第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

① 会社の経営の基本方針

ジーエルサイエンス株式会社は1968年の創立の際に、会社はどのような思想を持ち、実践していくかという、経営に対する姿勢、理念を「創立の根本精神及経営理念」に掲げました。

その中で創立の目的は、「同一の思想を持ち、信頼し合う事のできる人間が集まって、何かの仕事を通して、(極論すれば、それがどのような仕事、業種であってもよい) 経済的無から、一つの理想体(理想企業体)を造り上げる事への挑戦」と謳っております。

また、「社会に対し社会性を十分発揮してその存在価値を高め、社員個々の幸福を勝ち取り、企業の維持、発展をならしめること」を基本理念とし、そして、その結果得られた利益を株主、社員、社会に公平に分配し、また、一部を社内留保して、会社の事業内容を充実させ、発展させることが、最大の社会性を意味すると考えております。

当社グループは上記の「創立の根本精神及経営理念」を継承しております。この基本理念を実現していくために、当社グループでは創立以来毎期、経営計画等を株主、金融機関、社員に公表するなど、情報の開示に努めてまいりました。このようにオープンな経営姿勢に対する社員個々の意識の高まりが、互いの信頼感を強くし、個々の能力を十分に発揮させ、計画達成という一つの目的に邁進することができたと確信しております。

このように、「道は一つ、共に進もう」というスローガンに沿った経営こそが当社グループの躍進の原動力であり、今後も成長の糧として継続してまいります。

 

② 目標とする経営指標

当社グループは、経営ビジョンを実現するため中期経営計画を策定しております。現中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の経営目標と実績は、次のとおりであります。

 

中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の経営目標と実績(連結)

項目

2025年3月期

2026年3月期

2027年3月期

計画

実績

計画

計画

売上高(百万円)

41,320

43,261

44,700

50,000

営業利益(百万円)

6,140

6,344

6,518

7,739

営業利益率(%)

14.9

14.7

14.6

15.5

ROE(%)

10.4

13.0以上

 

中期経営計画の詳細は、当社ウェブサイトで開示しております「ジーエルテクノホールディングス株式会社の中期経営計画の策定に関するお知らせ」をご確認ください。

 

(2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題

今後の経済見通しについては、賃上げによる個人消費の後押し、インバウンド需要の増加等による経済活動の正常化が進むことが期待されます。しかし、ウクライナ情勢の長期化、中東地域の地政学リスク、また、米国の関税強化による輸出減速や企業心理の悪化が懸念され、引き続き先行き不透明な状況が続くものと思われます。

当社グループは、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の基本方針の「持続的な成長への戦略投資」「事業競争力を重視した成長戦略」に基づき、各施策を遂行することにより、さらなる経営基盤の強化と企業価値の増大を図ってまいります。

 

 

(分析機器事業)

分析機器事業におきましては、中期経営計画の2年目となります2026年3月期において、引き続き「海外販売の強化」「国内市場の拡充」「R&D部門の強化」に取り組んでまいります。

当事業が今後とも取り組むべき中長期的な成長戦略と課題は以下のとおりであります。

 

① 海外販売可能な自社製品の充実化

これまで国内中心で販売していた自社製品の中で実績豊富かつ海外市場でのポテンシャルの高い装置を選定し、さらに販売可能なエリアを広げるべく、製品仕様の改良やドキュメント類の整備、各地域における規制対応等を進めます。

② 国内におけるECサイト運営会社との提携強化

販売機会を増やすため、ECサイトに掲載する情報量を拡充します。その基盤となる製品データベースも引き続き充実させてまいります。

③ フィールドエンジニアによるアフターフォローの拡大

当事業のフィールドエンジニアはこれまでも他社装置を取り扱ってきましたが、その対応可能な範囲を広げることで、顧客との接点を増やし、より信頼してもらえる企業を目指します。

