第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営環境・経営戦略等

製薬業界は、高度化する医療技術の進展や多様化する医療ニーズへの対応等により、今後も更なる成長が見込まれております。一方で、ジェネリック医薬品の普及等の薬剤費の削減や医療保険の適用基準の厳格化の影響等により、国内における医薬品販売高の成長については不確実な要素も大きくなっております。

また、近年の臨床試験の厳格化の傾向に加え、臨床試験の規模が拡大すると共に開発期間が長期化し、製薬業界では激しいグローバル競争が展開されていることから、新薬開発の効率化が製薬企業各社の課題となっております。

このような状況の中、当社はPepMetics技術によって「創薬不可能」だった標的を「創薬可能」にし、治療法のなかった病気を治療することを使命にあげ、独自の創薬基盤技術を拠り所としております。この技術の有用性を証明すると共に、この技術において業界をリードし、競争力を維持し続けることが重要な経営課題であります。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は現在、研究開発段階のものが多い状況であります。マイルストンの達成に応じて売上高が計上されてはおりますが、不確実性が高いため目標となる経営指標等は定めておりません。

一方で、将来的な成長の要素として、自社開発プログラム及び共同開発プログラムの進捗状況は重要であるため、状況の確認は随時行っております。

現段階においては、早期の製品の上市を目指し、研究開発及び臨床試験の進捗状況、並びに研究開発資金と費用のバランス等を注視しながら、事業を推進しております。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① プログラムの推進

現在、エーザイ株式会社及び大原薬品工業株式会社とライセンス契約を締結し、それぞれの製薬会社が主導して臨床試験を実施しております。導出先からのマイルストン収入は多額であるため、その臨床試験の進捗は当社の資金繰り計画に影響を与えます。導出先と密にコミュニケーションを図りつつ、臨床試験の進捗の状況の確認及びアドバイス等を定期的な会議等にて行い、共同して適切に進捗するように尽力してまいります。

新規の創薬プロジェクトは様々な事由で中止される可能性があります。そこで、現在当社で開発を進めております3つの自社開発プログラムに加えて、新規プロジェクトを毎年開始することにより、確度の高いプロジェクトに優先的に資源を集中し、新たなプロジェクトを継続して創出することを目指しております。

 

② 創薬基盤技術の事業化、収益化

当社のPepMetics技術を活用し、2020年度以降に複数の契約を締結することができました。これらの契約では、Hit化合物の創出や研究開発が進む段階に応じてマイルストン収入が得られる仕組みになっており、契約先との密なコミュニケーションとサポートを行って進捗を推進してまいります。

今後も同様の契約を積み重ねていくことで、継続的な収益の基盤を構築することを目指しております。

また、より創薬基盤の価値を向上させるために有用性を示す技術開発も引き続き行う必要があります。

 

③ 財務基盤の強化

共同開発事業の増加による収益化を目指す中、2024年4月末時点の現預金残高は2,832,998千円、純資産額は2,246,771千円です。今後は一層の事業の促進と並行して財務基盤の強化も求められております。

 

④ 人材の採用、育成

研究開発を進めるため、多様な人材の採用及び育成を強化する仕組みの構築に取り組んでいます。共同開発事業の拡大に向けたプロモーション活動の効率化を図るため、自社ウェブサイトの充実化、営業体制の効率化及び強化に努めると同時に、今後の組織拡大とあわせて管理部人材の積極採用と、既存社員の育成に関する施策を検討してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する考え方

当社は、社会、従業員、環境のサステナビリティを重視し、整合性を持った経営をしております。

当社の事業は、独自の研究開発によって患者様に新たな治療法とQOLの向上を提供し、また製造コストの低い低分子医薬品によってグローバルに低所得の国々にも治療へのアクセサビリティを提供いたします。

当社は、優秀な研究者が薬を創り出すという同じ目的に向かって連携し、公平に議論し、革新を生み出し続けることが創薬事業の継続的な発展にとって最も重要であることを経営の基本理念と位置付け、従業員の採用、教育、登用においては、人種、性別、年齢に関わらず創薬研究にかかる能力、意欲と実績を基準に判断しております。また、従業員の安全衛生並びに健康に配慮し、一人ひとりが能力を発揮できる環境づくりに努めております。

環境面においては実験における廃棄物等のコンプライアンスを重視し、最新の設備を有する施設で環境に最大限に配慮した管理を行っております。

 

