軽減します。短期的な価値変動に左右されず、長期的な視点で投資を行うことで、安定的な収益を目指します。これらの対策により、暗号資産相場の下落リスクを最小限に抑え、安定的な収益確保と持続的な成長を目指します。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中に将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社は、2024年10月1日付で単独株式移転により設立されたため、前連結会計年度以前に係る記載はありません。当連結会計年度より第1期として初めて連結財務諸表を作成しております。
また、当社は当連結会計年度より、IFRSに準拠した連結財務諸表を開示しております。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的な金融引き締めや海外経済の減速などにより景気の先行き不透明感が増すなか、緩やかな回復基調で推移しました。雇用・所得環境は改善の動きが見られるものの、物価上昇による家計への影響や、地政学リスクの高まりによる供給制約、金融資本市場の変動などが引き続き懸念される状況にあります。金融市場においては、世界的なインフレ抑制のための金融引き締めが継続され、長期金利の変動や為替相場の変動など、不安定な動きが見られました。わが国の金融市場も、海外市場の動向や国内の金融政策、経済指標などに左右され、不確実な状況が続いております。
このような経済・金融情勢のもと、当社グループは、2024年10月29日付の中期経営計画(AI革命1.0)にて公表しましたとおり、様々なセクターの企業群の構造変革をもたらす可能性のある「第四次産業革命」と目されるAIを軸に、「自己投資事業」「ファンド事業」「PIPEs事業」「投資銀行事業」の4つの事業ドメインをコア領域と定め、シナジー効果を発揮しながら、それぞれが独立した事業として当社グループの利益成長をドライブすることを目指しております。
「自己投資事業」においては、「AIを活用した事業モデル変革を図る企業」を中心とする企業群への当社グループによる自己投資を行っております。
想定される主たる投資対象企業群としては、「既存事業を有している/確立済である一方で、AIを活用して新たなビジネスモデルを構築することにより、企業価値の成長を目指す企業群」「AI分野における事業拡大を目指すSIer企業群」「当社グループで今後展開予定の『AIファンド』の投資先企業群とのシナジー効果が見込める企業群」等となります。また、投資した企業を中核としてシナジー効果の見込める企業のM&Aに取り組んでおります。
「ファンド事業」においては、ベンチャーキャピタル事業として、ベンチャー企業への投資、投資事業組合の組成及びその管理・運営、投資事業組合の無限責任組合員として投資先の選定及び育成支援を行っております。また、「AIを自社開発している企業群 (競合との差別化が図れるコア技術を有する企業群)」「SaaS/パッケージなどAIソリューションサービスを提供可能な企業群」「半導体やセンサーをはじめAI関連のハードウェアを開発している企業群」「AIの拡大に伴う通信容量・エネルギー供給等不足の解消が可能な企業群」等への投資を想定したAIソリューションを提供する企業群に特化したファンドの組成に取り組んでおります。
投資会社が上場企業の私募増資を引き受けることを意味する「PIPEs事業」においては、2ステップでの事業展開を計画しており、現時点では「ステップ1:LP(投資家)としてPIPEs事業へ参画」に取り組んでおります。
将来的な第2ステップにおいては、当社がGP(ファンド運営者)としてPIPEs事業に取り組むことを計画しております。
「投資銀行事業」においては、他の3事業である「自己投資事業」「PIPEs事業」「ファンド事業」に付随して派生する様々なニーズに対し、事業内容・事業規模・事業ステージ等を鑑み最適な資金調達や事業提携等の投資銀行(コーポレートファイナンス)サービスの提供に取り組んでおります。
また当社は上記4事業に加え、2025年1月30日に「暗号資産投資事業」を開始いたしました。暗号資産投資事業においては、市場動向を綿密に分析し、リスクを徹底管理しながら、収益性の高い投資機会を追求します。なお、2025年3月末日時点の暗号資産の評価損益については、取得残高1億円に対し0百万円の評価益となっております。
従来からのファンド事業においては、地方創生ファンドとして、盛岡市、株式会社岩手銀行、株式会社北日本銀行、株式会社東北銀行、株式会社カガヤ建設と共同でTohokuライフサイエンス・インパクト投資事業有限責任組合を、長野県、株式会社日本政策金融公庫(長野・松本・小諸・伊那支店)と連携し県内金融機関等と共同で信州スタートアップ・承継支援2号投資事業有限責任組合を、関西みらい銀行と共同で関西みらいサクセスサポート投資事業有限責任組合を、埼玉県、株式会社日本政策金融公庫(さいたま・浦和・川越・熊谷・越谷支店)と連携し県内金融機関等と共同で埼玉県渋沢MIXイノベーション創出支援投資事業有限責任組合を設立しました。
なお、当社は第3四半期連結会計期間において、株式会社ショーケース(東証スタンダード、証券コード3909、以下「ショーケース」)と資本業務提携契約を締結し、TOB及び第三者割当増資の引受によりショーケース及びその子会社であるReYuu Japan株式会社と株式会社Showcase Capitalを連結子会社化しております。当資本業務提携は当社の有する地方金融機関や地方自治体等のネットワークのリソースと、ショーケースが保有するDXノウハウやDXを実現するためのAI及びSaaS開発ノウハウの共有によるシナジーの創出を目的としたものです。ショーケースの連結業績は、当第4四半期連結会計期間より反映されております。なお、ReYuu Japan株式会社については、2025年3月25日付の株式譲渡により連結除外となりましたが、当第4四半期連結会計期間についてはReYuu Japan株式会社の売上収益が含まれております。
これらにより、グループ全体の経営成績は、売上収益3,088百万円、営業利益1,427百万円、税引前利益1,419百万円、当期利益1,243百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。
<金融ソリューション事業>