④ 主力製品の強化及び収益力の向上

主力製品の強化方針を継続いたします。新製品開発の推進はもとより、品質の安定化や製造工程の効率化を実現します。

⑤ 持続的成長の為の戦略的投資

持続的成長のために、M&Aや業務提携等も視野に入れて事業拡大を目指します。また、外部との共同研究や、新規事業の開拓も検討してまいります。

 

(半導体事業)

半導体業界におきましては、生成AI関連製品の需要拡大を背景に、設備投資は高水準を維持していますが、パソコン、スマートフォン向けの需要回復は依然として鈍く、市場全体としての回復には至っていません。今後も中長期的な半導体需要拡大のトレンドは継続していくものと予想されます。当事業の受注環境は、市況回復を見据えた各メーカーの先行的な設備投資が前向きな結果となって表れてきており、今後とも半導体市場は底堅い潜在需要を背景に着実な拡大が見込まれているため、当事業は今後の中長期的な受注拡大の見通しは変えておりません。

当事業が今後とも取り組むべき中長期的な成長戦略と課題は以下のとおりであります。

 

① 生産能力増強

国内における増産体制構築のための設備投資(蔵王南工場隣地に火加工工場増設や国内子会社の自動化生産体制への投資)を順次進めてまいります。品質管理の高度化も進めるとともに、社外パートナー、外注先等との連携強化を通じて、生産能力の向上を目指します。さらに海外におきましても、中国と同等の現地法人をベトナムに設立し、更なる生産能力の拡大を目指します。

② 営業力強化

お取引先との関係強化を図るとともに、高付加価値製品の開発と拡張を行い、石英・シリコン製品の量産品のマーケット拡大を目指します。開発品、量産品の更なる売り込みを強化するだけでなく、火加工製品等、高難易度製品の拡大も図ります。

③ 業務効率化

業務フロー、作業手順等の見直しを進め、業務自動化・効率化等のDXを推進します。テレワーク、会議システム等、効率化に資するシステムツールの更なる活用も図ります。

④ 人材育成

各種研修の充実、業務マニュアルの作成推進、人事ローテーションの活発化等により、従業員の意識改革や能力向上を進めていきます。

 

(自動認識事業)

自動認識事業におきましては、マイコン等の部材調達の長納期化については全体的に落ち着いてきたものの、為替リスクや価格の高止まりなどによる影響は一部継続しております。このような市況の中で積極的な活動を行っていくためにも、営業部門・技術部門・品質保証部門の効率的な連携を推進してまいります。

当事業が今後とも取り組むべき中長期的な成長戦略と課題は以下のとおりであります。

 

① 受託開発の効率化

受託開発をより効率化することにより、お客様のニーズに寄り添ったものづくりを進めてまいります。

② 工事案件の拡大化及び効率化

工事案件の拡大、効率化を目指し、協力会社とも調整しながら活動を進めてまいります。

③ 市場変化に対応した組織体制の整備と強化

市場変化を先取りできる柔軟な組織体制で運用や強化、見直しを図ります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに対する基本理念

当社グループは、『真に社会性のある企業への成長』という「企業理念」のもと、社員が働くことへの幸せを感じる環境作り、持続的企業発展のための創造や挑戦、製造改善や新技術による環境問題への取組みを通じた社会貢献を行っていきます。また、得られた利益は「会社・株主・社員・社会」に公正に分配し、技術や利益をもって「地球と社会の持続可能な発展」へと貢献します。

『道は一つ、共に進もう』を永久スローガンとし、ステークホルダーと共に社会課題解決に取り組んでいきます。

 