(2) サステナビリティに関する取組

① ガバナンス

当社では取締役会がサステナビリティに関する全社的な活動を統括し、様々な課題に取り組む体制としております。取締役会では、研究開発の進捗及び組織の状況・課題の報告や、リスクコンプライアンス委員会からの報告がなされ、基本方針やサステナビリティに関して審議、監督しております。

 

② 戦略

(1)サステナビリティに関する考え方に記載のとおり、当社は、創薬基盤を構築する為のPepMetics技術を継続的に改良、発展させることが経営の基盤であると考えており、その技術(PepMetics技術)の改良、発展を支える人材の確保と育成、研究環境を中心とする社内環境の整備が成長戦略を実現するための源泉と考えております。

そのため、成長戦略に沿って人員計画を立て、採用並びに育成のための活動を行い、経営と社員の密接なコミュニケーションを図ることで、優秀な人材がモチベーションを持って研究に取り組める環境整備に努めております。

 

③ リスク管理

当社では、リスクコンプライアンス委員会を設置し、各部門より適時リスクの報告を行い、緊急度と影響度の観点よりリスク評価を行い、優先度順にレベル分けし、度合いに応じて取締役会でも審議され、リスクを低減・受容・回避・移転するのか対応方法を判断します。また、認識されているリスクはリスクコンプライアンス委員会で定期的に再評価を実施してリスクのコントロールに努めております。

人事面では、就業規則、給与規程、並びに人事考課規程を設け、公正並びに客観的な評価を行うように規定しております。

研究開発に関する規程では倫理評価について定め、環境並びに実験動物への倫理について適切な対応を図っております。

 

(3) 指標及び目標

当社では「②戦略」で述べたとおり、人材育成及び社内環境整備を重要な経営課題として取り組んでおりますが、組織が拡大中にあることで定点観測が困難である為、現時点では定量的な指標や目標は設定しておりません。今後、成長を続ける中で適切な指標や目標の設定について検討を進めて行く予定です。
 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当社は、医薬品等の開発を行っておりますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各プログラムの研究開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のプログラムを有するバイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業環境に由来するリスク

① 新薬開発の不確実性について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:大)

一般的に医薬品開発は研究開始から承認まで長期間を要し、多額の研究開発投資が必要になりますが、他産業と比較して製品化の成功確率が著しく低い状況にあります。

医薬品候補化合物は、有効性や安全性の観点から開発の延長や中止をする可能性があります。また、臨床試験で良い結果が得られた場合であっても、各国における薬事関連法規等の厳格な法規制等の適用のもとで審査を受けることが必要であり、製品開発中に施行される承認審査基準の変更により、承認が得られない可能性があります。

開発の不確実性による新薬開発の遅延により研究開発の期間が延長された場合には、追加の研究開発投資が必要になるほか、上市後の特許権の満了までの期間が短くなることにより将来に期待していた収益が得られない可能性があります。また、研究開発を中止した場合は、それまでに投資した資金を回収できなくなることになります。

医薬品の研究開発には多くの不確実性が伴い、当社の現在及び将来の開発品についても同様の不確実性のリスクが内在しております。

当該リスクに対しては医薬品の開発や事業化について経験を有する人材を社内外に確保し研究開発を推進する体制の構築に努めております。その一環として、新薬の研究及び臨床開発の分野で豊富な経験を有するメンバーで構成したScientific Advisory Boardを組織し、助言を受けております。また、臨床試験の計画・実施に当たっては規制当局との事前相談等を通じて適切な助言を得て開発を推進してまいります。

 

② 医療費抑制策について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

医療用医薬品の販売価格は日本及びその他各国政府の薬価に関する規制を受けます。近年、日本では医療費抑制策の一環として、通常2年毎の医療用医薬品の薬価引き下げや、ジェネリック医薬品使用促進等の施策がとられております。欧米、アジアの国々等においても、医薬品の薬剤費低減への圧力は年々高まっており、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。

このような動向を受け、当社の製品の薬価が当社の想定を下回り、又は当社製品への需要が減退した場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法規制に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

医薬品事業は、薬事規制や製造物責任等の様々な法規制に関連しており、法規制の制定や改定により業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

現在、当社のパイプラインは研究開発段階にあり、わが国の厚生労働省、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後各国の薬事法(わが国においては「薬機法」)等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。

当社に適用される法規制を遵守できない場合、規制当局から行政処分やその他の措置を受ける可能性や、製品の回収更には製品の許認可の取り消し、あるいは賠償請求を受ける等当社や当社の製品に対する信頼や評価を棄損するほか、事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対しては、パイプラインの拡充を図ると共に、医薬品の開発や事業化について経験を有する人材を社内外に確保してプロジェクトを推進する体制の構築に努めております。