金融ソリューション事業は、ベンチャー企業等への投資及びその育成支援や、投資事業組合の組成及びその管理・運営等を行う「ファンド事業」、上場企業の私募増資を引き受ける「PIPEs事業」、事業に付随するニーズに対しコーポレートファイナンスサービスを提供する「投資銀行事業」を含めております。
当連結会計年度における売上収益は、1,206百万円、営業利益は502百万円となりました。主に、配当収入の拡大が売上収益及び営業利益に大きく貢献しました。
<SaaS事業>
SaaS事業は、DXを目的としたWebサイト最適化サービスなどを中心に、オンライン手続きプラットフォームサービスの提供等のSaaS事業を行っております。
当連結会計年度における売上収益は、392百万円、営業利益は1,163百万円となりました。主な内容は、DXクラウドにおける新サービスの開始や既存サービスが堅調に推移したこと、従来から提供してきた運用広告関連サービスに加え顧客のニーズに合わせたSNS広告運用サービスを提供したこと等であります。また、株式会社ショーケースの子会社であったReYuu Japan株式会社の譲渡による譲渡益が含まれております。
<情報通信関連事業>
情報通信関連事業は、ReYuu Japan株式会社において中古スマートフォンの販売を中心としたリユース関連事業を展開しております。
当連結会計年度における売上収益は、1,380百万円、営業損失は10百万円となりました。主な内容は、販売・調達の両面で事業基盤の強化に取り組んでまいりました。国内法人向けの販売においては既存取引先及び新規顧客に取り組み取引基盤が拡大し、個人向けオンライン販売においてはコスト構造の見直しを実施し利益率を重視した取組みを推進しました。
(2)財政状態に関する説明
当連結会計年度末の資産合計は、7,629百万円となりました。その内訳は流動資産4,556百万円、非流動資産3,073百万円です。
当連結会計年度末の負債合計は、1,942百万円となりました。
当連結会計年度末の資本合計は、5,687百万円になりました。
なお、資本合計には非支配持分が含まれるため、これらを控除して算出した親会社の所有者に帰属する持分の額は4,716百万円、親会社所有者帰属持分比率は61.8%になりました。
(3)キャッシュ・フロー
当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、3,328百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは183百万円のキャッシュアウトフローとなりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,419百万円、関係会社株式売却益896百万円、棚卸資産の増加841百万円、債務の増加155百万円によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは939百万円のキャッシュインフローとなりました。これは主に、子会社株式の売却による収入1,092百万円、投資の売却及び償還による収入954百万円、子会社の取得による支出676百万円、関係会社の取得による支出405百万円によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは1,181百万円のキャッシュアウトフローとなりました。これは主に、自己株式の取得による支出638百万円、長期借入金の返済による支出374百万円、短期借入金の減少による支出101百万円によるものであります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や適切な仮定に基づいて合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
(5)並行開示情報
連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下、「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
① 要約連結貸借対照表(日本基準)
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(単位:百万円) |
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当連結会計年度 (2025年3月31日) |
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資産の部 |
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流動資産 |
4,063 |
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固定資産 |
|
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有形固定資産 |
66 |
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無形固定資産 |
1,601 |
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投資その他の資産 |
918 |
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固定資産合計 |
2,586 |
|
資産合計 |
6,649 |
|
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負債の部 |
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流動負債 |
1,094 |
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固定負債 |
255 |
|
負債合計 |
1,349 |
|
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純資産の部 |
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株主資本 |
4,203 |
|
その他の包括利益累計額 |
73 |
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新株予約権 |
115 |
|
非支配株主持分 |