(2) サステナビリティ基本方針

① 持続的な企業価値の向上

変わり続ける事業環境の中で、レジリエンスを高め柔軟に対応することで、競争力及び生産性の向上を実現します。

② 環境保全への貢献

気候変動への対応、循環型社会への取組みなど、ステークホルダーとの協働・共創を推進し、より良い未来の実現を目指します。

③ 事業を通じた社会課題の解決

本業の活動を通じて、社会貢献を持続的に推進します。

④ 企業活動を支える人材の育成と活躍の推進

お客様の課題解決のために挑戦を続け、社会に貢献できる人材を育成し、やりがいと誇りをもって安全・健康に働くことができる環境を提供します。

⑤ ガバナンス体制の強化

法令をはじめとした社会のルールを遵守するだけではなく、すべてのステークホルダーからの期待に応えるよう努めます。

 

また基本方針に紐づく、環境方針、品質方針、調達方針、人権方針を定めております。

 

(3) ガバナンス

当社グループにおける「サステナビリティ基本方針」に沿って、ESG(環境・社会・ガバナンス)課題の解決に向けた企業活動に取り組むことで、競争力及び生産性の向上、ならびにリスク管理体制を強化し、当社グループの持続的な成長と企業価値向上を実現することを目的として、サステナビリティ委員会を設置しております。委員会の役割は、サステナビリティ基本方針の実現に向けた重要事項の整備・実行・運用等に関する検討及び意思決定としております。具体的には次のような役割を担っております。

① サステナビリティ活動に関する全体計画の決定、進捗管理、達成状況の評価
② サステナビリティ重要項目(マテリアリティ)の決定
③ サステナビリティに係る規程類の制定・改廃の審議
④ 経営リスクの統括管理
⑤ 委員会事務局の運営方針の決定

 

当社グループは、サステナビリティ委員会を通じ、サステナビリティ戦略をグループ全体に浸透させ、統合的に推進しています。

 

(4) 戦略

当社グループでは、マテリアリティを起点としたサステナビリティ戦略を策定しており、以下の5つをマテリアリティとして定義しています。

・ 環境保全・負荷低減への貢献
・ 持続可能な事業体質の強化
・ 新製品開発力向上・新事業創出
・ 健康とエンゲージメントの向上
・ ガバナンスの強化

 

これらの取組みは、中長期的な経営計画や年度方針に反映されており、定期的に評価されています。

サステナビリティ課題への対応を通じ、事業継続性の向上、レジリエンスの強化、ブランド価値の向上を図り、企業の持続的成長につなげていきます。

 

(5) リスク管理

2025年度の経営リスク選定においては、各事業会社からのリスク調査票を集約し、「発生頻度」と「影響度」に基づき、リスクマップを作成し、全社的な重要リスクを特定しています(ジーエルテクノホールディングス株式会社にて統括)。

リスク管理プロセスは以下のとおり体系化されています。

・ リスクの抽出
・ リスクの評価
・ リスクの優先順位付け
・ リスクマネジメント目標及びアクションプラン設定
・ アクションプランの実施及びモニタリング

また、毎年、重要リスクを選定し、それに対する具体的なアクションプランを設定、年度計画や人事評価の個人目標と連携させて推進しています。こうした体系的かつ継続的なプロセスにより、サステナビリティに関わるリスクをコントロールし、影響を最小化しています。
 

 

(6) 指標と目標

当社グループの主要な子会社においては、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、以下の指標を用いております。

指標

取組・目標

実績

(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

取組

・多様な価値観を受け入れる組織風土の醸成

・継続的な能力発揮が可能な環境整備

・採用者に占める女性採用比率向上を推進

・性別に関係なく全社員が働きやすい環境の整備

・管理職に占める女性労働者の割合

①ジーエルサイエンス株式会社

 58期(当事業年度)実績:3.8

 57期(前事業年度)実績:3.9%

②テクノクオーツ株式会社

 49期(当事業年度)実績:1.8

 48期(前事業年度)実績:1.9%

男性労働者の育児休業取得率

取組

・育児休業制度について社内イントラネット上にて社員へ周知

・育児休業を取得できる環境づくりの推進

目標

①ジーエルサイエンス株式会社
・男性社員:取得率10以上

②テクノクオーツ株式会社

・男性社員:取得率7以上

・男性労働者の育児休業取得率

①ジーエルサイエンス株式会社

 58期(当事業年度)実績62.5

 57期(前事業年度)実績66.6%

②テクノクオーツ株式会社

 49期(当事業年度)実績50.0

 48期(前事業年度)実績0%

労働者の男女の賃金の差異

取組

・女性の勤続年数が伸ばしやすい環境づくりの推進

・性別による制約を設けず、男女構成差や勤続年数差の是正を推進

・労働者の男女の賃金の差異(男性

 賃金に対する女性賃金の割合)