 

④ 訴訟に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小)

現在関与している訴訟は有りませんが、臨床試験に組み込まれた被験者の内賠償に該当する場合や、将来的に第三者の権利もしくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手方が侵害していると考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起される等、法的な紛争が生じる可能性があり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、第三者との間で係争が生じた際には、顧問弁護士及び弁理士と連携し、当該係争に迅速に対応する方針であります。

 

(2) 事業内容に由来するリスク

① 他社による類似技術開発に関するリスク(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

最近のゲノム情報を用いた解析により、細胞内に存在するタンパク質同士が結合することでシグナル伝達が起こる経路に疾患の原因となる異常が存在することが次々と明らかになっておりますが、PPIに作用して効果を示す薬剤は、ほとんど知られておりません。これは、分子量の大きなタンパク質(数万~数十万)同士の結合を、分子量の小さい合成低分子化合物(数百)で制御することが非常に難しいことによります。(大きな分子は、細胞膜を通過しないため使用できない。)中でもヘリックス(タンパク質の二次構造の共通モチーフのひとつで、バネに似た右巻き螺旋の形をしています。骨格となるアミノ酸の全てのアミノ基は4残基離れたカルボキシル基と水素結合を形成しています。)構造は、模倣が難しく過去に有効な成功例は数例しか報告されておりません。当社はヘリックス構造を模倣する多くの骨格を合成し、広範囲な特許対策も実施しております。

しかしながら、資金力のある大手製薬会社が将来的に新規構造を持つ化合物を合成したり、特許抜けによる類似化合物を合成する可能性は否定できません。

このようなリスクに直面した場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 外国為替相場の変動に関するリスク(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小)

当社は、海外の製薬会社やCRO(開発業務受託機関)と多くの取引を行っており、支払は外貨建決済となります。従って、為替相場が変動した場合には、当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼすこととなります。

 

③ 他社とのアライアンスにおけるリスク(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

当社は、新薬候補化合物を大手製薬会社等に導出し、導出先が販売促進活動し、マイルストン及びロイヤリティを得るのが基本的ビジネスモデルです。共同開発事業についてはエーザイ株式会社、大原薬品工業株式会社の間でそれぞれ導出に関する契約を締結しております(後述の「5 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)。既に導出を行った新薬候補化合物の臨床試験を実施中ですが、これらの試験結果が望ましくない場合や提携企業との良好な協力関係が保たれなくなった場合、当初予定していた売上高が減少し将来に期待していた収益が得られない可能性があります。また、製品買収や製品・開発品の導入等に伴う不確実性により、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。

上記ライセンス契約に加え、国内外の製薬会社との間で共同研究や研究協力に関する契約を締結もしくは今後の締結を見込んでおり、契約締結後、当社にとって不利な契約改定が行われた場合、当社の理念及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社の事業、業績や財政状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対しては、新規提携先の拡充に向け複数の候補先と定期的なコミュニケーションの実施に努めております。

 

 

④ 業務委託先の工場の閉鎖又は操業停止(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

技術上の問題、使用原材料の供給停止、新型コロナウイルス・インフルエンザ等のパンデミック、火災、地震、その他の災害等により業務委託先の施設が閉鎖又は操業停止となる可能性があります。この場合、原体の供給や活性データの報告が妨げられ、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対しては、常に不測の事態に備え、複数の委託先との業務提携体制の構築に努めております。

 

⑤ 使用原材料の安全性及び品質に関するリスク(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

使用する原材料の安全性及び品質に懸念が発生した場合、使用原材料の変更はもちろんのこと製品の回収、販売停止等を実施し、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対しては、常に不測の事態に備え、原材料不足に伴う供給停止に陥らぬよう複数の仕入先との業務提携体制の構築に努めております。

 

⑥ 他社との競合について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

当社が事業を展開するペプチド模倣低分子技術は、今後市場規模が拡大した場合、国内企業のみならず、海外の大手製薬企業やバイオベンチャー等の参入も拡大し、競争環境が激化する可能性があります。

競合他社は、当社や当社の導出先よりも多くの経営資源又は研究開発や販売に関する豊富な経験を有している場合があり、これらの企業が当社や当社の導出先に先んじて研究開発を進めた場合のほか、当社が研究開発の過程で必要とする第三者の知的財産権について独占的な導出を受け、又は大手製薬企業と提携すること等を通じて、当該分野において当社よりも先行した場合、当社事業の競争上の優位性が低下する可能性や、当社の事業展開において当社が想定する以上の資金が必要となる可能性があります。