907 |
|
純資産合計 |
5,299 |
|
負債純資産合計 |
6,649 |
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
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(単位:百万円) |
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当連結会計年度 (自 2024年10月1日 至 2025年3月31日) |
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売上高 |
2,608 |
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売上原価 |
1,731 |
|
売上総利益 |
876 |
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販売費及び一般管理費 |
1,034 |
|
営業利益 |
△157 |
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営業外収益 |
15 |
|
営業外費用 |
20 |
|
経常利益 |
△161 |
|
特別利益 |
900 |
|
特別損失 |
2 |
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税金等調整前当期純利益 |
735 |
|
法人税等合計 |
28 |
|
当期純利益 |
707 |
|
非支配株主に帰属する当期純利益 |
511 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
195 |
要約連結包括利益計算書
|
(単位:百万円) |
|
|
当連結会計年度 (自 2024年10月1日 至 2025年3月31日) |
|
当期純利益 |
707 |
|
その他の包括利益合計 |
70 |
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包括利益 |
777 |
|
(内訳) |
|
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親会社株主に係る包括利益 |
266 |
|
非支配株主に係る包括利益 |
511 |
③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
当連結会計年度(自 2024年10月1日 至 2025年3月31日)
|
(単位:百万円) |
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株主資本 |
その他の包括利益 累計額 |
新株予約権 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
4,565 |
2 |
0 |
1 |
4,569 |
|
当期変動額 |
△361 |
70 |
115 |
905 |
730 |
|
当期末残高 |
4,203 |
73 |
115 |
907 |
5,299 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
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(単位:百万円) |
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当連結会計年度 (自 2024年10月1日 至 2025年3月31日) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
△246 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
939 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△1,118 |
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現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△4 |
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現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
△430 |
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現金及び現金同等物の期首残高 |
3,758 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
3,328 |
⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
当連結会計年度(自 2024年10月1日 至 2025年3月31日)
当連結会計年度いおいて、当社は株式会社ショーケースの株式を取得したため、連結の範囲に含めております。また、株式会社ラバブルマーケティンググループの株式を取得したこと、及び、Tohokuライフサイエンス・インパクト投資事業有限責任組合、信州スタートアップ・承継支援2号投資事業有限責任組合、関西みらいサクセスサポート投資事業有限責任組合、埼玉県渋沢MIXイノベーション創出支援投資事業有限責任組合を設立し、新たに持分法適用会社といたしました。
なお、京都想いをつなぐ投資事業有限責任組合、投資事業有限責任組合ブリッジベンチャーファンド2020、投資事業有限責任組合ブリッジベンチャーファンド2014、もりおか起業投資事業有限責任組合、こうべしんきん地域再興ファンド投資事業有限責任組合、ふくしま夢の懸け橋投資事業有限責任組合が全財産の分配を完了したため、持分法適用の範囲から除外いたしました。
(6)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