①ジーエルサイエンス株式会社

 58期(当事業年度)実績:56.2

 57期(前事業年度)実績:55.2%

②テクノクオーツ株式会社

 49期(当事業年度)実績:64.0

 48期(当事業年度)実績:64.3%

労働者の有給取得率

取組

・年次有給休暇の計画的付与制度の実施

・有給休暇取得の推進

目標

①ジーエルサイエンス株式会社

・社員1人あたりの有給休暇取得率:80以上

②テクノクオーツ株式会社

・社員1人あたりの有給休暇取得率:60以上

・労働者の有給取得率

①ジーエルサイエンス株式会社

 58期(当事業年度)実績:72.6

 57期(前事業年度)実績:75.7%

②テクノクオーツ株式会社

 49期(当事業年度)実績:67.0

 48期(当事業年度)実績:65.7%

 

以上の取組みを通じて、当社グループは、企業価値の継続的な向上を図りつつ、持続可能な社会の実現に向け、積極的に貢献していきます。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものでありますが、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 経済動向及び製品市況によるリスク

当社グループ製品の主要な市場がある経済環境の動向は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループは事業の多角化などにより、リスクヘッジをしておりますが、いずれも最先端の技術を要しますので、技術の急激な変化により製品の需要が減少した場合、又は価格競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 特定の販売先への依存度が高いことによるリスク

半導体事業については、その主な販売先は半導体製造装置メーカー、デバイスメーカー、理化学機器メーカーであります。そのうち米国Applied Materials, Inc.に対する依存度が高くなっており、同社の経営状態や、需要動向の著しい変化により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特定の販売先への依存度が過度に高まらないように、当社グループ独自の製品開発を進め、市場における競争力を高めていくとともに、これまで以上に販路拡大に注力すること等を通じて、販売先の拡大に繋げてまいります。

 

(3) 特定の仕入先への依存度が高いことによるリスク

半導体事業については、その主要な原材料は石英インゴットであります。その主な仕入先は米国Momentive Performance Materials Quartz,Inc.であり、同社からの供給の逼迫や遅延、又は著しい価格上昇等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特定の仕入先への依存度が過度に高まらないように、既存の材料メーカーとのコンタクトをこれまで以上に緊密に行うとともに、新規の材料メーカーの発掘にも注力すること等を通じて、仕入先の拡大に繋げてまいります。

 

(4) 新製品の開発に関わるリスク

当社グループの事業はいずれも技術的な進歩が急速であるため、常に技術革新に対応できる研究・開発に努め、得意先に密着しスピードと柔軟性をもって活動を行っております。しかしながら、事業を展開する市場において、業界と市場の変化に的確に対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 製造物責任に関わるリスク

当社グループは品質不良によるリスクを最小限に抑えるべく、品質管理体制の強化に努めておりますが、将来において品質問題が発生しないという保証はありません。品質管理には万全を期しておりますが、予期せぬ事情により不具合が発生した場合、当社グループへの信頼が損なわれ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 主要市場の政治及び経済状況が業績に与える影響について

当社グループが事業活動を行う主要な市場である日本、アジア、北米、ヨーロッパの国及び地域の政治・経済の動向が、当社グループの取扱製品の需給バランスに変動をもたらす可能性があります。政治・経済の動向により、取扱製品の需給バランスに変化が生じた場合には、販売価格や仕入価格を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 資材調達に関わるリスク