以上により、今後の競争激化が当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 小規模組織及び少数の事業推進者への依存(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

当社は、2024年4月末時点で従業員22名の小規模体制となっております。今後、業務拡大に応じて採用、経理人材の採用を通じて内部管理体制の拡充を図る方針です。

また、当社の代表取締役竹原大、取締役研究開発部長朴煕万をはじめとする現在の経営陣、研究開発活動を推進する各部門責任者及び少数の開発担当者はそれぞれが高度かつ専門的な業務に従事しており、当社の事業活動はかかる少数の主要な人材に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社が今後パイプラインの拡充や、製品候補の製造又は販売を行う場合、従業員数及び事業範囲を拡大し、商業化等の担当者を採用、維持する必要がありますが、当社が事業の拡大を適切に管理し、適切な人材を採用できない場合は当社の成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は海外における事業開発活動については海外在住のコンサルタントを活用しており、契約が解除されることで一時的に業務に支障が生じる可能性はありますが、当社の役員及び従業員で補いつつ海外の他のコンサルタントに委託する等の対応を取る方針です。

当社は、当社の理念の浸透を図ると共に、専門分野毎の縦割り型ではなく、経営陣並びに従業員が自由闊達に議論を交わせるような組織づくりを通じ、やりがいを感じることができる風土を醸成すると共に、新規採用も含め社内体制の強化を進めてまいります。

 

 

⑧ 現在出願中の特許が登録されないリスク(発生可能性:低、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

当社は、研究開発により得られた成果に関して戦略的な特許出願を行っております。その結果、提出日現在14件(登録済8件、出願中6件)の特許を出願・登録し、今後、一層、知的財産権の確保のため、新規出願並びに出願済特許の登録の増加を図っていく方針であります。しかしながら、出願した特許が登録に至らない、若しくは特許の一部のみしか登録に至らない可能性があります。また、当社グループが所有又は使用許諾を受けた知的財産権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性があり、こうした結果、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 特許訴訟に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小)

当社は、提出日現在、当社の事業に対する特許権等の知的財産権に関する第三者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりませんが、医薬品開発事業の一般的なリスクとして、自社で出願した特許以外にも第三者の特許が関連する可能性があります。当社が第三者との間で係争に巻き込まれた場合、当社は弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対応策を検討していく方針でありますが、仮に相手方の主張が認められる可能性が低い係争であっても、係争の解決に多大な労力、時間及び費用を要する可能性があり、その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、製品候補の開発の停止等を命ぜられる等の事業上の制約を受ける等、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、新たな開発に着手する際は、他社の特許権等を侵害しないことを確認する調査等によりリスクの低減を図ると共に、第三者との間で係争が生じた際には、顧問弁護士及び弁理士と連携し、当該係争に迅速に対応する方針であります。

 

(3) その他リスクについて

① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:大、発生する可能性がある期間:各新株予約権発行後2~10年の間、影響度:小)

当社は、当社の役員、従業員等に対して新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。提出日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は4,412,400株であり、発行済株式総数31,354,800株の14%に相当しております。

 

② 情報セキュリティ事故について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

当社は、情報セキュリティ、研究開発等に関する機密情報等及び個人情報の管理について、情報システムを活用しつつ、情報セキュリティ管理規程、個人情報取扱規程に沿って運用を行っておりますが、当社の役職員、提携先、取引先の不注意や故意、セキュリティ障害、第三者による攻撃等により、当社の研究開発等に関する重要な機密情報や個人情報が流出した場合には、当社の事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は当該リスクを低減するため、当社の提携先及び取引先との間で守秘義務を含む契約を締結すると共に、規程に沿った情報管理の運用に努めておりますが、現在、当社はサイバーセキュリティ保険への加入も検討しております。

 

③ 資金繰りについて(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

当社の創薬基盤の拡張・維持や自社開発事業は、多額の研究開発費用を必要とし、今後一定期間にわたって先行投資の期間が続きます。この期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。これまでも特定の事業年度を除くと営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、現状では共同開発事業からの収益に対して自社開発事業への投資並びに管理部門等の間接経費が上回っている状況です。

このため、安定的な収益源が先行投資を上回るまでの期間においては、研究開発の進捗等に応じて適切な時期に資金調達等を実施して財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミング又は適切な条件で資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる、又は株主の保有する権利に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対しては、自社開発事業への先行投資の調整や早期の資金調達の実施に注力すると共に、金融機関からの融資、コミットメントラインなどの調達方法の多様化を検討してまいります。