当連結会計年度(自 2024年10月1日 至 2025年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準において、のれんはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却しておりましたが、IFRSでは、のれんの償却は行われず毎期減損テストを実施することが求められています。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」が80百万円減少しております。
(リース)
日本基準において借手のリースはファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っておりました。IFRSでは借手のリースについて当該分類を行わず、短期リース及び原資産が少額であるリースを除くすべてのリースについて使用権資産及びリース負債を認識することが求められております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、使用権資産及びリース負債がそれぞれ297百万円及び316百万円増加しております。
(1)資本業務提携契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約期間 |
契約内容 |
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AIフュージョンキャピタルグループ株式会社(AIF) |
株式会社ショーケース(ショーケース) |
契約締結日(2024年11月14日)から、両社が合意した日又はAIFがショーケース株式を保有しなくなった日のいずれか早い日まで |
(資本提携) 公開買付け及び第三者割当てにより、AIFはショーケースの議決権の過半数を取得し、子会社とする (業務提携) (1)両当事者それぞれが強みを持つ、DX関連技術の開発と導入、相互の商品、ブランド、及び事業の展開 (2)経営管理機能の共有、グループ間の顧客の連携 (3)その他両当事者が合意した事項 |
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AIフュージョンキャピタルグループ株式会社(AIF) |
株式会社ラバブルマーケティンググループ(LMG) |
契約締結日(2025年2月27日)から AIFのLMG株式に係る議決権保有割合が20%未満となった場合又はLMGがAIFの持分法適用会社ではなくなった場合まで |
(資本提携) 特定株主からの株式取得により、AIFはLMGの議決権の20%以上を取得する (業務提携) (1)両当事者それぞれが強みを持つ、SNSマーケティング及びDX関連技術の開発と導入、相互の商品、ブランド、及び事業の展開 (2)経営管理機能の共有、グループ間の顧客の連携 (3)その他両当事者が合意した事項 |
|
株式会社ショーケース(ショーケース) |
AIフュージョンキャピタルグループ株式会社(AIF) |
契約締結日(2024年11月14日)から、両社が合意した日又はAIFがショーケース株式を保有しなくなった日のいずれか早い日まで |
(資本提携) 公開買付け及び第三者割当てにより、AIFはショーケースの議決権の過半数を取得し、子会社とする (業務提携) (1)両当事者それぞれが強みを持つ、DX関連技術の開発と導入、相互の商品、ブランド、及び事業の展開 (2)経営管理機能の共有、グループ間の顧客の連携 (3)その他両当事者が合意した事項 |
|
株式会社ショーケース(ショーケース) |
ReYuu Japan株式会社 (ReYuu社) |
契約締結日(2022年1月26日)から、両社が合意した日又はショーケースがReYuu社の株式を保有しなくなった日のいずれか早い日まで |
(資本提携) ReYuu社がショーケースに対し、普通株式を第三者割当の方法により発行 (業務提携) (1)「eKYC」に関する技術を利用したReYuu社のオンライン買取サービス、買取プラットフォームおよびAIを利用した自動査定・買取システムの構築・導入 (2)ReYuu社の法人向けレンタルサービスにおけるサブスクリプションモデル強化 (3)リユースモバイル事業全体のDX推進 (4)その他、両社が別途協議し合意する事項 (その他) ・ショーケースはReYuu社の取締役の構成員総数に対してショーケースが指名した取締役の数が過半数となるよう、取締役候補者を指名する権利を有する。 |
(2)株式譲渡契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約日 |
契約内容 |
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ミライドア株式会社 |
THE FREE AGENT LAB 株式会社 |
2024年7月17日 |
ミライドア株式会社がTHE FREE AGENT LAB 株式会社普通株式100株を1株あたり650,000円で譲り受ける |
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AIフュージョンキャピタルグループ株式会社(AIF) |
株式会社河合青果 |
2024年11月15日 |
AIFが株式会社河合青果普通株式5,000株を1株あたり4,000円で譲り受ける |
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AIフュージョンキャピタルグループ株式会社(AIF) |
合同会社みやびマネージメント |
2025年2月27日 |
AIFが株式会社ラバブルマーケティンググループ普通株式158,000株を1株あたり1,400円で譲り受ける |
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AIフュージョンキャピタルグループ株式会社(AIF) |
株式会社日比谷コンピュータシステム |
2025年2月27日 |
AIFが株式会社ラバブルマーケティンググループ普通株式131,900株を1株あたり1,400円で譲り受ける |
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株式会社ショーケース(ショーケース) |
Seacastle Singapore Pte. Ltd(Seacastle) |
2025年2月28日 |
ショーケースが保有するReYuu Japan株式会社普通株式2,310,000株のうち1,810,000株をSeacastleへ1株700円で譲渡する |
該当事項はありません。