当社グループは、生産活動にあたり、資材、部品その他サービス等を適宜に調達しておりますが、急激な環境の変化等により供給が逼迫し、原材料価格が高騰したり、一時的に確保が困難となる可能性があります。

また、自動認識事業の主力製品であるデバイス部門のリーダライタは、その核となる重要な部品としてIC(集積回路)、カスタムICを使用しておりますが、国内半導体業界の需要動向により入荷状況が大きく変動する可能性があります。このため、当社グループとしては余裕を持った在庫を保有しながら、生産活動をしておりますが、在庫確保が困難な状態となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 情報システム・情報セキュリティ

当社グループは、事業活動における顧客情報や個人情報などの多くの機密情報を保有しております。情報システム運営上の安全性確保やセキュリティ対策、社員教育やIT投資を継続的に実施しておりますが、想定を超えるサイバー攻撃や予期せぬ不正利用などにより、重要情報や個人情報等の漏洩、また、事業活動停止などの被害が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 自然災害や事故等によるリスク

地震等の自然災害、火災・停電等の事故災害、感染症の拡大等に起因して電力供給等の社会的インフラの整備状況に問題が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。災害や感染症等による影響を最小限に抑える対策として、設備の定期点検や防災訓練を実施し、被災時の速やかな事業の復旧が行えるように備えております。感染症への対応については、各拠点と連携し、社員の感染予防対策の実施及び感染状況に関する情報収集と対策実施を行っております。

 

(10) 人材に関わるリスク

当社グループの事業成長には有能な人材の確保と育成が不可欠であります。当社グループでは、新卒採用・中途採用を積極的に行うことにより有能な人材の確保に努めるとともに、階層別研修等により社員の能力向上に努めています。しかし、有能な人材の確保・育成ができない場合や、人材流出を防止出来ない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 法令・規制に関わるリスク

当社グループは国内外の各種法令、行政による許認可及び規制の適用を受けており、その遵守に努めています。しかしながら、法令・規制に対する理解不足、または予期せぬ変更への対応が適切でない場合等には、コンプライアンス違反と判断され、過料、課徴金等による損失や営業停止等の行政処分、または信用の低下などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態の状況

事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

① 事業全体の状況
(資産の状況)

当連結会計年度末の総資産は 58,375百万円となりました。内訳は、現金及び預金 7,897百万円、売掛金 9,706百万円等の流動資産が 34,341百万円、有形固定資産 18,667百万円、無形固定資産 636百万円、投資その他の資産 4,729百万円の固定資産が 24,033百万円であります。

(負債の状況)

当連結会計年度末の負債合計は 13,968百万円となりました。内訳は、買掛金 1,999百万円、短期借入金 2,596百万円等の流動負債が 9,890百万円、長期借入金 2,536百万円、繰延税金負債 689百万円等の固定負債が 4,078百万円であります。

(純資産の状況)

当連結会計年度末の純資産合計は 44,406百万円となりました。主な内訳は、資本金300百万円、資本剰余金当 9,849百万円、利益剰余金 31,744百万円等の株主資本が 41,818百万円であります。

 

② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(分析機器事業)

分析機器事業におきましては、当連結会計年度末の総資産は 28,221百万円となりました。内訳は、現金及び預金 3,532百万円、売掛金 4,231百万円等の流動資産が 15,809百万円、有形固定資産 8,660百万円、無形固定資産 328百万円、投資その他の資産 3,423百万円の固定資産が 12,412百万円であります。

当連結会計年度末の負債合計は 7,625百万円となりました。内訳は、買掛金 1,276百万円、短期借入金 1,777百万円等の流動負債が 5,921百万円、長期借入金 1,096百万円等の固定負債が 1,703百万円であります。

 

(半導体事業)