 

④ 調達資金について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

上場時の公募増資により調達する予定の資金は、医薬品の研究開発を中心とした事業費用に充当する計画です。但し、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、また当社の判断により調達資金を上記以外の目的で使用する可能性、当初予定していた研究開発対象とは別のプログラムがあり、その結果、調達した資金の投資が期待される利益に結びつかない可能性があります。

 

⑤ 収益計上について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

当社の収益構造は、当社が研究開発する医薬品について製薬企業等とライセンス契約等を締結し、その対価として契約一時金、マイルストン収入及び製品の上市以降の販売に応じたロイヤリティ収入を得ることを基本モデルとしております。

一般的に医薬品等の開発期間については基礎研究開始から上市まで長期間に及ぶこと、製薬企業等からの収入は研究や開発の進捗に大きく左右されることが予見されます。

また、研究開発の進捗遅れが生じた場合や導出先の研究開発方針に変更等が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し、ライセンス契約先と密にコミュニケーションを図りつつ、臨床試験の進捗の状況の確認及びアドバイス等を定期的な会議等にて行い、共同して適切に進捗するように尽力してまいります。また、当社が創薬標的を選択して開発化合物を見出す自社開発事業と、製薬会社の持つ創薬標的に対してHit化合物を見出して導出する共同開発事業を組み合わせたハイブリッド事業モデルにより、一時的な収益計上の平準化、安定的な将来の利益拡大を目指してまいります。

 

⑥ 新株発行を伴う資金調達による株式の希薄化リスク(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

当社は医薬品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資等の新株発行を伴う資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

⑦ 自然災害、感染症等の発生について(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

当社の事業所は神奈川県藤沢市のみに設置しており、事業活動や研究開発活動に関わる設備及び人員が同施設に集中しております。そのため、周辺地域において、地震等の自然災害、大規模な事故、火災、テロ等が発生し、当社が保有する化合物のライブラリーの滅失、研究設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。当社は、危機管理対策要領を作成し、緊急事態発生時に速やかに状況を把握し、迅速かつ適切な対処で被害を最小限に食い止められるような体制づくりに努めております。

 

⑧ 風説・風評の発生について(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)

当社や当社の関係者、当社の取引先等に対する否定的な風説や風評がマスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用に影響を与える可能性があります。また、当社に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑨ ベンチャーキャピタルによる株式保有・比率について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小)

当社の発行済株式総数に対するベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下「ベンチャーキャピタル等」という。)の所有割合は本書提出日現在61%であります。当社の株式公開後において、当社の株式の株価推移によっては、ベンチャーキャピタル等が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場における当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。

 

⑩ 職務発明に対する社内対応について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小)

当社が職務発明者である役職員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は特許法に定める「相当の対価」を支払うことになります。当社では、共同発明の持分比率や相当の対価の支払い請求等に問題が生じる場合を想定し、その取扱いについて職務発明等取扱規程を制定しております。これまでに発明者との間で対価の支払い等で問題が生じたことはありませんが、そのような問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 配当政策について(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小)

医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資回収も長期に及ぶ傾向にあり、当社も創業以来継続的に営業損失及び純損失を計上していることから、当社はこれまで配当の実績はなく、当面は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。しかし、株主への利益還元は重要な経営課題であると認識しており、将来において安定的な収益の獲得が可能となる場合には、財政状態及び経営成績を考慮した上で、利益配当についても検討してまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の状況

第12期事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

当社は、独自のペプチド模倣低分子技術であるPepMetics技術を駆使してPPIを阻害する新薬を開発することを目指し、当社が創薬標的を選択して開発化合物を見出して導出する自社開発事業と、製薬会社の持つ創薬標的に対して臨床候補化合物を見出す共同開発事業を行っております。

現在、導出した2本の臨床開発プログラムがそれぞれ第Ⅱ相臨床試験を実施しており、自社開発事業では3つのプログラムの開発を進め、さらに新たな創薬標的の探索も行っております。また、共同開発事業でも新たにグローバル大手製薬会社との契約締結の交渉を進めており、成果を上げつつあります。

CBP/βカテニン阻害剤であるPRI-724は大原薬品工業株式会社に導出し、当事業年度にはC型及びB型肝炎ウイルス並びに非アルコール性脂肪肝炎(Non-Alcoholic Steatohepatitis: NASH)に起因する肝硬変患者を対象とする第Ⅱ相臨床試験が開始され、導出契約におけるマイルストンを達成して、一時金を受領いたしました。

エーザイ株式会社と共同開発したCBP/βカテニン阻害剤であるE7386は、固形ガン患者を対象とした第Ⅰ相臨床試験、肝細胞ガンなどを適応症としたレンバチニブとの併用療法の第Ⅰ相臨床試験に加え、抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用療法での第Ⅱ相臨床試験を実施しています。

 

自社開発事業では、従来進めてきたeIF4E/eIF4G阻害剤である4EBP1模倣化合物のプログラムに加えて2本のプログラムを実施しております。また、新たなプログラムを立ち上げるための創薬標的の評価を継続的に進めており、翌事業年度には2本のプログラムの立ち上げを見込んでおります。

共同開発事業では、国内外7社と共同研究契約を締結してPepMetics技術を用いて創薬の研究開発に取り組んでおります。引き続き他の国内及び海外製薬企業との共同研究契約等の交渉を進めております。

 

以上の結果、当事業年度の売上高は、自社開発事業におけるマイルストン収入及び共同開発事業における一時金及び共同研究収入の受領により、合計112,926千円(対前期比79.6%減)となりました。

損益につきましては、販売費及び一般管理費については577,174千円(対前期比23.2%増)となりました。その内訳は、研究開発費が338,734千円(対前期比27.4%増)、その他販売費及び一般管理費が238,439千円(対前期比17.7%増)であります。

これらにより、営業損失は496,868千円(前期は営業利益66,681千円)となりました。また、営業外収益として助成金収入70千円、営業外費用として為替差損770千円を計上したこと等により、経常損失は497,550千円(前期は経常利益78,666千円)となりました。さらには当社が保有する固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損損失を28,151千円、特別損失として計上したこと等により、当期純損失は526,914千円(前期は当期純利益72,962千円)となりました。

なお、当社は、創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績記載を省略しております。

 

第13期第2四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年3月31日)

当第2四半期累計期間におきましては、導出した2本のプログラムがそれぞれ第Ⅱ相臨床試験を実施しており、自社開発事業では3つのプログラムの開発を進めつつ、共同開発事業でも新たな共同研究契約を締結いたしました。また、第三者割当増資を実施したことに伴い、創薬技術の開発並びに創薬プログラムを推進するために組織及び機能の強化を図っております。

 

2023年11月にEli Lilly and Company社(以下「Lilly」)との間で創薬に関する導出及び共同研究契約を締結しました。今回の契約締結によりLillyは、最大3つの創薬標的に対する創薬研究、臨床開発並びに商業化する権利を得て、当社は契約一時金及び非臨床・臨床・販売に応じて総額で最大6億6,000万ドルのマイルストンと、売上に応じたロイヤリティを受取る権利を得ます。

また、2024年1月にはLillyをリードインベスターとする計15億円の第三者割当増資を実施し、創薬基盤の拡充と研究開発活動の強化のために、優秀な人材の採用と研究設備に対する投資を進めております。

 

以上の結果、当第2四半期累計期間の売上高は、自社開発事業におけるマイルストン収入及び共同開発事業における一時金及び共同研究収入の受領により、合計115,482千円となりました。

損益につきましては、販売費及び一般管理費については404,723千円となりました。その内訳は、研究開発費が224,750千円、その他販売費及び一般管理費が179,972千円であります。

これらにより、営業損失は334,331千円となりました。また、営業外収益として為替差益16,557千円、営業外費用として株式交付費5,250千円を計上したこと等により、経常損失は322,855千円となりました。さらには当社が保有する固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損損失を12,593千円、特別損失として計上したこと等により、当第2四半期純損失は336,052千円となりました。

なお、当社は、創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績記載を省略しております。

 

② 財政状態の状況
第12期事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

(資産)

当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比較して528,730千円減少し、1,211,426千円となりました。流動資産は、前事業年度末と比較して534,515千円減少し、1,197,604千円となりました。これは主に、未収消費税等が40,248千円増加したものの、当事業年度における活動に伴い現金及び預金が554,050千円、売掛金が21,721千円それぞれ減少したことによるものであります。固定資産は、前事業年度末と比較して5,784千円増加し、13,821千円となりました。これは人員増によるラボスペース増床に伴う敷金差入保証金5,784千円の増加によるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債総額は、前事業年度末と比較して1,815千円減少し、63,410千円となりました。流動負債は、前事業年度末と比較して1,815千円減少し、63,240千円となりました。これは主に、未払金が10,529千円、契約負債が8,693千円、未払費用が2,570千円それぞれ増加したものの、未払消費税等が25,486千円減少したことによるものであります。固定負債につきましては前事業年度末からの増減はございません。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比較して526,914千円減少し、1,148,015千円となりました。これは当期純損失526,914千円を計上したことによるものであります。