半導体事業におきましては、当連結会計年度末の総資産は 27,477百万円となりました。内訳は、現金及び預金 4,106百万円、売掛金 4,953百万円等の流動資産が 16,923百万円、有形固定資産 9,995百万円、無形固定資産 287百万円、投資その他の資産 271百万円の固定資産が 10,554百万円であります。

当連結会計年度末の負債合計は 5,366百万円となりました。内訳は、買掛金 543百万円、短期借入金 705百万円等の流動負債が 3,182百万円、長期借入金 1,439百万円等の固定負債が 2,183百万円であります。

 

(自動認識事業)

自動認識事業におきましては、当連結会計年度末の総資産は 1,634百万円となりました。内訳は、売掛金 538百万円、原材料及び貯蔵品 416百万円等の流動資産が 1,566百万円、有形固定資産 15百万円、無形固定資産 8百万円、投資その他の資産 44百万円の固定資産が 68百万円であります。

当連結会計年度末の負債合計は 745百万円となりました。内訳は、支払手形 350百万円等の流動負債が 734百万円、その他固定負債 11百万円の固定負債が 11百万円であります。

 

(2) 経営成績の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況

当社は2024年10月1日に共同株式移転の方法によりジーエルサイエンス株式会社及びテクノクオーツ株式会社の完全親会社として設立されました。経営統合以前、テクノクオーツ株式会社はジーエルサイエンス株式会社の連結子会社であり、当社の連結範囲は経営統合以前のジーエルサイエンス株式会社の連結範囲と実質的な変更はありません。

ただし、当連結会計年度は、当社の設立後最初のものとなるため、前連結会計年度との対比は行っておりません。

当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加により回復の動きが見られました。しかし、不安定な国際情勢に伴う原油等をはじめとするエネルギー資源や原材料価格の高騰、円安基調の継続による物価上昇等の影響が続いており、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような経済環境下におきまして、当社グループは、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)に基本方針として掲げた「持続的な成長への戦略投資」「事業競争力を重視した成長戦略」に基づき、目標達成に向けて生産能力増強や営業力強化等に取り組んでおります。
 この結果、当連結会計年度の売上高につきましては、43,261百万円となりました。損益につきましては、営業利益は 6,344百万円、経常利益は 6,626百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は 4,064百万円となりました。

 

b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況

 

売上高(百万円)

営業利益(百万円)

当連結会計年度

当連結会計年度

分析機器事業

19,965

2,045

半導体事業

21,313

4,167

自動認識事業

1,982

115

小  計

43,261

6,328

その他

17

消去又は全社

△0

合  計

43,261

6,344

 

 
(分析機器事業)

分析機器事業におきましては、景気の先行きや国際情勢が不透明な状況が続いている中でも業績は順調に推移しました。

国内売上高においては、装置、消耗品ともに好調でした。装置類に関しては、食品、環境、化学工業、製薬などの多くの分野において堅調で、高速液体クロマトグラフやガスクロマトグラフ関連装置、水質分析用装置などが売上を牽引しました。消耗品につきましても、液体クロマトグラフ用カラムだけでなく、固相抽出カートリッジや試料調製容器などの幅広い製品群が好調でした。

海外売上高においては、中国経済の停滞の影響を受けつつも、液体クロマトグラフ用カラム等の消耗品を中心に売上高は堅調に推移しました。装置に関しても、ガスクロマトグラフ周辺装置の販売が好調でした。

この結果、当連結会計年度の売上高は 19,965百万円、営業利益は 2,045百万円となりました。

 

(半導体事業)

半導体業界におきましては、生成AI関連製品の需要拡大を背景に、設備投資は高水準を維持しており、国内外で先端半導体の製造工場の新設、増設の動きが継続しておりますが、一方でパソコンやスマートフォン向けの需要回復は依然として鈍く、業界全体の本格的な回復は2025年後半以降となる見込みです。