 

第13期第2四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年3月31日)

(資産)

当第2四半期会計期間末における資産合計は、前事業年度末に比べ1,875,207千円増加し、3,086,633千円となりました。これは主に、現金及び預金が1,826,317千円、研究開発スペース増床に係る差入保証金が13,635千円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

当第2四半期会計期間末における負債合計は、前事業年度末に比べ711,260千円増加し、774,670千円となりました。これは主に、Lillyとのライセンス契約等に基づく契約負債が637,826千円、未払法人税等が19,560千円がそれぞれ増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当第2四半期会計期間末における純資産合計は、前事業年度末に比べ1,163,947千円増加し、2,311,962千円となりました。これは、四半期純損失336,052千円を計上したことによる利益剰余金の減少があったものの、2024年1月に実施した新株式発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ750,000千円増加したことによるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況
第12期事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

当事業年度の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ554,050千円減少し、1,133,943千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により支出した資金は、513,811千円(前事業年度は102,962千円の収入)となりました。これは主に、非資金項目である減価償却費や減損損失が増加した一方、未収消費税等の増加や税引前当期純損失525,704千円の計上等による減少があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は、40,377千円(前事業年度は7,874千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出34,589千円及び、増員に伴うスペース拡張の為、増床を行った結果敷金及び保証金の差入れによる支出5,784千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による収入及び支出は、借入金、資本取引がなかった為、発生しませんでした。(前事業年度は110,872千円の収入)。

 

第13期第2四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年3月31日)

当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べ1,826,317千円増加し、2,960,261千円となりました。

当第2四半期累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期累計期間における営業活動による資金は、340,140千円の増加となりました。これは主に、税引前四半期純損失を335,448千円計上したものの、Lillyとのライセンス契約等に基づき契約負債が637,826千円増加したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

    当第2四半期累計期間における投資活動による資金は、24,536千円の減少となりました。これは主に、敷金保

   証金回収による収入が15,815千円あったものの、有形固定資産の取得による支出6,126千円、無形固定資産の取得

   による支出4,775千円、並びに敷金保証金差入による支出13,635千円がそれぞれあったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期累計期間における財務活動による資金は、1,494,750千円の増加となりました。これは株式の発行による収入1,494,750千円があったことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績

当社は直接的な生産活動は行っておらず、生産実績にはなじまないため、記載を省略しております。

 

b. 受注実績

当社の事業による共同研究は受注形態をとっておりませんので、記載を省略しております。

 

c. 販売実績

販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は、単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

 

セグメントの名称

第12期事業年度

(自 2022年10月1日 

  至 2023年9月30日)

第13期第2四半期累計期間

(自 2023年10月1日 

  至 2024年3月31日)

金額(千円)

前年比(%)

金額(千円)

創薬事業

112,926

20.3

115,482

合計

112,926

20.3

115,482

 

 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

 

相手先

第11期事業年度

(自 2021年10月1日

 至 2022年9月30日)

第12期事業年度

(自 2022年10月1日

 至 2023年9月30日)

第13期第2四半期累計期間

(自 2023年10月1日

 至 2024年3月31日)

販売高

(千円)

割合(%)

販売高

(千円)

割合(%)

販売高

(千円)

割合(%)

エーザイ㈱(注)

500,000

90.2

-

-

-

-

大原薬品工業㈱(注)

-

-

50,000

44.3

-

-

LES LABORATOIRES SERVIER(注)

-

-

21,052

18.6

-

-

アステラス製薬㈱(注)

-

-

18,038

16.0

18,341

15.8

F. Hoffmann-La Roche Ltd.社(注)

-

-

12,060

10.7

-

-

Eli Lilly and Company社(注)

-

-

11,775

10.4

93,569

81.0

 

  (注) 第11期事業年度、第12期事業年度及び第13期第2四半期累計期間のいずれかが10%未満の場合、記載を省略し、「-」表示しています。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績

経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b 財政状態

財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る事項

当社は、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、過去における増資資金及び株式公開における調達資金で賄う予定であります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、企業価値を増加させるために、主に継続した研究開発や必要な設備投資等を予定しております。

キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、資産、負債、収益及び費用に影響を与える見積り及び判断を必要としております。

当社は財務諸表の基礎となる見積り及び判断を過去の実績を参考に合理的と考えられる判断を行った上で計上しております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

共同開発及びライセンス契約

相手先の名称

相手先の所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

エーザイ㈱

日本

研究協力・ライセンス契約

2015年

12月11日

(契約変更)

日本における対象製品の有効特許権の最終満了日、又はいずれかの国における対象製品の最初の発売日から10年後のいずれか遅い日

エーザイとの共同研究で開発した化合物における当社の権利について導出し、マイルストン及びロイヤリティを受領

契約総額は一時金、開発、販売等に対するマイルストン及び研究費を含めて250億円以上

大原薬品工業㈱

日本

ライセンス契約

2018年

5月24日

契約期間の定めなし

当社の保有する特許権及び特許を受ける権利について、専用実施権を許諾し、契約一時金、マイルストン、ロイヤリティを受取る

Boehringer Ingelheim International GmbH

ドイツ

研究及びライセンス契約

2020年

5月18日

2025年5月17日

Boehringer Ingelheimの創薬標的に対するスクリーニングのためにPepMeticsライブラリーを提供しヒットした化合物に対して導出

当社はライセンスフィー及び研究開発や臨床試験の進捗に応じたマイルストーン、ロイヤリティを受領する契約

Merck KGaA

ドイツ

ライブラリーのスクリーニング及びライセンス契約

2020年

10月12日

国、製品毎での最後のオプション期間満了日、もしくは最後のロイヤリティ期間の満了日のいずれか遅い日

Merckの創薬標的に対するスクリーニングのためにPepMetics ライブラリーを提供し、ヒットした化合物に基づいて研究開発を進めることに対して導出

当社はライセンスフィー、研究開発や臨床試験の進捗に応じたマイルストン及びロイヤリティを受領

LES LABORATOIRES SERVIER

フランス

共同研究・ライセンスオプション契約

2021年

6月3日

締結日から契約内容が終了するまで自動延長

SERVIERの標的に対する、将来の契約一時金、開発マイルストン収入につながる開発化合物の優先交渉権

F.Hoffmann-La Roche Ltd.

 

Genentech, Inc.

スイス

 

アメリカ

共同研究・ライセンス契約

2021年

12月17日

契約期間の定めなし

Roche、Genentechとの三社間契約。低分子医薬品領域の共同研究及び、研究対象を製造、販売等を行うための知的財産権の使用権の付与を行い、マイルストン及びロイヤリティを受け取る契約

Eli Lilly and Company

アメリカ

共同研究・ライセンス契約

2023年

11月17日

契約期間の定めなし

Lilly の創薬標的に対する開発候補化合物を共同開発し、Lilly は、臨床開発並びに商業化する権利を得る。Lillyは二つの創薬標的を追加するオプションを持ち、当社に対して契約一時金及び非臨床・臨床・販売に応じて総額で最大 6億 6,000 万ドルのマイルストン、並びにロイヤリティを支払う

小野薬品工業㈱

日本

共同研究及びライセンス契約

2024年

4月25日

締結日から支払終了まで

小野薬品工業の創薬標的に対する開発候補化合物を共同で創製し、小野薬品工業は全世界で独占的に開発・商業化する権利を取得し、当社に対して契約一時金、研究資金、研究・開発の進捗及び売上高に応じたマイルストン、並びにロイヤリティ等を支払う

 

 

 

6 【研究開発活動】

第12期事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

当社の研究開発活動における当事業年度の研究開発費は、338,734千円となりました。

当社は、PPIを制御する低分子化合物の創薬基盤技術を用いた新薬の研究開発を行っております。2023年9月30日現在、研究開発部に従業員12名が在籍し、創薬のための新規化合物の設計、合成、分析、評価等の業務を社外のコンサルタント、研究機関や受託研究機関等も積極的に活用し、効率的、効果的に運営しております。

当社では基盤技術の根幹となる高度な合成化学を研究、実施するための施設を保有し、汎用的な合成については外部の受託研究機関を用いることで、機密情報を守りつつ固定費を削減しております。

なお、主な研究開発の概況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載したとおりであります。

 

第13期第2四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年3月31日)

当社の研究開発活動における当事業期間の研究開発費は、224,750千円となりました。

2024年3月31日現在、研究開発部に従業員16名が在籍し、新たな共同開発プログラムも加わり、3つの自社開発プログラムの進捗のための組織強化、設備投資を進めております。

なお、主な研究開発の概況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載したとおりであります。