以上のような環境の中、当事業では、今後に向けた新規需要の掘り起こしや競争力強化のため、高付加価値製品の開発と拡販によるマーケットの拡大、国内外での増産体制構築の準備を行い、さらなる成長に向けて邁進しております。豊富な受注残高と工場の高稼働率を背景に、売上高や営業利益は期初の計画を大幅に上回ることができました。

この結果、当連結会計年度の売上高は 21,313百万円、営業利益は 4,167百万円となりました。

 

(自動認識事業)

自動認識事業におきましては、入退室セキュリティシステムに関わる入札案件の後押しもあり、売上高は順調に推移しました。

製品分類別売上高では、「機器組込製品」がホームセキュリティ機器向けに加え、バイタルチェック装置向けの導入が進んだことで好調な結果となりました。「完成系製品」は文教向け出欠管理システムやオフィスソリューションシステム向けなどが堅調に推移しましたが、「自動認識用その他」は製品機能のアップデートに関する開発の遅れが影響し計画を下回りました。
 この結果、当連結会計年度の売上高は 1,982百万円、営業利益は 115百万円となりました。

 

 

c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度末における当社グループの数値目標及び実績は次のとおりであります。

 

指標

計画(百万円)

実績(百万円)

計画比(%)

売上高

41,320

43,261

+4.7

営業利益

6,140

6,344

+3.3

経常利益

6,260

6,626

+5.9

親会社株主に帰属する

当期純利益

4,370

4,064

△7.0

 

 

② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

分析機器事業

13,968

半導体事業

21,332

自動認識事業

1,666

合計

36,967

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

受注残高(百万円)

分析機器事業

20,009

3,214

半導体事業

23,578

8,399

自動認識事業

1,989

429

合計

45,578

12,042

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

分析機器事業

19,965

半導体事業

21,313

自動認識事業

1,982

合計

43,261

 

 

(注)  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

Applied Materials,Inc.

8,116

18.8

 

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

① 現金及び現金同等物

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、7,391百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な増減要因は、以下のとおりであります。

 

② 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは 6,438百万円となりました。
 これは主に税金等調整前当期純利益 6,500百万円の計上、法人税等の支払額 1,937百万円、減価償却費 1,796百万円などによります。

 

③ 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは △3,312百万円となりました。
 これは主に有形固定資産の取得による支出 2,985百万円などによります。

 

④ 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは △2,548百万円となりました。
 これは主に長期借入金の返済による支出 955百万円、配当金の支払額 715百万円、短期借入金の純減少額 619百万円などによります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。

事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金、設備投資や長期運転資金は自己資金及び金融機関からの長期借入金を資金調達の基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は 5,348百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は 7,391百万円となっております。

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

2025年3月

自己資本比率(%)

76.1

時価ベースの

自己資本比率(%)

64.9

キャッシュ・フロー対

有利子負債比率(年)

0.8

インタレスト・

カバレッジ・レシオ(倍)

127.3

 

 自己資本比率:自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷利払い

 (注1) 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

 (注2) 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

 (注3) キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

(1) 共同株式移転

2024年5月10日開催のジーエルサイエンス株式会社及びテクノクオーツ株式会社の取締役会において、統合契約書の締結及び株式移転計画を承認し、共同株式移転の方法により共同持株会社である当社を設立することを決議しました。テクノクオーツ株式会社においては2024年6月21日開催の定時株主総会にて決議、ジーエルサイエンス株式会社においては2024年6月25日開催の定時株主総会にて決議され、2024年10月1日に当社を設立いたしました。

なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況」1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)に記載のとおりです。

 

(2) 業務提携に係る契約

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

備考

契約期間

ジーエルサイエンス

株式会社

(連結子会社)

株式会社島津製作所

日本

分析機器・理化学機器事業に関する業務提携

業務提携協定

2006年9月15日から

2008年9月14日まで

以降1年ごとの自動更新

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、研究開発を事業展開上の重要課題と位置づけ、積極的な研究開発活動を進めております。その分野は分析機器事業、半導体事業、自動認識事業のセグメントに分かれ、多様化、高度化、複雑化する顧客ニーズに対し、質の高い製品を提供するため、それぞれの分野ごとに独自性のある技術力を高めながら新技術の習得、導入及び品質、生産性の向上を目指して新製品の開発に努めております。

なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は、1,101百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。

 

(分析機器事業)

当事業では、自社ブランドの「イナートシリーズ」を中心に、食品・環境・ライフサイエンス・香粧品・エネルギー・石油化学など多岐にわたる分野において、高速化や高不活性化、高選択性などのニーズに合わせた製品を開発し、リリースしております。当事業の製品は国内のみならず、世界各国で使用されており、分析業界において誇れる製品を開発しております。

消耗品では、弱陰イオン交換ミックスモード固相とグラファイトカーボンを積層させた前処理用カラムを開発しました。健康リスクで話題となっているPFASの前処理にも適応可能となっております。

一方、装置分野においては、簡単操作でガス漏れが検知できるハンディタイプのリークディテクターを開発しました。配管やカラムを汚染させる心配がなく、持ち運びも簡単にできます。

国内製造における高品質、高生産性を目指すとともに、世界一のカラムメーカーを目標に、社会に貢献できる新製品の開発に日々邁進しております。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、925百万円であります。

 

(半導体事業)

当事業では、以下の分野にて研究開発活動を行っております。

①先端半導体パッケージング向け新型モジュールの開発

当事業のコア技術である石英ガラス直接接合技術を応用し、石英ガラス内部(肉中)に機能膜を埋め込んだ新型モジュールの開発に着手しております。

また、競争優位性を高める知財戦略として、本モジュールの基本構造および製法についても特許出願しており、今後の先端パッケージ分野の技術革新に貢献できるよう早期実用化を図っております。

②多孔質自立膜の用途開発

当事業が独自に開発した多孔質自立膜の新たなアプリケーションとして、音響分野向けの新型デバイスの開発に産学連携で取り組んでおります。当該素材は多孔質体でありながら剛性が高いという特長を有することから、当事業が得意とする精密機械加工を施すことができる利点を有しております。

③溶射被覆石英ガラス部材の再生工法の実用化

半導体製造において消耗品となる各種石英ガラス部材を対象に、実使用で寿命に達した石英ガラス部材を廃棄することなく新品同等に再生できる新たな製品構造についての開発活動を行っております。

④マイクロクラックの自己修復技術

先端半導体製造プロセスにおいて発塵源になることが知られているマイクロクラック層に対して従来とは異なるアプローチを行うことで、熱処理によりマイクロクラックを接合(修復)する新たな表面改質技術を開発いたしました。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、39百万円であります。

 

(自動認識事業)

当事業では、NFCやLF帯を利用したRFID(無線による個人認識) 技術による自動認識事業に関わる製品の研究/開発を行っております。

特に交通系・電子マネー関連に幅広く利用されているICカードFeliCaに関する新たなセキュリティガイドラインに準拠するため、CC EAL5+ (情報セキュリティを評価し認証するための評価基準)に準拠したセキュアマイコンを搭載したリーダライタの開発を進めております。これらは、交通系分野向け製品のみでなく、FeliCa暗号に対応した全てのリーダライタに搭載し、アクセスコントロールや医療系、アミューズメント系分野へ展開しております。

またLPCD(NFCデバイスが他のデバイスを検出するための低消費電力機能)等、部品の省電力モード活用やフィルムアンテナによる設置性向上を図る製品開発を進めております。

さらにスマートフォンとの連携製品の開発/研究も進めております。Bluetooth Low Energyの活用、NFCのECP(Enhanced Contactless Polling)による電子パスとの連携の研究等により、新たな市場開拓の準備をしております。今後もRFID製品、BLE応用製品を展開し、柔軟な市場対応を行う事によって市場での高い優位性を訴求してまいります。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、136百万円であります。